JP7363435B2 - 走行支援方法及び走行支援装置 - Google Patents

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Description

本開示は、走行支援方法及び走行支援装置に関する。
従来、車両の駆動力や制動力を制御する走行支援方法が知られている。また、このような走行支援方法において、車両の挙動を安定させるための制御を路面状態に応じて変更するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術は、オーバステア(OS)用閾値又はアンダステア(US)用閾値を路面摩擦係数に応じて設定しており、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差信号と、オーバステア(OS)用閾値又はアンダステア(US)用閾値とに基づいて、挙動を安定化させるための制御介入を判断している。
特開2008-105439号公報
しかしながら、上述の従来技術は、路面摩擦係数が共通していれば、走行状況に係わらず一定の介入判断を行うため、場合によっては、走行状況に応じた適切な走行支援とはならないおそれがあった。
本開示は、上記問題に着目して成されたもので、走行状況に応じた適切な走行支援が可能な走行支援方法及び走行支援装置の提供を目的とする。
本開示の走行支援方法は、後輪駆動の自車両の挙動を示す値とTCS制御開始閾値との比較に基づいてTCS制御を開始するか否かを判定するコントローラを用いた走行支援方法である。そして、前記コントローラは、前記自車両の周囲状況を検出するセンサが検出する周囲状況に基づいて前記自車両を走行させるための目標軌跡を算出し、前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御する。前記周囲状況に基づいて前記自車両の走行が、コーナ入口走行であるか、コーナ出口走行であるかを判定し、前記コーナ入口走行か前記コーナ出口走行かの判定結果に基づいて、前記TCS制御開始閾値を設定する。前記TCS制御は、前記自車両の走行の制御に介入して実行するものであり、前記TCS制御開始閾値の設定は、前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御している際に行う。
本開示の走行支援方法及び走行支援装置は、走行状況に応じた適切な走行支援を行うことが可能である。加えて、自動運転制御中に、走行状況に沿って正確に走行できるようにTCS制御開始閾値を決定し、走行状況に応じた適切な走行支援制御としてのTCS制御を行い、自動運転制御を安定して継続できる。
実施の形態1の走行支援方法及び走行支援装置が適用された自動運転車両のシステムの構成を示す全体システム構成図である。 前記自動運転車両のVDC・TCSコントローラの構成を示すブロック図である。 前記自動運転車両の自動運転コントローラ及び車両運動コントローラの制御ブロックを示すブロック構成図である。 前記自動運転コントローラの走行状態判定部の構成を示すブロック図である。 前記自動運転コントローラの走行状態判定部の走行状況解析部及び旋回強度算出部の構成を示すブロック図である。 前記走行状態判定部の旋回強度算出部による各基準値から旋回強度への変換処理の流れを示すフローチャートである。 前記VDC・TCSコントローラの制御開始閾値算出部における制御開始閾値を算出する際のUS抑制VDC制御閾値及びOS抑制VDC制御開始閾値と、カーブ入口強度、カーブ出口強度との関係を示す閾値特性図である。 前記VDC・TCSコントローラの制御開始閾値算出部における制御開始閾値を算出する際のRWDのTCS制御閾値及びFWDのTCS制御開始閾値と、カーブ入口強度、カーブ出口強度との関係を示す閾値特性図である。 実施の形態1を適用した自動運転車両と比較例とのVDC制御の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態1を適用した後輪駆動の自動運転車両と比較例とのTCS制御の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態1を適用した前輪駆動の自動運転車両と比較例とのTCS制御の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態2の走行支援方法及び走行支援装置が適用された自動運転車両の制御開始閾値算出部においてVDC制御開始閾値を設定する処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態2の走行支援方法及び走行支援装置が適用された自動運転車両の制御開始閾値算出部において前輪駆動車(FWD)におけるTCS制御開始閾値を設定する処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態2の走行支援方法及び走行支援装置が適用された自動運転車両の制御開始閾値算出部において後輪駆動車(RWD)におけるTCS制御開始閾値を設定する処理の流れを示すフローチャートである。 実施の形態3の走行支援方法及び走行支援装置が適用された自動運転車両の自動運転コントローラ及び車両運動コントローラの制御ブロックを示すブロック構成図である。
以下、本開示による車両制御方法及び車両制御装置を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、実施の形態1の走行支援方法を実行する走行支援装置について説明する。
実施の形態1の走行支援方法を実行する走行支援装置は、自動運転モードを選択すると目標軌跡を生成し、生成した目標軌跡に沿って走行するように速度及び舵角による車両運動を制御する自動運転車両ADに適用したものである。
以下、自動運転車両ADの構成を、[全体システムの構成]、[自動運転コントローラの制御ブロック構成]に分けて説明する。さらに、VDC・TCSコントローラ、走行状態判定部及び制御開始閾値判定部の構成を、[VDC・TCSコントローラの構成]、[走行状態判定部の構成]、[走行状態解析部及び旋回強度算出部の構成]、[旋回強度変換部の処理の変換処理流れ]、[制御開始閾値算出部及び制御開始閾値の算出手順]に分けて説明する。
[全体システムの構成(図1)]
実施の形態1の車両制御装置が適用された自動運転車両ADは、図1に示すように、車載センサ1と、ナビゲーション装置2と、車載制御ユニット3と、アクチュエータ4と、HMIモジュール5と、VDC・TCSコントローラ6とを備えている。なお、「HMI」は「Human Machine Interface」の略称である。「VDC」は、「Vehicle Dynamics Control」の略称である。「TCS」は、「traction control system」の略称である。
車載センサ1は、自車周辺物体や走行路形状などの周辺環境、自車位置や自車状態などを認識するために自車に搭載された各種のセンサである。この車載センサ1は、外部センサ11、GPS受信機12、内部センサ13を有する。
外部センサ11は、自車周辺に向けて設けられ、自車周辺の静止物体や移動物体や走行路形状などを検出するセンサである。この外部センサ11としては、例えば、カメラ、レーダー、ライダー、ソナーなどが用いられる。
なお、レーダーは、「Radar」であり、Radio Detection and Rangingの略である。ライダーは、「Lidar」であり、Light Detection and Rangingの略である。ソナーは、「Sonar」であり、Sound Navigation and Rangingの略である。また、外部センサ11では、例えば、カメラとレーダーやカメラとライダーを組み合わせ、検出情報を融合させることによって必要な情報を取得するセンサフュージョンを行ってもよい。
GPS受信機12は、GNSSアンテナ12aにより3個以上のGPS衛星からの信号を受信して、自車位置を示す位置データ(緯度及び経度)を取得する装置である。なお、「GNSS」は「Global Navigation Satellite System」の略称、「GPS」は「Global Positioning System」の略称である。また、GPS受信機12による信号受信が不良のときには、内部センサ13やオドメーター(車両移動量計測装置)を利用してGPS受信機12の機能を補完してもよい。
内部センサ13は、自車の速度・加速度・姿勢データなどの自車情報を検出する検出機器である。例えば、6軸慣性センサ(IMU:Inertial Measurement Unit)を有し、自車の移動方向、向き、回転を検出することができる。さらに、内部センサ13の検出結果に基づいて移動距離や移動速度などを算出できる。6軸慣性センサは、前後、左右、上下の三方向の加速度を検出できる加速度センサと、この三方向の回転の速さを検出できるジャイロセンサを組み合わせることで実現される。なお、内部センサ13には、車輪速センサやヨーレイトセンサやアクセル操作量センサ、などの必要情報を取得するセンサを含むことができる。
さらに、この車載センサ1では、図示していない外部データ通信器との間で無線通信を行うことで、必要な情報を外部から取得してもよい。すなわち、外部データ通信器が、例えば、他車に搭載されたデータ通信器の場合、自車と他車の間で車車間通信を行う。この車車間通信により、他車が保有する様々な情報から必要な情報を取得することができる。また、外部データ通信器が、例えば、インフラ設備に設けられたデータ通信器の場合、自車とインフラ設備の間でインフラ通信を行う。このインフラ通信により、インフラ設備が保有する情報の中から必要な情報を取得することができる。この結果、例えば、自動運転コントローラ31が有する高精度地図データでは不足する情報や変更された情報がある場合に必要な地図データを補うことができる。また、自車が走行を予定している経路上での渋滞情報や走行規制情報などの交通情報を取得することもできる。
ナビゲーション装置2は、施設情報データを内蔵し、目的地までの自車が走行する経路を案内する装置である。ナビゲーション装置2は、走行路の車線の位置情報が含まれる高精度地図データを内蔵するようにしても良い。このナビゲーション装置2では、目的地が入力されると、自車の現在地(或いは任意に設定された出発地)から目的地までの案内経路が生成される。生成された案内経路の情報は、高精度地図データと合成されてHMIモジュール5のディスプレイに表示される。なお、目的地は、車両の乗員が車内で設定したものを用いてもよいし、或いは、ユーザー端末(例えば、携帯電話、スマートフォン)によりユーザーが設定した目的地を、無線通信を介して自車で受信し、受信した目的地を用いてもよい。また案内経路は、自車に備わるコントローラを用いたナビゲーション装置により算出してもよいし、或いは、車外のコントローラを用いたナビゲーション装置により算出してもよい。
車載制御ユニット3は、CPUやメモリを備えており、車載センサ1によって検出された各種の検出情報や、ナビゲーション装置2によって生成された案内経路情報、必要に応じて適宜入力されるドライバ入力情報を統合処理する。そして、この車載制御ユニット3は、階層処理により車両運動を制御するコントローラである。なお、「階層処理」とは、入力情報に対して複数の処理を順に(階層的に)実行して最終的な出力情報を演算することであり、上位階層の処理にて出力された出力値(演算値)が下位階層の処理での入力値となる関係になる。なお、上述の複数の処理を順に(階層的に)実行して最終的な出力情報を演算する階層処理は一例であり、必ずしも上位の階層での処理の結果を必要としない場合は、異なる階層でも並列に(同時に)処理することは可能である。
この車載制御ユニット3は、目標軌跡及び目標速度プロファイルを生成する自動運転コントローラ31と、生成された目標軌跡及び目標速度プロファイルに基づいて車両運動を制御するための指令値を演算する車両運動コントローラ32と、を有している。ここで、第1制御周期にて演算を行う自動運転コントローラ31によって上位階層の処理を行い、第1制御周期よりも短い第2制御周期にて演算を行う車両運動コントローラ32によって下位階層の処理を行う。
自動運転コントローラ31では、車載センサ1やナビゲーション装置2からの入力情報、高精度地図データなどに基づき、目標軌跡及び目標速度プロファイルを階層処理により生成する。ここで、「目標軌跡」とは、自車を自動運転走行させる際に目標とする走行軌跡であり、例えば、自車が車線幅内で走行する軌跡や、自車周囲の走行可能領域の中での走行する軌跡や、障害物を回避する軌跡などを含む。生成された目標軌跡及び目標速度プロファイルの情報は車両運動コントローラ32に出力される。生成された目標軌跡の情報は、高精度地図データと合成されてHMIモジュール5のディスプレイに表示されるようにしてもよい。
車両運動コントローラ32では、自動運転コントローラ31からの目標軌跡及び目標速度プロファイルの情報、又は、ドライバ操作による入力情報(以下、「ドライバ入力」という。)に基づいて自車を走行させるための制御指令値を演算する。演算された制御指令値はアクチュエータ4に出力される。なお、車両運動コントローラ32は、ドライバ入力の有無によって走行モードを調停し、調停結果(自動運転走行モード、又は、マニュアル運転走行モード)に応じた制御指令値を演算する。
アクチュエータ4は、自車の直進走行/旋回走行/停止させるための制御アクチュエータあり、速度制御アクチュエータ41と、操舵制御アクチュエータ42と、を有する。なお、走行には、加速走行/定速走行/減速走行を含む。
速度制御アクチュエータ41は、車載制御ユニット3から入力された速度制御指令値に基づいて駆動輪(各輪)へ出力する駆動トルク又は制動トルクを制御するもので、TCSアクチュエータ41a及びVDCアクチュエータ41bが含まれる。
TCSアクチュエータ41aは、自車両の駆動源と接続する車輪に与える駆動力を制御するアクチュエータである。なお、自車両の駆動源としては、例えば、エンジン車の場合にエンジンであり、ハイブリッド車の場合にエンジンとモータ/ジェネレータであり、電気自動車の場合にモータ/ジェネレータである。また、TCSアクチュエータ41aとしては、駆動源の出力を制御するアクチュエータや、駆動源自体を用いることができる。
VDCアクチュエータ41bは、自車両の制動装置と接続する車輪の制動トルクを独立して制御可能な周知のアクチュエータである。このVDCアクチュエータ41bは、油圧ポンプ、電動ポンプやアキュムレータなどの圧力源と、各輪のホイールシリンダに対し圧力を給排可能な制御バルブとを有するものを用いることができる。さらに、駆動源としてモータ/ジェネレータを有する場合、モータ/ジェネレータをVDCアクチュエータ41bとして用い、その回生制動力を制御することも可能である。
操舵制御アクチュエータ42は、車載制御ユニット3から入力された操舵制御指令値に基づいて操舵輪の転舵角を制御する。なお、操舵制御アクチュエータ42としては、ステアリングシステムの操舵力伝達系に設けられる操舵モータなどを用いる。
HMIモジュール5は、自車のドライバを含む乗員と車載制御ユニット3の間で互いの意思や情報を伝達するためのインターフェイスである。HMIモジュール5は、例えば、乗員に自動運転制御状況などによる画像情報を表示するヘッドアップディスプレイやメータディスプレイ、アナウンス音声を出力するスピーカ、点灯や点滅により警告するランプ、乗員が入力操作を行う操作ボタンやタッチパネルなどから構成される。
[自動運転コントローラの制御ブロック構成(図3)]
次に、自動運転コントローラ31の構成について説明する。
自動運転コントローラ31は、図3に示すように、目標速度プロファイルを生成するのに必要な情報の取得処理部として、高精度地図データ記憶部311と、自己位置推定部312と、走行環境認識部313と、周囲物体認識部314と、を備えている。さらに、自動運転コントローラ31は、目標軌跡及び目標速度プロファイルを生成する階層処理部として、走行車線計画部315と、動作決定部316と、走行領域設定部317と、目標軌跡生成部318と、を備えている。
高精度地図データ記憶部311は、車外に存在する静止物体の三次元の位置情報(経度、緯度、高さ)が設定された高精度三次元地図データ(以下、「HDマップ」という)が格納された車載メモリである。高精度地図データの静止物体には、例えば、横断歩道、停止線、各種標識、分岐点、走行路標示、信号機、電柱、建物、看板、車道やレーンの中心線、区画線、路肩線、走行路と走行路のつながりなどの様々な要素が含まれる。なお、高精度地図データ記憶部311には、必ずしも上記の静止物体の全ての要素が含まれる必要はない。
自己位置推定部312は、車載センサ1からのセンサ情報、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報を入力し、入力されたセンサ情報とHDマップ情報とをマッチングして高精度地図上での自車の現在地(自己位置)を推定する。そして、自己位置推定部312からは、走行環境認識部313へ自己位置情報が出力される。
走行環境認識部313は、車載センサ1からのセンサ情報、ナビゲーション装置2からの案内経路情報、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報、自己位置推定部312からの自己位置情報、周囲物体認識部314からの周囲物体認識情報を入力する。そして、これらの入力情報と自車走行環境の刻々と変化する動的な情報を統合し、自車の走行環境を認識する。ここで、「動的な情報」とは、例えば、準静的データ(交通規制情報など)と準動的データ(事故情報や渋滞情報など)と動的データ(周辺移動車両情報や歩行者情報など)を組み合わせた情報をいう。走行環境認識部313からは、動作決定部316へ走行環境認識情報が出力される。
周囲物体認識部314は、車載センサ1からのセンサ情報を入力し、自車の周囲に存在する物体の位置、属性、挙動の検出又は予測によって、自車の周囲物体を認識する。そして、周囲物体認識部314からは、走行環境認識部313や走行領域設定部317へ周囲物体認識情報が出力される。
走行車線計画部315は、ナビゲーション装置2からの案内経路情報、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報を入力し、目的地までの案内経路上において、自車が走行すべき走行車線(以下、「目標車線」という)を計画する。走行車線計画部315から次の階層の動作決定部316へは、目標車線情報が出力される。
動作決定部316は、走行環境認識部313からの走行環境認識情報、走行車線計画部315からの目標車線情報を入力し、目標車線に沿って走行したとき、自車が遭遇する事象を抽出し、それら事象に対する自車の動作を決定する。ここで、「自車の動作」とは、発進、停止、加速、減速、右左折などの目標車線に沿って走行するために必要となる自車の動きをいう。動作決定部316から次の階層の走行領域設定部317へは、自車動作決定情報が出力される。
走行領域設定部317は、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報、動作決定部316からの自車動作決定情報、周囲物体認識部314からの周囲物体認識情報を入力する。そして、自車の動作情報と周囲物体認識情報を照合し、目標車線に沿って自車を走行させることが可能な走行可能領域を設定する。ここで、「走行可能領域」とは、例えば、自車周辺に駐車車列などの物体が存在したり工事区間が存在したりするとき、当該領域との干渉や接触を回避するように設定される領域をいう。走行領域設定部317から次の階層の目標軌跡生成部318へは、走行可能領域情報が出力される。
目標軌跡生成部318は、走行領域設定部317からの走行可能領域情報を入力し、現在の自車の位置から任意に設定される目標位置まで、走行可能領域内を走行することを拘束条件とし、車線変更を含めて目標軌跡を生成する。
この目標軌跡生成部318が生成した目標軌跡に基づいて、車両運動コントローラ32が自車を走行させるための制御指令値を演算しアクチュエータ4に出力する。
本実施の形態1では、車両運動コントローラ32は、目標軌跡生成部318が生成した目標軌跡に基づいて、VDC・TCSコントローラ6の制御閾値を決定する1つの要素である走行状態を判定する走行状態判定部700を備える。以下、VDC・TCSコントローラ6及び走行状態判定部700について説明する。
VDC・TCSコントローラ6は、自動運転とは独立して、自車両の制動力及び駆動力の制御であるVDC制御及びTCS制御を行う。なお、自動運転時には、車両運動コントローラ32の制御に対し、VDC・TCSコントローラ6による制御を優先させて介入する。また、手動運転時においても、運転者の操作に対し、VDC・TCSコントローラ6による制御により介入する。
VDC制御では、VDC・TCSコントローラ6は、VDCアクチュエータ41bや、TCSアクチュエータ41aを用いて、車両姿勢や車両挙動を安定させるよう制動力や駆動力を制御する。また、TCS制御では、VDC・TCSコントローラ6は、TCSアクチュエータ41aやVDCアクチュエータ41bを用いて、駆動輪を安定させるように駆動力及び制動力を制御する。
さらに詳細には、VDC・TCSコントローラ6は、VDC制御として、自車両のアンダステア(以下、USと記載する)状態を抑制するUS抑制VDC制御と、自車両のオーバステア(以下、OSと記載する)状態を抑制するOS抑制VDC制御を実行する。なお、自車両のUS状態やOS状態は、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差に基づいて判定する。具体的には、実ヨーレイトが目標ヨーレイトを下回ればUS状態と判定でき、逆に、実ヨーレイトが目標ヨーレイトを上回ればOS状態と判定することができる。
US抑制VDC制御は、車両姿勢が所定以上のUS状態であることを検出した際に、自車両にOS方向のモーメントを付与し、US状態を抑制させる制御である。この自車両へのOS方向のヨーモーメントの付与は、駆動輪への駆動力の低下と、コーナ内側の後輪への制動力の付与との、一方、あるいは両方を行うことで実行できる。また、自車両に駆動力配分機構を有している場合には、旋回外輪の駆動力配分を旋回内輪の駆動力配分よりも大きくすることで、OS方向のヨーモーメントを付与することができる。あるいは、自車両が、インホイールモータなど左右独立して駆動力を与えることができる駆動源を有している場合は、旋回外輪の駆動力を旋回内輪の駆動力よりも大きくすることで、OS方向のヨーモーメントを付与することができる。
OS抑制VDC制御は、車両姿勢が所定以上のOS状態であることを検出した際に、自車両にUS方向のモーメントを付与し、OS状態を抑制させる制御である。この自車両へのUS方向のヨーモーメントの付与は、駆動輪への駆動力の低下と、コーナ外側の前輪への制動力の付与との、一方、あるいは両方を行うことで実行できる。また、自車両に駆動力配分機構を有している場合には、旋回内輪の駆動力配分を旋回外輪の駆動力配分よりも大きくすることでUS方向のヨーモーメントを付与することができる。あるいは、自車両が、インホイールモータなど左右独立して駆動力を与えることができる駆動源を有している場合は、旋回内輪の駆動力を旋回外輪の駆動力よりも大きくすることで、US方向のヨーモーメントを付与することができる。
また、VDC・TCSコントローラ6によるTCS制御では、路面摩擦係数が低かったり、駆動力が過多であったりして駆動輪にスリップが生じた場合に、駆動源の駆動力を低下させたり、駆動輪に制動力を与えたりすることで、スリップ量を低下させる。なお、路面摩擦係数は、車輪速と、車体の加速度とに基づいて推定することができる。
[VDC・TCSコントローラの構成(図2)]
上述のようなVDC制御及びTCS制御を行うVDC・TCSコントローラ6の構成の概略を図2に基づいて説明する。
VDC・TCSコントローラ6は、目標ヨーレイト算出部61と、実ヨーレイト算出部62と、ヨーレイト偏差算出部63と、駆動輪スリップ率算出部64と、制御開始閾値算出部65と、を備える。さらに、VDC・TCSコントローラ6は、制御指令の出力部として、US抑制VDC制御指令部66と、OS抑制VDC制御指令部67と、TCS制御指令部68と、を備える。
目標ヨーレイト算出部61は、内部センサに含まれる車速センサ及び操舵角センサから得られる車体速及び操舵角に基づいて理想的な車両挙動である目標ヨーレイトを算出する。また、実ヨーレイト算出部62は、内部センサに含まれるヨーレイトセンサからの信号に基づいて、自車両に実際に生じている実ヨーレイトを算出する。ヨーレイト偏差算出部63は、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差を算出する。
駆動輪スリップ率算出部64は、駆動輪のスリップ率を算出するもので、車輪速度センサにより得られる従動輪速と駆動輪速とに基づいて駆動輪のスリップ率を算出する。
制御開始閾値算出部65は、US抑制VDC制御開始閾値と、OS抑制VDC制御開始閾値とTCS制御開始閾値とを算出する。
US抑制VDC制御開始閾値は、US抑制VDC制御を開始するか否かの判定に用いる。OS抑制VDC制御開始閾値は、OS抑制VDC制御を開始するか否かの判定に用いる。TCS制御開始閾値は、TCS制御を行うか否かを判定するのに用いる。
また、制御開始閾値算出部65は、OS抑制VDC制御開始閾値、US抑制VDC制御開始閾値、TCS制御開始閾値を、車載センサ1から得られる車速(各車輪速度を含む)及び路面摩擦係数と、走行状態判定部700から得られる旋回強度に基づいて算出する。なお、旋回強度の詳細は後述する。
US抑制VDC制御指令部66は、ヨーレイト偏差とUS抑制VDC制御開始閾値とを入力する。そして、US抑制VDC制御指令部66は、US側のヨーレイト偏差がUS抑制VDC制御開始閾値を越えた場合に、VDCアクチュエータ41bに向けて自車両の実ヨーレイトを目標ヨーレイトに向けて増加させてUS状態を抑制させる制御を実行する。なお、US側のヨーレイト偏差とは、実ヨーレイトが目標ヨーレイトを下回るUS状態で生じる偏差である。
OS抑制VDC制御指令部67は、ヨーレイト偏差とOS抑制VDC制御開始閾値とを入力する。そして、OS抑制VDC制御指令部67は、OS側のヨーレイト偏差が、OS抑制VDC制御開始閾値を越えた場合に、VDCアクチュエータ41bに向けて自車両の実ヨーレイトを目標ヨーレイトに向けて低下させてOS状態を抑制させる制御を実行する。なお、OS側のヨーレイト偏差とは、実ヨーレイトが目標ヨーレイトを上回るOS状態で生じる偏差である。
TCS制御指令部68は、駆動輪スリップ率とTCS制御開始閾値とを入力する。そして、TCS制御指令部68は、駆動輪スリップ率がTCS制御開始閾値を上回ると、駆動輪のスリップ率を所定のスリップ率内に抑制するTCS制御を実行する。
制御開始閾値算出部65は、前述したように、US抑制VDC制御開始閾値と、OS抑制VDC制御開始閾値と、TCS制御開始閾値とを、車速、路面摩擦係数及び旋回強度に基づいて算出する。
走行状態判定部700は、車載センサ1からのセンサ情報、目標軌跡生成部318からの目標軌跡情報を入力し、自車の目標軌跡における走行状況を示す値として旋回強度を算出する。そして、この旋回強度を用いて、前述したVDC・TCSコントローラ6の制御開始閾値算出部65が、各制御開始閾値を算出する。
[走行状態判定部の構成(図4)]
以下に、走行状態判定部700の構成を、図4、図5、図6に基づいて説明する。
まず、図4に基づいて、走行状態判定部700の全体的な構成を説明する。
走行状態判定部700は、目標軌跡の曲率の集合体に基づいて目標軌跡上の走行状況を旋回強度として算出するもので、曲率算出部710と、曲率情報解析部720と、走行状況解析部730と、旋回強度算出部740とを備える。
曲率算出部710は、目標軌跡上に所定間隔で算出点Pnを設定し、各算出点Pnの曲率を算出する。
曲率情報解析部720は、各算出点Pnの曲率に関する解析を行う。この解析には、左右の曲率の最大値、平均値及び偏差、歪度が含まれる。ここで、歪度は、曲率の分布のばらつきを指す。この歪度は、目標軌跡の所定区間の走行状態が定常状態か過渡状態かを判定するのに用いる。詳細については後述するが、走行状態の定常状態とは直線走行や定常円走行を指し、その場合、曲率の分布は、所定幅(偏差)内の正規分布となる。つまり、平均値が分布の中央値に近く、偏差も相対的に小さく、歪度が小さい。
一方、直線走行、定常円走行以外の過渡状態、すなわち、コーナ入口走行状態、コーナ出口走行状態、不定旋回走行状態では、曲率の分布が非正規分布であったり、正規分布であっても歪度が大きくなったりする。なお、非正規分布とは、平均値と中央値とが異なったり、複数の山を有したりする。また、歪度が大きな正規分布とは、偏差(幅)が所定幅よりも広い分布である。
走行状況解析部730は、目標軌跡に沿った曲率解析情報(最大値、平均値、偏差、歪度)及び車載センサ1からの入力に基づいて、目標軌跡上における走行状況を解析する。そして、この走行状況の解析として、定常状態かそれ以外の過渡状態かを判定する。なお、定常状態の走行状態には、直線走行、定常円走行が含まれる。一方、過渡状態の走行状態としては、コーナ入口走行、コーナ出口走行、不定旋回走行が含まれる。
そして、旋回強度算出部740は、走行状況解析部730において算出した基準値に基づいて、目標軌跡に沿って旋回強度を算出する。ここで、旋回強度は、目標軌跡上における走行状態を示すコーナ入口強度、コーナ出口強度、コーナ不定強度、定常円強度、直線強度を、これらの合計値が「1」となる値として算出する。
なお、コーナ入口強度は、走行状態がコーナ入口走行らしさである度合いを示し、コーナ出口強度は、走行状態がコーナ出口走行らしさである度合いを示す。また、定常円強度は、走行状態が定常円走行らしさである度合いを示し、直線強度は、走行状態が直線走行らしさである度合いを示し、コーナ不定強度は、走行状態が上記のいずれでもない、不定旋回走行らしさである度合いを示す。
したがって、例えば、目標軌跡上のある走行区間が直線道路である場合、直線強度の値が大きくなり、コーナ入口強度、コーナ出口強度、コーナ不定強度、定常円強度の値は、小さくなる。
なお、直線道路であっても、目標軌跡は、完全な直線とは限らない。例えば、直線道路であっても、目標軌跡は、走行車線の幅の変化などにより、走行車線上で左右に移動する場合もあるためである。そこで、直線走行状態での曲率の分布は、「0」を平均値、中央値、最頻値として、ある程度の狭い幅(分散:偏差)を有した歪度の小さな正規分布となる。
また、定常旋回の場合も、曲率が略一定であることから、中央値、平均値、最頻値が「0」から外れた値ではあるが、幅(分散:偏差)が有る程度抑えられた歪度の小さな正規分布となる。
それに対し、コーナ入口では、曲率が「0」に近い直線区間から、曲率が左右の一方向の値が高まる曲線区間に遷移するため、曲率が低い値の分布から曲率が高い値の分布が増加する右肩上がりの分布となる。
一方、コーナ出口では、曲率が「0」よりも高い区間から、曲率が「0」の区間に向かうため、曲率が高い値の分布から、曲率が低い値の分布が多くなる右肩下がりの分布となる。
また、左右のコーナが連続する場合は、コーナとコーナとの中間部付近の区間では、曲率「0」の値が増えるが、その前後の曲率は大きな値であるため、分布の幅(偏差)が拡がり、歪度が大きくなる。このように、分布の幅(偏差)が広い区間は、正規分布であっても直線走行(定常状態)とは区別することができ、過渡領域に含む。
そして、コーナ不定強度は、上記以外の曲率の分布の区間であることを示す。具体的には、曲率の分布が正規分布とならず、しかも、分布の幅が拡がるとともに、山、谷を複数有するような分布となる。
[走行状態解析部及び旋回強度算出部の構成(図5)]
次に、走行状況解析部730及び旋回強度算出部740の構成を、図5のブロック図に基づいて説明する。
走行状況解析部730は、基準曲率算出部731、曲率増減抽出部732、歪度有次元化部733、曲率成分変換部734を備える。
基準曲率算出部731は、走行状況の判定の際に用いる基準となる曲率であって、目標軌跡の曲率集合体を解析する際に正規化(無次元化)するのに用いる基準値としての基準曲率RhoRefを算出する。この基準曲率RhoRefは、現在の車速Vと、最大横加速度(路面摩擦係数)GyMaxTraj、予め設定されたベースゲインKPTCから、下記式(1)を用いて算出する。
RhoRef=(KPTC・GyMaxTraj・g)/V ・・・(1)
曲率増減抽出部732は、目標軌跡において現在位置の前方の位置である前方注視点の曲率と、現在位置との曲率とから、曲率の増減を、曲率増RhoEntry、曲率減RhoExitとして抽出する。
ここで、曲率増RhoEntryは、コーナ入口である確率(可能性)を示す値として算出するもので、この値が高い程、コーナ入口である確率が高いことを示す。一方、曲率減RhoExitは、コーナ出口である確率(可能性)を示す値として算出するもので、この値が高い程、コーナ出口である確率が高いことを示す。
このように、曲率増RhoEntryと曲率減RhoExitとは、相反するものであるため、これらの一方の値が高くなると、もう一方の値は低下する関係にある。
歪度有次元化部733は、曲率の標準偏差Rhoと、左右の最大曲率RhoMax/Minと歪度Skewnessとを用い、下記式(2)(3)(4)から、歪度を左右別に曲率に変換する。そして、左右別の曲率の歪度から、有次元化歪度RhoSQNを求める。
RhoSQN=3・RhoStd・|sign(RhoMax)|・max(Skewness,0) ・・・(2)
RhoSQN=3・RhoStd・|sign(RhoMin)|・min(Skewness,0) ・・・(3)
RhoSQN=RhoSQN+RhoSQN ・・・(4)
曲率成分変換部734は、曲率増RhoEntry、曲率減RhoExit、平均RhoAve、標準偏差RhoStd、有次元化歪度RhoSQNを、基準曲率RhoRefで除算して無次元化した基準値を算出する。これにより、曲率増基準値NormRhoEntry、曲率減基準値NormRhoExit、平均基準値NormRhoAve、標準偏差基準値NormRhoStd、有次元化歪度基準値NormRhoSQNを算出する。なお、基準曲率RhoRefで除算して無次元化した各基準値は、基準曲率RhoRefと同値の場合は1となる値として算出される。
旋回強度算出部740は、曲率増基準値NormRhoEntry、曲率減基準値NormRhoExit、平均基準値NormRhoAve、標準偏差基準値NormRhoStd、有次元化歪度基準値NormRhoSQNを、それぞれ、旋回強度に変換する。
[旋回強度変換部の処理の変換処理流れ]
図6は旋回強度算出部740による各基準値から旋回強度への変換処理の流れを示す。
ステップS11では、過渡成分、定常成分の抽出を行う。なお、前述したように、曲率の分布が非正規分布であったり、あるいは、正規分布であっても偏差が大きく、分布のバラつきが大きい、つまり、分布の幅が所定以上であったりした場合は、過渡状態とする。
そこで、下記式(5)(6)により、過渡成分(FactorTRA)と定常成分(FactorSTA)とを求める。なお、下記式(6)に示すように、過渡成分FactorTRAと定常成分FactorSTAとは、合計すると「1」となる関係にある。
FactorTRA=max(NormRhoSQN、NormRhoStd) ・・・(5)
FactorSTA=1-FactorTRA ・・・・(6)
ステップS12、S13により、過渡成分をコーナ入口強度KappaCorEntry、コーナ出口強度KappaCorExit、コーナ不定強度KappaCorUndefに変換する。
ステップS12では、下記式(7)により、過渡成分のうち、コーナ入口、コーナ出口として判定されない成分を不定旋回とする処理を行う。
NormRhoUndef=
1-(NormRhoEntry+NormRhoExit) ・・・(7)
ステップS13では、過渡成分を強度に変換する。すなわち、コーナ入口強度KappaCorEntry、コーナ出口強度KappaCorExit、コーナ不定強度KappaCorUndefを下記式(8)(9)(10)により算出する。
KappaCorEntry=FactorTRA×NormRhoEntry ・・(8)
KappaCorExit=FactorTRA×NormRhoExit ・・(9)
KappaCorUndef=
FactorTRA×NormRhoUndef ・・・(10)
ステップS14、S15により、定常成分を定常円強度KappaCircle及び直線強度KappaStraightに変換する。
まず、ステップS14では、定常成分から直線成分と定常円成分とを算出する。すなわち、平均曲率(NormRhoAve)がゼロ(旋回半径が無限大)であれば、直線として判定する。直線成分NormStraightと定常円成分NormCircleとは、下記式(11)に示すように、合計すると「1」となる関係にある。
NormStraight=1-NormCircle ・・・(11)
ステップS15では、定常成分である定常円成分NormCircleと直線成分NormStraightとを、下記式(12)(13)により、それぞれ定常円強度KappaCircleと直線強度KappaStraightとに変換する。
KappaCircle=FoctorSTA×NormCircle ・・・(12)
KappaStraight=
FoctorSTA×NormStraight ・・・(13)
なお、コーナ入口強度KappaCorEntry、コーナ出口強度KappaCorExit、コーナ不定強度KappaCorUndef、定常円強度KappaCircleと直線強度KappaStraightは、合計すると「1」となる。また、以下の説明において、上記の5つの強度をまとめて指す場合は、単に強度Kappaと表記する。
そして、旋回強度算出部740で算出した各強度Kappaは、VDC・TCSコントローラ6の制御開始閾値算出部65に出力される。
[制御開始閾値算出部及び制御開始閾値の算出手順]
前述したように、VDC・TCSコントローラ6では、制御開始閾値算出部65は、旋回強度に基づいて、制御開始閾値としてのUS抑制VDC制御閾値、OS抑制VDC制御閾値、TCS制御閾値を算出する。以下に、制御開始閾値算出部65における旋回強度に応じた制御開始閾値の算出について説明する。
制御開始閾値算出部65は、旋回強度の各強度Kappaのうち、最大値のものに基づいて制御開始閾値を設定する。この制御開始閾値は、予め路面摩擦係数と車速とに応じて設定する標準値(従来から用いる閾値)と、この標準値よりも相対的に制御開始し易い(浅い)値の制御開始促進値と、標準値よりも制御介入し難い(深い)値の制御開始制限値とを設定可能としている。なお、前述の標準値、介入促進値、制御開始制限値は、US抑制VDC制御閾値、OS抑制VDC制御閾値、TCS制御閾値のそれぞれについて算出する。
また、制御開始閾値算出部65は、制御開始閾値の算出にあたり、各強度Kappaのうちで最大値の強度に基づいて算出する。各強度Kappaは、前述したように、合計して「1」となる値として算出する。したがって、各強度Kappaのうちの、ある強度の値が大きくなれば、他の強度の値は小さくなる。例えば、目標軌跡が直線道路上にある場合には、直線強度の値が高くなり、他の値は低くなる。よって、各強度Kappaには、走行状況に応じた最大値が存在する。そこで、制御開始閾値算出部65は、各強度Kappaのうち、最大値の強度に基づいて制御開始閾値を算出する。
具体的には、制御開始閾値算出部65は、各強度のうち、最大値が、カーブ入口強度及びカーブ出口強度以外の値が最大値である場合は、制御開始入閾値を標準値とする。
一方、カーブ入口強度とカーブ出口強度とのいずれかが最大値である場合は、制御開始閾値算出部65は、制御開始閾値を、制御促進閾値と制御制限閾値とのいずれかに設定する。
以下に、カーブ入口強度と、カーブ出口強度とに基づく制御開始閾値であるUS抑制VDC制御閾値、OS抑制VDC制御閾値、TCS制御閾値の設定について説明する。
まず、US抑制VDC制御閾値及びOS抑制VDC制御開始閾値について説明する。図7は、US抑制VDC制御閾値及びOS抑制VDC制御開始閾値と、カーブ入口強度、カーブ出口強度との関係を示す閾値特性図である。
この図7に示すように、OS抑制VDC制御開始閾値は、コーナ入口強度に応じ、コーナ入口強度が高いほど大きく(開始し難く)、コーナ入口強度が低いほど小さな(開始し易い)値とする。また、コーナ入口強度は、コーナ出口強度に反比例的に一方が増加するともう一方が減少する関係にあるため、OS抑制VDC制御開始閾値は、コーナ出口強度に応じ、コーナ出口強度が低いほど大きく(開始し難く)、コーナ出口強度が高いほど小さな(開始し易い)値となる関係にある。
一方、US抑制VDC制御開始閾値は、コーナ出口強度に応じ、コーナ出口強度が高いほど大きく(開始し難く)、コーナ出口強度が低いほど小さな(開始し易い)値とする。また、コーナ出口強度は、コーナ入口強度に反比例的に、一方が増加するともう一方が減少する関係にあるため、US抑制VDC制御開始閾値は、コーナ入口強度に応じ、コーナ入口強度が高いほど小さく(開始し易く)、コーナ入口強度が低いほど大きな(開始し難い)値となる関係にある。
前述したように、制御開始閾値算出部65は、旋回強度の最大値に基づいて設定する。そこで、各強度Kappaのうちでコーナ入口強度が最大値である場合、OS抑制VDC制御値を標準値よりも高い(開始し難い)値に設定する一方、US抑制VDC制御値を標準値よりも低い(開始し易い)値に設定する。また、この場合、OS抑制VDC制御開始閾値は、標準値に、コーナ入口強度に応じた1よりも大きな係数を乗じて設定し、US抑制VDC制御開始閾値の標準値に、コーナ入口強度に応じた1よりも小さな係数を乗じて設定する。なお、係数は、例えば、図7の横軸と係数とを関連付けて設定してもよい。例えば、OS抑制VDC制御開始閾値とUS抑制VDC制御開始閾値との交点におけるコーナ入口強度の場合に係数を「1」とし、この交点における値との差の大きさに応じて係数を決定することができる。
また、各強度Kappaのうちでコーナ出口強度が最大値である場合には、US抑制VDC制御閾値を標準値よりも大きな値とする一方、OS抑制VDC制御閾値を標準値よりも小さな値とする。この場合も、US抑制VDC制御値の標準値に対し、コーナ出口強度に応じた1よりも大きな係数を乗じ、OS抑制VDC制御閾値に対し、コーナ出口強度に応じた1よりも小さな係数を乗じる。
よって、VDC・TCSコントローラ6は、コーナ入口走行時(例えば、図7に示すコーナ入口強度KCEntryの時)には、自車両のOS状態を抑制するためのOS抑制VDC制御開始閾値を、定常状態よりも実行し難い値である制御開始制限値とする。一方、自車両のUS状態を抑制するためのUS抑制VDC制御開始閾値は、定常状態よりも実行し易い値である制御開始促進値とする。
つまり、コーナ入口では、自車両がUS傾向となって、旋回円の外側に向かう状態となるのを、標準値の場合よりも抑制し易くし、旋回円に沿って走行させ易くする。また、コーナ入口走行時には、自車両がOS傾向、すなわち、旋回円の内側に向く傾向となるのを許容することで、旋回し易くさせる。
また、VDC・TCSコントローラ6は、コーナ出口走行時(例えば、図7に示すコーナ出口強度KCExit1の時)には、自車両のUS状態を抑制するためのUS抑制VDC制御開始閾値を、定常状態よりも実行し難い値である制御開始制限値とする。一方、自車両のOS状態を抑制するためのOS抑制VDC制御開始閾値は、定常状態よりも実行し易い値である制御開始促進値とする。
つまり、コーナ出口走行時には、自車両がUS傾向となることを許容するため、スムーズな加速を可能とする。また、コーナ出口走行時には、自車両がOS傾向となることを抑制し、自車両が旋回の内側に向くことを抑制することで道路の進行方向に正対した姿勢から崩れにくくし、旋回円に沿って走行させ易くする。
次に、TCS制御開始閾値の設定について説明する。
TCS制御開始閾値は、自車両が前輪駆動(以下、FWDという)であるか後輪駆動(以下、RWDという)であるか、TCS制御開始閾値の設定の仕方が異なる。そこで、VDC・TCSコントローラ6は、FWD車とRWD車とで共用し、制御開始閾値算出部65におけるTCS制御閾値の設定の仕方を、FWD車とRWD車とに応じて予め設定するものとする。
<FWD車の場合>
まず、自車両がFWD車である場合を例にとり説明する。
TCS制御開始閾値は、各強度Kappaのうちでコーナ入口強度が最大値である場合、コーナ入口強度の大きさに応じて、標準値と、標準値よりも小さく最も開始容易な値である最浅値との間で、コーナ入口強度が強いほど、最浅値に近い値とする。具体的には、標準値に対し、コーナ入口強度に応じた「1」よりも小さな係数を乗じた値とする。なお、ここで用いるコーナ入口強度は、図8においてFWDのTCS制御開始閾値とRWDのTCS開始閾値との交点のコーナ入口強度以上の値である。
一方、各強度Kappaのうちでコーナ出口強度が最大値である場合は、TCS制御開始閾値を、標準値と、標準値よりも大きく制御開始し難い値である最深値との間で、コーナ出口強度が高いほど最深値に近い値に設定する。具体的には、標準値に対し、コーナ出口強度に応じた「1」よりも大きな係数を乗じた値とする。なお、ここで用いるコーナ出口強度は、図8においてFWDのTCS制御開始閾値とRWDのTCS開始閾値との交点のコーナ出口強度以上の値である。また、FWD用のTCS制御開始閾値は、図8に示すように、コーナ入口強度とコーナ出口強度とのいずれかに応じて、最深値と最浅値との間で連続的に変化させてもよい。
なお、標準値は、予め設定された値でもよいし、推定した路面摩擦係数に応じた値を用いてもよい。
したがって、FWD車の場合、コーナ入口走行時には、TCS制御を開始し易くして、旋回力を確保する。これにより、コーナ入口走行時には、自車両をより確実に目標軌跡に沿って走行させることができる。
一方、FWD車では、コーナ出口走行時には、TCS制御による制御介入をし難くし、自車両が、アンダステア傾向となるのを許容し、前輪の操舵方向であるコーナ出口の進行方向に正対した方向への推進力を確保し易くできる。これにより、旋回後のスムーズな加速を可能とする。
<RWD車の場合>
自車両がRWD車の場合は、各強度Kappaのうちでコーナ入口強度が最大値である場合、TCS制御開始閾値を、コーナ入口強度の大きさに応じて、標準値と、標準値よりも大きな値であって最も開始し難い値である最深値との間で、コーナ入口強度が強いほど、最深値に近い値に設定する。具体的には、標準値に対し、コーナ入口強度に応じた「1」よりも大きな係数を乗じた値とする。なお、ここで用いるコーナ入口強度は、図8においてFWDのTCS制御開始閾値とRWDのTCS開始閾値との交点のコーナ入口強度以上の値である。
一方、各強度Kappaのうちでコーナ出口強度が最大値である場合には、TCS制御開始閾値を、標準値と、標準値よりも小さく最も開始し易い値である最浅値との間で、コーナ出口強度が高いほど最浅値に近い値に設定する。具体的には、標準値に対し、コーナ入口強度に応じた「1」よりも小さな係数を乗じた値とする。なお、ここで用いるコーナ出口強度は、図8においてFWDのTCS制御開始閾値とRWDのTCS開始閾値との交点のコーナ出口強度以上の値である。また、RWD用のTCS制御開始閾値は、図8に示すように、コーナ入口強度とコーナ出口強度とのいずれかに応じて、最深値と最浅値との間で連続的に変化させてもよい。
したがって、RWD車の場合、コーナ入口走行時には、TCS制御を開始し難くして、OS傾向となるのを許容し、自車両を目標軌跡に沿ってコーナ入口からコーナ中間部に向かって走行させ易くすることができる。
一方、RWD車では、コーナ出口走行時には、TCS制御を開始し易くし、過度な駆動力により、自車両がOS傾向となるのを抑制し、前輪の操舵方向であるコーナ出口の進行方向に正対した方向への推進力を確保できる。これにより、旋回後のスムーズな加速を可能とする。
(実施の形態1の動作例)
まず、自動運転制御中にVDC制御による制御介入を行った例について説明する。
図9は実施の形態1の走行支援方法を実行する走行支援装置を搭載した自動運転車両ADと、本開示の走行支援方法を実施しない比較例と、のそれぞれの走行時のVDC制御の実行例を示す。なお、比較例は、OS抑制VDC制御開始閾値及びUS抑制VDC制御開始閾値として、常に標準値を用いるものとする。
図において、上から2段目に走行状態判定部700による走行状態の判定結果を示している。この走行状態は、旋回強度算出部740が算出する各強度Kappaのうちの最大値に基づくものである。なお、判定結果は、定常円走行(Circle)、不定旋回走行(CornerUndefined)、コーナ出口走行(CornerExit)、コーナ入口走行(CornerEntry)、定常円走行(Circle)の順になっている。
そして、上から3段目が、比較例においてVDC制御による制御介入を行った時間帯を示す。この比較例では、不定旋回走行(CornerUndefined)時に、OS抑制VDC制御(OS1)を実行している。その後、コーナ出口走行(CornerExit)時には、US抑制VDC制御(US1)を実行し、さらに、コーナ入口走行(CornerEntry)時に2回目のUS抑制VDC制御を実行している。そして、定常円走行(Circle)時に、2回目のOS抑制VDC制御を実行している。
一方、上から4段目には、実施の形態1によるVDC制御の制御介入の実施時間帯を示す。この実施の形態1では、コーナ出口走行(CornerExit)時に、US抑制VDC制御(US1)を実行していない。すなわち、本実施の形態1では、RWD車の場合、US抑制VDC制御開始閾値は、コーナ出口では、制御制限閾値に設定している。このため、US抑制VDC制御は開始し難くなり、ある程度のUS状態を許容し、自車両をコーナ出口の進行方向に正対させ、スムーズな加速を可能とする。
さらに、本実施の形態1の場合、その後の、コーナ入口走行(CornerEntry)時には、比較例の開始タイミング(t01)よりも早い開始タイミング(t1)で、US抑制VDC制御(US2b)を開始している。すなわち、本実施の形態1では、US抑制VDC制御開始閾値は、コーナ入口では、制御促進値に設定し、US抑制VDC制御を開始し易くする。このため、自車両が目標軌跡の旋回円の外側に進むUS状態となるのを早期に抑制し、目標軌跡に沿った走行を確実に行うことができる。
また、図示は省略するが、本実施の形態1では、OS抑制VDC制御については、コーナ出口走行(CornerExit)時に、自車両がOS傾向となった場合には、比較例よりも早期にOS抑制VDC制御を実行する。
したがって、コーナ出口では、自車両のOS傾向が強くなって、目標軌跡から外れてしまうのを、確実に抑制できる。
一方、コーナ入口走行(CornerEntry)時には、自車両がOS傾向となっても、比較例よりもOS抑制VDC制御を実行し難くする。したがって、コーナ入口走行の際には、自車両の旋回力を確保して、目標軌跡の外側に外れてしまうのを、確実に抑制できる。
次に、自動運転制御中にTCS制御による制御介入を行った例について説明する。
図10は実施の形態1の走行支援方法を実行する走行支援装置を搭載したRWDの自動運転車両ADによる走行時のTCS制御の実行例を示す。
図9と同様に、上から3段目が比較例の動作例を示し、上から4段目が本実施の形態1の動作例を示す。また、比較例は、TCS制御開始閾値として標準値のみを用いた例である。
比較例の場合、コーナ入口走行(CornerEntry)時に1回目のTCS制御(TCS1)を実行し、その後の定常円走行(Circle)時に2回目のTCS制御(TCS2)を実行している。
それに対し、RWD車に適用した本実施の形態1の場合、コーナ入口走行(CornerEntry)時には、TCS制御開始閾値として制御制限値を用いるため、TCS制御を実行しない。この場合、コーナ入口走行時に旋回力を確保して目標軌跡に沿った走行を可能としつつ、TCS制御による加速性の低下を抑制できる。
なお、図示は省略するが、RWD車の場合、コーナ出口走行(CornerEntry)時には、TCS制御開始閾値として、制御促進値を用いるため、コーナ出口走行時に過度な駆動力により、自車両がOS傾向となるのを抑制できる。このため、自車両がOS傾向過多となって、目標軌跡から外れるのを抑制できる。
図11は実施の形態1の走行支援方法を実行する走行支援装置を搭載したFWDの自動運転車両ADによる走行時のTCS制御の実行例を示す。
図11は、図9、図10と同様に、上から3段目が比較例の動作例を示し、上から4段目が本実施の形態1の動作例を示す。また、比較例は、TCS制御開始閾値として標準値のみを用いた例である。
比較例の場合、コーナ入口走行(CornerEntry)時に、1回目のTCS制御(TCS1)を実行し、その後の定常円走行状態(Circle)の後のコーナ出口走行(CornerExit)時に2回目のTCS制御(TCS2)を実行している。
それに対し、FWD車に適用した本実施の形態1の場合、コーナ入口走行(CornerEntry)時には、TCS制御開始閾値として制御促進値を用いるため、比較例よりも早いタイミングでTCS制御(TCS1)を実行する。この場合、コーナ入口走行時に過度な駆動力の生成により旋回力(前輪横力)が失われるのを確実に抑制できる。
一方、その後のコーナ出口走行(CornerExit)時には、TCS制御(TCS2)を実行しない。すなわち、FWD車の場合、コーナ出口では、TCS制御開始閾値として、制御制限閾値を用いるため、前輪の駆動力を確保して、目標軌跡に沿ってスムーズな加速を行うことが可能である。
(実施の形態1の効果)
(1)実施の形態1の走行支援方法は、RWDの自車両の駆動輪スリップ率とTCS制御開始閾値との比較に基づいて、TCSシステムによる自車両の駆動制御であるTCS制御を開始するか否かを判定するコントローラを用いた走行支援方法である。なお、TCSシステムは、VDC・TCSコントローラ6と、情報を入力するための車載センサ1と、速度制御アクチュエータ41を含む。また、コントローラとしては、車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6を含む。
そして、コントローラ(車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6)は、以下の第1、第2のステップを実行する。
第1のステップでは、自車両の周囲状況を検出するセンサが検出する周囲状況に基づいて前記自車両の走行が、コーナ入口走行であるか、コーナ出口走行であるかを判定する。
第2のステップでは、コーナ入口走行かコーナ出口走行かの判定結果に基づいて、TCS制御開始閾値を設定する。なお、周囲状況とは、実施の形態1では、目標軌跡を算出するための情報を指し、車両の走行経路を特定できる地図データや、自車両の周囲の車両や障害物などの情報を含む。また、周囲状況の検出とは、要は、自車両の走行経路上の少なくともコーナ入口、出口の特定が可能であればよいため、目標経路を算出するものに限らず、例えば、カーナビゲーションシステムにより自車両の進行方向にコーナの存在の有無を検出可能なものであればよい。
したがって、コーナ入口走行時及びコーナ出口走行時に、それぞれ、適切なTCS制御開始閾値を設定し、走行状況に応じた適切な走行支援としてのTCS制御を行うことが可能である。
(2)実施の形態1の走行支援方法では、コントローラ(車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6)は、周囲状況に基づいて自車両を走行させるための目標軌跡を算出し、目標軌跡に基づいて自車両の走行を制御する自動運転制御を実行する。そして、TCS制御は、自車両の自動運転制御に介入して実行するものであり、TCS制御開始閾値の設定は、目標軌跡に基づいて自車両の走行を自動運転制御している際に行う。
すなわち、自動運転制御の最中には、これから自車両が走行する軌跡である目標走跡を事前に算出することができる。したがって、自車両がこれから走行する目標軌跡に基づいて、自車両の走行状況に合わせて車両の特性を事前に決定した上で、これから走行する走行状況に沿った適切な走行支援を実行することができる。
また、自動運転制御を実施している最中には、レーンキープなど、道路状況に沿って正確に走行していくことが望まれる。本実施の形態では、自動運転制御中に、走行状況に沿って正確に走行できるようにTCS制御開始閾値を決定し、走行状況に応じた適切な走行支援制御としてのTCS制御を行い、自動運転制御を安定して継続できる。
(3)実施の形態1の走行支援方法では、コントローラ(車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6)は、コーナ入口走行時には、TCS制御開始閾値を、コーナ出口走行時に使用するTCS制御開始閾値よりもTCS制御を開始し難い値とする。
したがって、RWD車にあっては、コーナ入口走行時には、コーナ出口走行時と比較して、TCS制御の開始を抑制し、自車両が後輪の駆動力によりOS傾向となるのを許容する。これにより、自車両は、旋回し易くなり、コーナ入口から旋回円に沿って走行でき、自動運転時には、速度を保ったままでの目標軌跡に沿った走行をより確実なものとする。
なお、実施の形態1では、コーナ入口走行時には、TCS開始閾値を、定常時に用いる標準値よりもTCS制御を開始し難い値とし、定常時と比較しても、旋回性及び加速性を確保し、速度を保ったままでの旋回円に沿った走行を確実なものとする。
一方、コーナ出口走行時には、コーナ入口走行時と比較して、OS傾向となるのを抑え、コーナ出口の旋回円に沿った走行を確実なものとする。
(4)実施の形態1の走行支援方法では、コントローラ(車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6)は、コーナ出口走行時には、TCS制御開始閾値を、定常時に使用する標準値よりもTCS制御を開始し易い値に設定する。
したがって、コーナ出口走行時には、TCS制御を開始し易くし、コーナ出口で自車両がOS傾向となるのを確実に抑制し、コーナを出てからの道路方向に正対した姿勢を保つことができる。これにより、自動運転時には、目標軌跡に沿った走行をより確実なものとする。
(5)実施の形態1の走行支援方法では、コントローラ(車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6)は、コーナ入口走行の判定は、以下のように行う。まず、目標軌跡の曲率に基づいて、コーナ入口らしさの強弱を示すコーナ入口強度KappaCorEntryを算出し、コーナ入口強度KappaCorEntryに基づいて、コーナ入口走行の判定を行う。具体的には、旋回強度として演算した各強度Kappaのうちで最大値がコーナ入口強度KappaCorEntryの場合、コーナ入口と判定する。
したがって、高精度でコーナ入口、コーナ出口を判定することができる。
(6)実施の形態1の走行支援方法では、コントローラ(車載制御ユニット3及びVDC・TCSコントローラ6)は、コーナ出口走行の判定は、以下のように行う。まず、目標軌跡の曲率に基づいて、コーナ出口らしさの強弱を示すコーナ出口強度KappaCorExitを算出し、コーナ出口強度KappaCorExitに基づいて、コーナ出口走行の判定を行う。具体的には、旋回強度として演算した各強度Kappaのうちでコーナ出口強度KappaCorExitが最大値の場合に、コーナ出口と判定する。
したがって、高精度でコーナ出口を判定することができる。
(7)実施の形態1の走行支援方法では、旋回強度算出部740は、コーナ入口強度KappaCorEntryとコーナ出口強度KappaCorExitとは、一方が大きくなると他方が相対的に小さくなる値として算出する。
さらに、制御開始閾値算出部65は、TCS制御開始閾値を、TCS制御を最も開始し難い制御開始制限値(最深値)と、TCS制御を最も開始し易い制御開始促進値(最浅値)と、の間で、コーナ入口強度及びコーナ出口強度に応じて連続的に変化させる。
したがって、TCS制御開始閾値を、コーナ入口強度及びコーナ出口強度の大きさに対応して連続的に設定することにより、TCS制御を円滑に開始することができる。すなわち、コーナ入口走行時、コーナ出口走行時には、それまでの直線走行状態や定常旋回状態から徐々に旋回を強めたり、徐々に旋回を弱めたりして、車両姿勢も時々刻々と変化する。よって、TCS制御開始閾値を、この時々刻々と変化する車両姿勢に応じて適正な値に時々刻々と変化させることができる。これにより、TCS制御開始タイミングの適正化を高精度で図ることができる。
(8)実施の形態1の走行支援装置は、RWDの自車両の駆動輪スリップ率とTCS制御開始閾値との比較に基づいて、TCSシステムによるTCS制御を開始するか否かを判定するVDC・TCSコントローラ6を有する走行支援装置である。
さらに、コントローラとしての車載制御ユニット3の自動運転コントローラ31は、目標軌跡生成部318と走行状態判定部700と、を備える。目標軌跡生成部318は、周囲状況に基づいて自車両を走行させるための目標軌跡を算出する。走行状態判定部700は、算出した目標軌跡における自車両の走行が、コーナ入口走行であるか、コーナ出口走行であるかを判定する。
そして、コントローラとしてのVDC・TCSコントローラ6は、コーナ入口走行かコーナ出口走行かの判定結果に基づいて、TCS制御開始閾値を設定する制御開始閾値算出部65を備える。
したがって、コーナ入口走行時及びコーナ出口走行時に、それぞれ、適切なTCS制御開始閾値を設定し、走行状況に的確に応じた走行支援としてのTCSC制御を行うことが可能である。
(他の実施の形態)
以下に、他の実施の形態の走行支援装置について説明する。なお、他の実施の形態について説明するのにあたり、実施の形態において共通する構成には共通する符号を付けて説明を省略する。
(実施の形態2)
実施の形態2は、各制御開始閾値の設定方法が実施の形態1と異なる。
すなわち、実施の形態1では、各制御開始閾値を、対応する強度の大きさに応じて連続的に設定していたが、実施の形態2では、対応する強度の大きさにより、所定の制御推進閾値と、所定の制御制限閾値と、標準値とに選択的に切り替えるようにした。
図12は、実施の形態2においてVDC制御開始閾値を設定する処理の流れを示している。
ステップS101では、コーナ入口強度が予め設定した閾値変更設定値(CV1)を上回ったか否か判定し、上回った場合はステップS102に進み、上回らない場合はステップS103に進む。なお、ステップS101に用いる閾値変更設定値(CV1)は、例えば、図7においてOS抑制VDC制御開始閾値が制御開始制限値の範囲内であるときのコーナ入口強度の値の中の任意に設定した値(例えば、図7のKCEntry1)を用いることができる。
ステップS102では、US抑制VDC制御開始閾値を、標準値よりも小さな(浅い)制御促進値に設定する一方で、OS抑制VDC制御開始閾値を、標準値よりも大きな(深い)予め設定した制御制限値に設定する。
ステップS103では、コーナ出口強度が予め設定した閾値変更設定値(CV2)を上回ったか否か判定し、上回った場合はステップS104に進み、上回らない場合はステップS105に進む。なお、ステップS103に用いる閾値変更設定値(CV2)は、例えば、図7においてUS抑制VDC制御開始閾値が制御開始制限値の範囲内であるときのコーナ出口強度の値の中の任意に設定した値(例えば、図7のKCExit)を用いることができる。
ステップS104では、US抑制VDC制御開始閾値を、標準値よりも大きな(深い)予め設定した制御制限値に設定する一方で、OS抑制VDC制御開始閾値を、標準値よりも小さな(浅い)制御促進値に設定する。ステップS105では、US抑制VDC制御開始閾値及びOS抑制VDC制御開始閾値を、標準値に設定する。
次に、図13は、FWD車の場合のTCS制御閾値を設定する処理の流れを示している。
ステップS201では、コーナ入口強度が予め設定した閾値変更設定値(CV1)を上回ったか否か判定し、上回った場合はステップS202に進み、上回らない場合はステップS203に進む。なお、ステップS201に用いる閾値変更設定値(CV1)は、例えば、図8においてFWDのTCS制御開始閾値が制御開始促進値の範囲内であるときのコーナ入口強度の値の中の予め設定した値である。
ステップS202では、TCS制御開始閾値を、標準値よりも小さな(浅い)制御促進値(THS)に設定する。ステップS203では、コーナ出口強度が予め設定した閾値変更設定値(CV2)を上回ったか否か判定し、上回った場合はステップS204に進み、上回らない場合はステップS205に進む。なお、ステップS203に用いる閾値変更設定値(CV2)は、例えば、図8においてFWDのTCS制御開始閾値が制御開始制限値の範囲内であるときのコーナ入口強度の値の中の予め設定した値である。
ステップS204では、TCS制御開始閾値を、標準値よりも大きな(深い)予め設定した制御制限値(THL)に設定する。ステップS205では、TCS制御開始閾値を、標準値に設定する。
次に、図14は、RWD車の場合のTCS制御閾値を設定する処理の流れを示している。
ステップS301では、コーナ入口強度が予め設定した閾値変更設定値(CV1)を上回ったか否か判定し、上回った場合はステップS302に進み、上回らない場合はステップS303に進む。なお、ステップS301に用いる閾値変更設定値(CV2)は、例えば、図8においてRWDのTCS制御開始閾値が制御開始制限値の範囲内であるときのコーナ入口強度の値の中の予め設定した値である。
ステップS302では、TCS制御開始閾値を、標準値よりも大きな(深い)制御制限値(THL)に設定する。ステップS303では、コーナ出口強度が予め設定した閾値変更設定値(CV2)を上回ったか否か判定し、上回った場合はステップS304に進み、上回らない場合はステップS305に進む。なお、ステップS303に用いる閾値変更設定値(CV2)は、例えば、図8においてRWDのTCS制御開始閾値が制御開始促進値の範囲内であるときのコーナ出口強度の値の中の予め設定した値である。
ステップS304では、TCS制御開始閾値を、標準値よりも小さな(浅い)予め設定した制御促進値(THS)に設定する。ステップS305では、TCS制御開始閾値を、標準値に設定する。
(2-1)実施の形態2の走行支援方法では、旋回強度算出部740は、コーナ入口強度KappaCorEntryとコーナ出口強度KappaCorExitとは、一方が大きくなると他方が相対的に小さくなる値として算出する。
さらに、制御開始閾値算出部65は、TCS制御開始閾値を、コーナ出口強度が予め設定された閾値変更設定値よりも高いときに、定常時に使用する標準値よりもTCS制御を開始し易くする制御制限値とする。また、コーナ入口強度が予め設定された閾値変更設定値よりも高いときに、定常時に使用する標準値よりもTCS制御を開始し難い制御促進値とする。
したがって、コーナ入口走行時には、定常走行時と比較しTCS制御を開始し難くし、後輪の駆動力を確保しつつ、横力低下により自車両がOS傾向となるのを許容することで、速度を保ちながら目標軌跡におけるコーナ入口に沿った走行を可能とする。
また、コーナ出口走行時には、定常走行時と比較して、TCS制御を開始し易くし、後輪の駆動力を確保し、過度な駆動力の生成によりスピン傾向となるのを抑制し、コーナに沿った走行をより確実に実行可能とする。
なお、実施の形態2にあっても、上記(5)の効果を奏する。
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1の変形例であり、図15に示すように、車両運動コントローラ32は、VDC・TCS制御部300を備える。すなわち、実施の形態1では、自車両が既存のVDCシステムを備える例を示したが、実施の形態3では、既存のVDCシステムを用いることなく車両運動コントローラ32において、VDC制御及びTCS制御を実行する。
このVDC・TCS制御部300は、実施の形態1で示したVDC・TCSコントローラ6と同様の制御を実行する。つまり、VDC・TCS制御部300は、車載センサ1から得られる車速、路面摩擦係数等と、旋回強度とに基づいて、VDC制御開始閾値、TCS制御開始閾値を、走行状態に応じた値に設定し、適切な走行支援を行うことができる。
したがって、実施の形態3にあっても、上記(1)~(11)に記載した効果を得ることができる。
以上、本開示の走行支援方法及び走行支援装置を実施の形態に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られず、特許請求の範囲の各請求項の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施の形態1では、実施の形態では、コーナ入口走行であるか、コーナ出口走行であるかの判定を、目標軌跡の曲率から求めた旋回強度に基づいて判定する例を示したが、これに限定されない。例えば、地図データと、GPS機能による自車位置とに基づいて、自車両の走行状態がコーナ入口走行であるかコーナ出口走行であるかを判定するようにしてもよい。このような判定は、自動運転制御を行わずに、目標軌跡を算出しない車両に適用した場合に用いることができる。また、この場合、コーナ入口走行、コーナ出口走行の直前を判定し、コーナ入口走行、コーナ出口走行の際に、VDC制御開始閾値を適正に設定するのが好ましい。
また、実施の形態では、コーナ入口強度、コーナ出口強度を求めるにあたり、旋回強度を、各強度の合計した値が「1」になる値として演算したが、これに限定されず、要は、曲率に基づいて、コーナ入口かコーナ出口かを求めるようにしてもよい。前述したように、曲率の分布において、曲率が増加する区間がコーナ入口を示し、曲率が減少する区間がコーナ出口を示す。したがって、このような分布の増加傾向、減少傾向からコーナ入口強度、コーナ出口強度を算出するようにしてもよい。さらに、実施の形態1では、各制御開始閾値の設定にあたり、コーナ入口強度とコーナ出口強度とのいずれかに基づいて設定する例を示しているが、この設定の基準となるコーナ入口、コーナ出口強度は、入れ替えることが可能である。例えば、OS抑制VDC制御開始閾値を、制御開始制限値に設定する際に、コーナ入口強度を用いる例を示したが、コーナ出口強度に基づいて設定することも可能である。同様に、実施の形態2のステップS101、S201、S301において、コーナ入口強度が閾値変更設定値よりも大きいかの判断に代えて、コーナ出口強度が閾値変更設定値よりも小さいかの判断とすることも可能である。また、ステップS103、S203、S303についても、同様のことが言える。
さらに、実施の形態では、TCS制御開始閾値と比較する自車両の挙動を示す値として、スリップ率を示したが、これに限定されず、横滑り角を加味した値を用いることも可能えある。
また、実施の形態2では、コーナ入口強度と比較する閾値変更設定値は、1種類のみを示したが、これに限定されず、複数段階の閾値変更設定値を用いてもよい。また、コーナ出口強度と比較する閾値変更設定値についても同様である。そして、複数段階の閾値変更設定値を用いた場合、閾値変更設定値の大きさに応じて、VDC制御開始閾値も段階的に設定することができる。
さらに、実施の形態2では、TCS制御開始閾値を、コーナ入口強度とコーナ出口強度のそれぞれに基づいて設定するようにしたが、これに限定されず、いずれか一方に基づいて設定してもよい。
また、実施の形態では、TCS制御を実行する構成として、VDC・TCSコントローラを示したが、VDC制御を実行する構成と、TCS制御を実行する構成とを分けて構成してもよい。
1 車載センサ
2 ナビゲーション装置
3 車載制御ユニット(コントローラ)
4 アクチュエータ
6 VDC・TCSコントローラ(TCSシステム)
11 外部センサ
12 GPS受信機
13 内部センサ
41 速度制御アクチュエータ
41a TCSアクチュエータ(TCSシステム)
41b VDCアクチュエータ(TCSシステム)
61 目標ヨーレイト算出部
62 実ヨーレイト算出部
63 ヨーレイト偏差算出部
64 駆動輪スリップ率算出部
65 制御開始閾値算出部
66 US抑制VDC制御指令部
67 OS抑制VDC制御指令部
68 TCS制御指令部
318 目標軌跡生成部
700 走行状態判定部
740 旋回強度算出部
AD 自動運転車両
KappaCorEntry コーナ入口強度
KappaCorExit コーナ出口強度

Claims (8)

  1. 後輪駆動の自車両の挙動を示す値とTCS制御開始閾値との比較に基づいて、TCSシステムによる前記自車両の駆動制御であるTCS制御を開始するか否かを判定するコントローラを用いた走行支援方法であって、
    前記コントローラは、
    前記自車両の周囲状況を検出するセンサが検出する周囲状況に基づいて前記自車両を走行させるための目標軌跡を算出し、
    前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御し、
    前記周囲状況に基づいて前記自車両の走行が、コーナ入口走行であるか、コーナ出口走行であるかを判定し、
    前記コーナ入口走行か前記コーナ出口走行かの判定結果に基づいて、前記TCS制御開始閾値を設定し、
    前記TCS制御は、前記自車両の走行の制御に介入して実行するものであり、前記TCS制御開始閾値の設定は、前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御している際に行う走行支援方法。
  2. 請求項1に記載の走行支援方法において、
    前記コントローラは、前記TCS制御開始閾値の設定にあたり、前記コーナ入口走行の際には、前記TCS制御開始閾値を、定常走行による定常時に使用する標準値よりも前記TCS制御を開始し難い値に設定する走行支援方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の走行支援方法において、
    前記コントローラは、前記TCS制御開始閾値の設定にあたり、前記コーナ出口走行の際には、前記TCS制御開始閾値を、定常走行による定常時に使用する標準値よりも前記TCS制御を開始し易い値に設定する走行支援方法。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の走行支援方法において、
    前記コントローラは、
    前記コーナ入口走行の判定にあたり、
    前記周囲状況に基づいて算出した前記自車両を走行させるための目標軌跡の曲率に基づいて、コーナ入口らしさの強弱を示すコーナ入口強度を算出し、
    前記コーナ入口強度に基づいて、前記コーナ入口走行の判定を行う走行支援方法。
  5. 請求項4に記載の走行支援方法において、
    前記コントローラは、
    前記コーナ出口走行の判定にあたり、
    前記周囲状況に基づいて算出した前記自車両を走行させるための目標軌跡の曲率に基づいて、コーナ出口らしさの強弱を示すコーナ出口強度を算出し、
    前記コーナ出口強度に基づいて、前記コーナ出口走行の判定を行う走行支援方法。
  6. 請求項5に記載の走行支援方法において、
    前記コントローラは、
    前記コーナ入口強度と前記コーナ出口強度とは、一方が大きくなると他方が相対的に小さくなる値として算出し、
    前記TCS制御開始閾値の設定にあたり、
    相対的に前記コーナ出口強度が高いか前記コーナ入口強度が低いときに用いる、前記TCS制御開始閾値の中で、前記TCS制御を最も開始し易くする制御開始促進値の最浅値と、
    相対的に前記コーナ出口強度が低く、前記コーナ入口強度が高いときに用いる、前記TCS制御開始閾値の中で前記TCS制御を最も開始し難くする制御開始制限値の最深値と、の間で、
    前記コーナ入口強度と前記コーナ出口強度との少なくとも一方の大きさに応じて連続的に変化させる走行支援方法。
  7. 請求項5に記載の走行支援方法において、
    前記コントローラは、
    前記コーナ入口強度と前記コーナ出口強度とは、一方が大きくなると他方が相対的に小さくなる値として算出し、
    前記TCS制御開始閾値の設定にあたり、
    前記コーナ出口強度が予め設定された閾値変更設定値よりも高いか、前記コーナ入口強度が予め設定された閾値変更設定値よりも低いときに、定常走行による定常時に使用する標準値よりも前記TCS制御を開始し易くする値とし、
    前記コーナ入口強度が予め設定された閾値変更設定値よりも高いか、前記コーナ出口強度が予め設定された閾値変更設定値よりも低いときに、定常走行による定常時に使用する標準値よりも前記TCS制御を開始し難い値とする走行支援方法。
  8. 後輪駆動の自車両の挙動を示す値とTCS制御開始閾値との比較に基づいて、TCSシステムによる前記自車両の駆動制御であるTCS制御を開始するか否かを判定するコントローラを用いた走行支援装置であって、
    前記自車両は、
    前記自車両の周囲状況を検出するセンサが検出する周囲状況に基づいて前記自車両を走行させるための目標軌跡を算出する自動運転コントローラと、前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御する車両運動コントローラと、を搭載し、
    前記車両運動コントローラは、
    前記周囲状況に基づいて前記自車両の走行が、コーナ入口走行であるか、コーナ出口走行であるかを判定する走行状態判定部と、
    前記コーナ入口走行か前記コーナ出口走行かの判定結果に基づいて、前記TCS制御開始閾値を設定するTCS制御開始閾値設定部と、を備え
    前記TCS制御は、前記自車両の走行の制御に介入して実行するものであり、前記TCS制御開始閾値の設定は、前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御している際に行う走行支援装置。
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