JP2009060089A - 有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物および有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物並びに有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

【課題】湿式法によって簡易に薄膜を形成することができ、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という。)用の発光材料として好適に用いられる有機EL素子用化合物および有機EL素子用組成物の提供、また発光特性および耐久性に優れた有機EL素子の提供。
【解決手段】有機EL素子用化合物は、特定の化合物よりなることを特徴とし、有機EL素子用組成物は、上記化合物よりなる成分100質量部と、燐光発光性化合物よりなる成分1〜20質量部と、有機溶剤100〜10,000質量部とを含有してなることを特徴とし、有機EL素子は、上記化合物により形成された正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のいずれかを有することを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物、および有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物、並びに有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、「有機EL素子」という。)は、直流電圧によって駆動することが可能であること、自己発光素子であるために視野角が広く視認性が高いこと、応答速度が速いことなどの優れた特性を有することから、次世代の表示素子として期待されており、その研究が活発に行われている。
このような有機EL素子としては、陽極と陰極との間に有機材料よりなる発光層が形成された単層構造のものと、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有する構造のもの、陰極と発光層との間に電子輸送層を有するものなどの多層構造のものが知られている。これらの有機EL素子は、いずれも陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが、発光層において再結合することによって発光する。
従来、陽極と発光層との間に正孔輸送層を有すると共に陰極と発光層との間に電子輸送層を有する多層構造の有機EL素子においては、正孔輸送層および電子輸送層の構成材料として各々好適なもの、具体的には、正孔輸送層の構成材料として好適な正孔輸送性を有する低分子結晶性材料、また、電子輸送層の構成材料として好適な電子輸送性を有する低分子結晶性材料と、異なる特性を有するものを用いることにより、高効率化が図られている。
ここに、電子輸送性を示す低分子結晶性材料としては、例えばBND(2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール)が挙げられる(図3にB3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算した、BNDのLUMOおよびHOMOの形状を示す。)。なお、このBNDにおける、B3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算した最低非占有軌道(LUMO)の軌道エネルギー値は−2.16eVであり、最高占有軌道(HOMO)の軌道エネルギー値は−5.95eVである。
有機EL素子において、陰極から注入された電子は、主に電子輸送層を構成する分子のLUMOの分子間重なりに沿って移動することとなるが、BNDのような電子輸送性を有する材料のLUMOは一般に分子内に広がって非局在化したπ* 軌道であり、そのエネルギー順位が低下(電子親和力が上昇)することによって電子の注入効率と電子輸送性が高まることが知られている。実際に、BNDのLUMOは、正孔輸送性を有する材料に係る分子のLUMOに比して低下しており、他方、BNDのHOMOの分布形状も典型的なπ軌道であってその分布の範囲(広がり)はLUMOとほぼ一致している。
一方、正孔輸送性を有する低分子結晶性材料としては、例えばα−NPD([N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン])が挙げられる(図4にB3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算した、α−NPDのLUMOおよびHOMOの形状を示す。)。なお、このα−NPDにおける、B3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算したLUMOの軌道エネルギー値は−1.35eVであり、HOMOの軌道エネルギー値は−4.99eVである。
有機EL素子において、陽極から注入された正孔は、主に正孔輸送層を構成する分子のHOMO軌道の分子間重なりに沿って移動することとなるが、α−NPDのような正孔輸送性を有する材料のHOMOは一般に分子内に広がって非局在化したπ軌道であり、そのエネルギー順位が上昇(イオン化ポテンシャルが低下)することによって正孔の注入効率と正孔輸送性が高まることが知られている。実際に、α−NPDのHOMOの分布形状は典型的なπ軌道であってその分布の範囲(広がり)はLUMOとほぼ一致している。
上記のように、正孔輸送層および電子輸送層の構成材料は、それぞれ相反する特性が要求されていることから、正孔輸送層と電子輸送層とを同じ構成材料を用いて形成することは困難とされている。特に、正孔輸送層および電子輸送層を同一の材料によって構成することが困難である理由としては、電子輸送性を示すBNDなどの材料と正孔輸送性を示すα−NPDなどの材料のどちらにおいてもHOMOとLUMOの分布形状が分子全体で大きく重なっており、しかもHOMOからLUMOへの一電子遷移が振動子強度の大きな許容遷移であることが挙げられる。時間依存の密度汎関数法(TD−DFT)計算によれば、BNDの最低エネルギー一電子励起はHOMOからLUMOへの遷移(波長:370nm、振動子強度:0.479)であり、またα−NPDの最低エネルギー一電子励起もHOMOからLUMOへの遷移(波長:399nm、振動子強度:0.319)であることから、有機化合物において、HOMOとLUMOが空間的に大きく重なっており、しかもその間の一電子遷移が許容である場合には、電子と正孔はその化合物中あるいはその化合物の集合体が形成するエネルギーバンド中で再結合する確率が高くなり、結果として、分子の励起エネルギーが有機EL素子の発光層の構成材料である燐光発光性材料まで効率的に伝達されにくくなると考えられる。反対に、HOMOからLUMOへの一電子遷移における振動強度がゼロ(禁制遷移)あるいは非常に低い場合には、無幅射失活の確率が高くなることから、有機EL素子用の材料としては好適なものではないと考えられる。
また、有機EL素子においては、その発光層が高い発光効率を有するものであることが要求されている。そして最近は、高い発光効率を実現するため、励起一重項状態から基底状態への蛍光発光ではなく、まず励起一重項状態から励起三重項状態へのエネルギー移動を惹起し、その後に生ずる基底状態へのエネルギー緩和、すなわち燐光発光を利用することが試みられている。
具体的に、このような構成を有する燐光発光性有機EL素子によれば、従来から有機EL素子の外部量子効率の限界値と考えられていた5%を超え、8%の外部量子効率が得られることが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
この燐光発光性有機EL素子は、一般に緑色や青色の発光が得られるものであるが、未だ十分な耐久性、すなわち常温動作条件における素子寿命を有するものが得られていない、という問題がある。
また、上記の燐光発光性有機EL素子は、真空減圧下での蒸着法などの乾式製膜法(以下、「乾式法」という。)によって形成されるのが一般的であるが、この乾式法は面積の大きな層を形成することに限界があることから、特に大型基板に適用した場合に高い生産性が得られないため、大面積の薄膜を容易に形成できる湿式製膜法(以下、「湿式法」という。)に対応した材料が望まれている。
而して、励起三重項状態を利用した高分子材料よりなる燐光発光性有機EL素子として、例えば有機イリジウム錯体化合物とポリビニルカルバゾールの混合物からなる組成物を発光層の形成材料として用い、発光層が湿式法によって形成されてなるものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、この燐光発光性有機EL素子は、長期の耐久性が得られない、という問題がある。
「アプライドフィジックスレターズ(Applied Physics Letters)」,1999年,第75巻,p.4 特開2001−257076号公報
本発明は、以上のような事情に基づいて、本発明者らが研究を重ねた結果、一つの材料が電子輸送性と正孔輸送性とを兼ね備えるための条件として、(a)HOMOとLUMOの分布形状において、両者の空間的な重なりができるだけ小さいこと、(b)分子中の複数の芳香族環が共平面ではなくねじれた構造を有し、HOMOとLUMOの分離が強化されていること、(c)HOMOからLUMOへの一電子励起が禁制ではなく許容遷移であること、および(d)電子輸送性と正孔輸送性のバランスおよび可視域での透明性を確保するためにHOMOとLUMOはそれぞれ適度なエネルギーレベルにあることを要する分子設計指針を見出し、かつ当該条件を満たす化合物を構築することによってなされたものである。その目的は、湿式法によって簡易に薄膜を形成することができ、かつ正孔輸送性および電子輸送性を共に有し、有機EL素子用の発光材料として好適に用いられる有機EL素子用化合物および有機EL素子用組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、発光特性および耐久性に優れた有機EL素子を提供することにある。
本発明の有機EL素子用化合物は、下記一般式(I)で表される化合物よりなることを特徴とする。
〔Ar1 〜Ar5 は、それぞれ独立にその構造中に芳香環、縮合環および複素環のいずれかを含有する2価の有機基を示す。n1 〜n5 は、それぞれ独立に0または1である。〕
本発明の有機EL素子用組成物は、上記の有機EL素子用化合物よりなる成分100質量部と、燐光発光性化合物よりなる成分1〜20質量部と、有機溶剤100〜10,000質量部とを含有してなることを特徴とする。
本発明の有機EL素子は、上記の有機EL素子用化合物により形成された正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のいずれかを有することを特徴とする。
本発明の燐光発光性有機EL素子は、上記の有機EL素子用化合物と燐光発光性化合物とよりなる発光層を有することを特徴とする。
本発明の燐光発光性有機EL素子においては、発光層が上記の有機EL素子用組成物を用いることによって形成されてなるものであることが好ましい。
本発明の有機EL素子用化合物は、乾式法および湿式法いずれの手法によっても簡易に薄膜を形成することができ、また、良好な電子輸送性および正孔輸送性を有するとともに、良好な発光特性を有するため、有機EL素子用材料として有用なものである。
本発明の有機EL素子用組成物によれば、湿式法によって容易に薄膜を形成することができ、また、その第1の構成成分として、燐光発光性化合物を含有するとともに、第2の構成成分として上記の有機EL素子用化合物を含有してなるものであることから、優れた発光特性および耐久性を有する有機EL素子を得ることができる。
本発明の有機EL素子によれば、上記の有機EL素子用化合物を正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のいずれかの構成材料として用いることにより、良好な発光特性とともに、優れた耐久性を得ることができる。
また、本発明の燐光発光性有機EL素子によれば、上記の有機EL素子用化合物を、燐光発光性化合物とともに発光層の構成材料として用いることにより、燐光発光による優れた発光特性とともに、優れた耐久性を得ることができる。
この燐光発光性有機EL素子は、上記の有機EL素子用組成物を用いて発光層を形成することによって作製することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<有機EL素子用化合物>
本発明の有機EL素子用化合物は、上記一般式(I)で表されるものであって、有機EL素子用材料として有用なものである。
一般式(I)において、Ar1 〜Ar5 は、それぞれ独立にその構造中に芳香環、縮合環および複素環のいずれかを含有する2価の有機基を示し、これらのAr1 〜Ar5 は、そのすべてが同一のものであっても異なるものであってもよく、またその一部が同一のものであってもよい。
また、一般式(I)におけるn1 〜n5 は、それぞれ独立に0または1であるが、n1 のみが1、またはn1 およびn2 のみが1であることが好ましい。
基Ar1 〜基Ar5 を示す2価の有機基としては、例えばフェニレン基、トリレン基などの芳香環、縮合環、および例えばチオフェン基などの複素環をその構成中に含むものであって、具体的には、例えば下記式(i−1)〜式(i−5)で表される基などが挙げられる。
また、一般式(I)においては、硫黄原子を含む縮合複素環(以下、「硫黄原子含有複素環」ともいう。)に、基Ar1 〜基Ar5 およびカルバゾール基を含む複合基(以下、「カルバゾール複合基」ともいう。)が2つ結合されているが、この2つのカルバゾール複合基は、それぞれ硫黄原子含有複素環における位置番号3および6の炭素原子に結合されていることが好ましい。
本発明の有機EL素子用化合物の好ましい具体例としては、下記式(I−1)〜式(I−6)で表される化合物が挙げられる。
これらの化合物のうちでは、特に式(I−1)で表される化合物が好ましい。
本発明の有機EL素子用化合物は、真空蒸着法などの乾式法によって容易に膜を形成することができるとともに、溶剤に対する優れた溶解性が得られ、薄膜を形成するための塗布液を容易に調製することができるため、当該塗布液によって簡易に薄膜を形成することができる。従って、当該有機EL素子用化合物は、高い薄膜形成能を有するものであることからも有機EL素子用材料として有用なものである。
具体的には、本発明の有機EL素子用化合物は、その電子状態に起因して良好な電子輸送性および正孔輸送性を共に有するものであることから、例えば有機EL素子の正孔注入輸送層および電子注入輸送層を構成する材料として好適に用いることができるとともに、ホスト化合物として、後述の燐光発光性化合物と組み合わせることにより、燐光発光性有機EL素子の発光層を構成する材料としても好適に用いることができる。さらに、この有機EL素子用化合物は、それ自体が良好な発光特性を有することから、単独で有機EL素子の発光層を構成する発光材料としても好適に用いることができる。
このように本発明の有機EL素子用化合物を有機EL素子用材料とする場合には、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに、本発明の有機EL素子用化合物は、(a)HOMOとLUMOの分布形状において、両者の空間的な重なりができるだけ小さいこと、(b)分子中の複数の芳香族環が共平面ではなくねじれた構造を有し、HOMOとLUMOの分離が強化されていること、(c)HOMOからLUMOへの一電子励起が禁制ではなく許容遷移であること、および(d)電子輸送性と正孔輸送性のバランスおよび可視域での透明性を確保するためにHOMOとLUMOはそれぞれ適度なエネルギーレベルにあることを条件とする分子設計指針を満たすものであり、このような上記の分子設計指針に基づいて構築された化合物群は、HOMOとLUMOとが、その分布形状と一電子励起状態においてほぼ分離しており、その結果、HOMOからLUMOへの遷移が分子内を電子が移動する遷移となることを特徴とする、「フロンティア分離型有機EL化合物」である。
すなわち、本発明の有機EL素子用化合物は、フロンティア分離型有機EL化合物の分子設計指針を満足するものであり、電子輸送性に優れた部位と、正孔輸送性に優れた部位を有し、かつそれらが1つの分子中で融合されてなる化合物である。より具体的には、電子輸送性部位としてスルホニル基を有するフルオレン骨格(以下、「SO2F1部」という。)を、また正孔輸送性部位としてN−フェニルカルバゾール骨格(以下、「PCar部」という。)を選択し、SO2F1部に係るLUMOとPCar部に係るHOMOとが空間的に分離するような分子設計を行うことによって得られたものである。
以下において、本発明の有機EL素子用化合物の具体例を示して説明する。
下記式(I−7)に示す化合物は、SO2F1部とPCar部が直接結合した化合物(以下、「DBTSO2−1」という。)であり、LUMOが−2.40eVであってHOMOが−5.95eVである。直接結合ではHOMOとLUMOの分布形状がフェニル基周辺で重なっており、HOMOからLUMOへの一電子遷移は許容遷移であるものの、その振動子強度は低い(遷移波長:410nm、振動子強度:0. 033)。
上記式(I−1)に示す化合物は、SO2F1部とPCar部が1つのベンゼン環を介して結合した化合物(以下、「DBTSO2−2」という。)であり、LUMOが−2.38eVであってHOMOが−5.78eVである。このDBTSO2−2は、HOMOとLUMOの分布形状の重なりがDBTSO2−1に比べて相対的に抑制されており、しかもHOMOからLUMOへの一電子遷移は許容遷移(波長:407nm、振動子強度:0. 145)である。DBTSO2−1に比べてHOMOからLUMOへの遷移の振動子強度が格段に向上しており、これは「フロンティア分離型」である。図1に、B3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算したLUMOおよびHOMOの形状を示す。
上記式(I−3)に示す化合物は、SO2Fl部とPCar部がビフェニル骨格を介して結合した化合物(以下、「DBTSO2−3」という。)であり、LUMOが−2.36eVであってHOMOが−5.69eVである。このDBTSO2−3は、HOMOとLUMOの分布形状の重なりはDBTSO2−2に比べて抑制されており、HOMOからLUMOへの一電子遷移は許容遷移であり、しかもその振動子強度は大きい(波長:405nm、振動子強度:0.187)。従って、この分子もほぼ完全な「フロンティア分離型」ということができる。
下記式(I−8)に示す化合物は、SO2Fl部とPCar部がチオフェン骨格を介して結合した化合物(以下、「DBTSO2−4」という。)であり、LUMOが−2.53eVであってHOMOが−5.89eVである。このDBTSO2−4は、HOMOとLUMOの分布形状の重なりはDBTSO2−2に比べて抑制されており、HOMOからLUMOへの一電子遷移は許容遷移であり、しかもその振動子強度は非常に大きい(波長:419nm、振動子強度:0. 231)。従って、この分子もほぼ完全な「フロンティア分離型」ということができる。
<有機EL素子用組成物>
本発明の有機EL素子用組成物は、上記の有機EL素子用化合物よりなる成分(以下、「有機EL素子用化合物成分」ともいう。)100質量部と、燐光発光性化合物よりなる成分(以下、「発光成分」ともいう。)1〜20質量部と、有機溶剤100〜10,000質量部とを含有してなるものである。
発光成分を構成する燐光発光性化合物としては、有機イリジウム錯体化合物、有機白金錯体化合物、有機パラジウム錯体化合物、有機ルビジウム錯体化合物、有機オスミウム錯体化合物、有機レニウム錯体化合物などを挙げることができ、これらのうち、特に、有機イリジウム錯体化合物が好ましい。
有機イリジウム錯体化合物としては、例えば、イリジウムと、2−フェニルピリジン、3−フェニルピリジン、2−フェニルピリミジン、4−フェニルピリミジン、5−フェニルピリミジン、ビピリジル、1−フェニルピラゾール、2−フェニルキノリン、2−フェニルベンゾチアゾール、2−フェニル−2−オキサゾリン、2,4−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−フェニル−2−(4−ピリジル)−1,3,4−オキサジアゾールや、これらの誘導体などの窒素原子含有芳香族化合物との錯体化合物を挙げることができる。
このような有機イリジウム錯体化合物の具体例としては、例えば下記一般式(1)〜一般式(6)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(1)〜一般式(6)において、R1 は、フッ素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基よりなる置換基を示し、互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。xは0〜4の整数であり、yは0〜3の整数であり、zは0〜2の整数である。
以上において、置換基R1 に係る炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基などを挙げることができる。
また、置換基R1 に係る炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、4−ビフェニル基、1−ナフチル基などを挙げることができる。
本発明の有機EL素子用組成物において、有機イリジウム錯体化合物としては、一般式(1)においてxが0であるイリジウム錯体化合物を用いることが好ましい。
本発明の有機EL素子用組成物における発光成分の含有割合は、有機EL素子用化合物成分100質量部に対して1〜20質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
発光成分の割合が過大であり複数の発光分子が空間的に近接した場合には、発光輝度が却って減少する濃度消光の現象が生じるおそれがある。
有機溶剤は、有機EL素子用化合物成分を構成する本発明の有機EL素子用化合物と、発光成分を構成する燐光発光性化合物とを溶解し、これにより、有機EL素子用化合物成分と発光成分とを含有する溶液を調製するためのものである。
有機溶剤としては、本発明の有機EL素子用化合物および燐光発光性化合物を溶解し得るものであれば特に限定されず、その具体例としては、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類や、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、アニソールなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
これらの中では、均一な厚みを有する薄膜を得やすい点で、適度の蒸発速度を有するもの、具体的には沸点が70〜200℃程度の有機溶剤を用いることが好ましい。
本発明の有機EL素子用組成物における有機溶剤の含有割合は、有機EL素子用化合物成分および発光成分の種類によって異なるが、有機EL素子用化合物成分100質量部に対して100〜10,000質量部である。
本発明の有機EL素子用組成物には、必要に応じて、例えば荷電輸送性化合物や正孔輸送性化合物などの任意の添加物を加えることができる。
電荷輸送性化合物の具体例としては、下記式(A−1)〜式(A−10)で表される電荷輸送性を有する化合物、下記式(B−1)〜式(B−20)で表される電子輸送性を有する化合物、また、正孔輸送性化合物として下記式(C−1)〜式(C−34)で表される正孔輸送性を有する化合物などが挙げられる。
ここに、式(B−16)において、R2 は下記式(イ)〜式(ハ)で表されるいずれかの基を示す。
ここに、式(C−12)において、mは1以上の整数を示す。
本発明の有機EL素子用材料組成物における電荷輸送性化合物の含有量は、有機EL素子用化合物成分100質量部に対し、0〜200重量部であることが好ましく、さらに好ましくは0〜100重量部である。
このような有機EL素子用組成物を用いることにより、十分に高い輝度で発光し、良好な耐久性を備えた発光層を有する燐光発光性有機EL素子を得ることができ、しかも、当該発光層を湿式法により簡易に形成することができる。
この有機EL素子用組成物によって発光層を形成する方法としては、当該有機EL素子用組成物を適宜の基体の表面に塗布したのち、有機溶剤を除去することにより、形成することができる。
有機EL素子用組成物溶液を塗布する方法としては、例えば、回転塗布(スピンコート)法、浸漬法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法などの適宜の方法を採用することができる。
形成される発光層の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、10〜200nm、好ましくは30〜100nmの範囲で選択される。
<有機EL素子>
図2は、本発明の有機EL素子の構成の一例を示す説明用断面図である。
この例の有機EL素子は、透明基板1上に、正孔を供給する電極である陽極2が例えば透明導電膜により設けられ、この陽極2上に正孔注入輸送層3が設けられ、この正孔注入輸送層3上に発光層4が設けられ、この発光層4上に正孔阻止(ホールブロック)層8が設けられ、この正孔阻止層8上に電子注入輸送層5が設けられ、この電子注入輸送層5上に電子を供給する電極である陰極6が設けられている。そして、陽極2および陰極6は、直流電源7に電気的に接続される。
この有機EL素子において、透明基板1としては、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、クラウンガラス基板、ホウケイ酸クラウンガラス基板、透明性高分子基板などを用いることができる。
陽極2を構成する材料としては、好ましくは、例えば4eV以上の大きな仕事関数の透明性材料が用いられる。ここで、仕事関数とは、固体から真空中に電子を取り出すのに要する最小限のエネルギーの大きさをいう。陽極2としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜、酸化スズ(SnO2 )膜、酸化銅(CuO)膜、酸化亜鉛(ZnO)膜、酸化スズカドミウム(CTO)膜などを用いることができる。
また、陽極2の厚みは、材料の種類によって異なるが、通常、10〜1,000nmの範囲で選択され、好ましくは50〜200nmである。
正孔注入輸送層3は、正孔を効率よく発光層4に供給するために設けられたものであって、陽極2から正孔(ホール)を受け取って、発光層4に輸送する機能を有するものである。この正孔注入輸送層3を構成する材料としては、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸塩などの電荷輸送材料を好適に用いることができ、また本発明の有機EL素子用化合物を用いることもできる。
また、正孔注入輸送層3の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、10〜200nmの範囲で選択される。
発光層4は、電子と正孔とを効率的に結合させ、その結合エネルギーを光として放射する機能を有するものであり、この発光層4は、本発明の有機EL素子用化合物あるいは本発明の有機EL素子用組成物によって形成される。ここに、発光層4が本発明の有機EL素子用組成物を用いて形成されたもの、および本発明の有機EL素子用化合物と燐光発光性化合物とからなるものは、特に燐光発光性有機EL素子とされる。
また、発光層4の厚みは、特に限定されるものではないが、通常、5〜200nmの範囲で選択される。
正孔阻止層8は、正孔注入輸送層3を介して発光層4に供給された正孔が電子注入輸送層5に侵入することを抑制し、発光層4における正孔と電子との再結合を促進させ、発光効率を向上させる機能を有するものである。
この正孔阻止層8を構成する材料としては、例えば下記式(a)で表される2, 9−ジメチル−4, 7−ジフェニル−1, 10−フェナントロリン(バソクプロイン:BND)、下記式(b)で表される1, 3, 5−トリ(フェニル−2−ベンゾイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)などを好適に用いることができる。
また、正孔阻止層8の厚みは、通常、10〜100nmの範囲で選択される。
電子注入輸送層5は、陰極6から受け取った電子を正孔阻止層8を介して発光層4まで輸送する機能を有するものである。この電子注入輸送層5を構成する材料としては、バソフェナントロリン系材料とセシウムとの共蒸着系(BPCs)を用いることが好ましく、その他の材料としては、アルカリ金属およびその化合物(例えばフッ化リチウム、酸化リチウム)、アルカリ土類金属およびその化合物(例えばフッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム)などを用いることができ、また本発明の有機EL素子用化合物を用いることもできる。この電子注入輸送層5の厚みは、通常、0.1〜100nmの範囲で選択される。
陰極6を構成する材料としては、仕事関数が4eV以下の物質が用いられる。陰極6の具体例としては、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、インジウムなどよりなる金属薄膜、またはこれらの金属の合金薄膜などを用いることができる。
陰極6の厚みは、材料の種類によって異なるが、通常、10〜1,000nmの範囲で選択され、好ましくは50〜200nmである。
本発明において、上記の有機EL素子は、例えば以下のようにして製造される。
先ず、透明基板1上に、陽極2を形成する。
陽極2を形成する方法としては、真空蒸着法またはスパッタ法などを利用することができる。また、ガラス基板などの透明基板の表面に例えばITO膜などの透明導電膜が形成されてなる市販の材料を用いることもできる。
このようにして形成された陽極2上に、正孔注入輸送層3を形成する。
正孔注入輸送層3を形成する方法としては、具体的に、電荷輸送材料を適宜の溶剤に溶解することによって正孔注入輸送層形成液を調製し、この正孔注入輸送層形成液を、陽極2の表面に塗布し、得られた塗布膜に対して溶剤の除去処理を行うことによって正孔注入輸送層3を形成する手法を用いることができる。
次いで、形成された正孔注入輸送層3上に、発光層4を形成する。
発光層4を形成する方法としては、例えば本発明の有機EL素子用組成物を発光層形成液として用い、この発光層形成液を正孔注入輸送層3上に塗布し、得られた塗布膜に対して溶剤の乾燥・除去処理を行うことによって発光層4を形成する手法を用いることができる。
また、本発明の有機EL素子用化合物によって発光層を形成する方法としては、真空蒸着法などの乾式法を利用することができるとともに、当該有機EL素子用化合物を有機溶剤に溶解させた溶液を正孔注入輸送層3上に塗布し、得られた塗布膜を熱処理することにより、発光層4を形成する手法を利用することもできる。さらに、本発明の有機EL素子用化合物と燐光発光性化合物とを共蒸着することによっても発光層4を形成することができ、この手法によって発光層4を形成することにより、燐光発光性有機EL素子を得ることができる。
そして、このようにして形成された発光層4上に、正孔阻止層8を形成するとともに、この正孔阻止層8の上に電子注入輸送層5を形成し、更に、この電子注入輸送層5の上に、陰極6を形成することにより、図2に示す構成を有する有機EL素子が得られる。
以上において、正孔阻止層8、電子注入輸送層5および陰極6を形成する方法としては、真空蒸着法などの乾式法を利用することができる。
上記の有機EL素子においては、直流電源7により、陽極2と陰極6との間に直流電圧が印加されると、発光層4が発光し、この光は、正孔注入輸送層3、陽極2および透明基板1を介して外部に放射される。
このような構成の有機EL素子によれば、発光層4が上記の有機EL素子用化合物または有機EL素子用組成物によって形成されているため優れた耐久性が得られ、かつ高い発光輝度とともに高い発光効率も得られ、特に、発光層4が当該有機EL素子用組成物、または当該有機EL素子用化合物と燐光発光性化合物とによって形成されてなる場合には、さらに優れた発光輝および発光効率が得られる。
また、正孔阻止層8が配設されていることにより、陽極2からの正孔と陰極6からの電子との結合が高い効率をもって実現され、その結果、一層高い発光輝度が得られるとともに高い発光効率が得られる。
このような構成の有機EL素子においては、正孔阻止層8が形成されていることが好ましいが、当該正孔阻止層8が配設されていないものであってもよい。
また、このような構成の有機EL素子においては、必要に応じて正孔注入輸送層3と発光層4との間に電子阻止(電子ブロック)層が形成されていてもよい。
この電子阻止層は、電子が正孔注入輸送層3に侵入することを抑制し、発光層4における電子と正孔との結合を促進させ、発光効率を向上させる機能を有するものである。
電子阻止層を構成する材料としては、例えば前述の式(C−1)〜式(C−34)で表される含芳香族アミン化合物やポリビニルカルバゾール、下記一般式(7)で表される高分子化合物など、電子輸送性に比して正孔輸送性に優れる材料を用いることができ、また、これらの材料にシランカップリング剤などの架橋剤を添加することによって溶剤不溶の電子阻止(電子ブロック)層を得ることもできる。
〔式中、R3 は炭素数1〜20のアルキル基を示す。pは繰り返し数である。〕
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(有機EL素子用化合物の合成例)
下記反応式(1)に示す合成過程を経ることにより有機EL素子用化合物である化合物(C)(上記式(I−6)で示される化合物)を合成した。
<化合物(A)の合成>
還流管、窒素導入管、温度計を備えた100mLの三口フラスコに4,4’−ジヨード−2,2’−ビス(トリメチル)ビフェニル26.04g(60mmol)、カルバゾール6.69g(40mmol)、銅2.54g(40mmol)、炭酸カリウム11.06g(80mmol)、18−クラウン−6−エーテル0.47g(1.8mmol)、o−ジクロロベンゼン60mLを加え、24時間還流させた。反応終了後、ジクロロメタン、水を加えて抽出洗浄を行った後、ヘキサン:ジクロロメタン=10:1の展開溶媒を用いてシリカカラム精製を行い化合物(A)8.0gを得た。
<化合物(B)の合成>
窒素導入管、温度計を備えた100mLの三口フラスコに化合物(A)4.74g(10mmol)、ビスピナコラートジボロン2.79g、(1,1’−ビス(ジフェニルフォスフォスフィノ)−フェロセン)パラジウム(II)ジクロライドジクロロメタン錯体0.25g(0.30mmol)、ジメチルスルホキシド60mLを加え80℃で12時間反応させた。反応終了後、ジクロロメタンと水を加え抽出洗浄を行った後、ヘキサン:酢酸エチル=3:1の展開溶媒を用いてシリカカラム精製を行い化合物(B)3.8gを得た。
<化合物(C)の合成>
還流管、窒素導入管、温度計を備えた500mLの三口フラスコに化合物(B)4.54g(9.6mmol)、2,8−ジブロモ−ジベンゾチオフェン−S,S−ジオキシド1.49g(4.0mmol)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム0.28g(0.23mmol)、2M炭酸カリウム水溶液40mL、テトラヒドロフラン200mLを加え、48時間還流させた。反応終了後、ろ過を行い析出物を回収し、N,N−ジメチルホルムアミドにて再結晶を行い化合物(C)を2.79g得た。
得られた化合物(C)のNMR測定の結果を以下に示す。
1H NMR(CDCl3 、ppm):8.18−8.21(d、4H)、7.96−7.99(d、2H)、7.86(s、2H)、7.73(s、2H)、7.59−7.68(m、8H)、7.39−7.48(m、8H)7.27−7.33(m、4H)、7.12−7.15(d、4H)、2.44(s、6H)、2.08(s、6H).
13C NMR(CDCl3 ,ppm):147.8,141.1,140.8、140.6、139.2、137.8、136.6、135.8,135.5、131.8,131.4、130.1,130.0、129.7,129.6、126.0, 125.9, 125.0、123.0, 122.4, 122.1, 120.4, 119.6, 109.8,20.6,17.9.
〔実施例2〕
(有機EL素子用組成物の調製例1)
化合物(C)0.1gと、下記式(c)で表される、一般式(1)においてxが0である有機イリジウム錯体化合物0.0043gとをクロロベンゼン3.6gに溶解させることにより有機EL素子用組成物(A−1)を得た。
(有機EL素子の作製例1)
透明基板上にITO膜が形成されてなる透明電導性基板を用意し、この透明電導性基板を、中性洗剤、超純水、イソプロピルアルコール、超純水、アセトンをこの順に用いて超音波洗浄した後、さらに紫外線−オゾン(UV/O3 )洗浄した。
次いで、この透明電導性基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸塩水溶液を回転塗布法により塗布し、得られた厚さ65nmの塗膜を窒素雰囲気下250℃で30分間乾燥することにより、正孔注入輸送層を形成した。
この正孔注入輸送層の上に、発光層形成液として、有機EL素子用組成物(A−1)を回転塗布法により塗布し、得られた厚さ40nmの塗膜を窒素雰囲気下150℃で10分間乾燥することにより、発光層を形成した。
次いで、ITO膜上に正孔注入輸送層および発光層がこの順に積層された積層体を真空装置内に固定し、真空装置内を1×10-2Pa以下に減圧し、TPBIを30nmの厚さに蒸着して正孔阻止層を形成し、その後、フッ化リチウムを0.5nmの厚さに蒸着して電子注入輸送層を形成し、さらに厚さ30nmのカルシウム金属層および厚さ100nmのアルミニウム金属層をこの順で蒸着して、陰極を形成した。その後、クラウンガラスにより封止することにより、有機EL素子(1)を作製した。
(有機EL素子の特性評価)
得られた有機EL素子(1)について、当該有機EL素子(1)の耐久性を、100Cdの輝度で点灯させたときの電流を継続的に供給して輝度が50Cdとなるまでの時間(以下、「半減期間」という。)を測定し、後述する比較用有機EL素子(1)の半減期間と比較することにより評価したところ、当該比較用有機EL素子(1)の半減期間を基準として100としたときの相対値が1500であった。
また、最高発光輝度および発光効率を測定したところ、最高発光輝度は2700cd/m2 であり、発光効率は1.0Cd/Aであった。
以上の結果から、本発明に係る有機EL素子(1)は、優れた発光特性が得られるとともに、優れた耐久性を有し、長い使用寿命が得られるものであることが確認された。
(比較用有機EL素子の作製)
有機EL素子の作製例1において、発光層の材料である化合物(C)に代えて後述する比較用重合体(1)を用いたこと以外は有機EL素子(1)と同様の手法により、比較用有機EL素子(1)を作製した。
(比較用重合体(ポリビニルカルバゾール)の合成例)
窒素導入管および温度計付の容積100mlの三口フラスコに、N−ビニルカルバゾール15gと、アゾビスイソブチロニトリル0.0125gと、蒸留したジメチルホルムアミド30gとを仕込み、窒素を吹き込むことによって15分間バブリングを行った後、この系の温度を80℃に上昇させて4時間かけて重合処理を行った。重合処理後、得られた反応生成物をメタノール400ml中に注ぎ、沈殿をろ別してメタノールで洗浄し、その後、乾燥処理することにより、白色粉末としてポリビニルカルバゾール(以下、「比較用重合体(1)」ともいう。)を得た。得られた比較用重合体(1)の重量平均分子量は、30000であった。
B3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算した、式(I−1)で表される本発明の有機EL素子用化合物のLUMOおよびHOMOの形状を示す説明図である。 本発明の有機EL素子の構成の一例を示す説明用断面図である。 B3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算した、BND(2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール)のLUMOおよびHOMOの形状を示す説明図である。 B3LYP型汎関数を用いた密度汎関数法により計算した、α−NPD([N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン])のLUMOおよびHOMOの形状を示す説明図である。
符号の説明
1 透明基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 電子注入輸送層
6 陰極
7 直流電源
8 正孔阻止層

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物よりなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物。
    〔Ar1 〜Ar5 は、それぞれ独立にその構造中に芳香環、縮合環および複素環のいずれかを含有する2価の有機基を示す。n1 〜n5 は、それぞれ独立に0または1である。〕
  2. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物よりなる成分100質量部と、燐光発光性化合物よりなる成分1〜20質量部と、有機溶剤100〜10,000質量部とを含有してなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物。
  3. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物により形成された正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のいずれかを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用化合物と燐光発光性化合物とよりなる発光層を有することを特徴とする燐光発光性有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 発光層が請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子用組成物を用いることによって形成されてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の燐光発光性有機エレクトロルミネッセンス素子。
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