JP2006137958A - 環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法 - Google Patents

環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法 Download PDF

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Nobuyuki Miyaki
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Abstract

【課題】透明性および耐熱性に優れ、屈折率が高く、他の素材との密着性が高くて後加工が容易であり、さらに、汎用溶剤に対する溶解性が高い環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(1)で表される環状オレフィン系単量体および一般式(1)とは異なる構造の環状オレフィン系単量体を共重合して得られる環状オレフィン系開環共重合体を水素添加する。
Figure 2006137958

【選択図】 なし

Description

本発明は、環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法に関し、更に詳しくは透明性、他の材料との密着性および耐熱性に優れ、屈折率が高く、光学製品用材料として好適な樹脂材料が得られる環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法に関する。
従来、光学製品に使用されているポリエステル樹脂やアクリル系樹脂は、吸水性が高いものであるため、これらの樹脂よりなる光学製品は吸水による変形等が生じる、という問題を有する。また、アクリル系樹脂においては、吸水性が高いこと以外に、耐熱性が低いものであるため、当該アクリル系樹脂よりなる光学製品は、熱による変形等が生じる結果、光学的欠陥が発生しやすく、そのため、使用範囲が限定される、という問題がある。
一方、ポリカーボネート樹脂は、低吸水性および耐熱性についてはポリエステル樹脂およびアクリル系樹脂よりも優れているものの、光学的な歪みが生じやすく、精密な光学製品に用いる場合には、種々の問題が生じることがある。
このような問題点を解決するため、透明性、低吸水性、耐熱性、低光学歪み性などを兼ね備えている環状ポリオレフィン系樹脂が開発され、この環状ポリオレフィン系樹脂は、現在、光学レンズ、光学フィルム、光学ディスク、光ファイバー、光半導体封止材などの各種光学製品用材料として用いられている。
しかしながら、従来公知の環状ポリオレフィン系樹脂は、屈折率が比較的低いものであるため、光学製品用材料として使用するうえで、制約を受けることがあった。
また、最近においては、分子中に芳香族環構造やハロゲン原子が導入されてなる環状ポリオレフィン系樹脂が提案されている(特開平7−41550号公報参照)。
しかしながら、このような環状ポリオレフィン系樹脂は、比較的高い屈折率を有するものであるが、他の材料に対する密着性が低いものであるため、光学製品として施される後加工、例えば印刷加工、ハードコート加工または接着加工などを行う場合に問題が生じる。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、透明性および耐熱性に優れ、また、屈折率が高く、しかも、他の素材との密着性が高くて後加工が容易であり、さらに、トルエン、ジクロロメタンあるいはテトラヒドロフラン等の汎用溶剤に対する溶解性が高くて溶液による加工に供することができる環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法を提供することにある。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法は、下記一般式(1)で表される環状オレフィン系単量体および下記一般式(2)で表される環状オレフィン系単量体(但し、下記一般式(1)で表される構造のものを除く。)を含有してなる単量体組成物を共重合して得られる環状オレフィン系開環共重合体を水素添加することを特徴とする。
Figure 2006137958
〔式中、R1 〜R6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子により置換された炭化水素基、および、アルコキシ基、ハロゲン原子により置換されたアルコキシ基、アシルオキシ基、水酸基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基、ケトン基、アミノ基、スルフィド基、エーテル基、チオール基、シリル基およびハロゲン原子、炭化水素基若しくはアルコキシ基により置換されたシリル基から選ばれた極性基、並びに、これらの極性基により置換された極性炭化水素基よりなる群から選ばれた原子または基、或いはその他の1価の有機基を示す。X1 およびX2 は、それぞれ独立に、単結合、または−O−、−CO−、−NR7 −、−(CR8 9 p −、−CO2 −若しくは−OCO−で表される2価の基を示す。ここで、R7 〜R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を示し、pは1〜5の整数である。mは0または正の整数、nは0または1である。但し、mが0のときはnも0である。〕
Figure 2006137958
〔式中、R10〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子により置換された炭化水素基、および、アルコキシ基、ハロゲン原子により置換されたアルコキシ基、アシルオキシ基、水酸基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基、ケトン基、アミノ基、スルフィド基、エーテル基、チオール基、シリル基およびハロゲン原子、炭化水素基若しくはアルコキシ基により置換されたシリル基から選ばれた極性基、並びに、これらの極性基により置換された極性炭化水素基よりなる群から選ばれた原子または基、或いは、その他の1価の有機基を示し、R10〜R13のうち少なくとも1つは上記極性基または上記極性炭化水素基である。また、R10とR11またはR12とR13は一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、R10またはR11とR12またはR13とは互いに結合して、単環または多環構造を形成しても良い。kは0または正の整数、jは0または1である。ただし、kが0のときはjも0である。〕
本発明の環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法においては、前記一般式(1)で表される環状オレフィン系単量体と前記一般式(2)で表される環状オレフィン系単量体との割合が重量比で99:1〜1:99であることが好ましい。
本発明によれば、透明性および耐熱性に優れ、また、屈折率が高く、しかも、他の素材との密着性が高くて後加工が容易であり、さらに、トルエン、ジクロロメタンあるいはテトラヒドロフラン等の汎用溶剤に対する溶解性が高くて溶液による加工に供することができる環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法を提供することができる。
この方法による環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、種々の用途、例えば車載用製品、光ディスク、光磁気ディスク、光学レンズ(例えばFΘレンズ、ピックアップレンズ、レーザープリンター用レンズ、カメラ用レンズ等)、眼鏡レンズ、光学フィルム(例えばディスプレイ用フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、透明導電フィルム等)、光学シート、光ファイバー、導光板、光拡散板、光カード、光ミラー、IC・LSI・LED等の封止材などに好適に用いることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法においては、上記一般式(1)で表される環状オレフィン系単量体(以下、「特定の環状オレフィン系単量体(1)」という。)および上記一般式(2)で表される環状オレフィン系単量体(以下、「特定の環状オレフィン系単量体(2)」という。)を含有してなる単量体組成物を開環共重合して得られる環状オレフィン系開環共重合体を水素添加する。
特定の環状オレフィン系単量体(1)の構造を示す一般式(1)において、基R1 〜R6 は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、1価の有機基の具体例としては、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子により置換された炭化水素基、および、アルコキシ基、ハロゲン原子により置換されたアルコキシ基、アシルオキシ基、水酸基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基、ケトン基、アミノ基、スルフィド基、エーテル基、チオール基、シリル基およびハロゲン原子、炭化水素基若しくはアルコキシ基により置換されたシリル基から選ばれた極性基、並びに、これらの極性基により置換された極性炭化水素基などが挙げられる。
また、基X1 および基X2 は、それぞれ独立に、単結合、または−O−、−CO−、−NR7 −、−(CR8 9 p −、−CO2 −若しくは−OCO−で表される2価の基を示す。ここで、R7 〜R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基であり、pは1〜5の整数である。
また、mは、0または正の整数、好ましくは0〜2であり、nは0または1である。但し、mが0のときはnも0である。
このような特定の環状オレフィン系単量体(1)の具体例としては、
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,9,9a,10−ヘキサヒドロアントラセン、
11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[ 6.5.1.13,6 .02,7 .09,13] −4−ペンタデセン、
11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[ 6.6.1.13,6 .02,7 .09,14] −4−ヘキサデセン、
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロジベンゾフラン、
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール、
1,4−メタノ−1,4−ジヒドロフェナントレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,9,10,10a−ヘキサヒドロフェナントレン、
1,4−メタノ−1,4,4a,10a−テトラヒドロアントラキノン、
シクロペンタジエンとクマリンとのディールスアルダー付加体
などが挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて特定の環状オレフィン系単量体(1)として用いることができる。
これらの中では、高い耐熱性を有すると共に、高い屈折率を有する共重合体が得られる点で、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[ 6.5.1.13,6 .02,7 .09,13] −4−ペンタデセンを用いることが好ましく、特に、より高い屈折率を有する共重合体が得られる点で、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンを用いることが好ましい。
特定の環状オレフィン系単量体(2)の構造を示す一般式(2)において、基R10〜R13は、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基であり、1価の有機基の具体例としては、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子により置換された炭化水素基、および、アルコキシ基、ハロゲン原子により置換されたアルコキシ基、アシルオキシ基、水酸基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基、ケトン基、アミノ基、スルフィド基、エーテル基、チオール基、シリル基およびハロゲン原子、炭化水素基若しくはアルコキシ基により置換されたシリル基から選ばれた極性基、並びに、これらの極性基により置換された極性炭化水素基などが挙げられる。
また、基R10と基R11とは、または基R12と基R13とは、それぞれ一体化して2価の炭化水素基を形成しても良い。また、基R10または基R11と基R12または基R13とは互いに結合して、単環または多環構造を形成しても良い。
また、kは、0または正の整数、好ましくは0〜2であり、jは0または1である。但し、kが0のときはjも0である。
以上において、特定の環状オレフィン系単量体(2)には、上記一般式(1)で表される構造のものは含まれない。
このような特定の環状オレフィン系単量体(2)の具体例としては、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(4−フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,1 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,1 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリプロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−ベンゾイルオキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ベンゾイルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフタレンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフタレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(2−ナフタレンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフタレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(9−フルオレンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(9−フルオレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(2−フルオレンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、 5−(2−フルオレンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(9−アントラセンカルボニルオキシ)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ア(9−アントラセンカルボニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−ベンゾイルオキシ−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ベンゾイルオキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、 8−(1−ナフタレンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(1−ナフタレンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ナフタレンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ナフタレンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(4−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(3−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−ビフェニルカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(9−フルオレンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(9−フルオレンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−フルオレンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2−フルオレンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(9−アントラセンカルボニルオキシ)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(9−アントラセンカルボニルオキシ)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
などを挙げることができる。
これらの中では、優れた耐熱性、熱安定性を有し、吸湿性が低く、極性溶媒等に対する溶解性が高く、他の材料に対する密着性が高い共重合体が得られる点で、8−メチルー8ーメトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセンが好ましい。
これらの化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて特定の環状オレフィン系単量体(2)として用いることができる。
本発明において、単量体組成物における特定の環状オレフィン系単量体(1)と特定の環状オレフィン系単量体(2)との使用割合は、特定の環状オレフィン系単量体(1):特定の環状オレフィン系単量体(2)が重量比で99:1〜1:99であることが好ましく、より好ましくは90:10〜10:90、さらに好ましくは85:15〜15:85である。
特定の環状オレフィン系単量体(1)の使用割合が過小である場合には、得られる共重合体の水素添加物は屈折率が低いものとなることがある。一方、特定の環状オレフィン系単量体(2)の使用割合が過小である場合には、得られる共重合体の水素添加物は他の材料との密着性が低いものとなることがある。
本発明において水素添加される環状オレフィン系開環共重合体は、上記の特定の環状オレフィン系単量体(1)および特定の環状オレフィン系単量体(2)を含有してなる単量体組成物が共重合されてなるものであるが、当該単量体組成物には、特定の環状オレフィン系単量体(1)および特定の環状オレフィン系単量体(2)の他に、これらと共重合可能な単量体(以下、「共重合性単量体」という。)が含有されてなるものであってもよい。単量体組成物における共重合性単量体の含有割合は、得られる共重合体の水素添加物の透明性、耐熱性、他の材料との密着性或いは溶剤に対する溶解性を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、通常、単量体組成物全体の0〜50重量%、好ましくは0〜35重量%、さらに好ましくは0〜25重量%である。
このような共重合性単量体としては、特定の環状オレフィン系単量体(1)および特定の環状オレフィン系単量体(2)以外の環状オレフィン系単量体(以下、「他の環状オレフィン系単量体」ともいう。)、1,5−シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエンなどを用いることができる。
他の環状オレフィン系単量体の具体例としては、
シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン、
ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン、
トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、
ヘプタシクロ[8.7.0.13,6 .110,17 .112,15 .02,7 .011,16 ]−4−エイコセン、
ヘプタシクロ[8.8.0.14,7 .111,18 .113,16 .03,8 .012,17 ]−5−ヘンエイコセン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−n−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−n−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−n−オクチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−n−デシルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−(1−ナフチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、 5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−(2−ナフチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、 5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−(2−ナフチル)−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
5−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−(4−ビフェニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−シクロヘキセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、 8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
などを挙げることができる。
また、本発明において水素添加される環状オレフィン系開環共重合体においては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ノルボルネンまたはその誘導体の開環重合体などの主鎖に炭素−炭素間二重結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下において、単量体組成物を開環重合させたものであってもよい。
本発明において水素添加される環状オレフィン系開環共重合体を得るための開環重合触媒としては、メタセシス触媒が用いられる。
このようなメタセシス触媒としては、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、III B族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒を用いることが好ましい。また、このような触媒を用いる場合には、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
上記(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3 などの特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(b)成分の具体例としては、n−C4 9 Li、(C2 5 3 Al 、(C2 5 2 AlCl、(C2 5 1.5 AlCl1.5 、(C2 5 )AlCl2 、メチルアルモキサン、LiHなどの特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、さらに特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定の環状オレフィン系単量体(1)および特定の環状オレフィン系単量体(2)(以下、これらを総称して「特定単量体」という。)の合計とのモル比で「(a)成分:特定単量体の合計」が、通常1:500〜1:50000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる範囲とされる。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a)成分:(b)成分」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲とされる。(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c)成分:(a)成分」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲とされる。
本発明において水素添加される環状オレフィン系開環共重合体の分子量は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類などを選択することによっても調節することができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより、得られる環状オレフィン系開環共重合体の分子量を調節することが好ましい。
ここに、好適な分子量調節剤の具体例としては、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンなどを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが特に好ましい。これらの化合物は、単独であるいは2種以上を組み合わせて分子量調節剤として用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、開環重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルとされる。
開環重合反応において用いられる溶媒は、用いられる特定単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解するものであればよく、その具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化アルカン;アリールなどの化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル、ジメトキシエタンなどの飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、芳香族炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量は、「溶媒:特定単量体」が、重量比で、通常1:1〜10:1となる量とされ、好ましくは1:1〜5:1となる量とされる。
以上のようにして得られる環状オレフィン系開環共重合体中に含まれるオレフィン性不飽和二重結合に対して水素添加が行われることにより、得られる樹脂材料に高い熱安定性が得られ、当該樹脂材料を用いることにより、耐候性および耐光性等の耐久性の高い光学製品が得られる。
環状オレフィン系開環共重合体中に含まれるオレフィン性不飽和二重結合に対する水素添加反応は、通常の方法、すなわち、環状オレフィン系開環共重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを、0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。
不均一系触媒の具体例としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。
また、均一系触媒の具体例としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。
このような水素添加触媒の形態は、特に限定されず、たとえば粉末状のものであっても、粒状のものであってもよい。
これらの水素添加触媒は、「環状オレフィン系開環共重合体:水素添加触媒」が、重量比で、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
環状オレフィン系開環共重合体中に含まれるオレフィン性不飽和二重結合に対する水素添加反応の条件(水素ガス圧、反応温度、触媒の種類および使用割合)を上記の範囲内で適宜設定することにより、当該環状オレフィン系開環共重合体中に含まれる芳香環の二重結合に対する水素添加が防止または抑制され、実質的にオレフィン性不飽和二重結合のみに対して水素添加を行うことができる。
このようにして得られる環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、高い熱安定性および耐久性が確実に得られる点で、環状オレフィン系開環共重合体の主鎖中におけるオレフィン性不飽和二重結合に対する水素添加率が99%以上であることが好ましい。また、透明性などの所期の光学特性が確実に維持される点で、環状オレフィン系開環共重合体の側鎖の芳香環における二重結合の残存率が99. 0%以上であることが好ましい。
本発明による環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、30℃のクロロベンゼン中で測定した固有粘度(ηinh )が0.2〜5であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜4である。
また、本発明の環状オレフィン系開環共重合体およびその水素添加物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算)によって測定される数平均分子量(Mn)が3×103 〜5×105 で、重量平均分子量(Mw)が5×103 〜1×106 で、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜10であることが好ましい。
本発明による環状オレフィン系開環共重合体水素添加物には、公知の各種添加剤を添加することができる。
例えば環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の酸化安定性を向上させることを目的として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチルテトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオレート、4,4−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオレートなどのフェノール系酸化防止剤、ヒドロキノン系酸化防止剤、または例えばトリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトなどのりん系酸化防止剤の1種または2種以上を添加することができる。
また、紫外線に対する安定性を得ることを目的として、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2,−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]などの紫外線吸収剤を添加することができる。
また、加工性を向上させることを目的として、滑剤を添加することができる。
本発明による環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、高い透明性、高い耐熱性を有すると共に、また、溶剤に対する溶解性が高く、しかも、屈折率が高いものであり、また、特定の環状オレフィン系単量体(2)が極性基を有するものであるため、他の材料に対して高い密着性が得られる。従って、本発明の環状オレフィン系開環共重合体の水素添加物は、高い耐熱性が要求される車載用製品の樹脂材料として、或いは光学材料、電気電子材料として極めて有用であり、例えば光ディスク、光磁気ディスク、光学レンズ(例えばFθレンズ、ピックアップレンズ、レーザープリンター用レンズ、カメラ用レンズ等)、眼鏡レンズ、光学フィルム(例えばディスプレイ用フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、透明導電フィルム等)、光学シート、光ファイバー、導光板、光拡散板、光カード、光ミラー、IC・LSI・LED等封止材などに利用することができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例および比較例において、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、以下のようにして測定されたものである。
重量平均分子量および分子量分布:
東ソー株式会社製の「HLC−8020ゲルパーミエーションクロマトグラフィー」により、溶媒としてテトラヒドロフランを用い、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
〈実施例1〉
特定の環状オレフィン系単量体(1)として1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン5.25g、特定の環状オレフィン系単量体(2)として下記式(a)で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン29.75g、分子量調節剤として1−へキセン2.70g、および重合溶媒としてトルエン70gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。この反応系に、触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6モル/L)0.14mLおよびメタノール変性WCl6 トルエン溶液(濃度0.025モル/L)0.28mLを加え、80℃で3時間反応させることにより、環状オレフィン系開環共重合体を得た(以下、この環状オレフィン系開環共重合体を「開環共重合体(イ)」とする。)
Figure 2006137958
以上のようにして得られた開環共重合体(イ)の溶液の全量を、オートクレーブに入れ、さらにトルエン84g、および、水素添加触媒として、全単量体の仕込み量に対して500ppmとなる量のRuHCl(CO)[P(C6 5 )]3 を添加し、水素ガス圧が9〜10MPa、温度が160〜165℃の条件で、3時間の水素添加反応を行った。反応終了後、反応溶液を多量のメタノール溶液に加えて沈殿させることにより、環状オレフィン系開環共重合体水素添加物を得た。
この環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、重量平均分子量(Mw)が10.8×104 、分子量分布(Mw/Mn)が4.23、30℃のクロロベンゼン中で測定した固有粘度(ηinh )が0.67であった。
また、開環共重合体(イ)および得られた環状オレフィン系開環共重合体水素添加物について、 1H−NMR(400MHz)を測定し、主鎖中におけるオレフィン性不飽和二重結合に係る炭素原子に結合した水素原子によるピークおよび側鎖の芳香環における水素原子によるピークを調べたところ、開環共重合体(イ)の主鎖中におけるオレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は実質的に100%であり、側鎖の芳香環における二重結合に対する水素添加率は実質的に0%(芳香環の残存率が実質的に100%)であった。
得られた環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の 1H−NMR(400MHz)のスペクトルを図1に示し、赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
〈実施例2〉
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン〔特定の環状オレフィン系単量体(1)〕の量を12.5g、上記式(a)で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン〔特定の環状オレフィン系単量体(2)〕の量を12.5g、1−へキセン〔分子量調節剤〕の量を2.23g、およびトルエン〔重合溶媒〕の量を58gに変更したこと以外は、実施例1と同様にして環状オレフィン系開環共重合体を調製し(以下、この環状オレフィン系開環共重合体を「開環共重合体(ロ)」とする。)、環状オレフィン系開環共重合体水素添加物を得た。
この環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、重量平均分子量(Mw)が6.4×104 、分子量分布(Mw/Mn)が8.32、30℃のクロロベンゼン中で測定した固有粘度(ηinh )が0.41であった。
また、開環共重合体(ロ)および得られた環状オレフィン系開環共重合体水素添加物について、 1H−NMR(400MHz)を測定し、主鎖中におけるオレフィン性不飽和二重結合に係る炭素原子に結合した水素原子によるピークおよび側鎖の芳香環における水素原子によるピークを調べたところ、開環共重合体(ロ)の主鎖中におけるオレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は実質的に100%であり、側鎖の芳香環における二重結合に対する水素添加率は実質的に0%(芳香環の残存率が実質的に100%)であった。
得られた環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の 1H−NMR(400MHz)のスペクトルを図3に示し、赤外線吸収スペクトルを図4に示す。
〈比較例1〉
上記式(a)で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン50g、分子量調節剤として1−へキセン3.6gおよび重合溶媒としてトルエン100gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。この反応系に、触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6モル/L)0.09mLおよびメタノール変性WCl6 トルエン溶液(濃度0.025モル/L)0.29mLを加え、80℃で3時間反応させることにより、環状オレフィン系開環重合体を得た(以下、この環状オレフィン系開環重合体を「開環重合体(ハ)」とする。)。
開環共重合体(イ)の代わりに開環重合体(ハ)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして環状オレフィン系開環重合体水素添加物を得た。
この環状オレフィン系開環重合体水素添加物は、重量平均分子量(Mw)が6.8×104 、分子量分布(Mw/Mn)が3.20、30℃のクロロベンゼン中で測定した固有粘度(ηinh )が0.50であった。
また、この環状オレフィン系開環重合体水素添加物について、 1H−NMR(400MHz)を用いて水素添加率を測定したところ、環状オレフィン系開環重合体の主鎖中におけるオレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は実質的に100%であった。
〈比較例2〉
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン25.0g、分子量調節剤として1−へキセン4.0gおよび重合溶媒としてトルエン50gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。この反応系に、触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6モル/L)0.14mLおよびメタノール変性WCl6 トルエン溶液(濃度0.025モル/L)0.42mLを加え、80℃で3時間反応させることにより、環状オレフィン系開環重合体を得た(以下、この環状オレフィン系開環重合体を「開環重合体(ニ)」とする。)。
開環共重合体(イ)の代わりに開環重合体(ニ)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして環状オレフィン系開環重合体水素添加物を得た。
この環状オレフィン系開環重合体水素添加物は、重量平均分子量(Mw)が22.6×104 、分子量分布(Mw/Mn)が3.33、30℃のクロロベンゼン中で測定した固有粘度(ηinh )が0.87であった。
また、この環状オレフィン系開環重合体水素添加物について、 1H−NMR(400MHz)を用いて水素添加率を測定したところ、環状オレフィン系開環重合体の主鎖中におけるオレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は実質的に100%であった。
〔特性の評価〕
実施例1〜2に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物および比較例1〜2に係る環状オレフィン系開環重合体水素添加物について、下記の特性の評価を行った。
(1)耐熱性:
セイコーインスツルメンツ社製の示差走査熱量計を用い、窒素気流下において、昇温速度を毎分20℃の条件で、ガラス転移温度(Tg)を測定した。
(2)溶解性:
溶媒としてトルエン、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフランを用い、これらの溶媒に対する溶解性を調べた。
(3)透明性および屈折率:
実施例1〜2に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物および比較例1〜2に係る環状オレフィン系開環重合体水素添加物の各々の20gを、ジクロロメタン40gに溶解させ、得られた溶液を表面が平滑なガラス板上に流延し、その上に塵埃等の異物が付着しないようにカバーを配置した。そして、室温で6時間、次いで50℃で6時間、その後100℃で6時間で乾燥処理し、更に真空乾燥機により減圧下に80℃の条件で乾燥処理することにより、厚みが150μmの表面が平滑な樹脂シートを作製した。
この樹脂シートを用い、JIS K 7105に準拠して、全光線透過率および屈折率を測定した。
(4)他の材料との密着性:
上記(3)と同様にして樹脂シートを作製し、この樹脂シートを100mm×100mmのサイズにカットして試験用シートを作製した。この試験用シートの表面に、スピンコート法により紫外線硬化型ハードコート材(ジェイエスアール株式会社製,デソライトZ7524)を厚みが5μmとなるよう塗布し、その後、高圧水銀ランプを用いて1J/cm2 の条件で紫外線を照射することにより、ハードコート層を形成した。
そして、JIS K 5400に準拠して、100目碁盤目テープ試験を行い、残存目数/総目数を求めた。
以上、結果を表1に示す。
Figure 2006137958
表1の結果から明らかなように、実施例1〜2に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物は、透明性および耐熱性に優れ、また、屈折率が高く、しかも、他の素材との密着性が高く、さらに、種々の溶剤に対して高い溶解性を有するものであることが確認された。
実施例1に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の 1H−NMR(400MHz)のスペクトルを示す図である。 実施例1に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の赤外線吸収スペクトルを示す図である。 実施例2に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の 1H−NMR(400MHz)のスペクトルを示す図である。 実施例2に係る環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の赤外線吸収スペクトルを示す図である。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される環状オレフィン系単量体および下記一般式(2)で表される環状オレフィン系単量体(但し、下記一般式(1)で表される構造のものを除く。)を含有してなる単量体組成物を共重合して得られる環状オレフィン系開環共重合体を水素添加することを特徴とする環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法。
    Figure 2006137958
    〔式中、R1 〜R6 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子により置換された炭化水素基、および、アルコキシ基、ハロゲン原子により置換されたアルコキシ基、アシルオキシ基、水酸基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基、ケトン基、アミノ基、スルフィド基、エーテル基、チオール基、シリル基およびハロゲン原子、炭化水素基若しくはアルコキシ基により置換されたシリル基から選ばれた極性基、並びに、これらの極性基により置換された極性炭化水素基よりなる群から選ばれた原子または基、或いはその他の1価の有機基を示す。X1 およびX2 は、それぞれ独立に、単結合、または−O−、−CO−、−NR7 −、−(CR8 9 p −、−CO2 −若しくは−OCO−で表される2価の基を示す。ここで、R7 〜R9 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基または芳香族炭化水素基を示し、pは1〜5の整数である。mは0または正の整数、nは0または1である。但し、mが0のときはnも0である。〕
    Figure 2006137958
    〔式中、R10〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数が1〜10の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子により置換された炭化水素基、および、アルコキシ基、ハロゲン原子により置換されたアルコキシ基、アシルオキシ基、水酸基、エステル基、シアノ基、アミド基、イミド基、スルホニル基、ケトン基、アミノ基、スルフィド基、エーテル基、チオール基、シリル基およびハロゲン原子、炭化水素基若しくはアルコキシ基により置換されたシリル基から選ばれた極性基、並びに、これらの極性基により置換された極性炭化水素基よりなる群から選ばれた原子または基、或いは、その他の1価の有機基を示し、R10〜R13のうち少なくとも1つは上記極性基または上記極性炭化水素基である。また、R10とR11またはR12とR13は一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、R10またはR11とR12またはR13とは互いに結合して、単環または多環構造を形成しても良い。kは0または正の整数、jは0または1である。ただし、kが0のときはjも0である。〕
  2. 一般式(1)で表される環状オレフィン系単量体と一般式(2)で表される環状オレフィン系単量体との割合が重量比で99:1〜1:99であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系開環共重合体水素添加物の製造方法。
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