JP2006124640A - 粘着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温加熱を必要とせず、再剥離型粘着製品において防止しなければならないトラブル(粘着力昂進、被着体汚染、基材との界面剥離等)を起こさない粘着剤組成物を見出すことを課題とした。
【解決手段】 本発明の粘着剤組成物は、オキサゾリン基を含有するアクリル系粘着性ポリマー(A)100質量部と、カルボキシル基を含有する架橋用ポリマー(B)0.01〜10質量部とを含むと共に、この架橋用ポリマー(B)はカルボキシル基含有モノマーを30質量%以上有する原料モノマー混合物から得られたものであることを特徴としている。

Description

本発明は、被着体に貼付した後に剥がす(再剥離)ことを前提として用いられる粘着製品用の粘着剤組成物に関し、特に、糊残りがなく、粘着力の経時変化が小さく、紙のような粗面基材に対しても良好に密着して界面破壊を起こさない粘着製品を提供することのできる粘着剤組成物に関するものである。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主たる構成成分とするアクリル系粘着剤は、タック、粘着力、凝集力等の基本物性に加え、耐熱性、耐候性、耐水性、耐油性等に優れていることから、粘着ラベル、シート、テープ等の粘着製品に幅広く使用されている。一般的に、これらの粘着製品は、被着体に貼付した後は剥離されることがほとんどない永久接着型と、被着体に貼付した後に再び剥離することが想定される再剥離型に分類することができ、近年は、環境対応やリサイクルの必然性から、再剥離型粘着製品の使用量が増大している。
再剥離型粘着製品に用いられる粘着剤は、被着体に貼付されてから長時間経過した後であっても、糊残り等の被着体汚染を起こさずに、きれいに剥離できることが要求される。このため、例えば、粘着剤の架橋密度を上げる、あるいは、粘着剤用ポリマーのガラス転移温度を高める、といった手段で、凝集力の向上を図れば、糊残りがなくなって再剥離性が向上すると考えられる。しかし、これらの手段では、再剥離性は向上するが、粘着力が低下してしまったり、濡れ性・柔軟性が低下するため、紙等の凹凸の多い基材に粘着剤層を転写する際に凹凸に追従することができず、再剥離の際に、基材のみが剥離してしまう界面破壊を起こすという問題があった。
一方で、自動車等のバンパー、外板等の塗装の際のマスキングテープ等として用いられる場合、焼き付け乾燥塗装の際の熱によって高温にさらされるため、粘着剤の粘着力昂進が起こり、凝集力が低下してしまうという問題があった。
このような問題に対し、例えば特許文献1では、オキサゾリン基を有する重合体(A)を架橋剤として用い、オキサゾリン基と反応する官能基(例えばカルボキシル基)を有する粘着性の重合体(B)を、焼き付け塗装時に架橋させて、粘着力昂進を起こさないようにした発明が開示されている。この特許文献1では、オキサゾリン基とカルボキシル基の架橋反応の進行が常温では遅いことを逆手にとって、150℃で30分以上加熱して架橋させるという技術思想である。
特開平10−316954号(請求項1、[0007]、[0039]等)
上記特許文献1に記載されている粘着製品は、焼き付け塗装が行われる用途においては有用であるが、再剥離型粘着製品の全てがこのような用途に用いられるのではないため、幅広い分野で使用できる粘着製品が求められている。そこで、本発明では、高温加熱を必要とせず、再剥離型粘着製品において防止しなければならないトラブル(粘着力昂進、被着体汚染、基材との界面剥離等)を起こさない粘着剤組成物を見出すことを課題として掲げた。
本発明の粘着剤組成物は、オキサゾリン基を含有するアクリル系粘着性ポリマー(A)100質量部と、カルボキシル基を含有する架橋用ポリマー(B)0.01〜10質量部とを含むと共に、この架橋用ポリマー(B)がカルボキシル基含有モノマーを30質量%以上有する原料モノマー混合物から得られたものであるところに特徴を有している。
上記粘着剤組成物がエマルションであって、上記架橋用ポリマー(B)が水に分散しているか、または水に溶解しているものであることが好ましい。また、上記アクリル系粘着性ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であり、架橋用ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が−10℃超であることも、本発明の好ましい実施態様である。なお、本発明には、上記粘着剤組成物から得られた粘着剤層が支持基材の少なくとも片面に形成されている粘着製品も含まれる。
本発明の粘着剤組成物では、粘着力の発現のために用いられる粘着性ポリマーの方にオキサゾリン基を導入すると共に、架橋用ポリマーの方に多量のカルボキシル基を導入したことで、常温でも速やかに架橋反応を進行させることが可能となった。またこの粘着剤組成物から得られる粘着製品は、前記したトラブル(粘着力昂進、被着体汚染、基材との界面剥離等)を起こさず、幅広い分野に適用できる。
本発明者等は、前記した課題を解決するために、特許文献1に記載されているオキサゾリン系架橋用ポリマーと、カルボキシル基を有する粘着性ポリマーについて、架橋点の量やポリマー組成等の検討を行ってきた。一般的に、粘着剤は、被着体に貼付した後で徐々に粘着力が上がる(粘着力昂進)という性質を有する。これは、被着体表面に対し「濡れ」が進行して接触面積が増大することがひとつの要因であると考えられる。しかし、カルボキシル基を架橋点として有する粘着性ポリマーは、特に被着体が金属等の場合、粘着力の昂進度合いが高いことが認められた。これは、粘着製品を金属に貼付した後、時間の経過と共に、粘着性ポリマー中のカルボキシル基が徐々に動いて配向することにより、金属表面全体に粘着性ポリマーが均一に吸着ないしは水素結合し、粘着性ポリマーと金属との親和力・粘着力が高まるためではないかと考えられる。
そこで、本発明では、粘着力の発現のために用いられる粘着性ポリマー中に、カルボキシル基ではなく、オキサゾリン基を導入して粘着力昂進度合いを小さくすることとした。そして、粘着性ポリマーと架橋用ポリマーの分子設計を適切にするために、粘着力、タックおよび凝集力のバランス、前記トラブル(粘着力昂進、被着体汚染、基材との界面剥離等)の抑制、架橋速度等、様々な観点から検討した結果、上記本発明に到達したのである。以下、本発明を詳細に説明するが、本発明における「ポリマー」には、ホモポリマーはもとより、コポリマーや三元以上の共重合体も含まれるものとする。また、本発明の「モノマー」は、いずれも付加重合型モノマーである。
まず、本発明の粘着剤組成物における第1の必須成分は、オキサゾリン基を含有するアクリル系粘着性ポリマー(A)である。「粘着性」とは、少なくとも常温で粘着力を示す性質をいう。粘着性ポリマー(A)は、オキサゾリン基含有モノマー(a−1)と、アルキル(メタ)アクリレート(a−2)と、必要により用いられるその他のモノマー(a−3)とからなる原料モノマー混合物(a)をラジカル重合することによって得られる。
オキサゾリン基含有モノマー(a−1)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2006124640
(式中、R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一または異なっていてもよく、独立に、水素、ハロゲン、アルキル基、アラルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、または置換アリール基を示し、R5はアルケニル基を示す。)
具体的には、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を用いることができる。中でも、入手の容易な2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。
このオキサゾリン基含有モノマー(a−1)は、架橋点となるオキサゾリン基を粘着性ポリマー(A)に導入するためのモノマーであり、原料モノマー混合物(a)100質量%中、0.01質量%以上とするのが好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。少なすぎると、架橋反応が充分行われずに、糊残り等の原因になる。ただし、多すぎると、粘着性ポリマー(A)の初期粘着力等が低下したり、紙基材を用いる場合の基材に対する追従性が小さくなる傾向にあるため、20質量%未満とすることが好ましい。より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。なお、日本触媒社製のエポクロスKシリーズ([エポクロス]は日本触媒社の登録商標)は、オキサゾリン基含有モノマーが20質量%使用されているため、本発明における粘着性ポリマー(A)として使用するのは好ましくない。
アルキル(メタ)アクリレート(a−2)としては、炭素数4〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等を好ましく挙げることができ、なかでもブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよびイソオクチルアクリレートがより好ましい。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよく、限定はされない。
このアルキル(メタ)アクリレート(a−2)は、粘着力発現のための必須モノマーであり、原料モノマー混合物(a)100質量%中、60質量%以上使用することが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。少なすぎると、粘着性ポリマー(A)の初期粘着力等が低下したり、紙基材を用いる場合の基材に対する追従性が小さくなる傾向にあるため好ましくない。
その他のモノマー(a−3)とは、上記オキサゾリン基含有モノマー(a−1)およびアルキル(メタ)アクリレート(a−2)と共重合することができ、かつ、これら以外のモノマーである。ただし、カルボキシル基含有モノマーは用いないことが望ましい。重合中にオキサゾリン基含有モノマー(a−1)と反応し、ゲル化するおそれがあるためである。その他のモノマー(a−3)の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等の前記アルキル(メタ)アクリレート(a−2)以外のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、フタル酸とプロピレングリコールとから得られるポリエステルジオールのモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;アミノ基、アミド基、エポキシ基およびエーテル基等のいずれかを有する(メタ)アクリレート類;エチレンおよびブタジエン等の脂肪族不飽和炭化水素類ならびに塩化ビニル等の脂肪族不飽和炭化水素類のハロゲン置換体;スチレンおよびα−メチルスチレン等の芳香族不飽和炭化水素類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルエーテル類;アリルアルコールと各種有機酸とのエステル類;アリルアルコールと各種アルコールとのエーテル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和シアン化化合物等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよく、限定はされない。
上記その他のモノマー(a−3)は、原料モノマー混合物(a)100質量%中、0〜30質量%が好ましい。30質量%を超えると、結果的にオキサゾリン基含有モノマー(a−1)かアルキル(メタ)アクリレート(a−2)の量が少なくなるため、所望の粘着特性が得られない。より好ましい上限は20質量%、さらに好ましい上限は15質量%である。
オキサゾリン基含有アクリル系粘着性ポリマー(A)のTgは特に限定されないが、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以下(より好ましくは−20℃以下)になるように、上記各種モノマーを選択することが好ましい。Tgが−10℃を超えるポリマーでは、粘着力が不足することがある。ただし、Tgが−80℃より低くなると、凝集力が低下して、糊残りが起こりやすくなる傾向にあるため好ましくない。Tg(K)は、例えば、「POLYMER HANDBOOK 第3版」(John Wiley & Sons, Inc.発行)に記載された各ホモポリマーのTg(K)を元にして、下記式で計算により簡単に求められる他、DSC(示差走査熱量測定装置)やDTA(示差熱分析装置)によって求めることができる。
Figure 2006124640
ここで Wn ;各モノマーの質量分率
Tgn;各モノマーのホモポリマーのTg(K)
なお、主要ホモポリマーのTg(℃)を示せば、ポリアクリル酸は106℃、ポリメタクリル酸は228℃、ポリメチルアクリレートは8℃、ポリエチルアクリレートは−22℃、ポリブチルアクリレートは−54℃、ポリ2−エチルヘキシルアクリレートは−70℃、ポリ2−ヒドロキシエチルアクリレートは−15℃、ポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレートは55℃、ポリメチルメタクリレートは105℃、ポリ2−イソプロペニル−2−オキサゾリンは100℃、ポリ酢酸ビニルは32℃、ポリスチレンは100℃である。
本発明の粘着剤組成物の第2の必須成分は、カルボキシル基含有架橋用ポリマー(B)である。この架橋用ポリマー(B)は、上記粘着性ポリマー(A)のオキサゾリン基の架橋反応相手であるため、架橋用ポリマー(B)は単独で粘着性を示す必要はない。この架橋用ポリマー(B)は、カルボキシル基含有モノマー(b−1)と、必要により用いられるその他のモノマー(b−2)とからなる原料モノマー混合物(b)をラジカル重合することにより得ることができる。
カルボキシル基含有モノマー(b−1)としては、(メタ)アクリル酸、ケイ皮酸およびクロトン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル等が挙げられ、これらのうちの1種以上を用いることができる。中でも、(メタ)アクリル酸およびイタコン酸が好ましい。
このカルボキシル基含有モノマー(b−1)は、原料モノマー混合物(b)100質量%中、30質量%以上必要である。架橋用ポリマー(B)中のカルボキシル基が少ないと、粘着性ポリマー(A)との架橋反応の速度が遅くなったり、粘着剤が凝集力不足となる。架橋用ポリマー(B)は、カルボキシル基含有モノマー(b−1)のみからなるものであってもよく、この場合、例えば、日本触媒社製の「アクアリックHL」(アクアリックは日本触媒社の登録商標)等のポリアクリル酸を使用することができる。
また、カルボキシル基含有モノマー(b−1)とその他のモノマー(b−2)を共重合して、架橋用ポリマー(B)を得てもよい。その他のモノマー(b−2)としては、前記アルキル(メタ)アクリレート(a−2)と、前記その他のモノマー(a−3)のいずれか1種以上を用いることができる。また、エチレン(グリコール)ジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーを一部に用いてもよい。
架橋用ポリマー(B)のTgは特に限定されないが、−10℃超(より好ましくは−5℃以上)とすることが好ましい。−10℃より低いと、粘着力昂進の要因となることがある。
架橋用ポリマー(B)の重量平均分子量(Mw)は10万以上であることが好ましい。Mwが10万より小さいと、架橋反応が進んでもポリマー鎖の拘束力が小さいため、粘着力が経時的に大きくなりやすく、被着体汚染の原因となってしまう。また、架橋用ポリマー(B)は親水性が高いため、架橋に関与しなかった架橋用ポリマー(B)が金属等の被着体に強く接着するので、Mwが小さい場合は架橋用ポリマー(B)そのものが被着体汚染の原因となってしまうため好ましくない。なお、架橋用ポリマー(B)を乳化重合によって得る場合には、重合可能な反応性乳化剤を用いることが好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、溶剤系であっても構わないが、エマルション系が望ましい。重合の制御が容易であり、揮散する有機溶剤を回収する必要がないためである。粘着性ポリマー(A)は水に不溶であるが、架橋用ポリマー(B)は、カルボキシル基含有モノマー(b−1)の使用量が多くなれば、水溶性になるため、エマルション中で水に溶けて存在していることがある。粘着性ポリマー(A)と架橋用ポリマー(B)はそれぞれの原料モノマー混合物(a)および(b)を別々にラジカル重合することにより得ることができる。好ましい重合方法は、乳化剤の存在下または不存在下における乳化重合法である。また、懸濁重合法のほか、塊状重合法や溶液重合法で得られたポリマーを、後分散する方法によってエマルション化しても構わない。
上記乳化重合を行う際に用い得る乳化剤としては、限定はされないが、従来公知の乳化剤、例えば、各種アニオン性乳化剤、各種カチオン性乳化剤および各種ノニオン性乳化剤等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよく、限定はされない。乳化剤を用いる場合、その使用量は、例えば、原料モノマー混合物(a)または(b)の合計量に対し、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。なお、必要に応じ保護コロイド類を単独または乳化剤と共に使用することもできる。また、重合可能な乳化剤、いわゆる反応性乳化剤を用いることも可能である。
特に、金属製品等へ貼着する表面保護フィルムのように、一時的に製品保護をした後は、容易に剥離可能に構成されていることが要求される用途に用いる場合には、上記反応性乳化剤が好ましく、粘着性ポリマー(A)と共重合可能なエチレン性二重結合を有するノニオン系またはアニオン系の乳化剤を使用することが好ましい。これにより、接着特性の改善が可能となり、接着力の経時上昇を阻止し、再剥離を容易にすることができる。
アニオン型反応性乳化剤としては、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)−2−アルコキシエチルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(例えば、旭電化社製の「アデカリアソープSR−10」等)、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(例えば、第一工業製薬社製の「アクアロンKH−10」等)、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、第一工業製薬社製の「アクアロンHS」、「アクアロンBC−10」等)、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、旭電化工業社製の「アデカリアソープSE」等)、アルキルアリルスルホコハク酸ソーダ(例えば、三洋化成工業社製の「エレミノールJS−2」等)、メタクリル酸ポリオキシアルキレン硫酸エステル塩(例えば、三洋化成工業社製の「エレミノールRS−30」等)、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩(例えば、日本乳化剤社製の「アントックスMS−2N」、「アントックスMS−NH4」等)が挙げられる。その他、花王社製の「ラテムルS−180」、第一工業製薬社製の「ニューフロンティア」、日本乳化剤社製「RA−1823」、「RA−2320」等の、プロペニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の重合性二重結合を有するものが挙げられる。
ノニオン性反応性乳化剤としては、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテル(例えば、第一工業製薬社製の「アクアロンRN」等)、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル(例えば、旭電化工業社製の「アデカリアソープNE」等)、ポリオキシアルキレングリコールモノアクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーAET」、「ブレンマーAPT」等)、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーALE」等)、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーPLE」等)、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーPSE」等)、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーASEP」等)、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレートモノ(メタ)アクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーPKEP」、「ブレンマーAKEP」等)、ノニルフェノキシポリアルキレンエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマー43ANEP−500」、「ブレンマー70ANEP−550」等)、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマーPNEP」、「ブレンマーPNPE」等)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジメタクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマー80PDC」等)、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、日本油脂社製の「ブレンマー30ADC」等)のプロペニル基、イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の重合性二重結合を有するものが挙げられる。
上記乳化重合を行う際に用い得る重合触媒(重合開始剤)としては、限定はされないが、例えば、過硫酸アンモニウムや過酸化水素等の無機の過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキシド等の有機の過酸化物;その他のラジカル生成性重合開始剤等が挙げられる。これらは、1種のみ用いてもよいし2種以上を併用してもよく、限定はされない。重合触媒の使用量は、原料モノマー混合物(a)または(b)100質量部に対し、0.01〜3質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05〜2質量部、さらに好ましくは0.1〜1質量部である。重合触媒として過酸化物を使用する場合に、重合速度を増大させたり反応温度を低下させたりする必要があれば、可溶性亜硫酸塩やアスコルビン酸等の還元剤あるいは硫酸第1鉄等の水中で重金属イオンを発生する金属化合物を、上記過酸化物と組合せてレドックス系の開始剤とすることができる。また、例えば、ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類に代表される公知の分子量調節剤を用いてもよい。
乳化重合の反応温度は適宜設定できるが、一般に、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは50〜95℃、さらに好ましくは60〜90℃である。また、水系溶媒(水や、アルコール等の親水性溶媒と水との混合溶媒等)の使用量は、一般に、原料モノマー混合物(a)または(b)100質量部に対し、300〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは200〜40質量部、さらに好ましくは150〜40質量部である。なお、具体的な重合方法としては、例えば、モノマー滴下重合法、プレエマルシヨン滴下重合法、シード重合法および多段重合法等を挙げることができる。架橋用ポリマー(B)のカルボキシル基は、粘着性ポリマー(A)エマルションと架橋用ポリマー(B)エマルション(または水溶液)とを混合した後、アンモニア等のアルカリ化合物で中和しておいてもよい。保存安定性がよくなるからである。なお、粘着性ポリマー(A)エマルションも、合成後、アンモニア等を添加しておいてもよい。
本発明の粘着剤組成物は、粘着性ポリマー(A)100質量部(固形分)に対し、架橋用ポリマー(B)を0.01〜10質量部(固形分)含むものである。架橋用ポリマー(B)が少なすぎると、架橋反応速度が遅くなったり、得られる粘着剤の凝集力が不足するが、多すぎると初期粘着力が不足したり、紙基材に対する追従性が低下する。オキサゾリン基とカルボキシル基の当量比の目安を示せば、オキサゾリン基1当量に対し、カルボキシル基を0.01〜2.0当量とすることが望ましい。より好ましくは0.1〜1.5当量である。
本発明の粘着剤組成物には、公知の架橋剤、粘着付与剤、湿潤剤、粘性調節剤、増粘剤、消泡剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤を、本発明の目的を阻害しない範囲で加えてもよい。
本発明の粘着剤組成物は、粘着製品の製造に用いられる。例えば、プラスチックフィルム、紙、不織布、発泡体等の基材あるいは離型紙の上に粘着剤組成物を塗布し、その乾燥皮膜を形成することによって、基材の片面に粘着剤層が形成されている粘着製品(粘着テープまたはシート)、基材の両面に粘着剤層が形成されている粘着製品、基材を有しない粘着剤層のみの粘着製品を得ることができる。紙基材の粘着製品を製造する場合は、離型紙の上に粘着剤組成物を塗布し、粘着剤層を形成した後、紙基材に転写する方法も、採用できる。
本発明の粘着剤組成物においては、好ましい実施形態は一液型のエマルションであるので、粘着剤層の形成にあたっては、水が飛散する条件(例えば80〜110℃で30〜300秒)での加熱乾燥を行うことが望ましい。その後は、常温でも架橋反応が進行するため、例えば、23℃で常温で3日以上の養生を行うことが望ましい。もちろん、加熱して架橋反応を促進してもよい。
以下実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお以下特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すものとする。
合成例1(粘着性ポリマーエマルションA−1の重合)
表1に示した組成の原料モノマー混合物100部と、分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン(TDM)0.04部、乳化剤として「ハイテノールLA−16」(「ハイテノール」は登録商標;第一工業製薬社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)を2.5部と脱イオン水32部を混合し、よく撹拌してプレエマルションを作製した。次いで、滴下ロート、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えたフラスコに、脱イオン水を30部仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。ここに、過硫酸カリウム0.4部、重亜硫酸水素ナトリウム0.015部を添加した後、前記プレエマルションのうちの0.29部を添加して、重合反応を開始した。反応開始から10分経過してから、前記プレエマルションの残りを約2.5時間かけて連続滴下すると共に、並行して重亜硫酸水素ナトリウム0.135部を滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、70℃で1.5時間熟成した後、室温まで冷却した。粘着性ポリマーエマルションA−1が得られた。このエマルションの固形分と、得られた粘着性ポリマーのTg(℃)を表1に示した。なお、このTg(℃)は、後述する各モノマーのホモポリマーのTg(K)を用いて前述の数式によって計算した値である。
合成例2〜3(粘着性ポリマーエマルションA−2とA’の重合)
モノマー成分の組成を表1に示したように変更した以外は、合成例1と同様にして、粘着性ポリマーエマルションA−2と、比較用の粘着性ポリマーエマルションA’を重合した。エマルションの固形分と粘着性ポリマーのTg(℃)を表1に示した。
合成例4(架橋用ポリマーエマルションB−1の重合)
表2に示した組成のモノマー成分100部と、乳化剤として「ハイテノールLA−10」(第一工業製薬社製;ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)1.5部とイオン交換水76.96部を混合し、よく撹拌して、プレエマルションを作製した。次いで、滴下ロート、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えたフラスコに、脱イオン水を157.16部と、前記「ハイテノールLA−10」を1.5部仕込み、窒素置換して68℃に昇温した。ここに、前記プレエマルションのうちの8.92部を投入し、5分後に、過硫酸アンモニウム0.012部と重亜硫酸水素ナトリウム0.02部を添加して、72℃で重合反応を開始した。反応開始から20分経過してから、前記プレエマルションの残りを約2時間かけて連続滴下すると共に、並行して過硫酸アンモニウム0.219部を滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、70℃で1時間熟成した後、室温まで冷却し、架橋用ポリマーエマルションB−1を得た。このエマルションの固形分とTgを表2に示した。
合成例5(架橋用ポリマーエマルションB−2の重合)
表2に示した組成のモノマー成分100部と、乳化剤として前記「ハイテノールLA−10」を1.5部とイオン交換水64.71部を混合し、よく撹拌して、プレエマルションを作製した。
次いで、滴下ロート、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えたフラスコに、脱イオン水を147.91部と、前記「ハイテノールLA−10」を1.5部仕込み、窒素置換して68℃に昇温した。ここに、前記プレエマルションのうちの8.31部を投入し、5分後に、過硫酸アンモニウム0.012部と重亜硫酸水素ナトリウム0.02部を添加して、72℃で重合反応を開始した。反応開始から20分経過してから、前記プレエマルションの残りを約2時間かけて連続滴下すると共に、並行して過硫酸アンモニウム0.219部を滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、70℃で1時間熟成した後、室温まで冷却し、架橋用ポリマーエマルションB−2を得た。このエマルションの固形分とTgを表2に示した。
合成例6(架橋用ポリマーエマルションB’の重合)
モノマー成分の組成を表2に示したように変更した以外は、合成例5と同様にして、比較用の架橋用ポリマーエマルションB’を重合した。エマルションの固形分と架橋用ポリマーのTgを表2に示した。
Figure 2006124640
Figure 2006124640
なお、表1および表2においては、各モノマー名を次のように略記した。左の数字は、ポリマーハンドブックに掲載されているホモポリマーのTg(K)の値である。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート 203K
BA :n−ブチルアクリレート 219K
EA :エチルアクリレート 251K
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート 328K
IPO :2−イソプロペニル−2−オキサゾリン 373K
AA :アクリル酸 379K
MAA :メタクリル酸 501K
MMA :メチルメタクリレート 378K
EDMA:エチレン(グリコール)ジメタクリレート −
実施例1
粘着性ポリマーエマルションA−1を100部(ウエット)取り、架橋用ポリマーエマルションB−1を1.01部(ウエット)加えてよく撹拌し、本発明の粘着剤エマルション1を得た。この粘着剤エマルション1を、離型紙(「K−80HS」;サンエー化研社製)に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗工し、105℃の熱風乾燥機で90秒間乾燥した。この上に、基材となる5g/m2の上質紙を貼り合わせ、23℃、65%RHの雰囲気下で7日間養生し、粘着シート(離型紙付き)を作製した。その後、粘着特性を測定した。
実施例2〜4および参考例1
架橋用ポリマーを表3に示したように変更した以外は、上記実施例1と同様にして粘着シート(離型紙付き)を作製した。なお、「アクアリックHL−415」(「アクアリック」は日本触媒社の登録商標である。固形分45%)は、日本触媒社製のポリアクリル酸水溶液である。また、参考例1は、IPO(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)が、本発明の好適量よりも若干多い例である。
比較例1〜3
表3に示したように、比較例1は、架橋剤を全く配合していない例であり、比較例2は、架橋用ポリマーのカルボン酸ユニット量が本発明の規定範囲より少ない例であり、比較例3は、粘着性ポリマーエマルションがカルボキシル基を有している例である。この比較例3においては、架橋剤としてオキサゾリンユニット20%のスチレン−アクリル系ポリマーエマルション「エポクロスK−2010E」(「エポクロス」は日本触媒社の登録商標である。固形分40%)を用いた。
[粘着特性の評価方法]
以上の実施例1〜4、参考例1および比較例1〜3で得られた粘着シートを用いて下記方法で粘着特性の評価を行った。
1.初期粘着力(対SUS板):
粘着シートを25mm幅にカットし、23℃、65%RHの雰囲気下で、SUS板上に載せて、上から2kgのローラーで1往復して圧着する。圧着してから25分経過した後、粘着シートを180°方向に300mm/分の速度で引き剥す時の抵抗力(N/25mm)を測定した。この測定は、引張試験機(「QC引張試験機」;テスター産業社製)により行い、サンプル数2個の平均値を表3に示した。
2.再剥離力と被着体汚染性
初期粘着力の場合と同様に、25mm幅の粘着シートをSUS板に貼り付けた後、23℃、65%RHの雰囲気下で7日間放置した後、上記と同様にして、引き剥がし試験を行った。このときの抵抗力を再剥離力1(N/25mm)とした。また、引き剥がした後の被着体(SUS板)の表面状態を目視で観察し、汚染(糊残りや汚れ等)が全く認められない場合は○、一部に汚染が認められる場合は△、全体に汚染している場合を×として、評価し、結果を表3に示した。
また、別途、25mm幅の粘着シートをSUS板に貼り付けた後、60℃で7日間放置した後、23℃、65%RHの雰囲気下に1時間置いてから、上記と同様にして、引き剥がし試験を行った。このときの抵抗力を再剥離力2(N/25mm)とした。上記と同様に、引き剥がした後の被着体(SUS板)の表面状態を評価し、結果を表3に示した。
Figure 2006124640
表3から明らかなように、本発明の実施例は、良好な初期粘着力を示すと共に、粘着力昂進や、被着体汚染、基材との界面剥離等のトラブルを起こさない再剥離性に優れた粘着製品である。参考例1は、IPO(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)が、本発明の好適量よりも若干多いため、初期粘着力が低くなった。比較例1は、架橋剤を用いていないため、粘着力昂進が認められ、糊残りも多い。比較例2は、カルボキシル基量が本発明規定量よりも少ない架橋用ポリマーエマルションを用いたので、実施例2と比較すると粘着力が昂進していることがわかる。比較例3は、カルボキシル基含有粘着性ポリマーに、オキサゾリン基の多い架橋用ポリマーを組み合わせた従来例であり、この例においても粘着力昂進や被着体汚染を防ぐことはできなかった。
合成例7(反応性乳化剤を使用した粘着性ポリマーエマルションA−3の重合)
撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管が装着されたフラスコに、脱イオン水を45.3部仕込み、窒素置換して70℃に昇温した。別の容器に、BA69部、MMA28部、IPO3部、分子量調節剤としてtert−ドデシルメルカプタン(TDM)0.08部、反応性乳化剤である「アデカリアソープSR−10」(旭電化社製;ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)−2−アルコキシエチルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩)3部と脱イオン水27.6部を混合し、よく撹拌してプレエマルションを作製した。上記フラスコに、過硫酸アンモニウムの8%水溶液0.18部と、重亜硫酸水素ナトリウム8%水溶液0.18部を添加した後、上記プレエマルションを3時間かけて連続滴下すると共に、並行して過硫酸アンモニウムの8%水溶液5部と、重亜硫酸水素ナトリウム8%水溶液5部を連続滴下して、重合反応を行った。滴下終了後、70℃で1.5時間熟成した後、室温まで冷却した。粘着性ポリマーエマルションA−3が得られた。このエマルションの固形分は55.7%、ポリマーのTgは−22℃であった。
合成例8〜9(粘着性ポリマーエマルションA−4およびA−5の重合)
モノマー成分の組成と乳化剤を表4に示したように変更した以外は、合成例7と同様にして、粘着性ポリマーエマルションA−4とA−5を重合した。なお、表4中、「SR−10」とあるのは上記「アデカリアソープSR−10」であり、「KH−10」とあるのは反応性乳化剤である「アクアロンKH−10」(第一工業製薬社製;ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩)であり、「NF−8」とあるのは普通の乳化剤(反応性ではない)の「ハイテノールNF−8」(第一工業製薬社製;ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩)である。得られたエマルションの固形分とTgを表4に示した。
Figure 2006124640
合成例10(架橋用ポリマーエマルションB−3の重合)
2EHA50部、MAA50部、反応性乳化剤である上記「アクアロンKH−10」1.5部およびイオン交換水64.7部を混合し、よく撹拌してプレエマルションを得た。次いで、合成例7で用いたのと同様のフラスコに、脱イオン水147.91部と上記「ハイテノールKH−10」1.5部とを仕込み、窒素置換して68℃に昇温した。ここに、前記プレエマルションのうちの8.31部を投入し、5分後に、過硫酸アンモニウム0.012部と重亜硫酸水素ナトリウムを0.02部添加して、72℃で重合反応を開始した。反応開始から20分経過してから、前記プレエマルションの残りを約2時間かけて連続滴下すると共に、並行して過硫酸アンモニウム0.219部を滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、70℃で1時間熟成した後、希釈用純水を500g加えて、架橋用ポリマーエマルションB−3を得た。このエマルションの固形分は20.8%、Tgは16℃であった。
この架橋用ポリマーエマルションB−3中のポリマーの重量平均分子量MwをGPCを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
検出器:M410示差屈折率計
カラム:Ultra Styragel Linear(7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 100A(7.8mm×30cm)
Ultra Styragel 500A(7.8mm×30cm)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度は0.2%、注入量は200μl/回とした。同様にして、前記架橋用ポリマーエマルションB’中のポリマーの重量平均分子量Mwも測定した。
実施例5
粘着性ポリマーエマルションA−3を100部(ウエット)取り、架橋用ポリマーエマルションB−3を2.08部(ウエット)加えてよく撹拌し、本発明の粘着剤エマルション5を得た。この粘着剤エマルション5を、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにポリエチレン(PE)フィルムに塗工し、80℃の熱風乾燥機で1分間乾燥した。この上に、上記PEフィルムを貼り合わせ、40℃で1日養生し、粘着シートを作製した。その後、粘着特性を測定した。
実施例6〜7
架橋用ポリマーを表5に示したように変更した以外は、上記実施例5と同様にして粘着シートを作製した。
比較例4
比較例4は、反応性乳化剤を用いずに得られた粘着性ポリマーエマルションと、カルボン酸含有量が15%と少ない架橋用ポリマーエマルションB’を用いた例である。上記実施例5と同様にして粘着シートを作製した。
[粘着特性の評価方法]
以上の実施例5〜7、および比較例4で得られた粘着シートを用いて下記方法で粘着特性の評価を行った。
3.初期粘着力2(対Al板):
粘着シートを25mm幅にカットし、23℃、65%RHの雰囲気下で、Al板上に載せて、上から2kgのローラーで1往復して圧着する。圧着してから25分経過した後、粘着シートを90°方向に200mm/分の速度で引き剥す時の抵抗力(N/25mm)を測定した。この測定は、引張試験機(「QC引張試験機」;テスター産業社製)により行い、サンプル数2個の平均値を、初期粘着力2として表5に示した。また、引き剥がした後の被着体(Al板)の表面状態を目視で観察し、汚染(糊残りや汚れ等)が全く認められない場合は○、一部に汚染が認められる場合は△、全体に汚染している場合を×として評価し、結果を表5に示した。
4.再剥離力と被着体汚染性
初期粘着力のときに準じて、25mm幅の粘着シートをSUS板に貼り付けた後、60℃で1日放置し、初期粘着力の場合と同様にして90°の引き剥がし試験を行った。このときの抵抗力を再剥離力3(N/25mm)とした。また、引き剥がした後の被着体(SUS板)の表面状態を目視で観察し、汚染(糊残りや汚れ等)が全く認められない場合は○、一部に汚染が認められる場合は△、全体に汚染している場合を×、フィルムが被着体から浮いてしまう現象が認められるものはフクレと評価し、結果を表5に示した。
また、上記と同様にして、25mm幅の粘着シートをAl板に貼り付けた後、60℃、90%RH雰囲気下で4時間放置し、23℃、65%RHの雰囲気下に1時間置いてから、上記と同様にして90°の引き剥がし試験を行った。このときの抵抗力を再剥離力4(N/25mm)とした。上記と同様に、引き剥がした後の被着体(Al板)の表面状態を評価し、結果を表5に示した。
Figure 2006124640
本発明例は、いずれも、粘着力(初期粘着力2)、再剥離性(再剥離力3)、耐湿熱性(再剥離力4)に優れていることがわかる。比較例4では、架橋が不充分なためと、乳化剤のブリードが起こったため、高湿度下での再剥離性が低下した。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、粘着テープ、粘着シートおよびラベル等の粘着剤層が適用され得るすべての用途に好適であり、特に優れた特性を有する再剥離型粘着製品を得ることができる。

Claims (4)

  1. オキサゾリン基を含有するアクリル系粘着性ポリマー(A)100質量部と、カルボキシル基を含有する架橋用ポリマー(B)0.01〜10質量部とを含むと共に、この架橋用ポリマー(B)がカルボキシル基含有モノマーを30質量%以上有する原料モノマー混合物から得られたものであることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 上記粘着剤組成物がエマルションであり、上記架橋用ポリマー(B)は、水に分散しているか、または水に溶解しているものである請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 上記アクリル系粘着性ポリマー(A)のガラス転移温度(Tg)が−10℃以下であり、架橋用ポリマー(B)のガラス転移温度(Tg)が−10℃超である請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物から得られた粘着剤層が支持基材の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする粘着製品。
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