JP2006118066A - 熱接着性複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱収縮率が小さく、得られる不織布等の繊維構造体の地合や寸法安定性が良好であり、高温雰囲気下での使用においても、接着強力の低下による変形が起こり難いものとすることができる熱接着性複合繊維を提供する。
【解決手段】テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルであって、ガラス転移点20〜80℃、結晶化開始温度90〜130℃、融点130〜180℃である共重合ポリエステルを鞘成分、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とする融点220℃以上のポリエステルを芯成分とする芯鞘複合繊維であって、130℃における乾熱収縮率が3%以下であることを特徴とする熱接着性複合繊維。
【選択図】なし
【解決手段】テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルであって、ガラス転移点20〜80℃、結晶化開始温度90〜130℃、融点130〜180℃である共重合ポリエステルを鞘成分、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とする融点220℃以上のポリエステルを芯成分とする芯鞘複合繊維であって、130℃における乾熱収縮率が3%以下であることを特徴とする熱接着性複合繊維。
【選択図】なし
Description
本発明は、低融点のポリエステル成分を鞘部に配した芯鞘型の複合繊維であって、不織布等の繊維構造体を得るためのバインダー繊維として好適に使用される熱接着性複合繊維に関するものである。
ポリエステル系の成分を使用した熱接着性複合繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)を芯成分とし、イソフタル酸成分を共重合したPET系共重合体を鞘成分とした繊維が広く使用されてきた。しかしながら、このようなPET系共重合体は、イソフタル酸成分が多く共重合されていると非晶性となるため、ガラス転移点以上の温度で軟化が始まり、このため、繊維の製造時に熱固定することができなかった。
このように製造時に熱固定がされていないと、不織布等の繊維構造体を得るために用いると、加熱接着処理する際に繊維の収縮が大きくなり、得られる不織布等の製品の寸法安定性が悪くなり、また、高温雰囲気下で使用すると、接着強力が低下して変形するという問題があった。
このような問題を解決するものとして、特許文献1には、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリラクトンとからなる低融点の共重合ポリエステルを鞘成分とした芯鞘型の熱接着性複合繊維であって、100℃における乾熱収縮率を3%以下にしたものが提案されている。
しかしながら、不織布等の布帛にした後に通常施される熱接着処理温度は100℃を超えるものであるため、熱接着処理により収縮する割合が大きくなり、この繊維を使用して得られる不織布等の布帛は、地合や寸法安定性が十分に向上せず、高温雰囲気下での不織布の形態安定性にも劣るものであった。なお、この繊維の熱収縮率を下げるために、製造工程において熱処理温度を高くすると、繊維が硬くなり、同時に繊維間密着が発生し、さらなる低収縮化を図ることは困難であった。
特許文献2には、このような問題点を解決するものとして、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリラクトンとからなる低融点の共重合ポリエステルを鞘成分とした芯鞘型の熱接着性複合繊維において、130℃における乾熱収縮率を3%以下にしたものが提案されている。
このような繊維の性能を有しつつも、コスト的に有利に得ることができる繊維が求められていた。
特開平9−324323号公報
特開平11−217731号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、コスト的に有利に得ることができ、100℃を超える熱接着処理においても熱収縮率が小さく、得られる不織布等の繊維構造体の地合や寸法安定性に優れ、高温雰囲気下での使用においても、接着強力の低下による変形が起こり難いものとすることができる熱接着性複合繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討の結果、芯鞘複合繊維の鞘ポリマーを特定成分からなる共重合ポリエステルにすること、製造工程において、捲縮付与前に特定条件でスチーム熱処理等の熱処理を施すことによって、繊維に繊維間の密着を発生させることなく十分な熱処理を施すことができ、130℃での熱収縮率が3%以下である熱接着性繊維を得ることができることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルであって、ガラス転移点20〜80℃、結晶化開始温度90〜130℃、融点130〜180℃である共重合ポリエステルを鞘成分、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とする融点220℃以上のポリエステルを芯成分とする芯鞘複合繊維であって、130℃における乾熱収縮率が3%以下であることを特徴とする熱接着性複合繊維を要旨とするものである。
本発明の熱接着性複合繊維は、鞘成分ポリマーに特定の物性値を満足するポリエステル成分を用いており、130℃における乾熱収縮率が3%以下であるため、本発明の熱接着性複合繊維を用いて得られる不織布等の繊維構造物は、熱接着処理を施しても寸法安定性がよく、地合も良好なものを得ることができる。さらに、この不織布等の繊維構造物を高温雰囲気下で使用しても、耐熱性に優れ、接着強力の低下による変形が起こり難いものとなる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の複合繊維は、芯成分としてポリアルキレンテレフタレートを主成分とする融点220℃以上のポリエステルを用いることが必要である。芯成分のポリエステルの融点が220℃未満になると、複合繊維を安定して製糸することが困難となるばかりでなく、得られる不織布等の繊維構造物を熱接着処理した時の寸法安定性が低下する。ポリアルキレンテレフタレートの具体例としては、PETやポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)が挙げられ、これらを単独、ブレンド、あるいは共重合して用いることができる。
また、このようなポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、共重合成分として、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、燐酸等の酸成分、グリセリン、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチルプロパン、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、2,2−ビス{4−(β−ヒドロキシ)フェニル}プロパンのエチレンオキシド付加体等を共重合していてもよい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲であれば、酸化防止剤、艶消剤、着色剤、滑剤、結晶核剤等の添加剤を含有していてもよい。
一方、鞘成分となる共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなるものが用いられ、ガラス転移点20〜80℃、結晶化開始温度90〜130℃、融点130〜180℃であることが必要である。
共重合ポリエステルの組成は、上記の温度範囲となるように選定されるが、イソフタル酸の割合は、酸成分(テレフタル酸成分とイソフタル酸成分の合計)の2〜12モル%となるようにすることが好ましい。イソフタル酸成分の共重合量が2モル%未満では結晶性はよくなるが、融点が180℃を超えるものとなりやすく、一方、12モル%を超えると、非晶性となるため、ガラス転移点以上の温度で軟化が始まるので繊維の製造時に熱処理することができず、熱収縮率を低いものとすることが困難となる傾向がある。
また、1,4−ブタンジオール成分の割合は、グリコール成分(エチレングリコール成分と1,4−ブタンジオール成分の合計)の20〜80モル%となるようにすることが好ましい。1,4−ブタンジオール成分の共重合量が20モル%未満では結晶性に劣り、融点が180℃を超えるものとなりやすい。一方、80モル%を超えると、結晶性はよくなるが、融点が180℃を超えるものとなりやすい。
なお、鞘成分の共重合ポリエステルは、テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなるものであるが、その効果を損なわない範囲であれば、酸化防止剤、艶消剤、着色剤、滑剤、結晶核剤等の添加剤を含有していてもよい。
そして、鞘成分の共重合ポリエステルは、融点(Tm)が130℃未満では、たとえ繊維化しても、高温雰囲気下で使用した場合の耐熱性に乏しいものとなる。一方、Tmが180℃を超えると熱接着処理時に高温での処理が必要となり、経済的に好ましくないばかりか、熱処理により重合体の分解が起こりやすくなる。
ガラス転移点(Tg)が20℃未満では、溶融紡糸時に単糸間密着が発生して製糸性が悪くなり、通常の二成分複合溶融紡糸方法では製造が困難となる。一方、80℃を超えるとTmが180℃を超える傾向がある。
また、共重合ポリエステルの結晶化開始温度(Tc)が90℃未満では、好適な結晶性のものとすることができず、繊維の製造時に熱処理することが困難となり、熱収縮率を低いものとすることが困難となる。一方、130℃を超えるとTmが180℃を超える傾向がある。
このような共重合ポリエステルを製造する方法としては、直接エステル化法やエステル交換法等の常法が用いられるが、本発明の効果を損なわない範囲で結晶核剤を添加することが好ましい。結晶核剤としては、ポリオレフィン系ワックス等の有機剤、二酸化チタン等の無機剤等が挙げられるが、中でもポリオレフィン系ワックスが効果的である。より好ましくはポリエチレン系ワックスである。添加量としては、ポリエステル成分全体の0.005〜0.5質量%であることが好ましいが、より好ましくは0.01〜0.2質量%である。
そして、本発明の熱接着性複合繊維は、130℃における乾熱収縮率が3%以下であり、中でも2.2%以下であり、さらには1.2〜0.2%とすることが好ましい。本発明における乾熱収縮率とは、JIS L−1015の乾熱収縮率の測定方法に準じて、50mg/デシテックスの荷重で測定するものである。
130℃における乾熱収縮率を3%以下とすることで、この繊維を使用して得られる不織布等の製品は、熱接着処理後の地合や寸法安定性に優れ、高温雰囲気下での形態安定性にも優れるものとなる。130℃における乾熱収縮率が3%を超えるものでは、このような効果を奏することができない。
また、本発明の熱接着性複合繊維は、長繊維であっても短繊維であってもよいが、不織布等の繊維構造物に用いるには、短繊維とすることが好ましく、繊維長5〜100mm程度、単糸繊度1.0〜30.0デシテックス程度とし、捲縮が付与されたものとすることが好ましい。
次に、本発明の熱接着性複合繊維の製造方法の一例について図面を用いて説明する。図1は本発明の熱接着性複合繊維の製造方法の一実施態様を示す概略工程図である。
前述のような芯成分及び鞘成分用ポリエステルを用い、複合紡糸装置を用いて芯鞘型複合繊維を紡糸し、速度500〜1200m/分で引き取り、未延伸糸を得る。この未延伸糸を集束して未延伸繊維束とし、油剤槽6で油剤を付与した後、加熱ローラ7と延伸ローラ1の間で延伸倍率2〜5倍程度で延伸を行う。続いて、延伸ローラ1と非加熱ローラ2との間で、スチームセッター3にて温度80〜150℃のスチームにより熱処理を行う。
延伸ローラ1と非加熱ローラ2との間で繊維に熱処理する際には、弛緩状態で行うと操業性が悪化しやすくなるため、緊張状態(緊張率0〜5%程度)とすることが好ましい。また、非加熱ローラの温度は室温程度であればよく、20〜40℃とすることが好ましい。
さらに、ヒートドラム4で温度75〜140℃の熱処理を行い、捲縮付与の直前にスチームセッター5にて温度80〜150℃のスチームで熱処理を行う。
捲縮付与直前にスチーム処理を施した後は、押し込み式クリンパー等で捲縮を付与し、必要に応じて繊維処理剤を付与する。また、短繊維とする場合には、上記したような繊維長となるようにカットして、熱接着性複合短繊維とする。
本発明の熱接着性複合繊維を用いて不織布等の繊維構造物を得る際には、本発明の熱接着性複合繊維のみを用いて不織布等の繊維構造物としてもよい。このときは、鞘成分は熱接着性成分となるので、熱接着処理後の不織布等の繊維構造物は、主に芯成分のみからなるものとなる。
また、本発明の熱接着性複合繊維の鞘成分の融点よりも高い融点を持つ繊維を主体繊維とし、主体繊維と本発明の複合繊維とを混綿して不織布等の繊維構造物としてもよく、この場合は、鞘成分が熱接着性成分となり、熱接着処理後の不織布等の繊維構造物は、主体繊維と芯成分からなるものとなる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例における各評価は次の方法で行った。
(a)ガラス転移点(Tg)、結晶化開始温度(Tc)及び融点(Tm)
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
(b)極限粘度(〔η〕)
フェノールと四塩化エタンの等重量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(c)乾熱収縮率
前記の方法で測定した。
(d)不織布の寸法安定性(面積収縮率)
得られた不織布を、面積A0(たて20cm×横20cm)の不織布に裁断し、120℃に維持した熱風乾燥機中に20分間放置し、この熱処理後の不織布の面積A1を測定し、面積A0 から下記式により面積収縮率を求め、寸法安定性として評価した。なお、面積収縮率が5%以下であるものを合格とした。
面積収縮率(%)=〔(A0 −A1 )/A0 〕×100
(e)不織布の風合
得られた不織布を触感にて評価し、優れたものから○、△、×の3段階で評価を行った。
(f)融着の有無
得られた不織布中に繊維の融着が生じているものの有無を目視にて判定した。
(a)ガラス転移点(Tg)、結晶化開始温度(Tc)及び融点(Tm)
パーキンエルマー社製の示差走査熱量計DSC−7型を使用し、昇温速度20℃/分で測定した。
(b)極限粘度(〔η〕)
フェノールと四塩化エタンの等重量混合物を溶媒とし、温度20℃で測定した。
(c)乾熱収縮率
前記の方法で測定した。
(d)不織布の寸法安定性(面積収縮率)
得られた不織布を、面積A0(たて20cm×横20cm)の不織布に裁断し、120℃に維持した熱風乾燥機中に20分間放置し、この熱処理後の不織布の面積A1を測定し、面積A0 から下記式により面積収縮率を求め、寸法安定性として評価した。なお、面積収縮率が5%以下であるものを合格とした。
面積収縮率(%)=〔(A0 −A1 )/A0 〕×100
(e)不織布の風合
得られた不織布を触感にて評価し、優れたものから○、△、×の3段階で評価を行った。
(f)融着の有無
得られた不織布中に繊維の融着が生じているものの有無を目視にて判定した。
実施例1〜8、比較例1〜2
鞘成分の共重合ポリエステルを次のようにして製造した。ポリエチレンテレフタレートオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度290℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間としてエステル化反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴマー55kgに全酸性分に対して8モル%となる量のイソフタル酸(4kg)と全グリコール成分に対して65モル%となる量の1,4−ブタンジオール(18kg)を加え、重合触媒としてテトラブチルチタネートを全酸成分1モルに対し3×10−4モル、艶消し剤として二酸化チタンを全ポリマー量に対して0.4質量%、結晶核剤としてポリエチレンワックス(Honeywell社製のACumistB−6)を全ポリマー量に対して0.03質量%添加し、減圧して、最終的に圧力0.9hPa、温度240℃で3.5h重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルは、極限粘度0.63、Tm155℃、Tg50℃、Tc99℃であった。
芯成分として、極限粘度0.68、Tm256℃のPETを用いた。
そして、芯成分と鞘成分とを芯鞘型複合紡糸装置に供給し、体積比50/50の複合比率で、紡糸温度270℃、吐出量206g/分、紡糸孔数225、紡糸速度700m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万デシテックスのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率3.3倍、延伸温度60℃で延伸を行い、図1に示す工程図に従って、延伸ローラ1と非加熱ローラ2との間でスチームセッター3でスチーム熱処理(熱処理1)を施した。この後、ヒートドラム4で熱処理2を施した。次いで、押し込み式クリンパーの直前でスチームセッター5でスチーム熱処理(熱処理3)を行った。このとき、熱処理1〜3の温度を表1に示すように種々変更して行った。
次いで押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度4.4デシテックスの熱接着性複合繊維を得た。
得られた熱接着性複合繊維をカード機に通して、目付30g/m2 のウェブとした後、サクションドライヤーで180℃、5分間の熱接着処理を施し、不織布を得た。
鞘成分の共重合ポリエステルを次のようにして製造した。ポリエチレンテレフタレートオリゴマーの存在するエステル化反応缶に、テレフタル酸とエチレングリコールのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度290℃、圧力0.2MPaの条件で反応させ、滞留時間を8時間としてエステル化反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴマー55kgに全酸性分に対して8モル%となる量のイソフタル酸(4kg)と全グリコール成分に対して65モル%となる量の1,4−ブタンジオール(18kg)を加え、重合触媒としてテトラブチルチタネートを全酸成分1モルに対し3×10−4モル、艶消し剤として二酸化チタンを全ポリマー量に対して0.4質量%、結晶核剤としてポリエチレンワックス(Honeywell社製のACumistB−6)を全ポリマー量に対して0.03質量%添加し、減圧して、最終的に圧力0.9hPa、温度240℃で3.5h重縮合反応を行い、共重合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルは、極限粘度0.63、Tm155℃、Tg50℃、Tc99℃であった。
芯成分として、極限粘度0.68、Tm256℃のPETを用いた。
そして、芯成分と鞘成分とを芯鞘型複合紡糸装置に供給し、体積比50/50の複合比率で、紡糸温度270℃、吐出量206g/分、紡糸孔数225、紡糸速度700m/分の条件で紡糸した。次いで、紡出糸条を18℃の冷風で冷却し、引き取って未延伸糸を得た。
この未延伸糸を集束して11万デシテックスのトウ状にした未延伸繊維に、延伸倍率3.3倍、延伸温度60℃で延伸を行い、図1に示す工程図に従って、延伸ローラ1と非加熱ローラ2との間でスチームセッター3でスチーム熱処理(熱処理1)を施した。この後、ヒートドラム4で熱処理2を施した。次いで、押し込み式クリンパーの直前でスチームセッター5でスチーム熱処理(熱処理3)を行った。このとき、熱処理1〜3の温度を表1に示すように種々変更して行った。
次いで押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度4.4デシテックスの熱接着性複合繊維を得た。
得られた熱接着性複合繊維をカード機に通して、目付30g/m2 のウェブとした後、サクションドライヤーで180℃、5分間の熱接着処理を施し、不織布を得た。
実施例9
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して3モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して3モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
実施例10
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して11モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して11モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
比較例3
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して1モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して1モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
比較例4
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して25モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
鞘成分の共重合ポリエステルにおいて、イソフタル酸の添加量を全酸成分に対して25モル%とし、表1に示すような特性(Tm、Tg、Tc)を有する鞘成分に変更した以外は、実施例1と同様にして熱接着性複合繊維を得、不織布を製造した。
実施例1〜10、比較例1〜4の熱接着性複合繊維の鞘成分の特性値、製造条件、乾熱収縮率を表1に示す。そして、実施例1〜10、比較例1〜4で得られた熱接着性複合繊維で製造された不織布の評価を表2に示す。
表1、2から明らかなように、実施例1〜10では、いずれも低熱収縮率の特性を有する複合繊維が製糸性よく得られ、この繊維から得られた不織布は、寸法安定性、風合ともに優れており、繊維の融着も生じていなかった。
一方、比較例1では、熱処理1のスチーム温度が低かったため、比較例2では熱処理2ヒートドラム温度が低かったため、得られた複合繊維は乾熱収縮率が高くなり、この繊維から得られた不織布は寸法安定性に劣るものであった。比較例3では、鞘成分の共重合ポリエステルの融点が高いため、180℃の熱接着処理では接着できず、不織布が得られなかった。比較例4では、鞘成分の共重合ポリエステルが非晶性のため、延伸時にヒートドラムへの繊維の張り付きが発生し、複合繊維を得ることができなかった。
1 延伸ローラ
2 非加熱ローラ
3 スチームセッター
4 ヒートドラム
5 スチームセッター
2 非加熱ローラ
3 スチームセッター
4 ヒートドラム
5 スチームセッター
Claims (1)
- テレフタル酸成分、イソフタル酸成分、エチレングリコール成分及び1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポリエステルであって、ガラス転移点20〜80℃、結晶化開始温度90〜130℃、融点130〜180℃である共重合ポリエステルを鞘成分、ポリアルキレンテレフタレートを主成分とする融点220℃以上のポリエステルを芯成分とする芯鞘複合繊維であって、130℃における乾熱収縮率が3%以下であることを特徴とする熱接着性複合繊維。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008266863A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-11-06 | Nippon Ester Co Ltd | ポリエステル短繊維 |
WO2012014713A1 (ja) | 2010-07-29 | 2012-02-02 | 株式会社クラレ | 非晶性熱融着性繊維、繊維構造体および耐熱性成形体 |
WO2024071589A1 (ko) * | 2022-09-28 | 2024-04-04 | 도레이첨단소재 주식회사 | 저수축성 및 고벌키성을 가지는 열접착성 시스-코어형 복합섬유, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 위생재용 부직포 |
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2004
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WO2024071589A1 (ko) * | 2022-09-28 | 2024-04-04 | 도레이첨단소재 주식회사 | 저수축성 및 고벌키성을 가지는 열접착성 시스-코어형 복합섬유, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 위생재용 부직포 |
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