JP2006142451A - マイクロアクチュエータ、これを用いた光学装置及び光スイッチ、並びに、マイクロスイッチ - Google Patents

マイクロアクチュエータ、これを用いた光学装置及び光スイッチ、並びに、マイクロスイッチ Download PDF

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Abstract

【課題】 可動部を、接触している固定部から離れ易くし、作動不良になり難くする。
【解決手段】 マイクロアクチュエータは、固定部と、これに対して移動し得るように設けられ薄膜で構成された梁部13とを備える。固定部は、基板11と、基板11から立ち上がる立ち上がり部15b及び平面部15aを持つように形成された薄膜部材15を含む。固定電極16が平面部15aに設けられる。梁部13は、固定電極16と対向するように可動電極14を有する。電極14,16間の静電力により、梁部13が平面部15と接触する。平面部15aの高さHが3μm以上に設定される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マイクロアクチュエータ、これを用いた光学装置及び光スイッチ、並びに、マイクロスイッチに関するものである。前記光学装置及び光スイッチは、例えば、光通信装置や光伝送装置等で用いることができるものである。また、前記マイクロスイッチは、例えば、高周波信号をオンオフするRFスイッチ(RFMEMSなどと呼ばれる場合もある。)として用いることができるものである。
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野においてマイクロアクチュエータの重要性が高まっている。マイクロアクチュエータが用いられている分野の一例として、例えば、光通信などに利用され光路を切り替える光スイッチを挙げることができる。このような光スイッチの一例として、下記の特許文献1〜3に開示された光スイッチを挙げることができる。
マイクロアクチュエータは、固定部と、被駆動体(光スイッチの場合は、ミラー)が搭載され被駆動体を固定部に対して移動させる可動部とを備えている。可動部は薄膜で構成されている。可動部が片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータ(例えば、特許文献1の図8や、特許文献2の図26、図36〜図40)や、可動部が両持ち構造を持つタイプのマイクロアクチュエータ(例えば、特許文献2の図2〜図4や、特許文献3の図10、図11)が知られている。これらのマイクロアクチュエータでは、可動部は、弾性部(例えば、片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータでは梁部を構成する板ばね部、両持ち構造を持つタイプのマイクロアクチュエータではフレクチュア部)を有している。
特許文献1〜3に開示された各光スイッチでは、それぞれミラーの支持構造は異なるものの、いずれの光スイッチにおいても、可動部におけるミラー支持基板板となる部分にその面と垂直にミラーが搭載されている。そして、これらの光スイッチでは、ミラーがマイクロアクチュエータにより駆動されて上下方向に移動し、ミラーが入射光路に進出した時に光がそのミラーで反射される一方、ミラーが入射光路から退出した時に光が直進することにより、出射光路が切り替えられる。また、これらの光スイッチでは、可動部の弾性部の弾性力に抗してミラーを下側(固定部側)に保持する(すなわち、ミラーが入射光路から退出した状態で保持する)ために静電力を用い、この静電力を発生させるための固定電極及び可動電極が固定部及び可動部にそれぞれ設けられている。この静電力が与えられなくなると、可動部の弾性部の弾性力によって、ミラーは上方に移動して保持されて入射光路に進出する。
特許文献1〜3に開示された各光スイッチで用いられているマイクロアクチュエータでは、可動部が片持ち構造及び両持ち構造のいずれを持つタイプであっても、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの固定電極の付近の領域と、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の領域とは、実質的に同一の高さを有している。
また、下記の非特許文献1には、前述したマイクロアクチュエータと同様の可動部が片持ち梁構造を持つタイプのマイクロアクチュエータを用いたRFスイッチ(RFMEMS)が開示されている。このRFスイッチでは、固定部に固定電極及び固定接点部が設けられる一方、可動部に可動電極及び可動接点部が設けられ、可動部の移動により固定接点部と可動接点部とが接離する。このRFスイッチでは、固定電極と可動電極との間に静電力を発生させることで、可動部の弾性部の弾性力に抗して可動部が固定部側に保持されて、固定接点部と可動接点部とが接触して電気的に接続した状態に保持される。この静電力が与えられなくなると、可動部の弾性部の弾性力によって、可動部が上方に移動して保持されて、可動接点部が固定接点部から離れて両者間の電気的な接続が遮断される。
このRFスイッチでは、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの固定電極の付近の領域と、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの固定接点部の付近の領域と、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の領域とは、それぞれ実質的に同一の高さを有している。
特開2001−142008号公報 国際公開第03/060592号パンフレット 特開2001−42233号公報 「テレコム分野でのMEMS技術の利用」,CYBERNET NEWS,サイバネットシステム株式会社、Fall 2000,no.95,p.17−19
しかしながら、前述した特許文献1〜3に開示されているマイクロアクチュエータでは、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの固定電極の付近の領域と、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の領域とが、実質的に同一の高さを有しているので、固定電極の可動電極との間の静電力により可動部が固定部側に保持されたときに、可動部が固定部における可動部との対向領域のうちの固定電極の付近の領域に接触するのみならず、可動部が固定部における可動部との対向領域のうちの他の領域にも接触してしまう。したがって、可動部と固定部との間の接触面積が大きくならざるを得ない。このため、可動部が固定部に貼り付いて離れなくなってしまうような事態が生じ易く、作動不良になり易かった。
同様に、前述した非特許文献1に開示されているRFスイッチでは、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの固定電極の付近の領域と、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの固定接点部の付近の領域と、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の領域とが、それぞれ実質的に同一の高さを有しているので、固定接点部と可動接点部とが接触して電気的に接続した状態に保持されたときに、可動部が、固定部における可動部との対向領域のうちの固定接点部の付近の領域に接触するのみならず、固定部における可動部との対向領域のうちの他の領域にも接触してしまう。したがって、可動部と固定部との間の接触面積が大きくならざるを得ない。このため、可動部が固定部に貼り付いて離れなくなってしまうような事態が生じ易く、作動不良になり易かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、可動部が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難いマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチを提供することを目的とする。
また、本発明は、可動部が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難いマイクロスイッチを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によるマイクロアクチュエータは、固定部と、前記固定部に対して移動し得るように設けられ薄膜で構成された可動部とを備え、前記固定部は第1の電極部を有し、前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの前記第1の電極部の付近の領域である第1の領域が、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の少なくとも大部分の領域である第2の領域に比べて、前記可動部側に3μm以上突出したものである。
この第1の態様では、前記突出量は、3μm以上であればよいが、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、15μm以上であることがより一層好ましい。
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1の態様において、前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、前記薄膜部材の前記平面部の領域が前記第1の領域を形成し、前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に空隙が形成されたものである。
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1の態様において、前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、前記薄膜部材の前記平面部の領域が、前記第1の領域を形成し、前記基板とは異なる材料が、前記薄膜部材により覆われるように、前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に存在するものである。
本発明の第4の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1の態様において、前記固定部は基板を含み、前記基板に凹凸が形成され、前記基板の凸部に対応する前記固定部の領域が、前記第1の領域を形成し、前記基板の凹部に対応する前記固定部の領域が、前記第2の領域を形成するものである。
本発明の第5の態様による光学装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられた光学素子と、を備えたものである。
本発明の第6の態様による光スイッチは、前記第1乃至第4のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたものである。
本発明の第7の態様によるマイクロスイッチは、固定部と、前記固定部に対して移動し得るように設けられ薄膜で構成された可動部とを備え、前記固定部及び前記可動部は、それぞれ前記可動部の移動に応じて接離する接点部を有し、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの前記固定部の前記接点部の付近の領域である第1の領域が、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の少なくとも大部分の領域である第2の領域に比べて、前記可動部側に3μm以上突出したものである。
この第7の態様では、前記突出量は、3μm以上であればよいが、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましく、15μm以上であることがより一層好ましい。
本発明の第8の態様によるマイクロスイッチは、前記第7の態様において、前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、前記薄膜部材の前記平面部の領域が前記第1の領域を形成し、前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に空隙が形成されたものである。
本発明の第9の態様によるマイクロスイッチは、前記第7の態様において、前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、前記薄膜部材の前記平面部の領域が、前記第1の領域を形成し、前記基板とは異なる材料が、前記薄膜部材により覆われるように、前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に存在するものである。
本発明の第10の態様によるマイクロスイッチは、前記第7の態様において、前記固定部は基板を含み、前記基板に凹凸が形成され、前記基板の凸部に対応する前記固定部の領域が、前記第1の領域を形成し、前記基板の凹部に対応する前記固定部の領域が、前記第2の領域を形成するものである。
前記第7乃至第10の態様によるマイクロスイッチは、例えばRFスイッチとして用いることができるが、他の用途に用いてもよい。
前記第1乃至第10の態様において、前記可動部は、例えば、片持ち梁構造を有していてもよいし、両持ち梁構造を有していてもよい。
本発明によれば、可動部が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難いマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチを提供することができる。
また、本発明は、可動部が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難いマイクロスイッチを提供することができる。
以下、本発明によるマイクロアクチュエータ、これを用いた光学装置及び光スイッチ、並びに、マイクロスイッチについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、ミラー2が光路Kに進出した状態における本発明の第1の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。図2は、図1中のA−A’線に沿った概略断面図である。図3は、ミラー2が光路Kから退出した状態における本発明の第1の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。図4は、図3中のB−B’線に沿った概略断面図である。説明の便宜上、図1乃至図4に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する。また、X軸方向のうち矢印の向きを+X方向と呼び、その反対の向きを−X方向と呼び、Y軸方向及びZ軸方向についても同様とする。XY平面は基板11の面と平行となっている。これらの点は、後述する各図についても同様である。
本実施の形態による光学装置としての光スイッチは、マイクロアクチュエータ1と、これにより駆動される光学素子としてのミラー2とを備えている。
マイクロアクチュエータ1は、シリコン基板やガラス基板等の基板11と、脚部12と、Z軸方向から見た平面視でX軸方向と平行な2辺及びY軸方向と平行な2辺を有する長方形状の板状の梁部13と、梁部13の一部をなす可動電極14と、薄膜部材15と、薄膜部材15の一部をなす固定電極16とを備えている。
梁部13の固定端(−X方向の端部)は、基板11上のSiN膜(シリコン窒化膜)21、Al膜からなる配線パターン22、SiN膜23、及び脚部12を介して、基板11に機械的に接続されている。梁部13の+X方向の端部は自由端となっている。したがって、本実施の形態では、梁部13は片持ち梁となっており、梁部13が、片持ち梁構造を持つ可動部を構成している。梁部13は、Z軸方向に撓み得る板ばね部となっている。また、本実施の形態では、基板11、SiN膜21,23、配線パターン22及び薄膜部材15が、固定部を構成している。
本実施の形態では、梁部13の自由端側の上部には、被駆動体としてのAu、Ni又はその他の金属からなるミラー2が設けられている。
梁部13は、下側のSiN膜24と中間のAl膜25と上側のSiN膜26とが積層された3層の薄膜で、構成されている。ただし、梁部13は、図2に示すように、部分的に、下側のSiN膜24と上側のSiN膜26とが積層された2層の薄膜で構成されている。Al膜25の自由端側の部分が可動電極14となっており、Al膜25の残りの部分は、可動電極14に対する配線パターンとなっている。この配線パターンを介して、可動電極14を所望の電位にすることができる。
梁部13は、図1に示すように、可動電極14と固定電極16との間に静電力が発生していない状態において、膜24〜26の応力によって、前記固定端側から前記自由端側に向かう方向に沿って全体的に上方(基板11と反対側、+Z側)に湾曲している。
本実施の形態では、脚部12は、梁部13を構成するSiN膜24,26及びAl膜25がそのまま連続して延びることによって構成されている。Al膜25は、脚部12においてSiN膜24に形成された開口を介して配線パターン22に電気的に接続されている。
薄膜部材15は、梁部13における可動電極14の付近の領域と対向し基板11と略平行な平面部15aと、SiN膜21,23を介して基板11から立ち上がる立ち上がり部15bと、を有している。本実施の形態では、薄膜部材15はX軸方向から見てアーチ状をなし、立ち上がり部15bは、平面部15aの+Y側端部及び−Y側端部をそれぞれSiN膜21,23を介して基板11に機械的に接続している。平面部15aとSiN膜23との間には、空隙Gが形成されている。平面部15aは、下側のSiN膜27と中間のAl膜28と上側のSiN膜29とが積層された3層の薄膜で、構成されている。立ち上がり部15bは、図2及び図4に示すように、平面部15aを構成するSiN膜27,29及びAl膜28がそのまま連続して延びることによって、あるいは、平面部15aを構成するSiN膜27,29がそのまま連続して延びることによって、構成されている。Al膜28及びSiN膜29は、SiN膜23上にも延びている。Al膜28における平面部15aを構成している部分が固定電極16となっており、Al膜28の残りの部分は、固定電極16に対する配線パターンとなっている。この配線パターンを介して、固定電極16を所望の電位にすることができる。
図2に示す薄膜部材15の平面部15aの高さHは、3μm以上に設定されている。梁部13における可動電極14付近の領域が、図3に示すように薄膜部材15の平面部15aに接触したときに、梁部13が固定部に接触する領域の面積を比較的大きく低減させるためには、高さHを、5μm以上に設定することが好ましく、10μm以上に設定することが更に好ましく、15μm以上に設定することがより一層好ましい。高さHを十分に高くすれば、梁部13における可動電極14付近の領域が薄膜部材15の平面部15aに接触したときに、梁部13における可動電極14付近の領域以外の領域を固定部に接触しないようにすることができる。
例えば、梁部13の固定端から自由端までの長さを400μmとし、高さHをおおよそ20μmとし、脚部12の高さ(すなわち、梁部13の固定端のZ軸方向位置)を薄膜部材15の平面部15aの上面の高さより数μm高くし、薄膜部材15の平面部15aのX軸方向の幅Wを80μmとする。
可動電極14と固定電極16との間に電圧(駆動信号)を印加すると、両者の間に静電力が作用し、梁部13のバネ力(内部応力)に抗して、梁部13の可動電極14付近が基板11側へ引き寄せられて、それに伴い梁部13が変形する。そして、梁部13の可動電極14付近が薄膜部材15の平面部15aに当接した位置で停止し、それによりミラー2が基板11へ近接した位置へ移動した状態となる。図3及び図4は、この状態を示している。一方、可動電極14と固定電極16との間に電圧を印加しないと、両者の間に静電力が作用しなくなり、梁部13のバネ力によって、図1及び図2に示す状態に戻り、ミラー2は基板11から離れた元の上方位置へ戻る。
そして、本実施の形態による光スイッチでは、図1及び図3に示す入射光を入射させることで、出射光路を切り替える。図1及び図3において、Kは、ミラー2の進出位置に対する入射光の光路の断面を示している。図1に示す状態では、ミラー2が入射光の光路に進出して、入射光を反射させる。なお、入射光の入射角度は、このときに所望の角度でミラー2により反射されるように設定される。一方、図3に示す状態では、ミラー2が入射光の光路から退出し、入射光はミラー2で反射されることなくそのまま通過する。このようにして、入射光が反射される状態とそのまま通過される状態とに切り替えられる。
前述したように、本実施の形態では、静電力のみによって駆動される。もっとも、本発明では、特許文献2の図26、図36〜図40に開示されている光スイッチと同様に、静電力のみならずローレンツ力を併用し得るように構成してもよい。
次に、本実施の形態による光スイッチの製造方法の一例について、図5乃至図7を参照して説明する。図5乃至図7は、この製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図であり、図1に対応している。
まず、シリコン基板11上にSiN膜21を形成した後に、Al膜を成膜し、このAl膜を配線パターン22の形状にパターニングする。次いで、この状態の基板上に、SiN膜23を形成する(図5(a))。
次に、薄膜部材15に応じた領域に、犠牲層としてのレジストパターン31を形成する。このとき、レジストは、スプレー塗布装置により、例えばおよそ20μmの厚さに塗布される。次いで、SiN膜27を成膜した後、レジストパターン31を跨ってブリッジ状をなすようにSiN膜27をパターニングする(図5(b))。そして、この状態の基板上にAl膜28を成膜した後に、このAl膜28を、レジストパターン31の上面からSiN膜23上に延在するようにパターニングすることで、固定電極16及びこれに対する配線パターンを形成する。さらに、SiN膜29を形成してパターニングする(図5(c))。
引き続いて、この状態の基板上の全面に、犠牲層としてのレジスト32を比較的厚く塗布する(図6(a))。このように、SiN膜29を含めて全体を覆うように厚く形成するので、その表面は平坦となる。必要に応じて、CMP装置等を用いて平坦化してもよい。
その後、脚部12に応じた開口部32aをレジスト32に形成した後、SiN膜24を成膜し、このSiN膜24を、梁部13及び脚部12の形状にパターニングする(図6(b))。次いで、開口部32aの底のSiN膜23,24を除去してコンタクトホールを設けた後、Al膜25を成膜し、このAl膜25をパターニングすることで、可動電極14及びこれに対する配線パターンを形成する(図6(c))。
次に、この状態の基板上にSiN膜26を成膜し、このSiN膜26を、梁部13及び脚部12の形状にパターニングする(図7(a))。
その後、この状態の基板の全面に犠牲層となるレジスト33を厚塗りし、レジスト33を露光、現像してミラー2が成長される領域をレジスト33に形成した後、電解メッキによりミラー2となるべきAu、Ni又はその他の金属を成長させる(図7(b))。このミラー製造工程は、特許文献3に開示されているミラー製造工程と同様である。最後に、レジスト31〜33をプラズマアッシング法等により除去する。これにより、本実施の形態による光スイッチが完成する。
本実施の形態では、前述したように、薄膜部材15が設けられ、その平面部15aの高さHが3μm以上に設定されている。これにより、固定部における可動部(本実施の形態では、梁部13)との対向領域のうちの固定電極16の付近の領域(本実施の形態では、薄膜部材15の平面部15aの上面領域)が、前記対向領域のうちの他の領域に比べて、梁部13側に3μm以上突出するように、設定されている。
したがって、本実施の形態によれば、梁部13における可動電極14付近の領域が、図3に示すように薄膜部材15の平面部15aに接触したときに、梁部13における可動電極14付近の領域以外に固定部に接触する領域が、低減するかあるいはなくなる。特に、高さHが十分に高ければ、梁部13における可動電極14付近の領域以外の領域は、固定部に対して全く接触しなくなる。図3及び図4はこの状態を示している。このため、本実施の形態によれば、梁部13が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難くなる。
ここで、本実施の形態による光スイッチと比較される比較例による光スイッチについて、図8乃至図11を参照して説明する。
図8は、ミラー2が光路Kに進出した状態における比較例による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。図9は、図8中のC−C’線に沿った概略断面図である。図10は、ミラー2が光路Kから退出した状態における比較例による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。図11は、図10中のD−D’線に沿った概略断面図である。図8乃至図11は、図1乃至図4にそれぞれ対応している。図8乃至図11において、図1乃至図4中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
この比較例が前記第1の実施の形態と異なる所は、薄膜部材15が取り除かれ、その代わりに、固定電極16がSiN膜21,23間に形成されている点と、この固定電極16の高さに合わせて、脚部12が低く構成されている点のみである。
この比較例では、固定部における梁部13との対向領域のうちの固定電極16の付近の領域は、固定電極16の膜厚分だけ、前記対向領域のうちの他の領域に比べて、梁部13側に突出する。しかしながら、固定電極16は、Al膜の薄膜で構成されていることから、その膜厚はどんなに厚いとしてもサブミクロン程度であるため、固定部における梁部13との対向領域のうちの固定電極16の付近の領域と、前記対向領域のうちの他の領域とは、実質的に同一の高さを有していると言える。
したがって、この比較例によれば、梁部13における可動電極14付近の領域が、図10及び図11に示すようにSiN膜23に接触したときに、梁部13における他の領域とSiN膜23との間に吸着力(例えば、金箔が平面部に対して生ずる吸着力と同様の吸着力)が作用して、梁部13における当該他の領域も、図10及び図11に示すようにSiN膜23に接触して貼り付いてしまう。このため、梁部13と固定部との間の接触面積が大きくなってしまう。このため、可動部が固定部に貼り付いて離れなくなってしまうような事態が生じ易く、作動不良になり易い。
これに対し、本実施の形態では、梁部13における可動電極14付近の領域が、図3に示すように薄膜部材15の平面部15aに接触したときに、梁部13における他の領域とこれに対向する固定部との間の距離が大きいので、両者の間に吸着力が作用しないかあるいはその吸着力が小さくなる。よって、両者の間が接触しないかあるいはその接触面積が小さくなる。このため、本実施の形態によれば、梁部13が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難くなるのである。
[第2の実施形態]
図12は、本発明の第2の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。図13は、図12中のE−E’線に沿った概略断面図である。図12及び図13は、図1及び図2にそれぞれ対応している。図12及び図13において、図1及び図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。前記第1の実施の形態では、薄膜部材15の平面部15aとSiN膜23との間に空隙Gが形成されているのに対し、本実施の形態では、その空隙Gに相当する箇所に、レジスト31がそのまま残っている。
第1の実施形態では、薄膜部材15がアーチ状をなすため、レジスト31は、最終的に除去される。これに対し、本実施の形態においては、薄膜部材15が上下を逆にしたようなカップ状をなし、レジスト31の周囲が立ち上がり部15bにより完全に覆われているため、レジスト31が残留する。
なお、本実施の形態では、SiN膜29は、脚部12の下部等にも延在している。
本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、本実施の形態によれば、薄膜部材15の内側にレジスト31が存在し空隙Gがないので、薄膜部材15がレジスト31によって補強され、梁部13が接触するときの機械的強度が増大するという利点も得られる。
ここでは、空隙Gに相当する箇所に配置する材料をレジスト31としたが、本発明では、これに限らず、例えば、レジスト31の代わりにシリコン酸化膜などの無機物質を用いてもよい。
[第3の実施の形態]
図14は、本発明の第3の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図であり、図1に対応している。図14において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、以下に説明する点のみである。本実施の形態では、基板11に凹凸が形成されている。すなわち、基板11には、梁部13における可動電極14の付近の領域と対向する位置に凸部11aが形成され、脚部12に対応する位置に凸部11bが形成され、凸部11a,11bの周囲に凹部11cが形成されている。本実施の形態では、基板11の凹部11cに相当する箇所をエッチングにより除去することで、相対的に凸部11a,11bが形成されている。凸部11a,11bの上面の高さは互いに同一である。
本実施の形態では、凸部11a,11b及び凹部11cの全体に渡って、SiN膜21が形成されている。固定電極16は、凸部11a上にSiN膜21を介して形成されている。また、配線パターン22は、凸部11b上にSiN膜21を介して形成されている。SiN膜23は、配線パターン22に対するコンタクトホールを除いて、配線パターン22、SiN膜21、固定電極16、固定電極16に対する配線パターン(図示せず)を覆っている。
本実施の形態では、凸部11a上でのSiN膜23の上面と凹部11cでのSiN膜23の上面との高さの差が、図2中の高さHと同様に、3μm以上に設定されている。
以上によって、本実施の形態では、固定部における可動部(本実施の形態では、梁部13)との対向領域のうちの固定電極16の付近の領域(本実施の形態では、薄膜部材15の平面部15aの上面領域)が、前記対向領域のうちの他の大部分の領域(凹部11cに相当する領域)に比べて、梁部13側に3μm以上突出するように、設定されている。なお、前記対向領域のうちの凸部11b上でのSiN膜23の上面の領域Jは、前記対向領域のうちの固定電極16の付近の領域と同じ高さを有しているが、その領域Jは、前記対向領域のうちのごく一部にすぎない。
したがって、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる。また、基板11の凸部11a上に、SiN膜21,23及び固定電極16が形成されているので、梁部13が接触するときの機械的強度が増大するという利点も得られる。
また、本実施の形態では、脚部12が凸部11b上に配置されていることに伴い、凸部11bの高さの分だけ、脚部12が低く構成されている。これにより、梁部13の固定端のZ軸方向の位置と、凸部11aでのSiN膜23の上面のZ軸方向の位置との相対関係が、前記第1の実施の形態における、梁部13の固定端のZ軸方向の位置と、薄膜部材15の平面部15bの上面のZ軸方向の位置との相対関係と同一になっている。本実施の形態によれば、このように脚部12が低く構成されているので、脚部12の機械的強度が増大するという利点も得られる。
もっとも、本発明では、図15に示すように、凸部11bの部分も凹部11cとし、脚部12を前記第1の実施の形態と同様に、高く構成してもよい。図15は、本発明の第3の実施の形態による光スイッチの変形例を示す概略断面図であり、図14に対応している。
ここで、第3の実施の形態による光スイッチの製造方法の一例について、図16及び図17を参照して説明する。図16及び図17は、この製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図であり、図14に対応している。
まず、基板11として(100)の面方位を有するシリコン基板を用い、基板11上にシリコン酸化膜41を形成し、基板11上の凸部11a,11bに対応する領域を残すように、シリコン酸化膜41をパターニングする(図16(a))。
次に、シリコン酸化膜41をマスクとして、基板11に対してシリコンの異方性エッチングを行なう。なお、基板11として、(100)の面方位を有するシリコン基板を用いているので、KOH又はTMAHによるウエットエッチングを行なえば、(111)面が残るように異方性エッチングが行なうことができる。例えば、およそ20μmの深さまで基板11をエッチングする。次いで、シリコン酸化膜41を除去した後、SiN膜21を形成する(図16(b))。
引き続いて、Al膜を形成してこれをパターニングすることで、配線パターン22、固定電極16及びこれに対する配線パターン(図示せず)を形成する。さらに、この状態の基板上に、SiN膜23を形成する(図16(c))。
その後、この状態の基板上の全面に、犠牲層としてのレジスト42を比較的厚く塗布する。このように、全体を覆うように厚く形成するので、その表面は平坦となる。必要に応じて、CMP装置等を用いて平坦化してもよい。次いで、脚部12に応じた開口部42aをレジスト42に形成した後、SiN膜24を成膜し、このSiN膜24を、梁部13及び脚部12の形状にパターニングする(図17(a))。
次に、開口部42aの底のSiN膜23,24を除去してコンタクトホールを設けた後、Al膜25を成膜し、このAl膜25をパターンすることで、可動電極14及びこれに対する配線パターンを形成する。さらに、この状態の基板上にSiN膜26を成膜し、このSiN膜26を、梁部13及び脚部12の形状にパターニングする(図17(b))。
図面には示していないが、その後、前述した図7(b)に示す工程と同様に、この状態の基板の全面に犠牲層となるレジストを厚塗りし、このレジストを露光、現像してミラー2が成長される領域をこのレジストに形成した後、電解メッキによりミラー2となるべきAu、Ni又はその他の金属を成長させる。最後に、レジスト42及びミラー製造工程で形成したレジストをプラズマアッシング法等により除去する。これにより、本実施の形態による光スイッチが完成する。
[第4の実施形態]
図18は、本発明の第4の実施形態によるマイクロスイッチを模式的に示す概略断面図である。図19は、図18中の薄膜部材56を模式的に示す概略斜視図である。図20は、図18中の梁部53を模式的に示す概略斜視図である。
本実施の形態によるマイクロスイッチは、シリコン基板やガラス基板等の基板51と、脚部52a,52bと、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延び薄膜で構成された帯板状の梁部53と、梁部53の一部をなす可動接点54と、梁部53の一部をなす可動電極55a,55bと、薄膜部材56と、薄膜部材56の一部をなす固定接点57a,57bと、基板51上に形成された固定電極58a,58bとを備えている。
梁部53の+X方向の端部は、基板51上のSiN膜59、Al膜からなる配線パターン60a、SiN膜61、及び脚部52aを介して、基板51に機械的に接続されている。また、梁部53の−X方向の端部は、SiN膜59、Al膜からなる配線パターン60b、SiN膜61、及び脚部52bを介して、基板51に機械的に接続されている。したがって、本実施の形態では、梁部53は両持ち梁となっており、梁部53が、両持ち梁構造を持つ可動部を構成している。梁部53は、Z軸方向に撓み得る板ばね部となっている。また、本実施の形態では、基板51、SiN膜59,61、配線パターン60a,60b及び薄膜部材56が、固定部を構成している。
梁部53は、その全体に渡って形成されたSiN膜62と、SiN膜62の中央下側に形成されたAl膜からなる可動接点54と、SiN膜62の+X側領域の上側に形成されたAl膜からなる可動電極55aと、SiN膜62の−X側領域の上側に形成されたAl膜からなる可動電極55bとから構成されている。
本実施の形態では、脚部52aは、梁部53を構成するSiN膜62及び可動電極55aを構成するAl膜がそのまま延びることによって構成されている。このAl膜は、脚部52aにおいてSiN膜61,62に形成された開口を介して配線パターン60aに電気的に接続されている。同様に、脚部52bは、梁部53を構成するSiN膜62及び可動電極55bを構成するAl膜がそのまま延びることによって構成されている。このAl膜は、脚部52bにおいてSiN膜61,62に形成された開口を介して配線パターン60bに電気的に接続されている。
固定電極58aは、Al膜からなり、可動電極55aと対向する領域においてSiN膜59,61間に形成されている。固定電極58aは構成するAl膜はそのまま固定電極58aの配線パターンとしても延びている。同様に、固定電極58bは、Al膜からなり、可動電極55bと対向する領域においてSiN膜59,61間に形成されている。固定電極58bは構成するAl膜はそのまま固定電極58bの配線パターンとしても延びている。
したがって、本実施の形態では、固定電極58a及び可動電極55a間、並びに、固定電極58b及び可動電極55b間に電圧を印加すると、これらの間に生じた静電力によって、梁部53のバネ力に抗して梁部53を図18中の一点鎖線で示すように移動させることができる。このように、本実施の形態では、駆動力として静電力を用いているが、本発明では、これに限定されるものではなく、ローレンツ力による駆動やその他の駆動力により駆動しても構わない。
薄膜部材56は、梁部53における可動接点54の付近の領域と対向し基板11と略平行な平面部56aと、SiN膜59,61を介して基板51から立ち上がる立ち上がり部56bと、を有している。本実施の形態では、薄膜部材15はX軸方向から見てアーチ状をなし、立ち上がり部56bは、平面部56aの+Y側端部及び−Y側端部をそれぞれSiN膜59,61を介して基板51に機械的に接続している。平面部56aとSiN膜61との間には、空隙G’が形成されている。平面部56aは、SiN膜63と、互いにY軸方向に間隔をあけてSiN膜63上に形成されたそれぞれAl膜からなる2つの固定接点57a,57bとから構成されている。立ち上がり部56bは、平面部56aを構成するSiN膜63がそのまま延びることによって構成されている。固定接点57aを構成するAl膜は、一方の立ち上がり部56bのSiN膜63上を経てSiN膜61上に延びて、固定接点57aの配線パターンとなっている。同様に、固定接点57aを構成するAl膜は、他方の立ち上がり部56bのSiN膜63上を経てSiN膜61上に延びて、固定接点57bの配線パターンとなっている。これらの配線パターンを利用することで、固定接点57a,57b間のオンオフ信号を得ることができるようになっている。
固定電極58a及び可動電極55a間、並びに、固定電極58b及び可動電極55b間に電圧を印加すると、これらの間に生じた静電力によって移動し、これにより、可動接点54が2つの固定接点57a,57bに接触しこれらの間をショートさせて電流が流れるようになっている。一方、前記電圧を印加しないと、電極58a,電極55a間及び電極58b,55b間に静電力が作用しなくなり、梁部53のバネ力によって、図18中の実線で示す状態に戻り、可動接点54が固定接点57a,57bから離れて、固定接点57a,57b間が電気的に遮断される。本実施の形態によるマイクロスイッチをRFスイッチとして用いる場合、このようなスイッチング動作により高周波信号をオンオフさせればよい。もっとも、本実施の形態によるマイクロスイッチの用途は、RFスイッチに限定されるものではなく、他の電気信号をオンオフしてもよい。
図18に示す薄膜部材56の平面部56aの高さH’は、3μm以上に設定されている。梁部53における可動接点54付近の領域が、図18中の一点鎖線で示すように薄膜部材56の平面部56aに接触したときに、梁部53が固定部に接触する領域の面積を比較的大きく低減させるためには、高さH’を、5μm以上に設定することが好ましく、10μm以上に設定することが更に好ましく、15μm以上に設定することがより一層好ましい。高さH’を十分に高くすれば、梁部53における可動接点54付近の領域が薄膜部材56の平面部56aに接触したときに、梁部13における可動接点54付近の領域以外の領域を固定部に接触しないようにすることができる。
次に、本実施の形態によるマイクロスイッチの製造方法の一例について、図21及び図22を参照して説明する。図21及び図22は、この製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図であり、図18に対応している。
まず、基板11上にSiN膜59を形成した後に、Al膜を成膜し、このAl膜を配線パターン60a,60b、固定電極58a,58b、固定電極58a,58bの配線パターンの形状にパターニングする。次いで、この状態の基板上に、SiN膜61を形成する(図21(a))。
次に、薄膜部材56に応じた領域に、犠牲層としてのレジストパターン71を形成する。このとき、レジストは、スプレー塗布装置により、例えばおよそ20μmの厚さに塗布される。次いで、SiN膜63を成膜した後、レジストパターン71を跨ってブリッジ状をなすようにSiN膜63をパターニングする。そして、この状態の基板上にAl膜を成膜した後に、このAl膜を、レジストパターン71の上面からSiN膜61上に延在するようにパターニングすることで、固定接点57a,57b及びこれらに対する配線パターンを形成する(図21(b))。
引き続いて、この状態の基板上の全面に、犠牲層としてのレジスト72を比較的厚く塗布する。このように、全体を覆うように厚く形成するので、その表面は平坦となる。必要に応じて、CMP装置等を用いて平坦化してもよい。次いで、この状態の基板上にAl膜を成膜し、このAl膜を可動接点54の形状にパターニングする(図22(a))。
その後、脚部52a,52bに応じた開口部72a,72bをレジスト72に形成した後、SiN膜62を成膜し、このSiN膜62を、梁部53及び脚部52a,52bの形状にパターニングする。次いで、開口部72a,72bの底のSiN膜61,62を除去してコンタクトホールを設けた後、Al膜を成膜し、このAl膜をパターンすることで、可動電極55a,55b及びこれらに対する配線パターンを形成する(図22(b))。
最後に、レジスト71,72を除去する。これにより、本実施形態によるマイクロスイッチが完成する。
本実施の形態では、前述したように、薄膜部材56が設けられ、その平面部56aの高さH’が3μm以上に設定されている。これにより、固定部における可動部(本実施の形態では、梁部53)との対向領域のうちの固定接点57a,57bの付近の領域(本実施の形態では、薄膜部材56の平面部56aの上面領域)が、前記対向領域のうちの他の領域に比べて、梁部53側に3μm以上突出するように、設定されている。
したがって、本実施の形態によれば、梁部13における可動電極14付近の領域が、梁部53における可動接点54付近の領域が、図18中の一点鎖線で示すように薄膜部材56の平面部56aに接触したときに、梁部53における可動接点54付近の領域以外に固定部に接触する領域が、低減するかあるいはなくなる。特に、高さH’が十分に高ければ、梁部53における可動接点54付近の領域以外の領域は、固定部に対して全く接触しなくなる。図18の一点鎖線はこの状態を示している。このため、本実施の形態によれば、梁部53が、接触している固定部から離れ易くなって、作動不良になり難くなる。
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
例えば、前記第1乃至第3の実施の形態や図15に示す変形例において、ミラー2は前述した構造によって梁部13により支持されていたが、ミラー2を梁部13により支持する支持構造は、前述した例に限定されるものではなく、例えば、特許文献2に開示された支持構造を採用してもよい。
また、本発明では、例えば、特許文献2の図22に開示された装置と同様に、前記第1乃至第3の実施の形態や図15に示す変形例による光スイッチを、同一基板上にアレー化した光学装置としてもよい。
また、前記第1乃至第3の実施の形態や図15に示す変形例では、可動部が片持ち構造を有していたが、これに限らず、両持ち構造を持つように変形してもよい。
さらに、前記第4の実施の形態では、可動部が両持ち構造を有していたが、これに限らず、片持ち構造を持つように変形してもよい。
さらにまた、前記第1の実施の形態を変形して第2及び第3の実施の形態及び図15に示す変形例を得たのと同様の変形を、前記第4の実施の形態に適用してもよい。
また、本発明によるマイクロアクチュエータは、光スイッチのみならず他の種々の光学装置やその他の装置に用いることができる。
ミラーが光路に進出した状態における本発明の第1の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。 図1中のA−A’線に沿った概略断面図である。 ミラーが光路から退出した状態における本発明の第1の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。 図3中のB−B’線に沿った概略断面図である。 本発明の第1の実施の形態による光スイッチの製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図である。 図5に引き続く各工程を示す図である。 図6に引き続く各工程を示す図である。 ミラーが光路に進出した状態における比較例による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。 図8中のC−C’線に沿った概略断面図である。 ミラーが光路から退出した状態における比較例による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。 図10中のD−D’線に沿った概略断面図である。 本発明の第2の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。 図12中のE−E’線に沿った概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態による光スイッチを模式的に示す概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態による光スイッチの変形例を示す概略断面図である。 本発明の第3の実施の形態による光スイッチの製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図である。 図16に引き続く各工程を示す図である。 本発明の第4の実施形態によるマイクロスイッチを模式的に示す概略断面図である。 図18中の薄膜部材を模式的に示す概略斜視図である。 図18中の梁部を模式的に示す概略斜視図である。 本発明の第4の実施の形態によるマイクロスイッチの製造方法の各工程をそれぞれ模式的に示す概略断面図である。 図16に引き続く各工程を示す図である。
符号の説明
1 マイクロアクチュエータ
2 ミラー
11,51 基板
12,52a,52b 脚部
13,53 梁部
14 可動電極
15,56 薄膜部材
15a,56a 平面部
15b,56b 立ち上がり部
16 固定電極
54 可動接点
57a,57b 固定接点

Claims (10)

  1. 固定部と、前記固定部に対して移動し得るように設けられ薄膜で構成された可動部とを備え、
    前記固定部は、第1の電極部を有し、
    前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、
    前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの前記第1の電極部の付近の領域である第1の領域が、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の少なくとも大部分の領域である第2の領域に比べて、前記可動部側に3μm以上突出したことを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  2. 前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、
    前記薄膜部材の前記平面部の領域が、前記第1の領域を形成し、
    前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に空隙が形成されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ。
  3. 前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、
    前記薄膜部材の前記平面部の領域が、前記第1の領域を形成し、
    前記基板とは異なる材料が、前記薄膜部材により覆われるように、前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に存在することを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ。
  4. 前記固定部は基板を含み、
    前記基板に凹凸が形成され、
    前記基板の凸部に対応する前記固定部の領域が、前記第1の領域を形成し、
    前記基板の凹部に対応する前記固定部の領域が、前記第2の領域を形成することを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられた光学素子と、を備えたことを特徴とする光学装置。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータと、前記可動部に設けられたミラーと、を備えたことを特徴とする光スイッチ。
  7. 固定部と、前記固定部に対して移動し得るように設けられ薄膜で構成された可動部とを備え、
    前記固定部及び前記可動部は、それぞれ前記可動部の移動に応じて接離する接点部を有し、
    前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの前記固定部の前記接点部の付近の領域である第1の領域が、前記固定部における前記可動部との対向領域のうちの他の少なくとも大部分の領域である第2の領域に比べて、前記可動部側に3μm以上突出したことを特徴とするマイクロスイッチ。
  8. 前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、
    前記薄膜部材の前記平面部の領域が、前記第1の領域を形成し、
    前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に空隙が形成されたことを特徴とする請求項7記載のマイクロスイッチ。
  9. 前記固定部は、基板と、該基板から立ち上がる立ち上がり部及び前記基板と略平行な平面部を持つように1層以上の薄膜で形成された薄膜部材と、を含み、
    前記薄膜部材の前記平面部の領域が、前記第1の領域を形成し、
    前記基板とは異なる材料が、前記薄膜部材により覆われるように、前記薄膜部材の前記平面部と前記基板との間に存在することを特徴とする請求項7記載のマイクロスイッチ。
  10. 前記固定部は基板を含み、
    前記基板に凹凸が形成され、
    前記基板の凸部に対応する前記固定部の領域が、前記第1の領域を形成し、
    前記基板の凹部に対応する前記固定部の領域が、前記第2の領域を形成することを特徴とする請求項7記載のマイクロスイッチ。
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