JP2006124679A - 金属フタロシアニン化合物の製造方法 - Google Patents

金属フタロシアニン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 工業的に安定して、高収率、高純度、操作性良好な金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 フタロニトリル化合物あるいはイソインドレン化合物等のジカルボン酸誘導体のうちの少なくとも2種と金属化合物とから金属フタロシアニン化合物を製造する方法であって、脱水剤の共存下、有機塩基または無機塩基と酸との緩衝液中で反応を行う金属フタロシアニン化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属フタロシアニン化合物の新規な製造方法に関するものである。特に、金属フタロシアニン化合物を温和な条件で安定に収率良く製造する方法に関するものである。
金属フタロシアニン化合物は、塗料、印刷インキ、着色剤、電子写真感光体、光ディスク用材料として有用な化合物であり、これまで非常に多くの化合物が合成・製造されてきている。金属フタロシアニン化合物の工業的生産は、非特許文献1に詳しく記載されている。これらの方法は、次の2通りに大別される。
1)ワイラー法:無水フタル酸や無水フタル酸イミドを原料とし、尿素と金属塩を縮合剤存在下160℃〜180℃で反応させて製造する方法である。縮合剤としては古くは砒素系の無機塩を使用していたが、最近ではモリブデン酸塩を用いるのが一般的である。本方法には、固相法として尿素溶融物を溶媒の替わりとする方法があるが、発泡の危険性や、温度降下時の固化による欠点の他、低収率でかつ製品中の不純物率が高く、量産の方法としては好まれない。
一方、ニトロベンゼン、ポリハロゲン化ベンゼン等の不活性有機溶媒を用いる液相法では、固相法に比べると収率も高く、品質も安定しやすい傾向がある。現状のフタロシアニンの工業的製法の主流を占めていると考えられる。しかし、一方でこの液相法では反応溶媒の分離回収など煩雑な単位操作を必要とし、また、前述した安全性の面において、ニトロベンゼンは毒性の点から、ポリハロゲン化ベンゼンはハロゲン化ビフェニルなど少量の有害物質の副生などの問題点を有しており、適当な高沸点溶媒の選択もフタロシアニンの工業的製法のひとつの課題と言える。
2)フタロニトリル法:本方法は出発原料として反応性の高いフタロニトリルを利用する。この方法では、固相法、もしくはベーキング法と呼ばれているフタロニトリルと金属塩の混合物を加熱したり、溶融尿素を溶媒とする方法と、適当な高沸点溶媒中で加熱縮合させる液相法がある。この場合には、キノリン等が塩基性溶媒の縮合促進作用から好んで使用される場合もあったが、現在では安全性の観点から工業的な利用は避けるべきで、本方法における溶媒の選択もまた、ワイラー法の液相法同様課題の一つと言える。無水フタル酸と比べるとフタロニトリルの価格はおおよそ10倍なので、本方法による原料原価を考慮するとワイラー法のそれと比べると相当高くなる欠点がある。しかし、近年の高付加価値を有する機能性フタロシアニンの生産には商品としての末端価格を考慮しても、製法上の種々のメリットを重視すれば本方法は最適の方法である。
また特許文献1には本フタロニトリル法で塩基を使用した反応条件緩和法が開示されている。例えばエチレングリコール中フタロニトリルと塩化第一銅をアンモニアのバブリング下100℃程度の温度で反応すると高収率で銅フタロシアニンが得られることを示している。また塩基としてのアンモニアの替わりに2級あるいは3級アミン等の高沸点アミンを縮合剤として利用することで各種のフタロシアニンを工業的に生産している。特許文献2には無金属フタロシアニンの一般的な工業製造方法が開示してあり、縮合剤としてアルコラート類のほかに、アミン類としてトリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジアゾビシクロノネン等の高沸点アミン類を用いている。
しかしながら、これらのような比較的強い塩基を用いるとフタロニトリルによっては分解が起こり、目的のフタロシアニン化合物の収率が悪化するという欠点を有する。例えば電子吸引性基が置換したフタロニトリルでは目的の縮合反応と、フタロニトリルへの水酸化物イオンなどの求核剤の攻撃による分解が協奏して起こるため金属フタロシアニン化合物の縮合率は向上しない。また、金属塩化物を使った金属フタロシアニン化合物の製造では縮合が進行するにつれ塩酸が発生し、それが縮合の触媒として働く求核種の攻撃を阻害するため、縮合反応が徐々に進行しなくなり、原料が残っていてもいずれ反応は停止する。こうなると、反応混合物から目的物だけを単離するには製造的に適性のある再結晶あるいは再沈殿法では困難となり、カラムクロマトグラフィーを使用するような生産性の悪い精製法が必要となる。そのため製造工程も長くなり、工業的な見地からはコスト高につながるという欠点を有している。
また、特許文献3には、高沸点アルコール(n−ブタノール等)溶媒でDBU等の強塩基共存下に反応を行う方法、もしくは特許文献4には、金属アルコキシドを用いる方法が良く知られているが、反応系が強塩基性になるため塩基性条件下で分解しやすい置換基を有する基質は用いることが出来ない。また反応基質や溶媒中に含まれる水分によって反応基質が分解し、収率が大幅に低下することもある。
また、特許文献5には、脱水剤の存在下に反応を行う方法や、特許文献6には、金属酸化物と併用してpKa7.0以下の酸の共存下で反応させる方法も知られているが、これらの使用で収率は向上するものの満足できるレベルに至っていないのが実情である。また、特許文献7には、アルカリ土類金属化合物の存在下でフタロシアニン化合物を製造する方法が開示されているが、収率および純度の点で問題があった。
上記の問題点を解決すべく、特許文献8には、反応性・純度を大幅に改良した合理的な製造方法が知られているが、更なる収率向上と製造スケールでの操作性(反応時間短縮・晶析性・ろ過性等)改良方法が望まれていた。
白井汪芳・小林長夫著、「フタロシアニン−化学と機能−」、株式会社アイピーシー(1997年) 特開昭49−49759号公報 特許第2520476号明細書 特開平11−269399号公報 特開平11−209380号公報 特開平11−116835号公報 特開平11−263919号公報 特開2000−169743号公報 特開2005−41856号公報
本発明は、上記従来における金属フタロシアニン化合物の製造方法に関する問題を解決し、下記目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明の目的は、脱水剤の共存下、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの中から選ばれる少なくとも2種と金属化合物とを加熱反応させて金属フタロシアニン化合物を製造する方法であって、工業的に安定して、高収率、高純度、操作性良好な金属フタロシアニン化合物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、温和な条件でかつ高い反応収率を与える製造方法を詳細に検討した結果、脱水剤の共存下、緩衝液中で反応を行うことで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば下記構成の製造方法が提供でき上記目的が達成された。
1.下記一般式(I)で表される化合物(化合物A〜化合物F)の中から選ばれる少なくとも2種と金属化合物とから金属フタロシアニン化合物を製造する方法であって、脱水剤の共存下、有機塩基または無機塩基と酸との緩衝液中で反応を行うことを特徴とする金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(I)
Figure 2006124679
一般式(I)中、Rは水素原子または置換基を表す。lは0〜4の整数を表す。lが2〜4のとき、複数のRは互いに同一でも異なってもよい。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。

2.前記一般式(I)で表される化合物(化合物A〜化合物F)が下記一般式(II)で表される化合物(化合物G〜L)であることを特徴とする上記1に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(II)
Figure 2006124679
一般式(II)中、aとbはそれぞれ独立に置換基を示し、それらのハメットの置換基定数σp値の総和が0.20以上である。mとnは0≦m≦4、0≦n≦3、0≦m+n≦4を満たす整数を表す。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。

3.前記一般式(II)で表される化合物(化合物G〜L)が下記一般式(III)で表される化合物(化合物M〜化合物Q)であることを特徴とする上記1又は2に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(III)
Figure 2006124679
一般式(III)中、a1はそれぞれ独立にスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表し、置換基を有していても良い。m1は0〜2の整数を表す。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。

4.前記一般式(III)で表される化合物(化合物M〜化合物Q)が下記一般式(IV)で表される化合物(化合物R〜化合物S)であることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(IV)
Figure 2006124679
一般式(IV)中、a1はそれぞれ独立にスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表し、置換基を有していても良い。mは0〜2の整数を表す。Gは6員の含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表す。

5.反応溶剤にグリセリンおよび下記一般式(V)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする上記1〜4のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(V)
Figure 2006124679
但し、sおよびtは、それぞれ独立に正の整数を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。

6.前記脱水剤が、アセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、エポキシド化合物、オキセタン化合物から選択されることを特徴とする、上記1〜5のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。

7.前記塩基が、カルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩または3級アミン塩の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする上記1〜6のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。

8.前記塩基が下記一般式(VI)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする上記1〜6のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法である。
一般式(VI)
Figure 2006124679
一般式(VI)中、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、Y1、Y2およびY3が結合して形成される縮環型の有機塩基でもよい。各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
本発明の方法によれば、工業的に安定して、高収率、高純度、金属フタロシアニン化合物を操作性良く製造できる。
以下、本発明の詳細について説明する。
まず、一般式(I)で表される化合物について説明する。
一般式(I)において、Rは水素原子または置換基を表し、置換基の具体例としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、3−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)プロピル)、アラルキル基(好ましくは炭素7〜30の置換もしくは無置換のアラルキル基で、例えばベンジル、フェネチル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基で、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、アルケニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、アルキニル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキニル基で、好ましくは炭素数2〜30であり、例えば、エチニル、プロパギル、トリメチルシリルエチニル)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えば、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基〔好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基(例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、さらには4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)が好ましい〕、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、カルボキシ基またはその塩、スルホニルカルバモイル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のスルホニルカルバモイル基、例えば、メタンスルホニルカルバモイル、オクタンスルホニルカルバモイル、ベンゼンスルホニルカルバモイル)、アシルカルバモイル基(好ましくは炭素数2〜30のアシルカルバモイル基で、例えば、ホルミルカルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル)、スルファモイルカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のスルファモイルカルバモイル基で、例えば、メチルスルファモイルカルバモイル、フェニルスルファモイルカルバモイル)、カルバゾイル基(好ましくは炭素数1〜30のカルバゾイル基で、例えば、カルバゾイル、3−エチルカルバゾイル、3,3−ジメチルカルバゾイル、2−エチル−3−フェニルカルバゾイル)、オキサリル基(好ましくは炭素数2〜30のオキサリル基で、例えば、メチルオキサリル、フェニルオキサリル、エトキシオキサリル、フェノキシオキサリル)、オキサモイル基(好ましくは炭素数2〜30のオキサモイル基で、例えば、オキサモイル、N−エチルオキサモイル、N−フェニルオキサモイル、N,N−ジエチルオキサモイル)、シアノ基、チオカルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30のチオカルバモイル基で、例えば、チオカルバモイル、N−エチルチオカルバモイル、N−フェニルチオカルバモイル)、
ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含み、好ましくは炭素数1〜30のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ、ヘキサデシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換若しくは未置換のアリールオキシ基で、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(前述のヘテロ環基のヘテロ環オキシ基が好ましく、例えば、ピリジルオキシ、イミダオイルオキシ、ピペリジルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のアシルオキシ基で、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のアルコキシカルボニルオキシもしくは炭素数6〜30のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、メトキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のカルバモイルオキシ基で、カルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、フェニルカルバモイルオキシ)、スルホニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30のスルホニルオキシ基で、例えば、メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ)、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル,炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)アミノ基が好ましく、例えば、メチルアミノ、ジエチルアミノ、フェニルアミノ、ピリジルアミノ〕、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のアシルアミノ基で、例えばホルミルアミノ、アセチルアミノ、べンゾイルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜30のスルホンアミド基で、例えばエタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30のウレイド基で、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイド)、チオウレイド基(好ましくは炭素数1〜30のチオウレイド基で、例えば、メチルチオウレイド、フェニルチオウレイド)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のアルコキシカルボニルアミノもしくは炭素数7〜30のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のスルファモイルアミノ基で、例えば、メタンスルファモイルアミノ、ベンゼンスルファモイルアミノ)、セミカルバジド基(好ましくは炭素数1〜30のセミカルバジド基で、例えば、セミカルバジド、N−エチルセミカルバジド、N−フェニルセミカルバジド)、チオセミカルバジド基(好ましくは炭素数1〜30のチオセミカルバジド基で、例えば、チオセミカルバジド、N−ブチルチオセミカルバジド、N−フェニルチオセミカルバジド)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数1〜30のヒドラジノ基で、例えば、ヒドラジノ、エチルヒドラジノ、フェニルヒドラジノ)、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30のオキサモイルアミノ基で、例えば、オキサモイル、エチルオキサモイル、フェニルオキサモイル)、(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基(好ましくは炭素数2〜30のアルキルスルホニルウレイドもしくは炭素数7〜30のアリールスルホニルウレイド基で、例えば、メタンスルホニルウレイド、ベンゼンスルホニルウレイド)、アシルウレイド基(好ましくは炭素数2〜30のアシルウレイド基で、例えばホルミルウレイド、アセチルウレイド、ベンゾイルウレイド)、アシルスルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30のアシルスルファモイルアミノ基で、例えば、アセチルスルファモイルアミノ、ベンゾイルスルファモイルアミノ)、
ニトロ基、メルカプト基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)チオ基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル、炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)チオ基で、例えば、メチルチオ、フェニルチオ、ピリジルチオ〕、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルホニル基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル、炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)スルホニル基で、例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、ピリジルスルホニル〕、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルフィニル基〔(好ましくは炭素数1〜30のアルキル、炭素数6〜30のアリール、前述のヘテロ環基におけるヘテロ環)スルフィニル基で、例えば、メチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、ピリジルスルフィニル〕、スルホ基またはその塩、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル、エタンスルファモイル、ベンゼンスルファモイル)、アシルスルファモイル基(好ましくは炭素数1〜30のアシルスルファモイル基で、例えば、ホルミルスルファモイル、アセチルスルファモイル、ベンゾイルスルファモイル)、スルホニルスルファモイル基またはその塩(好ましくは炭素数0〜30で、例えばメタンスルホニルスルファモイル、ベンゼンスルホニルスルファモイル)、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基(好ましくは炭素数0〜30で、例えばリン酸アミド、メチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミド、エトキシリン酸アミド、フェノキシリン酸アミド)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、シリル基(好ましくは炭素数1〜30のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)等が挙げられる。
Rが置換基の場合、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、スルホニルオキシ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、メルカプト基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルホニル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、リン酸アミドもしくはリン酸エステル構造を含む基が用いられる。より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルホニル基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基が用いられる。さらに好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、カルバモイル基、オキサモイル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)チオ基、(アルキル、アリールまたはヘテロ環)スルホニル基、スルファモイル基が用いられる。
Rが置換基の場合、特に好ましくは、ハロゲン原子、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
Rで表される置換基はさらに置換されていてもよい。このような置換された置換基としては、どのような置換基で置換された置換基をも包含するが、好ましくはイオン性親水性基で置換された置換基が好ましい。具体的には、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造などのイオン性親水性基で置換されている場合も好ましい。
イオン性親水性基としてカルボキシル基、スルホ基、リン酸基を有している場合は、これらの基は必要に応じて対カチオンを有していてもよく、対カチオンとしては金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が用いられる。
イオン性親水性基として窒素の4級塩構造を有する基またはリンの4級塩構造を有している場合は、必要に応じて対アニオンを有していてもよく、対アニオンとしては例えばハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、シュウ酸イオン、アルカンスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、アルカンカルボン酸イオン、アリールカルボン酸イオン等をとることができる。
イオン性親水性基として好ましくはカルボキシル基、スルホ基、リン酸基であり、より好ましくはカルボキシル基、スルホ基である。この場合、対カチオンとして、Li、Na、K、NHの陽イオンが好ましく用いられ、より好ましくはLi、Naの陽イオンが用いられ、特に好ましくはLiの陽イオンが用いられる。
本発明のフタロシアニン化合物の特に好ましい対カチオンはリチウムイオンである。対カチオンはすべてリチウムイオンでなくてもよいが、実質的には最も存在比率が高い対カチオンがリチウムイオンであるのが好ましい。
このような存在比率の条件下において、水素イオン、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなど)、4級アンモニウムイオン、4級ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどを対カチオンとして含むことができる。
上記フタロシアニン化合物の対カチオンの種類及び比率については、日本化学会編“新実験化学講座9 分析化学”(1977年 丸善)及び日本化学会編“第4版 実験化学講座15 分析”(1991年 丸善)に、分析方法や元素についての各論が記載されているので、これを参考にして分析方法を選び、分析及び定量することができる。中でもイオンクロマトグラフィー、原子吸光法、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP)などの分析法によって決定することが容易である。
上記フタロシアニン化合物のリチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることが好ましく、上限としては100%が好ましい。
Rが炭素原子を有する基である場合には、その総炭素数は1〜100が好ましく、より好ましくは1〜80であり、さらに好ましくは1〜50であり、特に好ましくは1〜20である。
lは0〜4の整数を表す。好ましくはlは1〜3であり、より好ましくは1または2である。lが2〜4の場合には、複数のRが存在することになるが、この場合には複数あるRは同一のものであっても異なっていても良い。
一般式(I)で表される化合物からフタロシアニン化合物を製造する場合には、1分子のフタロシアニン化合物を製造するのに化学量論的には4分子の一般式(I)で表される化合物が必要である。
ここで一般式(I)で表される化合物は必要な4分子全て同じものである必要はなく、異なるRを有する一般式(I)で表される化合物の複数種類を任意の割合で用いてもよく、本発明においては一般式(I)で表される化合物の4分子中、少なくとも2種以上異なるRを有する場合が特に好ましい。
異なるRを有する一般式(I)で表される化合物の複数種類を任意の割合で用いる場合は、本発明の一般式(I)で表される化合物A群から任意の割合で選択しても良いし、化合物A群〜化合物F群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(I)で表される化合物A群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なるRの混合分布を管理する目的からより好ましい。
異なるRを有する一般式(I)で表される化合物の複数種類を任意の割合で用いる場合の混合比は、対応するフタロシアニン化合物に対して、上限〜下限制限はないが、より好ましくはフタロシアニン化合物の製造時に必要な4分子の一般式(I)で表される化合物を、以下の比率で用いる場合である。
(1)異なるRが2種の場合:(R1+R2=4)
R1:R2=0.01〜3.99(eq/eq):3.99〜0.01(eq/eq)
(2)異なるRが3種の場合:(R1+R2+R3=4)
R1=0.01〜3.98(eq)
R2=0.01〜3.98(eq)
R3=0.01〜3.98(eq)
(R1+R2+R3=4)を満たす、上記R1〜R3の最小値〜最大値から任意に選択可能である。
(3)異なるRが4種の場合それぞれ独立に:
R1=0.01〜3.97(eq)
R2=0.01〜3.97(eq)
R3=0.01〜3.97(eq)
R4=0.01〜3.97(eq)
(R1+R2+R3+R4=4)を満たす、上記R1〜R3の最小値〜最大値から任意に選択可能である。
一般式(I)の化合物におけるRの置換位置は置換可能な位置であれば何れの位置でも良いが、好ましくは4位または5位に置換していることが好ましい。
一般式(I)で表される化合物中のGは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表すが、好ましくは6員芳香族環、6員含窒素へテロ環が好ましく、その中でも6員芳香族環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましく、6員芳香族環、ピリジン環が特に好ましく、6員芳香族環が最も好ましい。
一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの中でも化合物A、化合物Bおよび化合物Fが好ましく、より好ましくは化合物Aおよび化合物Bであり、特に好ましくは化合物Aである。
本発明の一般式(I)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(I)で表される化合物の好ましい組み合わせは、以下の(イ)〜(へ)を含むものである。
(イ)Rは水素原子または置換基を表す。好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
Rで表される置換基はさらに置換されていてもよく、このような置換された置換基としては、好ましくはイオン性親水性基で置換された置換基が好ましい。
具体的には、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造などの親水性基で置換されている場合が好ましく、更にカルボキシル基、スルホ基が好ましく、その中でも特にスルホ基が最も好ましい。
イオン性親水性基としてカルボキシル基、スルホ基、リン酸基を有している場合は、これらの基は必要に応じて対カチオンを有していてもよく、対カチオンとしては金属イオン、窒素の4級塩構造を有する基、リンの4級塩構造を有する基が好ましく、更にLi、Na、K、NHの陽イオンが好ましく、より好ましくはLi、Naの陽イオンであり、その中でも特にLiの陽イオンが好ましい。
上記リチウムイオンの量としては、対イオン全体に対して、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であることが好ましく、上限としては100%が好ましい。
(ロ)Gは6員芳香族環、6員含窒素へテロ環が好ましく、その中でも6員芳香族環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましく、6員芳香族環、ピリジン環が特に好ましく、6員芳香族環が最も好ましい。
(ハ)lは0〜4の整数を表す。好ましいlは、0〜3の整数を表し、更に0〜2の整数が好ましく、その中でも特にl=0〜1が最も好ましい。lが2〜4のとき、複数のRは互いに同一でも異なってもよい。
(ニ)一般式(I)の化合物におけるRの置換位置は置換可能な位置であれば何れの位置でも良いが、好ましくは4位または5位に置換していることが好ましい。
(ホ)一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの中でも化合物A、化合物Bおよび化合物Fが好ましく、より好ましくは化合物Aおよび化合物Bであり、特に好ましくは化合物Aである。
(ヘ)異なるRを有する一般式(I)で表される化合物の複数種類を任意の割合で用いる場合は、本発明の一般式(I)で表される化合物A群から任意の割合で選択しても良いし、化合物A群〜化合物F群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(I)で表される化合物A群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なるRの混合分布を管理する目的からより好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの中でも、特に前記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lが好ましい。
次に一般式(II)で表される化合物について説明する。
前記一般式(II)で表される化合物G〜化合物L中、aとbはそれぞれ独立に置換基を示し、それらのハメットの置換基定数σp値の総和が0.20以上である。m及びnは0≦m≦4、0≦n≦3、0≦m+n≦4を満たす整数を表す。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。
ここで、本明細書中、例えば一般式(II)中で、用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
上記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lのa及びまたはbが示す好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
これらの基は、さらにイオン性親水性基などの置換基およびまたはイオン性親水性基を置換基とするアルキル基、アリール基を有しているのが好ましい。
一般式(II)中の置換基としてのイオン性親水性基例は上記一般式(I)中で説明したイオン性親水性基と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(II)中のGは上記一般式(I)中で説明したGと同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(II)中のmは、0〜4の整数を表し、0〜2が好ましく、その中でも1または2が好ましく、m=1が最も好ましい。
一般式(II)中のnは、0〜3の整数を表し、0〜2が好ましく、その中でも0〜1が好ましく、n=0が最も好ましい。
一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lの中でも化合物G、化合物Hおよび化合物Lが好ましく、より好ましくは化合物Gおよび化合物Hであり、特に好ましくは化合物Gである。
一般式(II)で表される化合物(化合物G〜化合物L)の少なくとも2種化合物は、本発明の一般式(II)で表される化合物G群から任意の割合で選択しても良いし、化合物G群〜化合物L群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(II)で表される化合物G群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なる染料混合分布を管理する目的からより好ましい。
本発明の一般式(II)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(II)で表される化合物の好ましい組み合わせは、下記(イ)〜(ト)を含むものである。
(イ)aまたはbの表す好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
aまたはbで表される置換基はさらに置換されていてもよく、このような置換された置換基としては、好ましくはイオン性親水性基で置換された置換基が好ましい。
イオン性親水性基の例は上記一般式(I)中で説明したイオン性親水性基と同義であり、好ましい例も同じである。
(ロ)Gは6員芳香族環、6員含窒素へテロ環が好ましく、その中でも6員芳香族環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましく、6員芳香族環、ピリジン環が特に好ましく、6員芳香族環が最も好ましい。
(ハ)mは、0〜4の整数を表し、0〜2が好ましく、その中でも1または2が好ましく、m=1が最も好ましい。
(ニ)nは、0〜3の整数を表し、0〜2が好ましく、その中でも0〜1が好ましく、n=0が最も好ましい。
(ホ)一般式(II)の化合物におけるaまたはbの置換位置は置換可能な位置であれば何れの位置でも良いが、好ましくは4位または5位に置換していることが好ましい。
(ヘ)化合物G〜化合物Lの中でも化合物G、化合物Hおよび化合物Lが好ましく、より好ましくは化合物Gおよび化合物Hであり、特に好ましくは化合物Gである。
(ト)一般式(II)で表される化合物(化合物G〜化合物L)の少なくとも2種化合物は、本発明の一般式(II)で表される化合物G群から任意の割合で選択しても良いし、化合物G群〜化合物L群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(II)で表される化合物G群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なる染料混合分布を管理する目的からより好ましい。
前記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lの中でも、特に前記一般式(III)で表される化合物M〜化合物Rが好ましい。
次に一般式(III)で表される化合物について説明する。
上記一般式(III)で表される化合物M〜化合物Rのaが示す好ましい置換基としては、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
これらの基は、さらにイオン性親水性基などの置換基およびまたはイオン性親水性基を置換基とするアルキル基、アリール基を有しているのが好ましい。
一般式(III)中の置換基としてのイオン性親水性基例は上記一般式(I)中で説明したイオン性親水性基と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(III)中のGは上記一般式(I)中で説明したGと同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(III)中のmは、0〜2の整数を表し、1または2が好ましく、その中でもm=1が最も好ましい。
一般式(III)で表される化合物M〜化合物Rの中でも化合物M、化合物Nおよび化合物Rが好ましく、より好ましくは化合物Mおよび化合物Nであり、特に好ましくは化合物Mである。
一般式(III)で表される化合物(化合物M〜化合物R)の少なくとも2種化合物は、本発明の一般式(III)で表される化合物G群から任意の割合で選択しても良いし、化合物M群〜化合物R群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(III)で表される化合物M群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なる染料混合分布を管理する目的からより好ましい。
本発明の一般式(III)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(III)で表される化合物の好ましい組み合わせは、下記(イ)〜(ト)を含むものである。
(イ)aの表す好ましい置換基の例としては、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
で表される置換基はさらに置換されていてもよく、このような置換された置換基としては、好ましくはイオン性親水性基で置換された置換基が好ましい。
イオン性親水性基の例は上記一般式(I)中で説明したイオン性親水性基と同義であり、好ましい例も同じである。
(ロ)Gは6員芳香族環、6員含窒素へテロ環が好ましく、その中でも6員芳香族環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましく、6員芳香族環、ピリジン環が特に好ましく、6員芳香族環が最も好ましい。
(ハ)mは、0〜2の整数を表し、1または2が好ましく、その中でもm=1が最も好ましい。
(ニ)一般式(III)の化合物におけるa1の置換位置は置換可能な位置であれば何れの位置でも良いが、好ましくは4位または5位に置換していることが好ましい。
(ホ)化合物M〜化合物Rの中でも化合物M、化合物Nおよび化合物Rが好ましく、より好ましくは化合物Mおよび化合物Nであり、特に好ましくは化合物Mである。
(ト)一般式(III)で表される化合物(化合物M〜化合物R)の少なくとも2種化合物は、本発明の一般式(III)で表される化合物M群から任意の割合で選択しても良いし、化合物M群〜化合物R群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(III)で表される化合物M群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なる染料混合分布を管理する目的からより好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物G〜化合物Lの中でも、特に前記一般式(IV)で表される化合物S〜化合物Xが好ましい。
次に一般式(IV)で表される化合物について説明する。
上記一般式(IV)で表される化合物M〜化合物Rのaが示す好ましい置換基としては、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
これらの基は、さらにイオン性親水性基などの置換基およびまたはイオン性親水性基を置換基とするアルキル基、アリール基を有しているのが好ましい。
一般式(IV)中の置換基としてのイオン性親水性基例は上記一般式(I)中で説明したイオン性親水性基と同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(IV)中のGは上記一般式(I)中で説明したGと同義であり、好ましい例も同じである。
一般式(IV)中のmは、0〜2の整数を表し、1または2が好ましく、その中でもm=1が最も好ましい。
一般式(IV)で表される化合物S〜化合物Xの中でも化合物S、化合物Uおよび化合物Wが好ましく、より好ましくは化合物Sおよび化合物Wであり、特に好ましくは化合物Sである。
一般式(IV)で表される化合物(化合物S〜化合物X)の少なくとも2種化合物は、本発明の一般式(IV)で表される化合物S群から任意の割合で選択しても良いし、化合物S群〜化合物X群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(IV)で表される化合物S群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なる染料混合分布を管理する目的からより好ましい。
本発明の一般式(IV)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
本発明の一般式(IV)で表される化合物の好ましい組み合わせは、下記(イ)〜(ホ)を含むものである。
(イ)aの表す好ましい置換基の例としては、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはカルバモイル基、スルファモイル基、スルフィニル基、スルホニル基であり、その中でもスルファモイル基、スルホニル基が特に好ましく、スルホニル基が最も好ましい。
で表される置換基はさらに置換されていてもよく、このような置換された置換基としては、好ましくはイオン性親水性基で置換された置換基が好ましい。
イオン性親水性基の例は上記一般式(I)中で説明したイオン性親水性基と同義であり、好ましい例も同じである。
(ロ)Gは6員含窒素へテロ環が好ましく、その中でもピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環が好ましく、ピリジン環が最も好ましい。
(ハ)mは、0〜2の整数を表し、1または2が好ましく、その中でもm=1が最も好ましい。
(ニ)化合物S〜化合物Xの中でも化合物S、化合物Tおよび化合物Wが好ましく、より好ましくは化合物Sおよび化合物Wであり、特に好ましくは化合物Sである。
(ホ)一般式(IV)で表される化合物(化合物S〜化合物X)の少なくとも2種化合物は、本発明の一般式(IV)で表される化合物S群から任意の割合で選択しても良いし、化合物S群〜化合物X群から任意の割合で選択しても良い、その中でも好ましくは、一般式(IV)で表される化合物S群から任意の割合で選択して用いるのが、フタロシアニン化合物の製造時に任意に異なる染料混合分布を管理する目的からより好ましい。
次に脱水剤について説明する。
脱水剤としては、水分子を吸着するもの(Molecular sieves、Drierite(登録商標)、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム等)、水と共沸し脱水効果を示すもの(ベンゼン、トルエン、キシレン、エタノール、メタノール、アセトニトリル等)、水と化学反応を起こすもの〔有機金属化合物(Grignard反応剤、有機リチウム反応剤、有機亜鉛反応剤等)、酸無水物(カルボン酸無水物、スルホン酸無水物、混合酸無水物を含む)、酸ハライド、ポリリン酸、5酸化2リン、オキシ塩化リン、5塩化リン、3塩化リン、オルトエステル化合物、アセタール化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、オキシラン化合物、オキセタン化合物等〕が挙げられる。
脱水剤としては水と化学反応を起こすものが好ましく用いられる。より好ましくは、アセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、エポキシド化合物、オキセタン化合物が用いられる。更に好ましくはアセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物が用いられる。ここで用いられる脱水剤が炭素原子を含む物質である場合には、総炭素数は1〜50であり、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20である。
以下に脱水剤として特に好ましいものを示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006124679
Figure 2006124679
脱水剤は反応混合物中の水をフタロシアニン生成反応において影響ない程度にまで除くことができる量を添加する必要があり、その必要量は反応混合物中の水分量と用いる脱水剤の脱水効率によって決まる。そのため、脱水剤の必要量はケースバイケースであり一律に規定することは出来ないが、前記一般式(I)〜(IV)で表される化合物に対し0.1〜500当量が好ましい。
脱水剤は反応の何れの段階で添加しても良いが、反応仕込み時に添加することが好ましい。また脱水剤の脱水効率を上げる補助的な操作として、加熱、減圧、あるいは不活性ガス気流下で反応を行うなどの操作が必要な場合は、これらの適当な操作を行っても良い。
本反応で使用できる塩基としてはアルカリ金属を含む無機塩基、または有機塩基である。
無機塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が好ましい。
他に酢酸リチウム、酢酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香アンモニウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等も挙げられる。
これらの有機酸のアルカリ金属塩も本発明においては無機塩基と定義する。
その中でも、カルボン酸アンモニウム塩が特に好ましい。
本発明で使用するカルボン酸アンモニウム塩は、脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩、芳香族カルボン酸のアンモニウム塩、ヘテロ環カルボン酸のアンモニウム塩が好ましく、これらの塩におけるカルボン酸はモノカルボン酸であってもジカルボン酸以上の多カルボン酸であってもかまわないが、好ましくはモノカルボン酸である。
脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは1〜10)の飽和もしくは不飽和で、直鎖、分岐もしくは環状の置換もしくは無置換の脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩で、例えば、ギ酸アンモニウム、シュウ酸ジアンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム、ブタン酸アンモニウム、酪酸アンモニウム、アクリル酸アンモニウム、シクロヘキサンカルボン酸アンモニウムが挙げられる。
芳香族カルボン酸のアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換の芳香族カルボン酸のアンモニウム塩で、例えば、安息香酸アンモニウム、トルイル酸アンモニウム、フタル酸ジアンモニウムが挙げられる。ヘテロ環カルボン酸のアンモニウム塩としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは3〜10)の飽和または不飽和で、置換もしくは無置換のヘテロ環カルボン酸のアンモニウム塩で、例えば、ニコチン酸アンモニウム、イソニコチン酸アンモニウム、1−ピロールカルボン酸アンモニウムが挙げられる。
これらのカルボン酸アンモニウム塩のうち、好ましくは脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩または芳香族カルボン酸アンモニウム塩であり、より好ましくは、炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸のアンモニウム塩、炭素数7〜10の芳香族カルボン酸のアンモニウム塩であり、さらに好ましくは酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウムまたは安息香酸アンモニウムであり、特に好ましくは酢酸アンモニウムまたは安息香酸アンモニウムである。
有機塩基としては、アミン(例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン等)を使用することが好ましい。
さらに好ましくは下記一般式(VI)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種である。
一般式(VI)
Figure 2006124679
式中、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。上記置換基の例としては、好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の直鎖状または分岐状鎖アルキル基、好ましくは炭素数7〜30(好ましくは7〜18)のアラルキル基、好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)炭素数の直鎖状または分岐鎖状アルキニル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルキル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族の複素環基、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)等が挙げられる。また、Y1、Y2およびY3のうち2つ以上が環を形成しても良い。例えばピリジン、イミダゾール、ジアザビシクロウンデセン、ピペリジン、モルホリン、アザクラウンが好ましく、ピリジン、イミダゾール、ピペリジン、モルホリンが好ましく、更に好ましくはピリジン、ピペリジン、モルホリンである。
1、Y2およびY3の好ましい基はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキル基である。また各々の基はさらに置換基を有していてもよい。その置換基の例としては、好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の直鎖状または分岐状鎖アルキル基、好ましくは炭素数7〜30(好ましくは7〜18)のアラルキル基、好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)のアルケニル基、好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)炭素数の直鎖状または分岐鎖状アルキニル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルキル基、好ましくは側鎖を有していてもよい炭素数3〜30(好ましくは3〜12)のシクロアルケニル基(上記基の具体的例として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族の複素環基、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、ハロゲノ基(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子);アルキルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12の置換もしくは無置換のアルキルオキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜18の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のウレイド基、例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜30(好ましくは0〜18)の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、オクタデカンスルホンアミド)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)の置換もしくは無置換のアルキルオキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(好ましくは炭素数6〜30(好ましくは6〜18)の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30(好ましくは2〜12)の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数7〜30(好ましくは7〜18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、
シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20(好ましくは3〜12)のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30(好ましくは7〜18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30(好ましくは2〜12)の置換もしくは無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30(好ましくは1〜12)の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30(好ましくは6〜18)の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30(好ましくは7〜18)の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30(好ましくは2〜12)の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30(好ましくは7〜18)の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30(好ましくは4〜12)の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基、および4級アンモニウム基)、その他シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。好ましい置換基としては、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、イオン性親水性基、ヒドロキシル基、アミノ基が好ましく、より好ましくは、ヘテロ環基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、イオン性親水性基、ヒドロキシル基、アミノ基であり、更に好ましくはアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、イオン性親水性基、ヒドロキシル基、アミノ基である。
1、Y2およびY3の特に好ましい例は好ましい置換基を有するアルキル基またはシクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が好ましく、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基である。その他、金属に対するキレート能を有するアミンが好ましい。
有機塩基としての最も好ましい例は、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オキシン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、グリシン、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸が挙げられる。更に好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オキシン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、グリシン、イミノ酢酸、エチレンジアミン四酢酸であり、最も好ましくはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、エチレンジアミン四酢酸である。
本発明において、これら有機塩基と無機塩基を単独または併用すること、どちらでも可能であるが、これら塩基は反応溶媒に溶解することで緩衝液として働くため、溶解性の高い塩基が好ましく、無機塩基の中でもカルボン酸アンモニウム塩、及び有機塩基がより好ましく、特に、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンをカチオンとする有機酸塩が更に好ましい。
カルボン酸アンモニウム塩の中でも、特に脂肪族アンモニウム塩、芳香族アンモニウム塩が好ましく、芳香族アンモニウム塩が最も好ましい。
本発明で使用する塩基の使用量としては上記一般式(I)〜(IV)で示される化合物の使用量に対して0.05〜30.0当量であり、好ましくは0.5〜15.0当量である。
更に好ましいカルボン酸アンモニウム塩の使用量は、本発明の一般式(I)〜(IV)で示される化合物に対して0.01〜2000当量の範囲である。
好ましくは1〜1000当量の範囲であり、より好ましくは20〜500当量の範囲であり、更に好ましくは50〜400当量の範囲である。
前述したように、一般式(I)で表される化合物A〜化合物Fの少なくとも一種と金属化合物から金属フタロシアニン化合物を製造する工程において、フタロシアニンの縮合の触媒として塩基を使用することで反応を効率的に進行させることが可能と言われている。
しかし、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fでも電子吸引性基を有する化合物、より詳細には一般式(II)で示される化合物G〜化合物Lは塩基で、例えば化合物A及びまたは化合物Gの場合はフタロニトリルの分解が促進する。特にσp値の高い電子吸引性基が置換した金属フタロシアニン化合物では分解が顕著であった。
しかし、この分解は反応系に酸を共存させることで抑制できることが分かった。
すなわち結果的に反応系は酸と塩基からなる緩衝液となり、その中で一般式(I)〜(IV)で示される化合物A〜化合物Fが分解することなく収率良く反応が進行した。
また、反応の副生成物として発生する酸も反応を緩衝液中で行っているためpHが保たれ、反応が安定に進行することが分かった。
緩衝液とは、溶液中のある成分濃度の変化に対する緩衝作用が大きい溶液をいう。例えば酢酸など弱酸(AH)とその共役塩基(A-)の混合溶液は,少量のH+またはOH-を添加しても、pH変化をわずかに抑えることができる。弱塩基(B)と共役酸(BH+)を含む系も同様な作用を示す。実用的なpH緩衝液としては多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、長倉三郎編「理化学辞典」第5版(1999年 岩波書店)に詳しい。
本発明に用いられる酸としては、特に制限されるものではないが、25℃における水溶液中の解離指数pKaが7.0以下のものであれば有機化合物および無機化合物のいずれでも好ましい。pKaは酸解離定数の逆数の対数値を表し、イオン強度0.1、25℃で求められた値である。このpKa0.0〜7.0の酸としては、リン酸などの無機酸や酢酸、マロン酸、クエン酸等の有機酸のいずれであってもよいが、上記の改良により効果を示すpKa0.0〜7.0の酸は有機酸である。また、有機酸にあってもカルボキシル基を有する有機酸が最も好ましい。pKaが0.0〜7.0の有機酸は一塩基性有機酸であっても多塩基性有機酸であってもよい。多塩基性有機酸の場合、そのpKaが上記0.0〜7.0の範囲にあれば金属塩(例えばナトリウム塩やカリウム塩)やアンモニウム塩として使用できる。また、pKa0.0〜7.0の有機酸は2種以上混合使用することもできる。
本発明に使用するpKa0.0〜7.0の有機酸の好ましい具体例を挙げると、ギ酸、酢酸、モノクロル酢酸、モノブロモ酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、モノクロルプロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、アクリル酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、アミノ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸などの脂肪族系一塩基性有機酸;アスパラギン、アラニン、アルギニン、エチオニン、グリシン、グルタミン、システイン、セリン、メチオニン、ロイシンなどのアミノ酸系化合物;安息香酸及びクロロ、ヒドロキシ等のモノ置換安息香酸、ニコチン酸等の芳香族系一塩基性有機酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族系二塩基性有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタル酸、シスチン、アスコルビン酸等のアミノ酸系二塩基性有機酸;フタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基性有機酸;クエン酸などの三塩基性有機酸など各種有機酸を列挙することができる。
本発明で好ましく使用される酸はカルボン酸である。
カルボン酸は、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、ヘテロ環カルボン酸が好ましく、これらのカルボン酸はモノカルボン酸であってもジカルボン酸以上の多カルボン酸であってもかまわないが、好ましくはモノカルボン酸である。
脂肪族カルボン酸としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは1〜10)の飽和もしくは不飽和で、直鎖、分岐もしくは環状の置換もしくは無置換の脂肪族カルボン酸で、例えば、ギ酸、シュウ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、酪酸、アクリル酸、シクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。芳香族カルボン酸としては、好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換の芳香族カルボン酸で、例えば、安息香酸、トルイル酸、フタル酸が挙げられる。ヘテロ環カルボン酸としては、好ましくは炭素数1〜30(より好ましくは3〜10)の飽和または不飽和で、置換もしくは無置換のヘテロ環カルボン酸の
アンモニウム塩で、例えば、ニコチン酸、イソニコチン酸、1−ピロールカルボン酸が挙げられる。
これらのカルボン酸のうち、好ましくは脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸であり、より好ましくは、炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸、炭素数7〜10の芳香族カルボン酸であり、さらに好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族カルボン酸である。
本発明においては、有機酸の中でも、脂肪族系一塩基性有機酸が好ましくギ酸、酢酸、プロピオン酸が最も好ましい。
当該pKaが7.0以下の化合物(酸)の使用量は、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して0.05〜20当量であり、好ましくは0.1〜10倍量を仕込むことで一般式(I)で示される化合物の分解抑制作用が得られる。pKaが7.0以下の酸の使用量が、一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して0.05倍量未満の場合には、一般式(I)で示される化合物の分解を抑えるには不十分である。一方、pKaが7.0以下の酸の使用量が、一般式(I)で示される化合物の全使用量に対して20倍量を超える場合には、反応系が酸性側に偏るため反応が進行しにくくなる。また緩衝液になるまで塩基を過剰に使用するため、酸と塩基の塩が結晶として生じたりして好ましくない。
本発明の金属フタロシアニン化合物の製造方法では、上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの少なくとも一種と上記金属化合物を上記の塩基及び上記pKaが7.0以下の酸との存在下で反応させるのが望ましいものであるが、この際の反応条件としては、反応温度が30〜220℃、好ましくは40〜200℃、更に好ましくは50〜180℃である。上記反応温度が30℃未満の場合には、反応速度が顕著に遅くなり製造に要する時間が著しく長くなるため経済的でなく、また220℃を超える高温で製造する場合には、副生成物の生成量が増加するため好ましくない。
本発明の反応に添加する金属化合物としては、金属、金属酸化物、金属水酸化物のほか、金属塩化物、金属酢酸塩、また錯体としては金属のアコ錯体、アンミン錯体を用いることができる。導入可能な金属または金属酸化物としては、VO、TiO、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Cd、Mg等を挙げることができ、これらの中でもFe、Ni、Cu、Znが好ましく、更に好ましくはNi、Cu、Znである。塩の状態として好ましいものは塩化物(例えば、塩化銅)、酢酸塩、アコ錯体が好ましく、特に塩化物、酢酸塩が最も好ましい。使用量としては、上記一般式(I)に示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して、0.01〜10倍当量が好ましく、更に0.05〜5倍当量が好ましく、特に好ましい量は、0.1〜3倍当量である。
また、本発明では触媒を同時に用いてよい。本発明の触媒としては通常金属フタロシアニン化合物の製造に用いられるすべての触媒を使用することができ、その例としてはモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、酸化モリブデン等のモリブデン化合物、タンクステン酸アンモニウム、リンタングステン酸アンモニウム等のタングステン化合物、ヒ素バナジウム化合物、ホウ酸、またはチタン、スズ、アンチモンのハロゲン化物あるいはオキシハロゲン化物が有り、中でもモリブデン酸アンモニウムが優れている。
本発明の方法で使用の溶剤は、一般的な有機溶剤を使用することができる。中でもヒドロキシル基を有する有機溶媒や、極性溶剤(例、アセトニトリル、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、プロピレンカーボネート、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルドデカンアミド)が好ましい。より好ましいアルコールの例としては、メタノール、エタノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニスアルコールが挙げられる。またモノ−のみならずオリゴ−(特にジ−及びトリ−)及びポリ−C2〜C4−アルキレングリコール(簡単にいうと「グリコール」)並びにこれらのモノ−C1〜C8−アルキル−及びモノアリールエーテル(簡単にいうと「グリコールモノエーテル」)も好適である。またエチレンを基礎とする化合物も有利である。例として、エチレングリコール、1,2−及び1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコール、ジ−、トリ−及びテトラプロピレングリコール、ポリエチレン−及びポリプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチル−、−モノエチル−、−モノプロピル−、−モノブチル−及び−モノヘキシルエーテル及びプロピレングリコールモノメチル−、−モノエチル−、−モノプロピル−、−モノブチル−及び−モノヘキシルエーテル、ジ−、トリ−及びテトラエチレングリコールモノメチル−、−モノエチル−及び−モノブチルエーテル及びジ−、トリ−及びテトラプロピレングリコールモノメチル−、−モノエチル−及び−モノブチルエーテル並びにエチレン−及びプロピレングリコールモノフェニルエーテルが挙げられる。また本発明では、工業的に使用される不活性溶剤を使用することもできる。例としてニトロベンゼン、トリクロロベンゼン、クロロナフタレン、メチルナフタレン、ナフタレン、アルキルベンゼン、パラフィン、ナフテン、ケロシンが挙げられる。
これらは1種もしくは互いに影響しない組み合わせであれば2種以上を適当に混合していて用いても良い。溶媒の使用量は上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量の1〜100質量倍、好ましくは1〜20質量倍であり、更に好ましくは1〜5質量倍である。
また本発明の方法で更に好ましい溶剤は、グリセリンおよび一般式(V)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種であり、もしくは互いに影響しない組み合わせであれば前項で説明したヒドロキシル基を有する有機溶媒や極性溶剤を適当に混合した溶媒である。式中s、tはそれぞれ独立に正の整数を示すが、好ましくはs、tはそれぞれ1〜10であり、より好ましくは1〜5である。Xは水素原子またはメチル基を表す。より好ましい例としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールとジエチレングリコールの1:2(v/v)の混合溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールの3:1(v/v)、メタノールとトリエチレングリコールの1:5(v/v)の混合溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量の1〜100質量倍、好ましくは1〜20質量倍であり、更に好ましくは1〜5質量倍である。
本反応において反応を長時間行うことは、目的物の安定性や副反応の発生が懸念され、また不経済である。反応時間として好ましくは10時間未満であり、更に好ましくは5時間未満であり、更に好ましくは4時間未満である。
以上をまとめると、本発明の金属フタロシアニン化合物の製造方法は、下記(イ)〜(チ)の組み合わせからなる製造方法が好ましい。
(イ)本発明で使用する酸としては、特に制限されるものではないが、25℃における水溶液中の酸または共役酸の解離指数pKaが7.0以下のものであれば有機化合物および無機化合物のいずれでも好ましい。中でもpKa0.0〜7.0の酸である有機酸が好ましく、カルボキシル基を有する有機酸が最も好ましい。有機酸の中でも、脂肪族系一塩基性有機酸が好ましくギ酸、酢酸、プロピオン酸が最も好ましい。
(ロ)塩基としてはアルカリ金属からなる無機塩基あるいは有機塩基を使用することができ、無機塩基としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の無機塩基を、及びカルボン酸塩、有機塩基としては前記一般式(IV)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、特に好ましい例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンである。他に酢酸リチウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等の有機酸塩である。
本発明において、これら有機塩基と無機塩基を単独または併用すること、どちらでも可能であるが、これら塩基は反応溶媒に溶解することで緩衝液として働くため、溶解性の高い塩基が好ましく、無機塩基の中でもカルボン酸アンモニウム塩、及び有機塩基がより好ましく、特に、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオンをカチオンとする有機酸塩が更に好ましい。
カルボン酸アンモニウム塩の中でも、特に脂肪族アンモニウム塩、芳香族アンモニウム塩が好ましく、芳香族アンモニウム塩が最も好ましい。その中でも特に、安息香酸アンモニウムがもっとも好ましい。
(ハ)反応条件としては、反応温度30〜220℃、好ましくは40〜200℃、特に好ましくは50〜180℃である。
(ニ)導入可能な金属または金属酸化物としては、VO、TiO、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pd、Cd、Mg等を挙げることができ、これらの中でもNi、Cu、Znが好ましい。また、塩の状態として特に好ましいものは塩化物(例えば、塩化銅)、酢酸塩である。使用量としては、上記一般式(I)に示される化合物A〜化合物Fの全使用量に対して、0.1〜3倍当量が特に好ましい。
(ホ)溶媒として最も好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールとジエチレングリコールが1:2(v/v)の混合溶媒、プロピレングリコールとトリエチレングリコールが4:1(v/v)の混合溶媒であり、使用量として特に好ましい量は上記一般式(I)で示される化合物A〜化合物Fの全使用量の1〜5質量倍である。
(ヘ)反応時間としては4時間未満が特に好ましい。
(ト)前記一般式(I)で表される本発明の化合物A〜化合物Fの中でも上記一般式(II)で表される化合物G〜化合物Lが好ましく、更に上記一般式(III)で表される化合物M〜化合物Rが好ましくい、更に上記一般式(IV)で表される化合物S〜化合物Xが好ましく、その中でも化合物S、化合物Wが特に好ましく、化合物Sが最も好ましい。
(チ)一般式(III)、一般式(IV)において好ましいa1はスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表し、特にスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基が好ましく、その中でもスルホニル基が特に好ましい。m1は1または2が好ましく、m=1が最も好ましい。
これらの好ましい組み合わせについては、これらの少なくとも1つが前述した好ましい条件であることが好ましく、より多くの前述した好ましい条件であることが好ましく、全てが前述した好ましい条件であることが最も好ましい。
以下に本発明において用いられる一般式(I)〜(IV)で表される化合物の例(1)〜(54)を以下に示す。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2006124679
Figure 2006124679
Figure 2006124679
Figure 2006124679
以下、本発明の製造方法により製造される金属フタロシアニン化合物について説明する。
本発明の製造方法により製造される金属フタロシアニン化合物は下記一般式により表される。
Figure 2006124679
一般式中、環A、B、C及びDは前記一般式(I)中で説明したGと同義であり、好ましい例も同じである。
Mは金属原子を表す。金属原子を表す場合は安定な錯体を形成するものであれば金属はいかなるものでも良く、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。また金属原子が酸化物、水酸化物、ハロゲン化物の状態でフタロシアニン化合物と錯体を形成していても良い。酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。水酸化物としては、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が挙げられる。ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。金属原子として好ましくはMg、Ca、Co、Zn、Pd、Cuが用いられ、より好ましくはCo、Pd、Zn、Cuが用いられ、特に好ましくはCuが用いられる。
本発明の方法で製造されるフタロシアニン化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記はMがCuの場合である。
Figure 2006124679
Figure 2006124679
本発明のフタロシアニン化合物の製造において、理論的に必要な4分子の一般式(I)で表される化合物を、異なるRが2種(R1+R2=4)であって、かつR1:R2=3:1(eq/eq)の比率で用いる場合、例えば下記スキームに従って反応は進行する。
Figure 2006124679
その他、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E、化合物Fを用いた金属フタロシアニン化合物の製造例も、例えば、「機能性色素としてのフタロシアニン(基礎編・応用編)」株式会社アイシーピー(2004年出版)、編著者 廣橋 亮・坂本 恵一、奥村 映子(p−30〜33)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行‘Phthalocyanines−Properties and Applications’(p−1〜54)等に記載、引用、もしくはこれら類似の方法を組み合わせながら行なうことができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例中の化合物2、化合物5、特開2004−2670号、特開2005−41856号、特願2004−094413号、特開2003−119415号に記載の方法で製造可能であり、いずれも一般式(I)〜(IV)で表される化合物に属するものである。
製造例1:フタロシアニン化合物1を主成分とする染料化合物の製造
Figure 2006124679
ジエチレングリコール120mLに、室温にて酢酸 0.6mL、オルト酢酸トリエチル21.2gを添加した後、化合物2 21.44g(含水率3%) 、化合物5 8.29g(含水率1%)を引き続き混合し、内温100℃に加熱した。反応混合物にCuCl2 3.0g、安息香酸アンモニウム24.8gを添加した後、内温100℃で1.5時間撹拌した。
次に、内温90℃まで冷却し、濃塩酸 7.7mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 4.28gを加え、内温90℃で30分間撹拌した。その後、イソプロパノールを360mL滴下し晶析した。内温80℃で1時間撹拌した後、30℃に冷却後、析出物を吸引ろ過し、イソプロパノール500mLでかけ洗いを行った。乾燥した後、粗結晶31.44gを得た。
粗結晶30.0gをイオン交換水38.3mL、メタノール90.7gに溶解後、50℃で2.5N−LiOH水溶液をpH9.5になるまで添加した。50℃で60分攪拌後、ごみ取りろ過を実施後、内温90℃まで昇温し、イソプロパノール450mLを滴下して晶析した。内温30℃まで冷却後精結晶を吸引ろ過し、イソプロパノール250mLでかけ洗いを行った。収量 27.3g(収率 91%)。
溶液吸収:λmax=624.7nm,ε59000(H2O)(フタロシアン化合物1 2.5mg/超純水100mL)。
製造例2:フタロシアニン化合物2を主成分とする染料化合物の製造
Figure 2006124679
ジエチレングリコール120mLに、室温にて酢酸0.6mL、オルト酢酸トリエチル21.2gを添加した後、化合物2 14.29g(含水率3%)、化合物5 16.58g(含水率1%)を引き続き混合し、内温100℃に加熱した。反応混合物にCuCl2 3.0g、安息香酸アンモニウム24.8gを添加した後、内温100℃で1.5時間撹拌した。
次に、内温90℃まで冷却し、濃塩酸 7.7mLを滴下した。続いて、塩化リチウム 4.28gを加え、内温90℃で30分間撹拌した。その後、イソプロパノールを360mL滴下し晶析した。内温80℃で1時間撹拌した後、30℃に冷却後、析出物を吸引ろ過し、イソプロパノール500mLでかけ洗いを行った。乾燥した後、粗結晶33.5gを得た。
粗結晶30.0gを0.1N−LiOH水溶液120mLに60℃で溶解後、ごみ取りろ過を実施し、同温度で30分間撹拌し、メタノ−ル30mLを注入し、50℃で1.0N−LiOH水溶液をpH8.5になるまで添加した。内温60℃まで昇温し、イソプロパノール6000mLを滴下して晶析した。内温30℃まで冷却後精結晶を吸引ろ過し、イソプロパノール300mLでかけ洗いを行った。収量27.0g(収率90%)。
溶液吸収:λmax=615.8nm,ε52000(H2O)(フタロシアン化合物2 2.4mg/超純水100mL)。
製造例3:フタロシアニン化合物3を主成分とする染料化合物の製造
Figure 2006124679
ジエチレングリコール120mLに、室温にて酢酸 0.6mL、オルト酢酸トリエチル21.2gを添加した後、化合物2 27.7g(含水率0.8%) 、化合物5 8.29g(含水率1%)を引き続き混合し、内温100℃に加熱した。反応混合物にCuCl2 3.0g、安息香酸アンモニウム24.8gを添加した後、内温100℃で1.5時間撹拌した。
反応液内温を室温まで冷却後1.0N塩酸300mLに晶析した後、ろ過、水800mLで洗浄後、乾燥後粗結晶35.6gを得た。
乾燥した粗結晶30gをメタノール300mLに溶解後、ゴミ取りろ過を実施後、イソプロパノール600mLを滴下して晶析した。混合物を吸引ろ過し、固体をイソプロパノールでかけ洗いを行った。収量27g (収率 90.0 %)。溶液吸収:λmax=595.6nm,ε35200(酢酸エチル)(フタロシアン化合物3 2.7mg/酢酸エチル100mL)。
製造例4〜10
表3に、一般式(I)〜(IV)で表される化合物、塩基等を変更した以外は製造例1に従って操作を行った結果をまとめて記載する。
[比較例]
比較例1〜比較例5
表3に、一般式(I)〜(IV)で表される化合物、酸、塩基、脱水剤を変更した以外は製造例1に従って操作を行った結果をまとめて記載する。
Figure 2006124679
なお、表3中、製造例5〜7で得られたフタロシアニン化合物は製造例1と同様であり、製造例8、9及び10では下記化学式で示されるフタロシアニン化合物が得られた。表3中の精製後の収率とは、それぞれ、下記化学式で表される化合物の収率である。
Figure 2006124679
上記結果から明らかなように、本発明の構成においてフタロシアニン化合物を温和な条件で、短時間に、高収率、高純度で得ることができる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物(化合物A〜化合物F)の中から選ばれる少なくとも2種と金属化合物とから金属フタロシアニン化合物を製造する方法であって、脱水剤の共存下、有機塩基または無機塩基と酸との緩衝液中で反応を行うことを特徴とする金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(I)
    Figure 2006124679
    一般式(I)中、Rは水素原子または置換基を表す。lは0〜4の整数を表す。lが2〜4のとき、複数のRは互いに同一でも異なってもよい。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。
  2. 前記一般式(I)で表される化合物(化合物A〜化合物F)が下記一般式(II)で表される化合物(化合物G〜L)であることを特徴とする請求項1に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(II)
    Figure 2006124679
    一般式(II)中、aとbはそれぞれ独立に置換基を示し、それらのハメットの置換基定数σp値の総和が0.20以上である。mとnは0≦m≦4、0≦n≦3、0≦m+n≦4を満たす整数を表す。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。
  3. 前記一般式(II)で表される化合物(化合物G〜L)が下記一般式(III)で表される化合物(化合物M〜化合物R)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(III)
    Figure 2006124679
    一般式(III)中、a1はそれぞれ独立にスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表し、置換基を有していても良い。m1は0〜2の整数を表す。Gは5または6員の芳香族環及びまたはヘテロ環を構成する原子団を表す。
  4. 前記一般式(III)で表される化合物(化合物M〜化合物R)が下記一般式(IV)で表される化合物(化合物S〜化合物X)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(IV)
    Figure 2006124679
    一般式(IV)中、a1はそれぞれ独立にスルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基、アシル基、カルバモイル基のいずれかを表し、置換基を有していても良い。mは0〜2の整数を表す。Gは6員の含窒素ヘテロ環を構成する原子団を表す。
  5. 反応溶剤にグリセリンおよび下記一般式(V)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(V)
    Figure 2006124679
    一般式(V)中、sおよびtは、それぞれ独立に正の整数を表す。Xは水素原子またはメチル基を表す。
  6. 前記脱水剤が、アセタール化合物、オルトエステル化合物、アルケニルエーテル化合物、アルケニルエステル化合物、エポキシド化合物、オキセタン化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
  7. 前記塩基が、カルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩または3級アミン塩の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
  8. 前記塩基が下記一般式(VI)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属フタロシアニン化合物の製造方法。
    一般式(VI)
    Figure 2006124679
    一般式(VI)中、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、Y1、Y2およびY3が結合して形成される縮環型の有機塩基でもよい。各々の基はさらに置換基を有していてもよい。
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