JP2006120919A - シリカ系被膜形成用塗布液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)アルキルトリアルコキシシランを加水分解反応させて得られる反応生成物、および(B)ポリアルキレングリコールおよびその末端アルキル化物からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液。
【選択図】 なし
Description
下記特許文献1には、(a)トリアルコキシシランを有機溶媒中、酸触媒下で加水分解して得られる縮合物、及び(b)ポリアルキレングリコール及び/またはその末端アルキル化物を含有するシリカ系被膜形成用の塗布液を用いて、誘電率3.2以下のシリカ系被膜を形成する技術が記載されている。
本発明のシリカ系被膜形成用塗布液には(A)成分としてアルキルトリアルコキシシランを加水分解反応させて得られる反応生成物が含まれる。
前記加水分解反応によりシロキサンポリマーが生成するが、前記反応生成物には、低分子量の加水分解物、および加水分解反応と同時に分子間で脱水縮合反応を生じて生成された縮合物(シロキサンオリゴマー)も含まれ得る。本発明における(A)成分は、反応生成物がシロキサンポリマーの他に、かかる加水分解物または縮合物を含む場合、これらをも含む全体を指すものとする。
上記反応生成物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準、以下同様。)は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、より好ましい範囲は1000〜5000である。
R1Si(OR2)a(OR3)b(OR4)c …(I)
式中、R1は炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基である。
R2、R3、及びR4は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状または分岐状のアルキル基である。特に加水分解速度の点から炭素数1または2のアルキル基が好ましい。
a、b、及びcは、0≦a≦3、0≦b≦3、0≦c≦3であって、かつa+b+c=3の条件を満たす整数である。
上記酸触媒は有機酸、無機酸のいずれも使用できる。
無機酸としては、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸などが使用でき、中でも、リン酸、硝酸が好適である。
上記有機酸としては、ギ酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、氷酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、n−酪酸などのカルボン酸及び硫黄含有酸残基をもつ有機酸が用いられる。上記硫黄含有酸残基をもつ有機酸としては、有機スルホン酸が挙げられ、それらのエステル化物としては有機硫酸エステル、有機亜硫酸エステルなどが挙げられる。これらの中で、特に有機スルホン酸、例えば、下記一般式(II)で表わされる化合物が好ましい。
(式中、Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基、Xはスルホン酸基である。)
Rの炭化水素基が環状の場合、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基などの芳香族炭化水素基がよく、中でもフェニル基が好ましい。この芳香族炭化水素基における芳香環には置換基として炭素数1〜20の炭化水素基が1個又は複数個結合していてもよい。該芳香環上の置換基としての炭化水素基は飽和のものでも、不飽和のものでもよいし、直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよい。
また、Rとしての炭化水素基は1個又は複数個の置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えばフッ素原子等のハロゲン原子、スルホン酸基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、シアノ基などが挙げられる。
上記一般式(II)で表わされる有機スルホン酸としては、シリカ系被膜上に形成されるレジストパターン下部の形状改善効果の点から、特にノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸又はこれらの混合物などが好ましい。
水の添加量は、使用するアルキルトリアルコキシシランの合計1モル当たり、1.5〜4.0モルの範囲が好ましい。酸触媒は水を添加した後に加えてもよいし、あるいは、酸触媒と水とを予め混合してなる酸水溶液として加えてもよい。
加水分解反応の反応系に有機溶剤を含有させる場合の有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールのような一価アルコール、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートのようなアルキルカルボン酸エステル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類あるいはこれらのモノアセテート類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトンのようなケトン類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基をすべてアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類などが挙げられる。
上記有機溶剤は単独で用いてもよい、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のシリカ系被膜形成用塗布液には(B)成分としてポリアルキレングリコールおよびその末端アルキル化物からなる群から選ばれる1種以上が含まれる。
ポリアルキレングリコールにおけるアルキレン基の炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの低級アルキレングリコールが挙げられる。
ポリアルキレングリコールの末端アルキル化物とは、ポリアルキレングリコールの片末端または両末端の水酸基がアルキル基によってアルコキシ化されたものである。末端のアルコキシ化に用いられるアルキル基は直鎖状又は枝分かれ状のアルキル基であってよく、その炭素数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。特に、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖状のアルキル基が好ましい。
(B)成分の使用量は、シリカ系被膜形成用塗布液における固形分(SiO2換算質量)に対して、25〜100質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。(B)成分の使用量を上記範囲の下限値以上とすることによりシリカ系被膜の誘電率を低下させることができ、上記範囲の上限値以下とすることにより十分な強度のシリカ系被膜を得ることができる。
本発明のシリカ系被膜形成用塗布液には(C)成分としてテトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含有させることが好ましい。テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドは下記一般式(III)で表される。
R’4N+OH− …(III)
(式中、R’はアルキル基を示す。)
R’としてのアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5の直鎖状又は枝分かれ状のアルキル基であり、より好ましい炭素数は1〜3である。
かかる(C)成分をシリカ系被膜形成用塗布液に含有させることにより、形成されるシリカ系被膜をより一層低誘電率化することができる。
上記反応生成物(A)を含む反応溶液は、そのままシリカ系被膜形成用塗布液の調製に用いることもできるが、(A)成分以外の成分を加える前にアルキルトリアルコキシシランの加水分解によって生じたアルコールを除去することが好ましい。上記加水分解によって生じたアルコールを除去することにより、保存安定性、成膜性を向上させることができる。このアルコールの除去は、減圧蒸留による方法が好ましい。該減圧蒸留は真空度39.9×102〜39.9×103Pa(約30〜300mmHg)、好ましくは66.5×102〜26.6×103Pa(約50〜200mmHg)、温度20〜100℃で行うのが好ましい。上記加水分解によって生じたアルコールは、例えば、シリカ系被膜形成用塗布液中30質量%以下、好ましくは15質量%、より好ましくは8質量%以下まで除去することが好ましい。
前記希釈溶剤は特に限定されないが、例えば、前記加水分解反応の反応系に含有させる有機溶剤として挙げたものの中から適宜のものを用いることができる。塗布液の保存安定性や成膜性を向上させるうえでは、希釈溶剤としてアルキレングリコールジアルキルエーテルを用いることがより好ましい。該希釈溶剤の使用量は、シリカ系被膜形成用塗布液の固形分濃度が好ましい範囲となるように調整することが好ましい。
シリカ系被膜形成用塗布液の固形分濃度(SiO2換算濃度)は特に限定されないが、1〜30質量%程度が好ましく、5〜25質量%程度がより好ましい。
次いでホットプレート上でベークする。このベーク処理により塗膜中の有機溶剤が揮発し、さらにシロキサンポリマーの分子間で反応が生じて重合が進む。このときのベーク温度は、例えば80〜500℃程度であり、より好ましくは80〜300℃程度である。ベーク処理はベーク温度を変えつつ複数段階で行ってもよい。 この後、高温で焼成することによりシリカ系被膜が得られる。焼成温度は、通常、350℃以上で行われ、350〜450℃程度が好ましい。
本発明によれば、例えば、後述の実施例に記載した測定方法で測定される誘電率の値が3以下、好ましくは2.8以下である低誘電率のシリカ系被膜を形成することができる。
メチルトリエトキシシラン731.79gに、純水177.30gおよび濃度が60質量%の硝酸10.6μlを加え、3時間撹拌した。その後、室温で6日間反応させることにより、反応生成物を含む反応溶液を得た。該反応生成物の質量平均分子量(Mw)は1800であった。
得られた反応溶液を100mmHg以下、60℃にて減圧蒸留して、固形分濃度が51質量%となるまで濃縮した。
次いで、濃縮された反応溶液に、質量平均分子量1000のポリプロピレングリコール(三洋化成製、製品名;ニューポールPP−1000)86.32g(前記反応溶液中の固形分に対して35質量%)を加えた。
また、イソプロピルアルコール(IPA)中に濃度100ppmのテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を含む溶液123.32g(前記反応溶液中の固形分に対するTMAH濃度50ppm)を加えた。
さらに、プロピレングリコールジメチルエーテル3791.05gを加えて撹拌することによりシリカ系被膜形成用塗布液を得た。
得られたシリカ系被膜の誘電率を水銀プローブ式CV測定装置(日本SSM株式会社製、製品名;SSM495)を用いて測定したところ、誘電率は2.45であった。
さらに、上記で得られたシリカ系被膜を、70℃に保たれたヒドロキシルアミン類を含む剥離液に30分間浸漬した。膜減り(浸漬前の膜厚と浸漬後の膜厚との差)を調べたところ37Åであった。また浸漬後に、上記と同様にして誘電率を測定したところ2.74であった。
実施例1におけるメチルトリエトキシシランをトリエトキシシランに変更してシリカ系被膜形成用塗布液を調製した。
すなわち、トリエトキシシラン73.9gをエチレングリコールジメチルエーテル799.0gに溶解し撹拌した。次いで、純水24.2gおよび濃度が60質量%の硝酸3.2μlを加え、3時間撹拌した。その後、室温で6日間反応させることにより、反応生成物を含む反応溶液を得た。該反応生成物の質量平均分子量(Mw)は1300であった。
得られた反応溶液を120〜140mmHg以下、40℃にて減圧蒸留して、固形分濃度が8質量%になるまで濃縮した。
次いで質量平均分子量200のポリエチレングリコールの両末端メチル化物を、前記反応溶液中の固形分に対して100質量%加えた。
また、イソプロピルアルコール(IPA)中に濃度50ppmのテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を含む溶液を、前記反応溶液中の固形分に対するTMAH濃度が5.5ppmとなるように添加し、撹拌することによりシリカ系被膜形成用塗布液を得た。
得られたシリカ系被膜の誘電率を実施例1と同様にして測定したところ、2.5であった。
さらに、このシリカ系被膜について実施例1と同様にして剥離液に浸漬させた。浸漬後の膜減りおよび誘電率を調べたところ、膜減りは1004Å、誘電率は10であった。
実施例1で得られたシリカ系被膜の方が、比較例1で得られたシリカ系被膜と比べて、剥離液に浸漬したときの膜減りがかなり小さく、剥離液に浸漬したことによる誘電率の上昇幅も小さかった。
Claims (5)
- (A)アルキルトリアルコキシシランを加水分解反応させて得られる反応生成物、および(B)ポリアルキレングリコールおよびその末端アルキル化物からなる群から選ばれる1種以上を含むことを特徴とするシリカ系被膜形成用塗布液。
- 上記(B)成分の添加量は、上記(A)成分の固形分100質量部に対して25〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 前記(B)成分の質量平均分子量は、100〜10000であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- さらに、(C)テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
- 上記(C)成分の添加量は、上記(A)成分の固形分に対して10〜200ppmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリカ系被膜形成用塗布液。
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