JP2006116466A - 上塗り塗膜の形成方法及び積層塗膜 - Google Patents

上塗り塗膜の形成方法及び積層塗膜 Download PDF

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Abstract

【課題】 中塗り塗膜が形成された被塗物に、水性ベース塗料及びクリヤー塗料をウエットオンウエットで塗布する際のハジキ、ヘコミの発生を防止し、これに起因した、形成されるクリヤー塗膜中の発生も防止できる上塗り塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】 中塗り塗膜が形成された被塗物に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(1)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(2)及び得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(3)からなる上塗り塗膜の形成方法であって、上記クリヤー塗料の塗布は、上記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理して行われる上塗り塗膜の形成方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、上塗り塗膜の形成方法及びこの方法により形成される積層塗膜に関する。
従来、工業用塗料に用いられる塗料は溶剤型塗料と呼ばれる希釈溶剤として有機溶剤を用いるものであった。このため、塗料中に多量の有機溶剤を含むものであったが、近年の環境に対する配慮から、含まれる有機溶剤を低減し、希釈溶剤として水を用いる水性塗料が開発されてきている。
自動車用塗膜においても、水性ベース塗料が広く用いられており、通常中塗り塗膜が形成された被塗物上に、水性ベース塗料及びクリヤー塗料がウエットオンウエットによって塗布され、次いで同時に加熱、硬化されることで積層塗膜が形成されている。従来、未硬化の水性ベース塗膜上にクリヤー塗料を塗布する際の塗料の表面張力の管理は、通常クリヤー塗料の静的表面張力を測定することによって行われていた。
しかしながら、ウエットオンウエットによって塗布する際に、クリヤー塗料の静的表面張力を測定、管理しながら塗布を行った場合、ベース塗膜上でクリヤー塗料のハジキ、ヘコミが生じることがあり、その結果、形成されるクリヤー塗膜においてハジキ、ヘコミ(凹部)が発生してしまうことがあった。そして、このような不具合の発生は、ウエットオンウエットによる塗布において、水性ベース塗料の塗布後に、ベース塗膜中の水分を揮散させる工程(プレヒート)を行う場合に特に顕著となってしまう。
クリヤー塗膜上にブツ(凸部)が発生した場合にはその部位を削ることによって補修することができるが、ハジキ、ヘコミが発生した場合にはその部位を削ることによって補修することは不可能である。このため、ウエットオンウエットによってクリヤー塗膜にこのようなハジキ、ヘコミが発生した場合には、ハジキ、ヘコミを補修するために、このクリヤー塗料を塗布した被塗物をいったん塗装ラインの外に出し、再度ベース塗料及びクリヤー塗料を塗布して焼き付け、硬化させることが必要となっていた。
このような作業は、自動車の生産性を著しく低下させるだけでなく、エネルギーコストを増大させる原因となるため、水性ベース塗料及びクリヤー塗料をウエットオンウエットで塗布する際のハジキ、ヘコミの発生を防止し、クリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミの発生も防止することができるような上塗り塗膜の形成方法の開発が望まれていた。
本発明は、上記現状に鑑み、中塗り塗膜が形成された被塗物に、水性ベース塗料及びクリヤー塗料をウエットオンウエットで塗布する際のハジキ、ヘコミの発生を防止し、これに起因した、形成されるクリヤー塗膜中の発生も防止できる上塗り塗膜の形成方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、中塗り塗膜が形成された被塗物に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(1)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(2)及び得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(3)からなる上塗り塗膜の形成方法であって、上記クリヤー塗料の塗布は、上記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39
.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理して行われるものであることを特徴とする上塗り塗膜の形成方法である。
上記上塗り塗膜の形成方法において、上記クリヤー塗料の塗布は、上記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理して行われるものであることが好ましい。
本発明はまた、上述した上塗り塗膜の形成方法により形成されることを特徴とする積層塗膜でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
上塗り塗膜の形成方法
本発明の上塗り塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品等の被塗物に対して、優れた物性を有する硬化した積層塗膜を好適に形成することができる方法である。
上記上塗り塗膜の形成方法は、ウエットオンウエットによる塗布において、上記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理しながらクリヤー塗料の塗布を行う方法である。このように管理しながらクリヤー塗料を塗布する方法であるため、クリヤー塗料の塗布の際にハジキ、ヘコミの発生を防止することができる。そして、その結果、形成されるクリヤー塗膜にハジキ、ヘコミが発生することも充分に防止することができる。
工程(1)
上記工程(1)は、中塗り塗膜が形成された被塗物に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成するものである。上記工程(1)を行うことにより、被塗物上に、未硬化のベース塗膜を形成することができる。
上記上塗り塗膜の形成方法は、種々の被塗物(基材)、例えば、金属、プラスチック、発泡体等、特に金属表面及び鋳造物に有利に用いることができるが、カチオン電着塗装可能な金属製品に対し、特に好適に使用できる。
上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金を挙げることができる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。これらの金属は、予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものが特に好ましい。
電着塗膜
上記上塗り塗膜の形成方法に用いられる被塗物には、化成処理された鋼板上に電着塗膜が形成されていても良い。上記電着塗膜を形成する電着塗料としては、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組成物が防食性において優れた積層塗膜を与えるため好ましい。
中塗り塗膜
上記上塗り塗膜の形成方法に用いられる被塗物は、中塗り塗膜が形成されたものである。上記中塗り塗膜を形成する中塗り塗料としては、カーボンブラックと二酸化チタンとを主要顔料としたグレー系のメラミン硬化系若しくはイソシアネート硬化系のものが好適に用いられる。更に、上塗りとの色相を合わせたものや各種の着色顔料を組み合わせたものも用いることができる。上記被塗物は、化成処理された鋼板上に電着塗膜及び中塗り塗膜がこの順に形成されているものであることが好ましい。
ベース塗膜
上記上塗り塗膜の形成方法において、水性ベース塗膜の形成には水性ベース塗料が用いられる。上記水性ベース塗料としては、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機系や無機系の各種着色顔料、体質顔料及び必要により光輝性顔料等を含有するものを挙げることができる。
上記塗膜形成性樹脂としては、従来公知のものを使用することができるが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、水溶性、水分散性又はエマルションであってよい。上記塗膜形成性樹脂のなかでも、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂を用いることが耐候性、耐水性等の塗膜性能面から好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記塗膜形成性樹脂は、数平均分子量が下限5000、上限30000であることが好ましい。5000未満であると、作業性及び硬化性が充分でないおそれがある。30000を超えると、塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって作業性が悪くなるおそれがある。上記下限は、7000であることがより好ましく、上記上限は、25000であることがより好ましい。なお、本明細書では、上記数平均分子量は、スチレンポリマーを標準とするGPC法を使用して決定される値である。
上記塗膜形成性樹脂は、水酸基価が下限20、上限180を有することが好ましい。20未満であると、塗膜の硬化性が低下するおそれがある。180を超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。上記下限は、30であることがより好ましく、上記上限は、160であることがより好ましい。
上記塗膜形成性樹脂は、酸価が下限10mgKOH/g、上限80mgKOH/gであることが好ましい。10mgKOH/g未満であると、塗膜の硬化性が低下するおそれがある。80mgKOH/gを超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。上記下限は、15mgKOH/gであることがより好ましく、上記上限は、70mgKOH/gであることがより好ましい。
上記硬化剤としては、従来公知のものを使用することができるが、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等を好ましいものとして挙げることができる。得られた塗膜の諸性能、コストの点から、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂が一般的に用いられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化剤の配合量は、上記塗膜形成性樹脂の全固形分100質量部に対して、下限20質量部、上限100質量部であることが好ましい。20質量部未満であると、硬化性が不充分となるおそれがある。100質量部を超えると、硬化膜が堅くなりすぎ、脆くなるおそれがある。上記下限は、25質量部であることがより好ましく、上記上限は、70質量部であることがより好ましい。
上記着色顔料としては、例えば、有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等;無機系では、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等を挙げることができる。また、上記体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等が用いられる。
上記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属又は合金等の無着色若しくは着色された金属製光輝材及びその混合物等を挙げることができる。また、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料その他の着色、有色偏平顔料等を併用しても良い。
上記光輝性顔料の形状は特に限定されず、更に着色されていても良いが、例えば、平均粒子径が2〜50μmであり、かつ粒子平均厚みが0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒子径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、更に好適に用いられる。
上記光輝性顔料は、上記光輝性顔料の顔料濃度(PWC)が20.0%以下となるように混合されることが好ましい。20.0%を超えると、塗膜外観が低下するおそれがある。より好ましくは、0.01〜18.0%であり、更に好ましくは、0.1〜15.0%である。
上記光輝性顔料及びその他の全ての顔料を含めた水性ベース塗料中の全顔料濃度(PWC)が0.1〜50%となるように混合されることが好ましい。50%を超えると、塗膜外観が低下するおそれがある。より好ましくは、0.5〜40%であり、更に好ましくは、1.0〜30%である。
上記水性ベース塗料には、クリヤー塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保できる水性ベース塗料を得るために、粘性制御剤を混合することができる。
上記粘性制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料、架橋若しくは非架橋の樹脂粒子等を挙げることができる。
上記水性ベース塗料には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を混合してもよい。これらの成分の配合量は、当業者の公知の範囲で適宜決定することができる。
上記水性ベース塗料の製造方法としては特に限定されず、顔料等の配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知のすべての方法を用いることができる。
上記工程(1)において、水性ベース塗料を中塗り塗膜が形成された被塗物に塗布する方法は、作業性及び外観を高めるために静電塗装機を用いることが好ましい。上記静電塗装機としては、例えば、「リアクトガン」等と言われるエアー静電スプレー塗装;通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」又は「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機を挙げることができる。これらによる多ステージ塗装、好ましくは2〜3ステージ塗装を挙げることができ、エアー静電スプレー塗装と、回転霧化式の静電塗装機等とを組み合わせた塗装方法等により塗膜を形成することもできる。
上記水性ベース塗料を塗装して形成されるベース塗膜において、乾燥塗膜の膜厚は所望の用途により変化するが、下限5μm、上限35μmに設定することが好ましい。5μm未満であると、下地隠蔽性が不充分となり、膜切れ(塗膜が不連続な状態)が生じる場合がある。35μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗膜にムラ又は流れが生じる場合がある。上記下限は、7μmであることがより好ましく、上記上限は、25μmであることがより好ましい。
工程(2)
上記工程(2)は、上記工程(1)を行うことにより得られた未硬化のベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成するものである。上記工程(2)を行うことにより、被塗物上に、未硬化のベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成することができる。
クリヤー塗膜
上記工程(2)におけるウェットオンウェットによる塗布において、上記クリヤー塗料の塗布は、上記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理して行われるものである。従来ウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布する際には、塗布時の静的表面張力を24.0〜31.0mPa・secの範囲内となるように管理しながら塗布していたが、このような管理方法により塗布しても実際の塗装に即していないため、ハジキが生じないように静的表面張力を設定して塗布を行った場合であっても、結果として、ハジキ、ヘコミが生じてしまう場合がある。そして、その結果、形成されるクリヤー塗膜中にハジキ、ヘコミが発生してしまうため、被塗物を塗装ラインからいったん外し、ベース塗料及びクリヤー塗料を再塗装することが必要となる。
一方、本発明におけるクリヤー塗料の塗布は、塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を上記範囲内に管理しながら行われるものであるため、より実際の塗装に即したものとすることが可能となる。このため、上記動的表面張力を管理しながら塗布を行った場合には、ハジキ、ヘコミが生じることを充分に防止することができ、その結果、形成されるクリヤー塗膜中にハジキ、ヘコミが発生することも充分に防止することができる。
また、水性ベース塗料及びクリヤー塗料をウエットオンウエットで塗布する場合には、通常水性ベース塗料の塗布後に、プレヒートが行われる。プレヒートを行う場合には、シリコーンオイル、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート等、塩化ビニル可塑剤としてのフタル酸エステル類、タービンオイル等の潤滑油等の大気中に飛散しているハジキの原因になると思われる物質がプレヒート中に未硬化のベース塗膜上に多量付着してしまうものと推察される。このため、プレヒートを行う場合、特にハジキ、ヘコミの発生が顕著となり、クリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミの発生も顕著となっていると推察される。しかし、本発明では、クリヤー塗料の塗布において、30msecにおける動的表面張力を上記範囲内に管理しているため、プレヒートを行う場合においても、ハジキ、ヘコミの発生、クリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミの発生を充分に防止することができる。
以下、動的表面張力の測定方法である最大泡圧法について説明する。
上記最大泡圧法は、当該塗料液中に細管を差込み、細管の先端から気泡を発生させることによって液中に液体と気体との界面を形成し、気泡内部の圧力が最大となるとき、即ち、気泡の半径が細管の半径(r)と等しくなるときの圧力差(ΔP)を測定し、その値から表面張力(σ)を求める方法である。上記表面張力(σ)は、下記式(I)により求めることができる。
σ=ΔP・r/2 (I)
上記最大泡圧法では、単位時間当たりの気泡の発生回数である気泡周波数〔Surface Age(Hz)、(msec)〕、を変化させることによって、動きの遅い状態から動きの速い状態までの動的表面張力を求めることができる。動きの遅い状態から動きの速い状態までの動的表面張力を求めることによって、液体の動的な性質の変化を評価することができる。
上記クリヤー塗料の塗装粘度での最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力は、クリヤー塗料の塗装粘度において、以下の条件で測定される値である。
〔測定機器〕
動的表面張力測定器:Bebble Pressure 2(KURUSS社製、最大泡圧法)
〔測定条件〕
測定温度:25±0.5℃(循環式恒温槽で制御)
Surface Age:30msec
キャピラリー:シリコーンコーティングしたガラス管(直径0.239mm)
キャピラリーを浸漬する深さ:10mm
気泡発生ガス:窒素ガス
測定回数:3回(平均値を測定値とする)
測定対象:クリヤー塗料
上記クリヤー塗料の塗布は、上記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を、下限39.0mPa・sec、上限43.0mPa・secの範囲内となるように管理して行われるものである。39.0mPa・sec未満となるように管理して塗布した場合には、ウエットオンウエットでクリヤー塗膜を形成した後、更にベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成した場合における密着性(リコート密着性)が低下するおそれがある。43.0mPa・secを超えるように管理して塗布した場合には、従来と同じくハジキ、ヘコミが生じ、クリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミが発生するおそれがある。上記下限は、39.5mPa・secであることが好ましく、上記上限は、42.0mPa・secであることが好ましい。
上記30msecにおける動的表面張力を上記範囲内に管理する方法としては、例えば、フェニルメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ジメチルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン等のシリコーン系化合物をクリヤー塗料中に配合する方法を挙げることができる。
また、上記シリコーン系化合物の市販品としては、例えば、DC−57、DC−510、DC−710、PA−8417(いずれもダウコーニングアジア社製)、KF−354L、KF−945、KF−413(いずれも信越シリコーン社製)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリコーン系化合物をクリヤー塗料中に配合することによって上記30msecにおける動的表面張力を管理する場合において、上記シリコーン系化合物の配合量は、上記範囲内に管理することができるように適宜設定すればよいが、クリヤー塗料中の全樹脂固形分100質量部に対して、下限0.01質量部、上限1.0質量部であることが好ましい。0.01質量部未満であると、30msecにおける動的表面張力の値が大きくなり、その結果、ハジキ、ヘコミが生じたり、クリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミが発生するおそれがある。1.0質量部を超えると、リコート密着性が低下するおそれがある。上記下限は、0.05質量部であることがより好ましく、上記上限は、0.5質量部であることがより好ましい。
上記クリヤー塗膜は、上記ベース塗膜に起因する凹凸、光輝性顔料が含まれる場合に起こるチカチカ等を平滑にし、保護するために形成される。
上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂及び硬化剤等を含有するものを使用することができる。上記クリヤー塗料の形態としては、溶剤型及び水性型のものを挙げることができる。
上記溶剤型クリヤー塗料の好ましい例としては、透明性若しくは耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組合わせ;カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等を挙げることができる。
上記水性型クリヤー塗料の例としては、上記溶剤型クリヤー塗料の例として挙げたものに含有される塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した樹脂を含有するものを挙げることができる。この中和は、重合の前又は後にジメチルエタノールアミン及びトリエチルアミンのような3級アミンを添加することにより行うことができる。
更に、上記クリヤー塗料には、上述の水性ベース塗料同様に、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤を添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用できる。このようなものとして、例えば、上述の水性ベース塗料についての記載で挙げたものを使用することができる。また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含むことができる。
上記工程(2)において、クリヤー塗料をウエットオンウエットで塗布する方法は、具体的には、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成することが好ましい。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に下限10μm、上限80μmが好ましい。10μm未満であると、下地の凹凸が隠蔽できないおそれがある。80μmを超えると、塗装時にワキ又はタレ等の不具合が起こる場合がある。上記下限は、20μmであることがより好ましく、上記上限は、60μmであることがより好ましい。
工程(3)
上記工程(3)は、上記工程(1)及び工程(2)を行うことによって得られた未硬化の積層塗膜(ベース塗膜及びクリヤー塗膜)を同時に焼き付け、硬化を行うものである。上記工程(3)を行うことによって、ハジキ、ヘコミの発生が抑制された好適な積層塗膜を得ることができる。
上記工程(3)は、いわゆる2コート1ベークによって塗膜形成を行うが、水性ベース塗装後に40〜100℃で1〜10分間水分を揮散させる工程(プレヒート)を行うことが優れた外観を有する硬化した積層塗膜を得ることができる点から好ましい。通常プレヒートを行う場合には、ハジキ、ヘコミの発生が特に顕著となるが、本発明では、クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理してクリヤー塗料の塗布を行うため、このような不具合の発生を防止することができる。
上記工程(3)において、上記未硬化の積層塗膜を同時に焼き付け、硬化させる硬化温度は、下限80℃、上限180℃であることが好ましい。これにより、高い架橋度の硬化塗膜が得られる。80℃未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。上記下限は、120℃であることがより好ましく、上記上限は、160℃であることがより好ましい。硬化時間は、硬化温度により変化するが、120〜160℃で10〜60分が適当である。
上記上塗り塗膜の形成方法により得られる積層塗膜の乾燥膜厚は、下限30μm、上限300μmであることが好ましい。30μm未満であると、膜自体の強度が低下するおそれがある。300μmを超えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下するおそれがある。上記
下限は、50μmであることがより好ましく、上記上限は、250μmであることがより好ましい。
積層塗膜
上記上塗り塗膜の形成方法により形成される硬化した積層塗膜は、形成されたクリヤー塗膜中において、充分にハジキ、ヘコミの発生が防止されたものである。従って、上記積層塗膜は、自動車車体及び部品等の被塗物に対して好適に形成されるものである。このような積層塗膜も本発明の1つである。
本発明の上塗り塗膜の形成方法は、クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理してクリヤー塗料の塗布を行う方法である。このため、静的表面張力で管理する方法に比べて、ウエットオンウエットでクリヤー塗料の塗布を行った際にハジキ、ヘコミの発生を防止することができ、形成されるクリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミの発生も防止することができる。また、水性ベース塗膜形成後にプレヒートを行う場合であっても、このような不具合の発生を充分に防止することができる。従って、上記上塗り塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品に対して好適に適用することができる。
本発明の上塗り塗膜の形成方法は、上述した構成よりなるものであるため、未硬化のベース塗膜上においてクリヤー塗料の塗布時のハジキ、ヘコミの発生、クリヤー塗膜中のハジキ、ヘコミの発生を防止することができる。従って、上記上塗り塗膜の形成方法を自動車車体及び部品等に対して適用した場合に、上塗り塗膜中のハジキ、ヘコミの発生を防止することができるため、クリヤー塗料を塗布した被塗物を塗装ラインの外に出して再度ベース塗料及びクリヤー塗料を塗装しなければならないような不具合の発生を防止することができる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
製造例1 クリヤー塗料の製造
「マックフローO−1810クリヤー」(日本ペイント社製酸・エポキシ硬化型溶剤クリヤー塗料)に、「DC−710」(フェニルメチルシリコーン、ダウコーニングアジア社製)を、塗料固形分100部に対して0.06部となるように加えて均一分散することによりクリヤー塗料を得た。
製造例2〜7
「DC−710」を表1に示した種類の添加剤及び配合量に変更した以外は、実製造例1と同様にしてクリヤー塗料を得た。
実施例1 塗膜形成方法
30cm×40cm、厚み0.8mmのダル鋼板をリン酸亜鉛処理した後、カチオン電着塗料「パワートップV−6」(日本ペイント社製)及び中塗り塗料「オルガP−30グレー」(日本ペイント社製)を各々塗布、焼付け工程を経ることで得られた2層塗膜に、予め希釈されたシルバーメタリック水性ベース塗料「アクアレックスAR−2000」(日本ペイント社製)を、乾燥膜厚15μmとなるように外部印可型の「メタベル」を用い、印可電圧−60kV、回転数25000rpm、シェービングエアー圧3.5kg/cm、吐出量120cc/分で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1.5分間のイン
ターバルを行った。2回目の塗布後、3分間セッティングを行った後、80℃で3分間プレヒートを行った。
次に、上記で得られた水性ベース塗装板の半面に、製造例1で得られたクリヤー塗料を、乾燥膜厚35μmとなるように「マイクロマイクロベル」を用いて、印可電圧−90kV、回転数30000rpm、シェービングエアー圧1.5kg/cm、吐出量280cc/分で、1ステージ塗装し、7分間セッティングした。次いで、得られた塗装板を乾燥機で140℃で30分間焼き付けを行い、硬化した積層塗膜が形成された試験板を得た。
〔評価〕
以下に示す評価方法により、ハジキ、リコート密着性を評価した。
(ハジキテスト)
中塗り塗料を塗装したブリキ板を石油ベンジンで清浄後、充分に乾燥した後、中塗り塗膜上に「アクアレックスAR−2000」を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装した。次に、「TSM−631」(0.03%水懸濁液、東芝シリコーン社製)をブリキ板全面にミストがかかる程度にスプレーし、80℃で3分間フラシュオフし、室温になるまで自然冷却した。冷却した板に、製造例1〜7で製造したクリヤー塗料をそれぞれ乾燥膜厚が35μmとなるようにスプレー塗装し、10分間セッティング後、140℃で30分間焼き付けを行い、ハジキテスト用試験板を得た。
得られたもののハジキ個数をそれぞれ目視で測定した。製造例1〜7を用いて得られたハジキテスト用試験板の評価結果を表1の実施例1〜4及び比較例1〜3の結果として示した。
(リコート密着性)
上記塗膜形成方法で形成したクリヤー塗膜上に、更に、「アクアレックスAR−2000」及びそれぞれで用いたクリヤー塗料を塗装し、塗り重ね塗膜を130℃で30分間焼き付けて形成させ、塗り重ねた塗膜の碁盤目テープ試験(2mm目を100個:JIS K
5400に準拠)を行い、剥離した碁盤目の数を測定した。結果を表1に示した。
Figure 2006116466
実施例で得られた積層塗膜は、ハジキの発生が少なく、優れたリコート密着性を有するものであった。この結果から、クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理してクリヤー塗料の塗布を行った場合には、ハジキが少なく、リコート密着性に優れた積層塗膜を得ることができることが明らかとなった。一方、上記範囲外となるように管理して得られた比較例の積層塗膜は、ハジキが多く発生するものであったり、リコート密着性に劣るものであった。
本発明の上塗り塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品等に対して好適に適用することができる方法である。

Claims (2)

  1. 中塗り塗膜が形成された被塗物に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(1)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(2)及び得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(3)からなる上塗り塗膜の形成方法であって、
    前記クリヤー塗料の塗布は、前記クリヤー塗料の塗布時の最大泡圧法により測定された30msecにおける動的表面張力を39.0〜43.0mPa・secの範囲内となるように管理して行われるものである
    ことを特徴とする上塗り塗膜の形成方法。
  2. 請求項1記載の上塗り塗膜の形成方法により形成されることを特徴とする積層塗膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106592782A (zh) * 2016-11-22 2017-04-26 刘礼潮 一种建筑物的防水防腐处理方法
EP3747552A4 (en) * 2018-12-18 2022-03-23 Nippon Paint Automotive Coatings Co., Ltd. CATIONIC ELECTRODEPOSITION MATERIAL COMPOSITION AND METHOD OF FORMING A CURED ELECTRODEPOSITION COATING

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