JP2007017565A - マイクロアクチュエータ、光学装置及び光スイッチ - Google Patents

マイクロアクチュエータ、光学装置及び光スイッチ Download PDF

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    • H02N1/002Electrostatic motors
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Abstract

【課題】 静電力を用いながらも、プルイン状態の発生を防止する。
【解決手段】 可動板21は、フレクチュア部を介して基板11に固定され、基板11に対して上下動し得る。基板11等からなる固定部に、2本の電極16a,16bからなる固定電極部16が設けられる。可動板21に、固定電極部16との間の電圧により固定電極部16との間に静電力を生じ得る可動電極部23が、設けられる。可動電極部23は、上下方向から見て重ならないようにずれて配置された2本の電極23a,23bからなる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、マイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光学装置及び光スイッチに関するものである。
マイクロマシニング技術の進展に伴い、種々の分野においてアクチュエータの重要性が高まっている。マイクロアクチュエータが用いられている分野の一例として、例えば、光通信などに利用され光路を切り替える光スイッチを挙げることができる。このような光スイッチの一例として、例えば、下記特許文献1,2に開示された光スイッチを挙げることができる。
マイクロアクチュエータは、一般的に、固定部と、固定部に対して移動可能とされた可動部とを備え、駆動力を与えることで、可動部を移動させたり所定位置に保持したりできるように構成されている。
駆動力として静電力を用いるマイクロアクチュエータでは、固定部及び可動部にそれぞれ固定電極及び可動電極が設けられる。このマイクロアクチュエータでは、両電極間に電圧を印加すれば、両電極間に静電力が生ずるので、構造が簡単になるなどの利点が得られる。このため、従来のマイクロアクチュエータでは、駆動力として静電力が用いられることが多かった。
下記特許文献1に開示された光スイッチにおいて採用されているマイクロミラーを移動させるマイクロアクチュエータでは、可動部に作用するバネ力に抗して可動部を所定の位置まで移動させてその位置に保持するために、静電力を用いている。また、下記特許文献2に開示された光スイッチにおいて採用されているマイクロアクチュエータでは、駆動力として静電力の他にローレンツ力を用い得るように構成され、例えば、ローレンツ力によって可動部に作用するバネ力に抗して可動部を所定の位置まで移動させ、静電力によって可動部をその位置に保持する。
特許文献1,2に開示されたマイクロアクチュエータを含めて、静電力を用いた従来のマイクロアクチュエータでは、固定電極と可動電極とは、可動部の移動方向から見たときに互いに大部分が重なり合うように配置されていた。
特開2001−42233号公報 国際公開第03/060592号パンフレット
静電力を用いた従来のマイクロアクチュエータでは、固定電極と可動電極とが、可動部の移動方向から見たときにそれらの大部分が互いに重なり合うように配置されていたので、静電力を発生させると、可動部が固定部に当接していわゆる「プルイン状態」となってしまい、静電力を発生させた状態で、可動部が固定部に当接する手前の位置で可動部を安定して保持することができなかった。
静電力を用いた従来のマイクロアクチュエータでは、前記プルイン状態が生ずることに伴って、不都合が生じたり、用途が限られていたりしていた。
例えば、前記プルイン状態により可動部が固定部に押し付けられることから、可動部が固定部に貼り付いて動作不能となったり、動作不能に至らなくても、可動部が固定部から引き剥がれるのに時間がかかって動作遅延が生じてしまう。
また、例えば、前記プルイン状態が生じてしまうので、固定電極と可動電極との間の印加電圧の大きさによって可動部の停止位置を所望の位置に変えるような、可動部のアナログ的な位置制御が不可能であるため、静電力を用いた従来のマイクロアクチュエータは、光スイッチのようなデジタル的な位置制御で足りる用途にしか用いることができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、静電力を用いながらもプルイン状態の発生を防止することができるマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光スイッチ及び光学装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様によるマイクロアクチュエータは、固定部と、前記固定部に対して、前記固定部の所定箇所に当接する第1の位置と前記所定箇所から前記第1の位置より遠ざかった第2の位置との間を移動し得るように設けられた可動部と、を備え、前記固定部は、第1の電極部を有し、前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、前記電圧が一定である場合において生ずる前記静電力に従って前記可動部を前記第1の位置へ向かう方向へ付勢する第1の力が、前記可動部が前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置に位置するときにピークとなるように、前記第1及び第2の電極部が配置されたものである。
本発明の第2の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1の態様において、前記第1及び第2の電極部は、前記可動部の前記第1及び第2の位置間の移動方向から見たときに前記第1及び第2の電極部が互いに実質的に重ならないように、配置されたものである。
本発明の第3の態様によるマイクロアクチュエータは、固定部と、前記固定部に対して、前記固定部の所定箇所に当接する第1の位置と前記所定箇所から前記第1の位置より遠ざかった第2の位置との間を移動し得るように設けられた可動部と、を備え、前記固定部は、第1の電極部を有し、前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、前記第1及び第2の電極部は、前記可動部の前記第1及び第2の位置間の移動方向から見たときに前記第1及び第2の電極部が互いに実質的に重ならないように、配置されたものである。
本発明の第4の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記第1及び第2の電極部はそれぞれ、前記可動部の前記第1及び第2の位置間の移動方向を含む少なくとも1つの同じ平面に対して略面対称な形状を有するものである。
本発明の第5の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記可動部を前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向へ付勢する第2の力が生じ得るように構成されたものである。
本発明の第6の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第5の態様において、前記可動部は、前記第2の力として前記第2の位置に復帰しようとするバネ力を生ずるように設けられたものである。
本発明の第7の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第5又は第6の態様において、前記第1及び第2の力とは別の第3の力を、前記可動部に生じさせる発生手段を備えたものである。
本発明の第8の態様によるマイクロアクチュエータは、前記第7の態様において、前記発生手段は、前記可動部に設けられ磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずる電流路を含むものである。
本発明の第9の態様による光学装置は、前記第1乃至第8のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータと、前記可動部に搭載された被駆動体とを備え、前記被駆動体が光学素子であるものである。
本発明の第10の態様による光スイッチは、前記第1乃至第8のいずれかの態様によるマイクロアクチュエータと、前記可動部に搭載された被駆動体とを備え、前記被駆動体がミラーであるものである。
前記第1乃至第10の態様において、前記可動部は薄膜で構成されてもよい。
本発明によれば、静電力を用いながらもプルイン状態の発生を防止することができるマイクロアクチュエータ、並びに、これを用いた光スイッチ及び光学装置を提供することができる。
以下、本発明によるマイクロアクチュエータ、光学装置及び光スイッチについて、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による光学装置としての光スイッチ装置である光スイッチアレー1を備えた光学システム(本実施の形態では、光スイッチシステム)の一例を模式的に示す概略構成図である。説明の便宜上、図1に示すように、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を定義する(後述する図についても同様である。)。光スイッチアレー1の基板11の面がXY平面と平行となっている。また、Z軸方向のうち矢印の向きを+Z方向又は+Z側、その反対の向きを−Z方向又は−Z側と呼び、X軸方向及びY軸方向についても同様とする。なお、Z軸方向の+側を上側、Z軸方向の−側を下側という場合がある。
この光スイッチシステムは、図1に示すように、光スイッチアレー1と、m本の光入力用光ファイバ2と、m本の光出力用光ファイバ3と、n本の光出力用光ファイバ4と、光路切替状態指令信号に応答して、当該光路切替状態指令信号が示す光路切換状態を実現するための制御信号を光スイッチアレー1に供給する制御部としての外部制御回路6と、を備えている。図1に示す例では、m=3、n=3となっているが、m及びnはそれぞれ任意の数でよい。
光スイッチアレー1は、図1に示すように、基板11と、基板11上に配置されたm×n個のミラー12とを備えている。m本の光入力用光ファイバ2は、基板11に対するY軸方向の一方の側からY軸方向に入射光を導くように、XY平面と平行な面内に配置されている。m本の光出力用光ファイバ3は、m本の光入力用光ファイバ2とそれぞれ対向するように基板11に対する他方の側に配置され、光スイッチアレー1のいずれのミラー12によっても反射されずにY軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。n本の光出力用光ファイバ4は、光スイッチアレー1のいずれかのミラー12により反射されてX軸方向に進行する光が入射するように、XY平面と平行な面内に配置されている。m×n個のミラー12は、m本の光入力用光ファイバ2の出射光路と光出力用光ファイバ4の入射光路との交差点に対してそれぞれ、後述するマイクロアクチュエータにより進出及び退出可能にZ軸方向に移動し得るように、2次元マトリクス状に基板11上に配置されている。なお、本例では、ミラー12の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてX軸と45゜をなすように設定されている。この光スイッチシステムの光路切替原理自体は、従来の2次元光スイッチの光路切替原理と同様である。
次に、図1中の光スイッチアレー1の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、図2乃至図5を参照して説明する。図2は、この1つの光スイッチを示す概略平面図である。図3は、図2中のY3−Y4線に沿った概略断面図である。図4は、図2中のX1−X2線に沿った概略断面図である。図5は、図3に対応する概略断面図であり、ミラー12が下側に保持された状態を示している。なお、図3及び図4は、ミラー12が上側に保持された状態を示している。
この光スイッチは、前述したミラー12及び前記基板11の他に、基板11に対して移動し得るように設けられた可動部としての可動板21を備えている。基板11には、可動板21が進入する領域となる凹部13が形成されている。本実施の形態では、基板11としてシリコン基板等の半導体基板が用いられている。基板11上には、シリコン酸化膜等の絶縁膜14,15が積層され、絶縁膜14,15間に、固定電極部(第1の電極部)16を構成する2本の電極16a,16b及びこれらに対する配線パターン17a,17bが形成されている。配線パターン17a,17bを介して、電極16a,16bに同一電位が印加されるようになっている。電極16a,16b及び配線パターン17a,17bは、例えば、Al膜などの金属膜で構成することができる。本実施の形態では、基板11、絶縁膜14,15、固定電極部16及び配線パターン17a,17bが、固定部を構成している。
可動板21は、薄膜で構成され、下側絶縁膜22と、下側絶縁膜22上に形成され可動電極部(第2の電極部)23を構成する2本の電極23a,23bと、下側絶縁膜22上に形成され電極23a,23bに対する配線パターン24a,24bの一部と、これらの上側を覆う上側絶縁膜25と、を有している。可動電極部23は、固定電極部16との間の電圧により固定電極部16との間に静電力を生じ得るものである。例えば、絶縁膜22,25はシリコン酸化膜等で構成することができ、電極23a,23b及び配線パターン24a,24bは、Al膜などの金属膜で構成することができる。
なお、電極23a,23b及び配線パターン24a,24bは、上側絶縁膜25で覆われているため、図2では本来隠れ線で示すべきであるが、図面表記の便宜上、上側絶縁膜25で隠れた部分も実線で示している。なお、固定部の電極16a,16b及び配線パターン17a,17bは、隠れ線で示している。
本実施の形態では、可動板21のX軸方向の両端部が、バネ性を有するバネ部としてのフレクチュア部27a,27bと、アンカー部28a,28bとを、それぞれこの順に介して、基板11における凹部13の周辺部に機械的に接続されている。フレクチュア部27a,27b及びアンカー部28a,28bは、可動板21からそのまま連続して延びた、下側絶縁膜22、前記配線パターン24a,24bの残りの部分、及び上側絶縁膜25で構成されている。図面には示していないが、配線パターン24a,24bは、アンカー部28a,28bにおいて、絶縁膜22,15に形成した穴(図示せず)を介して絶縁膜14,15間に形成された配線パターン(図示せず)にそれぞれ電気的に接続され、これを介して、電気的に共通に接続されるとともに所望の電位を印加し得るようになっている。
フレクチュア部27a,27bは、図2に示すように、平面視でロの字状の形状を有している。これにより、可動板21は、上下に(Z軸方向に)移動し得るようになっている。すなわち、本実施の形態では、可動板21は、フレクチュア部27a,27bのバネ力(復帰力)により復帰しようとする上側位置(第2の位置)(図3及び図4参照)と、可動板21が基板11の凹部13に進入してその底部(厳密に言えば、基板11の凹部13上の絶縁膜15)に当接する下限位置(第1の位置)(図示せず)との間を、移動し得るようになっている。ただし、本実施の形態では、後述するように、可動板21は、凹部13の底部に当接することはなく、可動板21が下側に保持される際には、前記上側位置と前記下限位置との間の図5に示す下側位置に保持される。
可動板21及びフレクチュア部27a,27bは、図2に示すように、X1−X2線を通りXZ平面と平行な平面、及び、Y1−Y2線を通りYZ平面と平行な平面に対して、それぞれ面対称な形状及び構造を有している。
固定電極部16及び可動電極部23は、電極部16,23間の電圧が一定である場合において生ずる電極部16,23間の静電力に従って可動板21を下方(−Z方向)へ付勢する第1の力が、可動板21が凹部13の底部に当接する下限位置(第1の位置)と図3及び図4に示す上側位置(第2の位置)との間の第3の位置に位置するときにピークとなるように、配置されている。
本実施の形態では、このような配置は、固定電極部16を構成する2本の電極16a,16b及び可動電極部23を構成する2本の電極23a,23bが、Z軸方向(可動板21の移動方向)から見た平面視で、図2に示すように重ならないように配置されることによって、実現されている。
本実施の形態では、電極16a,16b,23a,23bは、それぞれX軸方向に延びた短冊状をなしている。固定電極部16は、これを構成する電極16a,16bが図2に示すように配置されることによって、X1−X2線を通りXZ平面と平行な平面、及び、Y1−Y2線を通りYZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状を有している。同様に、可動電極部23は、これを構成する電極23a,23bが図2に示すように配置されることによって、X1−X2線を通りXZ平面と平行な平面、及び、Y1−Y2線を通りYZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状を有している。電極23a,23bは、X1−X2線を通りXZ平面と平行な平面に対して、+Y側と−Y側にそれぞれ配置されている。電極16aは、Z軸方向から見た平面視で、電極23aの+Y側に電極23aから若干間隔をあけて並列し、両者は重なっていない。電極16bは、Z軸方向から見た平面視で、電極23bの−Y側に電極23bから若干間隔をあけて並列し、両者は重なっていない。
ミラー12は、可動板21の上面に直立して固定されている。前述したように、ミラー12の反射面の向きは、その法線がXY平面と平行な面内においてX軸と45゜をなすように設定されている。
本実施の形態では、後に詳述するが、固定電極部16と可動電極部23との間の電圧を制御することで、ミラー12が上側(基板11と反対側)に保持された状態(図3及び図4)及びミラー12が下側(基板11側)に保持された状態(図5)にすることができる。本実施の形態では、図1中の外部制御回路6によってこのような制御が行われるようになっている。
ミラー12が上側に保持されている状態では、図3に示すように、Y軸方向に進行して来た入射光は、ミラー12にて反射され、図3中の紙面手前側に進行する。ミラー12が下側に保持されている状態では、図5に示すように、Y軸方向に進行して来た入射光は、ミラー12で反射されることなく、そのまま通過して出射光となる。
前述した光スイッチの構造のうちミラー12以外の構成要素によって、ミラー12を駆動するマイクロアクチュエータが構成されている。
本実施の形態による光スイッチアレー1は、例えば、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。その製造方法の一例の概要について簡単にすると、まず、シリコン基板1にフォトリソエッチング法により凹部13を形成する。次いで、絶縁膜14、電極16a,16b、配線パターン17a,17b、及び絶縁膜15等を、成膜及びパターニングにより形成する。次に、凹部13を埋めるべく犠牲層としての第1のレジストを形成し、CMP等による平坦化工程によって前記第1のレジストを凹部13内にのみに残す。その後、絶縁膜22、電極23a,23b、配線パターン24a,24b及び絶縁膜25等を、成膜及びパターニングにより形成する。引き続いて、前記特許文献1に開示されているように、ミラー12に対応する凹所を第2のレジストによって形成した後、電解メッキによりミラー12となるべきAu、Niその他の金属を成長させる。最後に、前記第1及び第2のレジストを除去することで、光スイッチアレー1が完成する。なお、本実施の形態では、配線パターン17a,17bが凹部13の段差壁部を乗り越えるように形成されているため、製造上、配線パターン17a,17bを形成するのが困難である場合がある。このような場合には、例えば、シリコン基板1における凹部13以外の領域をフレクチュア部27a,27bの付近の領域に限定して、シリコン基板1における凹部13の領域を拡大し、配線パターン17a,17bを凹部13内の領域のみに形成すればよい。
ここで、本実施の形態による光スイッチアレー1の1つの光スイッチのマイクロアクチュエータの駆動原理について、説明する。
図3及び図4に示すように可動板21が上側に保持されている状態で、固定電極部16と可動電極部23との間に電圧を加えると、両電極部16,23間(本実施の形態では、特に、電極16a,23a間及び電極16b,23b間)に静電力が働く。Z軸方向から見た平面視で、電極16aと電極23aとが重なっていないとともに電極16bと電極23bとが重なっていないので、電極16a,23a間の静電力及び電極16b,23b間の静電力の方向はZ軸方向に対してそれぞれ傾く。しかし、電極部16,23の前述した対称性のため、静電力のX軸方向成分及びY軸方向成分は相殺されて、生じた静電力のZ軸方向成分のみが可動板21に有効に働く。このように、電極部16,23間に生ずる静電力に従って可動板21に下方向(−Z方向)へ付勢する力が付与される。これにより、可動板21は下方向へ移動していく。
可動板21が下方向へ移動すると、その移動量に応じたフレクチュア部27a,27bによるバネ力が、上方向(+Z方向)への復帰力として働く。当初は、このバネ力に比べて前記静電力に基づく下方向の付勢力の方が大きいので、可動板21は下方向へ移動していく。
一方、可動板21が下方向へ移動していき基板11に近づいていくと、電極16a,23a間及び電極16b,23b間の距離が短くなっていくため、当初は、電極部16,23間の静電力に基づく下方向の付勢力は増大していく。ところが、可動板21が下方向へ移動していくと、Z軸方向から見た平面視で、電極16aと電極23aとが重なっていないとともに電極16bと電極23bとが重なっていないので、発生する静電力のうちのZ方向方向成分の割合が低下していきしかもその低下の度合いは可動板21が基板11に近づくほど大きくなる。このため、やがて、電極部16,23間の静電力に基づく下方向の付勢力は、可動板21がある位置に到達するときにピークとなり、可動板21がその位置より更に基板11へ近づいていくと、電極部16,23間の静電力に基づく下方向の付勢力は低下していく。その結果、やがて、電極部16,23間の静電力に基づく下方向の付勢力が、可動板21が基板11の凹部13の底部に当接する手前の位置で、フレクチュア部27a,27bによる上方向のバネ力と釣り合い、その位置で可動板21が停止する。その停止位置から可動板21が下方向へ移動すると、上方向のバネ力の方が大きくなって可動板21が逆に上方向へ移動する一方、その停止位置から可動板21が上方向へ移動すると、静電力に基づく下方向の付勢力の方が大きくなって可動板21が逆に下方向へ移動する。このため、可動板21は、前記停止位置に安定して保持される。図5はこの状態を示している。
図5に示すように可動板21が下側に保持されている状態から、図3及び図4に示す状態に切り替える場合には、電極部16,23間の電圧をゼロにして静電力の発生を停止させればよい。その結果、フレクチュア部27a,27bによる上方向のバネ力によって、可動板21が図3及び図4に示す上側位置に復帰する。
本実施の形態によれば、前述したように、電極部16,23間に電圧を与えて静電力を発生させたときに、図5に示すように、可動板21が固定部に当接する手前の位置で安定して保持されるので、従来生じていたプルイン状態が防止される。可動板21が固定部に当接しないので、可動板21が固定部に貼り付いて動作不能となったり動作遅延を招いたりするおそれがなくなる。
ここで、本実施の形態と比較される比較例について、図6乃至図8を参照して説明する。図6は、比較例による1つの光スイッチを示す概略平面図である。図7及び図8は、それぞれ図6中のY5−Y6線に沿った概略断面図である。図7はミラー12が上側に保持された状態を示し、図8はミラー12が下側に保持された状態を示している。図6乃至図8は、図2、図3及び図5にそれぞれ対応している。ただし、図6において、ミラー12は省略して示している。図6乃至図8において、図2、図3及び図5中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
この比較例による光スイッチが本実施の形態の光スイッチと異なる所は、この比較例では、固定電極部がZ軸方向から見た平面視で矩形形状の電極216で構成され、可動電極部がZ軸方向から見た平面視で電極216とちょうど重なる電極223で構成されている点のみである。
この比較例では、図7に示すように可動板21が上側に保持されている状態で、電極216,223間に電圧を加えると、両電極216,223間に−Z方向に静電力が働く。これにより、可動板21は下方向(−Z方向)へ移動していく。
可動板21が下方向へ移動すると、その移動量に応じたフレクチュア部27a,27bによるバネ力が、上方向(+Z方向)への復帰力として働く。このバネ力に比べて前記静電力の方が大きいので、可動板21は下方向へ移動していく。
この比較例では、Z軸方向から見た平面視で電極216,223が互いにちょうど重なっている(大部分が重なっていれば一部分が重なっていなくても同様である。)ので、可動板21が下方向へ移動していき基板11に近づくほど、−Z方向の静電力が増大していくのみであり、ピークを持たない。よって、前記静電力によって可動板21へ作用する下方向の力がフレクチュア部27a,27bによる上方向のバネ力と釣り合うようなことがなく、可動板21は図8に示すように基板11の凹部13の底部に当接するまで静止しない。可動板21は、図8に示すように基板11の凹部13の底部に当接すると、その状態で保持される。このようにして、プルイン状態となる。
なお、可動板21が基板11に近づいたときに、電極216,223間の電圧を低下させれば、下方向の静電力とフレクチュア部27a,27bによる上方向のバネ力とが釣り合う位置が存在する。しかし、この釣り合いの位置に可動板21が一旦位置しても、その位置から可動板21が下方へ移動すると下方向の静電力の方が上方向のバネ力より大きくなるので、可動板21が前記釣り合いの位置で安定して静止し得ず、可動板21に微小な位置変動が生ずると、フレクチュア部27a,27bによる上方向のバネ力だけでは、可動板21の下方向への移動は抑えきれず、結局、可動板21は基板11の凹部13の底部に当接するまで静止しない。
図8に示すように可動板21が下側に保持されている状態から、図7に示す状態に切り替える場合には、本実施の形態の場合と同様に、電極216,223間の電圧をゼロにして静電力の発生を停止させる。その結果、フレクチュア部27a,27bによる上方向のバネ力によって、可動板21が図3及び図4に示す上側位置に復帰するはずである。しかし、この比較例によれば、前述したように、図8に示すようにプルイン状態が生じてしまうため、可動板21が基板11の凹部13の底部に貼り付いてしまい、図7に示す状態への切り替えが不能になってしまう場合があった。このような動作不能に至らなくても、可動板21が固定部から引き剥がれるのに時間がかかって動作遅延が生じてしまう。
ところで、実素子の駆動解析には、有限要素法などの高度な数学的手法が必要となる。ここでは、本実施の形態で用いられているアクチュエータの前述した駆動原理の理解を深めるため、計算を簡略化するべく本実施の形態で用いられているアクチュエータをモデル化し、そのモデルに基づいて可動板21の位置と可動板21に有効に作用する力との関係を求める。
図9は、本実施の形態で用いられているアクチュエータのモデルを示す図である。固定電極部16を構成している2本の電極16a,16b及び可動電極部23を構成している2本の電極23a,23bは、実際には平板形状をなしているが、このモデルでは、それぞれ断面円形のX軸方向に延びた棒状体(すなわち、円柱)としている。
電極16a,16b,23a,23bは全て同一形状・寸法を有し、そのX軸方向の長さはL、上面及び底面の半径はRとする。YZ平面と平行な平面内において、電極23a,23bの中心間距離をl、電極16a,23aの中心間のY軸方向の距離及び電極16b,23bの中心間のY軸方向の距離を両方ともd、電極16a,23aの中心間のZ軸方向の距離及び電極16b,23bの中心間のZ軸方向の距離を両方ともz、電極16a,23aの中心間を結ぶ線がY軸方向となす角度及び電極16b,23bの中心間を結ぶ線がY軸方向となす角度を両方ともθとする。距離zを可動板21の位置とする。R≪z,d、z,d≪Lが成立するものとする。
電極23a,23b間の距離lは十分大きいものとし、固定電極部16と可動電極部23との間に電圧Vを印加したときに、電極16a,23a間、及び、電極部16b,23b間のみで静電力が生じるものとする。電圧Vを印加したときに生ずる電極16a,23a間の静電力をF、電圧Vを印加したときに生ずる電極16b,23b間の静電力をFとする。なお、電極部16a,16bは互いに同電位とされ、電極23a,23bは互いに同電位にされる。
また、図9に示すモデルでは、フレクチュア部27a,27bによる+Z方向のバネ力をFとしている。
このモデルでは、電極23a,23b間の電気容量Cは、R≪z,d、z,d≪Lの仮定の下では、近似的に下記数1で表される。数1において、εは真空誘電率である。なお、Si基板や可動部の絶縁体などの誘電率は、計算を簡単にするため、εとする。
Figure 2007017565
ここで、電極16a,23a間に電圧Vを印加すると、電極16a,23a間に静電力Fが発生する。2電極間の静電力Fは、電気容量C、電極間電圧V、電極間距離Sでは、下記数2で表される。したがって、電極16a,23a間の静電力Fは、下記数3で表される。
Figure 2007017565
Figure 2007017565
静電力Fの方向はY軸方向から前記角度θだけ傾いているので、静電力FのY軸方向成分F1y及びZ軸方向成分F1zは、それぞれ下記数4,数5で表される。
Figure 2007017565
Figure 2007017565
電圧Vを印加したときに電極16b,23b間に働く静電力Fは、静電力Fと大きさが同じで方向のみが違うため、静電力FのY軸方向成分F2y及びZ軸方向成分F2zは、それぞれ下記数6,数7で表される。
Figure 2007017565
Figure 2007017565
よって、静電力Fと静電力Fとの合成力FのY軸方向成分Fey及びZ軸方向成分Fezは、それぞれ下記数8,数9で示される。
Figure 2007017565
Figure 2007017565
結局、静電力FのY軸方向成分F1yと静電力FのY軸方向成分F2yとが相殺され、発生する静電力によって可動板21に有効に働く力Fは、静電力Fと静電力Fとの合成力FのZ軸方向成分Fezとなる。
一方、フレクチュア部27a,27bは、フックの法則に従うものとし、そのバネ定数をkとする。可動板21に静電力が働いていないときの状態が自然長のコイルバネと同じ状態であるとし、そのときの可動板21の位置をzとする。すると、フレクチュア部27a,27bによる+Z方向のバネ力Fは、下記の数10で表される。
Figure 2007017565
図10は、図9に示すモデルについて、前述した数9及び数10に従って作成した、可動板21の位置zと静電力による力F及びバネ力Fとの関係を示すグラフである。図10に示す例では、R=1μm、d=10μm、L=100μm、V=75V、k=1mN/m、z=100μmとした。
ここで、この図10を用いて、本実施の形態で用いられているアクチュエータの前述した駆動原理を説明する。
図10に示すように、可動板21の位置zがz=0からz=zまで変わる間に、静電力によって可動板21に加わる−Z方向の力Fは、点A〜Fを辿り、点Cでピークとなる。一方、可動板21に加わる+Z方向のバネ力Fは、右肩下がりの直線となっている。図10に示す例では、力Fを示すラインとバネ力Fを示すラインとが、点B,D,Eで交わっている。
図10に示す例では、点Dから点Eまでに相当する可動板21の位置zの区間でF>Fとなっているので、可動板21の位置zがzである状態において、図10に示すグラフを得たV=75Vを印加して力Fを発生させても、そのままでは、可動板21を点Eの位置より下方へ移動させることはできない。そこで、本実施の形態では、印加電圧をこの場合より大きくして、図10中の点Cから点Fまでの可動板21の位置zの区間の全体に渡ってF<Fとすることで、可動板21を図10中の点Aから点Dまでの間の位置に移動させ、その後、V=75Vを印加する。すると、可動板21が点Aから点Bまでの間に位置しているとすれば、F>Fであるため可動板21が上方向(+Z方向)へ移動して点Bへ向かい、可動板21が点Bに達するとF=Fであるので両者の力が釣り合って点Bで静止する。逆に、可動板21が点Bから点Dまでの間に位置しているとすれば、F<Fであるため可動板21が下方向(−Z方向)へ移動して点Bへ向かい、可動板21が点Bに達するとF=Fであるので両者の力が釣り合って点Bで静止する。点Bの付近において、点Bより下側位置で可動板21を上方向へ移動させる力関係F>Fとなるとともに、点Bより上側位置で可動板21を下方向へ移動させる力関係F<Fとなるので、可動板21は点Bで安定して保持される。
なお、以上の説明では、可動板21をz位置から点Bの位置に移動させて点Bに保持するために、比較的大きい印加電圧を加えた後に図10に示すような値となる比較的小さい印加電圧を加える例を挙げた。これは、可動板21を保持し続ける際に印加電圧がより小さい方が、消費電力等の関係でより好ましいためである。しかしながら、可動板21を保持し続ける場合にも、比較的小さい印加電圧に切り替えることなく、前述した比較的大きい印加電圧を加え続けてもよい。この場合の、図10中の点Bに相当する可動板21の安定保持位置は、図10の点Bより若干ずれる。これは、力Fをそのままにして、各位置に応じた力Fの値を印加電圧の2乗に比例させて書き変えると、両者のラインの交点がずれることから理解できる。
また、印加電圧を大きくして点Dに移動させたなら、その後V=75Vにしても点Dの位置のままであり点Bに向かわない。点Bに向かうのは、正確には、点Dの位置より下側位置の場合である。
なお、前述したように、印加電圧を変えることで、図10中の点Bに相当する可動板21の安定保持位置が図10の点Bより若干ずれるので、本実施の形態で用いられているアクチュエータは、可動板21の安定保持位置を印加電圧の大きさによって所望の位置に変えるような、可動板21のアナログ的な位置制御も可能である。したがって、本発明によるアクチュエータは、静電力を用いながらも、可動部のアナログ的な位置制御が要求される種々の用途においても、用いることができる。もっとも、本実施の形態では、図3及び図5に示されるようなデジタル的な位置制御で足りる光スイッチに用いられているので、可動板21のアナログ的な位置制御を行うために印加電圧を変える必要はない。
次に、図9の場合と同様に、図6乃至図8に示す比較例によるアクチュエータをモデル化し、そのモデルに基づいて可動板21の位置と可動板21に有効に作用する力との関係を求める。
図11は、図6乃至図8に示す比較例によるアクチュエータのモデルを示す図である。このモデルにおいても、フレクチュア部27a,27bによる+Z方向のバネ力をFについては、図9と同じである。図11に示すモデルでは、図9に示すモデルと異なり、固定電極部を構成する電極216及び可動電極部を構成する電極223を、平行平板であるとした。図11に示すモデルでは、電圧Vを印加したときの電極216,223間の−Z方向の静電力をF’とする。
図12は、図11に示すモデルについて、平行平板間の静電力を表す周知の式及び前述した数10に従って作成した、可動板21の位置(本例では、電極216,223間距離)zと−Z方向の静電力F’及びバネ力Fとの関係を示すグラフである。図12に示す例では、電極216,223のY軸方向の幅を10μm、電極216,223のX軸方向の長さを100μm、印加電圧Vを20Vとした。
図12に示すように、可動板21の位置zがz=0からz=zまで変わる間に、可動板21に加わる−Z方向の静電力F’は、図10中の力Fと異なり、ピークを持たない。そして、静電力F’を示すラインとバネ力Fを示すラインとが、点Gで交わっている。可動板21が点Gより下側に位置する場合は、可動板21を下方向へ移動させる力関係F<F’となる一方、可動板21が点Gより上側に位置する場合は、可動板21を上方向へ移動させる力関係F>F’となっている。
可動板21の位置zがzである状態において、図12に示す状態の印加電圧より大きい印加電圧を加えてF<F’とし、可動板21を下方向へ移動させていく場合を考える。このとき、その比較的大きい印加電圧を印加し続ければ、可動板21が図12中の点Gに達してもまた点Gより下側に位置しても、F<F’の関係が保たれるので、可動板21は、固定部に当接してしまい、その当接した状態で保持され、プルイン状態となる。可動板21が図12中の点Gに達したときに印加電圧を図12に示す状態の比較的低い電圧に切り替えると、点Gでは、F=F’であるので両者の力が釣り合う。ところが、点Gの位置から可動板21が上方向へ微小な位置変動が生ずると、F>F’となるので、可動板21は上方向へ移動して位置zに戻ってしまう。一方、点Gの位置から可動板21が下方向へ微小な位置変動が生ずると、F<F’となるので、可動板21は下方向へ移動していき、固定部に当接してしまい、その当接した状態で保持され、プルイン状態となる。
このように、この比較例では、可動板21を下側の位置で保持しようとすると、プルイン状態となってしまい、zの位置と固定部に当接する位置との中間の位置で可動板21を安定して保持することは、不可能である。
なお、この比較例では、プルイン状態となってしまうため、印加電圧を変えても可動板21のアナログ的な位置制御は、全く不可能である。
なお、本実施の形態では、固定電極部16及び可動電極部23は、前述したようにZ軸方向から見た平面視で固定電極部16と可動電極部23とが全く重ならないように配置されているが、図10中の点Cのようなピークが生ずる程度であれば、両者が部分的に重なるように配置してもよい。
また、本実施の形態では、前述したように、固定電極部16も可動電極部23も、X1−X2線を通りXZ平面と平行な平面、及び、Y1−Y2線を通りYZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状を有している。しかしながら、本発明では、必ずしもこのような対称性は必要ではない。例えば、可動部がガイド手段により案内されるため加えられる力の方向に拘わらずに可動部の移動方向が定まるような場合には、必ずしも前述したような対称性は必要ではない。
[第1の実施の形態の各変形例]
本発明では、前述した第1の実施の形態における固定電極部16及び可動電極部23は、例えば、図13乃至図16にそれぞれ示すように変形してもよい。
図13乃至図16は、それぞれ前記第1の実施の形態の変形例を示すもので、それぞれ図2に対応する概略平面図である。図13乃至図16において、図2中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。なお、図13乃至図16において、ミラー12の図示は省略している。
いずれの変形例においても、固定電極部16も可動電極部23も、X1−X2線を通りXZ平面と平行な平面、及び、Y1−Y2線を通りYZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状を有している。
図13に示す変形例では、固定電極部16は、X軸方向に延びた短冊状の1本の電極16cで構成されている。可動電極部23は、X軸方向に延びた短冊状の2本の電極23c,23dで構成されている。電極16cは、Z軸方向から見た平面視でX1−X2線に沿って延びるように配置されている。電極23c,23dは、Z軸方向から見た平面視で、電極16cの+Y側及び−Y側にそれぞれ電極16cから若干間隔をあけて並列し、電極16cとは重なっていない。なお、図13では、電極16cに対する配線パターンの図示を省略しているが、この配線パターンはZ軸方向から見た平面視で電極23c(又は23d)と重なっている。しかしながら、その重なり面積はわずかであり、図10中の点Cのようなピークが生ずるのに何ら支障はない。
図14に示す変形例では、固定電極部16は、X軸方向に延びた短冊状の2本の電極16e,16fで構成されている。可動電極部23は、X軸方向に延びた短冊状の1本の電極23eで構成されている。電極23eは、Z軸方向から見た平面視でX1−X2線に沿って延びるように配置されている。電極16e,16fは、Z軸方向から見た平面視で、電極23eの+Y側及び−Y側にそれぞれ電極23eから若干間隔をあけて並列し、電極23eとは重なっていない。なお、図14では、電極16e,16fに対する配線パターンの図示を省略しているが、この配線パターンはZ軸方向から見た平面視で電極23eとは重なっていない。
図15に示す変形例では、固定電極部16は、X軸方向に延びた短冊状の3本の電極16g,16h,16iで構成されている。可動電極部23は、X軸方向に延びた短冊状の2本の電極23g,23hで構成されている。電極16gは、Z軸方向から見た平面視でX1−X2線に沿って延びるように配置されている。電極23g,23hは、Z軸方向から見た平面視で、電極16gの+Y側及び−Y側にそれぞれ電極16gから若干間隔をあけて並列し、電極16gとは重なっていない。電極16hは、Z軸方向から見た平面視で、電極23gの+Y側に電極23gから若干間隔をあけて並列し、電極23gとは重なっていない。電極16iは、Z軸方向から見た平面視で、電極23hの−Y側に電極23hから若干間隔をあけて並列し、電極23hとは重なっていない。なお、図15では、電極16g,16h,16iに対する配線パターンの図示を省略している。図面には示していないが、電極16gに対する配線パターンは、Z軸方向から見た平面視で電極23g(又は23h)と重なっている。しかしながら、その重なり面積はわずかであり、図10中の点Cのようなピークが生ずるのに何ら支障はない。
図16に示す変形例では、固定電極部16は、円環状部分とそのX軸方向の+X側及び−X側から+X方向及び−X方向にそれぞれ延びた短冊状部分とからなる電極16jで構成されている。可動電極部23は、Z軸方向から見た平面視で電極16jの+X側及び−X側において電極16jから若干間隔をあけて電極16jの形状に沿う並列した2本の帯状の電極23j,23kで構成されている。電極23j,23kは、電極16jとは重なっていない。なお、図16では、電極16jに対する配線パターンの図示を省略しているが、この配線パターンはZ軸方向から見た平面視で電極23j(又は23k)と重なっている。しかしながら、その重なり面積はわずかであり、図10中の点Cのようなピークが生ずるのに何ら支障はない。
[第2の実施の形態]
図17は、本発明の第2の実施の形態による光学装置としての光スイッチ装置である光スイッチアレー101を備えた光学システム(本実施の形態では、光スイッチシステム)の一例を模式的に示す概略構成図である。図17において、図1中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
図17に示す光学システムが図1に示す光学システムと異なる所は、光スイッチアレー1に代えて光スイッチアレー101が用いられている点と、これに伴う外部制御回路6の動作の相違と、光スイッチアレー101に対して後述するように磁界を発生する磁界発生部としての磁石5が追加されている点のみである。
本実施の形態では、磁石5は、図1に示すように、光スイッチアレー101の下側に配置され、光スイッチアレー101に対して磁力線5aで示す磁界を発生している。すなわち、磁石5は、光スイッチアレー101に対して、X軸方向に沿ってその+側へ向かう略均一な磁界を発生している。
図18は、図17中の光スイッチアレー101を模式的に示す概略平面図である。光スイッチアレー101は、基板111(図18では図示せず)と、該基板111上に2次元状に配置されたm×n個の可動板112と、各可動板112に搭載されたミラー12とを備えている。光スイッチアレー101のうちのミラー12以外の部分が、マイクロアクチュエータ装置であるマイクロアクチュエータアレーを構成している。
次に、図17中の光スイッチアレー101の単位素子としての1つの光スイッチの構造について、図19乃至図25を参照して説明する。
図19は、図17中の光スイッチアレー101の単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。図20は、図19中のM−M’線に沿った概略断面図である。ただし、図20は可動板112の断面のみを示している。図21は、図19中の可動板112を上から見たときのAl膜122のパターン形状を示す図である。理解を容易にするため、図21において、Al膜122の部分にハッチングで示している。また、図21には、固定電極部323及びこれに対する配線パターン324も、併せて示している。図22及び図24はそれぞれ、図19及び図21中のN−N’線に沿った断面を+Y側から−Y方向に見た概略断面図である。ただし、図22及び図24には、−Y方向に見たミラー12も併せて示している。図23及び図25はそれぞれ、図21中のK−K’線に沿った断面を示す概略断面図である。図22及び図23はミラー12が上側に保持されて光路に進出した状態、図24及び図25はミラー12が下側に保持されて光路から退出した状態を示している。なお、図22乃至図25では、図面表記の便宜上、後述する凸部124の図示を省略してそれによる段差がないものとして示している。
光スイッチアレー101の単位素子としての1つの光スイッチは、図18及び図19に示すように、シリコン基板等の基板111上に設けられ基板111と共に1つのマイクロアクチュエータを構成する可動部としての1つの可動板112と、可動板112に搭載された被駆動体である光学素子としてのミラー12とを有している。
可動板112は、図19及び図21に示すように、X101−X102線を通りXZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状及び構造を有している。
可動板112は、薄膜で構成され、図19乃至図25に示すように、可動板112の平面形状の全体に渡る下側の窒化ケイ素膜(SiN膜)121及び上側のSiN膜123と、これらの膜121,123の間において部分的に形成された中間のAl膜122とから構成されている。すなわち、可動板112は、下から順にSiN膜121,123を積層した2層膜からなる部分と、下から順にSiN膜121、Al膜122及びSiN膜123を積層した3層膜からなる部分とを、併有している。Al膜122のパターン形状は図21に示す通りであるが、これについては後述する。可動板112は、SiN膜121,123とAl膜122との熱膨張係数の差によって生じる内部応力、並びに、成膜時に生じた内部応力により、図22に示すように基板111に対して上向き(+Z方向)に湾曲するように、予め定められた膜厚及び成膜条件によって形成されている。
可動板112は、図19に示すように、ミラー12を搭載するための搭載部(すなわち、ミラー12用の支持基体)としての長方形状のミラー搭載板112aと、ミラー搭載板112aの端部に接続された2本の帯状の支持板112bとを含む。本実施の形態では、これらの2本の支持板112bが、互いに機械的に並列接続された2本の梁部となっている。支持板112bは、それぞれの端部に脚部112c及び脚部112dを有している。脚部112c及び112dはいずれも基板111に固定されており、可動板112は、脚部112c及び112dを固定端として、図22に示すように、ミラー搭載板112a側が持ち上がるようになっている。このように、本実施の形態では、可動板112は、脚部112c及び112dを固定端とする片持ち梁構造を持つ可動部となっている。本実施の形態では、基板111及びこれに積層された後述する絶縁膜113,114及び固定電極部323等が、固定部を構成している。
可動板112には、図19に示すように、可動板112のミラー12を搭載している部分を含む領域を取り囲むように、凸部124が設けられている。凸部124は、図20に示すように、可動板112を構成する複層膜を凸型にすることにより形成されている。このように凸部124を設けることにより、段差が生じるため、可動板112のうち、凸部124で囲まれた領域及び凸部124が設けられた領域は、内部応力による湾曲が抑制され、平面性を維持することができる。このため、可動板112は、図22のように内部応力による湾曲によりミラー12を上側の位置に持ち上げた状態であっても、ミラー12を搭載している部分は平面であるため、搭載されているミラー12の形状を一定に保つことができる。
このように、可動板112は、凸部124で囲まれた領域及び凸部124が設けられた領域は湾曲が抑制されるが、支持板112bの脚部112dに近い領域は、凸部124が設けられていない。これにより、凸部124が設けられていない支持板112bの領域の湾曲によって、可動板112は、脚部112c,112dを固定端として、図22のように、ミラー搭載板112a側が持ち上がるようになっている。また、支持板112bの脚部112dに近い領域は、凸部124が設けられていないことにより、弾性部としての板ばね部となっている。
ここで、可動板112のAl膜122の形状について、図21を参照して説明する。本実施の形態では、駆動力としてローレンツ力と静電力の両方を用いて可動板112を駆動するために、図21に示すような形状に、Al膜122をパターニングしている。Al膜122のうちパターン122aは、2つの脚部112dのそれぞれから、可動板112の外周の縁に沿って延びて可動板112の先端側(+X側)まで延び、可動板112の先端の一辺112eに沿ってX軸方向に延びた直線状のパターン122cに接続されている。パターン122cは、磁界内に配置されて通電により駆動力としてのローレンツ力を生じる電流経路(ローレンツ力用電流経路)である。以下、パターン122cをローレンツ力電流経路122cと呼ぶ場合がある。パターン122cもAl膜122のうちのパターンである。パターン122aは、ローレンツ力電流経路122cに電流を供給するための配線パターンである。パターン122aは、図22及び図24に示すように、+Y側の脚部112dにおいて絶縁膜114及びSiN膜121のコンタクトホールを介してAl膜等からなるローレンツ力用配線パターン142に接続されるとともに、−Y側の脚部112dにおいて同様に別のローレンツ力用配線パターン142と接続され、脚部112dを介してローレンツ力用配線パターンからローレンツ力用駆動信号としての電流が供給される。図17に示す磁石5によって、ローレンツ力用電流経路122cがX軸方向の磁界内に置かれている。したがって、パターン122aを介してローレンツ力電流経路122cに電流を供給すると、ローレンツ力用電流経路122cに、その電流の向きに応じて、+Z方向又は−Z方向のローレンツ力が生ずる。
なお、図22乃至図24に示すように、基板111上には、基板111側から順にシリコン酸化膜等の絶縁膜113,114が積層され、ローレンツ力用配線パターン142は、絶縁膜113,114間に形成されている。
また、Al膜122のうちパターン122bは、2つの脚部112cのそれぞれから、可動板112の2本の帯状の支持板112bの内側の縁に沿って可動板112のミラー搭載板112aの根元側(−X側)付近まで延び、ミラー搭載板112aの根元付近に配置された可動電極部322に接続されており、可動電極部322に対する配線パターンとなっている。可動電極部322は、後述する固定電極部323との間の電圧により固定電極部323との間に静電力を生じ得るものである。
可動電極部322は、図21、図23及び図25に示すように、Z軸方向から見た平面視でX軸方向に延びた短冊状の4本の電極122f,122g,122h,122iで構成されている。電極122f,122g,122h,122iの+X側端部は、配線パターン122jによって互いに接続されている。2本の配線パターン122bは、電極122fの−X側の端部及び電極122iの−X側の端部にそれぞれ接続されている。電極122f,122g,122h,122i及び配線パターン122jも、Al膜122のうちパターンである。
可動電極部322は、これを構成する電極122f,122g,122h,122iが図21に示すように配置されることによって、X101−X102線を通りXZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状を有している。
パターン122bは、脚部112cにおいて、絶縁膜114及びSiN膜121のコンタクトホールを介して可動電極用配線パターン(図示せず)に接続され、固定電極部323との間に電圧(静電力用電圧、静電力用駆動信号)が印加される。
固定電極部323は、図21、図23及び図25に示すように、X軸方向に延びた短冊状の3本の電極323a,323b,323cで構成され、固定電極部323に対する配線パターン324と共に、基板111上の絶縁膜113,114間に形成されている。固定電極部323及び配線パターン324は、連続して一体に形成されたAl膜で構成されている。固定電極部323は、これを構成する電極323a,323b,323cが図21に示すように配置されることによって、X101−X102線を通りXZ平面と平行な平面に対して、面対称な形状を有している。
本実施の形態では、電極323bは、Z軸方向から見た平面視でX101−X102線に沿って延びるように配置されている。電極122g,122hは、Z軸方向から見た平面視で、電極323bの+Y側及び−Y側にそれぞれ電極323bから若干間隔をあけて並列し、電極323bとは重なっていない。電極323aは、Z軸方向から見た平面視で、電極122hの−Y側に電極122hから若干間隔をあけて並列し、電極122hとは重なっていない。電極323cは、Z軸方向から見た平面視で、電極122gの+Y側に電極122gから若干間隔をあけて並列し、電極122gとは重なっていない。電極122fは、Z軸方向から見た平面視で、電極323cの+Y側に電極323cから若干間隔をあけて並列し、電極323cとは重なっていない。電極122iは、Z軸方向から見た平面視で、電極323aの−Y側に電極323aから若干間隔をあけて並列し、電極323aとは重なっていない。
本実施の形態では、固定電極部323及び可動電極部322を構成する各電極が前述したように配置されることによって、電極部323,322間の電圧が一定である場合において生ずる電極部323,322間の静電力に従って可動板112を下方(−Z方向)へ付勢する第1の力が、可動板112が基板111の絶縁膜114に当接する下限位置(第1の位置)と図22及び図23に示す上側位置(第2の位置)との間の第3の位置に位置するときにピークとなるようになっている。
本実施の形態では、後に詳述するが、固定電極部323と可動電極部322との間の電圧及びローレンツ力用電流経路122cに流す電流を制御することで、ミラー12が上側(基板111と反対側)に保持された状態(図22及び図23)及びミラー12が下側(基板111側)に保持された状態(図24及び図25)にすることができる。本実施の形態では、図17中の外部制御回路6によってこのような制御が行われるようになっている。図22及び図24において、Tは、ミラー12の進出位置に対する入射光の光路の断面を示している。
前述した光スイッチの構造のうちミラー12以外の構成要素によって、ミラー12を駆動するマイクロアクチュエータが構成されている。
本実施の形態による光スイッチアレー101は、例えば、膜の形成及びパターニング、エッチング、犠牲層の形成・除去などの半導体製造技術を利用して、製造することができる。なお、ミラー12については、例えば、前記第1の実施の形態の場合と同様の方法で製造することができる。
本実施の形態によれば、固定電極部323及び可動電極部322が前述したように構成されているので、電極部323,322間に一定の電圧を印加した場合において、可動板112の位置と電極部323,322間に発生する静電力により可動板112に有効に働く力との関係は、前述した図10に示す関係と同様となる。
本実施の形態によれば、図22及び図23に示すように、前記静電力及び前記ローレンツ力が印加されていない状態では、支持板112bの脚部112dに近い領域(凸部124が設けられていない領域)が構成する板ばね部の応力(バネ力)によって+Z方向に湾曲した状態に復帰し、ミラー12が上側に保持される。これにより、ミラー12が光路Tに進出して、当該光路Tに入射した光を反射させる。
この状態から、光路Tに入射した光をミラー12で反射させずにそのまま通過させる状態に切り替える場合には、例えば、まず、前記ローレンツ力を印加して、支持板112bの前記板ばね部のバネ力に抗して可動板112を下方へ移動させ、前記ローレンツ力によって可動板112を図10中の点Aから点Dまでの範囲に相当する任意の位置まで移動させる。この状態で、前記ローレンツ力の印加を停止させ、固定電極部323及び可動電極部322との間に図10に示す状態に相当する電圧を印加する。その結果、前記第1の実施の形態と同様に、可動電極部322が図10中の点Bに相当する位置(可動板112が基板111上の絶縁膜114に当接する手前の位置)で安定して保持される。図24及び図25はこの状態を示している。
ミラー12が下側に保持されている状態では、図24及び図25に示すように、ミラー12が光路Tから退出して、入射光はミラー12で反射されることなく、そのまま通過して出射光となる。
図24及び図25に示すように可動板112が下側に保持されている状態から、図22及び図23に示す状態に切り替える場合には、例えば、電極部323,322間の電圧をゼロにして静電力の発生を停止させればよい。その結果、支持板112bの前記板ばね部による上方向のバネ力によって、可動板112が図22及び図23に示す上側位置に復帰する。
本実施の形態によれば、前述したように、電極部323,322間に電圧を与えて静電力を発生させたときに、図24及び図25に示すように、可動板112が固定部に当接する手前の位置で安定して保持されるので、従来生じていたプルイン状態が防止される。可動板112が固定部に当接しないので、可動板112が固定部に貼り付いて動作不能となったり動作遅延を招いたりするおそれがなくなる。
なお、図22及び図23に示す状態から図24及び図25に示す状態に切り替えるときに、一旦印加したローレンツ力を停止させて電極部323,322に電圧を印加するタイミングは、ローレンツ力によって可動板112が固定部に当接する前でも一旦当接した後でもよい。ローレンツ力によって可動板112が固定部に当接しても、そのローレンツ力は、前述した比較例の図8に示す状態における静電力に比べるとはるかに小さくすることができるので、可動板112が固定部に貼り付いて動作不能となったりする可能性はほとんどなくなる。
また、本実施の形態で用いられているアクチュエータも、前記第1の実施の形態で用いられているアクチュエータと同様に、可動板112の安定保持位置を印加電圧の大きさによって所望の位置に変えるような、可動板112のアナログ的な位置制御が可能である。
以上、本発明の各実施の形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施の形態や変形例に限定されるものではない。
例えば、前記第2の実施の形態において、固定電極部323及び可動電極部322のパターンとして、前記第1の実施の形態及び図13乃至図16に示す各変形例のうちのいずれの、固定電極部16及び可動電極部23のパターンと同様の、パターンを採用してもよい。
また、本発明では、前記第2の実施の形態において、静電力以外に用いる力として、ローレンツ力に代えて、他の力(熱膨張による薄膜の応力変化を利用した力、圧電効果を利用した力など)を用いることができるように、構成してもよい。
さらに、前記第1及び第2の実施の形態においては、可動板を上側位置へ復帰させるための力としてバネ力が用いられていたが、本発明では、バネ力の代わりに他の力(例えば、磁気力など)を用いることができるように構成してもよい。
さらにまた、本発明によるマイクロアクチュエータは、光スイッチ以外の他の光学装置やその他の種々の用途に用いることができる。
本発明の第1の実施の形態による光スイッチアレーを備えた光学システムの一例を模式的に示す概略構成図である。 図1中の光スイッチアレーの単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。 ミラーが上側に保持された状態を示す、図2中のY3−Y4線に沿った概略断面図である。 図2中のX1−X2線に沿った概略断面図である。 ミラーが下側に保持された状態を示す、図2中のY3−Y4線に沿った概略断面図である。 比較例による1つの光スイッチを示す概略平面図である。 ミラーが上側に保持された状態を示す、図6中のY5−Y6線に沿った概略断面図である。 ミラーが下側に保持された状態を示す、図6中のY5−Y6線に沿った概略断面図である。 本発明の第1の実施の形態で用いられているアクチュエータのモデルを示す図である。 図9に示すモデルについて得た、可動板の位置と静電力による力F及びバネ力Fとの関係を示すグラフである。 図6乃至図8に示す比較例によるアクチュエータをモデルを示す図である。 図11に示すモデルについて得た、可動板の位置と静電力F’及びバネ力Fとの関係を示すグラフである。 第1の実施の形態の一変形例を示す概略平面図である。 第1の実施の形態の他の変形例を示す概略平面図である。 第1の実施の形態の更に他の変形例を示す概略平面図である。 第1の実施の形態の更に他の変形例を示す概略平面図である。 本発明の第2の実施の形態による光スイッチアレーを備えた光学システムの一例を模式的に示す概略構成図である。 図17中の光スイッチアレーを模式的に示す概略平面図である。 図17中の光スイッチアレーの単位素子としての1つの光スイッチを模式的に示す概略平面図である。 図19中のM−M’線に沿った概略断面図である。 図19中の可動板を上から見たときのAl膜のパターン形状を示す図である。 ミラーが上側に保持された状態を示す、図19及び図21中のN−N’線に沿った断面を+Y側から−Y方向に見た概略断面図である。 ミラーが上側に保持された状態を示す、図21中のK−K’線に沿った断面を示す概略断面図である。 ミラーが下側に保持された状態を示す、図19及び図21中のN−N’線に沿った断面を+Y側から−Y方向に見た概略断面図である。 ミラーが下側に保持された状態を示す、図21中のK−K’線に沿った断面を示す概略断面図である。
符号の説明
11 基板
12 ミラー
16 固定電極部
16a ,16b 固定電極部を構成する電極
21 可動板
23 可動電極部
23a,23b 可動電極部を構成する電極

Claims (10)

  1. 固定部と、前記固定部に対して、前記固定部の所定箇所に当接する第1の位置と前記所定箇所から前記第1の位置より遠ざかった第2の位置との間を移動し得るように設けられた可動部と、を備え、
    前記固定部は、第1の電極部を有し、
    前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、
    前記電圧が一定である場合において生ずる前記静電力に従って前記可動部を前記第1の位置へ向かう方向へ付勢する第1の力が、前記可動部が前記第1の位置と前記第2の位置との間の第3の位置に位置するときにピークとなるように、前記第1及び第2の電極部が配置されたことを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  2. 前記第1及び第2の電極部は、前記可動部の前記第1及び第2の位置間の移動方向から見たときに前記第1及び第2の電極部が互いに実質的に重ならないように、配置されたことを特徴とする請求項1記載のマイクロアクチュエータ。
  3. 固定部と、前記固定部に対して、前記固定部の所定箇所に当接する第1の位置と前記所定箇所から前記第1の位置より遠ざかった第2の位置との間を移動し得るように設けられた可動部と、を備え、
    前記固定部は、第1の電極部を有し、
    前記可動部は、前記第1の電極部との間の電圧により前記第1の電極部との間に静電力を生じ得る第2の電極部を有し、
    前記第1及び第2の電極部は、前記可動部の前記第1及び第2の位置間の移動方向から見たときに前記第1及び第2の電極部が互いに実質的に重ならないように、配置されたことを特徴とするマイクロアクチュエータ。
  4. 前記第1及び第2の電極部はそれぞれ、前記可動部の前記第1及び第2の位置間の移動方向を含む少なくとも1つの同じ平面に対して略面対称な形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ。
  5. 前記可動部を前記第1の位置から前記第2の位置へ向かう方向へ付勢する第2の力が生じ得るように構成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマイクロアクチュエータ。
  6. 前記可動部は、前記第2の力として前記第2の位置に復帰しようとするバネ力を生ずるように設けられたことを特徴とする請求項5記載のマイクロアクチュエータ。
  7. 前記第1及び第2の力とは別の第3の力を、前記可動部に生じさせる発生手段を備えたことを特徴とする請求項5又は6記載のマイクロアクチュエータ。
  8. 前記発生手段は、前記可動部に設けられ磁界内に配置されて通電によりローレンツ力を生ずる電流路を含むことを特徴とする請求項7記載のマイクロアクチュエータ。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のマイクロアクチュエータと、前記可動部に搭載された被駆動体とを備え、前記被駆動体が光学素子であることを特徴とする光学装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれかに記載のマイクロアクチュエータと、前記可動部に搭載された被駆動体とを備え、前記被駆動体がミラーであることを特徴とする光スイッチ。
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