JP2006124477A - 難燃化ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
環境への負荷が問題視されている臭素含有難燃剤や赤リンやアンチモン等の難燃剤を用いることなく、高い難燃性を有する上に、難燃剤のブリードアウトが無く、柔軟で加工性に富む難燃化ポリエステルフィルム、およびこれを得るために用いられる硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
下記の(A)、(B)成分を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を少なくとも1面に塗工した後に硬化させた難燃化ポリエステルフィルム。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
【選択図】 なし
Description
難燃化の手法としてはポリエステルフィルムにリン系難燃剤とハロゲン含有難燃剤とを添加し、難燃性を得る方法がある。しかしながら、ハロゲン含有難燃剤を添加した樹脂は、加工時や燃焼時に有毒ガスが生成することが問題視されている。特に臭素含有難燃剤においては、加熱加工処理時に臭化水素ガスが発生することや、燃焼時にダイオキシン類似ガスが発生することが指摘されている。
さらに、これらの技術については、難燃剤のブリードアウトや欠落があり、外観や性能を損なうだけでなく環境中に難燃剤が放出されるという問題があり、これらの問題に対する解決が望まれていた。
ここで、以上の難燃剤のブリードアウトや欠落を解決するために、反応性のリン系難燃剤を用いる試みがなされている。例えば、特許文献1においては、潜在化されたリン系難燃剤とエポキシ樹脂またはイソシアネート化合物との組み合わせからなる硬化性樹脂組成物と、その難燃化コート材としての使用方法が開示されている。しかしながら、この潜在化リン系難燃剤を単純に用いただけでは、ポリエステルフィルムは非常に燃焼性が高いので、柔軟性等、ポリエステルの優れた物性を活かしながら難燃化を達することは不可能であった。
また、本発明の第2の目的は、このような難燃化ポリエステルフィルムを得るために用いられる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
〔1〕下記の(A)、(B)成分を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルムの少なくとも1面に塗工した後に硬化させてなる難燃化ポリエステルフィルム。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
〔2〕前記の(A)成分が下記式(1)で表される化合物である前記の〔1〕に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
〔3〕硬化性樹脂組成物が、(A)成分を35〜65質量%と、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体でありイソシアネート基当量が180〜400g/molである(B)成分を34〜64質量%と、さらにルイス酸触媒を0.0001〜1質量%とを含む前記の〔1〕または〔2〕に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
〔5〕前記の〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の難燃化ポリエステルフィルムに用いられる硬化性樹脂組成物。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムは、下記の(A)、(B)両成分を含有する硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルム基材の少なくとも1面に塗工した後に硬化させたものである。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。
また「リン含有化合物誘導体」は、前記の「リン含有化合物」と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなる誘導体を意味する。
また、硬化性樹脂組成物とは、配合された組成物としては未硬化状態であって、熱や光等により硬化させることにより、樹脂硬化物となる組成物を意味する。
、Y1は酸素原子またはイオウ原子である。)
前記のビニル(チオ)エーテル化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記式(4)で表される化合物は、前記のビニル(チオ)エーテル化合物として、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルビニルエーテルを用いて得られる。
カルボキシル基の当量は、簡便には化合物構造式から算出され、より正確には、JIS
K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準じて測定される。
本発明で用いられるリン含有化合物誘導体(A)は、前記のリン含有化合物と、前記のビニル(チオ)エーテル化合物とを室温ないし150℃の範囲の温度で反応させることにより得ることができる。この際、反応を促進させる目的で酸触媒を使用することも出来る。そのような酸触媒としては例えば、下記式(5)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げられる。
1または2である。)
前記の(A)成分は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物中の、前記の(A)成分の配合量は、5〜70質量%、好ましくは、15〜65質量%であり、さらに好ましくは35〜60質量%である。使用量が5質量%を下回ると、望まれる難燃性が達成できない可能性があり、使用量が70質量%を上回ると、硬化樹脂の柔軟性、強靭性が低下する可能性がある。
また、エポキシ基を2個以上有する化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型またはビキシレノール型のエポキシ樹脂またはそれらの混合物、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、レゾルシノールジグリシジルエーテル等の芳香族グリジジルエーテル類;水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、各種芳香族グリシジルエーテル類の水添または半水添エポキシ樹脂、その他脂肪族ポリオールのグリシジルエーテル等の脂肪族グリジジルエーテル類(より具体的には、エチレングリコールールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールールジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等);フタル酸ジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジル等の芳香族グリジジルエステル類;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ビス(2,3−エポキシプロピル)エステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル、3級カルボン酸グリシジルエステル等の脂肪族グリジジルエステル類;1,2:8,9ジエポキシリモネン、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変成3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,1−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル3−)−スピロ[1,3−ジオン−5,3’−[7]オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、ジシクロペンタジエンジオキサイド等の脂環式エポキシ化合物;N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、アニリンジグリシジルエーテル、N−(2−メチルフェニル)−N−(オキシラニルメチル)オキシランメタンアミン、N−グリシジルフタルイミド等のグリジジルアミン類;トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート等の複素環式エポキシ化合物;その他に、ブタジエンの単独重合体または共重合体のエポキシ化物、グリシジル(メタ)アクリレートや3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の単独重合体または共重合体等のエポキシ基含有化合物等が挙げられる。
以上のエポキシ基を有する化合物のうち、エポキシ当量が140〜400g/molであるものがより好ましく挙げられる。この際のエポキシ当量とは、簡便には化合物構造式から算出され、より正確には、JIS K 7236 :2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に準じて測定される。
以上のイソシアネート基を2個以上有する化合物のうち、ポリエステル基材に対する硬化性樹脂組成物の硬化物の密着性の点から、イソシアネート基当量が好ましくは180〜400g/mol、より好ましくは240〜380g/mol、さらに好ましくは300〜350g/molであるものが挙げられる。この際のイソシアネート基当量とは、JIS K 1556:1968「トリレンジイソシアネート試験方法」と同様にして、化学滴定によって測定される。
これらの酸触媒の中では、好ましくはルイス酸触媒を挙げることができ、より好ましくは、(B)成分がイソシアネート基含有化合物であればオクチル酸亜鉛を、エポキシ基含有化合物であればオクチル酸亜鉛のアミン付加物を挙げることができる。
前記の酸触媒は、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
部、触媒の配合量は(B)成分がエポキシ基含有化合物であれば(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.001〜5質量部であることがより好ましい。
また、本発明の熱硬化性組成物は、溶剤で希釈して使用することができる。溶剤の種類は、特に限定されない。通常の汎用溶媒の中から適宜選択して使用することができる。具体的には例えば、前記のリン含有化合物誘導体(A)の製造時の反応に用いたものと同じ溶剤を使用することができる。その添加量は、基材に対する塗装方法や塗装膜厚により最適な値が異なる。例えば、本発明の熱硬化性組成物100質量部に対して溶剤は、浸漬塗装やロールコーター塗装等で厚く塗装をする場合には、通常0〜10質量部を、浸漬塗装やスプレー塗装等で薄く塗装する場合には、通常10〜90質量部を添加し、希釈して使用するのが適当である。このように、本発明の樹脂組成物は様々な濃度形態で用いられるため、以下の添加剤等の配合量は固形分に対する質量比で記述する。本明細書において固形分とは、(A)成分と(B)成分の質量の合計を意味する。
難燃性を向上させるため、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト等を添加してもよいが、硬化性樹脂組成物の固形分に対して等質量以上添加すると樹脂の柔軟性や強靭性に影響を及ぼすため使用が限られる。これらの無機系難燃剤はリン系難燃剤と相乗効果があるため、本発明においては、上記量の添加においても十分に難燃性を発揮する。また、イソシアネートをリン含有化合物誘導体(A)で硬化させた場合、硬化樹脂がタック感を持つことが有り、このタック感を抑えるためにはアエロジルシリーズ(日本アエロジル(株)製、商品名)等のシリカフィラーを配合すると効果的である。この際の添加量は硬化性樹脂組成物の固形分に対して0.05〜5質量%が好ましいが、難燃性を向上させるために硬化性樹脂組成物の固形分に対して5〜20質量%添加してもよい。
さらに加えて使用する他の硬化剤としては、例えば、酸無水物、ポリアミン系化合物、フェノール系化合物、ポリアルコール系化合物等の慣用されている硬化剤、さらには、カルボキシル基を有し、リン原子を含有しない化合物を前記式(2)の構造を有する化合物で変性した化合物も硬化剤として用いることができる。これらの他の硬化剤は、本発明のリン含有化合物誘導体(A)100質量部に対して120質量部未満の配合に抑えることが好ましく、120質量部以上配合した場合には硬化樹脂中のリン原子が占める質量比率が低くなるため、要求される難燃性が得られない場合があるので好ましくない。ここで、本明細書における硬化剤とは、(B)成分であるエポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物と化学反応を生じる化合物であり、化学反応の結果として樹脂が硬化することを目的として配合される化合物のことを意味する。
硬化性樹脂組成物の粘度は、塗装法や塗装膜厚によって異なるが、一般に1〜50000mPa・sの範囲が好ましく、更に好ましくは5〜30000mPa・sの範囲が好ましい。粘度が1mPa・sより低いと、塗工むらが発生しやすく、外観品位を阻害するおそれがあり、またこの粘度領域の硬化性樹脂組成物は樹脂全質量に対する固形分質量が低くなるため、難燃化に必要な塗装膜厚が得ることが難しい。また粘度が50000mPa・sより高いと、塗工性が悪くなる。硬化性樹脂組成物の粘度は、主として添加する溶剤量によって、また、前記のアエロジル等のフィラー、増粘剤、チクソ剤等によっても調節できる。
本発明の難燃化ポリエステルフィルムの基材として用いるポリエステルフィルムの素材樹脂中には、ポリエステル合成用のエステル化触媒またはエステル交換反応触媒として用いられる有機スズ化合物およびリン化合物を残留含有していてもよい。
前記の基材ポリエステルフィルムは、公知の方法により製造される。例えば、T−ダイ法やインフレーション法を用いて形成されたフィルムを、例えば、二軸延伸、熱処理し、フィルムを製造する。
前記の基材として用いるポリエステルフィルムは、外層であるポリエステルに対して、例えばエチレンアクリル酸エチル共重合体のような他のポリマーを内層に有する積層構造をとってもよい。
前記の基材として用いるポリエステルフィルムは、軟化点が100℃以上であることが好ましい。軟化点が100℃未満であると、硬化性樹脂を塗布後に硬化させる温度で熱変形を起こしてしまい、好ましくない。
硬化性樹脂組成物の最適な塗装膜厚は、ポリエステルフィルムの素材や形態により異なるが、硬化後の膜厚で2〜200μmとなるように塗工することが好ましい。塗工膜厚が2μm以下であると望まれる難燃性が付与できない可能性があり、塗工膜厚が200μm以上であると、硬化後の樹脂皮膜に発泡が見られる等外観を著しく損なうおそれがある
硬化性樹脂組成物の硬化に用いる装置には、特に制限はなく、密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。
硬化性樹脂組成物の塗装および硬化は、難燃化ポリエステルフィルムを作製するどのプロセスで行われてもよい。
以下に本実施例および比較例で用いた測定方法、評価方法を示す。
1.〈燃焼試験〉
UL〈Underwriter's Laboratories Inc.〉94薄手材料垂直燃焼試験〈Thin Material Vertical BurningTest〉に準じて行なった。
2.〈ブリードアウト〉
硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させたポリエステルフィルムを60℃、90RH%、500hの条件で恒温恒湿保存した後、塗布面上の析出物の有無を目視にて確認した。析出物が無いものを○、析出物が有るものを×とした。
3.〈耐屈曲性〉
硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させたポリエステルフィルムを180度屈曲性試験機で試験し、塗布面に亀裂が入った回数を評価した。
4.〈透明性〉
硬化性樹脂組成物を塗布し硬化させたポリエステルフィルムの全光線透過率(%)を測定した。
〈硬化剤〉
1.nPr−MA:下記式(6)の構造であるリン含有化合物誘導体
〈主剤〉
1.N3300:HDI−イソシアヌレート体「スミジュールN3300」(;住化バイエルウレタン(株)製、商品名、イソシアネート基当量193g/mol)
2.D120N:H6XDI−アダクト体「タケネートD120N」(;三井武田ケミカル(株)製商品名、イソシアネート基当量372g/mol)
3.D160N:HDI−アダクト体「タケネートD160N」(;三井武田ケミカル(株)製商品名、イソシアネート基当量330g/mol)
4.YDPN638:フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エポトートYDPN638」(;東都化成(株)製商品名、エポキシ当量180g/mol)
〈触媒〉
ZnOct:オクチル酸亜鉛
LC−1:オクチル酸亜鉛アミン付加物「ノフキュアーLC−1」(;日本油脂(株)製商品名)
〈難燃剤〉
APP:ポリリン酸アンモニウム
TPP:リン酸トリフェニル
nPr−MAを54質量部、N3300を45質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで100℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例2]
nPr−MAを38質量部、D120Nを61質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで100℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
nPr−MAを40質量部、D160Nを59質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで100℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
nPr−MAを56質量部、YDPN638を43質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにZnOctを1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで120℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
nPr−MAを54質量部、N3300を45質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにLC−1を1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで150℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
nPr−MAを56質量部、YDPN638を43質量部秤取し、スウィングローターを用いて混合し、さらにLC−1を1質量部加えて、硬化性樹脂組成物を得た。この組成物を50μm厚のポリエステルフィルムにバーコーター(No.36)を用いて乾燥膜厚が10〜30μmになるように塗工し、熱風オーブンで150℃、1時間加熱硬化させた。得られた難燃化ポリエステルフィルムに対して、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
硬化性樹脂組成物を表1に示したように変更した以外は、前記の実施例1〜6と同様にして配合し、樹脂組成物を得た。さらに、加熱硬化条件を130℃、1時間とした以外は実施例1〜6と同様にして難燃化ポリエステルフィルムを得、燃焼試験、ブリードアウトの確認、耐屈曲性試験を行った。結果を表1に示す。
一方、(B)成分を用いず、従来型の難燃剤を用いた比較例1〜2のポリエステルフィルムにおいては、成分のブリードアウトが起こっており、特にTPPを用いた比較例1においては、難燃性にも劣っていることがわかる。なお、(B)成分を含め全く難燃剤を用いない比較例3〜4のポリエステルフィルムにおいては、全く難燃性が認められなかった。
このように、実施例で示された通り、難燃化ポリエステルフィルムを原材料として使用することにより、保存および使用条件のみならず、より過酷な成形条件においてもブリードアウトを抑制することができるので、難燃性付与後の成形加工上にも有利になり、基本機能に加えて優れた難燃性を有する電子部材が提供されることがわかる。
Claims (5)
- 下記の(A)、(B)成分を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物をポリエステルフィルムの少なくとも1面に塗工した後に硬化させてなる難燃化ポリエステルフィルム。
(A)成分:1分子中にカルボキシル基を2個以上有するリン含有化合物と、ビニル(チオ)エーテル化合物とを付加反応させてなるリン含有化合物誘導体、
(B)成分:エポキシ基またはイソシアネート基を2個以上有する化合物。 - 硬化性樹脂組成物が、(A)成分を35〜65質量%と、ヘキサメチレンジイソシアネート誘導体でありイソシアネート基当量が180〜400g/molである(B)成分を34〜64質量%と、さらにルイス酸触媒を0.0001〜1質量%とを含む請求項1または2に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
- 硬化性樹脂組成物が、(A)成分を35〜60質量%と、エポキシ基当量が140〜400g/molである(B)成分を39〜64質量%と、さらにルイス酸触媒を0.001〜5質量%とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の難燃化ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃化ポリエステルフィルムに用いられる硬化性樹脂組成物。
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