JP2006131108A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、ドライバの感覚に合わない無用な介入制御が適切に防止された車両制御装置の提供を目的とする。
【解決手段】 曲率を持つ道路区間であるコーナにおける車両制御のための車両制御装置であって、車両に発生する横加速度を検出又は算出する手段と、コーナ走行時の前記横加速度が所定閾値を越えた場合に警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段と、前記所定閾値は、曲率半径が略一定なコーナ区間において、車両進行方向の出口側で出口側よりも大きく設定されることを特徴とする。
【選択図】 図6
【解決手段】 曲率を持つ道路区間であるコーナにおける車両制御のための車両制御装置であって、車両に発生する横加速度を検出又は算出する手段と、コーナ走行時の前記横加速度が所定閾値を越えた場合に警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段と、前記所定閾値は、曲率半径が略一定なコーナ区間において、車両進行方向の出口側で出口側よりも大きく設定されることを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
本発明は、コーナ走行に関わる車両制御を行う車両制御装置に関する。
従来から、現在の自車位置よりも進行方向前方に仮自車位置を設定し、仮自車位置を通過する際の車速を予測し、該通過予測速度に基づいて該仮自車位置における旋回可能半径を算出し、該旋回可能半径に基づいて該仮自車位置を車両が通過可能であるかを判断し、その結果、車両の通過不能が判断されたときに警告発令及び/又は減速制御を実行する車両制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−143798号公報
ところで、コーナにおける車両走行の安全性を高めるためのアプローチは多岐にわたるが、上述の従来技術のようにコーナ手前で車両を制御するアプローチ、及び、コーナ走行中において車両を制御するアプローチの何れにおいても、無用な介入制御(警告発令及び/又は減速制御)は可及的に防止すべきである。
この点、上述の従来技術では、地図データ内に通常的に含まれる道路リンクのノード位置に仮自車位置を設定し、各仮自車位置での旋回可能半径と道路曲率の関係で、警告発令及び/又は減速制御の可否判断をしているが、仮自車位置が所与のノード位置に設定されるので、仮自車位置がドライバの感覚に合わない位置に設定される場合や、無用な介入制御が行われてしまう位置に設定される場合がありうる。これに対して、各仮自車位置をノード位置に限らず細かい間隔で設定することも考えられるが、この場合、計算負荷が増えるという問題点が生ずる。
また、コーナを安全に走行させるには、特にコーナの入口までの走行態様が重要となるが、この点、上述の従来技術では、仮自車位置が所与のノード位置に設定され、コーナの入口と出口での介入制御可否判断手法が同一となるため、コーナの出口で無用な介入制御が行われてしまう場合がありえる。
そこで、本発明は、ドライバの感覚に合わない無用な介入制御が適切に防止された車両制御装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一局面によれば、曲率を持つ道路区間であるコーナにおける車両制御のための車両制御装置であって、
車両に発生する横加速度を検出又は算出する手段と、
コーナ走行時の前記横加速度が所定閾値を越えた場合に警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段とを備え、
前記所定閾値は、曲率半径が略一定なコーナ区間において、車両進行方向の出口側で出口側よりも大きく設定されることを特徴とする、車両制御装置が提供される。
車両に発生する横加速度を検出又は算出する手段と、
コーナ走行時の前記横加速度が所定閾値を越えた場合に警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段とを備え、
前記所定閾値は、曲率半径が略一定なコーナ区間において、車両進行方向の出口側で出口側よりも大きく設定されることを特徴とする、車両制御装置が提供される。
本局面において、前記所定閾値は、前記コーナ区間において該コーナ区間の出口で最大となるように設定されてよい。
また、本発明のその他の一局面によれば、曲率を持つ道路区間であるコーナにおける車両制御のための車両制御装置であって、
クロソイド区間、及び、曲率半径が略一定な一定曲率区間からなるコーナに関するコーナ情報を取得するコーナ情報取得手段と、
進行方向前方にあるコーナを走行する際の目標横加速度を、該コーナの一定曲率区間に係る曲率情報に基づいて算出する目標横加速度決定手段と、
前記コーナ情報に基づいて、前記コーナに至るまでの制御区間を設定する制御区間設定手段と、
前記目標横加速度に応じて前記制御区間における車両の目標走行態様を決定し、該決定した目標走行態様に従って、前記制御区間において警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段とを備え、
前記制御区間設定手段は、車両進行方向で前記一定曲率区間の入口側に連続するクロソイド区間内に、前記制御区間の終点位置を設定することを特徴とする、車両制御装置が提供される。
クロソイド区間、及び、曲率半径が略一定な一定曲率区間からなるコーナに関するコーナ情報を取得するコーナ情報取得手段と、
進行方向前方にあるコーナを走行する際の目標横加速度を、該コーナの一定曲率区間に係る曲率情報に基づいて算出する目標横加速度決定手段と、
前記コーナ情報に基づいて、前記コーナに至るまでの制御区間を設定する制御区間設定手段と、
前記目標横加速度に応じて前記制御区間における車両の目標走行態様を決定し、該決定した目標走行態様に従って、前記制御区間において警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段とを備え、
前記制御区間設定手段は、車両進行方向で前記一定曲率区間の入口側に連続するクロソイド区間内に、前記制御区間の終点位置を設定することを特徴とする、車両制御装置が提供される。
本局面において、前記制御区間の終点位置は、前記クロソイド区間の終了点から所定距離だけ手前に設定され、該所定距離が可変とされてよい。この場合、前記所定距離は、ユーザにより選択設定可能とされてよく、及び/又は、前記目標横加速度と現在の車速によって定まる減速要求の度合いに応じて可変とされてよく、及び/又は、前記所定距離は、通常走行時におけるドライバの運転態様の学習結果に基づいて決定されてよい。
また、本局面において、前記コーナ情報は、複数車線を有するコーナに関する車線情報及び幅員情報を含み、前記目標横加速度決定手段は、前記複数車線を有するコーナを走行する際の走行予定車線を予測し、該走行予定車線に応じて曲率を補正した前記曲率情報に基づいて、前記目標横加速度を算出するものであってよい。前記コーナ情報は、コーナにおける路面の水平面に対する道路長手方向又は幅方向の傾斜に関する勾配情報を含み、前記目標横加速度決定手段は、前記勾配情報に基づいて補正した前記目標横加速度を算出するものであってよい。
本発明によれば、ドライバの感覚に合わない無用な介入制御が適切に防止された車両制御装置を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明による車両制御装置の一実施例を示すシステム構成図である。本実施例の車両制御装置は、統合マネージャ10を備える。統合マネージャ10は、通常的なECU(電子制御ユニット)と同様、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。
統合マネージャ10は、以下で詳説する如く、地図データベース20内に格納されているコーナ情報(後述する)に基づいて、車両進行方向前方に迫るコーナを把握し、当該コーナを安全に通過できるように、必要に応じて各種制御対象デバイスに制御指示を出して車両を制御する制御装置である。
上記の制御対象デバイスは、ブレーキ、エンジンやトランスミッションのような車両の運動を制御する装置のみならず、ディスプレイやオーディオのような警報装置として機能できる装置を含む。従って、統合マネージャ10からこれらの制御対象デバイスに送信される制御指示には、運動制御装置に対する加減速指示や、警報装置に対する加減速を促す警報出力指示が含まれる。
統合マネージャ10には、CAN(controller area network)などの適切なバスを介して、上記の制御デバイスの他、車両内の各種の電子部品(車速センサのような各種センサや各種ECU)が接続される。特に、本実施例の統合マネージャ10には、ナビゲーション装置の主要機能を実現するナビゲーションECU20が接続される。ナビゲーションECU20は、マイクロコンピュータで構成され、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えている。
ナビゲーションECU20には、DVD、CD−ROM等の記録媒体上に地図データを保有する地図データベース22や、地図表示や経路案内表示を映像により出力する液晶ディスプレイ等の表示装置24、ユーザインターフェースとなるタッチパネル等の操作入力部26等が接続されている。
ナビゲーションECU20には、自車位置検出手段28を備えている。自車位置検出手段28は、GPS(Global Positioning System)受信機、ビーコン受信機及びFM多重受信機や、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサを含む。自車位置検出手段28は、GPS受信機によりGPSアンテナを介してGPS衛星が出力するGPS信号を受信する。自車位置検出手段28は、GPS信号を所定形式の信号に変換してナビゲーションECU20に供給する。ナビゲーションECU20は、GPS信号や各種センサから供給された信号に基づいて、現在の車両位置及び車両方位を演算する。
地図データベース22には、地図データが格納されている。地図データには、通常的なものと同様、交差点・高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報、各リンクに対応する国道・県道・高速道路等の道路種別、各リンクの通行規制情報及び各リンク間の通行規制情報等が含まれている。
本実施例の地図データベース22には、更に、コーナの形状に関する情報としてコーナ情報が含まれている。
図2は、典型的なコーナを示す説明図である。コーナは、図2に示すように、クロソイド曲線(緩和曲線)の形状を有する入口側のクロソイド区間、一定曲率区間、及び、クロソイド曲線の形状を有する出口側のクロソイド区間からなる。尚、図2に示す入口側及び出口側のクロソイド区間には直線区間Xsが接続されている。
コーナ情報は、図2及び図3に示すように、クロソイド区間の開始点KA1及び終了点KA2(座標値)、一定曲率区間の開始点KE1及び終了点KE2、一定曲率区間の曲率半径R[m]、カントα[%]、旋回角度θ[rad]、クロソイド区間の区間長Xc[m]及び一定曲率区間の区間長Xf[m]若しくはその類を含む。このようなコーナ情報は、複数のコーナに対してコーナ毎に生成され、地図データベース22に格納されている。
ここで、一般的なナビゲーション装置の地図データには、これらのコーナ情報は含まれていない。典型的には、コーナは点情報の集合として管理されている。かかる地図データに対しては、これらの点情報から上記のコーナ情報(曲率半径Rや区間長Xc,Xfなど)が予め算出・生成され、これらがコーナ情報として地図データベース22に格納されてもよい。
或いは、コーナ情報は、一般的なナビゲーション装置の地図データに代えて若しくはそれに加えて、詳細な実測データを用いて導出されたものであってもよく、若しくは、当該コーナを実走行した際に得られる横加速度データ(センサ出力)に基づいて逆算的に導出されたものであってもよい。前者の場合として、具体的には各種入手可能な工事図面から曲率情報を導出してもよく、又は、航空写真から道路のセンターラインに対して形状点列を打点し、当該打点データを解析して曲率情報を導出してもよい。
尚、地図データベース22内にこれらのコーナ情報を事後的に追記・更新する構成の場合には、地図データベース22はハードディスクのような書き込み可能な記録媒体により構成されてよい。
図4は、進行方向前方にコーナが存在する際におけるナビゲーションECU20及び統合マネージャ10の処理を示すフローチャートである。
先ず、ステップ100として、ナビゲーションECU20は、車両の現在位置と地図データに基づいて進行方向前方のコーナを検出する。
続くステップ110として、ナビゲーションECU20は、当該検出したコーナに係るコーナ情報を地図データベース22内から検索して取り出し、当該取り出したコーナ情報を統合マネージャ10に送信する。この際、ナビゲーションECU20は、旋回角度θが大きいが曲率半径が大きいコーナや、及び、曲率半径が小さいが旋回角度θが小さいコーナを非制御対象コーナと判断し、かかる非制御対象コーナの場合には、統合マネージャ10への送信を行わないようにしてもよい。
このようにしてナビゲーションECU20からコーナ情報が供給されると、ステップ200以降において、統合マネージャ10が、当該コーナ情報に基づく車両制御を実行することになる。尚、以下、前提として、統合マネージャ10には、ナビゲーションECU20の自車位置検出手段28により検出される自車位置情報及び車速センサからの自車速情報が、所定周期毎に供給されており、統合マネージャ10は、常時、最新の車両位置(及び例えば後述するコーナ進入地点までの距離など)及び車速を算出・把握しているものとする。
先ず、ステップ200として、統合マネージャ10は、コーナ情報に基づいて、当該進行方向前方のコーナに至るまでの制御区間を設定する。この制御区間の始点は、図2に示すように、現在の車両位置若しくはそれよりも前方の適切な位置であってよく、終点は、クロソイド区間の開始点KA1から一定曲率区間の開始点KE1まで間の所定地点(例えば、一定曲率区間の開始点KE1よりもβm手前の地点)に設定される。以下、制御区間の終点を「コーナ進入地点」ともいう。
次に、ステップ205として、統合マネージャ10は、コーナ情報及び車速情報に基づいて、当該進行方向前方のコーナに対するコーナ進入速度VINを予測する。コーナ進入速度VINは、上記ステップ200で決定されるコーナ進入地点(=制御区間の終点)における車速である。
本ステップ205において、コーナ進入速度VINは、単純に現時点の車速が維持されると想定してもよく、若しくは、車速の履歴(加速度など)に基づいて予測できる加減速態様を反映して導出されてもよい。
続くステップ210として、統合マネージャ10は、コーナ進入速度VIN、曲率半径R及びカントαを用いて、Gy=VIN 2/R+α/100に従って、コーナ走行時(即ち一定曲率区間走行時)に車両に発生するだろうと予測される横加速度Gyを求める。
尚、この予測横加速度Gyの演算は、ナビゲーションECU20により実行されてもよい。この場合、ナビゲーションECU20は、上記ステップ110において、上述のコーナ情報と共に予測横加速度Gyの演算値を統合マネージャ10に供給することになる。
続くステップ220として、統合マネージャ10は、予測横加速度Gyが所定限度値Th0を超えるか否かを判断する。
予測横加速度Gyが所定限度値Th0を超える場合、統合マネージャ10は、ステップ230として、制御対象デバイスに車両制御及び/又は警報出力を実行するように指令を与える。この際、統合マネージャ10は、例えば、予測した横加速度Gyと所定の目標横加速度との比較結果に基づいて目標減速度[m/s2]を決定し、これをブレーキECUに対して送信してよい。この場合、ブレーキECUは、目標減速度に応じたブレーキ圧を発生するようにブレーキアクチュエータを制御する(減速制御)。
本ステップ230において、予測横加速度Gyと比較される所定限度値Th0は、コーナ進入地点までの距離に応じて異なる値に設定されてよい。例えば、コーナ進入地点までの距離が十分ある場合には、所定限度値Th0が比較的大きく設定されてよい。
本ステップ205〜230の処理は、車両がコーナ進入地点(一定曲率区間の開始点KE1よりもβm手前の地点)に到達するまで所定周期毎に繰り返し実行されてよい。この場合、警告などに応答した運転者の運転動作や上述の介入減速制御により生じうる車両の走行状態の変化を反映させつつ、車両制御を行うことができる。
尚、本実施例では、車両がコーナ進入地点を通過すると、当該コーナを抜けるまで制御対象デバイスによる介入制御が禁止される。従って、これ以後、車両は、コーナ(一定曲率区間)における勾配が一定であり(登りや下り道路でなく)、ユーザによる加減速のためのペダル操作がない限り、コーナ進入地点での車速と実質的に等速でコーナを走行することになる。
以上のように本実施例によれば、コーナ情報に基づいて、一定曲率区間の入口側に連続するクロソイド区間内に制御区間の終点(コーナ進入地点)を決定するので、適切な制御区間の設定が可能である。これにより、コーナと関連のない区間での無用な介入制御が防止されるのは当然として、コーナに至るまでの区間内であっても、コーナの形状に関連しない位置を制御区間の終点として設定する構成に比して、より適切な介入制御の可否判断を実現することができる。
上記の実施例において、制御区間の終点は、減速を伴う介入制御の開始を可及的に遅らせたい観点(即ち、早過ぎる減速の介入制御を避けたい観点)からは、一定曲率区間の開始点KE1に近い位置に設定される方が良いが(即ち、βが0に近づくほど良い)、クロソイド区間の後半部分では横加速度が発生し始めるので、横加速度発生状態での減速時に生ずる車両挙動の乱れを可及的に防止したい観点からは、制御区間の終点は、一定曲率区間の開始点KE1から遠い位置に設定される方が良い(即ち、βがXcに近づくほど良い)といえる。
この観点から、制御区間の終点は、クロソイド区間の中間地点付近に標準設定されてよい(即ち、β=Xc/2)。
但し、制御区間の終点(βの値)の適正化は、ユーザ(ドライバ)の運転技量、癖、好みなどといったようなユーザ毎に異なる要因にも関連するので、ユーザにより選択設定されるものであってもよい。或いは、統合マネージャ10が、ユーザ(ドライバ)の運転技量、癖などを考慮して、制御区間の終点(βの値)を調整してもよい。この場合、統合マネージャ10は、通常走行時、各ユーザの運転態様を収集・学習することでドライバモデル12(図1参照)を構築しておき、かかるドライバモデル12に基づいて各ユーザに応じた制御区間の終点(βの値)を決定してよい。例えば、極端なケースとして、スポーティーな走りを好むユーザに対しては、制御区間の終点は、一定曲率区間の開始点KE1に設定され(即ち、β≒0)、安全指向のユーザに対しては、制御区間の終点は、クロソイド区間の開始点KA1に設定されてよい(即ち、β≒Xc)。
また、制御区間の終点(βの値)は、減速要求度合いに応じて可変とされて良い。例えば、上記ステップ220において、減速要求度合いが大きい場合、即ち、予測横加速度Gyが所定限度値Th0を大きく超える場合には、制御区間の終点を一定曲率区間の開始点KE1に近づけ(即ちβの値を減らして)、再度、上記ステップ205からの処理を実行してもよい。同様に、減速要求度合いが小さい場合、即ち、予測横加速度Gyが所定限度値Th0から大きく逸脱しない場合には、制御区間の終点を一定曲率区間の開始点KE1に遠ざけ(即ちβの値を増やして)、再度、上記ステップ205からの処理を実行してもよい。
また、制御区間の始点(即ち上記ステップ230の実行開始地点)についても、ユーザ(ドライバ)の運転技量、癖、好み、及び/又は、減速要求度合いに応じて適切に決定・調整されてよい。
次に、図5を参照して、上記の実施例において適用可能な変形例を説明する。
本変形例は、進行方向前方に検出されるコーナが複数車線を有するコーナである場合に好適である。尚、本変形例は、上記の実施例に対して上記ステップ210(予測横加速度Gyの算出処理)のみが異なるので、他の部分についての上述と同一であり、説明を省略する。
複数車線を有するコーナ(片側一車線の対面走行のコーナを含む)である場合、上記ステップ210において、統合マネージャ10は、当該複数車線のコーナを走行する際の走行予定車線を予測し、該走行予定車線に応じて曲率半径Rを補正し、予測横加速度Gyを算出する。これは、一般的に入手可能なコーナ情報としての曲率半径Rは、道路のセンターラインに沿って算出・測定されているので、図5に示すように、実際の走行車線の曲率半径に対してずれがあるためである。
走行予定車線は、現在の走行車線が維持されるものとして予測されてよい。現在の走行車線は、例えば前方監視カメラの撮像画像に対する画像認識処理(即ち、レーンマーカー、白線認識技術)及び/又は搬送波位相式GPS測位を用いて実現されてよい。
具体的には、左側通行の道路で右コーナの場合及び右側通行の道路で左コーナの場合、
R’=R+(n−1+1/2)×Wに従って、補正曲率半径R’が算出される。また、左側通行の道路で左コーナの場合及び右側通行の道路で右コーナの場合、
R’=R−(n−1+1/2)×Wに従って、補正曲率半径R’が算出される。
ここで、Wは、一車線のレーン幅であり、nは、走行予定車線がセンターラインに対して外側に何車線目かを示す。例えば、片側3車線のコーナに対して、走行予定車線が最も中央側の車線の場合、n=1であり、最も外側の車線の場合はn=3であり、真ん中の車線の場合はn=2である。
R’=R+(n−1+1/2)×Wに従って、補正曲率半径R’が算出される。また、左側通行の道路で左コーナの場合及び右側通行の道路で右コーナの場合、
R’=R−(n−1+1/2)×Wに従って、補正曲率半径R’が算出される。
ここで、Wは、一車線のレーン幅であり、nは、走行予定車線がセンターラインに対して外側に何車線目かを示す。例えば、片側3車線のコーナに対して、走行予定車線が最も中央側の車線の場合、n=1であり、最も外側の車線の場合はn=3であり、真ん中の車線の場合はn=2である。
この場合、統合マネージャ10は、コーナ進入速度VIN、補正曲率半径R’及びカントαを用いて、Gy=VIN 2/R’+α/100に従って予測横加速度Gyを算出する。尚、車両がコーナ進入地点に到達するまでに走行予定車線に変更が生じた場合には、当該変更後の走行予定車線に基づく補正曲率半径R’を用いて新たな予測横加速度Gyが算出される。この際、ウインカー(ターンニングランプ)の点灯のためのユーザ操作の検出結果により事前に車線変更を予測できる場合、補正曲率半径R’及び新たな予測横加速度Gyの算出が速やかに実行されてもよい。
このように本変形例によれば、走行予定車線に応じて曲率半径Rが補正されるので、より正確な曲率半径に基づいて予測横加速度Gyを算出することができ、車両制御の精度・信頼性が向上する。
次に、図6を参照して、図4を参照して上述した実施例(第1実施例)とは別の実施例(第2実施例)を説明する。尚、本第2実施例の説明において、用語については第1実施例と共通の意味を有する。
第2実施例は、コーナ走行中、即ち上述のコーナの一定曲率区間を走行している間の処理に関するものである。
図6は、コーナ走行中及びコーナ終了段階における統合マネージャ10の処理を示すフローチャートである。本処理は、図4に示すフローチャートにおけるステップ110の処理に後続して実行される。尚、以下、前提として、統合マネージャ10には、ナビゲーションECU20の自車位置検出手段28により検出される自車位置情報及び車速センサからの自車速情報が、所定周期毎に供給されており、統合マネージャ10は、常時、最新の車両位置及び車速を算出・把握しているものとする。
先ず、車両がコーナ進入地点を通過し、一定曲率区間内に車両が進入すると(ステップ300)、ステップ310として、統合マネージャ10は、車両に発生する横加速度Gy’を検出・算出する。横加速度Gy’は、横加速度検出センサ(図示せず)に基づいて検出されてもよく、若しくは、上述の如く現時点の車速Vを用いて、Gy’=V2/R+α/100により算出されてもよい。以下、このようにして導出される横加速度Gy’を上述の予測横加速度Gyと区別するため「検出横加速度Gy’」という。
ステップ320として、統合マネージャ10は、検出横加速度Gy’が閾値Thを超えるか否かを判断する。検出横加速度Gy’が閾値Thを超えない場合には、現在の車両位置が一定曲率区間外になるまで(即ちコーナを抜け出すまで)、上記ステップ310に戻る。一方、検出横加速度Gy’が閾値Thを超えた場合には、ステップ330として、検出横加速度Gy’の増加を抑制するための減速制御及び/又は警報制御が実行される。
ステップ330で減速制御を行う場合、統合マネージャ10は、検出横加速度Gy’が閾値Th付近に留まる程度の減速度、他言すると、ユーザによる加速操作で発生する加速度を相殺する減速度を発生させることとしてよい。
本ステップ310〜330の処理は、車両がコーナ出口(一定曲率区間の終了点KE2)に到達するまで所定周期毎に繰り返し実行されてよい。これにより、ステップ330で減速制御を行う構成では、検出横加速度Gy’を閾値Thから大きく逸脱しないように車両制御を行うことができる。
尚、ステップ330で警報のみを行う構成では、検出横加速度Gy’と閾値Thとの関係で警報の出力を調整してよい。例えば、検出横加速度Gy’が閾値Thから大きく逸脱しない限り、警報は一回きりに留めてよく、検出横加速度Gy’の上昇が検出される場合に更なる警報を出力することとしてよい。尚、車両がコーナ出口を通過すると、統合マネージャ10による処理が終了される。
図7(A)は、検出横加速度Gy’に対する閾値Thの一定曲率区間における変化態様を示す図である。上記ステップ320において、統合マネージャ10は、図7(A)に示すような閾値パターンに基づいて、一定曲率区間内における現在の車両位置に応じた閾値Thを決定する。
図7(A)は、検出横加速度Gy’に対する閾値Thの一定曲率区間における変化態様を示す図である。上記ステップ320において、統合マネージャ10は、図7(A)に示すような閾値パターンに基づいて、一定曲率区間内における現在の車両位置に応じた閾値Thを決定する。
本実施例では、閾値Thは、図7(A)に示すように、一定曲率区間の出口側で出口側よりも大きく設定される。図7(A)に示す例では、閾値Thは、一定曲率区間の開始点KE1から中間点まで一定値を保ち、中間点から一定曲率区間の終了点KE2にかけて徐々に増加する。このように本実施例によれば、コーナ入口に比してコーナ出口(一定曲率区間の終了点KE2)でより大きな検出横加速度Gy’が許容されるので、コーナ入口手前から加速を早めてコーナを抜け出そうとする走行スタイルに適合できる。即ち、本実施例によれば、コーナ出口手前からのみ加速が許容されるので、コーナ通過の安全性を保ちつつ、コーナ途中から加速を早めたいユーザにも対応できる。
尚、上記の実施例において、統合マネージャ10は、コーナを抜け出した後にクロソイド曲線を介して直線区間が延在するような場合であって、一定曲率区間の出口側から大幅な加速が可能である場合には、一定曲率区間の出口手前から閾値Thを大幅に増加させてもよい。これは、スポーティーな走りを好むユーザに対して好適である。
また、統合マネージャ10は、コーナを抜け出した後に直ぐに更なるコーナがある場合、即ちコーナが連続する場合、1つ目のコーナの出口での加速を抑制するため、一定曲率区間において閾値Thが一定に保たれる図7(B)に示す閾値パターンを用いてもよい。
次に、上述の第1実施例と第2実施例とを組み合せる場合を第3実施例として説明する。
以下、第3実施例における各処理について、図4や図6に示す処理に対して異なる部分のみを説明する。
第3実施例における各処理の流れは、上述の図6に示す処理が、上述の図4に示す処理が終了した段階、即ち車両がコーナ進入地点に到達した段階から開始されるものに相当する。しかしながら、上述の第1実施例では、制御区間の終点を車両が通過すると、介入制御が禁止されるとしているが、上述の第2実施例では、上述のステップ320の説明からも明らかなように、制御区間の終点を車両が通過した後にも介入制御が実行されうる。この第3実施例は、これらのつなぎの部分、即ち制御区間の終点の通過する前後の介入制御の実行態様に関するものである。
図8は、制御区間の終点を車両が通過した後における第3実施例に係る統合マネージャ10の処理を示すフローチャートである。尚、以下、前提として、統合マネージャ10には、ナビゲーションECU20の自車位置検出手段28により検出される自車位置情報及び車速センサからの自車速情報が、所定周期毎に供給されており、統合マネージャ10は、常時、最新の車両位置及び車速を算出・把握しているものとする。
制御区間の終点を車両が通過すると(ステップ400)、ステップ410として、統合マネージャ10は、制御区間の終点時点での横加速度Gy’’を検出・算出する。横加速度Gy’’は、横加速度検出センサ(図示せず)に基づいて検出されてもよく、若しくは、上述の如く現時点の車速V及び近似的に曲率半径Rを用いて、Gy’’=V2/R+α/100により算出されてもよい。以下、このようにして導出される横加速度Gy’’を上述の予測横加速度Gyなどと区別するため「検出横加速度Gy’’」という。
続くステップ420では、統合マネージャ10は、制御区間の終点時点での検出横加速度Gy’’が、ステップ220で用いられる予測横加速度Gyに対する所定限度値Th0よりも大きいか否かを判断する。検出横加速度Gy’’が所定限度値Th0よりも小さい場合、ステップ310以降の処理にそのまま移行する。これは、コーナに安全な速度で進入した典型的な場合である。
一方、検出横加速度Gy’’が所定限度値Th0よりも大きい場合(典型的には、介入制御によっても十分な車速まで落としきれないままコーナに進行している場合)、統合マネージャ10は、検出横加速度Gy’’に基づいて、図7(C)に示すような閾値パターンを設定する(ステップ430)。
図7(C)には、対照として図7(C)に示す閾値パターンが破線で示されている。図7(C)に示すように、この場合の閾値パターンは、制御区間の終点時点から一定曲率区間の中間点まで、制御区間の終点時点での検出横加速度Gy’’と同一値若しくは所定の限度値で保たれ、以後、中間点から一定曲率区間の終了点KE2にかけて徐々に増加する(即ち、図7(A)の閾値パターンに吸収される)。
本ステップ430で閾値パターンが設定されると、以後、ステップ310以降の処理に移行する。従って、この場合、ステップ320で用いられる閾値Thは、図7(C)に示す閾値パターンに基づいて決定されることになる。従って、本実施例では、制御区間の終点時点での検出横加速度Gy’’が所定限度値Th0を大きく超えない限り、コーナ旋回中の車両挙動の安定性が、コーナ旋回中の介入制御(減速制御)に対して優先されることになる。
このように本実施例によれば、介入制御によっても十分な車速を落とすことができないままコーナに進行した場合でも、介入制御を継続するのではなく、車両旋回中の介入制御(減速制御)を抑制しつつ車両挙動の安定性を重視することで、結果としてコーナにおける走行安全性を図ることができる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、水平面に対する道路の幅方向の勾配、即ちカントαを考慮して、Gy=VIN 2/R+α/100で導出されているが、上り勾配や下り勾配のような水平面に対する道路の長手方向の勾配が考慮されてもよい。
また、上述の実施例において、地図データベース22内のコーナ情報は、必ずしもナビゲーションECU20を介して統合マネージャ10に送信される必要は無く、統合マネージャ10が地図データベース22に直接アクセスできる構成であってもよい。
また、上述の実施例の説明では、横加速度[m/s2]に対して所定限度値Th0や閾値Thによる各種閾値判定(ステップ230等)がなされているが、これは、所定限度値Th0や閾値Thから一意的に導出できる目標速度や目標減速度に基づいて各種閾値判定がなされることと等価といえる。
また、上述の実施例において、統合マネージャ10による警告発令と減速制御の双方が実行されてもよい。
10 統合マネージャ
12 ドライバモデル
20 ナビゲーションECU
22 地図データベース
24 表示装置
26 操作入力部
28 自車位置検出手段
12 ドライバモデル
20 ナビゲーションECU
22 地図データベース
24 表示装置
26 操作入力部
28 自車位置検出手段
Claims (9)
- 曲率を持つ道路区間であるコーナにおける車両制御のための車両制御装置であって、
車両に発生する横加速度を検出又は算出する手段と、
コーナ走行時の前記横加速度が所定閾値を越えた場合に警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段とを備え、
前記所定閾値は、曲率半径が略一定なコーナ区間において、車両進行方向の出口側で出口側よりも大きく設定されることを特徴とする、車両制御装置。 - 前記所定閾値は、前記コーナ区間において該コーナ区間の出口で最大となるように設定される、請求項1に記載の車両制御装置。
- 曲率を持つ道路区間であるコーナにおける車両制御のための車両制御装置であって、
クロソイド区間、及び、曲率半径が略一定な一定曲率区間からなるコーナに関するコーナ情報を取得するコーナ情報取得手段と、
進行方向前方にあるコーナを走行する際の目標横加速度を、該コーナの一定曲率区間に係る曲率情報に基づいて算出する目標横加速度決定手段と、
前記コーナ情報に基づいて、前記コーナに至るまでの制御区間を設定する制御区間設定手段と、
前記目標横加速度に応じて前記制御区間における車両の目標走行態様を決定し、該決定した目標走行態様に従って、前記制御区間において警告発令及び/又は減速制御を実行する介入制御手段とを備え、
前記制御区間設定手段は、車両進行方向で前記一定曲率区間の入口側に連続するクロソイド区間内に、前記制御区間の終点位置を設定することを特徴とする、車両制御装置。 - 前記制御区間の終点位置は、前記クロソイド区間の終了点から所定距離だけ手前に設定され、該所定距離が可変とされる、請求項3に記載の車両制御装置。
- 前記所定距離は、ユーザにより選択設定可能とされる、請求項4に記載の車両制御装置。
- 前記所定距離は、前記目標横加速度と現在の車速によって定まる減速要求の度合いに応じて可変とされる、請求項4に記載の車両制御装置。
- 前記所定距離は、通常走行時におけるドライバの運転態様の学習結果に基づいて決定される、請求項4に記載の車両制御装置。
- 前記コーナ情報は、複数車線を有するコーナに関する車線情報及び幅員情報を含み、
前記目標横加速度決定手段は、前記複数車線を有するコーナを走行する際の走行予定車線を予測し、該走行予定車線に応じて曲率を補正した前記曲率情報に基づいて、前記目標横加速度を算出する、請求項3に記載の車両制御装置。 - 前記コーナ情報は、コーナにおける路面の水平面に対する道路長手方向又は幅方向の傾斜に関する勾配情報を含み、
前記目標横加速度決定手段は、前記勾配情報に基づいて補正した前記目標横加速度を算出する、請求項3に記載の車両制御装置。
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