JP2006125275A - 流体機械の性能診断装置及びシステム - Google Patents
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Abstract
本発明は、このような問題点を解決するために提案されたもので、簡単に流体機械の劣化度を評価することが可能な流体機械の性能診断装置或いは、流体機械の性能診断システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
そのために、本発明の流体機械の性能診断装置は、流体機械の圧縮比又は圧力差と入口流量とから特性を複数の流体制御量毎に無次元化して圧力係数と流量係数との関係を示す曲線を求める予想性能曲線演算器と、前記流体機械の運転時の流体制御量、吸入圧力、吐出圧力、吸入温度、圧縮係数、ガス平均分子量、比熱比から実測性能ヘッドを求めると共に、予想性能曲線と流体制御量と入口流量とから予想性能ヘッドを求め、予想性能ヘッドと実測性能ヘッドとの比から性能劣化度を演算する性能診断演算器とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
そして、主に各場所の振動を計測するものであり、羽根車、インペラの腐食、劣化等に起因する性能そのものの劣化を把握することは困難であるという問題がある。
Hreal=Z・1/β・Ts/Mw・{(Pd/Ps)β−1}
により求めるものであることを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る流体機械の性能診断装置が採用されるプラントの概略図、図2は、本発明の実施の形態に係る流体機械の性能診断装置の回路構成図、図3は、本発明の実施の形態に係る流体機械の性能診断装置の演算ブロック図、図4は、本発明の実施の形態に係る流体機械の性能診断装置による表示グラフの例、図5は、本発明の実施の形態に係る流体機械の性能診断装置の評価の基本原理を示す図である。
本発明の実施の形態においては、設計性能(或いは予想性能)と実測した性能の特性とを無次元化して、両者を比較し評価することを基本原理とする。
更には、実測した性能の変化率(劣化率)をも算出して、評価が更に容易に行えるようにしている。
所定の吸入温度、比熱比、流体の定数等の条件下におけるヘッド(即ち、予想性能ヘッドHpred)は、次の式(1)で算出することができる。
式(1) 予想性能ヘッド:Hpred=f1(N、Qs)
上式において、Nはコンプレッサ等の流体制御量としての回転数、Qsは入口体積流量である。
なお、回転数Nが、N01,N02,N03と増加するにしたがっても、予想性能ヘッドHpredは増加する。
式(2) 実測性能ヘッド:Hreal=f2(Ps、Pd、Ts)
上式において、Psは吸入圧力、Pdは吐出圧力、Tsは吸入温度である。
式(3) 圧力係数:μ=2g・Hpred/u2=K1・(Hpred/N2)
式(4) 流量係数:φ=Qs/(60π・D・b・u)=K2・(Qs/N)
ここで、uはコンプレッサの羽根車の円周速度、Dは羽根車の外径、bは羽根車の出口の幅、K1、K2は定数である。
なお、データベースには、複数の流体制御量毎、即ち回転数N01,N02,N03における圧力係数μと流量係数φとの関係を示す曲線が記憶される。
式(5) 圧力係数:μ={f1(N02、φ)−f1(N01、φ)}/(N02−N01)・(N−N01)+f1(N01、φ)
式(6) 流量係数:φ={f2(N02、μ)−f1(N01、μ)}/(N02−N01)・(N−N01)+f1(N01、μ)
式(7) 予想性能ヘッド:Hpred=1/K1・Nx2・μ
式(8) 入口体積流量:Qs=1/K2・Nx・φ
式(9) Hreal=Z・1/β・Ts/Mw・{(Pd/Ps)β−1}
但し、圧縮係数はZ、ガス平均分子量はMw、kは比熱比、βは(k−1)/k)である。
このヘッド比(性能劣化度)αは、全運転領域で定量的に評価することができる。
火力発電所、その他各種のプラントには、各種ファン、コンプレッサ、ポンプ等の多数の流体機械1a、1b、1cが配設されている。
そして、流体機械1aがコンプレッサの場合について説明すると、コンプレッサ3は、可変速のタービン2により駆動される。
このタービン2は、図示略のガバナにより回転数が制御されるようになっており、タービン2には、その実回転数Nxを検出する回転計4が連結されている。
更に、コンプレッサ3の吸入配管10には、吸入圧力Psを検出する吸入側圧力計6、吸入配管10内を流れる流体の吸入温度Tsを検出する吸入側温度計7、流体の入口体積流量Qxを計測する流量計8も設けられている。
そして、回転計4により検出された実回転数Nx、吐出側圧力計5により検出された吐出圧力Pd、吸入側圧力計6により検出された吸入圧力Ps、吸入側温度計7により検出された吸入温度Ts、流量計8により検出された入口体積流量Qxは、各々監視装置11に送信される。
そして、各監視装置11に入力された実回転数Nx、吐出圧力Pd、吸入圧力Ps、吸入温度Ts、入口体積流量Qs、ガスの物性値(圧縮係数Z、ガス平均分子量Mw、及び比熱比k)等の所定の期間分の各計測値は、各流体機械1a、1b、1cの識別コード及び計測年月日時刻と共に、各監視装置11内の記憶装置に記憶される。
そして、記憶装置に記憶された各識別コード、計測年月日時刻、計測値は、定期的に或いは中央監視コンピュータ13からの要求に応じて、ネットワーク12を通じて中央監視コンピュータ13に送信される。
例1としては、図示略のガス分析計でガスの組成を定期的に計測し、ガス組成を監視装置11或いは中央監視コンピュータ13に入力(例えば、空気の場合は、窒素;79%、酸素21%)し、基準圧力、基準温度から、監視装置11或いは中央監視コンピュータ13等内で、ガス物性値(ガス圧縮係数Z、比熱比k、ガス平均分子量Mw)を推算し記憶する。
例2としては、ガス物性値の内、ガス組成の変動に対してガス圧縮係数Z、比熱比k、がほぼ一定である場合、図示略のガス比重計(空気に対するガス比重)でガスの分子量Mwだけを定期的に計測し、ガス分子量だけを変動データとして使用する。
例3としては、図示略のガス分析計でガスの組成をオフラインで計測し、計測されたガス物性推算プログラムでガス物性値(ガス圧縮係数Z、比熱比k、ガス平均分子量Mw)を推算し、これを監視装置11或いは中央監視コンピュータ13等に入力して使用する。
なお、これらの各演算器は、通常、コンピュータのプログラム、シーケンスブロックの形態をなしているが、これに限定されるものではなく、個々の電気演算回路ユニット等により構成した形態のものも含まれる。
先ず、運転データ収集器20では、通信の初期化が行われる(ステップS01)。
タイマーにて時間をカウントし、定期的に各監視装置11に対しデータ送信の要求信号を発信する(ステップS02)。
そして、各監視装置11から、流体機械1a、1b、1cの識別コード、及び所定の期間分の各計測年月日時刻、計測値が入力されると(ステップS03)、そのデータを、共有メモリ21にコピーする(ステップS04)。
その後、タイマーをリセットしタイマーによる時間のカウント(ステップS02)に戻る。
この入力された容量、性能等は、予想性能曲線演算器24にて、上述の式(3)、式(4)により、無次元化され所定の回転数毎、例えば、図5(b)のごとく、3つの回転数N01、N02、N03の圧力係数μと流量係数φとの関係を示す曲線が求められる。
求められた圧力係数μと流量係数φとの関係を示す曲線は、各流体機械1a、1b、1cの識別コード、装置の名称と共に、性能診断データベース25に記憶される。
タイマーにて時間をカウントし(ステップS12)、定期的に流体機械の計測されたデータ(識別コード、計測年月日時刻、実回転数Nx、吐出圧力Pd、吸入圧力Ps、吸入温度Ts、入口体積流量Qs、圧縮係数Z、ガス平均分子量Mw及び比熱比k等)を共有メモリ21から入手する(ステップS13)。
そして、これらの入力されたデータに基づき、実測性能ヘッドHrealを、上述の式(9)により演算する。
その後、タイマーをリセットしタイマーによる時間のカウント(ステップS12)に戻る。
そして、履歴データベース27より、ヘッド比α及びヘッド比αの変化率を入手し、画面データを作成し(ステップS22)、図4に図示のようなグラフを画面に表示する(ステップS23)。
そして、非常に簡単に機器の性能劣化を評価し、メインテナンス時期を予想し、トラブルを事前に回避することが可能になる。
しかしながら、流体量の制御については、これに限定されるものではない。
例えば、流体機械の回転数を一定とし、流体機械の入口に入口ガイドベーン(IGV、入口案内翼、inlet guide vane)、或いは流量制御弁を設け、ベーン或いは弁の開度を流体制御量として制御するものにも対応可能である。
2 タービン
3 コンプレッサ
4 回転計
5 吐出側圧力計
6 吸入側圧力計
7 吸入側温度計
8 流量計
9 吐出配管
10 吸入配管
11 監視装置
12 ネットワーク
13 中央監視コンピュータ
20 運転データ収集器
21 共有メモリ
22 性能診断演算器
23 諸データ入力器
24 予想性能曲線演算器
25 性能診断データベース
26 性能変化率演算器
27 履歴データベース
28 表示器
Claims (4)
- 流体機械の圧縮比又は圧力差と入口流量とから特性を複数の流体制御量毎に無次元化して圧力係数と流量係数との関係を示す曲線を求める予想性能曲線演算器と、
前記流体機械の運転時の流体制御量、吸入圧力、吐出圧力、吸入温度、圧縮係数、ガス平均分子量、比熱比から実測性能ヘッドを求めると共に、予想性能曲線と流体制御量と入口流量とから予想性能ヘッドを求め、予想性能ヘッドと実測性能ヘッドとの比から性能劣化度を演算する性能診断演算器と
を備えたことを特徴とする流体機械の性能診断装置。 - 実測性能ヘッドは、
吸入圧力をPs、吐出圧力をPd、吸入温度をTs、圧縮係数をZ、ガス平均分子量をMw、比熱比をk、β=(k−1)/kとすると、実測性能ヘッドHrealを次式、
Hreal=Z・1/β・Ts/Mw・{(Pd/Ps)β−1}
により求めるものであることを特徴とする請求項1に記載の流体機械の性能診断装置。 - 前記性能劣化度を微分して性能劣化度変化率を算出する性能変化率演算機を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体機械の性能診断装置。
- 前記流体機械の運転時の吸入圧力、吐出圧力、吸入温度、圧縮係数、ガス平均分子量、比熱比を計測又は演算しそのデータを記憶する監視装置と、
該監視装置に記憶された前記データをネットワークを介して受信する中央監視コンピュータとを有し、
前記中央監視コンピュータは、前記請求項1、2、3のいずれかに記載の流体機械の性能診断装置を備えていることを特徴とする流体機械の性能診断システム。
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