JP2006131986A - 転がり軸受、ウォームギヤモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】転動体が軌道輪の溝肩に乗り上げることが考えられる用途でも良好な音響特性が得られる転がり軸受を提供する。
【解決手段】モータ13の回転軸13aに結合されたウォーム軸32a,32bを、以下の構成の転がり軸受34a,34bで支持する。玉は、表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。内輪および外輪は、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48>0 …(1)
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1>0 …(2)
【選択図】 図1
【解決手段】モータ13の回転軸13aに結合されたウォーム軸32a,32bを、以下の構成の転がり軸受34a,34bで支持する。玉は、表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。内輪および外輪は、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48>0 …(1)
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1>0 …(2)
【選択図】 図1
Description
この発明は、転がり軸受およびこれを用いたウォームギヤモータに関する。
従来より、自動車のワイパー装置、電動シートアジャスト装置、電動パワーステアリング装置の小型電動モータとして、ウォームギヤモータが使用されている。このウォームギヤモータは、モータと、モータの回転軸に結合されたウォーム軸と、モータの回転を出力軸に伝達するウォームホイールとを備えている。
このウォーム軸を支持する転がり軸受として通常の軸受を使用すると、自動車の走行中に過大な衝撃荷重が作用した際に、転動体が軌道輪の溝肩に乗り上げる場合がある。この「乗り上げ」に伴って転動体に圧痕や永久変形が生じると、軸受の音響特性が劣化する。「乗り上げ」を防止するという点では、アンギュラ玉軸受を使用することが好ましい。しかし、ウォームホイールの回転の向きが変わる際にウォーム軸に対する荷重の向きが反転するため、アンギュラ玉軸受を使用する場合には複列にする必要がある。
このウォーム軸を支持する転がり軸受として通常の軸受を使用すると、自動車の走行中に過大な衝撃荷重が作用した際に、転動体が軌道輪の溝肩に乗り上げる場合がある。この「乗り上げ」に伴って転動体に圧痕や永久変形が生じると、軸受の音響特性が劣化する。「乗り上げ」を防止するという点では、アンギュラ玉軸受を使用することが好ましい。しかし、ウォームホイールの回転の向きが変わる際にウォーム軸に対する荷重の向きが反転するため、アンギュラ玉軸受を使用する場合には複列にする必要がある。
近年は、自動車の更なる小型化の要求から、ウォームギヤモータのウォーム軸を支持する転がり軸受として、単列深溝玉軸受を使用することが提案されている(例えば下記の特許文献1参照)。単列深溝玉軸受を使用する場合には、前述の「乗り上げ」によって転動体に圧痕や永久変形が生じないようにする必要がある。また、「乗り上げ」によって転動体に生じた圧痕や永久変形に起因して、軌道輪に作用する接線力が大きくなるため、軌道面にも損傷が発生し易くなる。
転動体の転動面および軌道輪の軌道面に圧痕が生じ難くする技術としては、下記の特許文献2および3に記載された技術が挙げられる。
特許文献2では、高炭素クロム軸受鋼からなる素材を用い、焼入れ、焼戻しを施すだけでなく、ショットピーニングを施して、表層部の硬さをビッカース硬さ(Hv)で850〜950、表層部の残留オーステナイト量を0〜10%としている。
特許文献2では、高炭素クロム軸受鋼からなる素材を用い、焼入れ、焼戻しを施すだけでなく、ショットピーニングを施して、表層部の硬さをビッカース硬さ(Hv)で850〜950、表層部の残留オーステナイト量を0〜10%としている。
特許文献3では、焼入れ後にサブゼロ処理および高温焼戻し処理を施すことで、表層部の硬さをロックウエル硬さ(HRC)で62以上、表層部の残留オーステナイト量を実質的に0としている。
特開2004−183828号公報
特開平5−195069号公報
特開2001−99163号公報
しかしながら、ウォームギヤモータのウォーム軸を支持する転がり軸受の場合、前記特許文献2および3に記載の技術を適用しただけでは、十分な転動疲労寿命と良好な音響特性を得ることは困難である。
本発明の課題は、転動体が軌道輪の溝肩に乗り上げることが考えられる用途でも、十分な転動疲労寿命と良好な音響特性が得られる転がり軸受を提供することにある。
本発明の課題は、転動体が軌道輪の溝肩に乗り上げることが考えられる用途でも、十分な転動疲労寿命と良好な音響特性が得られる転がり軸受を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、転動体が下記の条件A1またはA2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B1〜B4のいずれかを満たすことを特徴とする転がり軸受を提供する。
具体的には、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B1を満たすことを特徴とする転がり軸受(第1の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B2を満たすことを特徴とする転がり軸受(第2の転がり軸受)を提供する。
また、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B3を満たすことを特徴とする転がり軸受(第3の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B4を満たすことを特徴とする転がり軸受(第4の転がり軸受)を提供する。
具体的には、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B1を満たすことを特徴とする転がり軸受(第1の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B2を満たすことを特徴とする転がり軸受(第2の転がり軸受)を提供する。
また、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B3を満たすことを特徴とする転がり軸受(第3の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B4を満たすことを特徴とする転がり軸受(第4の転がり軸受)を提供する。
さらに、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B2を満たすことを特徴とする転がり軸受(第5の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B1を満たすことを特徴とする転がり軸受(第6の転がり軸受)を提供する。
また、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B4を満たすことを特徴とする転がり軸受(第7の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B3を満たすことを特徴とする転がり軸受(第8の転がり軸受)を提供する。
また、転動体が下記の条件A1を満たし、内輪および外輪が下記の条件B4を満たすことを特徴とする転がり軸受(第7の転がり軸受)と、転動体が下記の条件A2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B3を満たすことを特徴とする転がり軸受(第8の転がり軸受)を提供する。
〔条件A1〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼(以下「鋼A」と称する。)からなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れおよび焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより得られ、転動面の表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48=α>0 …(1)
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼(以下「鋼A」と称する。)からなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れおよび焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより得られ、転動面の表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48=α>0 …(1)
〔条件A2〕:
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより得られ、転動面の表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48=α>0 …(1)
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより得られ、転動面の表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48=α>0 …(1)
〔条件B1〕:
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れおよび焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れおよび焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
〔条件B2〕:
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
〔条件B3〕:
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、浸炭窒化処理を行った後、焼入れおよび焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上40体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たし、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、前記表層部の窒素含有率が0.05質量%以上1.0質量%以下である。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
なお、浸炭窒化処理の加熱温度は800〜860℃とし、焼戻し温度は150〜240℃とすることが好ましい。
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、浸炭窒化処理を行った後、焼入れおよび焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上40体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たし、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、前記表層部の窒素含有率が0.05質量%以上1.0質量%以下である。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
なお、浸炭窒化処理の加熱温度は800〜860℃とし、焼戻し温度は150〜240℃とすることが好ましい。
〔条件B4〕:
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、浸炭窒化処理を行った後、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上40体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たし、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、前記表層部の窒素含有率が0.05質量%以上1.0質量%以下である。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
鋼Aからなる素材を所定形状に形成し、次いで、浸炭窒化処理を行った後、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行うことにより得られ、軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上40体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たし、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、前記表層部の窒素含有率が0.05質量%以上1.0質量%以下である。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1=β>0 …(2)
<鋼Aの各成分の限定理由>
〔炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下〕
Cは、焼入れにより組織をマルテンサイト化するために必要な元素であり、マトリックスに固溶して鋼に硬さを付与する。また、Cr、Mo、V、W等の元素と結合して炭化物を形成して、耐摩耗性を付与する元素である。熱処理後に転がり軸受として必要な硬さと耐摩耗性を確保するために、0.7質量%以上含有する必要がある。
1.3質量%を超えて含有すると、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成され易くなって、転がり疲労寿命や機械的強度が著しく低下する場合がある。また、冷間加工性や旋削加工性が低くなって、加工コストが高くなる。
〔炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下〕
Cは、焼入れにより組織をマルテンサイト化するために必要な元素であり、マトリックスに固溶して鋼に硬さを付与する。また、Cr、Mo、V、W等の元素と結合して炭化物を形成して、耐摩耗性を付与する元素である。熱処理後に転がり軸受として必要な硬さと耐摩耗性を確保するために、0.7質量%以上含有する必要がある。
1.3質量%を超えて含有すると、製鋼時に粗大な共晶炭化物が生成され易くなって、転がり疲労寿命や機械的強度が著しく低下する場合がある。また、冷間加工性や旋削加工性が低くなって、加工コストが高くなる。
〔クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下〕
Crは、マトリックスに固溶して、焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性、耐食性等を高くするとともに、微細な炭化物を形成して、熱処理時の結晶粒の粗大化を防止して転動疲労寿命を長くしたり、耐摩耗性を高くしたりする元素である。Crの含有率が0.3質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
Crを2.0質量%を超えて含有させても、これらの効果が飽和する。
Crは、マトリックスに固溶して、焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性、耐食性等を高くするとともに、微細な炭化物を形成して、熱処理時の結晶粒の粗大化を防止して転動疲労寿命を長くしたり、耐摩耗性を高くしたりする元素である。Crの含有率が0.3質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
Crを2.0質量%を超えて含有させても、これらの効果が飽和する。
〔珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下〕
Siは、製鋼時の脱酸素剤として作用する元素であり、焼戻し軟化抵抗性を高くするために有効な元素でもある。Siの含有率が0.1質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
Siの含有率が1.5質量%を超えると、被削性が低下して加工コストが高くなる。
Siは、製鋼時の脱酸素剤として作用する元素であり、焼戻し軟化抵抗性を高くするために有効な元素でもある。Siの含有率が0.1質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
Siの含有率が1.5質量%を超えると、被削性が低下して加工コストが高くなる。
〔マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下〕
Mnは、製鋼時の脱酸素剤および脱硫剤として作用する元素であり、Siの含有率が0.1質量%未満であると、この作用が実質的に得られない。また、焼入れ性の向上効果を得るためには、0.25質量%以上含有することが好ましい。
Mnの含有率が1.5質量%を超えると、非金属介在物が多くなって、寿命が低下する場合がある。また、素材の鍛造性および被削性が低下して加工コストが高くなる。
Mnは、製鋼時の脱酸素剤および脱硫剤として作用する元素であり、Siの含有率が0.1質量%未満であると、この作用が実質的に得られない。また、焼入れ性の向上効果を得るためには、0.25質量%以上含有することが好ましい。
Mnの含有率が1.5質量%を超えると、非金属介在物が多くなって、寿命が低下する場合がある。また、素材の鍛造性および被削性が低下して加工コストが高くなる。
〔酸素(O)含有率が12質量ppm以下〕
Oは、酸化物系の非金属介在物を形成して転動疲労特性を低下させるため、極力その含有率を低くする必要があることから、その含有率の上限を12質量ppmとした。好ましくは9質量ppm以下とする。
〔残部が鉄(Fe)および不可避不純物〕
製鋼上不可避な不純物としては、P(リン)、S(硫黄)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Nv(ニオブ)等が挙げられる。
Oは、酸化物系の非金属介在物を形成して転動疲労特性を低下させるため、極力その含有率を低くする必要があることから、その含有率の上限を12質量ppmとした。好ましくは9質量ppm以下とする。
〔残部が鉄(Fe)および不可避不純物〕
製鋼上不可避な不純物としては、P(リン)、S(硫黄)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、Nv(ニオブ)等が挙げられる。
<条件A1による作用>
転動体は繰り返し剪断応力を受けることにより変形し易いため、過大な衝撃荷重を受ける用途では、転動面の表層部の残留オーステナイトを焼戻し時に極力分解させる必要がある。しかし、残留オーステナイト量を小さくする目的で焼戻し温度を高くしすぎると、表層部の硬さが低下して、耐圧痕性および転動疲労寿命が低下する。これらの観点から、転動体の転動面の表層部の残留オーステナイト量を、0を超え8体積%以下とした。
また、焼入れおよび焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより、耐圧痕性が向上し、疲労剥離や摩擦摩耗が生じ難くなる。機械的表面硬化処理としては、ショットピーニング、ショットブラスト、バレルピーニング等が採用できる。
さらに、H1 とγ1 の関係を上記(1)式を満たすものとすることにより、音響特性が良好となる。
転動体は繰り返し剪断応力を受けることにより変形し易いため、過大な衝撃荷重を受ける用途では、転動面の表層部の残留オーステナイトを焼戻し時に極力分解させる必要がある。しかし、残留オーステナイト量を小さくする目的で焼戻し温度を高くしすぎると、表層部の硬さが低下して、耐圧痕性および転動疲労寿命が低下する。これらの観点から、転動体の転動面の表層部の残留オーステナイト量を、0を超え8体積%以下とした。
また、焼入れおよび焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより、耐圧痕性が向上し、疲労剥離や摩擦摩耗が生じ難くなる。機械的表面硬化処理としては、ショットピーニング、ショットブラスト、バレルピーニング等が採用できる。
さらに、H1 とγ1 の関係を上記(1)式を満たすものとすることにより、音響特性が良好となる。
<条件B1による作用>
軌道輪の軌道面の表層部の残留オーステナイトは、接線力に起因する表面損傷を低減するために有効である。3体積%未満であるとこの効果が実質的に得られない。また、前記表層部の残留オーステナイト量に比例して耐久寿命が長くなるが、残留オーステナイト量が15体積%を超えると、耐圧痕性が低下する。
また、H2 とγ2 の関係を上記(2)式を満たすものとすることにより、転動疲寿命が良好となる。
軌道輪の軌道面の表層部の残留オーステナイトは、接線力に起因する表面損傷を低減するために有効である。3体積%未満であるとこの効果が実質的に得られない。また、前記表層部の残留オーステナイト量に比例して耐久寿命が長くなるが、残留オーステナイト量が15体積%を超えると、耐圧痕性が低下する。
また、H2 とγ2 の関係を上記(2)式を満たすものとすることにより、転動疲寿命が良好となる。
<条件B3による作用>
軌道輪の軌道面の表層部の残留オーステナイトは、接線力に起因する表面損傷を低減するために有効である。3体積%未満であるとこの効果が実質的に得られない。また、前記表層部の残留オーステナイト量に比例して耐久寿命が長くなるが、残留オーステナイト量を多くするためには浸炭窒化処理温度を高くする必要がある。しかし、浸炭窒化処理温度を高くし過ぎくすると、鋼の靱性が確保できなくなる。このような観点から、残留オーステナイト量の上限を40体積%とした。
軌道輪の軌道面の表層部の残留オーステナイトは、接線力に起因する表面損傷を低減するために有効である。3体積%未満であるとこの効果が実質的に得られない。また、前記表層部の残留オーステナイト量に比例して耐久寿命が長くなるが、残留オーステナイト量を多くするためには浸炭窒化処理温度を高くする必要がある。しかし、浸炭窒化処理温度を高くし過ぎくすると、鋼の靱性が確保できなくなる。このような観点から、残留オーステナイト量の上限を40体積%とした。
また、H2 とγ2 の関係を上記(2)式を満たすものとすることにより、転動疲労寿命が良好となる。
さらに、浸炭窒化処理により前記表層部に窒化物および炭窒化物が形成されることで、耐摩耗性が向上する。前記表層部の窒素含有率が0.05質量%未満であると、耐摩耗性向上作用が実質的に得られない。前記表層部の窒素含有率が1.0質量%を超えると、焼入れ後に異常組織が生じて硬さが低下し、耐久寿命が低下する恐れがある。
また、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%未満であると、硬さをHv680以上とすることができない。前記表層部の炭素含有率が2.5質量%を超えると、粗大な炭化物が析出して、十分な耐久寿命が得られない。
さらに、浸炭窒化処理により前記表層部に窒化物および炭窒化物が形成されることで、耐摩耗性が向上する。前記表層部の窒素含有率が0.05質量%未満であると、耐摩耗性向上作用が実質的に得られない。前記表層部の窒素含有率が1.0質量%を超えると、焼入れ後に異常組織が生じて硬さが低下し、耐久寿命が低下する恐れがある。
また、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%未満であると、硬さをHv680以上とすることができない。前記表層部の炭素含有率が2.5質量%を超えると、粗大な炭化物が析出して、十分な耐久寿命が得られない。
<サブゼロ処理による作用:条件A2、B2、およびB4>
焼入れ処理後にサブゼロ処理を行うと表層部の残留オーステナイト量は減少するが、硬さは向上する。そのため、焼入れ処理後にサブゼロ処理を行うことで、サブゼロ処理を行わない場合(条件A1、B1、およびB3の場合)と比較して、耐圧痕性および転動疲労寿命がさらに改善される。この場合、サブゼロ処理の温度を−190℃以上−60℃以下とすることが好ましい。−60℃を超えると、残留オーステナイト量のマルテンサイト変態が不十分となる。−190℃より低い温度での処理はコストが著しく高くなる。
焼入れ処理後にサブゼロ処理を行うと表層部の残留オーステナイト量は減少するが、硬さは向上する。そのため、焼入れ処理後にサブゼロ処理を行うことで、サブゼロ処理を行わない場合(条件A1、B1、およびB3の場合)と比較して、耐圧痕性および転動疲労寿命がさらに改善される。この場合、サブゼロ処理の温度を−190℃以上−60℃以下とすることが好ましい。−60℃を超えると、残留オーステナイト量のマルテンサイト変態が不十分となる。−190℃より低い温度での処理はコストが著しく高くなる。
本発明はまた、モータと、モータの回転軸に結合されたウォーム軸と、モータの回転を出力軸に伝達するウォームホイールと、を備えたウォームギヤモータにおいて、前記ウォーム軸が前記第1〜第8のいずれかの転がり軸受で支持されていることを特徴とするウォームギヤモータを提供する。
本発明の転がり軸受によれば、転動体が軌道輪の溝肩に乗り上げることが考えられる用途(例えば、ウォームギヤモータのウォーム軸の支持用途)でも、十分な転動疲労寿命と良好な音響特性が得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に相当するウォームギヤモータを示す図であり、ウォームギヤ部とその近傍が断面で示されている。
このウォームギヤモータは、車両用電動パワーステアリング装置の構成要素であって、歯車減速機構30と電動モータ13とで構成されている。歯車減速機構30は、ウォームホイール31、ウォームホイール31と噛み合うウォーム32、ウォーム32の両端に一体に形成されたウォーム軸32a,32b、ギヤケース33、および玉軸受(転がり軸受)34a,34bで構成されている。
図1は、本発明の一実施形態に相当するウォームギヤモータを示す図であり、ウォームギヤ部とその近傍が断面で示されている。
このウォームギヤモータは、車両用電動パワーステアリング装置の構成要素であって、歯車減速機構30と電動モータ13とで構成されている。歯車減速機構30は、ウォームホイール31、ウォームホイール31と噛み合うウォーム32、ウォーム32の両端に一体に形成されたウォーム軸32a,32b、ギヤケース33、および玉軸受(転がり軸受)34a,34bで構成されている。
ウォーム軸32a,32bは、それぞれギヤケース33に装着された玉軸受34a,34bによって回転自在に支持されている。また、ウォーム軸32bは電動モータ13の回転軸13aにスプライン結合されている。
ウォームホイール31の芯金42が下部舵輪軸11bと連結しているため、電動モータ13の回転がウォーム軸32およびウォームホイール31を経て下部舵輪軸(出力軸)11bに伝達される。
これらの玉軸受34a,34bを、下記の実施例に示すNo. 1−1〜1−4、No. 2−1〜2−6、No. 3−1〜3−4、およびNo. 4−1〜4−12の深溝玉軸受のいずれかと同じにすることにより、これらの玉軸受34a,34bは十分な転動疲労寿命と良好な音響特性が得られる。
ウォームホイール31の芯金42が下部舵輪軸11bと連結しているため、電動モータ13の回転がウォーム軸32およびウォームホイール31を経て下部舵輪軸(出力軸)11bに伝達される。
これらの玉軸受34a,34bを、下記の実施例に示すNo. 1−1〜1−4、No. 2−1〜2−6、No. 3−1〜3−4、およびNo. 4−1〜4−12の深溝玉軸受のいずれかと同じにすることにより、これらの玉軸受34a,34bは十分な転動疲労寿命と良好な音響特性が得られる。
〔第1の試験〕
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を玉(転動体)、内輪、外輪の各形状に加工した。
次に、玉については、表1に示す条件で熱処理を行った。
No. 1−1〜1−3では、先ず、表1に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表1に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。No. 1−4〜1−7では、先ず、表1に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、表1に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を玉(転動体)、内輪、外輪の各形状に加工した。
次に、玉については、表1に示す条件で熱処理を行った。
No. 1−1〜1−3では、先ず、表1に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表1に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。No. 1−4〜1−7では、先ず、表1に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、表1に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。
熱処理後の玉にバレルピーニング処理を施した。バレルピーニング処理は、断面形状が正八角形の容器(バレル)を備えた装置を使用して、回転速度と回転時間を調整して行った。次に、研磨処理を行った。
また、玉の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて玉の表面を測定し、球面補正した値を測定値とした。玉の表層部の残留オーステナイト量については、X線回折装置により玉の表面を測定した。
また、玉の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて玉の表面を測定し、球面補正した値を測定値とした。玉の表層部の残留オーステナイト量については、X線回折装置により玉の表面を測定した。
内輪および外輪については、熱処理として、860℃に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、200〜250℃に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
これらの玉、内輪、外輪を用いて各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリースを封入して、以下の方法で音響特性を調べる試験を行った。
すなわち、先ず、各軸受を回転試験機に取り付け、予圧29.4Nにて、速度1800min-1で回転させた状態で、アンデロンメータを用いて音響特性を示す量(アンデロン値)の初期値を測定した。
これらの玉、内輪、外輪を用いて各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリースを封入して、以下の方法で音響特性を調べる試験を行った。
すなわち、先ず、各軸受を回転試験機に取り付け、予圧29.4Nにて、速度1800min-1で回転させた状態で、アンデロンメータを用いて音響特性を示す量(アンデロン値)の初期値を測定した。
次に、軸受を回転試験機から外して、図2に示すように、軸受の外輪21を治具4に乗せ、内輪22に治具5を嵌めて上側からスラスト荷重P(2450N)を付与することにより、玉23を内輪22および外輪21の溝肩に乗り上げさせて、玉23に乗り上げ傷を付ける。次に、スラスト荷重を解除して、内輪22を回転させて玉23の接触位置を変える。この状態で再びスラスト荷重P(2450N)を付与する。このようにしてスラスト荷重の付与と解除を4回繰り返すことにより、玉23の複数カ所に乗り上げ傷を付ける。
次に、図2の治具4,5を外した軸受を、再度回転試験機に取り付けて、初期値測定時と同じ条件でアンデロン値を測定した。この測定値と前記初期値とからアンデロン値の上昇値を算出し、各値についてNo. 1−7(従来例)の値を「1」とした相対値を算出した。アンデロン値の測定範囲はHighバンド(1800〜10000Hz)までとした。
この結果を下記の表1に示す。表1では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。また、No. 1−1〜1−4のα値((1) 式の左辺)と、音響上昇値の比(アンデロン値の上昇値の相対値)との関係を、図2にグラフで示す。
この結果を下記の表1に示す。表1では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。また、No. 1−1〜1−4のα値((1) 式の左辺)と、音響上昇値の比(アンデロン値の上昇値の相対値)との関係を、図2にグラフで示す。
この結果から、玉の表層部の硬さHv900以上、残留オーステナイト量0を超え8体積%以下、(1) 式の左辺(α)>0を全て満たすNo. 1−1〜1−4の深溝玉軸受は、アンデロン値の上昇値がNo. 1−7の0.22〜0.40倍と小さかった。このうち、玉の熱処理で焼入れ後にサブゼロ処理を行ったNo. 1−1〜1−3のアンデロン値の上昇値の相対値は0.22〜0.29であり、サブゼロ処理を行っていないNo. 1−4のアンデロン値の上昇値の相対値0.40よりも小さかった。
これに対して、玉の表層部の硬さHv900以上、残留オーステナイト量0を超え8体積%以下、(1) 式の左辺(α)>0のいずれかを満たさないNo. 1−5〜1−6の深溝玉軸受は、アンデロン値の上昇値がNo. 1−7の1.00〜1.25倍と大きかった。
また、図2のグラフから、α値が大きいほど音響特性が良好になることが分かる。
なお、No. 1−1〜1−3の深溝玉軸受は本発明の第2の転がり軸受に相当する。No. 1−4の深溝玉軸受は本発明の第5の転がり軸受に相当する。
また、図2のグラフから、α値が大きいほど音響特性が良好になることが分かる。
なお、No. 1−1〜1−3の深溝玉軸受は本発明の第2の転がり軸受に相当する。No. 1−4の深溝玉軸受は本発明の第5の転がり軸受に相当する。
〔第2の試験〕
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を、内輪、外輪の各形状に加工した。次に、表2に示す条件で熱処理を行った。
No. 2−1〜2−4,2−7では、先ず、表2に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、表2に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。No. 2−5〜2−6,2−8では、先ず、表2に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表2に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を、内輪、外輪の各形状に加工した。次に、表2に示す条件で熱処理を行った。
No. 2−1〜2−4,2−7では、先ず、表2に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、表2に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。No. 2−5〜2−6,2−8では、先ず、表2に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表2に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
また、内外輪の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて軌道輪の表面から100μmの深さで測定した。内外輪の表層部の残留オーステナイト量については、軌道面を深さ50μmまで電解研磨した後、その研磨面をX線回折装置により測定した。
これらの内輪および外輪と第1の試験のNo. 1−3の玉を用いて、各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリース潤滑、アキシャル荷重544N、回転速度3900min-1の条件で回転させる試験を行った。そして、剥離に至るまで回転させて、それまでの回転時間を寿命とした。
得られた各サンプルでの寿命の値をNo. 2−8(従来例)の値で除算して、寿命比を算出した。この結果を下記の表2に示す。表2では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。
また、No. 2−1〜2−6のβ値((2) 式の左辺)と寿命比との関係を、図3にグラフで示す。
これらの内輪および外輪と第1の試験のNo. 1−3の玉を用いて、各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリース潤滑、アキシャル荷重544N、回転速度3900min-1の条件で回転させる試験を行った。そして、剥離に至るまで回転させて、それまでの回転時間を寿命とした。
得られた各サンプルでの寿命の値をNo. 2−8(従来例)の値で除算して、寿命比を算出した。この結果を下記の表2に示す。表2では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。
また、No. 2−1〜2−6のβ値((2) 式の左辺)と寿命比との関係を、図3にグラフで示す。
この結果から、内輪および外輪の表層部の硬さHv680以上、残留オーステナイト量3体積%以上15体積%以下、(2) 式の左辺(β)>0を全て満たすNo. 2−1〜2−6の深溝玉軸受は、No. 2−8の1.5〜2.4倍の寿命であった。このうち、内輪および外輪の熱処理で焼入れ後にサブゼロ処理を行ったNo. 2−5〜2−6の寿命比は2.0〜2.4であり、サブゼロ処理を行っていないNo. 2−1〜2−4の寿命比は1.5〜2.1であった。
これに対して、内輪および外輪の表層部の硬さ680以上、残留オーステナイト量3体積%以上15体積%以下、(2) 式の左辺(β)>0のいずれかを満たさないNo. 2−7の深溝玉軸受は、寿命比がNo. 2−8の0.6倍と短かった。
また、図3のグラフから、β値が大きいほど寿命が長くなることが分かる。
なお、No. 2−1〜2−4の深溝玉軸受は本発明の第6の転がり軸受に相当する。No. 2−5,2−6の深溝玉軸受は本発明の第2の転がり軸受に相当する。
また、図3のグラフから、β値が大きいほど寿命が長くなることが分かる。
なお、No. 2−1〜2−4の深溝玉軸受は本発明の第6の転がり軸受に相当する。No. 2−5,2−6の深溝玉軸受は本発明の第2の転がり軸受に相当する。
以上のように、第1の試験および第2の試験の結果から、玉が、表層部の硬さHv900以上、残留オーステナイト量0を超え8体積%以下、(1) 式の左辺(α)>0を全て満たすとともに、内輪および外輪が、表層部の硬さHv680以上、残留オーステナイト量3体積%以上15体積%以下、(2) 式の左辺(β)>0を全て満たす深溝玉軸受は、玉が内輪および外輪の溝肩に乗り上げることが考えられる用途で、良好な音響特性と十分な転動疲労寿命が得られることが分かる。
〔第3の試験〕
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を玉(転動体)、内輪、外輪の各形状に加工した。
次に、玉については、表3に示す条件で熱処理を行った。
No. 3−1〜3−3では、先ず、表3に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表3に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。No. 3−4〜3−7では、先ず、表3に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、表3に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を玉(転動体)、内輪、外輪の各形状に加工した。
次に、玉については、表3に示す条件で熱処理を行った。
No. 3−1〜3−3では、先ず、表3に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表3に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。No. 3−4〜3−7では、先ず、表3に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れを行い、次に、表3に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。
熱処理後の玉にバレルピーニング処理を施した。バレルピーニング処理は、断面形状が正八角形の容器(バレル)を備えた装置を使用して、回転速度と回転時間を調整して行った。次に、研磨処理を行った。
また、玉の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて玉の表面を測定し、球面補正した値を測定値とした。玉の表層部の残留オーステナイト量については、X線回折装置により玉の表面を測定した。
また、玉の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて玉の表面を測定し、球面補正した値を測定値とした。玉の表層部の残留オーステナイト量については、X線回折装置により玉の表面を測定した。
内輪および外輪については、熱処理として、RXガス+エンリッチガス+アンモニアガスの雰囲気で、840〜860℃に加熱し、2〜5時間保持することにより浸炭窒化処理を行った後、油焼入れを行い、さらに、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、150〜240℃に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
得られた内輪および外輪の表層部の炭素含有率と窒素含有率を測定したところ、炭素含有率は1.3〜1.8質量%であり、窒素含有率は0.1〜0.3質量%であった。
これらの玉、内輪、外輪を用いて各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリースを封入して、以下の方法で音響特性を調べる試験を行った。
すなわち、先ず、各軸受を回転試験機に取り付け、予圧29.4Nにて、速度1800min-1で回転させた状態で、アンデロンメータを用いて音響特性を示す量(アンデロン値)の初期値を測定した。
これらの玉、内輪、外輪を用いて各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリースを封入して、以下の方法で音響特性を調べる試験を行った。
すなわち、先ず、各軸受を回転試験機に取り付け、予圧29.4Nにて、速度1800min-1で回転させた状態で、アンデロンメータを用いて音響特性を示す量(アンデロン値)の初期値を測定した。
次に、軸受を回転試験機から外して、図2に示すように、軸受の外輪21を治具4に乗せ、内輪22に治具5を嵌めて上側からスラスト荷重P(2450N)を付与することにより、玉23を内輪22および外輪21の溝肩に乗り上げさせて、玉23に乗り上げ傷を付ける。次に、スラスト荷重を解除して、内輪22を回転させて玉23の接触位置を変える。この状態で再びスラスト荷重P(2450N)を付与する。このようにしてスラスト荷重の付与と解除を4回繰り返すことにより、玉23の複数カ所に乗り上げ傷を付ける。
次に、図2の治具4,5を外した軸受を、再度回転試験機に取り付けて、初期値測定時と同じ条件でアンデロン値を測定した。この測定値と前記初期値とからアンデロン値の上昇値を算出し、各値についてNo. 3−7(従来例)の値を「1」とした相対値を算出した。アンデロン値の測定範囲はHighバンド(1800〜10000Hz)までとした。
この結果を下記の表3に示す。表3では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。また、No. 3−1〜3−4のα値((1) 式の左辺)と、音響上昇値の比(アンデロン値の上昇値の相対値)との関係を、図5にグラフで示す。
この結果を下記の表3に示す。表3では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。また、No. 3−1〜3−4のα値((1) 式の左辺)と、音響上昇値の比(アンデロン値の上昇値の相対値)との関係を、図5にグラフで示す。
この結果から、玉の表層部の硬さHv900以上、残留オーステナイト量0を超え8体積%以下、(1) 式の左辺(α)>0を全て満たすNo. 3−1〜3−4の深溝玉軸受は、アンデロン値の上昇値がNo. 3−7の0.20〜0.40倍と小さかった。このうち、玉の熱処理で焼入れ後にサブゼロ処理を行ったNo. 3−1〜3−3のアンデロン値の上昇値の相対値は0.20〜0.26であり、サブゼロ処理を行っていないNo. 3−4のアンデロン値の上昇値の相対値0.40よりも小さかった。
これに対して、玉の表層部の硬さHv900以上、残留オーステナイト量0を超え8体積%以下、(1) 式の左辺(α)>0のいずれかを満たさないNo. 3−5〜3−6の深溝玉軸受は、アンデロン値の上昇値がNo. 3−7の1.00〜1.30倍と大きかった。
また、図5のグラフから、α値が大きいほど音響特性が良好になることが分かる。
なお、No. 3−1〜3−3の深溝玉軸受は本発明の第4の転がり軸受に相当する。No. 3−4の深溝玉軸受は本発明の第7の転がり軸受に相当する。
また、図5のグラフから、α値が大きいほど音響特性が良好になることが分かる。
なお、No. 3−1〜3−3の深溝玉軸受は本発明の第4の転がり軸受に相当する。No. 3−4の深溝玉軸受は本発明の第7の転がり軸受に相当する。
〔第4の試験〕
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を、内輪、外輪の各形状に加工した。次に、表4に示す条件で熱処理を行った。
No. 4−1〜4−3では、熱処理として、RXガス+エンリッチガス+アンモニアガスの雰囲気で、表4に示す各処理温度に加熱し、2〜5時間保持することにより浸炭窒化処理を行った後、油焼入れを行い、さらに、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表4に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
呼び番号608の深溝玉軸受(内径8mm、外径22mm、幅7mm)を以下の方法で作製した。
先ず、SUJ2からなる素材を、内輪、外輪の各形状に加工した。次に、表4に示す条件で熱処理を行った。
No. 4−1〜4−3では、熱処理として、RXガス+エンリッチガス+アンモニアガスの雰囲気で、表4に示す各処理温度に加熱し、2〜5時間保持することにより浸炭窒化処理を行った後、油焼入れを行い、さらに、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表4に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
No. 4−4〜4−6,No. 4−13では、熱処理として、RXガス+エンリッチガス+アンモニアガスの雰囲気で、表4に示す各処理温度に加熱し、2〜5時間保持することにより浸炭窒化処理を行った後、油焼入れを行いった。次に、表4に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
No. 4−7〜4−8,No. 4−15では、熱処理として、表4に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れ(ずぶ焼き)を行い、さらに、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表4に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
No. 4−7〜4−8,No. 4−15では、熱処理として、表4に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れ(ずぶ焼き)を行い、さらに、−60〜−190℃に0.5時間保持するサブゼロ処理を行った。次に、表4に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
No. 4−9〜4−12,No. 4−14では、熱処理として、表4に示す焼入れ温度に0.5時間保持した後に油冷却することで焼入れ(ずぶ焼き)を行った後に、表4に示す焼戻し温度に2時間保持する焼戻しを行った。次に、研磨処理を行った。
また、内外輪の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて軌道輪の表面から100μmの深さで測定した。内外輪の表層部の残留オーステナイト量については、軌道面を深さ50μmまで電解研磨した後、その研磨面をX線回折装置により測定した。内外輪の表層部の炭素含有率〔C〕と窒素含有率〔N〕はEPMA分析装置で測定した。
また、内外輪の表層部の硬さについては、ビッカース硬度計を用いて軌道輪の表面から100μmの深さで測定した。内外輪の表層部の残留オーステナイト量については、軌道面を深さ50μmまで電解研磨した後、その研磨面をX線回折装置により測定した。内外輪の表層部の炭素含有率〔C〕と窒素含有率〔N〕はEPMA分析装置で測定した。
これらの内輪および外輪と第3の試験のNo. 3−1の玉を用いて、各サンプルの深溝玉軸受を組み立て、グリース潤滑、アキシャル荷重544N、回転速度3900min-1の条件で回転させる試験を行った。そして、剥離に至るまで回転させて、それまでの回転時間を寿命とした。
得られた各サンプルでの寿命の値をNo. 4−15(従来例)の値で除算して、寿命比を算出した。この結果を下記の表4に示す。表4では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。
また、No. 4−1〜4−12のβ値((2) 式の左辺)と寿命比との関係を、図6にグラフで示す。
得られた各サンプルでの寿命の値をNo. 4−15(従来例)の値で除算して、寿命比を算出した。この結果を下記の表4に示す。表4では、本発明の範囲から外れる構成に下線を施した。
また、No. 4−1〜4−12のβ値((2) 式の左辺)と寿命比との関係を、図6にグラフで示す。
この結果から、内輪および外輪の表層部の硬さHv680以上、残留オーステナイト量3体積%以上40体積%以下、(2) 式の左辺(β)>0、浸炭窒化処理により表層部の〔C〕1.0質量%以上2.5質量%以下、窒素含有率〔N〕0.05質量%以上1.0質量%以下、を全て満たすNo. 4−1〜4−6の深溝玉軸受は、No. 4−15の3.0〜4.0倍の寿命であった。
また、内輪および外輪の表層部の硬さHv680以上、残留オーステナイト量3体積%以上15体積%以下、(2) 式の左辺(β)>0を全て満たすNo. 4−7〜4−12の深溝玉軸受は、No. 4−15の1.5〜2.3倍の寿命であった。
これに対して、内輪および外輪の表層部の残留オーステナイト量が0であるNo. 4−13の深溝玉軸受は、寿命比がNo. 4−15と同じだった。(2) 式の左辺(β)>0を満たさないNo. 4−14の深溝玉軸受は、寿命比がNo. 4−15の0.47倍と短かった。
これに対して、内輪および外輪の表層部の残留オーステナイト量が0であるNo. 4−13の深溝玉軸受は、寿命比がNo. 4−15と同じだった。(2) 式の左辺(β)>0を満たさないNo. 4−14の深溝玉軸受は、寿命比がNo. 4−15の0.47倍と短かった。
また、図6のグラフから、β値が大きいほど寿命が長くなることと、浸炭窒化処理を行ったNo. 4−1〜4−6の方が、浸炭窒化処理を行っていないNo. 4−7〜4−12よりも寿命が長くなることが分かる。
なお、No. 4−1〜4−3の深溝玉軸受は本発明の第4の転がり軸受に相当する。No. 4−4〜4−6の深溝玉軸受は本発明の第8の転がり軸受に相当する。No. 4−7,4−8の深溝玉軸受は、本発明の第2の転がり軸受に相当する。No. 4−9〜4−12の深溝玉軸受は本発明の第6の転がり軸受に相当する。
なお、No. 4−1〜4−3の深溝玉軸受は本発明の第4の転がり軸受に相当する。No. 4−4〜4−6の深溝玉軸受は本発明の第8の転がり軸受に相当する。No. 4−7,4−8の深溝玉軸受は、本発明の第2の転がり軸受に相当する。No. 4−9〜4−12の深溝玉軸受は本発明の第6の転がり軸受に相当する。
以上のように、第3の試験および第4の試験の結果から、玉が、表層部の硬さHv900以上、残留オーステナイト量0を超え8体積%以下、(1) 式の左辺(α)>0を全て満たすとともに、内輪および外輪が、表層部の硬さHv680以上、残留オーステナイト量3体積%以上40体積%以下、(2) 式の左辺(β)>0、浸炭窒化処理により表層部の〔C〕1.0質量%以上2.5質量%以下、窒素含有率〔N〕0.05質量%以上1.0質量%以下を全て満たす深溝玉軸受は、玉が内輪および外輪の溝肩に乗り上げることが考えられる用途で、良好な音響特性と十分な転動疲労寿命が得られることが分かる。
また、第2の試験および第4の試験の結果から、浸炭窒化処理を行って、内輪および外輪の表層部の〔C〕を1.0質量%以上2.5質量%以下、窒素含有率〔N〕を0.05質量%以上1.0質量%以下を満たすものとすることが、転動疲労寿命を向上するために有効であることが分かる。
また、第2の試験および第4の試験の結果から、浸炭窒化処理を行って、内輪および外輪の表層部の〔C〕を1.0質量%以上2.5質量%以下、窒素含有率〔N〕を0.05質量%以上1.0質量%以下を満たすものとすることが、転動疲労寿命を向上するために有効であることが分かる。
4 治具
5 治具
11b 下部舵輪軸(出力軸)
13 電動モータ
13a 回転軸
21 外輪
22 内輪
23 玉(転動体)
30 歯車減速機構
31 ウォームホイール
32 ウォーム
32a,32b ウォーム軸
33 ギヤケース
34a,34b 玉軸受(転がり軸受)
42 芯金
5 治具
11b 下部舵輪軸(出力軸)
13 電動モータ
13a 回転軸
21 外輪
22 内輪
23 玉(転動体)
30 歯車減速機構
31 ウォームホイール
32 ウォーム
32a,32b ウォーム軸
33 ギヤケース
34a,34b 玉軸受(転がり軸受)
42 芯金
Claims (2)
- 転動体が下記の条件A1またはA2を満たし、内輪および外輪が下記の条件B1〜B4のいずれかを満たすことを特徴とする転がり軸受。
〔条件A1〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れおよび焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより得られ、
転動面の表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48>0 …(1)
〔条件A2〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行った後、機械的表面硬化処理を行うことにより得られ、
転動面の表層部の硬さ(H1 )がビッカース硬さ(Hv)で900以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ1 )が0を超え8体積%以下であり、H1 とγ1 が下記の(1)式を満たす。
0.014×H1 −0.34×γ1 −9.48>0 …(1)
〔条件B1〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れおよび焼戻し処理を行うことにより得られ、
軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1>0 …(2)
〔条件B2〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に形成し、次いで、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行うことにより得られ、
軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上15体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たす。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1>0 …(2)
〔条件B3〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に形成し、次いで、浸炭窒化処理を行った後、焼入れおよび焼戻し処理を行うことにより得られ、
軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上40体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たし、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、前記表層部の窒素含有率が0.05質量%以上1.0質量%以下である。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1>0 …(2)
〔条件B4〕:
炭素(C)含有率が0.7質量%以上1.3質量%以下、クロム(Cr)含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、マンガン(Mn)含有率が0.1質量%以上1.5質量%以下、酸素(O)含有率が12質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に形成し、次いで、浸炭窒化処理を行った後、焼入れ処理、サブゼロ処理、および焼戻し処理を行うことにより得られ、
軌道面の表層部の硬さ(H2 )がビッカース硬さ(Hv)で680以上、前記表層部の残留オーステナイト量(γ2 )が3体積%以上40体積%以下であり、H2 とγ2 が下記の(2)式を満たし、前記表層部の炭素含有率が1.0質量%以上2.5質量%以下であり、前記表層部の窒素含有率が0.05質量%以上1.0質量%以下である。
0.0058×H2 +0.033×γ2 −4.1>0 …(2) - モータと、モータの回転軸に結合されたウォーム軸と、モータの回転を出力軸に伝達するウォームホイールと、を備えたウォームギヤモータにおいて、
前記ウォーム軸が請求項1記載の転がり軸受で支持されていることを特徴とするウォームギヤモータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004356392A JP2006131986A (ja) | 2004-10-08 | 2004-12-09 | 転がり軸受、ウォームギヤモータ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004296268 | 2004-10-08 | ||
JP2004356392A JP2006131986A (ja) | 2004-10-08 | 2004-12-09 | 転がり軸受、ウォームギヤモータ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006131986A true JP2006131986A (ja) | 2006-05-25 |
Family
ID=36725795
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004356392A Pending JP2006131986A (ja) | 2004-10-08 | 2004-12-09 | 転がり軸受、ウォームギヤモータ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006131986A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009191280A (ja) * | 2008-02-12 | 2009-08-27 | Nsk Ltd | ころ軸受及びその製造方法 |
JP2010185548A (ja) * | 2009-02-13 | 2010-08-26 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
JP2012163204A (ja) * | 2011-01-21 | 2012-08-30 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
WO2023058518A1 (ja) * | 2021-10-08 | 2023-04-13 | Ntn株式会社 | 転動部品及び転がり軸受 |
-
2004
- 2004-12-09 JP JP2004356392A patent/JP2006131986A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009191280A (ja) * | 2008-02-12 | 2009-08-27 | Nsk Ltd | ころ軸受及びその製造方法 |
JP2010185548A (ja) * | 2009-02-13 | 2010-08-26 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
JP2012163204A (ja) * | 2011-01-21 | 2012-08-30 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
WO2023058518A1 (ja) * | 2021-10-08 | 2023-04-13 | Ntn株式会社 | 転動部品及び転がり軸受 |
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