JP2006130828A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 メニスカス近傍のインクの増粘を回復させる動作条件を適正化し、メンテナンスにおけるインク消費量の低減、インクの安定吐出、インクヘッドの長寿命化を実現する。
【解決手段】 非吐出期間におけるアンキャッピング時間を算出し(ステップS53)、次にステップS54において、予めメモリに格納されたアンキャッピング時間と必要微振動回数との関係と、ステップS53において算出されたアンキャッピング時間から、インク吐出前に必要となる微振動回数を導出し、微振動作業を実行する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、インクジェットヘッドのノズル開口部からインクを媒体に吐出させるインクジェット記録装置において、ノズル開口部に形成されたメニスカス近傍に滞留したインクの増粘を解消する技術に関するものである。
現在、インクジェット技術を利用した装置としては、例えば、記録紙等の記録媒体にインクを吐出して描画を行なうインクジェットプリンタや基板上に回路や配線、カラーフィルター等を形成する産業用装置等がある。
このようなインクジェットプリンタや産業用装置に用いられるインクジェットヘッドでは、インクジェットヘッドに対して描画に使用するインクを供給するインクジェットヘッドと互いに連通したインクタンクを備えている。ここで、インクジェットヘッドにはインクタンクとインクジェットヘッドとの水頭差に起因する圧力が作用する。まず、インクタンクがインクジェットヘッドよりも高い位置に配置されている場合は、相対的にインクジェットヘッドに水頭差に対応した正圧が印加されるため、ノズル開口部からインクが流出しない様、所定の負圧発生手段により適正な負圧が印加される。また、インクタンクがインクジェットヘッドよりも低い位置に配置されている場合は、相対的にインクジェットヘッドに水頭差に対応した負圧が印加されるため、インク開口部からエアを吸い込まない様、適正な位置にインクタンクが配置されており、共にヘッド内部に作用する圧力を適正化している。
上記のような圧力調整機構とインクの表面張力により、ノズル開口部でインクが保持されることでメニスカスが形成されており、キャッピング等によりノズル開口部が大気と遮断されている時を除いてメニスカスは大気と接触している。ここで「メニスカス」とは、ノズル開口において露出したインクの自由表面のことである。また、「キャッピング」とは、非描画時にインクジェットヘッドを大気と遮断することである。
この時、インク中に含まれる水や有機溶媒等の溶媒がメニスカスを通じて徐々に蒸発する。この溶媒の蒸発によりノズル開口部メニスカス近傍におけるインクの粘度が増加してしまい、インクの増粘に伴う吐出不良が問題となっている。より具体的には、このインクの増粘により、描画シーケンスにおけるインクの不吐出や1滴当たりの吐出量のばらつき、吐出速度の低下に伴う着弾精度の劣化等が生じ、画質の低下を招く。
インクジェットプリンタや産業用装置においては、このような不具合を防止する一手段として、ノズルからインクが吐出されない程度にメニスカスを微振動させる微振動動作を行なうことで、ノズル開口部近傍のインクを攪拌し、インクの増粘を解消している。この微振動動作は、例えば、ピエゾ素子等の圧力発生素子にインク吐出に用いる圧力発生パルスとは異なる微振動パルスを発信することで圧力室への微振動を生じさせている。
このような微振動動作は描画動作の前段階として行なわれ、インクジェットヘッドを移動させるキャリッジが描画領域に移動するタイミング、すなわち、キャリッジがキャリッジ加減速領域(図2参照)を移動中や、印字前の待機時間中に行なわれている。また、描画動作中においても、インクを吐出させないノズル開口に対して行なわれている。
上記の様な微振動動作における動作条件は、最もインクが増粘しやすい条件に基づいて設定されており、例えば吐出やメンテナンスが行なわれていない時間、いわゆる待機時間の長短に関わらず、最も待機時間が長い場合において正常吐出が保証される動作条件にて微振動動作が行なわれている。すなわち、待機時間が比較的短い場合でも、待機時間が長い場合と同じ条件で微振動動作が実施されており、必要以上の条件設定となっている。この様な場合、圧力発生素子の駆動回数が過剰となるため、インクジェットヘッドの寿命が短くなったり、ヘッド内の温度上昇が招くインク粘度の変化に伴う吐出速度や吐出体積の変動により、画質が低下する恐れがある。
上記の問題を解決するために、例えば特許文献1では、前回の回復動作から吐出データ受信終了までの時間、すなわち、ノズル開口部分の液体の増粘を回復させる回復手段の前回の作動終了時から1回の主走査方向の移動に対応する噴射データの受信終了時までの時間、または印字スキャン間のヘッドの待機時間、すなわち、ヘッド部材が主走査方向に移動して再び待機ポジションに戻った時から1回の主走査方向の移動に対応する噴射データの受信終了時までの時間に基づいて、フラッシング動作におけるフラッシングショット数や微振動動作における微振動回数を設定することにより、インクの吐出特性を良好に維持するための増粘防止動作を効率的に行なう技術が開示されている。この技術によれば、ノズル開口内の液体の状態に応じて無駄の無い回復動作が行なえるため、圧力発生素子の寿命を延ばすことができる旨記載されている。
なお特許文献1では、フラッシング動作は、記録領域外で、記録ヘッドからインク受け部材に向けて強制的にインクを排出させる動作である。フラッシング動作を行なうと、ノズル開口付近の増粘したインクが記録ヘッドの外に排出され、良好な状態のインクに置換される。微振動動作は、インク滴を吐出させない程度に圧力室を圧力変動させてメニスカスを微振動させる動作である旨記載されている。また、計測タイマが計測する上記時間に基づいて、キャップ部材をヘッド部材に当接させるキャッピングが記載されている。たとえば、記録ヘッド4の待機時間が所定のキャッピング時間(例えば20秒間)を越えた場合に制御部は、キャッピングを指示するとしている。
また、上記のような微振動動作を補助的な用途で使用している技術も開示されており、特許文献2では、メニスカス近傍の液体が不均一な増粘状態となっている場合に、メニスカス近傍の液体を微振動させた後に、フラッシングを行ない、メニスカス近傍の液体が不均一な増粘を生じていないと判断した場合に、微振動させることなく、直接フラッシングを行なう。メニスカス近傍のインクに不均一な増粘が生じている状態でフラッシングを行なうと、メニスカスの挙動が不安定となったり、ノズル開口から適切な方向へインクが吐出されなかったり、ノズル開口内に気泡が取り込まれてしまったりする場合があり好ましくない。一方、不均一増粘状態からインクの増粘が更に進行して、メニスカス近傍のインク全体の粘度が略均一化されると、フラッシング時におけるメニスカスの挙動は比較的安定したものとなり、フラッシングのみによって、ノズルのインク吐出能力を適切に回復させることができるようになる。そして、インクの増粘が更に進行すると、フラッシングでは十分に対応することができなくなり、ノズルのインク吐出能力を回復させるためにはクリーニングが必要となる。
計測された印刷の停止時間が所定の不均一増粘発生印刷停止時間に該当する場合や計測されたキャッピング時間が所定の不均一増粘発生キャッピング時間に該当する場合には、メニスカス近傍の液体に不均一な増粘が生じていると判断する。メニスカス近傍の液体に「不均一な増粘」が生じている状態とは、メニスカス近傍の液体のうち、一部分のみが他の部分よりも増粘しており、メニスカス近傍の液体全体が不均一な粘度を有する状態を意味し、メニスカス近傍の液体に「略均一な増粘」が生じている状態とは、メニスカス近傍の液体全体が増粘しており、メニスカス近傍の液体全体が略均一な粘度を有する状態であって、ノズル内の増粘した液体を除去するためにフラッシングで十分に対応することができる状態を意味する。
なお、「フラッシング」は、例えば圧電振動子に印刷データと無関係の駆動信号を印加して、ノズル開口周辺の増粘したインクを印刷前に予め吐出させることにより、ノズルのインク吐出能力を回復させるものである。また、「クリーニング」は、上記「フラッシング」ではノズルのインク吐出能力を十分に回復させることができない場合に行なわれるもので、ノズルに対して吸引ポンプで負圧を与えることにより、ノズル内や圧力発生室内等における増粘したインクを、予め強制的に吸引するものである。インクの増粘に起因する種々の不都合を解消するために、「フラッシング」や「クリーニング」といった動作を実行させることにより、増粘したインクをノズルから排出して、ノズルのインク滴吐出能力を回復させることが広く行なわれている。以上が特許文献2に記載されている。
本発明がいう増粘インクを捨て吐出する「パージング(パージング動作)」とは、上記特許文献2の「フラッシング」、「クリーニング」を含む意であるが、通常は「クリーニング」よりも「フラッシング」を意味することが多い。クリーニングは、吸引ポンプで強制的にインクを吸引するものであることから、フラッシングに比べて、消費するインク量が多くなる。従って、印刷に使用できる有効インク量を増やすとともに廃液容積を少なく抑えるという観点からは、フラッシングによってインク滴吐出能力を回復させることが好ましく、フラッシングを可能な限り効果的に行なうことが望まれているからである。
特開2001−180010 特開2004−42314
しかしながら、メニスカス近傍におけるインクの増粘の進行は、メニスカスと大気との接触時間に律速するものであり、メニスカスが大気と接触する時間とは、厳密に言えば前述したようにキャッピング等のメンテナンス時やインク吐出時を除いた期間で計算されるものである。従って、特許文献1に記載の技術では、最終回復動作から吐出データ受信終了までの経過時間、あるいは印字スキャン間の待機時間を管理したものであるため、これらの時間にキャッピング等の大気遮断過程が含まれている場合、その期間も経過時間として累積され、正確な経過時間の管理が行なわれていないこととなり、経過時間に対応した微振動回数が最適でなくなってしまう。よって、必要以上に微振動動作を行なうこととなり、ヘッド寿命が短くなったりヘッド内部の温度上昇を招く。
さらに、特許文献1では、インクの増粘を解消させるメンテナンス動作としてフラッシング動作、微振動回数を記載しているが、増粘したインクを印刷前に予め吐出させるフラッシング動作におけるインク滴の吐出回数(フラッシングショット数)を減らし、微振動動作にて代替できる分は微振動動作に代替させて排出されるインクの量を必要最低限の量で済ませる思想については記載されていない。
また、特許文献2に記載の技術は、フラッシング前のインク増粘の不均一さを解消する技術であり、インクの増粘を回復させる手段としてフラッシングを行なうことを前提としたものであるため、微振動動作のみでも増粘を回復できる条件においても、必要以上にインクを消費してしまうといった問題がある。
また、特許文献2に、メニスカス近傍の液体に不均一な増粘が生じているか否かの判断を印刷が停止している時間の計測や、ノズル形成面がキャッピング手段により封止されているキャッピング時間の計測で行なうことが記載されている。しかしこの特許文献2では、単に印刷が停止している時間とキャッピング時間とでは、ノズル開口部に形成されたメニスカス近傍のインクが外気と接触することによって生じる増粘の進行が異なるために、メニスカス近傍の液体に不均一な増粘が生じているか否かの判断に用いる時間をそれぞれ別に設定したものである。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェットヘッドのノズル開口部からインクを媒体に吐出するインクジェット記録装置において、ノズル開口部に形成されたメニスカス近傍に滞留したインクの増粘を、より効率的な微振動動作により回復させることにある。
本発明は特許文献1に記載の技術をさらに発展させ、印刷が停止している時間をキャッピング時とアンキャッピング時に区別し、増粘インクを捨て吐出する「パージング動作」(特許文献1、特許文献2における「フラッシング」)回数を大幅に低下させ、最適な「微振動動作」回数を実現することで、「パージング動作」で排出されるインクの量を必要最低限の量で済ませる。このため、記録に使用できるインクの量を増やすことができる、すなわち、インクカートリッジに充填された限られた量のインクでより多くの記録を行なわせることができる。さらに、圧力発生素子の駆動回数が最適回数となるため、インクジェットヘッドの寿命を長くすることを達成せんとするものである。
この発明のある局面に係るインクジェット記録装置においては、所定の駆動パルスを印加することにより、メニスカスが形成されたノズル開口部よりインクを吐出させて記録媒体に描画を行なうインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを搭載し、描画領域と非描画領域との間を往復移動するキャリッジと、前記メニスカス近傍に滞留したインクの増粘を回復させる回復手段と、非描画時に前記インクジェットヘッドを大気と遮断するキャッピング動作を行なうためのキャッピング手段とを備えたインクジェット記録装置において、
直前のインク吐出動作終了時からの経過時間のうち、前記キャッピング手段による前記キャッピング動作が行なわれていない時間であるアンキャッピング時間を特定するための時間計測処理を行なう時間計測手段と、
前記時間計測手段の計測結果により特定される前記アンキャッピング時間に基づいて前記回復手段を制御する制御手段とを備える。
このようにメニスカス近傍に滞留したインクとインクの増粘を引き起こす大気との接触時間を詳細に管理し、接触時間に基づいて必要最小限の回復動作を行なうことにより、より効率的な増粘対策が実現できる。より詳細には、回復動作のタクトタイム短縮化、ヘッド寿命の増加、インク消費量の低減、等が期待できる。
前述のインクジェット記録装置においては、インク吐出信号を受信する吐出信号受信手段をさらに備え、前記時間計測手段が時間計測を開始する時点となる前記直前のインク吐出動作終了時の直前のインク吐出動作には、増粘インクを捨て吐出するパージング動作が行なわれた場合の該パージング動作を含むものとし、前記時間計測手段は、前記直前のインク吐出動作終了時から前記吐出信号受信手段がインク吐出信号の受信を終了する時までの間で、前記アンキャッピング時間を特定するための時間計測処理を行なう。
このようにパージング動作が行なわれた場合には、このパージング動作を含めた直前のインク吐出動作終了時からインク吐出信号の受信終了時までの間でアンキャッピング時間を計測ないし算出することで、メニスカス近傍のインクが大気に触れインクの増粘が進むアンキャッピング時間をより正確に把握することができる。
前述のインクジェット記録装置においては、前記回復手段は、前記インクジェットヘッドに内蔵された圧力発生素子に、前記ノズル開口部よりインクが吐出しない程度に微少な圧力変動を生じさせる駆動パルスを印加して前記メニスカス近傍のインクを微振動させる微振動印加手段である。このようにメニスカス近傍に滞留したインクの増粘回復動作として、インクを吐出させずにメニスカスを微振動させることにより、無駄なインク消費を伴わず、より効率的に吐出不良を改善できる。
前述のインクジェット記録装置においては、前記制御手段が前記微振動印加手段により前記メニスカス近傍のインクの微振動を開始させるタイミングは、前記吐出信号受信手段がインク吐出信号の受信を終了した直後である。このように微振動を開始させるタイミングは、インク吐出信号の受信が終了した直後であるから、より適正な条件にて微振動を行なうことができる。また、タイムロスを抑えることができ、タクトタイムの短縮にも繋がる。
前述のインクジェット記録装置においては、前記微振動印加手段による微振動終了後は、前記制御手段は他の制御を一切行なわず、微振動終了直後に前記インクジェットヘッドよりインクの吐出動作を開始させる。このように微振動終了直後に吐出動作が開始されることにより、微振動後のインク増粘を防ぐことができる。また、タイムロスを抑えることができ、タクトタイムの短縮にも繋がる。
前述のインクジェット記録装置においては、前記制御手段は、前記微振動印加手段による前記圧力発生素子の微振動回数を制御する。このように圧力発生素子の微振動回数を制御することで、効率的な増粘対策が実現できる。より詳細には、回復動作のタクトタイム短縮化、ヘッド寿命の増加、インク消費量の低減、等が期待できる。
前述のインクジェット記録装置においては、管理すべきデータを記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、前記記憶手段に予め定められ記憶されている、前記アンキャッピング時間とインクの増粘を回復させるのに必要な微振動回数である必要微振動回数との関係に基づき、前記アンキャッピング時間より前記必要微振動回数を導出し、該導出された必要微振動回数以上の回数にて前記微振動印加手段が前記メニスカス近傍のインクを微振動させる。このように予め必要微振動回数が定量化されているため、より効率的な微振動動作が可能となる。
前述のインクジェット記録装置においては、管理すべきデータを記憶する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、前記記憶手段に予め定められ記憶されている、前記アンキャッピング時間とインクの増粘を回復させるのに必要な微振動回数である必要微振動回数との関係に基づき、前記アンキャッピング時間より前記必要微振動回数を導出し、該導出された必要微振動回数にて前記微振動印加手段が前記メニスカス近傍のインクを微振動させる。このように微振動回数を必要最低限に抑えることができるため、ヘッドへの負荷が軽減でき、ヘッドの長寿命化が可能となる。
前述のインクジェット記録装置においては、管理すべきデータを記憶する記憶手段をさらに備え、前記記憶手段は前記吐出信号受信手段が受信したインク吐出信号に基づくノズル毎のインク吐出データを記憶しており、前記時間計測手段が該記憶されているノズル毎のインク吐出データに基づいて前記アンキャッピング時間を特定し、該特定されたアンキャッピング時間に基づいて前記制御手段はノズル毎に前記回復手段を制御する。このようにノズル毎に時間計測を行なうことで印字作業におけるノズルの使用頻度に応じて回復動作を制御できるため、各ノズル間のインク増粘度合いの差異を抑える事ができ、着弾ばらつきやインク吐出量のばらつきを防げるため、画質の安定化が図れる。
前述のインクジェット記録装置においては、前記インクジェットヘッドは、前記キャッピング動作を解除する直前、または解除した後に、少なくとも1回は前記パージング動作を行なう。このようにキャッピング動作が解除する直前、または解除した後に、パージングを行なうことで、キャッピング動作において、万が一、キャッピング部のインクジェットヘッドが接触する箇所に取り付けられたゴム等の弾性部材と、インクジェットヘッドとの接触部でリークが発生し、キャッピング中にも関わらずメニスカスと大気が接触する状態が発生した際でも、パージング動作により増粘インクを捨て吐出するため、リークによるインク増粘の影響を回避でき、より信頼性の高い回復動作が可能となる。
この発明の他の局面に係るインクジェット記録装置においては、所定の駆動パルスを印加することにより、メニスカスが形成されたノズル開口部よりインクを吐出させて記録媒体に描画を行なうインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを搭載し、描画領域と非描画領域との間を往復移動するキャリッジと、前記インクジェットヘッドに内蔵された圧力発生素子に前記ノズル開口部よりインクが吐出しない程度に微少な圧力変動を生じさせる駆動パルスを印加して前記メニスカス近傍のインクを微振動させる微振動印加手段により、前記メニスカス近傍に滞留したインクの増粘を回復させる回復手段と、非描画時に前記インクジェットヘッドを大気と遮断するキャッピング動作を行なうためのキャッピング手段とを備えたインクジェット記録装置において、インク吐出信号を受信する吐出信号受信手段と、直前のインク吐出動作終了時から前記吐出信号受信手段がインク吐出信号の受信を終了する時までの間で、前記キャッピング手段による前記キャッピング動作が行なわれていない時間であるアンキャッピング時間を特定するための時間計測処理を行なう時間計測手段と、前記時間計測手段が時間計測を開始する時点となる前記直前のインク吐出動作終了時の直前のインク吐出動作には増粘インクを捨て吐出するパージング動作が行なわれた場合の該パージング動作を含み、前記時間計測手段の計測結果により特定される前記アンキャッピング時間に基づいて前記回復手段を制御する制御手段とを備える。
このようにメニスカス近傍に滞留したインクとインクの増粘を引き起こす大気との接触時間を詳細に管理し、接触時間に基づいて必要最小限の回復動作を行なうことにより、より効率的な増粘対策が実現できる。より詳細には、回復動作のタクトタイム短縮化、ヘッド寿命の増加、インク消費量の低減、等が期待できる。
本発明に係るインクジェット記録装置では、以上のように、パージング動作が行なわれた場合には、該パージング動作を含む直前のインク吐出動作終了時以降のアンキャッピング時間に応じて回復手段を制御させることで、大気に直接触れないキャッピング時の待機時間は差し引かれ、必要最低限の効率的な回復動作が行なえるため、タクトタイム短縮化、ヘッド寿命の増加、インク消費量の低減、という効果を奏する。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、メニスカス近傍に滞留したインクの増粘回復動作においてインク消費を伴わないため、無駄なインク消費を抑えることができるという効果を奏する。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、インク吐出信号の受信が終了した直後にメニスカス近傍のインクの微振動を開始させ、微振動終了直後に吐出動作を開始させることにより、より適正な条件にて微振動が行なわれると共に、微振動後のインク増粘を防ぐことができる。またタクトタイムの短縮にも繋がる。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、予め必要微振動回数が定量化されているため、より効率的な微振動動作が可能となる。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、微振動回数を必要最低限に抑えることができるため、ヘッドへの負荷が軽減でき、ヘッドの長寿命化が可能となる。
また、本発明に係るインクジェット記録装置は、ノズル毎に時間計測を行ない、ノズルの使用頻度に応じて回復動作を制御するため、着弾ばらつきや吐出量ばらつきを抑えられるという効果を奏する。
また、本発明に係るインクジェット記録装置では、ヘッドのキャッピングにおいて万が一リークが発生していたとしても、キャッピング解除する直前、または解除した後に、パージング動作を行なうことで、その不具合動作中の影響を回避できるため、回復動作の信頼性を向上できるという効果を奏する。
本発明の実施の形態について、図1乃至図5に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明に係る実施の一形態を示すインクジェット記録装置1の主要な構成の概要を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態のインクジェット記録装置1は、主としてインクジェットヘッド4と、描画に使用するインクを貯留する図示しないインクタンクとインクタンクからインクジェットヘッド4に対してインク供給する図示しないインク供給系を含み、インクジェットヘッド4を搭載したヘッドユニット3と、ヘッドユニット3を搭載し、ヘッドユニット3を描画領域とメンテナンス領域を含む非描画領域との間でヘッド移動用スライダ5に沿って往復移動するキャリッジ2と、インクジェットヘッド4によって描画が行なわれる記録媒体7を吸着保持し、記録媒体移動用スライダ11に沿って、キャリッジ2の移動方向と直交する方向に往復移動する記録媒体保持ステージ6と、インクジェットヘッド4の吐出状態を安定化するメンテナンス機構を搭載したメンテナンスステージ8と、メンテナンスステージ8に搭載されたメンテナンス機構として、非描画時にインクジェットヘッド4を外気と遮断するキャッピング動作を行なうキャッピングユニット9と、ワイピングブレードを走査することによりインクジェットヘッド4のノズル表面をクリーニングするワイピングユニット10とを備えている。ここで、メンテナンスステージ8はキャリッジ2の移動方向と直交する方向に往復移動するメンテ用スライダ12に搭載されており、メンテナンスステージ8は、インクジェットヘッド4をキャッピングする際にはインクジェットヘッド4の直下にキャッピングユニット9が位置するようにメンテ用スライダ12により移動され、インクジェットヘッド4をワイピングする際にはインクジェットヘッド4の直下にワイピングユニット10が位置するようにメンテ用スライダ12により移動され、所望のヘッドメンテナンスが行なわれる。
インクジェットヘッド4による記録媒体7への描画は、キャリッジ2あるいは記録媒体保持ステージ6を規定の速度で移動させながらインクジェットヘッド4からインクを吐出させて行なう。また場合によっては、キャリッジ2と記録媒体保持ステージ6を同時にそれぞれ規定の速度で移動させながらインクジェットヘッド4からインクを吐出させることによって描画を行なう。
次に、ヘッドメンテナンスについて詳細に説明する。まずキャッピングについて説明すると、インクジェットヘッド4の直下にメンテナンスステージ8が配置される位置までキャリッジ2が移動し、次にインクジェットヘッド4の直下にキャッピングユニット9が配置される位置までメンテナンスステージ8を移動させる。ここでキャッピングユニット9は図示しないエアシリンダに搭載されており、エアシリンダが上昇することによりキャッピングユニット9は上昇し、インクジェットヘッド4におけるノズル周囲の平面と、キャッピングユニット9に取り付けられた図示しないゴム等の弾性部材からなるキャップ部材とが密着することによりキャッピングが行なわれる。
キャッピングユニット9のキャップ部材は、ゴム等の弾性部材を上面が開放した略四角形トレー状に成型した部材であり、内部にはフェルト等の保湿材が取り付けられている。インクジェットヘッド4がキャップ部材により封止されることで、キャップ内部が高湿度に保たれて、インクジェットヘッド4からのインク溶媒の蒸発が防止される。キャッピング状態では、インクを含浸させた保湿材によってキャップ内部の湿度が高められるため、インクジェットヘッド4からのインク溶媒の蒸発が防止される。これにより、インクジェットヘッド4内のインク濃度が過剰に上昇してしまうことを防止できる。なお、パージング動作を含む直前の吐出動作終了から最新のインク吐出信号の受信終了時までの時間、印字スキャン間のヘッドの待機時間で所定時間(例えば20秒間)が経過すれば、キャッピングが行なわれる。
なお、キャッピングが行なわれる前、より詳しくはキャッピングユニット9が上昇してインクジェットヘッド4とキャッピングユニット9に取り付けられた弾性部材からなるキャップ部材とが密着する前に、キャッピングユニット9の内部は事前に大気開放されており、キャッピング時にインクジェットヘッド4のノズル開口部に形成されたメニスカスに対して急激な圧力変動が生じない制御が為されている。なお、キャッピングが解除される時も同様に、キャッピングユニット9が下降する際に、事前にキャッピングユニット9の内部は大気開放される。
次に、ワイピングについて説明する。まずインクジェットヘッド4の直下にメンテナンスステージ8が配置される位置までキャリッジ2が移動し、次に予め設定された所定のワイピング開始位置までメンテナンスステージ8を移動させる。ここでワイピングユニット10は図示しないエアシリンダに搭載されており、エアシリンダが上昇することにより、ワイピングユニット10の先端に設けられている、図示しないワイピングブレードの先端とインクジェットヘッド4の高さが所望の相対位置関係になる。その後、予め設定された所望のワイピング終了位置までメンテナンスステージ8を移動させることにより、インクジェットヘッド4のワイピングが行なわれる。ここで、メンテナンスステージ8がワイピング開始位置からワイピング終了位置へと移動を開始する前に、図示しない加圧手段もしくはインクタンクとインクジェットヘッド4との水頭差に起因する相対加圧によりノズルより所定量のインクを排出させ、ノズル表面がウェットな状態を以ってワイピングブレードを走査させることがより好ましい。
図2は、本発明に係る実施の一形態を示すインクジェット記録装置1を正面から見た概略模式図である。通常、インクジェットヘッド4は非描画時にはメンテナンス領域に位置しており、キャッピングユニット9によりキャッピングされた状態であり、インクジェットヘッド4に対して吐出信号が入力された場合に、キャッピング状態が解除(以後アンキャッピングと称する)され、キャリッジ2がキャリッジ加減速領域を経由して描画領域へと移動し、描画が行なわれる。なお、キャリッジ2が描画開始位置に移動した後、描画開始前にインクジェットヘッド4に内蔵された、図示しない圧力発生素子に対してノズル開口部よりインクが吐出しない程度に駆動パルスを印加し、ノズル開口部に形成されたメニスカスを微振動させる微振動工程が実行され、メニスカスが外気と接触することにより発生するインクの増粘を回復させる。
上記で説明したような構成および制御過程を有した上記インクジェット記録装置1において、吐出前に行なう微振動回数を同一とした場合、パージング動作を含む最終吐出終了以後で、最新の吐出を行なう直前までのキャッピングが行なわれていない時間(以後アンキャッピング時間と称する)によってインクの増粘度合いが異なり、インクジェットヘッド4から記録媒体7にインクを吐出させた際の記録媒体7上における着弾ずれに差異が現れることが判った。これを示したのが図3である。図3において、tは最終吐出終了以後におけるアンキャッピング時間を示している。図3から判るように、アンキャッピング時間が増加するにつれて、同一微振動回数における着弾ずれが大きくなる。これはノズル開口部に形成されたメニスカス近傍のインクが外気と接触することによって生じる増粘の進行が、アンキャッピング時は外気との接触時間の増加に伴ってキャッピング時よりも程度を増すためと考えられる。
以上より、アンキャッピング時間に応じて微振動回数を制御し、インクの増粘を抑えることにより、安定したインク吐出が可能になると考えられる。ここで、図3において、各アンキャッピング時間に対して着弾ずれが略0となる最少微振動回数を抽出し、アンキャッピング時間と必要微振動回数との関係をグラフ化したものが図4である。従って、各アンキャッピング時間に対して図4における実線上の微振動回数が最低限必要な微振動回数となる。
図4に基づいて、インク吐出直前に複数のアンキャッピング時間に対してそれぞれの必要微振動回数よりも多い回数で微振動を実施したところ、インクの着弾ずれは発生せず、微振動回数の制御による効果が確認できた。以上より、アンキャッピング時間に応じて微振動回数を制御することで、インクの増粘を抑えることができ、安定したインク吐出が可能になることが判った。
ここで、設定する微振動回数は図4における必要微振動回数と一致することが好ましい。なぜならば、微振動回数を必要以上に増加させると圧力発生素子からの発熱が過剰となる恐れがあり、これに起因してヘッド内部の温度が上昇し、インクの粘度が変化するからである。従って、結果としてインク1滴当たりの吐出量が変化し、画質の劣化を招く恐れがある。また、圧力発生素子の駆動回数が過剰となることから、素子に掛かる負荷が大きくなり、結果としてヘッドの寿命が低下する。
図5は、上記で説明した微振動制御を含めた印字工程のフロー図である。図5に基づいて、インクジェット記録装置1における印字過程を説明する。まず所定の描画実行コマンドが受信(ステップS50)され、インクジェットヘッド4が搭載されたキャリッジ2が描画開始位置に移動する(ステップS51)。キャリッジ2が停止した後、最新の吐出信号が受信され(ステップS52)、アンキャッピング時間が算出される(ステップS53)。ここでは、予め最終の吐出完了信号を受信したタイミングでタイマーがスタートしており、最新の吐出信号の受信が終了したタイミングでタイマーがストップすることで、この間の非吐出時間を算出する。また、この非吐出期間におけるキャッピング時間を別途計測しており、「非吐出時間−キャッピング時間」により非吐出時間中のアンキャッピング時間を算出する。次にステップS54において、予めメモリに格納されたアンキャッピング時間と必要微振動回数との関係と、ステップS53において算出されたアンキャッピング時間から、インク吐出前に必要となる微振動回数を導出し、ステップS55においてステップS54にて導出された回数で微振動を実行する。
なお、キャッピング状態では、インクを含浸させた保湿材によってキャップ内部の湿度が高められるため、インクジェットヘッド4からのインク溶媒の蒸発が防止されるとしているが、より精密に制御したい場合は、キャッピング時間も考慮して、アンキャッピング時間と必要微振動回数との関係から導出された微振動回数にキャッピング時間により判定される予めメモリに格納されている必要微振動回数を加味するとか、アンキャッピング時間とキャッピング時間とによる複合の必要微振動回数予めメモリに格納しておき、計測(算出)されたアンキャッピング時間とキャッピング時間とこの複合の必要微振動回数との関係により実行する微振動回数を決定することにしてもよい。
その後ステップS56において、描画を開始する。なお、微振動を行なうタイミングは最新の吐出信号を受信した直後であることが好ましい。なぜならば、アンキャッピング時間は最新のインク吐出信号の受信終了時までの時間が計測(算出)されるものであり、吐出信号の受信から微振動動作までの間にインターバルが存在すると、その間でインクの増粘が発生するからである。またタイムロスを招くため、タクトタイムの増加にも繋がってしまう。
また、微振動が終了した後には他の制御は一切行なわず、微振動終了直後にインクジェットヘッド4よりインク吐出が開始されることが好ましい。なぜならば、微振動終了から吐出開始までの間にインターバルが存在すると、その間でインクの増粘が発生し、安定した吐出が得られなくなるからである。またタイムロスを招くため、タクトタイムの増加にも繋がってしまう。
また、アンキャッピング時間に基づいて微振動を制御するプロセスは、ノズル毎に行なうことがより好ましい。なぜならば、描画パターンによって、各ノズルでインク吐出タイミングや吐出頻度が異なるため、微振動回数の導出基準となる非吐出期間におけるアンキャッピング時間がノズルによって違ってくるからである。ここで、仮に全ノズルに対して同一回数の微振動を行なうと、ノズル毎にメニスカス近傍のインク粘度に差異が生じ、着弾精度にばらつきが発生したり、インク吐出量にばらつきが発生したりして、画質が低下する恐れがある。
また、インクジェットヘッド4はアンキャッピング動作を行なう直前、またはアンキャッピングが行なわれた後に少なくとも1回は、規定の位置において増粘インクを強制的に吐出させるパージング動作を行なうことが好ましい。なぜならば、キャッピングの際に、インクジェットヘッド4とキャッピングユニット9に取り付けられた密閉用の弾性部材との接触界面において、万が一リークが発生した場合、ノズル開口部に外気が流入してメニスカス近傍のインク増粘が進行してしまうため、本来のキャッピングの役目を果たさなくなってしまうからである。なお、「パージング(パージング動作)」とは増粘インクを捨て吐出することであり、「背景技術」欄で説明した「フラッシング」、「クリーニング」を含む意である。また、上述した「規定の位置」とは、メンテナンス領域のパージング動作を行なうことができる所定の位置という意味である。
ここで、インクジェットヘッド4と弾性部材との接触界面においてリークが発生する要因としては、インクジェットヘッド4における前記接触界面に、ワイピング等によるインクの拭き残しが発生した場合に、拭き残されたインクが経時的に乾燥して凸凹が形成されたり、インクジェットヘッド4表面に拭き残されたインクがキャッピング動作によりキャッピングユニット9の弾性部材に転写され、これが乾燥することによって同様に凸凹が形成されたりすることで、前記接触界面にて密閉性が失われることが考えられる。
一方で、微振動回数の導出基準となるアンキャッピング時間は、キャッピング時間を除いた時間で算出されるため、計測手段によって計測(算出)されるアンキャッピング時間と、上記キャッピング不良が生じた際にメニスカスが外気と接触している時間とで整合が取れなくなり、微振動回数導出ステップS54において導出された微振動回数で微振動を実行しても、十分な粘度回復ができず、安定したインク吐出ができなくなる恐れがある。
そこで、この様な不具合の影響を回避するために、キャッピング動作を解除する直前、もしくはキャッピング動作を解除した後にパージング動作を行なうことにより、キャッピング不良に伴う非吐出期間におけるアンキャッピング時間の不整合を解消でき、正確な微振動回数にて適切な微振動動作を行なうことが可能となり、結果として安定したインク吐出が可能となる。
なお、キャッピング動作を解除する直前にパージング動作を行なうといっても、キャッピング動作を解除する時は、キャッピングユニット9が下降する際に、急激な圧力変動が生じないように事前にキャッピングユニット9の内部は大気開放される制御が為されていることにより、インクジェットヘッド4とキャッピングユニット9に取り付けられた弾性部材からなるキャップ部材とが密着した状態であって、増粘インクを捨て吐出できない状態でパージング動作を行なうものではない。また、たとえキャップ部材で密着した状態であっても、吐出されるインクをキャップ部材内部のフェルト等の保湿材が受け入れる構造にすることも考えられる。
また、キャッピング動作を解除する直前にパージング動作を行なうとしたのは、本来キャッピング状態では、インクを含浸させた保湿材によってキャップ内部の湿度が高められるため、インクジェットヘッド4からのインク溶媒の蒸発が防止されるとしているからであり、万一キャッピング不良があったとしても、早めにパージング動作を行なう方がパージング動作を行なうときのインクの増粘度合は低いと判断されるからである。
さらに、パージング動作を行なった後にインクジェットヘッド4のワイピングを行なうことにしてもよい。万一、パージング動作だけでは、インクが経時的に乾燥して形成された凸凹が残っている可能性も考えられるからである。
なお、本発明において「インクジェット記録装置」とは、インクを貯蓄するインクタンクと、インクを調節しながら吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを移動させるキャリッジと、インクジェットヘッドのキャッピングを行なうキャッピングユニットとを備え、キャリッジに備えられたインクジェットヘッドが走査を行なうと共に媒体に対してインクを吐出するものを指し、その他の構成については特に限定されるものではない。ここで「インク」とは、紙等の記録媒体に対して印字又は描画を行なうものに限定されるものではなく、流体一般を指す。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のインクジェット記録装置は、紙等の記録媒体に記録を行なうインクジェット記録装置や基板上に配線やカラーフィルター等を形成する産業装置を含む生産装置等に適用できる。
本発明の実施の一形態によるインクジェット記録装置の主要構成の概略斜視図である。 インクジェット記録装置を正面から見た概略模式図である。 各アンキャッピング時間における微振動回数と記録媒体上の着弾ずれとの関係の一例を示す図である。 アンキャッピング時間と必要微振動回数との関係の一例を示す図である。 描画開始前に実施する微振動制御を含めた印字工程のフロー図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置、2 キャリッジ、3 ヘッドユニット、4 インクジェットヘッド、5 ヘッド移動用スライダ、6 記録媒体保持ステージ、7 記録媒体、8 メンテナンスステージ、9 キャッピングユニット、10 ワイピングユニット、11 記録媒体移動用スライダ、12 メンテ用スライダ。

Claims (11)

  1. 所定の駆動パルスを印加することにより、メニスカスが形成されたノズル開口部よりインクを吐出させて記録媒体に描画を行なうインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを搭載し、描画領域と非描画領域との間を往復移動するキャリッジと、前記メニスカス近傍に滞留したインクの増粘を回復させる回復手段と、非描画時に前記インクジェットヘッドを大気と遮断するキャッピング動作を行なうためのキャッピング手段とを備えたインクジェット記録装置において、
    直前のインク吐出動作終了時からの経過時間のうち、前記キャッピング手段による前記キャッピング動作が行なわれていない時間であるアンキャッピング時間を特定するための時間計測処理を行なう時間計測手段と、
    前記時間計測手段の計測結果により特定される前記アンキャッピング時間に基づいて前記回復手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. インク吐出信号を受信する吐出信号受信手段をさらに備え、
    前記時間計測手段が時間計測を開始する時点となる前記直前のインク吐出動作終了時の直前のインク吐出動作には、増粘インクを捨て吐出するパージング動作が行なわれた場合の該パージング動作を含むものとし、
    前記時間計測手段は、前記直前のインク吐出動作終了時から前記吐出信号受信手段がインク吐出信号の受信を終了する時までの間で、前記アンキャッピング時間を特定するための時間計測処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記回復手段は、前記インクジェットヘッドに内蔵された圧力発生素子に、前記ノズル開口部よりインクが吐出しない程度に微少な圧力変動を生じさせる駆動パルスを印加して前記メニスカス近傍のインクを微振動させる微振動印加手段であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記制御手段が前記微振動印加手段により前記メニスカス近傍のインクの微振動を開始させるタイミングは、前記吐出信号受信手段がインク吐出信号の受信を終了した直後であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記微振動印加手段による微振動終了後は、前記制御手段は他の制御を一切行なわず、微振動終了直後に前記インクジェットヘッドよりインクの吐出動作を開始させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記微振動印加手段による前記圧力発生素子の微振動回数を制御することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 管理すべきデータを記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記記憶手段に予め定められ記憶されている、前記アンキャッピング時間とインクの増粘を回復させるのに必要な微振動回数である必要微振動回数との関係に基づき、前記アンキャッピング時間より前記必要微振動回数を導出し、該導出された必要微振動回数以上の回数にて前記微振動印加手段が前記メニスカス近傍のインクを微振動させることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 管理すべきデータを記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記制御手段は、前記記憶手段に予め定められ記憶されている、前記アンキャッピング時間とインクの増粘を回復させるのに必要な微振動回数である必要微振動回数との関係に基づき、前記アンキャッピング時間より前記必要微振動回数を導出し、該導出された必要微振動回数にて前記微振動印加手段が前記メニスカス近傍のインクを微振動させることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 管理すべきデータを記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記記憶手段は前記吐出信号受信手段が受信したインク吐出信号に基づくノズル毎のインク吐出データを記憶しており、前記時間計測手段が該記憶されているノズル毎のインク吐出データに基づいて前記アンキャッピング時間を特定し、該特定されたアンキャッピング時間に基づいて前記制御手段はノズル毎に前記回復手段を制御することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記インクジェットヘッドは、前記キャッピング動作を解除する直前、または解除した後に、少なくとも1回は前記パージング動作を行なうことを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 所定の駆動パルスを印加することにより、メニスカスが形成されたノズル開口部よりインクを吐出させて記録媒体に描画を行なうインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを搭載し、描画領域と非描画領域との間を往復移動するキャリッジと、前記インクジェットヘッドに内蔵された圧力発生素子に前記ノズル開口部よりインクが吐出しない程度に微少な圧力変動を生じさせる駆動パルスを印加して前記メニスカス近傍のインクを微振動させる微振動印加手段により、前記メニスカス近傍に滞留したインクの増粘を回復させる回復手段と、非描画時に前記インクジェットヘッドを大気と遮断するキャッピング動作を行なうためのキャッピング手段とを備えたインクジェット記録装置において、
    インク吐出信号を受信する吐出信号受信手段と、
    直前のインク吐出動作終了時から前記吐出信号受信手段がインク吐出信号の受信を終了する時までの間で、前記キャッピング手段による前記キャッピング動作が行なわれていない時間であるアンキャッピング時間を特定するための時間計測処理を行なう時間計測手段と、
    前記時間計測手段が時間計測を開始する時点となる前記直前のインク吐出動作終了時の直前のインク吐出動作には増粘インクを捨て吐出するパージング動作が行なわれた場合の該パージング動作を含み、前記時間計測手段の計測結果により特定される前記アンキャッピング時間に基づいて前記回復手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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