本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。図1は、第1実施例のインクジェットプリンタ1の概略図である。まず、インクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
インクジェットプリンタ1は、印刷用シート22を本体へ供給する供給部2と、供給部2から供給された印刷用シート22を搬送する搬送部3と、搬送部3によって搬送される印刷用シート22にインクを吐出して印刷用シート22に印刷するプリントヘッド4と、プリントヘッド4によって印刷されたシート22をストックするスタッカ5を備えている。
供給部2は、積層された印刷用シート22をセットするトレイ21と、トレイ21にセットされた印刷用シート22の積層の最上面に存在している印刷用シートに当接すると共にその最上面に存在する1枚の印刷用シート22を送り出すピックアップローラ23と、ピックアップローラ23の下流側(図1の左側)に位置しており、供給された印刷用シート22を挟持して搬送部3へ送り出す一対の搬送ローラ24を備えている。ピックアップローラ23と一対の搬送ローラ24の間には、ピックアップローラ23によって2枚以上の印刷用シートが同時に送り出されるのを防止するための分離ガイド25が配設されている。また、一対の搬送ローラ24の下流側には、その搬送ローラ24によって挟持して送り出される印刷用シート22が傾斜している場合に、それを補正するシャッタ26が配設されている。シャッタ26によって、印刷用シート22の姿勢が、その上端が後記するエンドレスベルト31の幅方向と平行にのびる姿勢に調整される。
搬送部3は、一対のローラ32a,32bと、一対のローラ32a,32bの間に架け渡されているエンドレスベルト31と、上流側(図1の右側)に位置するローラ32aとエンドレスベルト31を介して向かい合っているローラ33を備えている。エンドレスベルト31の印刷用シート22を担持する側の面、即ち外周面にはシリコン処理が施されている。ローラ32aは、図示しないモータによって反時計回転方向に回転させられる。ローラ32bは、回転自在となっている。ローラ32aが反時計回転方向に回転させられると、エンドレスベルト31の上側の半分は、上流側(図1の右側)から下流側(図1の左側)に移動する。
一対の搬送ローラ24によって送り出された印刷用シート22は、ローラ33によって、エンドレスベルト31の外周面に押し付けられる。エンドレスベルト31の外周面にはシリコン処理が施されており、印刷用シート22はエンドレスベルト31の外周面に粘着する。エンドレスベルトの上側の半分が、上流側(図1の右側)から下流側(図1の左側)に移動するのに伴って、印刷用シート22は下流側に向けて搬送される。
エンドレスベルト31の上方には、プリントヘッド4が固定されている。プリントヘッド4は、その長手方向がエンドレスベルト31の幅方向(図1の紙面垂直方向)と平行に伸びるように、インクジェットプリンタ本体に固定されている。プリントヘッド4のエンドレスベルト31と対向する面には、インクを吐出するインク吐出ノズルの複数個が形成されている。複数個のインク吐出ノズルは、エンドレスベルト31の幅方向(図1の紙面垂直方向)に配列されている。
エンドレスベルト31の上側の外周面と、プリントヘッド4の下面の間には、微小な間隙が確保されている。エンドレスベルト31の外周面に粘着している印刷用シート22は、プリントヘッド4の下面の下を通過する。プリントヘッド4の下面の下を通過する印刷用シート22に向けて、プリントヘッド4の下面に形成されているインク吐出ノズルからインクが噴きつけられる。そのインクは、印刷用シート22の上面に付着する。これによって、印刷用シート22に印刷が行なわれる。
エンドレスベルト31の下流側には、一対の排紙ローラ34,35が配設されており、エンドレスベルト31によって搬送されたシート22をスタッカ5へ排出する。スタッカ5は印刷されたシート22をストックするためのものであり、排出ローラ51,52を備えている。排出ローラ51,52は、排紙ローラ34,35の下流側に位置している。排出ローラ51,52は、搬送部3から排出される印刷されたシート22を挟持して、スタッカ5へ送る。
エンドレスベルト31の上流側には、ペーパセンサ36と、第1検出器37Aと、第2検出器37Bが配置されている。これらのセンサ36、37A、37Bは、エンドレスベルト31の上側外周面と対向するように配置されている。ペーパセンサ36は、それに向かいあう位置に印刷用シート22の上端が搬送されたタイミングで出力を反転する。第1検出器37Aは、エンドレスベルト31の一方側のサイドエッジ(図3の上側のサイドエッジ)に貼着されている被検出部材37aを観測することによって、エンドレスベルト31の図3の上側のサイドエッジの移動速度を検出する。第2検出器37Bは、エンドレスベルト31の他方側のサイドエッジ(図3の下側のサイドエッジ)に貼着されている被検出部材37bを観測することによって、エンドレスベルト31の図3の下側のサイドエッジの移動速度を検出する。
被検出部材37a,37bはエンドレスベルトの移動方向に沿って、所定ピッチで白と黒が反転する連続模様を有している。被検出部材37a,37bは、所定長さ毎に繰返して変化するものである。第1検出器37Aと第2検出器37Bは、被検出部材37a,37bに向けて光を発するとともに反射光を受光するセンサであり、白色部を検出しているときと黒色部を検出しているときとで、出力が反転する。被検出部材37a,37bは、所定ピッチで凹凸が繰返し形成されているものであってもよい。第1検出器37Aと第2検出器37Bは、レーザを照射して反射レーザを検出するものであってもよい。
被検出部材37a,37bは帯状であり、図3に示すように、一端側と他端側を接合した接合部37a1,37b1を備えている。接合部37a1,37b1では、第1及び第2被検出部材37a,37bの白と黒が反転する連続模様が、不規則になっている。
なお、本実施例のプリントヘッド4は、プリンタ本体に固定されている。いわゆるライン式プリントヘッドであるが、メンテナンス時には、図示されていないメンテナンス手段(パージ動作用のキャップ、ポンプなど)が配置されている位置まで移動可能に構成されている。
また、本実施例では、1つのプリントヘッド4で構成されているが、マゼンタ色のインクを吐出するプリントヘッドと、イエロー色のインクを吐出するプリントヘッドと、シアン色のインクを吐出するプリントヘッドと、ブラック色のインクを吐出するプリントヘッドを備えていてもよい。これら4つのプリントヘッドを、印刷用シート22の搬送方向に沿って並べて配置することで、印刷用シート22上にカラー印刷することができる。
図2は、インクジェットプリンタ1の電気回路構成の概略ブロック図を示す。インクジェットプリンタ1は、1チップ化されたマイクロコンピュータ(CPU)60と、ROM61と、RAM62と、EEPROM63と、ゲートアレイ(G/A)64と、ヘッド用ドライバ65等を備えている。CPU60、ROM61、RAM62、EEPROM63、ゲートアレイ64、ヘッド用ドライバ65は、アドレスバス66やデータバス67を介して接続されている。
CPU60は、ROM61に予め記憶されている印刷制御プログラム61a等の制御プログラムに従い、インクの吐出や、カートリッジ内のインク残量の検出等の制御を実行する。また、吐出タイミング信号及びリセット信号を生成し、各信号を後述するゲートアレイ64へ転送する。
CPU60には、ユーザが印刷の指示などを行うための操作パネル68や、印刷用シート22を搬送する搬送モータ69を動作させるための搬送モータ駆動回路70や、印刷用シート22の先端を検出するペーパセンサ36や、第1検出器37Aや、第2検出器37Bが接続されており、各デバイスの動作はCPU60により制御されている。第1検出器37Aは、後述する第1位置においてエンドレスベルト31の移動速度を検出する検出部37A1と、検出した信号を出力する第1出力部37A2を有する。第2検出器37Bは、後述する第2位置におけるエンドレスベルト31の移動速度を検出する第2検出部37B1と、検出した信号を出力する第2出力部37B2を有する。第1検出部37A1と第2検出部37B1は、例えば発光素子と受光素子によって構成されている。
ROM61は、書換え不可能な不揮発性のメモリであり、印刷制御プログラム61aや、その他の固定値データ等が記憶されている。RAM62は、書換え可能な揮発性のメモリであり、各種のデータ等が一時的に記憶されている。EEPROM63は、書換え可能な不揮発性のメモリである。印刷制御プログラム61aはCPU60により実行され、第1及び第2検出器37A,37Bにより検出されたエンドレスベルト31の移動速度差に基づいて、インクの吐出タイミング等を制御する。
ゲートアレイ64は、CPU60から転送される基準タイミングと、イメージメモリ71に記憶されている画像データに基づいて、その画像データで記述されるパターンを印刷用シート22に形成するための画像形成データ(駆動信号)と、その画像形成データと同期する転送クロックCLKと、ラッチ信号と、基本印字波形信号を生成するためのパラメータ信号と、一定周期で出力される噴射タイミング信号を出力し、それら各信号をヘッド用ドライバ65に出力する。また、ゲートアレイ64は、パーソナルコンピュータ等からインターフェイス72を介して転送されてくる画像データを、イメージメモリ71に記憶させる。
ヘッド用ドライバ65は、ゲートアレイ64から出力される信号に応じて、プリントヘッド4に駆動パルスを印加する駆動回路である。ヘッド用ドライバ65は、プリントヘッド4の各ノズルに対応する各駆動素子に、駆動パルスを印加する。この駆動パルスによって各駆動素子が作動し、各ノズルからインクが吐出される。
図3及び図4を参照してエンドレスベルト31上に担持された印刷用シート22の搬送について説明する。図3は、搬送部3及び印刷用シート22の平面図であり、図4は、エンドレスベルト31及び傾斜した印刷用シート22の平面図である。
図3に示すように、エンドレスベルト31の幅方向の一方側の第1サイドエッジに沿って、帯状の第1被検出部材37aが固定されている。エンドレスベルト31の幅方向の他方側の第2サイドエッジに沿って、帯状の第2被検出部材37bが固定されている。第1被検出部材37aに向いあう位置に第1検出器37Aが配置されており、第2被検出部材37bに向いあう位置に第2検出器37Bが配置されている。第1検出器37Aと第2検出器37Bは、いずれもプリントヘッド4の上流側(図3では左側)に配置されている。第1検出器37Aと第2検出器37Bは、エンドレスベルト31の幅方向に伸びる直線上に配置されている。第1検出器37Aと第2検出器37Bは、エンドレスベルト31の幅方向に、エンドレスベルト31の幅に等しい距離だけ離れて配置されている。
エンドレスベルト31が移動すると、第1及び第2検出器37A,37Bに対応する位置を、第1及び第2被検出部材37a,37bの白黒連続模様が通過し、第1及び第2検出器37A,37Bの出力が繰り返し反転する。その反転の周期から、エンドレスベルト31の移動速度が検出できる。第1検出器37Aは、エンドレスベルト31の第1サイドエッジにおける移動速度V1を検出する。第2検出器37Bは、エンドレスベルト31の第2サイドエッジにおける移動速度V2を検出する。第1検出器37Aが移動速度を検出する位置(センサ光が照射される位置)を第1位置といい、第2検出器37Bが移動速度を検出する位置を第2位置という。第1位置と第2位置は、エンドレスベルト31の幅方向に伸びる直線上に配置されており、エンドレスベルト31の幅に等しい距離だけ離れている。
第1位置と第2位置は、エンドレスベルト31の幅方向の両端に配置されているために、エンドレスベルトの移動速度が幅方向に不均一であれば、最大の速度差を検出する。エンドレスベルト31の厚みが不均一であったり、ローラ32a,32b(図1参照)の寸法に誤差があったり、ローラ32a,32bの配置位置にズレがあったりして、エンドレスベルトの移動速度が幅方向に不均一になれば、第1及び第2検出器37A,37Bによって幅方向の最大の速度差を検出することができる。第1及び第2検出器37A,37Bによると、速度差の検出精度が高い
このインクジェットプリンタ1は、シートの幅がエンドレスベルト31の幅よりも狭い印刷用シート22を受入れることができる。したがって、最大幅の印刷用シート22に印刷する場合でも、第1被検出部材37aと第2被検出部材37bは、印刷用シート22によって覆われない。最大の印刷用シート22を印刷する場合でも、第1及び第2位置におけるエンドレスベルト31の移動速度を検出することができる。
第1及び第2被検出部材37a,37bは、印刷用シート22を粘着しているエンドレスベルト31の外周面に固着されている。したがって、エンドレスベルト31の厚みに不均一がある場合でも、印刷用シート22の移動速度を検出することができる。
第1及び第2被検出部材37a,37bは、エンドレスベルト31に固着されているので、第1及び第2被検出部材37a,37bとエンドレスベルト31を一体に製造する必要がない。これによりエンドレスベルト31の製造コストの低減を図ることができる。
プリントヘッド4は、エンドレスベルト31の幅方向に配列されている複数のノズルの列を備えている。プリントヘッド4は、ノズルの列を複数本備えている。複数のノズルは、エンドレスベルト31の幅方向の位置によって、4つのユニット4a,4b,4c,4dにグループ化されている。
後記する基準タイミングは、本来的には、エンドレスベルト31の幅方向の位置によって、ノズル毎に決定するべきものである。しかしながら、本実施例では、ユニット4a,4b,4c,4d毎に基準タイミングを決定する。これによって、ノズル毎に基準タイミングを決定する場合に比して計算量が大幅に節約できる。また、印刷用シートに生じる傾斜はあまり大きなものでないので、4つのユニット毎に基準タイミングを決定すれば、印刷用シートに生じる傾斜による影響が実際的には生じない程度に補償することができる。
供給部2側(図3左側)から図中矢印方向(図3では右方向)へ向けて搬送される印刷用シート22が、エンドレスベルト31の外周面に粘着してプリントヘッド4のインク吐出ノズル群の下を通過する際に、そのプリントヘッド4からインクが吐出されることで、印刷用シート22上に印刷される。
この際、エンドレスベルト31の厚みの不均一や、ローラ32a,32b(図1参照)の寸法誤差や、ローラ32a,32bの配置位置の誤差等に起因して、エンドレスベルト31の幅方向(図3上下方向)の位置によって、移動速度差が生じた場合、例えば、第1被検出部材37aの移動速度(v1)が第2被検出部材37bの移動速度(v2)よりも大きい場合には、図4の実線に示したように、印刷用シート22はプリントヘッド4のインク吐出ノズルの位置に対して相対的に傾斜してしまう。傾斜した印刷用シート22に対してインクが吐出されると、印刷用シート22に印刷されるパターン41は、印刷用シート22に対して傾斜してしまい、画像品質の劣化を引き起こす。図4の破線41は、印刷用シート22の傾斜を補償しないままに印刷したときにできるパターンを例示している。本来は印刷用シート22の上端と平行に印刷したいパターン41が、実際には印刷用シート22の上端22a−2に対して傾斜してしまう。
そこで、後述するインクの吐出タイミングの制御では、印刷用シート22に生じる傾斜を予測し、それを補償するようにインクの吐出タイミングを修正する。図4の例では、ユニット4aで印刷される線分43aの中点から印刷用シート22の上端22a−2までの距離Lと、ユニット4bで印刷される線分43bの中点から印刷用シート22の上端22a−2までの距離Lと、ユニット4cで印刷される線分43cの中点から印刷用シート22の上端22a−2までの距離Lと、ユニット4dで印刷される線分43dの中点から印刷用シート22の上端22a−2までの距離Lが等しくなるように、ユニット4a、4b、4c、4dのインク吐出タイミングを修正した結果を示している。この場合、各中点を結んだ線分42は、印刷用シート22の上端22a−2に平行となる。線分43a、43b、43c、43dの全体で構成される線分は、印刷用シート22の上端22a−2に平行な線分42によく近似しており、印刷用シート22に生じる傾斜による影響をほぼキャンセルすることができる。
各インク吐出ノズル毎に、印刷用シート22に生じる傾斜による影響をキャンセルするようにインクの吐出タイミングを修正すると、理想的線分42を印刷することができる。しかしながら、各インク吐出ノズル毎に吐出タイミングを修正しようとすると、修正処理に要する計算量が増大する。そこで、本実施例では、4つにグループ化された吐出ユニット4a,4b,4c,4dを単位として、吐出タイミングを修正している。それによって、計算負担を軽減し、修正計算用のソフト・ハードの生産コストの低減を図っている。
本実施例ではノズルを4つにグループ化しているが、必ずしも4つに限られない。ただし、多数にグループ化すると、制御負担が増大する。グループ数が少なすぎると、印刷用シート22に生じる傾斜による影響をキャンセルしきれない。吐出ノズルを4つから6つ程度にグループ化するのが望ましい。
次に、図5を参照して印刷処理の制御について説明する。なお、印刷処理の説明に際しては、図6から図9を適宜参照して説明する。
図5は、印刷処理のフローチャートである。印刷処理では、供給部2(図1参照)から供給される印刷用シート22上にパターンを印刷する。
この処理では、まず、印刷する印刷用シート22の枚数Xを確認する(S1)。具体的には、パーソナルコンピュータ等からインターフェイス72を介して転送されてくる画像データにより、印刷枚数を判断する。
次に、1枚目の印刷用シート22を印刷処理するので、n=1とする(S2)。
次に、第1及び第2被検出部材37a,37bをエンドレスベルト31に貼着した際に生じる第1及び第2接続部37a1,37b1を検出することによって、検出した速度が実際の速度からずれてしまうことを補正する処理を行う(S3)。図6及び図7を参照して、補正処理の手順について説明する。
図6は、補正処理のフローチャートであり、図7は、第1及び第2接続部37a1,37b1を検出するときに得られる信号を例示した図である。まず、図7を参照して、第1及び第2接続部37a1,37b1を検出するときに得られる信号について詳細に説明する。図7は、第1及び第2検出器37A,37Bの第1及び第2出力部37A2,37B2が出力する信号波形を示した図である。なお、図7(a)は第1又は第2接続部37a1,37b1を含まない範囲の被検出部材37a,37bを検出しているときに得られる信号波形であり、図7(b)から図7(d)は、第1又は第2接続部37a1,37b1を含む範囲の被検出部材37a,37bを検出しているときに得られる信号波形を例示している。
第1及び第2被検出部材37a,37bは白黒の連続模様で構成されており、第1又は第2検出器37A,37Bが白を検出する場合にはロウ信号を出力し、黒を検出する場合にはハイ信号を出力する。
図7(a)に示した信号波形は、第1又は第2接続部37a1,37b1を含まない範囲の被検出部材37a,37bを検出している場合に得られる信号波形を示した図である。ハイ信号が出力する時間とロウ信号が出力する時間との和をそれぞれt0、t1、t2、t3、t4とした場合に、エンドレスベルト31の移動速度が一定である場合には、t0、t1、t2、t3、t4はそれぞれ等しくなる。また、エンドレスベルト31の移動速度が一定でない場合には、t0、t1、t2、t3、t4はそれぞれ異なるが、隣り合う時間に大きな差は生じない。なお、エンドレスベルト31の移動速度は被検出部材37a,37bの白と黒との距離寸法及びその白と黒との距離寸法を検出する時間(例えば、t0、t1・・・)により求めることができる。
図7(b)は、被検出部材37a,37bの一端側が白で、他端側も白となるように貼着された接続部37a1,37b1を含む範囲の被検出部材37a,37bを検出するときに得られる信号波形を示しており、t2に示すように、ロウ信号が出力する時間はt0やt1などのロウ信号と比較して長くなる。このt2に基づいてエンドレスベルト31の移動速度を決定すると、誤った移動速度を検出することになる。
図7(c)は、被検出部材37a,37bの一端側が黒で、他端側も黒となるように貼着された接続部37a1,37b1を含む範囲の被検出部材37a,37bを検出するときに得られる信号波形を示しており、t2に示すようにハイ信号が出力する時間はt0やt1などのハイ信号と比較して長くなる。そして、このt2に基づいてエンドレスベルト31の移動速度を決定すると、誤った移動速度を検出することになる。
図7(d)は、被検出部材37a,37bの一端側が黒で、他端側が白となるように貼着された接続部37a1,37b1を含む範囲の被検出部材37a,37bを検出するときに得られる信号波形を示しており、t2はt0やt1などと比較して短くなる。そして、このt2に基づいてエンドレスベルト31の移動速度を決定すると、誤った移動速度を検出することになる。
次に、図6を参照して、補正処理の手順について説明する。図6に示したように、補正処理では、まず、第1及び第2位置において、第1及び第2検出器37A,37Bのそれぞれが検出した移動速度を確認する(S11)。これにより、エンドレスベルト31の両サイドエッジの速度差を算出することができる。次に、第1及び第2検出器37A,37Bのそれぞれが検出した移動速度をメモリ(RAM62)に記憶する(S12)。次に、S11で確認した移動速度と、前回の補正処理においてメモリに記憶した移動速度との差をそれぞれ算出する(S13)。なお、前回とは、例えば、図7(a)であれば、t1から算出された移動速度に対してt0から算出された移動速度のことをいう。
次に、算出した移動速度の差が、所定の範囲内であるか否かを判断する(S14)。移動速度の差が所定の範囲内である場合(S14:Yes)は、接続部37a1,37b1を検出していないとすることができる。あるいは、接続部37a1,37b1を検出しているとしても、それによる誤検出がほとんど生じない場合である。この場合には、その信号の補正を不要とし、補正処理は終了する。
接続部37a1,37b1を検出しているとしても、それによる誤検出がほとんど生じない場合とは、被検出部材37a,37bの接続部37a1,37b1において、白黒の繰返しピッチが維持された場合である。
被検出部材37a,37bの接続部37a1,37b1における白黒の繰返しピッチが残部と異なる場合には、ステップS14でノーとなる。この場合には、検出した信号波形を一つ前の信号波形で代用することによって誤検出を防止する(S15)。例えば、図7(b)であれば、t2が接続部37a1,37b1であるので、t2の代わりにt1を代用する。これにより、接続部37a1,37b1による信号の出力時間が一つ前の出力時間で補正されるので、図7(a)で示したような正常な信号波形となり、移動速度の誤検出が防止される。
また、第1接続部37a1により出力される信号を補正する場合には、第1被検出部材37aにより出力される信号に基づいて行われ、第2接続部37b1により出力される信号を補正する場合には、第2被検出部材37bにより出力される信号に基づいて行われる。その結果、エンドレスベルト31の両端の速度差が検出できないという問題は生じない。
図5に戻って印刷処理の説明を続ける。補正処理(S3)によってエンドレスベルト31のサイドエッジの速度V1、V2が検出されると、次いで、インク吐出処理が行われる(S4)。インク吐出処理では、第1及び第2検出器37A,37Bで検出したエンドレスベルト31のサイドエッジの速度V1、V2に基づいて、インクの吐出タイミングを決定する。図8、図9、図10を参照してインク吐出処理の制御について説明する。
図8は、インク吐出処理のフローチャートであり、図9は、第1及び第2位置の移動速度V1、V2に基づいて、各吐出ユニット4a,4b,4c,4d(図3参照)のインク吐出タイミングを決定した一例を示す。
図8に示すように、インク吐出処理では、まず、第1及び第2位置において第1及び第2検出器37A,37Bのそれぞれが検出した移動速度V1、V2の差を算出する(S21)。その移動速度の差は、エンドレスベルト31の厚みの不均一や、ローラ32a,32b(図1参照)の寸法誤差等に起因して生じる。
次に、算出した移動速度の差が第1規定値以下であるか否かを判断する(S22)。算出した移動速度の差が第1規定値以下であれば、即ち、エンドレスベルト31の移動速度が幅方向においてほぼ一様であれば(S12:Yes)、ノズルの幅方向の位置に基づいて、後記する基準タイミングを変える必要がなく、各吐出ユニット4a,4b,4c,4dに共通の基準タイミングを決定する(S23)。第1規定値は、あらかじめROM61(図2参照)に記憶されているが、操作パネル68(図2参照)を利用してユーザーが設定可能に構成してもよい。これにより、ユーザーが使用目的に応じて画像品質を選択することができる。
次に、吐出ユニット4a,4b,4c,4d毎に決定された基準タイミングと、イメージメモリ71(図2参照)に記憶されている画像データに基づいて、ノズル毎のインク吐出タイミングを決定し、決定されたインク吐出タイミングでインクを吐出させる駆動信号を生成する(S24)。生成された駆動信号は、ヘッド用ドライバ65(図2参照)に伝達され、ヘッド用ドライバ65は、各ノズルを駆動するアクチュエータに駆動信号を伝達する。各ノズルは、ノズル毎に決定されたタイミングでインクを吐出する。それによって、インク吐出処理が終了する。
S22の処理において、算出した移動速度の差が第1規定値以上であると判別される場合、即ち、第1及び第2位置の移動速度V1,V2の間に有意な差が確認されれば、エンドレスベルト31で搬送される印刷用シート22が傾斜していていると予測される。この場合には、ノズルの幅方向の位置に応じて、インクの吐出タイミングを補正することによって、シート22の傾斜を補償する必要がある。その場合には、移動速度V1,V2の差が第2規定値以下であるか否かを判断する(S26)。移動速度の差が第2規定値よりも大きい場合(S26:No)は、印刷用シート22の傾斜が大きすぎると予測されるので、引き続き印刷処理を行うことが困難であると判断し、インク吐出処理は終了する。この場合は、操作パネル68にエラー表示をしたり、スピーカー(図示せず)から警告音を発してユーザーに報知するようにすることが好ましい。これにより、ユーザーが印刷処理が正常に行われていないことを速やかに認識することができる。
一方、S26の処理において、算出した移動速度V1,V2の差が第2規定値以下であると判別されば(S26:Yes)、その移動速度の差に応じて、各吐出ユニット4a,4b,4c,4dの吐出タイミングを補正する。
図9を参照して、各吐出ユニット4a,4b,4c,4dの吐出タイミングの決定について説明する。ここでは、図4に例示したように、シート22の上端22aに平行なパターンを印刷するデータが、イメージメモリ71に記憶されている場合を取り上げる。
エンドレスベルト31の両サイドエッジの移動速度V1,V2が等しければ、図4の破線で示すように、シート22の上端22a−1と、ノズル列は平行であり、ノズルの幅方向の位置に応じて、インクの吐出タイミングを補正する必要はない。図9の左方に示すように、V1とV2が等しい場合、各吐出ユニット4a,4b,4c,4dから同時にインクを吐出する。
一方、図9の右方に示したように、v1よりもv2が遅い場合には、図4の実線で示すように、シート22の上端22a−2と、ノズル列は傾斜している。この場合は、傾斜の影響をキャンセルするために、第1吐出ユニット4aの吐出タイミングに対して、第2吐出ユニット4bの吐出タイミングをt/3だけ遅らせ、第3吐出ユニット4cの吐出タイミングを2t/3だけ遅らせ、第4吐出ユニット4dの吐出タイミングをtだけ遅らせる。時間tは、第1位置と第2位置における移動速度V1,V2の差、及び、第1位置と第2位置の距離から算出される。移動速度V1,V2の差が大きいほど大きなtを採用する。
実際には、インクジェットプリンタ1のROM61に基準速度V0が記憶されている。V0=V1>V2であれば、第1吐出ユニット4aの吐出タイミングを基準速度V0から計算し、第2吐出ユニット4bの吐出タイミングをt/3だけ遅らせ、第3吐出ユニット4cの吐出タイミングを2t/3だけ遅らせ、第4吐出ユニット4dの吐出タイミングをtだけ遅らせる。V1>V2=V0であれば、第4吐出ユニット4dの吐出タイミングを基準速度V0から計算し、第3吐出ユニット4cの吐出タイミングをt/3だけ早め、第2吐出ユニット4bの吐出タイミングを2t/3だけ早め、第1吐出ユニット4aの吐出タイミングをtだけ早める。
基準速度V0がV1とV2の間であり、かつ、V1よりもV2が遅い場合には、第1及び第2吐出ユニット4a,4bの吐出タイミングは基準速度V0によるときの吐出タイミングよりも早められ、第3及び第4吐出ユニット4c,4dの吐出タイミングは基準速度V0によるときの吐出タイミングよりも遅らせる。
図10は、印刷用シート100の上端108に対して角度αで傾斜している線分106を印刷する場合を示している。図10では、幅方向位置がW1とW2のノズルのインク吐出タイミングを決定する場合を示している。幅方向位置がW1のノズル105は、印刷用シート100の上端108から距離L1だけ離れたポイント110にインクを吐出することが必要であり、幅方向位置がW2のノズル107は、印刷用シート100の上端108から距離L2だけ離れたポイント112にインクを吐出することが必要である。ポイント101はペーパセンサ36の配置位置を示し、そこに印刷用シート100の上端108が到達すると、ペーパセンサ36の出力は反転する。図10の(B)から(E)のタイミングt0は、印刷用シート100の上端108がポイント101に到達し、ペーパセンサ36の出力が反転したタイミングを示している。ポイント101からノズル105,107が配置されている列までの縦方向(エンドレスベルトの移動方向)の距離はL0である。
図10(A)は、エンドレスベルトの移動速度が幅方向に一様であり、基準速度V0で移動している場合を示している。シート100は傾斜しない。この場合、タイミングt0からL0/V0が経過した時点で、印刷用シート100の上端108がノズル105,107の直下に到達する。印刷用シート100の上端108がノズル105,107の直下に到達する時刻を基準タイミングという。シート100が傾斜しなければ、基準タイミングはすべてのノズル105,107に対して共通する。(A)の場合、(C)に示すように、幅方向位置がW1のノズル105は、基準タイミングt0+L0/V0からL1/V0だけ経過したタイミングでインクを吐出すれば、印刷用シート100の上端108から距離L1だけ離れたポイント110にインクを吐出することができる。(B)に示すように、幅方向位置がW2のノズル107は、基準タイミングt0+L0/V0からL2/V0だけ経過したタイミングでインクを吐出すれば、印刷用シート100の上端108から距離L2だけ離れたポイント112にインクを吐出することができる。このようにして、印刷用シート100の上端108に対して角度αで傾斜している線分106を印刷することができる。
図10の(F)は、エンドレスベルトの上側のサイドエッジの移動速度V2であり、下側のサイドエッジの移動速度V1であり、V1>V2の場合を例示している。この場合、エンドレスベルトで搬送されるシート100は搬送中に傾斜してしまう。図(F)は、シート100が角度βだけ傾斜した場合を例示している。エンドレスベルトの幅方向に伸びる直線に対して、幅方向位置がW1の位置では、印刷用シート100の上端108が距離L3だけ離れ、幅方向位置がW2の位置では、印刷用シート100の上端108が距離L4だけ離れている場合を例示している。
この場合、タイミングt0からL0/V1が経過しても、印刷用シート100の上端108はノズル105の直下に到達しない。それからさらに、L3/V1が経過しないと、印刷用シート100の上端108はノズル105の直下に到達しない。印刷用シート100の上端108がノズル105の直下に到達する基準タイミングは、t0+L0/V1でなく、t0+L0/V1+L3/V1となる。同様に、タイミングt0からL0/V2が経過しても、印刷用シート100の上端108はノズル107の直下に到達しない。それからさらに、L4/V1が経過しないと、印刷用シート100の上端108はノズル107の直下に到達しない。印刷用シート100の上端108がノズル107の直下に到達する基準タイミングは、t0+L0/V2でなく、t0+L0/V2+L4/V2となる。印刷用シート100の上端108がノズルの直下に到達する基準タイミングは、幅方向位置によって補正しなければならない。
そうして補正した時刻に対して、印刷するべきパターンから計算される時間を加味すれば、傾斜したシートに印刷するべきパターンを印刷することができる。(E)に示すように、幅方向位置がW1のノズル105は、基準タイミングt0+L0/V1+L3/V1からL1/V1だけ経過したタイミングでインクを吐出すれば、印刷用シート100の上端108から距離L1だけ離れたポイント110にインクを吐出することができる。(D)に示すように、幅方向位置がW2のノズル107は、基準タイミングt0+L0/V2+L4/V2からL2/V2だけ経過したタイミングでインクを吐出すれば、印刷用シート100の上端108から距離L2だけ離れたポイント112にインクを吐出することができる。このようにして、角度βだけ傾斜している印刷用シート100の上端108に対して角度αで傾斜している線分106を印刷することができる。
本実施例では、第1位置での移動速度V1と、第2位置での移動速度V2を検出し、その速度差から、生じると予想されるシートの傾斜角βを予測する。速度差と傾斜角βの関係はROM61に記憶している。傾斜角βが判明すると、それから、シートの上端がノズルの直下に到達する基準タイミングを決定する。基準タイミングは、エンドレスベルトの幅方向の位置によって、異なってくる。基準タイミングが決定されると、それを基準にして実際の吐出タイミングを決定する。この段階では、プリントするべきパターンから吐出タイミングを決定する。本実施例によると、シートの傾斜による影響をキャンセルし、傾斜しないシートに印刷した場合と同じ印刷結果を得ることができる。
図13は、吐出タイミングを決定する別の例を示している。図13は、ノズルJ1〜J12を有するインクジェットヘッド132で、印刷用シート130に、点P1〜P12を印刷する場合を例示している。点P1,P8,P9は、印刷用シート130の先端からL1の距離であり、点P2,P3,P7,P10は、印刷用シート130の先端からL1+Lの距離であり、点P4,P5,P6,P11,P12は、印刷用シート130の先端からL1+2Lの距離である。
(A)は、搬送ベルトの幅方向の速度差がない場合を示している。t1は、距離Lと搬送速度から決定される時間差である。
(B)は、搬送ベルトの幅方向の速度差がある場合を示している。ここで時間tは、基準時間の補正量であり、第1位置と第2位置における移動速度V1,V2の差に対応してROM61に予め記憶されている。移動速度V1,V2の差が大きいほど大きなtが記憶されている。この実施例でも、基準時間の補正はノズルのグループ毎に行なう。図13では、ノズルJ1〜J3には補正せず、ノズルJ4〜J6はt/3だけ遅らせ、ノズルJ7〜J9は2t/3だけ遅らせ、ノズルJ10〜J12はtだけ遅らせる場合を例示している。基準時間を修正することで、印刷用シートの傾斜による影響を補正することができる。
t1は、距離Lと搬送速度から決定される時間差であるが、(B)の場合、搬送速度がV1からV2の間でばらついているので、正確に計算するためにはノズルの幅方向の位置によって変化させる必要がある。印刷用シートがインクジェットヘッド132の下方を通過する間にも傾斜角が変化していくので、印刷用シートの先端からの位置によって遅れ時間t1も修正しなければならないこともある。先端からの距離と、基準時間からの遅れ時間t1を単純に比例させることができない場合もある。しかしながら、多くの場合には、そこまで厳密な修正が要求されない。この場合は、(A)で計算したt1をそのまま用いればよい。
図13の例では、印刷用シートの先端から距離L1の点がノズルの直下に位置するタイミングが基準時間とされている。基準時間は様々な位置関係に設定することができる。
ここで図8に戻ってインク吐出処理の説明を続ける。S27の処理で、各吐出ユニットの基準タイミングを決定する。次に、吐出ユニット4a,4b,4c,4d毎に決定された基準タイミングと、イメージメモリ71に記憶されている画像データに基づいて、その画像データを印刷用シート22に印刷するための駆動信号を生成する(S24)。生成された駆動信号は、ヘッド用ドライバ65(図2参照)に伝達され、ヘッド用ドライバ65は、各ノズルを駆動するアクチュエータに駆動信号を伝達する。各ノズルは、ノズル毎に決定されたタイミングでインクを吐出する。それによって、インク吐出処理が終了する。
図5に戻って印刷処理の説明を続ける。S4のインク吐出処理が終了した後、n枚目の印刷が終了したか否かを判断する(S5)。印刷が終了していなければ(S5:No)、再度補正処理(S3)及びインク吐出処理(S4)を行い、n枚目の印刷が終了するまでこれらの処理を繰り返す。一方、n枚目の印刷が終了した場合には(S5:Yes)、nの値を1加算する(S6)。
次に、印刷処理する印刷用シート22の枚数Xとnとの値の大小を判断する(S7)。nの値が印刷処理する記憶媒体22の枚数Xよりも大きくなければ(S7:No)、1枚目と同様にS3からS6までの処理を繰り返す。一方、nの値が印刷処理する記憶媒体22の枚数Xよりも大きければ(S7:Yes)、記憶媒体22は全て印刷処理されたことになり、印刷処理は終了する。
次いで、図11を参照して第2実施例を説明する。第1実施例では、第1及び第2検出器37A,37B(図3参照)がいわゆるリニアエンコーダで構成されていたのに対し、第2実施例では、第1検出器137Aと第2検出器137B(第1検出器137Aの陰になっているために図示されていない)がいわゆるロータリエンコーダで構成されている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図11は、本発明の第2実施例のインクジェットプリンタ101の概略図である。第1及び第2検出器137A,137Bは、共通の構成を備えているので、以下では添え字A,Bを省略して共通に説明する。図11に示すように、円盤部材138がインクジェットプリンタの本体に回転自在に支持されている。円盤部材138の外周面は、エンドレスベルト31の上側の外表面に当接し、エンドレスベルト31の移動に追従して回転する。円盤部材138は、半径方向に伸びるスリット137aが周方向に繰返し形成されており、その円盤部材138を挟んで、図示しない発光及び受光手段が配設されている。受光手段が出力するハイ/ロー信号の繰返し周期から、エンドレスベルト31の移動速度を検出することができる。一対の円盤部材138が、エンドレスベルト31の幅方向の両端に配設されている。すなわち、第1及び第2検出器137A,137Bは、エンドレスベルト31の幅方向の両端に配設されている。第1及び第2被検出部材137a,137bを利用すると、被検出部材37a,37bを利用する必要がない。従って、接続部37a1,37b1が存在せず、補正手段(図5のS3)が不要となる。
以上、実施例を説明したが、本発明は上記実例に限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々に改良変形が可能である。
例えば、上記各実施例では、第1及び第2位置はエンドレスベルト31の幅方向の両端に位置する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものでなく、第1被検出部材37aと第2被検出部材37bが離間する距離がエンドレスベルト31の幅より狭くてもよい。
上記の実施例では、基準時間を修正することによって印刷用シートに生じた傾斜の影響を補償し、次いで印刷するパターンを考慮してインク吐出タイミングを決定している。その順を逆にしてもよい。すなわち、印刷するパターンを考慮してインク吐出タイミングを仮に決定し、その後に、印刷用シートの傾きを修正するのに必要な時間を考慮し、仮に決定しておいたタイミングを修正してもよい。両者は数学的に均等であり、同じ結果をもたらす。