以下、本発明に係る自動運転支援システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る自動運転支援システム1の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る自動運転支援システム1を示した概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る自動運転支援システム1は、ナビゲーション装置2を搭載した各車両3と、各車両3においてセンサやカメラを用いて検出した障害物の検出情報を収集し、収集した障害物の検出情報から障害物の地図上の位置を含む障害物情報の作成・配信を行う情報配信センタ4が備える情報配信サーバ5とを基本的に有する。例えば自動運転支援システム1としてプローブカーシステムを適用することが可能である。
車両3は全国の各道路を走行する車両であり、車両3に対して設置された車外カメラ7(或いはミリ波レーダやレーザセンサ等の各種センサ)によって障害物の検出を行う。ここで、検出対象となる障害物は車両3において後述のように実施される自動運転支援に影響する対象物(要因)であり、例えば路上に停車する駐車車両、工事区間、渋滞車両等が該当する。そして、検出された障害物の検出情報をGPSの位置情報とともに予め車両3に搭載された携帯電話機やDCM等の車両用の通信モジュール(以下、単に通信モジュールという)を介して情報配信サーバ5に送信する。
一方、情報配信サーバ5は、全国各地を走行する各車両3から送信された上述の障害物の検出情報を収集して蓄積するとともに、蓄積された障害物の検出情報から障害物の地図上の位置を含む障害物情報を生成し、配信情報DB6に格納する。そして、必要なタイミングで生成された障害物情報を各車両3に対して配信する。
ここで、障害物情報は、情報としての有効期限を示す有効期限情報を含む情報(所謂ダイナミックマップ)である。即ち、有効期限情報によって特定される期間のみにおいて当該障害物情報は有効であるとみなされる。ここで、図2は配信情報DB6に格納される障害物情報の一例を示した図である。
図2に示すように、障害物情報は、障害物の種類と、障害物の地図上の位置座標(区間に跨る場合には区間の始点と終点の座標)と、有効期限の始期と、有効期限の終期とを含む。また、障害物情報としては、障害物の内容を特定する為のより詳細な情報についても記憶される。例えば、工事区間については規制情報(通行に徐行が必要か否か)、車線占有度合い、交通流速度等が記憶される。尚、障害物の地図上の位置については障害物を検出した車両3側で特定しても良いし、車両3では車両3との相対位置のみを特定し、情報配信サーバ5において地図上の位置を特定しても良い。また、有効期限の始期は、例えば該当する障害物をいずれかの車両3が最初に検出した時刻とする。一方、有効期限の終期は、始期に対して障害物の種類によって予め設定された時間(例えば駐車車両は10分、渋滞区間は1時間)を加算した時刻とする。例えば、駐車車両は駐車を開始してから10分程度で移動すると推定されるので、始期から10分後には障害物情報で規定される駐車車両は存在しない、即ち障害物情報は有効でなくなると規定する。また、有効期限の終期は、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)情報等の外部から取得した情報によって終期が特定又は予測できる場合にはそれらの外部情報を用いて特定しても良い。例えば、工事区間については予め工事の実施される期間が決まっているので、外部情報を取得すれば工事区間が存在する終期、即ち障害物情報が有効でなくなる終期を特定できる。また、渋滞車両についてはVICS情報等の交通情報で渋滞の継続する期間が予測されているので、外部情報を取得すれば渋滞車両が存在する終期、即ち障害物情報が有効でなくなる終期を特定できる。尚、有効期限情報としては始期については設定せず終期のみを設定しても良い。また、規制情報、車線占有度合い、交通流速度等は障害物情報に含めない構成としても良い。また、有効期限の終期を経過した障害物情報については配信情報DB6から自動的に削除する構成としても良い。
また、本実施形態の自動運転支援システム1における車両3の走行形態としては、ユーザの運転操作に基づいて走行する手動運転走行に加えて、ユーザの運転操作によらず車両が予め設定された経路に沿って自動的に走行を行う自動運転支援による支援走行が可能である。尚、自動運転支援における車両制御では、例えば、車両の現在位置、車両が走行する車線、周辺の障害物の位置を随時検出し、また情報配信サーバ5から配信された障害物情報を用いて車両制御ECU20によって予め設定された経路に沿って走行するようにステアリング、駆動源、ブレーキ等の車両制御が自動で行われる。尚、本実施形態の自動運転支援による支援走行では、車線変更や右左折についても自動運転制御により行う構成とするが、車線変更や右左折の一部については自動運転制御では行わない構成としても良い。
また、自動運転支援は全ての道路区間に対して行っても良いし、特定の道路区間(例えば境界にゲート(有人無人、有料無料は問わない)が設けられた高速道路)を車両が走行する間のみ行う構成としても良い。以下の説明では車両の自動運転支援が行われる自動運転区間は、一般道や高速道路を含む全ての道路区間とし、車両が道路上を走行する間において基本的に上記自動運転支援が行われるとして説明する。但し、車両が自動運転区間を走行する場合には必ず自動運転支援が行われるのではなく、ユーザにより自動運転支援を行うことが選択され(例えば自動運転開始ボタンをONする)、且つ自動運転支援による走行を行わせることが可能と判定された状況でのみ行われる。尚、自動運転支援の詳細については後述する。
また、車両3にはナビゲーション装置2が設置されている。ナビゲーション装置2は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、情報配信サーバ5から配信された障害物情報や地図情報を用いて自動運転支援に用いる支援情報を生成する車載機である。そして、車両3の制御装置はナビゲーション装置2で生成された支援情報に基づいて走行開始後の自動運転支援を実施する。また、ナビゲーション装置2でなく車両3の制御装置で自動運転支援に用いる支援情報を生成する構成としても良い。その場合には、車両3の制御装置はナビゲーション装置2から障害物情報や周辺の地図情報等の支援情報の生成に必要な情報を取得するように構成する。尚、ナビゲーション装置2の詳細については後述する。
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置2の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置2は、ナビゲーション装置2が搭載された車両3の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図やナビゲーション装置2で設定されている案内経路(車両の走行予定経路)に関する情報等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、を有する。また、ナビゲーション装置2はCAN等の車載ネットワークを介して、ナビゲーション装置2の搭載された車両3に対して設置された車外カメラ7や各種センサが接続されている。更に、ナビゲーション装置2の搭載された車両3に対する各種制御を行う車両制御ECU20とも双方向通信可能に接続されている。また、自動運転開始ボタン等の車両3に搭載された各種操作ボタン21についても接続されている。
以下に、ナビゲーション装置2が有する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS22、車速センサ23、ステアリングセンサ24、ジャイロセンサ25等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ23は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置2が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置2が備える構成としても良い。
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31、検出情報DB32、障害物情報DB33、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにフラッシュメモリやメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクを有しても良い。また、地図情報DB31は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置2が通信により取得する構成としても良い。
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ34、ノード点に関するノードデータ35、経路の探索や変更に係る処理に用いられる探索データ36、施設に関する施設データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
また、リンクデータ34としては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、ノード間のリンク形状(例えばカーブ道路ではカーブの形状)を特定する為の形状補完点データ、合流区間、道路構造、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。特に本実施形態では、道路の車線数に加えて、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(具体的には、分岐においてどの車線がどの道路に接続されているか)を特定する情報についても記憶されている。更に、道路に設定されている制限速度についても記憶されている。
また、ノードデータ35としては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)や各道路に曲率半径等に応じて所定の距離毎に設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
また、探索データ36としては、出発地(例えば車両の現在位置)から設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理に使用される各種データについて記録されている。具体的には、交差点に対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、交差点コストという)や道路を構成するリンクに対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、リンクコストという)等の探索コストを算出する為に使用するコスト算出データが記憶されている。
また、検出情報DB32は、車両3に対して設置された車外カメラ7や各種センサによって検出された障害物の検出情報が記憶される記憶手段である。ここで、障害物は前記したように車両3において実施される自動運転支援に影響する対象物(要因)であり、例えば路上に停車する駐車車両、工事区間、渋滞車両等が該当する。尚、障害物の検出情報としては、例えば障害物の種類、位置(地図上の位置であっても車両3に対する相対位置であっても良い)、障害物の詳細な情報(例えば、工事区間については規制情報や車線占有率など)が含まれる。尚、障害物の種類や位置等の検出は、例えば車外カメラ7で撮像した撮像画像に対して画像認識処理を行うことによって検出する。また、画像認識処理としては、2値化処理、特徴点やテンプレートを用いたパターンマッチング処理等が行われるが、それらの画像認識処理については既に公知であるので詳細は省略する。
また、障害物情報DB33は、情報配信サーバ5から配信される障害物情報が記憶される記憶手段である。尚、障害物情報は前述したように障害物の種類と、障害物の地図上の位置座標(区間に跨る場合には区間の始点と終点の座標)と、障害物の内容を特定する情報と、有効期限の始期と、有効期限の終期とを含む(図2参照)。そして、ナビゲーションECU13は、後述のように障害物情報DB33に記憶された障害物情報を用いて自動運転支援を実施する。具体的には、自動運転支援に用いる支援情報として、車両3の走行する軌道の候補となる走行軌道候補、走行軌道候補を走行する際の目標速度、走行軌道候補が複数ある場合には走行する優先度等を生成する。
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の支援情報生成処理プログラム(図4参照)及び自動運転制御プログラム(図15参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、走行予定経路取得手段は、自車両が走行する走行予定経路を取得する。地図情報取得手段は、地図情報を取得する。障害物情報取得手段は、走行予定経路上にある障害物の地図上の位置を含む障害物情報を取得する。基準点設定手段は、自車両において自動運転支援を実施する際の基準とする基準点を走行予定経路上に複数設定する。支援情報生成手段は、走行予定経路と障害物情報とに基づいて、走行予定経路を走行する自車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報として、自車両の目標速度と他の基準点と比較した自車両が走行する優先度とを複数の基準点毎に生成する。
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)を有する。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルを有しても良い。また、マイクと音声認識装置を有しても良い。
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、案内経路(走行予定経路)に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17に替えてメモリーカードを読み書きする為のカードスロットを設けても良い。
また、通信モジュール18は、情報配信サーバ5、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された障害物情報、交通情報、プローブ情報、天候情報等を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、車車間で通信を行う車車間通信装置や路側機との間で通信を行う路車間通信装置も含む。
また、車外カメラ7は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成され、車両のフロントバンパの上方に取り付けられるとともに光軸方向を水平より所定角度下方に向けて設置される。そして、車外カメラ7は、車両が自動運転区間を走行する場合において、車両の進行方向前方を撮像する。また、車両制御ECU20は撮像された撮像画像に対して画像処理を行うことによって、車両が走行する道路に描かれた区画線や周辺の障害物等を検出し、検出結果に基づいて車両の自動運転支援を行う。また、障害物を検出した場合には検出情報を検出情報DB32へと格納し、その後、情報配信サーバ5へと送信する。尚、車外カメラ7は車両前方以外に後方や側方に配置するように構成しても良い。また、障害物を検出する手段としてはカメラの代わりにミリ波レーダやレーザセンサ等のセンサを用いても良い。
また、車両制御ECU20は、ナビゲーション装置2が搭載された車両の制御を行う電子制御ユニットである。また、車両制御ECU20にはステアリング、ブレーキ、アクセル等の車両の各駆動部と接続されており、本実施形態では特に車両において自動運転支援が開始された後に、各駆動部を制御することにより車両の自動運転支援を実施する。
ここで、ナビゲーションECU13は、走行開始後にCANを介して車両制御ECU20に対して自動運転支援に関する指示信号を送信する。そして、車両制御ECU20は受信した指示信号に応じて走行開始後の自動運転支援を実施する。尚、指示信号の内容は、車両が走行する軌道や走行車速等を指示する情報である。
続いて、上記構成を有する本実施形態に係るナビゲーション装置2においてCPU41が実行する支援情報生成処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る支援情報生成処理プログラムのフローチャートである。ここで、支援情報生成処理プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、情報配信サーバ5から配信された障害物情報や地図情報に基づいて自動運転支援に用いる支援情報を生成するプログラムである。また、以下の図4、図7及び図14にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
先ず、支援情報生成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、車両が今後走行する予定にある経路(以下、走行予定経路という)を取得する。尚、車両の走行予定経路は、ナビゲーション装置2において案内経路が設定されている場合には、ナビゲーション装置2において現在設定されている案内経路の内、車両の現在位置から目的地までの経路を走行予定経路とする。尚、案内経路はナビゲーション装置2によって設定された出発地から目的地までの推奨経路であり、例えば公知のダイクストラ法を用いて探索される。一方、ナビゲーション装置2において案内経路が設定されていない場合には、車両の現在位置から道なりに走行する経路を走行予定経路とする。
次に、S2においてCPU41は、地図情報DB31から走行予定経路の車線に関する車線情報を取得する。具体的には、走行予定経路を構成する道路に含まれる車線数、車線毎の進行方向の通行区分や道路の繋がり(分岐においてどの車線がどの道路に接続されているか)を特定する情報が取得される。
続いて、S3においてCPU41は、前記S2で取得した車線情報に基づいて走行予定経路に対して車両が走行する軌道の候補(以下、走行軌道候補という)を設定する。尚、走行軌道候補は、基本的には図5に示すように走行予定経路を構成する道路に含まれる車線(但し、進行方向に対応する車線のみで対向車線は除く)に対して、一の車線毎に車両の進行方向に沿って一の走行軌道候補50が設定される。例えば、図5に示す例では片側2車線の道路であるので各車線に対して計2本の走行軌道候補50が設定されることとなる。尚、図6に示すように走行予定経路を構成する道路に含まれる車線が増加する場合には、増加する地点から増加する車線に対応する新たな走行軌道候補50が追加されることとなる。例えば、図6に示す例では片側2車線の道路に対して最も左側に車線が追加されるので、追加される走行軌道候補50を含めて計3本の走行軌道候補50が設定されることとなる。一方、逆に走行予定経路を構成する道路に含まれる車線が減少する場合には、車線が減少する地点で減少する車線に対応する走行軌道候補50について消失することとなる。尚、走行予定経路の全経路を対象として上記走行軌道候補を設定しても良いが、車両の現在位置から所定距離(例えば300m)以内のみを対象として上記走行軌道候補を設定しても良い。尚、当該支援情報生成処理プログラムは車両が所定距離走行する度に繰り返し実施される。
そして、以下のS4の処理は前記S3で設定された全ての走行軌道候補を対象として実施される。前記S3で設定された全ての走行軌道候補を対象としてS4の処理を実施した後に、当該支援情報生成処理プログラムを終了する。
先ず、S4においてCPU41は、処理対象の走行軌道候補を対象として、後述の支援情報算出処理(図7)を実行する。ここで、支援情報算出処理は、処理対象の走行軌道候補上に所定間隔で設定した各基準点(情報点)に対して、“目標速度”、“軌道曲率”及び“優先度”をそれぞれ算出し、対応付けて記憶する処理である。尚、“目標速度”は、処理対象の走行軌道候補に沿って車両を自動運転により走行させると仮定した場合において、各基準点の通過時において車両をどの程度の速度で走行させるべきかを規定した値である。一方、“軌道曲率”は、処理対象の走行軌道候補が描く軌道について各基準点における曲率を規定した値である。また、“優先度”は、処理対象の走行軌道候補と処理対象以外の走行軌道候補とを比較して、どの走行軌道候補を車両に優先的に走行させるべきかを基準点毎に規定した値である。“目標速度”、“軌道曲率”及び“優先度”の詳細については後述する。
尚、前記S3で走行予定経路に対して設定された走行軌道候補と、前記S4で走行軌道候補上の各基準点に対応付けて記憶された“目標速度”、“軌道曲率”及び“優先度”が、車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報となる。そして、CPU41は、生成した支援情報を一旦メモリなどの記憶媒体に格納し、その後に記憶媒体に格納された支援情報を用いて車両に対する自動運転支援を実施する(図14)。
次に、前記S4において実行される支援情報算出処理のサブ処理について図7に基づき説明する。図7は支援情報算出処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
先ず、S11においてCPU41は、走行予定経路の内、特に車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離以内にある障害物に関する障害物情報を障害物情報DB33から取得する。尚、障害物情報は、前述したように障害物の種類と、障害物の地図上の位置座標(区間に跨る場合には区間の始点と終点の座標)と、障害物の内容を特定する情報と、有効期限の始期と、有効期限の終期とが記憶されている(図2参照)。従って、前記S11では車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離以内の区間に、障害物の位置の少なくとも一部を含む障害物情報を障害物情報DB33から取得する。更に、前記S11では現在時刻と障害物情報の有効期限とを比較し、現在時刻が有効期限内(始期と終期の間)にある障害物情報のみを取得する。また、所定距離は例えば300mとし、当該支援情報生成処理プログラムは車両が所定距離走行する度に繰り返し実施する構成とする。
次に、S12においてCPU41は、処理対象の走行軌道候補について、車両の現在位置から進行方向に沿って所定距離以内の座標情報と制限速度を取得する。尚、図8に示すように走行軌道候補50は、走行予定経路を構成する道路の車線毎に車線の中央付近を通過する軌道として設定されるので、走行軌道候補50の座標は車線の中央付近の地点51の座標列となる。そして、走行軌道候補の座標は、地図情報DB31に記憶されたリンクの両端(ノード点)の位置座標、リンクの形状補完点の位置座標、車線数、車線幅等に基づいて算出される。尚、車線毎にリンクが存在する道路についてはリンクの両端(ノード点)の位置座標及びリンクの形状補完点の位置座標を走行軌道候補の座標として取得しても良い。また、地図情報DB31に予め走行軌道候補(車線中央)の座標情報を記憶する構成としても良い。一方、走行軌道候補の制限速度は、走行予定経路の該当区間の制限速度を地図情報DB31から読み出すことによって取得する。
続いて、S13においてCPU41は、前記S12で取得した走行軌道候補の座標情報を曲線補完することによって、走行軌道候補の形状及び曲率を特定する。
その後、S14においてCPU41は、前記S13で具体的な形状が特定された走行軌道候補上に所定間隔で基準点を設定する。基準点は自動運転支援を実施する際の基準とする点であり、後述のように生成された支援情報を紐付ける対象となる情報点でもある。基準点を狭い間隔でより多数設定すればより多くの支援情報が生成されることとなるので正確な自動運転支援を行うことが可能であるが、一方でCPU41の処理負担は増加する。基準点を設定する間隔は例えば10mとする。そして、設定した基準点の座標はフラッシュメモリ44等に記憶される。
そして、以下のS15〜S18の処理は前記S14で設定された全ての基準点を対象として実施される。前記S14で設定された全ての基準点を対象としてS15〜S18の処理を実施した後に、S19へと移行する。
先ず、S15においてCPU41は、前記S13で特定された走行軌道候補の形状及び曲率に基づいて、走行軌道候補に沿って車両が走行する場合に、処理対象の基準点の通過時に生じる最大の横加速度が所定の上限値となる車速(以下、限界速度という)を算出する。尚、横加速度の上限値は、車両の走行や自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない横加速度の上限値とする。また、横加速度は車両が道路に設定された制限速度で走行すると仮定して算出する。
次に、S16においてCPU41は、前記S12で取得した制限速度と前記S15で算出した限界速度を比較し、遅い方を処理対象の基準点を通過する際の車両の上限の速度(以下、上限速度という)として算出する。
その後、S17においてCPU41は、後述の推奨速度算出処理(図14)を実行する。尚、推奨速度算出処理は、前記S11で取得した障害物情報に基づいて、走行軌道候補に沿って車両が走行する場合に、処理対象の基準点の通過時に推奨される車速(以下、推奨速度という)を算出する処理である。
そして、S18においてCPU41は、前記S16で算出した上限速度と前記S17で算出した推奨速度を比較し、遅い方を処理対象の基準点を通過する際の車両の目標とする速度(以下、目標速度)として算出する。算出された目標速度は処理対象の基準点に対して紐付けてフラッシュメモリ44等に記憶される。
そして、前記S14で設定された全ての基準点を対象として前記S15〜S18の処理を実行し、設定された全ての基準点に対して目標速度を紐付けて記憶した後にS19へと移行する。ここで、図9は走行軌道候補50に対して設定された各基準点52に紐付けられた目標速度の推移を車両の進行方向に沿ってグラフ化した図である。図9に示すように各基準点の目標速度は基本的には道路に設定された制限速度となる。しかしながら、例えばカーブ区間にある基準点では、制限速度よりも横加速度が上限となる限界速度の方が低速となるので、制限速度よりも低い速度(カーブの曲率によって決定される)が目標速度となる(S16)。更に、渋滞車両や工事区間等の障害物の影響する範囲にある基準点では、制限速度よりも推奨速度の方が低速となるので、制限速度よりも低い速度(障害物の種類によって決定される)が目標速度となる(S18)。
次に、S19においてCPU41は、走行軌道候補に沿って走行する車両の加速度及び減速度がそれぞれ閾値以下となる条件を満たすように各基準点に対して紐付けられた目標速度を修正する。但し、目標速度は基本的に下げる方向にのみ修正し、且つ条件を満たす範囲で目標速度はできる限り下げないように修正する。その結果、図10に示すように各基準点の目標速度が修正される。また、前記S19において条件となる閾値は、車両の走行や自動運転支援に支障が生じることなく、また車両の乗員に不快感を与えない加速度及び減速度の上限値とする。加速度の閾値と減速度の閾値を異なる値としても良い。
続いて、S20においてCPU41は、加速区間と減速区間が所定距離内に連続しない条件を満たすように各基準点に対して紐付けられた目標速度を修正する。但し、目標速度は基本的に下げる方向にのみ修正し、且つ条件を満たす範囲で目標速度はできる限り下げないように修正する。例えば図10に示すように加速区間の直後に減速区間がある場合には加速を行わずに減速を開始するまで一定速度で走行するように目標速度を修正する。その結果、図10に示すように各基準点の目標速度は、加速区間と減速区間が所定距離以内に連続しないように調整される。また、前記S20において条件となる所定距離は適宜設定可能であるが例えば100mとする。
その後、S21においてCPU41は、前記S14で設定された各基準点に対して、前記S15〜S18で設定され、且つ前記S19及びS20で修正された最終的な目標速度の値を対応付けてフラッシュメモリ44等に記憶する。
次に、S22においてCPU41は、前記S14で設定された各基準点に対して、処理対象の走行軌道候補と処理対象以外の走行軌道候補とを比較して、どの走行軌道候補を車両に優先的に走行させるべきかを基準点毎に規定した値(以下、優先度という)を算出する。尚、優先度は前記S11で取得した障害物情報と走行予定経路に基づいて算出される。但し、走行軌道候補が1本のみ設定されている場合(例えば1車線の道路を走行する場合)には前記S22の処理を行う必要はない。以下に、前記S22における優先度の算出方法の詳細について説明する。
具体的には、障害物の影響する範囲と障害物が影響しない範囲で異なる基準に基づいて以下のように優先度が設定される。尚、障害物の影響する範囲とは、障害物の位置する地点又は区間の周辺であるが、その大きさについては障害物の種類によって異なる。例えば工事区間等の車線変更が必要となる障害物については障害物の位置する区間に加えて車線変更を実施する為の手前側の区間も障害物の影響する範囲に含まれる。更に、同一区間であれば障害物が位置する車線に加えて障害物の位置しない車線についても障害物の影響する範囲に含む。尚、優先度は例えば『0』〜『1.0』の範囲で設定し、数値が低い基準点よりも数値の大きい基準点を優先して走行すべきことを示す。
(A)障害物の影響しない範囲・・・走行予定経路に沿って車両が走行する為に優先的に走行すべき車線(例えば進行方向に沿った次の交差点で右折する場合には、進行方向区分が右折に区分された車線)にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を高くする。
(B)障害物の影響する範囲・・・障害物が位置する車線にある基準点について他の車線にある基準点よりも優先度を低くする。
尚、上記(A)の基準については、例えば走行予定経路に沿って車両が走行する為に優先的に走行すべき車線(以下、優先車線という)にある基準点の優先度を『1.0』とし、優先車線以外の車線にある基準点の優先度を『0.5』とする。その結果、図11に示すように特に障害物が存在せず、走行予定経路が次の分岐点で右折する経路である場合には、進行方向区分が右折に区分された車線55にある各基準点52の優先度は『1.0』とする。一方、進行方向区分が右折以外に区分された車線56にある各基準点52の優先度は『0.5』とする。尚、本実施形態では優先車線にある基準点の優先度を『1.0』とし、優先車線以外の車線にある基準点の優先度を『0.5』としているが、優先車線にある基準点の優先度がそれ以外の車線にある基準点よりも高くなるのであればその値は適宜変更可能である。例えば、優先車線にある基準点の優先度を『1.0』とし、優先車線以外の車線にある基準点の優先度を『0.7』としても良い。また、(A)の基準は右左折の対象となる交差点から所定距離以内の範囲のみを対象として適用しても良い。
一方、上記(B)の基準について、障害物が位置する車線にある基準点の優先度を、他の車線にある基準点の優先度よりもどの程度低くするかについては、障害物の種類によって変化する。また、前記したように障害物の影響する範囲、即ち(B)の基準に基づいて優先度を算出する範囲についても障害物の種類によって変化する。例えば、図12に示すように障害物として車両の通行ができない工事区間57が存在する場合には、障害物の位置する車線55の内、特に工事区間57内にある基準点52の優先度は『0』とする。また、工事区間57のある車線を車両が走行している場合には車線変更を行わせる必要があるので、工事区間の手前側(車両側)の区間にある基準点52について、他の車線の走行を優先する為(車線変更を促す為)に優先度を下げる。具体的には、工事区間57の手前側に設定した車線変更区間58にある基準点52の優先度を『0.5』とする。一方で、工事区間57や車線変更区間58のある車線以外にある基準点52については優先度を『1.0』とする。尚、車線変更区間58の長さは、車両の現在の車速に基づいて車線変更の準備や実施に必要な長さに設定する。即ち車両の車速が速い程、車線変更区間の長さは長くなる。
即ち、図12に示す例では工事区間57と車線変更区間58のある道路区間(工事区間57や車線変更区間58が位置する車線以外の車線も含む)が障害物の影響する範囲となる。一方で、障害物が例えば渋滞車両のように車両の当該車線の走行を不可能とする障害物でない場合には、車線変更を行わせる必要が無いので渋滞区間のある道路区間のみが障害物の影響する範囲となる。但し、特定の車線のみ渋滞している場合には車線変更区間を設定し、渋滞区間の手前側の区間の優先度を下げることにより車線変更を促してもよい。
また、前記S22においてCPU41は、前記S14で設定された各基準点に対して算出された優先度の値を対応付けてフラッシュメモリ44等に記憶する。その結果、図13に示すように、走行軌道候補50に対して設定された各基準点52に対して目標速度と優先度がそれぞれ対応付けて記憶される。そして、後述のようにCPU41は、各基準点52に対して設定された目標速度と優先度とを用いて車両を走行させる軌道である制御軌道を設定し、設定した制御軌道に沿って走行するように車両を制御する。
次に、前記S17において実行される推奨速度算出処理のサブ処理について図14に基づき説明する。図14は推奨速度算出処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
先ず、S31においてCPU41は、前記S11で取得した障害物情報に基づいて処理対象の基準点が特に工事区間内に位置するか否かを判定する。尚、障害物情報は図2に示すように工事区間の始点及び終点を特定する情報が含まれている。
そして、処理対象の基準点が工事区間内に位置すると判定された場合(S31:YES)には、S32へと移行する。それに対して、処理対象の基準点が工事区間内に位置しないと判定された場合(S31:NO)には、S36へと移行する。
S32においてCPU41は、処理対象の基準点が位置すると判定された工事区間に関する情報として、規制情報(通行に徐行が必要か否か)、車線占有度合い、工事区間を走行する他車両の平均車速である交通流速度等を取得する。尚、上記情報は前記S11で取得した障害物情報に含まれる場合には新たに取得する必要は無い。新たに取得する場合にはVICSセンタ等の外部センタから取得することが可能である。
その後、S33においてCPU41は、前記S32で取得した工事区間に関する情報に基づいて、工事が行われている車線を車両が通行可能か否か判定する。具体的には、車線占有度合いが所定割合以上(例えば30%以上)の場合には工事が行われている車線を車両が通行できないと判定する。
そして、工事が行われている車線を車両が通行できないと判定された場合(S33:YES)には、S34へと移行する。それに対して、工事が行われている車線を車両が通行できると判定された場合(S33:NO)には、S35へと移行する。
S34においてCPU41は、処理対象の基準点を車両が走行できないことから0km/hを推奨車速として特定する。その後、S18へと移行する。
一方、S35においてCPU41は、前記S32で取得した工事区間に関する情報に基づいて、工事が行われている車線を車両が徐行で通行する必要があるか否か判定する。具体的には、前記S32で取得した規制情報や交通流速度から判定する。
そして、工事が行われている車線を車両が徐行で通行する必要があると判定された場合(S35:YES)には、S36へと移行する。それに対して、工事が行われている車線を車両が徐行で通行する必要がないと判定された場合(S35:NO)には、S37へと移行する。
S36においてCPU41は、処理対象の基準点を徐行速度で走行する必要があることから徐行速度(例えば10km/h)を推奨車速として特定する。その後、S18へと移行する。
一方、S37においてCPU41は、実際に工事区間を走行する他車両の速度である交通流速度を推奨車速として特定する。その後、S18へと移行する。
また、S38においてCPU41は、前記S11で取得した障害物情報に基づいて処理対象の基準点が特に渋滞区間内に位置するか否かを判定する。尚、障害物情報は図2に示すように渋滞区間の始点及び終点を特定する情報が含まれている。
そして、処理対象の基準点が渋滞区間内に位置すると判定された場合(S38:YES)には、S39へと移行する。それに対して、処理対象の基準点が渋滞区間内に位置しないと判定された場合(S38:NO)には、S41へと移行する。
S39においてCPU41は、処理対象の基準点が位置すると判定された渋滞区間に関する情報として、渋滞区間を走行する他車両の平均車速である交通流速度等を取得する。尚、上記情報は前記S11で取得した障害物情報に含まれる場合には新たに取得する必要は無い。新たに取得する場合にはVICSセンタ等の外部センタから取得することが可能である。
次に、S40においてCPU41は、実際に渋滞区間を走行する他車両の速度である交通流速度を推奨車速として特定する。その後、S18へと移行する。
また、S41においてCPU41は、前記S11で取得した障害物情報に基づいて処理対象の基準点が特に車線変更区間内に位置するか否かを判定する。尚、車線変更区間は、駐車車両や工事区間等の車両の当該車線での通行ができない又は通行が難しい障害物(即ち車線を減少させる障害物)がある場合に、当該障害物の手前側(車両側)に設定される。尚、車線での通行ができない又は通行が難しい障害物であるか否かの判定は、例えば障害物情報に含まれる車線占有度合い等を用いて判定され、例えば車線占有度合いが30%以上の障害物は、車線での通行ができない又は通行が難しい障害物とする。また、車線変更区間の長さは、車両の現在の車速に基づいて車線変更の準備や実施に必要な長さに設定する。即ち、車両の車速が速い程、車線変更区間の長さは長くなる。
そして、処理対象の基準点が車線変更区間内に位置すると判定された場合(S41:YES)には、S42へと移行する。それに対して、処理対象の基準点が車線変更区間内にも位置しないと判定された場合(S41:NO)には、S44へと移行する。
S42においてCPU41は、処理対象の基準点が位置すると判定された車線変更区間に関する情報として、車線変更を行った場合に移動先となる車線の内、特に障害物の影響する範囲(即ち車線変更区間や障害物に隣接する区間)における車両の平均車速である交通流速度等を取得する。尚、上記情報は前記S11で取得した障害物情報に含まれる場合には新たに取得する必要は無い。新たに取得する場合にはVICSセンタ等の外部センタから取得することが可能である。
次に、S43においてCPU41は、車線変更を行った場合に移動先となる車線の内、特に障害物の影響する範囲の他車両の速度である交通流速度を推奨車速として特定する。その後、S18へと移行する。
一方、S44においてCPU41は、車両の走行速度に影響を与える障害物は存在しないとして、前記S16で算出された上限速度を推奨車速として特定する。その後、S18へと移行する。
続いて、上記構成を有する本実施形態に係るナビゲーション装置2においてCPU41が実行する自動運転制御プログラムについて図15に基づき説明する。図4は本実施形態に係る自動運転制御プログラムのフローチャートである。ここで、自動運転制御プログラムは、車両のACC電源(accessory power supply)がONされた後に実行され、上述した支援情報生成処理プログラム(図4)によって生成された支援情報を用いて具体的な自動運転支援を行うプログラムである。また、以下の図15及び図18フローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
先ず、自動運転制御プログラムではS51において、CPU41は、現在位置検出部11により検出した車両の現在位置を取得する。尚、車両の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両に設置されたカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
次に、S52においてCPU41は、車両が現在走行する区間に対して前記S3で設定された走行軌道候補を取得する。尚、走行軌道候補は、前述したように基本的に道路に含まれる車線(但し、進行方向に対応する車線のみで対向車線は除く)に対して、一の車線毎に車両の進行方向に沿って一の走行軌道候補が設定される。従って、図16に示すように、車両3が片側2車線の道路を走行する場合には、車線61に対して設定されている走行軌道候補62と、車線63に対して設定されている走行軌道候補64がそれぞれ取得される。
そして、以下のS53及びS54の処理は前記S52で取得された全ての走行軌道候補を対象として実施される。前記S52で取得された全ての走行軌道候補を対象としてS53及びS54の処理を実施した後に、S55へと移行する。
先ず、S53においてCPU41は、処理対象の走行軌道候補を対象として、後述の制御軌道候補の生成処理(図18)を実行する。ここで、制御軌道候補の生成処理は、車両の現在位置から処理対象の走行軌道候補の設定された車線へと移動する制御軌道の候補として複数の制御軌道候補を生成するとともに、複数の制御軌道候補の内から安全判定スコアの最も高い制御軌道候補を推奨制御軌道として選択する処理である。尚、本実施形態では基本的に一の走行軌道候補に対して一の推奨制御軌道を選択する。従って、例えば車両が現在走行する区間に対して存在する走行軌道候補の数が3本であれば、3本の推奨制御軌道が選択されることとなる。
次に、S54においてCPU41は、前記S53で選択された推奨制御軌道に対して優先度を特定する。具体的には、上述した支援情報生成処理プログラム(図4)において基準点毎に対応付けて記憶された優先度(図13)の内、処理対象の走行軌道候補上にあって且つ推奨制御軌道の終点に最も近い基準点に対応付けて記憶された優先度を推奨制御軌道の優先度として特定する。例えば、図17に示すように車両の現在位置から走行軌道候補64の設定された車線63へと移動する推奨制御軌道65が選択された場合には、走行軌道候補64上にあって推奨制御軌道65の終点に最も近い位置にある基準点Xに対応付けられた優先度を推奨制御軌道65の優先度として特定する。尚、前記S54で特定された優先度は、前記S53で選択された推奨制御軌道を特定する情報に対応付けてフラッシュメモリ44等に記憶する。
続いて、S55においてCPU41は、前記S53で走行軌道候補毎に選択された各推奨制御軌道の安全判定スコアを参照し、安全判定スコアが“0”より大きい推奨制御軌道を抽出する。尚、安全判定スコアは、推奨制御軌道に沿って車両が走行する際の安全性を示した値であり、“0”より大きければ当該軌道を車両が走行可能であることを示す。尚、安全判定スコアは、S53の制御軌道候補の生成処理(図18)において算出される。
その後、S56においてCPU41は、前記S55で抽出された推奨制御軌道の数が0であるか否かを判定する。
そして、前記S55で抽出された推奨制御軌道の数が0であると判定された場合(S56:YES)には、S57へと移行する。それに対して、前記S55で抽出された推奨制御軌道の数が0以外であると判定された場合(S56:NO)には、S58へと移行する。
S57においてCPU41は、車両が走行するのに適当な制御軌道が存在しないと判定し、車両の走行を停止する為の指示信号を、CANを介して車両制御ECU20へと送信する。その結果、車両が停止制御される。尚、停止制御の代わりに自動運転支援を中断し、手動運転による走行へと切り替える制御を行っても良い。
一方、S58においてCPU41は、前記S54で特定された各推奨制御軌道の優先度を参照し、最も優先度の高い推奨制御軌道を抽出する。そして、最も優先度の高い推奨制御軌道の安全判定スコアが閾値以上であるか否かを判定する。尚、前記S58で判定基準となる閾値は、車両が走行可能で且つ走行対象として適当であると推定できる安全判定スコアの下限とする。
そして、最も優先度の高い推奨制御軌道の安全判定スコアが閾値以上であると判定された場合(S58:YES)には、S59へと移行する。それに対して、最も優先度の高い推奨制御軌道の安全判定スコアが閾値未満であると判定された場合(S58:NO)には、S60へと移行する。
S59においてCPU41は、前記S53で走行軌道候補毎に選択された各推奨制御軌道の内、最も優先度の高い推奨制御軌道を制御軌道として選択する。尚、最も優先度の高い推奨制御軌道が複数ある場合には、安全判定スコアについても参照し、最も優先度の高い推奨制御軌道の内で最も安全判定スコアの高い推奨制御軌道を最終的な制御軌道として選択する。その後、最終的に選択された制御軌道及び該制御軌道を走行する際の車速を規定した制御速度を、CANを介して車両制御ECU20へと送信する。その結果、車両が選択された制御軌道に沿って制御速度で走行する走行支援制御が行われる。尚、制御速度についてはS53の制御軌道候補の生成処理(図18)において算出される。
一方、S60においてCPU41は、前記S53で走行軌道候補毎に選択された各推奨制御軌道の内、最も安全判定スコアの高い推奨制御軌道を最終的な制御軌道として選択する。その後、最終的に選択された制御軌道及び該制御軌道を走行する際の車速を規定した制御速度を、CANを介して車両制御ECU20へと送信する。その結果、車両が選択された制御軌道に沿って制御速度で走行する走行支援制御が行われる。
即ち本実施形態では、周辺に障害物等がある(即ち安全判定スコアが低い)場合や、現在車両が走行する車線の方が車線変更先の車線よりも度が高い場合には、現在の車線を維持する制御軌道が選択される。一方で、周辺に障害物等が無く(即ち安全判定スコアが高く)、現在車両が走行する車線よりも他の車線の優先度が高い場合には、優先度が高い車線へと移動する制御軌道が選択される。
次に、前記S53において実行される制御軌道候補の生成処理のサブ処理について図18に基づき説明する。図18は制御軌道候補の生成処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
先ず、S61においてCPU41は、後述の制御目標候補地点までの距離である制御目標距離を設定する。尚、制御目標距離は車両の現在の車速に基づいて設定され、車両の現在の車速が速い程、制御目標距離はより長く設定される。例えば、0.2Gの減速度で停車する距離とする。
次に、S62においてCPU41は、処理対象の走行軌道候補が設定された車線内であって、車両の現在位置から進行方向前方に制御目標距離だけ離れた位置に、道路幅方向に所定間隔(例えば25cm間隔)で複数の制御目標候補地点を設定する。例えば、図19に示すように処理対象の走行軌道候補が、現在の車両が走行する車線61に設定された走行軌道候補62である場合には、車線61上に制御目標候補地点71が設定される。一方、図20に示すように処理対象の走行軌道候補が、現在の車両が走行する車線61に隣接する車線63に設定された走行軌道候補64である場合には、車線63上に制御目標候補地点71が設定される。
そして、以下のS63〜S69の処理は前記S62で設定された全ての制御目標候補地点を対象として実施される。前記S62で取得された全ての制御目標候補地点を対象としてS63〜S69の処理を実施した後に、S70へと移行する。
先ず、S63においてCPU41は、車両の現在位置から処理対象の制御目標候補地点までの軌道(以下、制御軌道候補という)を生成する。具体的には車両の現在位置から制御目標候補地点までを、車両が走行する走行軌道候補上の基準点に設定された目標速度で所定の操舵角以内で走行する軌道を制御軌道候補として生成する。その結果、図21に示すように前記S62で設定された各制御目標候補地点71に対して制御軌道候補72が設定されることとなる。尚、基本的に一の制御目標候補地点71に対して一の制御軌道候補72を設定することとするが、一の制御目標候補地点71に対して複数の制御軌道候補72を設定しても良い。
次に、S64においてCPU41は、車外カメラ7やその他の各種センサを用いて車両の周辺環境の検出を行う。具体的には、車両の周辺に位置する障害物(例えば走行車両、駐車車両、ガードレール、街路樹など)の検出を行い、障害物が存在する場合には検出結果に基づいて障害物の位置についても特定する。
続いて、S65においてCPU41は、前記S64の周辺環境の検出結果に基づいて、車両の周辺(特に車両の現在位置から制御目標候補地点までの間)に障害物があるか否かを判定する。
そして、車両の周辺に障害物があると判定された場合(S65:YES)には、S66へと移行する。それに対して、車両の周辺に障害物が無いと判定された場合(S65:NO)には、S67へと移行する。
S66においてCPU41は、前記S63で生成された車両の現在位置から処理対象の制御目標候補地点までの制御軌道候補と、前記S64で検出された障害物の位置と、車両の形状とに基づいて、制御軌道候補に沿って車両が走行したと仮定した場合における車両から障害物までの最短距離Lを算出する。
次に、S67においてCPU41は、前記S63で算出された車両から障害物までの最短距離Lを用いて、制御軌道候補に対する安全判定スコアを算出する。尚、安全判定スコアは例えば『0』〜『100』の範囲で設定し、スコアが高い程、安全性が高い軌道であることを示す。具体的には、車両の周辺に障害物が無い場合には安全判定スコアを『100』とし、障害物までの最短距離Lが短い程、安全性スコアを『100』からより減算した値とする。そして、最短距離Lが0である場合には安全判定スコアを『0』とする。
続いて、S68においてCPU41は、前記S63で生成された車両の現在位置から処理対象の制御目標候補地点までの制御軌道候補の形状に基づいて、制御軌道候補の旋回曲率を算出する。
更に、S69においてCPU41は、前記S68で算出された旋回曲率と、車両が走行する走行軌道候補上の基準点に設定された目標速度と、前記S64の周辺環境の検出結果とに基づいて、制御軌道候補を走行させる際の車速である制御速度を設定する。例えば、制御軌道候補に沿って走行した際に車両に生じる加速度が閾値以下で、且つ目標速度以下で可能な限り目標速度に近い車速が設定される。更に、障害物に近い位置では車速を一定速度以下にすることも考慮して制御速度を設定する。
その後、S70においてCPU41は、前記S63で生成された全ての制御軌道候補の内、前記S67で算出された安全判定スコアが最も高い制御軌道候補を抽出する。そして、抽出された制御軌道候補を推奨制御軌道として選択する。その後、S54へと移行する。
上記制御を行った結果、例えば図22に示すように車両の進行方向前方に通行不可の工事区間57がある場合においては、各基準点52に設定された“目標速度”、“軌道曲率”及び“優先度”を参照することで、どの車線を走行すべきか(どのタイミングで車線を移動すべきか)を総合的に判断することができる。また、理想とする車線変更すべきタイミングでの車線変更が何らかの理由で実行できなかったとしても、その後に工事区間57を回避して隣の車線へと移動する制御軌道76が新たに提供されることとなるので、自動運転支援を中断することなく適切な自動運転支援を行うことが可能となる。また、車両は各基準点52に設定された目標速度に基づく制御速度で走行するので、例えば直進する制御軌道76が生成されている場合であっても車線変更の虞がある区間(例えば障害物の周辺)ではある程度減速して走行が行われることとなる。従って、予定外の車線変更を行うことになった場合であっても急制動、急旋回等が生じることを防止できる。
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る自動運転支援システム1、自動運転支援システム1による自動運転支援方法及びナビゲーション装置2で実行されるコンピュータプログラムでは、障害物の地図上の位置を含む障害物情報を取得し(S11)、自車両において自動運転支援を実施する際の基準とする基準点を自車両の走行予定経路上に複数設定し(S14)、走行予定経路と障害物情報とに基づいて、走行予定経路を走行する自車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報として、自車両の目標速度と優先度とを基準点毎に生成する(S15〜S22)ので、予定されていた制御軌道から自車両が外れた場合であっても、支援情報に基づいて現在の状況に応じた新たな制御軌道を迅速且つ適切に生成することが可能となる。また、走行予定経路や障害物情報に基づいて自車両が走行すべき速度や優先度を基準点毎に予め規定できるので、制御軌道が変化した場合であっても車両制御内容の急激な変化が起こり難く、急制動、急旋回等が生じることについて防止することが可能となる。例えば、従来では車線変更をする可能性のある区間であっても直進する制御を行うことが決定していれば制限速度付近の車速で走行するので、予定外の車線変更を行うことになった場合に急制動、急旋回等が生じることとなる。一方で、本件発明では車線変更をする可能性のある区間では直進する制御を行うことが決定していてもある程度減速した目標速度の車速で走行するので、予定外の車線変更を行うことになった場合であっても急制動、急旋回等が生じることを防止できる。
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、走行予定経路に対して走行軌道候補を設定する場合に、一の車線に対して一の走行軌道候補を設定しているが、一の車線に対して複数の走行軌道候補を設定しても良い。例えば図23に示すように中央付近、右寄り、左寄りの3本の走行軌道候補81を設定することも可能である。このような構成とすれば、車線内の走行位置(右寄り、中央付近、左寄り)についても制御できるので、より詳細な自動運転支援を行うことが可能となる。例えば、障害物が車線の全てを占有するものでなく一部のみを占有する場合には、同一車線内で車両の走行位置を左右に移動させる制御軌道を設定することによって車線変更をせずに障害物を避けて走行する制御が可能となる。
また、本実施形態では障害物情報に含まれる障害物として、工事区間、渋滞車両、駐車車両を挙げているが、その他の障害物について対象としても良い。例えば、悪路区間、路面凍結区間等を障害物の対象としても良い。
また、本実施形態では、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の全てを車両制御ECU20が制御することをユーザの運転操作によらずに自動的に走行を行う為の自動運転支援として説明してきた。しかし、自動運転支援を、車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の少なくとも一の操作を車両制御ECU20が制御することとしても良い。一方、ユーザの運転操作による手動運転とは車両の操作のうち、車両の挙動に関する操作である、アクセル操作、ブレーキ操作及びハンドル操作の全てをユーザが行うこととして説明する。
また、本実施形態では、支援情報生成処理プログラム(図4)及び自動運転支援プログラム(図15)をナビゲーション装置2が実行する構成としているが、車両制御ECU20が実行する構成としても良い。その場合には、車両制御ECU20は車両の現在位置や地図情報や障害物情報等をナビゲーション装置2から取得する構成とする。
また、本発明はナビゲーション装置以外に、経路探索機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した支援情報生成処理プログラム(図4)及び自動運転支援プログラム(図15)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。但し、本発明を携帯端末等に適用する場合には、自動運転支援が実行可能な車両と携帯端末等が通信可能に接続(有線無線は問わない)される必要がある。
また、本発明に係る自動運転支援システムを具体化した実施例について上記に説明したが、自動運転支援システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
自車両(3)が走行する走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段(41)と、地図情報を取得する地図情報取得手段(41)と、前記走行予定経路上にある障害物の地図上の位置を含む障害物情報を取得する障害物情報取得手段(41)と、前記自車両において自動運転支援を実施する際の基準とする基準点(52)を、前記走行予定経路上に含まれる車線上に複数設定する基準点設定手段(41)と、前記走行予定経路と前記障害物情報とに基づいて、前記走行予定経路を走行する前記自車両において実施する自動運転支援に用いる支援情報として、前記自車両の目標速度と、他の基準点と比較した前記自車両が走行する優先度と、を複数の前記基準点毎に生成する支援情報生成手段(41)と、を有し、前記支援情報生成手段は、自車両の走行予定経路に基づいて決定される自車両が優先して走行するべき車線である優先車線に基づいて、前記優先度を生成する。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、走行予定経路上に設定された各基準点に対して目標速度及び優先度を予め紐付けた支援情報を生成することによって、予定されていた制御軌道から自車両が外れた場合であっても、支援情報に基づいて現在の状況に応じた新たな制御軌道を迅速且つ適切に生成することが可能となる。また、走行予定経路や障害物情報に基づいて自車両が走行すべき速度や優先度を基準点毎に予め規定できるので、制御軌道が変化した場合であっても車両制御内容の急激な変化が起こり難く、急制動、急旋回等が生じることについて防止することが可能となる。また、複数の車線からなる道路を自車両が走行する場合に、自車両が走行すべき車線を特定することが可能であり、車線間の移動についても考慮した自動運転支援を実施することが可能となる。
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、前記障害物の位置する車線についても考慮して複数の前記基準点(52)毎に前記優先度を生成する。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、車両が走行する候補となる車線が複数ある場合において、各車線の走行予定経路及び障害物との関係を考慮した具体的な比較が可能となる。その結果、複数の車線の内から車両が走行する車線をより適切に選択することが可能となる。
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、前記障害物の影響する範囲では、前記障害物が位置する車線に設定される前記基準点(52)をその他の車線に設定される前記基準点よりも低い前記優先度とし、前記障害物の影響する範囲外では、前記優先車線に設定される前記基準点をその他の車線に設定される前記基準点よりも高い優先度とする。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、障害物の影響する範囲では障害物を考慮して各基準点に対して優先度を設定するとともに、障害物の影響する範囲外では走行予定経路を考慮して各基準点に対して優先度を設定するので、周辺の状況に応じて複数の車線の内から車両が走行する車線をより適切に選択することが可能となる。
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、前記走行予定経路を構成する道路に対して設定された制限速度と、前記走行予定経路に沿って走行する前記自車両(3)に生じる最大の横加速度が所定の上限値となる走行速度の内、遅い方を前記走行予定経路に沿って前記自車両が走行する場合の上限速度として特定し、前記上限速度と、前記障害物の種類に基づいて決定される推奨速度の内、遅い方を前記目標速度に設定し、前記走行予定経路に沿って走行する前記自車両の加速度及び減速度が閾値以下となる条件を満たすように前記目標速度を修正する。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、各基準点には上限速度や障害物を考慮した目標速度を予め設定できるので、実際にどの基準点を通過する制御軌道が選択された場合であっても急制動や不要な加減速が行われることを防止できる。また、目標速度の設定に際しては、走行予定経路の形状に基づいて各基準点を通過する際の目標速度を適切に設定することが可能となる。更に、ユーザや車両制御に負担となる加減速が行われない範囲で、各基準点の目標速度を適切に設定することが可能となる。
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、前記障害物が車線を減少させる障害物である場合には、減少する車線からの移動先となる車線であって前記障害物の影響する範囲を走行する他車両の車速を前記推奨速度とする。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、車線変更を実施する区間にある基準点に対しては、予め移動先の車線の交通流速度で走行させるように目標速度を設定するので、車線変更をスムーズに行わせることが可能となる。また、車線変更を実施する区間に到達する前に既に速度制御を完了させるので、車線変更を実施可能な機会を増やすことが可能となる。
また、第6の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、前記障害物が道路の工事である場合には、徐行速度又は前記障害物の影響する範囲を走行する他車両の車速を前記推奨速度とする。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、工事区間にある基準点に対しては、予め工事区間の交通流速度又は徐行速度で走行させるように目標速度を設定するので、急な減速制御が行われることを防止することが可能となる。
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、前記障害物が渋滞車両である場合には、前記渋滞車両の車速を前記推奨速度とする。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、渋滞区間にある基準点に対しては、予め渋滞区間の交通流速度で走行させるように目標速度を設定するので、急な減速制御が行われることを防止することが可能となる。
また、第8の構成は以下のとおりである。
前記支援情報生成手段(41)は、加速区間と減速区間が所定距離内に連続しない条件を満たすように前記目標速度を修正する。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、不必要な加速制御及び減速制御が行われることをできる限り防止することによって、燃料効率を上昇させるとともに車両の乗員に快適な走行を行わせることが可能となる。
また、第9の構成は以下のとおりである。
前記自車両(3)の現在位置から所定距離進行方向前方の位置に、道路幅方向に所定間隔で複数の制御目標候補地点(71)を設定する制御目標地点設定手段(41)と、前記自車両の現在位置から前記複数の制御目標候補地点へと前記目標速度により所定操舵角以内で走行する軌道を、前記複数の制御目標候補地点毎に制御軌道候補(72)として生成する制御軌道候補生成手段(41)と、前記制御軌道候補生成手段により生成された前記複数の制御軌道候補の内から、前記基準点毎に設定された前記優先度に基づいて一の制御軌道(76)を選択する制御軌道選択手段(41)と、前記制御軌道選択手段により選択された前記制御軌道に沿って走行するように前記自車両を制御する自動運転支援手段(41)と、を有する。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、生成された支援情報に基づいて適切な制御軌道を設定し、制御軌道に沿った走行を行わせることが可能となる。具体的には、生成情報に含まれる基準点毎の優先度を参照することで、どの軌道を車両が走行すべきか(どのタイミングで車線を移動すべきか等)を総合的に判断することができる。また、例えば車両の進行方向前方に車線を減少させる障害物がある場合に、理想とする車線変更すべきタイミングでの車線変更が何らかの理由で実行できなかったとしても、その後に隣の車線へと移動する制御軌道が新たに提供されることとなるので、自動運転支援を中断することなく適切な自動運転支援を行うことが可能となる。
また、第10の構成は以下のとおりである。
前記制御軌道候補生成手段(41)により生成された前記複数の制御軌道候補(72)毎に前記障害物との位置関係を取得する位置関係取得手段(41)を有し、前記制御軌道選択手段(41)は、前記障害物との位置関係についても考慮して前記制御軌道(76)を選択する。
上記構成を有する自動運転支援システムによれば、生成された支援情報に加えて障害物との位置関係についても考慮して適切な制御軌道を設定し、制御軌道に沿った走行を行わせることが可能となる。