JP2006124477A - 難燃化ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
環境への負荷が問題視されている臭素含有難燃剤や赤リンやアンチモン等の難燃剤を用いることなく、高い難燃性を有する上に、難燃剤のブリードアウトが無く、柔軟で加工性に富む難燃化ポリエステルフィルム、およびこれを得るために用いられる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
下記の(A)、(B)成分を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を少なくとも1面に塗工した後に硬化させた難燃化ポリエステルフィルム。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物で被覆された新規な難燃化ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、環境への負荷が問題視されている臭素含有難燃剤や赤リンやアンチモン等の難燃剤を用いることなく高い難燃性を有する上に、難燃剤のブリードアウトが無く、柔軟で加工性に富む難燃化ポリエステルフィルムに関する。また、このような難燃化ポリエステルフィルムを得るために用いられる硬化性樹脂組成物に関する。
現在、ポリエステルフィルムは耐熱性、耐薬品性、機械的特性、電気的特性などに優れていることから、電気部品の絶縁材料として使用されている。これらの電気絶縁材料には難燃性を要求されることが多い。しかしながら、ポリエステルフィルムは単体では非常に燃えやすく、以下のような難燃化手法が取られている。
難燃化の手法としてはポリエステルフィルムにリン系難燃剤とハロゲン含有難燃剤とを添加し、難燃性を得る方法がある。しかしながら、ハロゲン含有難燃剤を添加した樹脂は、加工時や燃焼時に有毒ガスが生成することが問題視されている。特に臭素含有難燃剤においては、加熱加工処理時に臭化水素ガスが発生することや、燃焼時にダイオキシン類似ガスが発生することが指摘されている。
また、有機リン化合物などの有機系難燃剤とアンチモン化合物などの無機系難燃剤を用いたポリエステルフィルムもある。しかし、アンチモン化合物は、人体への影響が懸念され、その使用は好ましくない。
さらに、これらの技術については、難燃剤のブリードアウトや欠落があり、外観や性能を損なうだけでなく環境中に難燃剤が放出されるという問題があり、これらの問題に対する解決が望まれていた。
ここで、以上の難燃剤のブリードアウトや欠落を解決するために、反応性のリン系難燃剤を用いる試みがなされている。例えば、特許文献1においては、潜在化されたリン系難燃剤とエポキシ樹脂またはイソシアネート化合物との組み合わせからなる硬化性樹脂組成物と、その難燃化コート材としての使用方法が開示されている。しかしながら、この潜在化リン系難燃剤を単純に用いただけでは、ポリエステルフィルムは非常に燃焼性が高いので、柔軟性等、ポリエステルの優れた物性を活かしながら難燃化を達することは不可能であった。
国際公開(WO)第03/27208号パンフレット
本発明の第1の目的は、環境への負荷が問題視されているハロゲン含有難燃剤や赤リンやアンチモン等の難燃剤を用いることなく、高い難燃性を有する上に、難燃剤のブリードアウトが無く、柔軟で加工性に富む難燃化ポリエステルフィルムを提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、このような難燃化ポリエステルフィルムを得るために用いられる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するリン含有化合物誘導体(A)およびエポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物(B)を含有する硬化性樹脂組成物を表面に被覆した後硬化させたポリエステルフィルムが優れた特性を有することの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔5〕である。
〔1〕下記の(A)、(B)成分を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルムの少なくとも1面に塗工した後に硬化させてなる難燃化ポリエステルフィルム。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
〔2〕前記の(A)成分が下記式(1)で表される化合物である前記の〔1〕に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
Figure 2006124477
(m1は0または1であり、Dは式(2)で表される基である。)
Figure 2006124477
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である。)
〔3〕硬化性樹脂組成物が、(A)成分を35〜65質量%と、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体でありイソシアネート基当量が180〜400g/molである(B)成分を34〜64質量%と、さらにルイス酸触媒を0.0001〜1質量%とを含む前記の〔1〕または〔2〕に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
〔4〕硬化性樹脂組成物が(A)成分を35〜60質量%と、エポキシ基当量が140〜400g/molである(B)成分を39〜64質量%と、さらにルイス酸触媒0.001〜5質量%とを含む前記の〔1〕または〔2〕に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
〔5〕前記の〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の難燃化ポリエステルフィルムに用いられる硬化性樹脂組成物。
本発明によれば、環境への負荷が問題視されている臭素含有難燃剤や赤リンやアンチモン等の難燃剤を用いることなく、高い難燃性を有する上に、難燃剤のブリードアウトが無く、柔軟で加工性に富む難燃化ポリエステルフィルムが提供される。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムは、下記の(A)、(B)両成分を含有する硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルム基材の少なくとも1面に塗工した後に硬化させたものである。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
ここで、「リン含有化合物」とは、1分子中にリン原子を有し、カルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物を意味する。
また「リン含有化合物誘導体」は、前記の「リン含有化合物」と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなる誘導体を意味する。
また、硬化性樹脂組成物とは、配合された組成物としては未硬化状態であって、熱や光等により硬化させることにより、樹脂硬化物となる組成物を意味する。
前記の(A)成分としては、好ましく次式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006124477
(m1は0または1であり、Dは式(2)で表される基である。)
Figure 2006124477
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく
、Yは酸素原子またはイオウ原子である。)
前記のリン含有化合物誘導体(A)は、カルボキシル基を有する前記のリン含有化合物を次の式(3)で表されるビニル(チオ)エーテル化合物と反応させることにより、カルボキシル基が前記式(2)で表される残基Dに変換されることで容易に得られる。ここで、ビニル(チオ)エーテル化合物とは、ビニルエーテルまたはビニルチオエーテルを意味する。
Figure 2006124477
(式中のR、R、R、RおよびYは式(2)におけるものと同じ。)
前記式(2)および(3)における前記の有機基は、より具体的には、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基、アルカリール基であって、これらの有機基は適当な置換基を有していてもよい。
前記式(3)で表されるビニル(チオ)エーテル化合物で、鎖状のものとしては例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、t−アミルビニルエーテル、2−エチルへキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;ヒドロキシエチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等のヒドロキシル基を含むビニルエーテル類;エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル等のアルキレングリコールアルキルビニルエーテル類;アミノプロピルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等のその他のビニルエーテル類、およびこれらに対応するビニルチオエーテル類が挙げられる。
また、前記式(3)で表されるビニル(チオ)エーテル化合物で、環状のものとしては例えば、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメチル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−カルボン酸ナトリウムなどの環状ビニルエーテル化合物およびこれらに対応する環状ビニルチオエーテル化合物などが挙げられる。
これらの中でも、入手性や取り扱い性等の点から、好ましくは、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルモノビニルエーテルが挙げられる。
前記のビニル(チオ)エーテル化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(1)で表されるリン含有化合物誘導体(A)のうち、好ましくは下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006124477
(Rは炭素数1〜18の炭化水素基である。)
前記式(4)で表される化合物は、前記のビニル(チオ)エーテル化合物として、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルを用いて得られる。
リン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とから、リン含有化合物誘導体(A)を得る反応は平衡反応であるため、リン含有化合物に対してビニル(チオ)エーテル化合物を若干多く使用すると反応が促進され、収率を向上させることができる。具体的には、リン含有化合物のカルボキシル基に対するビニル(チオ)エーテル化合物のビニル基のモル当量比;カルボキシル基のみを有する化合物の場合には、[(ビニル基/カルボキシル基)のモル当量比]で示される比は、1/1〜2/1であることが望ましい。このモル比が2/1を越える場合、反応温度を上げることができず、一定以上反応が進まない場合があり、また製造コストも上昇する。なお、用途によって部分的に反応させたほうがよい場合も有り、その場合にはモル当量比を0.5/1〜1/1とすることもできる。
カルボキシル基の当量は、簡便には化合物構造式から算出され、より正確には、JIS
K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準じて測定される。
本発明で用いられるリン含有化合物誘導体(A)は、前記のリン含有化合物と、前記のビニル(チオ)エーテル化合物とを室温ないし150℃の範囲の温度で反応させることにより得ることができる。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することも出来る。そのような酸触媒としては例えば、下記式(5)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。
Figure 2006124477
(式中のRは炭素数3〜10のアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基、rは
1または2である。)
前記式(5)で表される酸性リン酸エステル化合物としては具体的に、n−プロパノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール等の第一級アルコール、およびイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノールなどの第二級アルコールのリン酸モノエステルあるいはリン酸ジエステルが挙げられる。
また、反応系を均一にし、反応を容易にする目的で有機溶媒も使用してもよい。そのような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、芳香族石油ナフサ、テトラリン、テレビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録商標)、ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、モノメチルエーテル、酢酸メトキシブチル、酢酸メトキシプロピル等のエステルおよびエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコール誘導体が挙げられる。より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
前記の有機溶媒は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。前記の有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、反応原料100質量部に対して、通常、5〜95質量部、好ましくは、20〜80質量部である。
前記の(A)成分は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物中の、前記の(A)成分の配合量は、5〜70質量%、好ましくは、15〜65質量%であり、さらに好ましくは35〜60質量%である。使用量が5質量%を下回ると、望まれる難燃性が達成できない可能性があり、使用量が70質量%を上回ると、硬化樹脂の柔軟性、強靭性が低下する可能性がある。
本発明に用いるエポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物(B)は、エポキシ基やイソシアネート基を分子内に2個以上有するものであれば特に限定されるものではない。また、エポキシ基とイソシアネート基を共に分子内に有するものを用いることもできるし、1種単独で、あるいは2種以上を配合して使用してもよい。
また、エポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型またはビキシレノール型のエポキシ樹脂またはそれらの混合物、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、レゾルシノールジグリシジルエーテル等の芳香族グリジジルエーテル類;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、各種芳香族グリシジルエーテル類の水添または半水添エポキシ樹脂、その他脂肪族ポリオールのグリシジルエーテル等の脂肪族グリジジルエーテル類(より具体的には、エチレングリコールールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等);フタル酸ジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジル等の芳香族グリジジルエステル類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2,3−エポキシプロピル)エステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、3級カルボン酸グリシジルエステル等の脂肪族グリジジルエステル類;1,2:8,9ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変成3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル3−)−スピロ[1,3−ジオン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の脂環式エポキシ化合物;N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、アニリンジグリシジルエーテル、N−(2−メチルフェニル)−N−(オキシラニルメチル)オキシランメタンアミン、N−グリシジルフタルイミド等のグリジジルアミン類;トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;その他に、ブタジエンの単独重合体または共重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の単独重合体または共重合体等のエポキシ基含有化合物等が挙げられる。
これらのうち、入手性と難燃性の点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。また、より高度な難燃性が必要とされる場合には臭素化エポキシ樹脂や、エポトートZX−1548−1(リン含有量:2.0重量%)、エポトートZX−1548−2(リン含有量:2.5重量%)、エポトートZX−1548−3(リン含有量:3.0重量%)、エポトートZX−1548−4(リン含有量:4.0重量%)(以上、東都化成(株)製、商品名)等のリン含有エポキシ樹脂を用いることが可能であるが、ハロゲン化合物が倦厭される用途においては臭素化エポキシ樹脂を使うことは好ましくない。
以上のエポキシ基を有する化合物のうち、エポキシ当量が140〜400g/molであるものがより好ましく挙げられる。この際のエポキシ当量とは、簡便には化合物構造式から算出され、より正確には、JIS K 7236 :2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に準じて測定される。
また、イソシアネート基を2個以上有する化合物としては、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(以下TDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、リジンメチルエステルジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)フマレート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート(以下H6XDI)、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエートおよびこれらのビュレット体やイソシアヌレート体、さらにはこれらのイソシアネート類とポリオールとのアダクト化合物などのイソシアネート基含有化合物;前記イソシアネート基含有化合物のフェノール類、ラクタム類、活性メチレン類、アルコール類、酸アミド類、イミド類、アミン類、イミダゾール類、尿素類、イミン類、オキシム類によるブロック体などのブロック化イソシアネート基含有化合物等が挙げられる。さらには、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基を含有する重合性単量体(例えば、昭和電工(株)製カレンズMOIシリーズ、商品名)を共重合してなるポリイソシアネートも好ましく挙げられる。
これらのうち、好ましくは、TDI、HDI、およびこれらのビュレット体やイソシアヌレート体、さらにはこれらのイソシアネート類とポリオールとのアダクト化合物などのイソシアネート基含有化合物が好ましく挙げられ、その中でも、HDI誘導体、すなわちHDIのビュレット体、イソシアヌレート体、およびアダクト体が、硬化性樹脂組成物のポリエステル基材との親和性からより好ましく挙げられる。
以上のイソシアネート基を2個以上有する化合物のうち、ポリエステル基材に対する硬化性樹脂組成物の硬化物の密着性の点から、イソシアネート基当量が好ましくは180〜400g/mol、より好ましくは240〜380g/mol、さらに好ましくは300〜350g/molであるものが挙げられる。この際のイソシアネート基当量とは、JIS K 1556:1968「トリレンジイソシアネート試験方法」と同様にして、化学滴定によって測定される。
前記のエポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物(B)とリン含有化合物誘導体(A)との配合量は特に限定されるものではないが、リン含有化合物誘導体(A)の脱ブロック後に生じるカルボキシル基またはフェノール性水酸基とエポキシ基またはイソシアネート基との個数比が0.2/1〜2/1になるよう配合することが好ましく、より好ましい個数比は0.5/1〜1.5/1である。カルボキシル基またはフェノール性水酸基とエポキシ基またはイソシアネート基との個数比が0.2/1未満であると、硬化後にエポキシ基またはイソシアネート基が多量に残留するため、架橋密度が低くなり、樹脂物性が低下する。また、カルボキシル基またはフェノール性水酸基とエポキシ基またはイソシアネート基との個数比が2/1未満であると、カルボキシル基が過剰となり、多くの場合樹脂物性が低下する。
ただし、本発明に用いるリン含有カルボン酸誘導体より生じるカルボキシル基またはフェノール性水酸基以外のエポキシ基またはイソシアネート基と反応する官能基(加えて配合する硬化剤のカルボキシル基も含む)が樹脂中に存在したり、エポキシ基またはイソシアネート基以外の官能基が樹脂中に存在し、過剰なエポキシ基またはイソシアネート基またはカルボキシル基またはフェノール性水酸基が反応により消費されたりする場合はこの限りではなく配合により調整することが望ましい。
本発明で用いられるリン含有化合物誘導体(A)は、加熱または紫外線や電子線のような活性エネルギー線の照射によりビニル(チオ)エーテル化合物の脱離が生じ、元のカルボキシル基またはフェノール性水酸基を再生することができる(脱ブロック化)。このカルボキシル基またはフェノール性水酸基の再生反応は、酸触媒により促進される。そのような酸触媒としては、例えばハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノおよびジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノおよびジエステル類などのプロトン酸、フッ化ホウ素(BF3)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第二スズ(SnCl4)、塩化アルミニウム(AlCl3)、塩化亜鉛(ZnCl2)、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、オクチル酸ジルコニウムなどのルイス酸等、さらにはこれらのルイス酸とアミン化合物との付加物を挙げることができる。
これらの酸触媒の中では、好ましくはルイス酸触媒を挙げることができ、より好ましくは、(B)成分がイソシアネート基含有化合物であればオクチル酸亜鉛を、エポキシ基含有化合物であればオクチル酸亜鉛のアミン付加物を挙げることができる。
前記の酸触媒は、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
前記の酸触媒は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、通常0.0001〜10質量部で配合される。触媒の配合量は(B)成分がイソシアネート基含有化合物であれば、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.0001〜1質量
部、触媒の配合量は(B)成分がエポキシ基含有化合物であれば(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.001〜5質量部であることがより好ましい。
本発明の熱硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じてさらに、他の難燃剤、硬化剤、充填材、顔料、着色剤、可塑剤、触媒等の添加剤を配合してもよい。
また、本発明の熱硬化性組成物は、溶剤で希釈して使用することができる。溶剤の種類は、特に限定されない。通常の汎用溶媒の中から適宜選択して使用することができる。具体的には例えば、前記のリン含有化合物誘導体(A)の製造時の反応に用いたものと同じ溶剤を使用することができる。その添加量は、基材に対する塗装方法や塗装膜厚により最適な値が異なる。例えば、本発明の熱硬化性組成物100質量部に対して溶剤は、浸漬塗装やロールコーター塗装等で厚く塗装をする場合には、通常0〜10質量部を、浸漬塗装やスプレー塗装等で薄く塗装する場合には、通常10〜90質量部を添加し、希釈して使用するのが適当である。このように、本発明の樹脂組成物は様々な濃度形態で用いられるため、以下の添加剤等の配合量は固形分に対する質量比で記述する。本明細書において固形分とは、(A)成分と(B)成分の質量の合計を意味する。
難燃性を向上させるため、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等を添加してもよいが、硬化性樹脂組成物の固形分に対して等質量以上添加すると樹脂の柔軟性や強靭性に影響を及ぼすため使用が限られる。これらの無機系難燃剤はリン系難燃剤と相乗効果があるため、本発明においては、上記量の添加においても十分に難燃性を発揮する。また、イソシアネートをリン含有化合物誘導体(A)で硬化させた場合、硬化樹脂がタック感を持つことが有り、このタック感を抑えるためにはアエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)製、商品名)等のシリカフィラーを配合すると効果的である。この際の添加量は硬化性樹脂組成物の固形分に対して0.05〜5質量%が好ましいが、難燃性を向上させるために硬化性樹脂組成物の固形分に対して5〜20質量%添加してもよい。
また、一般的にウレタン樹脂の改質剤として用いられる薬剤を添加してもよい。例えば、カルボジライト(日清紡(株)製、商品名)等のポリカルボジイミド等が改質剤として挙げられる。例えばカルボジライトの場合、通常、硬化性樹脂組成物の固形分に対して0.1〜50質量%の添加量で用いられる。
さらに加えて使用する他の硬化剤としては、例えば、酸無水物、ポリアミン系化合物、フェノール系化合物、ポリアルコール系化合物等の慣用されている硬化剤、さらには、カルボキシル基を有し、リン原子を含有しない化合物を前記式(2)の構造を有する化合物で変性した化合物も硬化剤として用いることができる。これらの他の硬化剤は、本発明のリン含有化合物誘導体(A)100質量部に対して120質量部未満の配合に抑えることが好ましく、120質量部以上配合した場合には硬化樹脂中のリン原子が占める質量比率が低くなるため、要求される難燃性が得られない場合があるので好ましくない。ここで、本明細書における硬化剤とは、(B)成分であるエポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物と化学反応を生じる化合物であり、化学反応の結果として樹脂が硬化することを目的として配合される化合物のことを意味する。
硬化性樹脂組成物中に含まれるリン原子の含有量は、硬化性樹脂組成物の固形分に対して好ましくは0.1〜30質量%である。この含有量が0.1質量%未満の場合、難燃性等の機能を充分に発揮することができず、30質量%を越える場合、合成樹脂の本来の性質が損なわれる。
硬化性樹脂組成物の粘度は、塗装法や塗装膜厚によって異なるが、一般に1〜50000mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは5〜30000mPa・sの範囲が好ましい。粘度が1mPa・sより低いと、塗工むらが発生しやすく、外観品位を阻害するおそれがあり、またこの粘度領域の硬化性樹脂組成物は樹脂全質量に対する固形分質量が低くなるため、難燃化に必要な塗装膜厚が得ることが難しい。また粘度が50000mPa・sより高いと、塗工性が悪くなる。硬化性樹脂組成物の粘度は、主として添加する溶剤量によって、また、前記のアエロジル等のフィラー、増粘剤、チクソ剤等によっても調節できる。
前記の硬化性樹脂組成物の製造は、必須の(A)成分、(B)成分を始めとする諸成分を一括ないし逐次で配合して、羽根形撹拌機、デソルバー、ニーダー、ボールミル混和機、ロール分散機等を用いて、通常の方法で混合を行えばよい。混合の温度は、配合成分にもよるが、通常、結露や溶剤の揮散を避けるために、10〜60℃が好ましい。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムの基材として用いるポリエステルフィルムの素材樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレート、ポリブチレンイソフタレートなどのアルキレングリコールと芳香族ジカルボン酸から得られるポリエステル;ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチルテレフタレート)などの脂環式ジオールと芳香族ジカルボン酸から得られるポリエステル;アジピン酸−ビスフェノールA縮合物などのポリオキシエチレン(付加モル数0〜2)ビスフェノール類と脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られるポリエステル;テレフタル酸−ビスフェノールA縮合物などの芳香族ジカルボン酸とを縮合して得られる全芳香族ポリエステル;p−ヒドロキシ安息香酸縮合物などの芳香族ヒドロキシカルボン酸を縮合して得られる全芳香族ポリエステル;およびこれらのホモポリエステルを二種以上組み合わせて共重合したコポリエステルや、これらのホモポリエステルに各種芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、オキシカルボン酸、各種グリコ−ル、各種ヒドロキシカルボン酸、さらには各種ラクトンを共重合したコポリエステルを挙げることができる。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムの基材として用いるポリエステルフィルムの素材樹脂中には、ポリエステル合成用のエステル化触媒またはエステル交換反応触媒として用いられる有機スズ化合物およびリン化合物を残留含有していてもよい。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムの基材として用いるポリエステルフィルムの素材樹脂は、他の重合体を含有してもよい。このような重合体としてはポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体などのエラストマー、およびこれらの無水マレイン酸等による酸変性物、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−フェニルマレイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ポリカーボネートなどを挙げることができる。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムの基材として用いるポリエステルフィルムの素材樹脂は、公知の酸化防止剤、耐候剤、離型剤、滑剤、増粘剤、染料や顔料等の着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、強化剤、充填剤、結晶化核剤、可塑剤、接着剤、接着助剤、粘着剤などを含有していてもよい。
前記の基材ポリエステルフィルムは、公知の方法により製造される。例えば、T−ダイ法やインフレーション法を用いて形成されたフィルムを、例えば、二軸延伸、熱処理し、フィルムを製造する。
前記の基材として用いるポリエステルフィルムの厚みは特に限定されないが、1〜1000μmが好ましく、より好ましくは1〜500μmである。膜厚が1000μmを越えると難燃性等の機能を充分に発揮することができない。
前記の基材として用いるポリエステルフィルムは、外層であるポリエステルに対して、例えばエチレンアクリル酸エチル共重合体のような他のポリマーを内層に有する積層構造をとってもよい。
前記の基材として用いるポリエステルフィルムは、軟化点が100℃以上であることが好ましい。軟化点が100℃未満であると、硬化性樹脂を塗布後に硬化させる温度で熱変形を起こしてしまい、好ましくない。
前記の基材として用いるポリエステルフィルムの市販品としては例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の「メリネックス」と「マイラー」、エス・ケー・シー(株)製の「スカイロール」、(株)高合製の「コーフィル」、(株)瑞通製の「瑞通ポリエステルフィルム」、帝人(株)製の「テイジンテトロンフィルム」、東洋紡績(株)製の「東洋紡エステルフィルム」と「東洋紡エスペットフィルム」、東レ(株)製の「ルミラー」、二村化学工業(株)製の「太閤ポリエステルフィルム」、三菱樹脂(株)製の「ダイアラミー」、三菱化学ポリエステルフィルム(株)製の「ダイアホイル」、ユニチカ(株)製の「エンブレット」、(株)和承インダストリ製の「和承ハイファンPETフィルム」、(株)セハン製の「セハンAPETシート」、帝人(株)製の「テイジンテトロンシート」、電気化学工業(株)製の「デンカA−PETシート」、長瀬産業(株)製の「ナガセA−PETシート」、三菱化学(株)製の「ノバクリアー」(以上、商品名)などが挙げられる。
本発明における硬化性樹脂組成物の塗装方法としては、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法として、例えば、ハケ塗り塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、流れ塗装、フローティング塗装、ナイフコーター塗装、ロールコーター塗装等が挙げられる。
硬化性樹脂組成物の最適な塗装膜厚は、ポリエステルフィルムの素材や形態により異なるが、硬化後の膜厚で2〜200μmとなるように塗工することが好ましい。塗工膜厚が2μm以下であると望まれる難燃性が付与できない可能性があり、塗工膜厚が200μm以上であると、硬化後の樹脂皮膜に発泡が見られる等外観を著しく損なうおそれがある
本発明に用いる硬化性樹脂組成物においては、エポキシ樹脂やイソシアネート樹脂とリン含有化合物誘導体(A)(硬化剤という場合もある。)が脱ブロック化した後に生じるリン含有カルボン酸またはリン含有フェノールとが反応し架橋構造を形成する。この反応は10〜230℃の温度で進行する。この反応に必要な時間は触媒の有無や樹脂とリン含有化合物誘導体(A)、その他の樹脂成分の組み合わせにより変化するが、100℃未満の低温では1〜10時間を必要とし、100℃以上では1分〜2時間を必要とする。
硬化性樹脂組成物の硬化に用いる装置には、特に制限はなく、密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。
硬化性樹脂組成物の塗装および硬化は、難燃化ポリエステルフィルムを作製するどのプロセスで行われてもよい。
本発明で得られる難燃化ポリエステルフィルムは、火炎中等高温化に曝されると、硬化性樹脂組成物からなる樹脂皮膜が炭化しチャー層を形成する。このチャー層は酸素や熱、可燃性ガスを透過しないため、内部のポリエステルフィルムが難燃化される。このようなチャー形成はリン系難燃剤配合樹脂に特有のものである。さらには、本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は難燃化能が高い上に、様々な利用形態をとりうるポリエステルフィルムの表面物性を損なわない物性設計が可能である。また、本発明に用いられる硬化性樹脂組成物は、室温で安定な1液型であるにもかかわらず、低温で硬化する樹脂組成物となり、低温で変形してしまう素材からなるポリエステルフィルムをも被覆できるため、またその塗装工程の簡便さからも、極めて有用である。難燃化ポリエステルフィルムとして、コンピュータ、通信機器、AV機器、医用電子機器、電気計測機器、事務機器、自動車電装品、建築設備シールド施工用等、幅広い分野に展開可能である。それらの分野の用途としては、例えば、光学薄膜フィルター、調光素子、熱線遮断フィルムなどの光学材料の基材;電子ペーパー、リライタブルラベル、フォトクロミック素子、IDタグ、ICカードなどの光学記録・表示素子の基材;フレキシブルアンテナ、不揮発性メモリ、厚膜抵抗体、誘電体コンデンサ、FETトランジスタ、EL素子、透明導電膜、色素増感太陽電池などの電子部品の基板・基材;OPC感光体、フレキソ印刷版などの印刷材料等が挙げられ、本発明の特徴として、PET本来の柔軟性や透明性を損なうことなく、優れた難燃性を十分に発揮することができる。
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。
以下に本実施例および比較例で用いた測定方法、評価方法を示す。
1.〈燃焼試験〉
UL〈Underwriter's Laboratories Inc.〉94薄手材料垂直燃焼試験〈Thin Material Vertical BurningTest〉に準じて行なった。
2.〈ブリードアウト〉
硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させたポリエステルフィルムを60℃、90RH%、500hの条件で恒温恒湿保存した後、塗布面上の析出物の有無を目視にて確認した。析出物が無いものを○、析出物が有るものを×とした。
3.〈耐屈曲性〉
硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させたポリエステルフィルムを180度屈曲性試験機で試験し、塗布面に亀裂が入った回数を評価した。
4.〈透明性〉
硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させたポリエステルフィルムの全光線透過率(%)を測定した。
次に、本実施例および比較例で用いた略号および材料を示す。
〈硬化剤〉
1.nPr−MA:下記式(6)の構造であるリン含有化合物誘導体
Figure 2006124477
2.nPr−TMA:下記式(7)の構造であるリン不含化合物
Figure 2006124477
3.A160X:アクリルポリオール「デスモフェンA160X」(;住化バイエルウレタン(株)製商品名、不揮発分約60%、OH当量1060g/mol)
〈主剤〉
1.N3300:HDI−イソシアヌレート体「スミジュールN3300」(;住化バイエルウレタン(株)製、商品名、イソシアネート基当量193g/mol)
2.D120N:H6XDI−アダクト体「タケネートD120N」(;三井武田ケミカル(株)製商品名、イソシアネート基当量372g/mol)
3.D160N:HDI−アダクト体「タケネートD160N」(;三井武田ケミカル(株)製商品名、イソシアネート基当量330g/mol)
4.YDPN638:フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エポトートYDPN638」(;東都化成(株)製商品名、エポキシ当量180g/mol)
〈触媒〉
ZnOct:オクチル酸亜鉛
LC−1:オクチル酸亜鉛アミン付加物「ノフキュアーLC−1」(;日本油脂(株)製商品名)
〈難燃剤〉
APP:ポリリン酸アンモニウム
TPP:リン酸トリフェニル
[実施例1]
nPr−MAを54質量部、N3300を45質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで100℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
nPr−MAを38質量部、D120Nを61質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで100℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
nPr−MAを40質量部、D160Nを59質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで100℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
nPr−MAを56質量部、YDPN638を43質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで120℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
nPr−MAを54質量部、N3300を45質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにLC−1を1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで150℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
nPr−MAを56質量部、YDPN638を43質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにLC−1を1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで150℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
硬化性樹脂組成物を表1に示したように変更した以外は、前記の実施例1〜6と同様にして配合し、樹脂組成物を得た。さらに、加熱硬化条件を130℃、1時間とした以外は実施例1〜6と同様にして難燃化ポリエステルフィルムを得、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2006124477
以上の結果より、本発明の実施例1〜6の難燃化ポリエステルフィルムは、臭素含有難燃剤や赤リンやアンチモン等の難燃剤を用いずに、高い難燃性を発現し、難燃剤のブリードアウトが無く、柔軟で加工性に富むことがわかる。
一方、(B)成分を用いず、従来型の難燃剤を用いた比較例1〜2のポリエステルフィルムにおいては、成分のブリードアウトが起こっており、特にTPPを用いた比較例1においては、難燃性にも劣っていることがわかる。なお、(B)成分を含め全く難燃剤を用いない比較例3〜4のポリエステルフィルムにおいては、全く難燃性が認められなかった。
このように、実施例で示された通り、難燃化ポリエステルフィルムを原材料として使用することにより、保存および使用条件のみならず、より過酷な成形条件においてもブリードアウトを抑制することができるので、難燃性付与後の成形加工上にも有利になり、基本機能に加えて優れた難燃性を有する電子部材が提供されることがわかる。

Claims (5)

  1. 下記の(A)、(B)成分を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルムの少なくとも1面に塗工した後に硬化させてなる難燃化ポリエステルフィルム。
    (A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
    (B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
  2. 前記の(A)成分が下記式(1)で表される化合物である請求項1に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
    Figure 2006124477
    (m1は0または1であり、Dは式(2)で表される基である。)
    Figure 2006124477
    (式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜18の有機基、Rは炭素数1〜18の有機基、RとRは互いに結合して環を形成してもよく、Yは酸素原子またはイオウ原子である。)
  3. 硬化性樹脂組成物が、(A)成分を35〜65質量%と、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体でありイソシアネート基当量が180〜400g/molである(B)成分を34〜64質量%と、さらにルイス酸触媒を0.0001〜1質量%とを含む請求項1または2に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
  4. 硬化性樹脂組成物が、(A)成分を35〜60質量%と、エポキシ基当量が140〜400g/molである(B)成分を39〜64質量%と、さらにルイス酸触媒を0.001〜5質量%とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃化ポリエステルフィルムに用いられる硬化性樹脂組成物。
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