JP2006128307A - 軟磁性成形体の製造方法 - Google Patents

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一喜 柴田
Shinji Uchida
真治 内田
Sanehiro Okuda
修弘 奥田
Toyoshige Sakaguchi
豊重 坂口
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Abstract

【課題】 金属磁性材料および酸化物磁性材料の両者の長所を有し、かつ、比透磁率が高い磁性材料を提供する。
【解決手段】 フェライトめっき軟磁性粒子を圧縮成形する工程と、得られた厚み0.05〜1mmの圧縮成形品を窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で急速熱処理を行う工程とを有することを特徴とする軟磁性成形体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軟磁性成形体の製造方法に関し、より詳しくは、フェライトめっき軟磁性粒子を圧縮成形した軟磁性成形体の製造方法に関する。
近年、各種電子機器は小型・軽量化されてきており、なおかつ、低消費電力化が求められている。これに伴い、電子機器に搭載される電源として高効率かつ小型のスイッチング電源に対する要求が高まっている。特にノート型パソコンや携帯電話等の小型情報機器、薄型CRT、フラットパネルディスプレイ等に用いられるスイッチング電源では、小型・薄型化が強く求められている。
しかし、スイッチング電源では、その主要な構成部品であるトランスやリアクトルなどの磁気部品が大きな体積を占めており、スイッチング電源を小型・薄型化するためには、これら磁気部品の体積を縮小することが必要不可欠となっており、磁気部品に用いられる磁性材料の成形体としては1mm以下の成形体が要望されていた。
従来、このような磁気部品には、センダストやパーマロイ等の金属磁性材料や、フェライト等の酸化物磁性材料が使用されていた。
金属磁性材料は、一般に高い飽和磁束密度と透磁率を有するが、電気抵抗率が低いため、特に高周波数領域では渦電流損失が大きくなってしまう。スイッチング電源では、高効率化および小型化のため回路を高周波駆動することが行われているが、上記の渦電流損失の影響から高周波駆動できないため金属磁性材料をスイッチング電源用の磁気部品に使用することは困難である。
一方、フェライトに代表される酸化物磁性材料は、金属磁性材料に比べ電気抵抗率が高いため、高周波数領域でも発生する渦電流損失が小さい。しかしながら、トランスやリアクトルを小型化した場合、コイルに流す電流は同じでも磁心にかかる磁場は強くなってしまう。一般に、フェライトの飽和磁束密度は金属磁性材料に比べて小さく、スイッチング電源の磁気部品として使用した場合、上記の理由によりその小型化には限界がある。
つまり、いずれの材料を用いても、スイッチング電源の磁気部品に対して要求される、高周波駆動と小型化の双方を満足させることは困難となっていた。
金属磁性材料および酸化物磁性材料の両者の長所を有する磁性材料として、例えば、金属磁性粉末の表面をフェライトなどの金属酸化物磁性材料で被覆した酸化物被覆金属磁性粒子を加圧焼結成形した磁性材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この提案においては、1〜10μmの粒子からなる金属磁性材の表面をM-FexO4(但しM=Ni、Mn、Zn、x≦2)で表されるスピネル組成の金属酸化物磁性材で被覆してなる高密度焼結磁性体を1100〜1250℃、5時間の予備焼結、1250℃、1時間の熱間静水圧焼結を行って得ている。
さらに、表面に超音波励起フェライトめっきによって形成されたフェライト層の被覆を有する金属または金属間化合物の強磁性体微粒子粉末が圧縮成形され、前記フェライト層を介して前記強磁性体粒子間に磁路を形成するものであることを特徴とする複合磁性材料の提案もある(例えば、特許文献2参照。)。この提案においては加圧成形時に350℃に加温しているだけであって、加圧成形後の熱処理は行っていない。
また、フェライト薄膜のアニール時の雰囲気ガスの影響を調べた論文もある(例えば、非特許文献1参照。)。この論文では、MnZnフェライトをスパッタ法により溶融石英基板上に200nmの膜厚で製膜し、大気中、減圧下(酸素濃度約270ppm)、窒素ガス流通下(酸素濃度約50ppm)の各条件下で700〜800℃、5時間の熱処理を行っている。その結果、フェライトの比透磁率は窒素ガス流通下での熱処理で156、減圧下での熱処理で88、大気中での熱処理で約10(図2における曲線の傾きから算出)となり、窒素中での熱処理したものの比透磁率が最も高くなっている。
また、強磁性体粉末の圧粉成形体の成形歪をとるために焼鈍処理を行った圧粉コアの提案もある(例えば、特許文献3参照。)。この提案では、強磁性金属粒子を圧粉成形しており、成形体の焼鈍処理はAr雰囲気下で500〜800℃、10分〜1時間で行っている。焼鈍処理を行った圧粉コアの比透磁率は60〜82程度となっている。
特開昭56-38402号公報 国際公開第03/015109号パンフレット 岡裕子等、「MnZnフェライト薄膜の微細構造に及ぼす熱処理雰囲気および添加物の効果」、粉体及び粉末冶金第49巻第2号pp108-113(2002) 特開平08-037107号公報
一般に、フェライトめっき軟磁性粉末成形体を熱処理すると、成形体の透磁率は増大する。しかし、フェライト被覆パーマロイからなる厚さ3mmの圧粉成形体を700〜800℃で30分以上熱処理すると、大気中でも窒素中でも120以下の比透磁率のものしか得られない。すなわち、特許文献1に記載されているフェライト被覆金属磁性体の圧縮成形体に長時間の熱処理を行うと、充分高い比透磁率のものは得られない。
特に、厚み1mm以下のフェライトめっき軟磁性粉末成形体の場合では、30分以上の長時間熱処理を行うと、やはり大気中でも窒素中でも120以下の比透磁率のものしか得られない。
長時間の熱処理で比透磁率が大きくならない原因としては、長時間の熱処理で、パーマロイ中のFeあるいはNiなどとフェライトが反応して変化(例えば、鉄酸化物が分解するあるいは大気中の酸素とフェライト、パーマロイが反応するなど)してしまい、フェライト部分の比透磁率が低下するあるいは比透磁率の低い酸化物が形成されるため成形体の比透磁率が大きくならないと推測している。特許文献3では強磁性体粒子の圧粉成形体をAr中で焼鈍処理を行っているが、これは強磁性金属粉末の酸化を防ぐためとしており、ここにはフェライト被覆軟磁性粒子を用いる思想もなく、従って上述の軟磁性金属とフェライトの反応による透磁率の低下という問題には触れられておらず、従ってこの問題を解決する思想は何もない。
磁気部品の小型化が要請されている現在、厚み1mm以下という薄い成形体においても150以上という高い比透磁率を示す成形体が望まれている状況にある。
このような状況に鑑み、本発明者らはフェライトめっき軟磁性成形体につき鋭意検討の結果、フェライトめっき軟磁性成形体を圧縮成形後に、急速熱処理を行うと、透磁率が向上することを見出した。また、厚み1mm以下の薄い成形体では大気中など酸素を高濃度で含む雰囲気では透磁率の向上は充分ではなく、窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で急速熱処理を行うと、150以上の比透磁率の成形体が得られることを見出した。すなわち、膜厚の薄い成形体では雰囲気ガスが圧粉成形体の内部にまで入り込み、熱処理中の雰囲気ガスの効果が成形体内部にまで届くため、窒素ガスやその他の不活性ガス中で熱処理すると、より酸素濃度の高い雰囲気中での熱処理より比透磁率が高くなっていると考えられる。
すなわち、本発明の要旨は、フェライトめっき軟磁性粒子を圧縮成形する工程と、
得られた厚み0.05〜1mmの圧縮成形品を窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で急速熱処理を行う工程とを有することを特徴とする軟磁性成形体の製造方法にある。
本発明によれば、金属磁性材料および酸化物磁性材料の両者の長所を有し、かつ、厚み1mm以下であっても150以上という高い比透磁率の磁気部品を得ることができ、スイッチング電源などに搭載されるトランスやリアクトルなどの磁気部品用として有用な成形体を得ることができる。
本発明において、軟磁性粒子としては、例えば純鉄、鉄系合金、鉄−ケイ素合金、パーマロイをはじめとした鉄−ニッケル合金、センダスト合金、コバルトおよびコバルト系合金、ニッケルおよびニッケル合金、各種アモルファス合金などの各種の軟磁性材料からなる粒子を挙げることができる。軟磁性粒子は、これらの材料を、ガス還元法、固体還元法、熱分解法、電解法、機械的粉砕法、噴霧法(アトマイズ法)などの各種製法によって粒子状とすることにより得られる。軟磁性粒子の形状は、球状、粒状、楕円体状、円板状、フレーク状、針状、鋭角状、樹枝状、繊維状、板状、立方体状その他各種形状が可能であり、これらを単独または複数種組み合わせて用いることができる。圧縮成形によって形状の変形を生じてもよい。軟磁性粒子の粒子サイズは、粒子内部での渦電流の発生が少なく、加圧成形時にフェライトめっき層の損傷が少なく、かつ高い電気抵抗率を保った成形体が容易に得られるような範囲とする。粒子内部での渦電流の発生が少なく、加圧成形時のフェライトめっき層の損傷を低減し、かつ高い電気抵抗率の成形体を得るには、平均粒子径が小さい方が有利である一方で、平均粒子径があまり小さくなると、磁気特性の確保および必要な比比透磁率の獲得が困難になる。したがって、軟磁性粒子の粒子サイズは、100nm〜300μmが好ましく、1μm〜30μmの範囲がさらに好ましい。
粒子間の電気抵抗を高めるには高い電気抵抗率を有するフェライトが好ましい。そのようなフェライトの代表例としては、10〜10Ω・mの高い電気抵抗値を有するNiZnフェライト、Coフェライト、Mgフェライトなどがあげられる。また、金属磁性粒子表面を被覆するには、高い飽和磁化を有することが好ましい。高い電気抵抗率と高い飽和磁化とを合わせ持つフェライトとしては、NiZnフェライト、Coフェライト、CoZnフェライトおよびこれらのフェライトを主成分とする複合フェライトが好ましい。フェライトめっきとしては公知のフェライトめっき方法を採用でき、超音波励起を用いる場合も用いない場合も適用可能である。フェライトめっき膜の膜厚は通常、20〜200nm程度であるが、膜厚によらず適用可能である。
本発明においてはフェライトめっき軟磁性粒子を圧縮成形する工程を有するが、圧縮成形方法としては、金型を用いて、例えば上下方向から加圧圧縮する単軸圧縮成形、圧縮圧延成形、フェライトめっき軟磁性粒子をゴム型などにつめて全方向から加圧圧縮する静圧圧縮成形、これらを温間で行う温間単軸圧縮成形、温間静圧圧縮成形(WIP)、熱間で行う熱間単軸圧縮成形および熱間静圧圧縮成形(HIP)などを用いることができる。これらの圧縮成形は、1回または複数回行ってもよく、その際異なる圧縮成形方法を用いてもよい。圧縮温度は、成形性が向上する温度であって、フェライトめっき層が保たれる温度であれば特に制限させるものではない。成形が容易であり、かつフェライトめっき層が保たれる温度は、室温以上500℃未満である。加熱手段としては、抵抗加熱、輻射加熱、熱媒による伝導加熱、誘導加熱、高周波誘導加熱、放電プラズマ加熱などの当該技術において知られている任意の加熱手段を用いることができる。圧縮圧力は、良好な成形体が得られ、フェライトめっき層が保たれる圧力であれば特に制限されない。例えば200〜2000MPa、好ましくは400〜1000MPaである。
成形の際には、ステアリン酸塩、ワックスなどの潤滑剤、および成形のために、ポリビニルアルコール、セルロースなどの補助剤を用いることができる。しかし、これらは、加温時に成形体から揮発するなどして成形体に残留しないものであることが望ましい。
本発明においては、得られた圧縮成形品を窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で急速熱処理を行う。しかし、これらのガス雰囲気では酸素ガスは不純物としてわずかに含まれている。本発明において、急速熱処理とは、最高到達温度を500℃以上、好ましくは500〜800℃とし、昇温速度及び降温速度を急速、好ましくは300℃/minの速度で行い、最高到達温度での保持時間を30秒以下、好ましくは1〜10秒とする熱処理である。昇温速度及び降温速度の上限は用いる熱処理装置の装置特性で決まる値である。
フェライトめっき軟磁性粒子は、熱処理していない状態ではフェライトの成長形態が完全な膜状ではなく、フェライト微粒子が軟磁性粒子表面に付着したような状態であるため、フェライトめっき部分における空隙が存在する傾向がある。また、フェライト結晶は欠陥を多く含む結晶性の悪い結晶である。しかし、本発明のように、窒素ガスや不活性ガス中で急速熱処理を行うと、被覆したフェライト粒子の再結晶が急速に生じる。それにより、フェライトめっき部分の透磁率が大きく増大する。さらにパーマロイ粒子もアニールされ、パーマロイ粒子の透磁率も増大する。そのため、圧粉成形体の透磁率が向上する。最高到達温度が500℃未満ではパーマロイなどの軟磁性体とフェライトの熱処理が完了せず、比透磁率を充分に高めることが困難となる。
一方、最高到達温度が500℃以上の熱処理を長時間行うと、フェライトと金属磁性粒子間で原子の相互拡散が発生することとなる。また、比透磁率の虚数部のピークとなる周波数が変化して高周波で使えなくなったりする。これは、フェライトが分解し、圧縮成形体の電気抵抗が低下したためと考えられる。すなわち、長時間の加熱は周波数特性の悪化をもたらす。したがって、比透磁率を向上するにはごく短時間の加熱が好ましい。
最高到達温度についてもその上限は特に限定されるものではないが、あまりに高く設定しすぎると、昇温速度及び降温速度を急速にしても500℃以上での保持時間が長くなる傾向にある。最高温度が高すぎたり処理時間が長くなると上述のようにフェライトが変化して成形体の比透磁率が低下したり、周波数特性が変化するため好ましくなく、この観点から500〜800℃とするのが好ましく、最高到達温度での保持時間を30秒以下、好ましくは1〜10秒とする。同様の観点から、昇温速度及び降温速度をともに急速で行う必要があり、ともに300℃/minの速度で行うのが好ましい。
本発明においては、圧縮成形品の急速熱処理は窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で行う。不活性ガスとしては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)等を挙げることができる。窒素と不活性ガスの混合ガスの場合は両者の比率は特に限定されず、どのような比率の混合ガスも用いることができる。
本発明において、急速熱処理を行う圧縮成形品の厚さは1mm以下であることが好ましく、0.6mm以下であることがより好ましく、0.5mm以下であることがさらに好ましい。圧縮成形品の厚みが1mmを超えると、窒素ガス、不活性ガスの効果が小さくなり、軟磁性成形体の比透磁率を180以上にすることが困難となる傾向にある。フェライト被覆軟磁性粒子の圧縮成形品では成形体の表面から0.3mm程度までは熱処理時の雰囲気ガスの効果が出るがそれ以上の厚みでは厚くなるに従って雰囲気ガスの効果が次第に薄れてしまう。成形体への雰囲気ガスの効果は表面と裏面の双方からあるため、圧縮成形品の厚みが0.6mm以下であることが好ましく、より完全に成形体全体に雰囲気ガスの効果を出すためには厚みが0.5mm以下であることがさらに好ましい。圧縮成形体の厚みの下限は成形体の強度、取り扱い性から、0.05mm以上であることが好ましい。
厚みが3mmと厚いフェライトめっきパーマロイ粒子の圧縮成形体を大気中または窒素中で30分以上かけて700〜800℃程度の温度で熱処理すると、どちらの場合も120以下の比透磁率が得られるのに対し、これを大気中または窒素中で上述の急速熱処理を行うとどちらの場合も170程度の比透磁率まで向上する。
ところが、厚みが1mm以下の薄い圧縮成形体では、大気中での急速熱処理では140以下と厚い成形体の場合よりも比透磁率が低くなってしまう。これに対して、厚みが1mm以下の薄い圧縮成形体の急速熱処理を窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で行うと、大気中で行った場合に比べて約50%程度透磁率が向上し、180以上の比透磁率が得られる。
薄い成形体で急速熱処理により透磁率が増大する理由はパーマロイをはじめとした軟磁性材料の透磁率が短時間で増大することと、フェライトの比透磁率も短時間で増大して両者の比透磁率増大がうまく重なること、急速熱処理のためフェライトの変化を防止でき、フェライト変化による透磁率低下を抑制できることのためと考えられる。
厚い成形体では雰囲気ガスの効果が表面のみに限られ、雰囲気ガスの効果は実質上現れない。薄い成形体では大気中の急速熱処理で厚い成形体の場合よりも比透磁率が低下するが、窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中の急速熱処理では成形体全体にこれらの雰囲気ガスの効果が及ぶため透磁率が大きく向上したものと考えられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
軟磁性粒子として水アトマイズ法により作製した平均粒子径8μmのNi78Mo5Feパーマロイ(Niが78重量%、Moが5重量%、残りがFeからなるパーマロイ)粒子粉末を用い、超音波励起フェライトめっき法によりフェライトめっき軟磁性粒子を以下のようにして作製した。
フェライトめっきの前処理として、軟磁性粒子20gをHO:300ml+47%HSO:1250μl+2mol/lHCl:1250μlの溶液中(液温70℃)に入れて、5分間超音波を印加した。その後、純水を入れたガラス製の反応容器中に軟磁性粒子を移し替え、19.5kHzの超音波を印加した。この反応容器に反応液(HO:500ml+FeCl・4HO:3.98g:3.98g+NiCl・6HO:1.19g+ZnCl: 0.68g)および酸化液(HO:500ml+NaNO:1.00g)をそれぞれ3ml/min、2ml/minの速度で供給しながら、適宜アンモニア水を滴下することによりpHを10.0に保ってめっき処理を行った。この時、めっき層の温度を湯浴により60℃に保った。めっき処理後、粒子を分級・乾燥してフェライト組成(Ni0.5Zn0.5)Fe、めっき膜厚50nmのフェライトめっき軟磁性粒子を得た。
超鋼製の金型中に、上記で得たフェライトめっき軟磁性粒子を投入し、全体をよくならした後、上パンチをはめ込み、プレスにより8ton/cm(784MPa)で圧縮成形して、内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。
この成形体を窒素中、最高到達温度700℃、700℃での保持時間1秒、昇温速度300℃/min、降温速度300℃/minの急速熱処理(500℃以上の保持時間81秒)を行い、比透磁率200の成形体を得た。これに対して、大気中で同様の急速熱処理をした場合は比透磁率105であった。
[実施例2]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を超鋼製の金型中に投入し、全体をよくならした後、上パンチをはめ込み、プレスにより8ton/cm(784MPa)で圧縮成形して、内径3mm、外径8mm、厚さ0.6mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、実施例1と同様の条件で急速熱処理を行い、比透磁率195の成形体を得た。これに対して、大気中で同様の急速熱処理をした場合は比透磁率105であった。
[実施例3]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を超鋼製の金型中に投入し、全体をよくならした後、上パンチをはめ込み、プレスにより8ton/cm(784MPa)で圧縮成形して、内径3mm、外径8mm、厚さ1.0mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、実施例1と同様の条件で急速熱処理を行い、比透磁率170の成形体を得た。これに対して、大気中で同様の急速熱処理をした場合は比透磁率130であった。
[実施例4]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を用い、実施例1と同様にして内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、最高到達温度800℃、800℃での保持時間1秒、昇温速度300℃/min、降温速度300℃/minの急速熱処理(500℃以上の保持時間2分1秒)を行い、比透磁率215の成形体を得た。
[実施例5]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を用い、実施例1と同様にして内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、最高到達温度600℃、600℃での保持時間1秒、昇温速度300℃/min、降温速度300℃/minの急速熱処理(500℃以上の保持時間41秒)を行い、比透磁率185の成形体を得た。
[実施例6]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を用い、実施例1と同様にして内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、最高到達温度500℃、500℃での保持時間1秒、昇温速度300℃/min、降温速度300℃/minの急速熱処理を行い、比透磁率150の成形体を得た。
[実施例7]
軟磁性粒子として平均粒子径8μmのNi78Feパーマロイ(Niが78重量%、残りがFeからなるパーマロイ)粒子粉末を用いた以外は実施例1と同様にしてフェライト組成(Ni0.5Zn0.5)Fe、めっき膜厚50nmのフェライトめっき軟磁性粒子を得、このフェライトめっき軟磁性粒子を用いた以外は実施例1と同様にして内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を実施例1で行ったと同様の条件で急速熱処理を行い、比透磁率220の成形体を得た。
[実施例8]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を用い、実施例1と同様にして内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体につき、アルゴン雰囲気中とした以外は実施例1と同様の条件で急速熱処理を行い、比透磁率205の成形体を得た。
[比較例1]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を超鋼製の金型中に投入し、全体をよくならした後、上パンチをはめ込み、プレスにより8ton/cm(784MPa)で圧縮成形して、内径3mm、外径8mm、厚さ3.0mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、実施例1と同様の条件で急速熱処理を行い、比透磁率170の成形体を得た。大気中で同様の急速熱処理をした場合も比透磁率170であり、雰囲気が変わっても比透磁率に変化は見られなかった。
[比較例2]
実施例1で得たと同様のフェライトめっき軟磁性粒子(平均粒子径8μm)を用い、実施例1と同様にして内径3mm、外径8mm、厚さ0.3mmのトロイダル状の成形体を得た。この成形体を窒素中、最高到達温度700℃、700℃での保持時間1秒、昇温速度50℃/min、降温速度50℃/minの熱処理(500℃以上の保持時間8分1秒)を行った。得られた熱処理成形体の比透磁率は110と、低いものであった。
本発明の製造方法によれば、金属磁性材料および酸化物磁性材料の両者の長所を有し、かつ、透磁率が高い磁性材料を得ることができ、特にノート型パソコンや携帯電話等の小型情報機器、薄型CRT、フラットパネルディスプレイ等に用いられるスイッチング電源に搭載されるトランスやリアクトルなどとして有用である。

Claims (4)

  1. フェライトめっき軟磁性粒子を圧縮成形する工程と、
    得られた厚み0.05〜1mmの圧縮成形品を窒素ガス、不活性ガスあるいは窒素と不活性ガスの混合ガス中で急速熱処理を行う工程とを有することを特徴とする軟磁性成形体の製造方法。
  2. 急速熱処理の最高到達温度が500〜800℃であることを特徴とする請求項1記載の軟磁性成形体の製造方法。
  3. 急速熱処理の最高到達温度における保持時間が10秒以下であることを特徴とする請求項1または2記載の軟磁性成形体の製造方法。
  4. 急速熱処理における昇温速度と降温速度がいずれも300℃/min以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軟磁性成形体の製造方法。
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