JP7386692B2 - 走行支援方法及び走行支援装置 - Google Patents

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Description

本開示は、自車線内での基準横位置の設定に基づいて目標軌跡を生成する走行支援方法及び走行支援装置に関する。
従来、走行軌跡生成ユニットでは、予め設定された走行経路のうち対象車両が走行中の車線(以下、対象車線)の中央位置を示す経路を車線走行経路とし、その車線走行経路の道路線形を表す道路線形情報を取得する。そして、対象車両の前方において対象車線に近接している対象物を近接対象物(例えば、隣接車両)として認識する。対象車線において対象車両が走行することを予定する軌跡である走行予定軌跡を生成する際、近接対象物に対する車線幅方向の間隔が、予め設定された安全間隔以上となるように、車線走行経路を補正することによって、走行予定軌跡を生成する走行軌跡生成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-102827号公報
特許文献1に開示された先行技術では、例えば、カーブ走行時に対向車が自車両に接近してきた場合、近接対象物に対する車線幅方向の間隔が、予め設定された安全間隔以上となるように車線走行経路を補正すると、補正後の車線走行経路の曲率が大きくなる。このため、自車両が対向車へ接近するのを回避できても、横加速度(=横G)が増加し、急激な車両挙動の変化により乗員に違和感を与える、という課題がある。
本開示は、上記課題に着目してなされたもので、自車両が目標軌跡に沿って旋回走行するシーンにおいて、自車両の旋回走行軌跡を、旋回態様により異なる要求に対して予め備えておく適切な軌跡とすることを目的とする。
上記目的を達成するため、本開示は、自車両が走行を予定している自車線内に基準横位置を設定し、基準横位置に基づいて自車両を走行させる目標軌跡を生成し、目標軌跡に基づいて自車両の走行を制御するコントローラを備える。この走行支援方法において、コントローラは、自車両が走行する車線の車線情報を取得する。カーブ路を走行するとき、自車線の内側に隣接車線が存在する態様になる車線を旋回外側車線といい、自車線の外側に隣接車線が存在する態様になる車線を旋回内側車線というとき、車線情報により、自車両がこれから走行する道路が旋回外側車線か旋回内側車線かを判定する。旋回外側車線か旋回内側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での基準横位置を設定する。
自車両が旋回外側車線を旋回走行する場合、車線幅の中央部による標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、標準横位置からのオフセット量による横位置を基準横位置に設定する。
自車両が旋回内側車線を旋回走行する場合、旋回外側車線に他車両が存在するか否かを判定し、他車両が存在しないと判定されたとき、標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、標準横位置からのオフセット量による横位置を基準横位置に設定する。
自車両が旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両が存在すると判定されたとき、標準横位置からのオフセット量を、旋回中心に向かう方向の所定量に決め、標準横位置からのオフセット量による横位置を基準横位置に設定する。
上記課題解決手段を採用したため、自車両が目標軌跡に沿って旋回走行するシーンにおいて、自車両の旋回走行軌跡を、旋回態様により異なる要求に対して予め備えておく適切な軌跡とすることができる。加えて、旋回外側車線を旋回走行する場合、他車両が遠心力等により隣接車線から接近してくるのに予め備える基準横位置に設定することができると共に、自車両に作用する横Gを抑制することができる。自車両が旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両が存在しない場合、旋回走行中に自車両に作用する横Gを、自車線の中央部を走行する場合に比べて小さく抑えることができる。自車両が旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両が存在する場合、旋回中に他車両が自車両へ接近するのに対して予め備えることができる。
実施例1の走行支援方法及び走行支援装置が適用された自動運転車両のシステム構成を示す全体システム構成図である。 自動運転コントローラ及び車両運動コントローラの制御ブロック構成を示すブロック構成図である。 自動運転コントローラの基準横位置設定処理部の構成を示すブロック構成図である。 旋回外側車線走行時と旋回内側車線走行時とで異ならせた前方曲率に対するオフセット量の関係を示すオフセット量特性図である。 基準横位置設定処理部にて実行される基準横位置設定処理の流れを示すフローチャートである。 背景技術1による旋回外側車線走行時の自車両の走行軌跡と他車両の走行軌跡を示す走行軌跡説明図である。 背景技術1,2による旋回外側車線走行時の自車両の走行軌跡と他車両の走行軌跡を示す走行軌跡説明図である。 実施例1による旋回外側車線走行時の自車両の走行軌跡と他車両の走行軌跡を示す走行軌跡説明図である。 旋回外側車線走行時において背景技術1,2による場合と実施例1による場合とでの横Gの抑制効果を示す効果説明図である。 実施例1による旋回内側車線走行時の自車両の走行軌跡と他車両の走行軌跡を示す走行軌跡説明図である。
以下、本開示による走行支援方法及び走行支援装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1における走行支援方法及び走行支援装置は、自動運転モードを選択すると目標軌跡が生成され、生成された目標軌跡に沿って走行するように速度及び舵角による車両運動が制御される自動運転車両(走行支援車両の一例)に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「自動運転コントローラの制御ブロック構成」、「基準横位置設定処理部の詳細構成」、「基準横位置設定処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成(図1)]
自動運転車両ADは、図1に示すように、車載センサ1と、ナビゲーション装置2と、車載制御ユニット3と、アクチュエータ4と、HMIモジュール5と、を備えている。なお、「HMI」は「Human Machine Interface」の略称である。
車載センサ1は、自車両周辺物体や走行路形状などの周辺環境、自車両位置や自車両状態などを認識するために自車両に搭載された各種のセンサである。この車載センサ1は、外部センサ11、GPS受信機12、内部センサ13を有する。
外部センサ11は、自車両周辺に向けて設けられ、自車両周辺の静止物体や移動物体や走行路形状などを検出するセンサである。外部センサ11としては、例えば、カメラ、レーダー(「Radar」:Radio Detection and Rangingの略)、ライダー(「Lidar」:Light Detection and Rangingの略)、ソナー(「Sonar」:Sound Navigation and Rangingの略)などが用いられる。なお、外部センサ11では、例えば、「カメラとレーダー」や「カメラとライダー」を組み合わせ、検出情報を融合させることによって必要な情報を取得するセンサフュージョンを行ってもよい。
GPS受信機12は、GNSSアンテナ12aにより3個以上のGPS衛星からの信号を受信して、自己位置を示す位置データ(緯度及び経度)を取得する装置である。なお、「GNSS」は「Global Navigation Satellite System」の略称、「GPS」は「Global Positioning System」の略称である。また、GPS受信機12による信号受信が不良のときには、内部センサ13やオドメーター(車両移動量計測装置)を利用してGPS受信機12の機能を補完してもよい。
内部センサ13は、自車両の速度・加速度・姿勢データなどの自車両情報を検出する検出機器である。例えば、6軸慣性センサ(IMU:Inertial Measurement Unit)を有し、自車両の移動方向、向き、回転を検出することができる。さらに、内部センサ13の検出結果に基づいて移動距離や移動速度などを算出できる。6軸慣性センサは、前後、左右、上下の三方向の加速度を検出できる加速度センサと、この三方向の回転の速さを検出できるジャイロセンサを組み合わせることで実現される。なお、内部センサ13には、車輪速センサやヨーレイトセンサやアクセル操作量センサ、などの必要情報を取得するセンサを含むことができる。
さらに、この車載センサ1では、図示していない外部データ通信器との間で無線通信を行うことで、必要な情報を外部から取得してもよい。即ち、外部データ通信器が、例えば、他車に搭載されたデータ通信器の場合、自車両と他車の間で車車間通信を行う。この車車間通信により、他車が保有する様々な情報から必要な情報を取得することができる。また、外部データ通信器が、例えば、インフラ設備に設けられたデータ通信器の場合、自車両とインフラ設備の間でインフラ通信を行う。このインフラ通信により、インフラ設備が保有する情報の中から必要な情報を取得することができる。この結果、例えば、自動運転コントローラ31が有する高精度地図データでは不足する情報や変更された情報がある場合に必要な地図データを補うことができる。また、自車両が走行を予定している経路上での渋滞情報や走行規制情報などの交通情報を取得することもできる。
ナビゲーション装置2は、施設情報データを内蔵し、目的地までの自車両が走行する経路を案内する装置である。ナビゲーション装置2は、走行路の車線の位置情報が含まれる高精度地図データを内蔵するようにしても良い。このナビゲーション装置2では、目的地が入力されると、自車両の現在地(或いは任意に設定された出発地)から目的地までの案内経路が生成される。生成された案内経路の情報は、高精度地図データと合成されてHMIモジュール5のディスプレイに表示される。尚、目的地は、車両の乗員が車内で設定したものを用いてもよいし、或いは、ユーザー端末(例えば、携帯電話、スマートフォン)によりユーザーが設定した目的地を、無線通信を介して自車両で受信し、受信した目的地を用いてもよい。また案内経路は、自車両に備わるコントローラを用いたナビゲーション装置により算出してもよいし、或いは、車外のコントローラを用いたナビゲーション装置により算出してもよい。
車載制御ユニット3は、CPUやメモリを備えており、車載センサ1によって検出された各種の検出情報や、ナビゲーション装置2によって生成された案内経路情報、必要に応じて適宜入力されるドライバ入力情報を統合処理する。そして、この車載制御ユニット3は、階層処理により車両運動を制御するコントローラである。なお、「階層処理」とは、入力情報に対して複数の処理を順に(階層的に)実行して最終的な出力情報を演算することであり、上位階層の処理にて出力された出力値(演算値)が下位階層の処理での入力値となる関係になる。
この車載制御ユニット3は、目標軌跡及び目標速度プロファイルを生成する自動運転コントローラ31と、生成された目標軌跡及び目標速度プロファイルに基づいて車両運動を制御するための指令値を演算する車両運動コントローラ32と、を有している。ここで、第1制御周期にて演算を行う自動運転コントローラ31によって上位階層の処理を行い、第1制御周期よりも短い第2制御周期にて演算を行う車両運動コントローラ32によって下位階層の処理を行う。
自動運転コントローラ31では、車載センサ1やナビゲーション装置2からの入力情報や高精度地図データなどに基づき、目標軌跡及び目標速度プロファイルを階層処理により生成する。ここで、「目標軌跡」とは、自車両を自動運転走行させる際に目標とする走行軌跡であり、例えば、自車両が車線幅内で走行する軌跡や、自車両周囲の走行可能領域の中で走行する軌跡や、障害物を回避する軌跡などを含む。生成された目標軌跡及び目標速度プロファイルの情報は車両運動コントローラ32に出力される。生成された目標軌跡の情報は、高精度地図データと合成されてHMIモジュール5のディスプレイに表示されるようにしてもよい。
車両運動コントローラ32では、自動運転コントローラ31からの目標軌跡及び目標速度プロファイルの情報、又は、ドライバ操作による入力情報(以下、「ドライバ入力」という。)に基づいて自車両を走行させるための制御指令値を演算する。演算された制御指令値はアクチュエータ4に出力される。なお、車両運動コントローラ32は、ドライバ入力の有無によって走行モードを調停し、調停結果(自動運転走行モード、又は、マニュアル運転走行モード)に応じた制御指令値を演算する。
アクチュエータ4は、自車両の直進走行/旋回走行/停止させるための制御アクチュエータであり、速度制御アクチュエータ41と、操舵制御アクチュエータ42と、を有する。なお、走行には、加速走行/定速走行/減速走行を含む。
速度制御アクチュエータ41は、車載制御ユニット3から入力された速度制御指令値に基づいて駆動輪へ出力する駆動トルク又は制動トルクを制御する。速度制御アクチュエータ41としては、例えば、エンジン車の場合にエンジンを用い、ハイブリッド車の場合にエンジンとモータ/ジェネレータを用い、電気自動車の場合にモータ/ジェネレータを用いる。また、制動トルクのみを制御するアクチュエータとしては、例えば、VDC液圧アクチュエータや油圧ブースタや電動ブースタやブレーキモータアクチュエータなどを用いる。
操舵制御アクチュエータ42は、車載制御ユニット3から入力された操舵制御指令値に基づいて操舵輪の転舵角を制御する。なお、操舵制御アクチュエータ42としては、ステアリングシステムの操舵力伝達系に設けられる操舵モータなどを用いる。
HMIモジュール5は、自車両のドライバを含む乗員と車載制御ユニット3の間で互いの意思や情報を伝達するためのインターフェイスである。HMIモジュール5は、例えば、乗員に自動運転制御状況などによる画像情報を表示するヘッドアップディスプレイやメータディスプレイ、アナウンス音声を出力するスピーカ、点灯や点滅により警告するランプ、乗員が入力操作を行う操作ボタンやタッチパネルなどから構成される。
[自動運転コントローラの制御ブロック構成(図2)]
自動運転コントローラ31は、図2に示すように、基準横位置の設定等に必要な情報の取得処理部として、高精度地図データ記憶部311と、自己位置推定部312と、走行環境認識部313と、周囲物体認識部314と、を備えている。そして、基準横位置の設定及び目標軌跡(目標速度プロファイル)を生成する階層処理部として、走行車線計画部315と、動作決定部316と、走行領域設定部317と、基準横位置設定処理部318と、目標軌跡生成部319と、を備えている。
高精度地図データ記憶部311は、車外に存在する静止物体の三次元の位置情報(経度、緯度、高さ)が設定された高精度三次元地図データ(以下、「HDマップ」という)が格納された車載メモリである。高精度地図データの静止物体には、例えば、横断歩道、停止線、各種標識、分岐点、走行路標示、信号機、電柱、建物、看板、車道やレーンの中心線、区画線、路肩線、走行路と走行路のつながりなどの様々な要素が含まれる。なお、高精度地図データ記憶部311には、必ずしも上記の静止物体の全ての要素が含まれる必要はない。
自己位置推定部312は、車載センサ1からのセンサ情報、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報を入力し、入力されたセンサ情報とHDマップ情報とをマッチングして高精度地図上での自車両の現在地(自己位置)を推定する。そして、自己位置推定部312からは、走行環境認識部313へ自己位置情報が出力される。
走行環境認識部313は、車載センサ1からのセンサ情報、ナビゲーション装置2からの案内経路情報、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報、自己位置推定部312からの自己位置情報、周囲物体認識部314からの周囲物体認識情報を入力する。そして、これらの入力情報と自車両走行環境の刻々と変化する動的な情報を統合し、自車両の走行環境を認識する。ここで、「動的な情報」とは、例えば、準静的データ(交通規制情報など)と準動的データ(事故情報や渋滞情報など)と動的データ(周辺移動車両情報や歩行者情報など)を組み合わせた情報をいう。走行環境認識部313からは、動作決定部316へ走行環境認識情報が出力される。
周囲物体認識部314は、車載センサ1からのセンサ情報を入力し、自車両の周囲に存在する物体の位置、属性、挙動の検出又は予測によって、自車両の周囲物体を認識する。そして、周囲物体認識部314からは、走行環境認識部313や走行領域設定部317へ周囲物体認識情報が出力される。
走行車線計画部315は、ナビゲーション装置2からの案内経路情報、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報を入力し、目的地までの案内経路上において、自車両が走行すべき走行車線(以下、「目標車線」という)を計画する。走行車線計画部315から次の階層の動作決定部316へは、目標車線情報が出力される。
動作決定部316は、走行環境認識部313からの走行環境認識情報、走行車線計画部315からの目標車線情報を入力し、目標車線に沿って走行したとき、自車両が遭遇する事象を抽出し、それら事象に対する自車両の動作を決定する。ここで、「自車両の動作」とは、発進、停止、加速、減速、右左折などの目標車線に沿って走行するために必要となる自車両の動きをいう。動作決定部316から次の階層の走行領域設定部317へは、自車両動作決定情報が出力される。
走行領域設定部317は、高精度地図データ記憶部311からのHDマップ情報、動作決定部316からの自車両動作決定情報、周囲物体認識部314からの周囲物体認識情報を入力する。そして、自車両の動作情報と周囲物体認識情報を照合し、目標車線に沿って自車両を走行させることが可能な走行可能領域を設定する。ここで、「走行可能領域」とは、例えば、自車両周辺に駐車車列などの物体が存在したり工事区間が存在したりするとき、当該領域との干渉や接触を回避するように設定される領域をいう。走行領域設定部317から次の階層の基準横位置設定処理部318へは、走行可能領域情報が出力される。
基準横位置設定処理部318は、走行領域設定部317からの目標車線に沿って自車両を走行させることが可能な走行可能領域情報を入力し、自車両が走行を予定している自車線内の走行可能領域に基準横位置を設定する。基準横位置設定処理部318から次の階層の目標軌跡生成部319へは基準横位置情報が出力される。
目標軌跡生成部319は、基準横位置設定処理部318から基準横位置情報を入力し、現在の自車両の位置から任意に設定される目標位置まで、基準横位置に基づいて走行可能領域内を走行することを拘束条件として自車両を走行させる目標軌跡を生成する。この目標軌跡生成部319では、目標軌跡の生成と併せて自車両の目標軌跡に沿う経時的な速度計画である目標速度プロファイルを生成する。そして、目標軌跡生成部319から車両運動コントローラ32へは、目標軌跡情報と目標速度プロファイル情報が出力される。
[基準横位置設定処理部の詳細構成(図3、図4)]
基準横位置設定処理部318は、図3に示すように、車載センサ1、高精度地図データ記憶部311、自己位置推定部312、走行環境認識部313、周囲物体認識部314及び図外の走行領域設定部317から基準横位置の設定に必要な情報を入力する。基準横位置設定処理部318には、前方曲率判定部318aと、旋回路判定部318bと、車線情報取得部318cと、標準横位置設定部318dと、旋回外側/内側車線判定部318eと、を備えている。さらに、基本オフセット量決定部318fと、オフセット量補正部318gと、基本オフセット量決定部318hと、オフセット量補正部318iと、基準横位置設定部318jと、を備えている。
前方曲率判定部318aは、自車両の前方道路の前方曲率ρが、直進/旋回判定閾値T1を超えているか否かを判定する。ここで、「前方曲率ρ」は、自車両の前方道路の形状情報に基づいて演算により求める。そして、ρ>T1のとき、自車両の前方道路が旋回路であると判定し、ρ≦T1のとき、自車両の前方道路が直進路であると判定する。
旋回路判定部318bは、前方曲率判定部318aにより自車両の前方道路が旋回路であると判定された場合、自車両に備わるセンサにより、自車両がこれから走行する道路が右旋回路か左旋回路かを判定する。ここで、「自車両に備わるセンサ」とは、カメラ等の自車両の周囲を認識する車載センサ1以外に、自車両が走行している道路情報や車線情報を高精度地図データとして提供する高精度地図データ記憶部311を含む。
車線情報取得部318cは、自車線と隣接車線との関係により、自車両が走行する車線が右車線か左車線かの車線情報を取得する。
標準横位置設定部318dは、前方曲率判定部318aにより自車両の前方道路が直進路であると判定された場合、自車両が走行を予定している自車線内での横位置を、標準横位置YSに設定する。ここで、「標準横位置YS」とは、自車線の車線幅の中央部による位置をいい、車線幅の完全中央位置であることを要さず、車線幅の中央位置から所定の許容幅範囲内の位置に設定することも可能である。また、「標準横位置YS」は、自車両の前方道路が直進路である場合に限らず、旋回路である場合も目標軌跡の生成するときに基準となる横位置情報として用いる。
旋回外側/内側車線判定部318eは、車線情報取得部318cからの車線情報と、旋回路判定部318bからの右旋回路か左旋回路かの判定結果と、に基づいて、旋回外側車線の旋回走行であるか、旋回内側車線の旋回走行であるかを判定する。ここで、「旋回外側車線の旋回走行」とは、図4の下部左側に示すように、自車両Aがカーブ路を走行するとき、自車線L1の内側に隣接車線L2が存在する態様の旋回走行をいい、車両が左側通行と規定されている道路では、右カーブが旋回外側車線の旋回走行に相当する。一方、「旋回内側車線の旋回走行」とは、図4の下部右側に示すように、自車両Aがカーブ路を走行するとき、自車線L1の外側に隣接車線L2が存在する態様の旋回走行をいい、車両が左側通行と規定されている道路では、左カーブが旋回内側車線の旋回走行に相当する。そして、自車両Aが旋回路を旋回走行する場合、旋回外側車線の旋回走行か、旋回内側車線の旋回走行かに応じて、標準横位置YSから旋回中心から離れる方向や旋回中心に向かう方向にオフセットさせた基準横位置Yout,Yinを異ならせた設定とする。
基本オフセット量決定部318fは、旋回外側/内側車線判定部318eにおいて旋回外側車線の旋回走行と判定された場合、標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)を、旋回中心から離れる方向の所定量に決定する。ここで、旋回外側車線の旋回走行と判定された場合の基本オフセット量OFF(out)は、図4のオフセット量特性Cを用いて決定される。即ち、前方曲率ρがT1からT2(T2:大小旋回半径閾値)までの領域では前方曲率ρに比例して上昇する値により与え、前方曲率ρがT2を超える領域では上限値による値により与える。なお、オフセット量特性Cは、図4の下部に示すように、旋回内側車線の旋回走行と判定された場合に用いるオフセット量特性Dより大きいオフセット量OFF(out)とされる。
オフセット量補正部318gは、自車両が旋回外側車線を旋回走行するときに旋回内側車線に他車両が存在する場合、標準横位置YSからの第2オフセット量OFF2(out)を、旋回内側車線に他車両が存在しない場合の第1オフセット量OFF1(out)に比べて大きな量に決める。ここで、「他車両」とは、隣接車線を自車両に向かって走行する対向車に限られず、隣接車線を自車両と同じ方向に並走する並走車も含まれる。なお、「第1オフセット量OFF1(out)」は、図4のオフセット量特性Cを用い、前方曲率ρに応じて決定されたオフセット量とする。「第2オフセット量OFF2(out)」は、第1オフセット量OFF1(out)を増大補正したオフセット量(OFF2(out)>OFF1(out))とする。
第1オフセット量OFF1(out)と第2オフセット量OFF2(out)は、さらに外側の障害物の存在の有無やブラインドコーナーの判定により補正する。
(1)旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、旋回外側車線の外側に障害物が存在しない場合のオフセット量(OFF1(out)又はOFF2(out))を小さな量に補正する。ここで、「障害物」とは、旋回外側車線の外側に立設された壁やガードレール等をいい、カメラ画像データや高精度地図情報等により障害物の存在有無を判定する。
(2)旋回路がブラインドコーナーと判定された場合、旋回路がブラインドコーナーと判定されない場合のオフセット量(OFF1(out)又はOFF2(out))を大きな量に補正する。ここで、「ブラインドコーナー」とは、自車両が曲がろうとする側に法面(自然斜面や人工的な斜面)があり、自車両から対向車を認識するのが難しい旋回路をいい、カメラ画像データや高精度地図情報等によりブラインドコーナーであるかどうかを判定する。
基本オフセット量決定部318hは、旋回外側/内側車線判定部318eにおいて旋回内側車線の旋回走行と判定された場合、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)を所定量に決定する。ここで、旋回内側車線の旋回走行と判定された場合の基本オフセット量OFF(in)は、図4のオフセット量特性Dを用いて決定される。即ち、前方曲率ρがT1からT2までの領域では前方曲率ρに比例して上昇する値により与え、前方曲率ρがT2を超える領域では上限値による値により与える。なお、オフセット量特性Dは、図4の下部に示すように、旋回外側車線の旋回走行と判定された場合に用いるオフセット量特性Cより小さいオフセット量OFF(in)とされる。
オフセット量補正部318iは、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、隣接車線L2に他車両の存在有無と前方曲率ρを判定する。そして、下記の3パターンに分けてオフセット量OFF(in)を決める。
(1)他車両が存在しなく、かつ、前方曲率ρが所定曲率T2より大きいと判定されたとき、標準横位置YSからの右オフセット量OFFr(in)を、旋回中心から離れる方向の所定量に決める。
(2)他車両が存在すると判定されたとき、標準横位置YSからの左オフセット量OFFl(in)を、旋回中心へ向かう方向の所定量に決める。ここで、旋回中心へ向かう方向に左オフセット量OFFl(in)が決められた場合、旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、旋回内側車線の内側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に補正する。
(3)他車両が存在しなく、かつ、前方曲率ρが所定曲率T2以下と判定されたとき、オフセット量OFF(in)をゼロに決め、標準横位置YSを基準横位置Yinに設定する。
基準横位置設定部318jは、自車両Aが直進路を走行する場合、基準横位置Ystを車線幅の中央部による標準横位置YSに設定する。また、旋回外側車線の旋回走行と判定された場合、基準横位置Youtを、標準横位置YSから旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)の位置に設定する。さらに、旋回内側車線の旋回走行と判定された場合、基準横位置Yinを、標準横位置YSから旋回中心から離れる方向の右オフセット量OFFr(in)、又は、標準横位置YSから旋回中心へ向かう方向の左オフセット量OFFl(in)、又は、標準横位置YSの位置に設定する。なお、設定された基準横位置の情報は、目標軌跡生成部319へ出力される。ここで、目標軌跡生成部319では、基準横位置の設定が直進から旋回、又は、旋回から直進への変更により車幅方向に位置ずれが生じるとき、走行路の形態が切り替わる過渡領域において滑らかな軌跡線にて繋ぐように目標軌跡が生成される。
[基準横位置設定処理構成(図5)]
図5は、基準横位置設定処理部318にて実行される基準横位置設定処理の流れを示す。以下、図5の各ステップについて説明する。なお、右カーブや左カーブについては、車両が左側通行と規定されている道路に基づくもので、車両が右側通行と規定されている道路では逆になる。
ステップS1では、スタートに続き、自車両Aの前方曲率ρが直進/旋回判定閾値T1を超えているか否かを判断する。YES(ρ>T1:旋回路)の場合はステップS3へ進み、NO(ρ≦T1:直進路)の場合はステップS2へ進む。
ステップS2では、S1でのρ≦T1であるとの判断、或いは、S9でのρ≦T2であるとの判断に続き、自車線の車線幅の中央部による標準横位置YSを設定し、ステップS13へ進む。なお、直進/旋回判定閾値T1と大小旋回半径判定閾値T2の関係は、T2>T1の関係である。
ステップS3では、S1でのρ>T1であるとの判断に続き、旋回外側車線の旋回走行による右カーブであるか否かを判断する。YES(右カーブ)の場合はステップS4へ進み、NO(左カーブ)の場合はステップS8へ進む。
ステップS4では、S3での旋回外側車線の旋回走行による右カーブであるとの判断に続き、他車両B(対向車、並走車)が無いか否かを判断する。YES(他車両Bが無い)の場合はステップS5へ進み、NO(他車両Bが有る)の場合はステップS6へ進む。
ステップS5では、S4での他車両Bが無いとの判断に続き、旋回中心から離れる方向(左方向)の第1オフセット量OFF1(out)を決定し、ステップS7へ進む。ここで、第1オフセット量OFF1(out)は、図4のオフセット量特性Cを用い、前方曲率ρに応じて決定される。
ステップS6では、S4での他車両Bが有るとの判断に続き、旋回中心から離れる左方向の第2オフセット量OFF2(out)を決定し、ステップS7へ進む。ここで、第2オフセット量OFF2(out)は、図4のオフセット量特性Cと前方曲率ρに応じて決定された第1オフセット量OFF1(out)を、増大補正することで決定される。
ステップS7では、S5での第1オフセット量OFF1(out)の決定、或いは、S6での第2オフセット量OFF2(out)の決定に続き、決定した第1オフセット量OFF1(out)と第2オフセット量OFF2(out)をカーブ路外側の障害物の存在有無やブラインドコーナーの判定に基づいて補正し、ステップS13へ進む。
ステップS8では、S3での旋回内側車線の旋回走行による左カーブであるとの判断に続き、他車両B(対向車、並走車)が無いか否かを判断する。YES(他車両Bが無い)の場合はステップS9へ進み、NO(他車両Bが有る)の場合はステップS11へ進む。
ステップS9では、S8での他車両Bが無いとの判断に続き、自車両Aの前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2を超えているか否かを判断する。YES(ρ>T2:小半径旋回路)の場合はステップS10へ進み、NO(ρ≦T2:大半径旋回路)の場合はステップS2へ進む。
ステップS10では、S9でのρ>T2であるとの判断に続き、旋回内側車線の旋回走行における右オフセット量OFFr(in)を決定し、ステップS12へ進む。ここで、右オフセット量OFFr(in)は、旋回中心から離れる方向のオフセット量であり、図4のオフセット量特性Dと前方曲率ρに応じて決定される。
ステップS11では、S8での他車両Bが有るとの判断に続き、旋回内側車線の旋回走行における左オフセット量OFFl(in)を決定し、ステップS12へ進む。ここで、左オフセット量OFFl(in)は、旋回中心へ向かう方向のオフセット量であり、図4のオフセット量特性Dと前方曲率ρに応じて決定される。
ステップS12では、S10での右オフセット量OFFr(in)の決定、或いは、S11での左オフセット量OFFl(in)の決定に続き、決定した右オフセット量OFFr(in)と左オフセット量OFFl(in)を旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合に補正し、ステップS13へ進む。
ステップS13では、S2での標準横位置YSの設定、或いは、S7又はS12でのオフセット量の補正に続き、走行態様や旋回態様に応じて基準横位置Yst、Yout、Yinの設定をし、リターンへ進む。ここで、基準横位置Ystは、自車両Aが直進路を走行する場合の基準横位置である。基準横位置Youtは、旋回外側車線の旋回走行と判定された場合の基準横位置である。基準横位置Yinは、旋回内側車線の旋回走行と判定された場合の基準横位置である。
次に、カーブ走行支援技術について説明する。そして、実施例1の作用を、「基準横位置設定処理作用」、「旋回外側車線走行時の基準横位置設定作用」、「旋回内側車線走行時の基準横位置設定作用」に分けて説明する。
[カーブ走行支援技術について(図6、図7)]
カーブ走行支援の背景技術としては、自車両が直進走行及び旋回走行を予定している自車線内の中央部に基準横位置を設定し、基準横位置に基づいて自車両を走行させる目標軌跡を生成するのが最も一般的である。これに対し、カーブ走行時、横Gを軽減して乗員の乗り心地を向上させるため、カーブ路での目標軌跡を、いわゆるアウト-イン-アウトにより生成する技術が提案されている(例えば、特開2011-203240号公報等)。
しかし、提案されているカーブ走行支援技術の場合、図6に示すように、自車両のカーブ走行中に、他車両(対向車)が遠心力等により自車線側に接近すると、自車両と対向車との間隔が狭くなってしまう。なお、他車両が並走車であっても同様であり、並走車が遠心力等により自車線側に接近すると、自車両と並走車との間隔が狭くなってしまう。
これに対し、カーブ走行時に対向車が自車両に接近してきた場合、自車両と対向車車線幅方向の間隔が、予め設定された安全間隔以上となるように車線走行経路を補正する技術が提案されている(例えば、特開2017-102827号公報)。
しかし、提案されている2つのカーブ走行支援技術を組み合わせた場合、図7に示すように、補正後の自車両の車線走行経路の曲率が大きくなる(旋回半径が小さくなる)。このため、自車両が対向車へ接近するのを回避できても、自車両の横Gが増加し、急激な車両挙動の変化により自車両の乗員に違和感を与える、という課題がある。
よって、自車両がカーブ走行するシーンにおいて、自車両の横Gが増加し、急激な車両挙動の変化により自車両の乗員に違和感を与えるという課題を解消したい。その上で、他車両(対向車や並走車)が自車両へ接近するのに予め備えておく目標軌跡を生成したいという要望がある。
上記背景技術に対してその解決手法を検証した結果、
(A) 自車両が走行する自車線と他車両が走行する隣接車線との関係において、自車両が旋回外側車線を走行するときと自車両が旋回内側車線を走行するときとで要求が異なり、別々の考え方をすべきである。
(B) 自車両が旋回外側車線を走行するときの要求は、他車両が遠心力により自車線側に接近してくることを回避する点にある。一方、自車両が旋回内側車線を走行するときの要求は、自車両に働く横Gを小さく抑える点にある。ちなみに、自車両が旋回内側車線を走行するとき、他車両が遠心力により外側に膨らむ走行車線になると自車線から離れるため、自車両に接近する可能性は低くなる。
(C) 例えば、右車線か左車線かの車線情報と、右旋回路か左旋回路かの判定結果を用いると、自車両が旋回外側車線の旋回時であるか、自車両が旋回内側車線の旋回時であるかを切り分けることができる。
という点に着目した。
上記着目点に基づいて本開示は、自車両Aが走行を予定している自車線L1内に基準横位置Yst、Yout、Yinを設定し、基準横位置Yst、Yout、Yinに基づいて自車両Aを走行させる目標軌跡TLを生成し、目標軌跡TLに基づいて自車両Aの走行を制御する車載制御ユニット3を備える。この走行支援方法において、車載制御ユニット3は、自車両Aが走行する車線の車線情報を取得する。車線情報により、自車両Aがこれから走行する道路が旋回外側車線か旋回内側車線かを判定する。旋回外側車線か旋回内側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での基準横位置Yout、Yinを設定する、という課題解決手段を採用した。
即ち、自車両Aがこれから走行する道路が旋回内側車線か旋回外側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での基準横位置Yout、Yinが設定される。よって、自車両Aの旋回態様が、旋回外側車線の旋回時であるか、旋回内側車線の旋回時であるかを切り分けができる。そして、旋回態様を切り分けられることで、自車両Aが旋回外側車線の旋回時であるとき、他車両Bの接近に備え、他車両Bの接近を回避するという要求に応える基準横位置Youtを設定できる。一方、自車両Aが旋回内側車線の旋回時であるとき、自車両Aの横Gが大きくなるのに備え、横Gを小さく抑えるという要求に応える基準横位置Yinを設定できる。
このように、自車両Aが旋回外側車線走行時であるか旋回内側車線走行時であるかを切り分けた上で、それぞれの旋回態様に応じた適切な基準横位置Yout、Yinを別々に設定できることになる。この結果、自車両Aが目標軌跡TLに沿って旋回走行するシーンにおいて、自車両Aの旋回走行軌跡を、旋回態様により異なる要求に対して予め備えておく適切な軌跡とすることができる。特に、自車両Aが旋回走行する場合、旋回外側車線か旋回内側車線かに応じて基準横位置Yout、Yinを異ならせて設定しておくことで、旋回途中での状況判断に基づく軌跡修正による対応ではなく、それぞれの要求に予め備えた適切な軌跡とすることができる。
[基準横位置設定処理作用(図5)]
自車両Aの前方曲率ρが直進/旋回判定閾値T1以下の直進路走行時には、図5のフローチャートにおいて、S1→S2→S13→リターンへと進む。S2では、自車線L1の車線幅の中央部による標準横位置YSが設定される。S13では、直進走行態様に応じて基準横位置Ystが、標準横位置YSに設定される。
このように、前方曲率ρが直進/旋回判定閾値T1以下の緩やかなカーブ路を含む直進路走行区間においては、自車両Aは自車線L1の車線幅の中央部に沿った走行軌跡を描く走行になる。
次に、前方曲率ρが直進/旋回判定閾値T1を超えていて、かつ、旋回外側車線の旋回走行である右カーブ走行時であって、かつ、隣接車線L2に他車両Bが無い場合には、図5のフローチャートにおいて、S1→S3→S4→S5へと進む。S5では、旋回内側車線から離れる方向(左方向)の第1オフセット量OFF1(out)が、図4のオフセット量特性Cを用い、前方曲率ρに応じて決定される。
また、前方曲率ρが直進/旋回判定閾値T1を超えていて、かつ、旋回外側車線の旋回走行である右カーブ走行時であって、かつ、隣接車線L2に他車両Bが有る場合には、図5のフローチャートにおいて、S1→S3→S4→S6へと進む。S6では、旋回中心から離れる方向(左方向)の第2オフセット量OFF2(out)が、第1オフセット量OFF1(out)を増大補正することで決定される。
S5での第1オフセット量OFF1(out)の決定、或いは、S6での第2オフセット量OFF2(out)の決定に続き、S7→S13→リターンへと進む。S7では、決定した第1オフセット量OFF1(out)と第2オフセット量OFF2(out)が、旋回外側車線の外側に障害物が存在するとの判定やブラインドコーナーの判定に基づいて補正される。S13では、標準横位置YSから最終的に決められたオフセット量だけ旋回中心から離れる左方向にオフセットした位置が、基準横位置Youtとして設定される。
このように、旋回外側車線の旋回走行時であって、隣接車線L2に他車両Bが無い場合は、他車両Bが隣接車線L2に車線変更等で急に存在するという状況変化に備え、旋回内側車線から離れる左方向にオフセットした位置に走行軌跡を描く走行になる。また、旋回外側車線の旋回走行時であって、隣接車線L2に他車両Bが有る場合は、他車両Bが遠心力等により隣接車線L2から接近してくるのに備え、旋回内側車線から大きく離れる左方向にオフセットした位置に走行軌跡を描く走行になる。加えて、旋回外側車線の旋回走行時には、旋回外側車線の外側に障害物が存在することの判定やブラインドコーナーの判定に基づいてオフセット量が適切に補正される。
次に、前方曲率ρが直進/旋回判定閾値T1を超えていて、かつ、旋回内側車線の旋回走行である左カーブ走行時であるとする。この場合、隣接車線L2に他車両Bが無く、かつ、前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2を超えていると、図5のフローチャートにおいて、S1→S3→S8→S9→S10へと進む。S10では、旋回中心から離れる方向の右オフセット量OFFr(in)が、図4のオフセット量特性Dと前方曲率ρに応じて決定される。
旋回内側車線の旋回走行時、隣接車線L2に他車両Bが無く、かつ、前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2以下であると、図5のフローチャートにおいて、S1→S3→S8→S9→S2へと進む。S2では、オフセット量がゼロである標準横位置YSに設定される。
旋回内側車線の旋回走行時、隣接車線L2に他車両Bが有ると、図5のフローチャートにおいて、S1→S3→S8→S11へと進む。S11では、旋回中心に向かう方向の左オフセット量OFFl(in)が、図4のオフセット量特性Dと前方曲率ρに応じて決定される。
S10での右オフセット量OFFr(in)の決定、或いは、S11での左オフセット量OFFl(in)の決定に続き、S12→S13→リターンへと進む。S12では、決定した右オフセット量OFFr(in)と左オフセット量OFFl(in)が、旋回内側車線の内側に障害物が存在するとの判定に基づいて補正される。S13では、標準横位置YS、又は、標準横位置YSから最終的に決められたオフセット量だけ右オフセットした位置、又は、標準横位置YSから最終的に決められたオフセット量だけ左オフセットした位置が、基準横位置Yinとして設定される。
このように、旋回内側車線の旋回走行時には、3つの異なるパターンにより基準横位置Yinが設定される。第1パターンは、隣接車線L2に他車両Bが無く、かつ、ρ>T2の小半径旋回である場合は、自車両Aに作用する横Gが大きくなるのに備え、旋回中心から離れる方向である右オフセットした位置とし、横Gが大きくなるのを抑える走行軌跡を描く走行になる。第2パターンは、隣接車線L2に他車両Bが有る場合は、他車両Bが隣接車線L2から接近してくる可能性があるのに備え、旋回中心に向かう方向である左オフセットした位置とし、隣接車線L2を走行する他車両Bから離れる走行軌跡を描く走行になる。第3パターンは、隣接車線L2に他車両Bが無く、かつ、ρ≦T2の大半径旋回である場合は、横Gが大きくなる可能性も他車両Bが接近する可能性も低いため、自車両Aは自車線L1の車線幅の中央部に沿った走行軌跡を描く走行になる。加えて、旋回内側車線の旋回走行時には、旋回内側車線の内側に障害物が存在するとの判定に基づいてオフセット量が適切に補正される。
[旋回外側車線走行時の基準横位置設定作用(図8、図9)]
実施例1では、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合、標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)による横位置を基準横位置Youtに設定している。
即ち、自車両Aが旋回外側車線(自車線L1)を旋回走行する場合、図8に示すように、旋回内側車線(隣接車線L2)に他車両Bが存在しているかどうかにかかわらず、旋回中心から離れる方向のみにオフセット量OFF(out)だけ標準横位置YSからオフセットした位置が基準横位置Youtに設定される。よって、旋回外側車線を旋回走行する場合の目標軌跡TLoutは、標準横位置YSによる標準目標軌跡TLsより外側に生成されることになり、自車両Aは、目標軌跡TLoutに沿った走行軌跡を描く走行になる。
このように、旋回外側車線を旋回走行する場合には、標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)を決める方向が、旋回内側車線から離れる方向にのみとなる。よって、旋回外側車線を旋回走行する場合、他車両Bが遠心力等により隣接車線L2から接近してくるのに予め備える基準横位置Youtに設定されることになる。加えて、旋回外側車線を旋回走行する場合、旋回内側車線から離れる方向のオフセット量OFF(out)により曲率が小さくなり、自車両Aに作用する横Gを抑制することができる。この横G抑制効果は、本発明者が行ったコーナー走行実験において、実施例1による目標軌跡TLoutの場合、2つのカーブ走行支援技術を組み合わせた背景技術(図7を参照)の目標軌跡TLoldとした場合に比べ、図9に示すハッチング領域Eにより横Gの抑制効果が26%程度向上したという実験結果が得られたことによっても裏付けられる。
実施例1では、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行するときに旋回内側車線に他車両Bが存在する場合、旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)を、旋回内側車線に他車両Bが存在しない場合に比べて大きな量に決めている。
即ち、車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合、図8に示すように、隣接車線L2に他車両Bが存在すると、他車両Bの走行軌跡から明らかなように、他車両Bが遠心力等により隣接車線L2から自車線L1に向かって接近してくる可能性が高い。一方、隣接車線L2に他車両Bが存在しない場合は、隣接車線L2へ他車両Bが車線変更する等のように走行状況が変化しない限り、他車両Bが隣接車線L2から自車線L1に向かって接近してくることはなく、自車線L1に向かって接近してくる可能性は低くなる。
これに対し、他車両Bの存在の有無により標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)を異ならせ、他車両Bの存在有りの場合、他車両Bの存在無しの場合よりもオフセット量OFF(out)が大きくされる。よって、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合、他車両Bが自車線L1に向かって接近してくる接近可能性に応じた適切な基準横位置Youtに設定されることになる。
実施例1では、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行するときに旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)を、旋回外側車線の外側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に決めている。
即ち、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行時に旋回外側車線の外側に障害物(壁やガードレール等)が存在するとき、障害物に近い位置を走行軌跡にすると、旋回中に乗員の視界に障害物が迫ってきて乗員に対し不安感を与えることになる。
これに対し、旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、障害物が存在しない場合よりもオフセット量OFF(out)を小さな量にすることで、障害物からより離れた位置が走行軌跡にされる。よって、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合であって、旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、障害物による乗員に与える不安感が軽減されることになる。
実施例1では、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行するときに旋回路がブラインドコーナーと判定された場合、旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)を、旋回路がブラインドコーナーと判定されない場合に比べて大きな量に決めている。
即ち、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行時、旋回路が曲がった先の状況を認識することが困難なブラインドコーナーであるとき、隣接車線L2から近い位置を走行軌跡にすると、旋回中における乗員の視界範囲が狭くなり、急な対向車の出現等により乗員に対し不安感を与えることになる。
これに対し、旋回外側車線を旋回走行するときに旋回路がブラインドコーナーである場合、ブラインドコーナーではない場合よりもオフセット量OFF(out)を大きな量にすることで、隣接車線L2から離れた位置が走行軌跡とされ、旋回中における乗員の視界範囲が拡大される。よって、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合であって、旋回路がブラインドコーナーである場合、旋回中における乗員の視界範囲が狭くなることにより乗員に与える不安感が軽減されることになる。
[旋回内側車線走行時の基準横位置設定作用(図10)]
実施例1では、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、旋回外側車線に他車両Bが存在するか否かを判定し、他車両Bが存在しないと判定されたとき、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)による横位置を基準横位置Yinに設定している。
即ち、自車両Aが旋回内側車線(自車線L1)を旋回走行する場合、旋回外側車線(隣接車線L2)に他車両Bが存在しないと、他車両Bが自車両Aへ接近する可能性が低く、基準横位置Yinの設定自由度が高い。
これに対し、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在しないという条件が成立すると、オフセット量OFF(in)を、旋回中心から離れる方向の右オフセット量OFFr(in)に決め、旋回半径を拡大した目標軌跡TLin(右オフセット)を生成している。よって、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両Bが存在しない場合、旋回走行中に自車両Aに作用する横Gが、自車線L1の中央部を走行する場合に比べて小さく抑えられる。
実施例1では、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、旋回外側車線に他車両Bが存在するか否かと自車両Aの前方曲率ρを判定し、他車両Bが存在しなく、かつ、前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2より大きいと判定されたとき、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)を、旋回中心から離れる方向の所定量に決めている。
即ち、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在しないことでオフセット量OFF(in)を、旋回中心から離れる方向の所定量に決めるが、自車両Aの前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2以下であると、大半径旋回となり、自車両Aに作用する横Gそのものが小さい。これに対し、自車両Aの前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2より大きいと、小半径旋回となり、横Gが大きくなってしまう。
これに対し、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在しないという条件と小半径旋回という条件が成立すると、オフセット量OFF(in)を、図10に示すように、標準横位置YSから旋回外側車線へ近づく方向の右オフセット量OFFr(in)に決め、旋回半径を拡大した目標軌跡TLin(右オフセット)を生成している。よって、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両Bが存在せずに小半径旋回である場合、旋回走行中に自車両Aに作用する横Gが、自車線L1の中央部を走行する場合に比べて小さく抑えられる。
実施例1では、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在すると判定されたとき、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)を、旋回中心に向かう方向の所定量に決め、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)による横位置を基準横位置Yinに設定している。
即ち、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在すると他車両Bが自車両Aへ接近する可能性が高くなる。この状況で横Gを小さく抑える要求と、他車両Bが自車両Aへ接近するのを回避する要求とを比べると、横G抑制要求よりも接近回避要求の優先度が高い。この点は、図4に示すように、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合のオフセット量特性Cを、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合のオフセット量特性Dよりも大きな量とすることからも明らかである。
これに対し、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在すると、オフセット量OFF(in)を、図10に示すように、標準横位置YSから旋回中心に向かう方向の左オフセット量OFFl(in)に決め、他車両Bが自車両Aへ接近するのに予め備えた目標軌跡TLin(左オフセット)を生成している。よって、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両Bが存在する場合、旋回中に他車両Bが自車両Aへ接近するのに対して予め備えられる。
実施例1では、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、旋回中心に向かう方向にオフセット量OFF(in)が決められた場合、旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、標準横位置YSからのオフセット量OFF(in)を、旋回内側車線の内側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に決めている。
即ち、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行時に旋回内側車線の内側に障害物(壁やガードレール等)が存在するとき、障害物に近い位置を走行軌跡にすると、旋回中に乗員の視界に障害物が迫ってきて乗員に対し不安感を与えることになる。
これに対し、旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、障害物が存在しない場合よりも左オフセット量OFFl(out)を小さな量にすることで、障害物からより離れた位置が走行軌跡にされる。よって、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、障害物による乗員に与える不安感が軽減されることになる。
実施例1では、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在しなく、かつ、前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2以下と判定されたとき、標準横位置YSを基準横位置Yinに設定している。
即ち、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在しないと、他車両Bが自車両Aへ接近する可能性が低く、基準横位置Yinの設定自由度が高い。自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2以下であると、大半径旋回となり、横Gそのものが小さくなる。
これに対し、他車両Bが存在しなく、かつ、前方曲率ρが大小旋回半径判定閾値T2以下と判定されると、標準横位置YSがそのまま基準横位置Yinに設定される。よって、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在せずに大半径旋回である場合、直進路からの延長により標準横位置YSを変更することなく、基準横位置Yinが設定される。
以上説明したように、実施例1の自動運転車両ADにおける走行支援方法及び走行支援装置にあっては、下記に列挙する効果を奏する。
(1) 自車両Aが走行を予定している自車線L1内に基準横位置Yst、Yout、Yinを設定し、基準横位置Yst、Yout、Yinに基づいて自車両Aを走行させる目標軌跡TLを生成し、目標軌跡TLに基づいて自車両Aの走行を制御するコントローラ(車載制御ユニット3)を備える走行支援方法において、
コントローラは、
自車両Aが走行する車線の車線情報を取得し、
車線情報により、自車両Aがこれから走行する道路が旋回外側車線か旋回内側車線かを判定し、
旋回外側車線か旋回内側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での基準横位置Yout、Yinを設定する(図8)。
このため、自車両Aが目標軌跡TLに沿って旋回走行するシーンにおいて、自車両Aの旋回走行軌跡を、旋回態様により異なる要求に対して予め備えておく適切な軌跡とする走行支援方法を提供することができる。
(2) 自車両Aが走行する場合、車線幅の中央部による標準横位置YSを基準横位置Ystとして設定し、
自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合、標準横位置YSからのオフセット量OFFを、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)による横位置を基準横位置Youtに設定する(図8)。
このため、旋回外側車線を旋回走行する場合、他車両Bが遠心力等により隣接車線L2から接近してくるのに予め備える基準横位置Youtに設定することができると共に、自車両Aに作用する横Gを抑制することができる。
(3) 自車両Aが旋回外側車線を旋回走行するときに旋回内側車線に他車両Bが存在する場合、旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)を、旋回内側車線に他車両Bが存在しない場合に比べて大きな量に決める(図8)。
このため、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合、他車両Bが自車線L1に向かって接近してくる接近可能性に応じた適切な基準横位置Youtに設定することができる。
(4) 自車両Aが旋回外側車線を旋回走行するときに旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)を、旋回外側車線の外側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に決める(図8)。
このため、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合であって、旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、障害物による乗員に与える不安感を軽減することができる。
(5) 自車両Aが旋回外側車線を旋回走行するときに旋回路がブラインドコーナーと判定された場合、旋回中心から離れる方向のオフセット量OFF(out)を、旋回路がブラインドコーナーと判定されない場合に比べて大きな量に決める(図8)。
このため、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合であって、旋回路がブラインドコーナーである場合、旋回中における乗員の視界範囲が狭くなることにより乗員に与える不安感を軽減することができる。
(6) 自車両Aが走行する場合、車線幅の中央部による標準横位置YSを基準横位置Ystとして設定し、
自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、旋回外側車線に他車両Bが存在するか否かを判定し、他車両Bが存在しないと判定されたとき、標準横位置YSからのオフセット量OFFを、旋回中心から離れる方向の所定量(右オフセット量OFFr(in))に決め、標準横位置YSからのオフセット量(右オフセット量OFFr(in))による横位置を基準横位置Yinに設定する(図10)。
このため、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両Bが存在しない場合、旋回走行中に自車両Aに作用する横Gを、自車線L1の中央部を走行する場合に比べて小さく抑えることができる。
(7) 自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、旋回外側車線に他車両Bが存在するか否かと自車両Aの前方曲率ρを判定し、他車両Bが存在しなく、かつ、前方曲率ρが所定曲率(大小旋回半径判定閾値T2)より大きいと判定されたとき、標準横位置YSからのオフセット量OFFを、旋回中心から離れる方向の所定量(右オフセット量OFFr(in))に決め、標準横位置YSからのオフセット量(右オフセット量OFFr(in))による横位置を基準横位置Yinに設定する(図10)。
このため、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両Bが存在せずに小半径旋回である場合、旋回走行中に自車両Aに作用する横Gを、自車線L1の中央部を走行する場合に比べて小さく抑えることができる。
(8) 自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在すると判定されたとき、標準横位置YSからのオフセット量OFFを、旋回中心へ向かう方向の所定量(左オフセット量OFFl(in))に決め、標準横位置YSからのオフセット量(左オフセット量OFFl(in))による横位置を基準横位置Yinに設定する(図10)。
このため、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、他車両Bが存在する場合、旋回中に他車両Bが自車両Aへ接近するのに対して予め備えることができる。
(9) 自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、旋回中心へ向かう方向にオフセット量(左オフセット量OFFl(in))が決められた場合、旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、標準横位置YSからのオフセット量を、旋回内側車線の内側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に決める(図10)。
このため、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合であって、旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、障害物による乗員に与える不安感を軽減することができる。
(10) 自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在しなく、かつ、前方曲率ρが所定曲率(大小旋回半径判定閾値T2)以下と判定されたとき、標準横位置YSを基準横位置Yinに設定する(図10)。
このため、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合、他車両Bが存在せずに大半径旋回である場合、直進路からの延長により標準横位置YSを変更することなく、基準横位置Yinを設定することができる。
(11) オフセット量OFFは、自車両Aの前方曲率ρが大きいほど大きな量に決め、
自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合のオフセット量OFF(out)を、自車両Aが旋回内側車線を旋回走行する場合のオフセット量OFF(in)よりも大きな量とする(図4のオフセット量特性C、D)。
このため、標準横位置YSからのオフセット量OFFを用いた簡単な処理により、旋回外側車線を旋回走行する場合、旋回内側車線を旋回走行する場合より優先するという優先度に応じた適切な基準横位置Yinに設定することができる。
(12) 自車両Aの周囲の状況を検出するセンサ(車載センサ1等)と、
自車両Aの目標軌跡TLに沿った走行を制御するコントローラ(車載制御ユニット3)と、を備える走行支援装置において、
コントローラは、
自車両Aが走行を予定している自車線L1内に基準横位置Yst、Yout、Yinを設定する基準横位置設定処理部318と、基準横位置Yst、Yout、Yinに基づいて自車両Aを走行させる目標軌跡TLを生成する目標軌跡生成部319と、を備え、
基準横位置設定処理部318は、自車両Aが走行する車線の車線情報を取得する車線情報取得部318cと、
車線情報により、自車両Aがこれから走行する道路が旋回外側車線か旋回内側車線かを判定する旋回外側/内側車線判定部318eと、
旋回外側車線か旋回内側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での基準横位置Yout、Yinを設定する基準横位置設定部318jと、を有する(図3)。
このため、自車両Aが目標軌跡TLに沿って旋回走行するシーンにおいて、自車両Aの旋回走行軌跡を、旋回態様により異なる要求に対して予め備えておく適切な軌跡とする走行支援装置を提供することができる。
以上、本開示の走行支援方法及び走行支援装置を、実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加などは許容される。
実施例1では、自車両Aが旋回路を旋回走行する場合、旋回外側車線の旋回走行か、旋回内側車線の旋回走行かに応じて、それぞれでオフセット量OFF(out)、OFF(in)を決めて基準横位置Yout、Yinを異ならせて設定する例を示した。しかし、自車両が旋回路を旋回走行する場合、旋回外側車線の旋回走行時のみ、オフセット量を決めて基準横位置を設定し、旋回内側車線の旋回走行時は、標準横位置を基準横位置に設定する例としても良い。
実施例1では、自車両Aが旋回外側車線を旋回走行する場合、標準横位置YSからのオフセット量OFFを、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、標準横位置YSからのオフセット量OFF(out)による横位置を基準横位置Youtに設定する例を示した。しかし、自車両が旋回外側車線を旋回走行する場合、標準横位置からのオフセット量を、旋回中心に向かう方向のオフセット量を含めて決めるようにしても良い。この場合、自車両が旋回外側車線を旋回走行するときに旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、旋回中心へ向かう方向のオフセット量を、旋回外側車線の外側に障害物が存在しない場合に比べて大きな量に決めることになる。
実施例1では、所定の条件に基づいて、オフセット量を小さい量にする、小さい量に決める説明を行っているが、「小さい量にする」、「小さい量に決める」の内容には、オフセット量をゼロにすることも含むことができる。
実施例1では、本開示の走行支援方法及び走行支援装置を、目標軌跡に沿って走行するように車両運動が制御される自動運転車両ADに適用する例を示した。しかし、本開示の走行支援方法及び走行支援装置は、自動運転車両に限らず、オートクルーズ機能やレーンキープ機能などを備え、少なくともステアリング操作/アクセル操作/ブレーキ操作の何れか一つの運転操作を支援する運転支援車両に対しても適用することができる。
本開示の走行支援方法及び走行支援装置を適用する車両としては、エンジン車、ハイブリッド車、電気自動車、等のあらゆる種類の車両に適用することができる。
AD 自動運転車両
1 車載センサ
2 ナビゲーション装置
3 車載制御ユニット(コントローラ)
31 自動運転コントローラ
318 基準横位置設定処理部
318a 前方曲率判定部
318b 旋回路判定部
318c 車線情報取得部
318d 標準横位置設定部
318e 旋回外側/内側車線判定部
318f 基本オフセット量決定部
318g オフセット量補正部
318h 基本オフセット量決定部
318i オフセット量補正部
318j 基準横位置設定部
319 目標軌跡生成部
32 車両運動コントローラ
4 アクチュエータ
5 HMIモジュール

Claims (9)

  1. 自車両が走行を予定している自車線内に基準横位置を設定し、前記基準横位置に基づいて前記自車両を走行させる目標軌跡を生成し、前記目標軌跡に基づいて前記自車両の走行を制御するコントローラを備える走行支援方法において、
    前記コントローラは、
    前記自車両が走行する車線の車線情報を取得し、
    カーブ路を走行するとき、前記自車線の内側に隣接車線が存在する態様になる車線を旋回外側車線といい、前記自車線の外側に隣接車線が存在する態様になる車線を旋回内側車線というとき、前記車線情報により、前記自車両がこれから走行する道路が前記旋回外側車線か前記旋回内側車線かを判定し、
    前記旋回外側車線か前記旋回内側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での前記基準横位置を設定し、
    前記自車両が前記旋回外側車線を旋回走行する場合、車線幅の中央部による標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、前記標準横位置からの前記オフセット量による横位置を前記基準横位置に設定し、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合、前記旋回外側車線に他車両が存在するか否かを判定し、前記他車両が存在しないと判定されたとき、前記標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、前記標準横位置からの前記オフセット量による横位置を前記基準横位置に設定し、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合、前記他車両が存在すると判定されたとき、前記標準横位置からのオフセット量を、旋回中心に向かう方向の所定量に決め、前記標準横位置からの前記オフセット量による横位置を前記基準横位置に設定する
    ことを特徴とする走行支援方法。
  2. 請求項1に記載された走行支援方法において、
    前記自車両が前記旋回外側車線を旋回走行するときに前記旋回内側車線に他車両が存在する場合、旋回中心から離れる方向の前記オフセット量を、前記旋回内側車線に他車両が存在しない場合に比べて大きな量に決める
    ことを特徴とする走行支援方法。
  3. 請求項1又は2に記載された走行支援方法において、
    前記自車両が前記旋回外側車線を旋回走行するときに前記旋回外側車線の外側に障害物が存在する場合、旋回中心から離れる方向の前記オフセット量を、前記旋回外側車線の外側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に決める
    ことを特徴とする走行支援方法。
  4. 請求項1から3までの何れか一項に記載された走行支援方法において、
    前記自車両が前記旋回外側車線を旋回走行するときに旋回路がブラインドコーナーと判定された場合、旋回中心から離れる方向の前記オフセット量を、前記旋回路がブラインドコーナーと判定されない場合に比べて大きな量に決める
    ことを特徴とする走行支援方法。
  5. 請求項1から4までの何れか一項に記載された走行支援方法において、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合、前記旋回外側車線に他車両が存在するか否かと前記自車両の前方曲率を判定し、前記他車両が存在しなく、かつ、前記前方曲率が所定曲率より大きいと判定されたとき、前記標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決める
    ことを特徴とする走行支援方法。
  6. 請求項1から5までの何れか一項に記載された走行支援方法において、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合であって、旋回中心に向かう方向にオフセット量が決められた場合、前記旋回内側車線の内側に障害物が存在する場合、前記標準横位置からの前記オフセット量を、前記旋回内側車線の内側に障害物が存在しない場合に比べて小さな量に決める
    ことを特徴とする走行支援方法。
  7. 請求項1から6までの何れか一項に記載された走行支援方法において、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合、前記他車両が存在しなく、かつ、前記自車両の前方曲率が所定曲率以下と判定されたとき、前記標準横位置を前記基準横位置に設定する
    ことを特徴とする走行支援方法。
  8. 請求項1から7までの何れか一項に記載された走行支援方法において、
    前記オフセット量は、前記自車両の前方曲率が大きいほど大きな量に決め、
    前記自車両が前記旋回外側車線を旋回走行する場合のオフセット量を、前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合のオフセット量よりも大きな量とする
    ことを特徴とする走行支援方法。
  9. 自車両の周囲の状況を検出するセンサと、
    前記自車両の目標軌跡に沿った走行を制御するコントローラと、を備える走行支援装置において、
    前記コントローラは、
    前記自車両が走行を予定している自車線内に基準横位置を設定する基準横位置設定処理部と、前記基準横位置に基づいて前記自車両を走行させる目標軌跡を生成する目標軌跡生成部と、を備え、
    前記基準横位置設定処理部は、前記自車両が走行する車線の車線情報を取得する車線情報取得部と、
    カーブ路を走行するとき、前記自車線の内側に隣接車線が存在する態様になる車線を旋回外側車線といい、前記自車線の外側に隣接車線が存在する態様になる車線を旋回内側車線というとき、前記車線情報により、前記自車両がこれから走行する道路が前記旋回外側車線か前記旋回内側車線かを判定する旋回外側/内側車線判定部と、
    前記旋回外側車線か前記旋回内側車線かの判定結果に基づいて、これから走行する旋回路での前記基準横位置を設定する基準横位置設定部と、を有し、
    前記基準横位置設定部は、
    前記自車両が前記旋回外側車線を旋回走行する場合、車線幅の中央部による標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、前記標準横位置からの前記オフセット量による横位置を前記基準横位置に設定し、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合、前記旋回外側車線に他車両が存在するか否かを判定し、前記他車両が存在しないと判定されたとき、前記標準横位置からのオフセット量を、旋回中心から離れる方向の所定量に決め、前記標準横位置からの前記オフセット量による横位置を前記基準横位置に設定し、
    前記自車両が前記旋回内側車線を旋回走行する場合、前記他車両が存在すると判定されたとき、前記標準横位置からのオフセット量を、旋回中心に向かう方向の所定量に決め、前記標準横位置からの前記オフセット量による横位置を前記基準横位置に設定する
    ことを特徴とする走行支援装置。
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