JP7401327B2 - 診断装置、診断方法、診断プログラムおよび診断システム - Google Patents

診断装置、診断方法、診断プログラムおよび診断システム Download PDF

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Description

本発明は、診断装置、診断方法、診断プログラムおよび診断システムに関する。
空調設備、生産設備、発電用設備等の各種設備には、回転機構や直動機構等の作動部分を有する機械が備わっている。このような作動部分には、通常、軸受やガイドレール等が用いられる。軸受やガイドレール等の機械部品類は、経年劣化等により徐々に損耗する。
機械類の作動時の振動は、軸受やガイドレール等の損耗の進行に応じて徐々に変化する。このため、機械の振動は、通常、日常点検における監視項目に掲げられており、センサー類を使った診断装置における典型的な監視項目の1つになっている(例えば、特許文献1~3を参照)。
特開2018-155543号公報 特開2018-54587号公報 特許第4283391号公報
機械の振動を振動センサーで監視する診断装置は、通常、振動センサーによって得られる機械振動の周波数や振幅が設定値に達すると警報を発する。このような設定値は、通常時の計測値や機械の特性等に応じて設定される。しかし、この方式では、実測値が設定値に達しないと警報が発せられない。よって、この方式では、損耗が徐々に進行することによる経年劣化を捉えることが難しい。また、機械部品類の損耗以外の要因で変動した周波数や振幅を機械の異常と誤検知する可能性もある。
そこで、機械振動の周波数や振幅の変化率を監視し、変化率が閾値を超えた場合に警報を発することも考えられる。ところが、機械に設置される振動センサーは、機械に加わった突発的な振動を検出することがある。よって、変化率を監視する方式では、閾値を小さくすると、このような機械部品類の損耗以外の要因で発生する振動を振動センサーが検出する度に診断装置が警報を発する可能性が高く、煩わしい。また、閾値を小さくした場合であっても、進行が緩慢な損耗の場合、変化率が顕著に変化しないため、変化率が閾値を超えない可能性も高い。
そこで、本発明は、機械の損耗を精度良く検出可能にする技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明では、機械に設置される振動センサーの計測値を積算し、積算値が初期値から所定積算値へ変化するのに要する到達時間同士の差分を用いて機械の状態を判定することにした。
詳細には、本発明は、診断装置であって、機械に設置される振動センサーの計測値を積算する積算部と、積算部の積算値が所定積算値に達すると、積算値を初期値へ変更する初期化部と、積算値が初期値から所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時
部と、各到達時間同士の差分を用いて機械の状態を判定する判定部と、を備える。
ここで、所定積算値とは、上記診断装置で検出したい内容に応じて予め適宜設定される値である。また、初期値とは、積算開始時の値であり、例えば、0(ゼロ)或いはその他適宜の値である。所定積算値は、機械の長期的な振動状態の変化を検出するために予め設定される値であってもよい。
上記の診断装置であれば、振動センサーの計測値の積算値が初期値から所定積算値へ変化するのに要する到達時間同士の差分を用いているため、計測値の一時的な変動については積算によって吸収される。そして、初期値から所定積算値に達するまでに要する到達時間を使って診断を行うため、機械において徐々に進行する損耗以外の一時的な変動を機械の異常と誤検知することなく、徐々に進行する機械の損耗を精度よく検出することが可能となる。
なお、判定部は、各到達時間同士の差分が所定の閾値以上であるか否かに基づいて機械の状態を判定するものであってもよい。このような判定であれば、判定処理が容易である。
また、判定部は、各到達時間同士の差分の拡大によって変化する、機械の負荷と到達時間との相関関係を表す係数に基づいて機械の状態を判定するものであってもよい。このような判定であれば、判定精度が向上可能である。
また、本発明は、方法の側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、機械に設置される振動センサーの計測値を積算する積算処理と、積算処理における積算値が所定積算値に達すると、積算値を初期値へ変更する初期化処理と、積算値が初期値から所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時処理と、各到達時間同士の差分を用いて機械の状態を判定する判定処理と、を有する、診断方法であってもよい。
また、本発明は、プログラムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、機械に設置される振動センサーの計測値を積算する積算処理と、積算処理における積算値が所定積算値に達すると、積算値を初期値へ変更する初期化処理と、積算値が初期値から所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時処理と、各到達時間同士の差分を用いて機械の状態を判定する判定処理と、をコンピュータに実行させる、診断プログラムであってもよい。
また、本発明は、システムの側面から捉えることもできる。例えば、本発明は、機械に設置される振動センサーと、振動センサーに接続される診断装置と、を備え、診断装置は、振動センサーの計測値を積算する積算部と、積算部の積算値が所定積算値に達すると、積算値を初期値へ変更する初期化部と、積算値が初期値から所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時部と、各到達時間同士の差分を用いて機械の状態を判定する判定部と、を有する、診断システムであってもよい。
上記の診断装置、診断方法、診断プログラムおよび診断システムであれば、機械の損耗を精度良く検出可能にすることが可能となる。
図1は、実施形態に係る診断システムのシステム構成の一例を示した図である。 図2は、コンピュータが実現する処理フローの一例を示した図である。 図3は、振動センサーによって検出される振動加速度の一例を示した時系列データのグラフである。 図4は、振動加速度の積算値が加算されていく様子の一例を示したグラフである。 図5は、振動加速度の積算値が閾値でリセットされる場合の積算値の変化の一例を示したグラフである。 図6は、外気温度と到達時間との相関関係の第1例を表した図である。 図7は、外気温度と到達時間との相関関係の第2例を表した図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の技術的範囲を以下の態様に限定するものではない。
図1は、実施形態に係る診断システム1のシステム構成の一例を示した図である。診断システム1は、図1に示されるように、コンピュータ2(本願でいう「診断装置」の一例である)と、コンピュータ2と有線または無線で接続される振動センサー3とを備える。コンピュータ2は、CPU21、メモリ22、ストレージ23、通信インターフェース24を有する電子計算機であり、ストレージ23から読み出されてメモリ22に展開されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する各種の処理を実行する。また、振動センサー3は、圧電素子31、錘32、圧電素子31と錘32を内包するケース33を有する圧電式の振動センサーであり、振動を受けたケース33内においてケース33と錘32とが相対移動することによって圧電素子31に発生する加圧力で振動を電気信号に変換する。
なお、図1では、診断システム1の診断対象として電動ポンプ4が例示されている。電動ポンプ4は、配管経路の途中に設けられるポンプ本体41と、ポンプ本体41の回転軸にカップリング43を介して連結される電動機42とを有している。ポンプ本体41には、ケーシング41a内にあるインペラーの回転軸を回動可能に支持する軸受41bが設けられている。また、電動機42には、ケーシング42a内の回転子の回転軸を回動可能に支持する軸受がポンプ側ブラケット42bと非ポンプ側ブラケット42cにそれぞれ設けられている。よって、電動ポンプ4を管理する管理者は、日常的な点検において、ポンプ本体41の軸封部の水漏れの有無、配管に設けられた圧力計の指示値、作動音の異常の有無の他、例えば、聴診棒を軸受41bやポンプ側ブラケット42b、非ポンプ側ブラケット42cに当てて軸受の音の確認を行う。診断システム1は、電動ポンプ4を常時監視できない管理者に代わって電動ポンプ4の診断を行う目的で使われるシステムであり、例えば、軸受41bやポンプ側ブラケット42b、非ポンプ側ブラケット42cに振動センサー3を設置した状態で用いられる。
なお、診断システム1は、このような電動ポンプ4の診断に限定されるものでなく、例えば、空気を流す電動ファン、電動圧縮機、蒸気駆動のポンプやファン、周波数変換装置(MGセット)、発電機、直動のガイドレール等を備える工作機械、その他各種の機械の診断に適用することが可能である。
コンピュータ2は、コンピュータプログラムを実行すると、以下の処理を実現する。図2は、コンピュータ2が実現する処理フローの一例を示した図である。コンピュータ2は、コンピュータプログラムを実行すると、図2に示すステップS101からステップS115までの一連の処理フローを定期的に繰り返し実現する。以下、コンピュータ2が実現する処理フローの概要に説明する。
コンピュータ2は、まず、振動センサー3から送信された計測データの受信を行う(S
101)。すなわち、コンピュータ2は、振動センサー3から送信された計測データをメモリ22に格納する。
次に、コンピュータ2は、振動センサー3から送信された計測データの積算を行う(S102)。すなわち、コンピュータ2は、ストレージ23に保存してある計測データの積算値をメモリ22に読み出し、ステップS101で受信処理した計測データの計測値を積算値に加算する。そして、コンピュータ2は、積算値に計測値を加算して得た値を、新たな積算値としてストレージ23に保存する。
次に、コンピュータ2は、ステップS102の処理で算出した積算値が既定の閾値(本願でいう「所定積算値」に相当する)以上であるか否かの判定を行う(S103)。この閾値は、機械の長期的(数時間或いは数日)な振動状態の変化を検出するために予め設定される値であり、例えば、電動ポンプ4の運転状態や据付環境等に応じて決定された値である。コンピュータ2は、本ステップS103で否定判定を行った場合、ステップS104からステップS115までの一連の処理を省略し、再びステップS101以降の処理を実行する
コンピュータ2は、ステップS103の処理で肯定判定を行った場合、次に、積算値のリセットを行う(S104)。すなわち、コンピュータ2は、ストレージ23に保存してある計測データの積算値として初期値の0(ゼロ)を上書き保存する。なお、初期値は、0(ゼロ)以外の何れの値であってもよい。
コンピュータ2は、ステップS104で積算値のリセットを行った後、到達時間の算出を行う(S105)。到達時間とは、計測データの積算値が0(ゼロ)から閾値へ変化するのに要する時間である。コンピュータ2は、ストレージ23に保存してある計測データで0(ゼロ)が記録された時刻のデータを参照し、積算値をリセットした時の時刻と積算値が閾値に到達した時の時刻との差分から到達時間を算出する。コンピュータ2は、この到達時間を、ステップS105を実行する度に算出する。
コンピュータ2は、ステップS105で到達時間の算出を行った後、相関係数の算出を行う(S106)。相関係数とは、監視対象の機械の振動に影響を及ぼす項目と振動出力との相関関係を定量的に表した値である。コンピュータ2は、ステップS106で相関係数の算出を行った後、算出した相関係数を使って性能変化の判断を行う(S107)。相関係数を使った性能変化の判断の詳細については後述する。
コンピュータ2は、ステップS107で性能変化の判断を行った後、ステップS106で算出した相関係数が既定の閾値未満であるか否かの判定を行う(S108)。この閾値は、予め設定された値であり、例えば、試運転等において決定された値である。
コンピュータ2は、ステップS108で肯定判定を行った場合、電動ポンプ4に性能変化があった旨の監視結果をオペレータへ通知する(S109)。すなわち、コンピュータ2は、表示装置、警報装置、その他各種の出力装置へ監視結果のデータを送ることにより、これらの出力装置を通じてオペレータへ監視結果を通知する。そして、コンピュータ2は、本ステップS109を実行した後、ステップS111からステップS115までの一連の処理を省略し、再びステップS101以降の処理を実行する。
一方、コンピュータ2は、ステップS108で否定判定を行った場合、経年劣化の判断を行う(S110)。そして、コンピュータ2は、ステップS110で経年劣化の判断を行った後、基準化値の算出を行う(S111)。基準化値とは、監視対象の機械の振動に影響を及ぼす項目と振動と出力との関係を表したデータを一般化した値である。そして、
コンピュータ2は、ステップS111で基準化値の算出を行った後、回帰係数の算出を行う(S112)。
コンピュータ2は、ステップS112で算出した回帰係数が既定の閾値以上であるか否かの判定を行う(S113)。この閾値は、予め設定された値であり、例えば、長年の運転実績から経験的に決定された値である。
コンピュータ2は、ステップS113で肯定判定を行った場合、電動ポンプ4に経年劣化がある旨の監視結果をオペレータへ通知する(S114)。そして、コンピュータ2は、本ステップS114を実行した後、再びステップS101以降の処理を実行する。
一方、コンピュータ2は、ステップS113で否定判定を行った場合、電動ポンプ4が通常通りである旨の監視結果をオペレータへ通知する(S115)。そして、コンピュータ2は、本ステップS115を実行した後、再びステップS101以降の処理を実行する。
コンピュータ2が実現する処理フローの概要については以上の通りである。以下、実測データの一例を参照しつつ、コンピュータ2が実現する処理フローの詳細について説明する。
図3は、振動センサー3によって検出される振動加速度の一例を示した時系列データのグラフである。振動センサー3が検出する電動ポンプ4の振動加速度を、例えば、サンプリング周波数100kHzで計測すると、図3に示されるような波形が得られる。そして、振動とは、所定の位置を中心点とする往復運動であるため、振動センサー3が検出する振動加速度の時系列データのグラフは、図3に示されるように、0(ゼロ)を中心にして正の値と負の値とを交互に繰り返す波形を描く。よって、振動センサー3によって検出される振動加速度を単に加算した積算値は、0(ゼロ)に近い値を採ることになる。そこで、コンピュータ2は、ステップS102の処理において、振動センサー3が検出する振動加速度の絶対値を積算する。積算する振動加速度は、実効値であってもよいし、振動加速度を半波整流した場合には瞬時値であってもよい。
図4は、振動加速度の積算値が加算されていく様子の一例を示したグラフである。コンピュータ2がステップS102の処理で振動加速度の絶対値を積算すると、ステップS102の処理で算出される積算値は、図4に示されるように、時間が経過するにつれて漸次増加し続けることになる。振動センサー3が検出する振動加速度は、例えば、図3に見受けられるように、比較的過大なパルス状の値(ヒゲとも呼ばれる)を示すことがある。しかし、ステップS102の処理で算出される積算値は、振動加速度の瞬時値を加算し続けた値であるため、このような一時的な値の変動を吸収した値と言える。そして、ステップS102の処理で算出される積算値の増加率は、電動ポンプ4の継続的な振動の大きさに比例する。すなわち、ステップS102の処理で算出される積算値の増加率は、電動ポンプ4が比較的大きい振動を継続する場合、電動ポンプ4が比較的小さい振動を継続する場合に比べて高くなる。したがって、積算値をリセットしてから積算値が閾値に到達するまでに要する到達時間は、電動ポンプ4が比較的大きい振動を継続する場合、電動ポンプ4が比較的小さい振動を継続する場合に比べて短くなる。
図5は、振動加速度の積算値が閾値でリセットされる場合の積算値の変化の一例を示したグラフである。図5では、振動加速度の積算値が5000m/sに達すると積算値がリセットされる場合を例示している。上述したステップS104の処理が行われる場合、すなわち、振動加速度の積算値が閾値でリセットされる場合、ステップS102の処理で算出される積算値は、図5に示すように、鋸歯状の波形となる。そして、ステップS10
5の処理で算出される到達時間Δτとは、図5に示す波形において隣り合う頂部(波頂とも呼ばれる)間の長さとなる。
ここで、電動ポンプ4が一定の振動を続けている場合、到達時間τは基本的に一定となる。しかし、電動ポンプ4に使われている部品の損耗によって電動ポンプ4の振動状態に変化が生じると、振動状態の変化前における到達時間τと、振動状態の変化後における到達時間τとの間に差分が生じることになる。そこで、本実施形態の診断システム1では、到達時間同士の差分、すなわち、振動状態の変化前後における到達時間の差分を基に、電動ポンプ4の異常と捉えることにしたものである。但し、到達時間に差分が生じた場合に一律に電動ポンプ4の異常と捉えてしまうと、外気温度の変化に伴う電動ポンプ4の運転状態の変化といった外的要因を電動ポンプ4の異常と誤って捉えることになるため、本実施形態の診断システム1では、上述したステップS106~108,110~112の処理を行うことにより、到達時間の差分に基づく電動ポンプ4の診断精度を向上させている。
すなわち、コンピュータ2は、到達時間を算出した後に行うステップS106において、電動ポンプ4の性能変化の判断に必要な相関係数の算出を行う。電動ポンプ4の性能が低下する場合、出力に対する入力の比率、つまり効率ηが低くなる状況を指す。ここでいう入力とは、機械の振動を変化させ得る要素、すなわち、振動に影響を及ぼす項目である。また、出力とは、振動出力である。効率ηが低くなると、同じ出力を発揮するのにより大きな入力を必要とするので、電動ポンプ4の振動が増大する。そして、電動ポンプ4の振動が増大すると、上述した到達時間τが短くなる。この変化は、広範囲の部分負荷率に渡って現れるのが一般的である。
そこで、電動ポンプ4の効率ηの算出に際しては、電動ポンプ4の定格出力に対する現在の出力の割合(部分負荷率)に寄与率の高い計測項目を、電動ポンプ4の現在の出力として代用する。例えば、電動ポンプ4が、地域熱供給施設の冷水供給ポンプである場合には、外気温度がこれに相当する。また、工場の生産用ユーティリティポンプである場合には、製造装置の稼働率がこれに相当する。このような外気温度や製造装置の稼働率は、電動ポンプ4の現在の出力に寄与する割合が高いため、下記の相関係数が表す機械の負荷と到達時間との相関関係における「機械の負荷」の一例とすることができる。
例えば、外気温度と到達時間τとの相関から電動ポンプ4の性能変化を検知する場合、外気温度と到達時間τとの相関係数を、性能が変化する前後で比較する。図6は、外気温度と到達時間との相関関係の第1例を表した図である。電動ポンプ4が、性能が低下する前の通常時の性能を発揮している場合、外気温度θと到達時間τとの相関関係は、図6において「通常時の性能」と示す基準線近傍の領域に分布するのに対して、性能低下後は「変化後の性能」と示す領域に分布する。すなわち、図6に示されるように、性能低下後は、外気温度θと到達時間τとの相関関係が基準線を下回る位置に分布する。換言すると、電動ポンプ4の性能低下に伴って相関係数が徐々に小さくなる。
そこで、コンピュータ2は、ステップ106で算出した相関係数を、ステップS107の処理で既定の閾値と比較する。そして、コンピュータ2は、ステップS108の処理で相関係数が既定の閾値未満であるか否かの判定を行い、判定結果に応じてステップS109又はステップS110の処理を実行する。
コンピュータ2は、上述したような性能変化の判断を行った結果、性能変化に問題が無いと判断した場合、次に、経年劣化の判断を行う。電動ポンプ4のような回転機器における経年劣化としては、例えば、回転トルクの増加が挙げられる。軸受の劣化等により回転トルクが増加すると、同じ出力を発揮するのにより大きな入力を必要とするので、電動ポ
ンプ4の振動が増大する。そして、電動ポンプ4の振動が増大すると、上述した到達時間τが短くなる。経年劣化は、このような因果関係を活用すれば把握可能である。そして、経年劣化の判断に際しては、同じ出力で比較できるように、定格出力に対する現在出力の割合(部分負荷率)に寄与率の高い計測項目で基準化する。例えば、電動ポンプ4が、地域熱供給施設の冷水供給ポンプである場合には、外気温度がこれに相当する。また、工場の生産用ユーティリティポンプである場合には、製造装置の稼働率がこれに相当する。
図7は、外気温度と到達時間との相関関係の第2例を表した図である。図7において、外気温度θmin以下の場合に到達時間τが一定なのは、電動ポンプ4が最低流量運転をしているためである。外気温度θと到達時間τとの関係が計測データから特定できる場合、例えば、外気温度θminを基準点とし、到達時間τの基準化後の値Δτstd(基準化値)を、次式で算出する。
Δτstd=Δτ(1-α(θ-θmin)/(θmax-θmin))
ここに、α:補正係数、α=0~1
そして、コンピュータ2は、経年劣化の判断に際し、最新の到達時間τを含む過去30ステップ分のΔτstdを用いた一次回帰式の回帰係数を用いる。
一次回帰式: Δτcal = a+bN
ここに、a:定数項、 b:回帰係数、 N:監視ステップ数(最新のものを0ステップとして、-29ステップ~0ステップ)
そして、コンピュータ2は、ステップS113で回帰係数bが既定の閾値β(回帰係数の閾値)未満であるか否かに応じての判定を行い、判定結果に応じてステップS114又はステップS115の処理を実行する。
診断システム1において実行される処理内容の詳細は以上の通りである。
機械の監視においては、例えば、所定の時間のデータの実効値(RMS:二乗平均平方根)を求めたり、波高率(=ピーク値/実効値)を求めたり、或いは、FFTなどの周波数解析を行い、周波数ごとの振動値(パワースペクトル)を求めたりすることが考えられる。そして、現在の瞬時値、もしくは現在の瞬時値を通常時の値で割った比率(通常時からの増加倍率と呼ぶ)を用いて、閾値と大小比較を行い、閾値を超えた度合によって正常・注意・異常等の判断を行うことが考えられる。或いは、瞬時値もしくは増加倍率の経時変化を観察し、増加傾向にあった場合に異常と判断することが考えられる。しかし、これらの方法では、回転機器の部分負荷率、据付環境による暗振動やラジオノイズ、電源ノイズなどの外乱により、振動センサーによって得られる振動加速度等の計測データが変動する場合があるため、監視の度に診断結果が異なる場合がある。
この点、上記実施形態の診断システム1であれば、振動加速度の計測データを積算し、その積算値を用いて監視を行っているので、このような外乱による計測データの変動が当該積算により吸収される。このため、診断結果が監視の度に外乱で入れ替わることがない。
なお、コンピュータ2が定期的に繰り返し実行するステップS101からステップS115までの一連の処理フローの実行間隔は、部分負荷率や外乱が判定精度に与える影響を考慮すると、より短い方が好ましい。しかし、例えば、振動センサー3がバッテリー内蔵の無線型振動加速度センサーであるような場合には、電池交換の頻度が少ないこと(2年に1回程度)であることが保全業務の省力化の観点から望ましい。市販の無線型振動加速度センサーの仕様を考慮すると、バランスのよい実行間隔としては、例えば、10分に1回程度とするのが望ましい。
ところで、上記実施形態では、性能変化の判断と経年劣化の判断の両方を実行していたが、コンピュータ2は、両者のうちの何れか一方の処理のみを実行するものであってもよい。また、コンピュータ2は、性能変化の判断と経年劣化の判断の何れも省略し、到達時間差Δτが所定の閾値以上になった場合に電動ポンプ4の異常と判定するものであってもよい。
また、図1では、診断装置2が電動ポンプ4付近に設置されている様子が図示されていたが、診断装置2は、電動ポンプ4が設置されている施設の制御室に設置されていてもよいし、或いは、遠隔地に置かれた監視施設やデータセンタ等に置かれていてもよい。
1・・診断システム
2・・コンピュータ
21・・CPU
22・・メモリ
23・・ストレージ
24・・通信インターフェース
3・・振動センサー
31・・圧電素子
32・・錘
33・・ケース
4・・電動ポンプ
41・・ポンプ本体
41a・・ケーシング
41b・・軸受
42・・電動機
42a・・ケーシング
42b・・ポンプ側ブラケット
42c・・非ポンプ側ブラケット
43・・カップリング

Claims (7)

  1. 機械に設置される振動センサーの計測値を積算する積算部と、
    前記積算部の積算値が所定積算値に達すると、前記積算値を初期値へ変更する初期化部と、
    前記積算値が前記初期値から前記所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時部と、
    同一の機械における各到達時間同士の差分を用いて前記機械の状態を判定する判定部と、を備える、
    診断装置。
  2. 前記所定積算値とは、機械の長期的な振動状態の変化を検出するために予め設定される値である、
    請求項1に記載の診断装置。
  3. 前記判定部は、前記各到達時間同士の差分が所定の閾値以上であるか否かに基づいて前記機械の状態を判定する、
    請求項1又は2に記載の診断装置。
  4. 前記判定部は、前記各到達時間同士の差分の拡大によって変化する、前記機械の負荷と前記到達時間との相関関係を表す係数に基づいて前記機械の状態を判定する、
    請求項1から3の何れか一項に記載の診断装置。
  5. 機械に設置される振動センサーの計測値を積算する積算処理と、
    前記積算処理における積算値が所定積算値に達すると、前記積算値を初期値へ変更する初期化処理と、
    前記積算値が前記初期値から前記所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時処理と、
    同一の機械における各到達時間同士の差分を用いて前記機械の状態を判定する判定処理と、を有する、
    診断方法。
  6. 機械に設置される振動センサーの計測値を積算する積算処理と、
    前記積算処理における積算値が所定積算値に達すると、前記積算値を初期値へ変更する初期化処理と、
    前記積算値が前記初期値から前記所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時処理と、
    同一の機械における各到達時間同士の差分を用いて前記機械の状態を判定する判定処理と、をコンピュータに実行させる、
    診断プログラム。
  7. 機械に設置される振動センサーと、
    前記振動センサーに接続される診断装置と、を備え、
    前記診断装置は、
    前記振動センサーの計測値を積算する積算部と、
    前記積算部の積算値が所定積算値に達すると、前記積算値を初期値へ変更する初期化部と、
    前記積算値が前記初期値から前記所定積算値へ変化するのに要する到達時間を計時する計時部と、
    同一の機械における各到達時間同士の差分を用いて前記機械の状態を判定する判定部と、を有する、
    診断システム。
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