JP2006122732A - 塗膜の形成方法及び積層塗膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自動車車体及び部品の塗装工程において、チッピングプライマーの塗装と、中塗り塗料の塗装とを1工程の塗装で同時に行うことができ、かつ、耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる塗膜の形成方法を提供する。
【解決手段】 電着塗膜が形成された被塗物に水性塗料組成物を塗装し層分離させる工程(1)、及び、加熱して硬化させる工程(2)を含む塗膜の形成方法であって、上記水性塗料組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)と、水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有するものであり、上記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと、上記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとは、(δb−δa)>2.0の関係を満たし、上記ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は、50000〜500000であり、上記水性ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000である塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 電着塗膜が形成された被塗物に水性塗料組成物を塗装し層分離させる工程(1)、及び、加熱して硬化させる工程(2)を含む塗膜の形成方法であって、上記水性塗料組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)と、水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有するものであり、上記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと、上記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとは、(δb−δa)>2.0の関係を満たし、上記ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は、50000〜500000であり、上記水性ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000である塗膜の形成方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、塗膜の形成方法、この方法により形成される積層塗膜及び水性塗料組成物に関する。
自動車車体(特に、ボンネット先端部、タイヤハウス周り、ルーフ先端部、ピラー等)、住宅用建材、ガードレール、道路標識等の金属製被塗物は、通常、路面からの小石の衝突等によって、被塗物表面を保護している塗膜に亀裂が生じたり、剥離したりする場合がある(このような現象は、一般にチッピングと呼ばれる)。このような亀裂や剥離が生じた場合に、亀裂又は剥離部分に水等が侵入すると、被塗物の素地面に錆が発生し、結果として被塗物が腐食してしまう。
このようなチッピングやそれに起因する腐食の進行を防止するためにチッピングプライマーを塗装することが広く行われている。自動車塗装においては、脱脂、化成処理、電着塗装、チッピングプライマー塗装、中塗り塗装及び上塗り塗装からなる塗装工程が一般的に採用されている。しかしながら、このような塗装工程は、多くの工程を行うものであり、非常に煩雑なものである。近年、塗料分野、特に自動車塗装分野において、省資源、省コスト及び環境負荷(VOC及びHAPS等)削減の課題を解決するため、塗装工程の短縮化が強く望まれている。
特許文献1には、マレイン化ポリオレフィン樹脂等の酸成分をグラフト化したポリオレフィン樹脂とブチル化メラミン樹脂とを重量比90/10〜50/50で配合した塗膜形成成分を含むチッピングプライマーが開示されている。しかし、ここで開示されているチッピングプライマーは、電着塗装、チッピングプライマー塗装、中塗り塗装及び上塗り塗装からなる複層塗膜形成方法に用いられるものとして提案されているものであり、塗装工程が煩雑である。
特許文献2には、溶解性パラメーターδaと溶解性パラメーターδbとが0.2<(δb−δa)<1.0の関係にある2種類の樹脂成分及び硬化剤を含む水性塗料組成物を電着塗装、層分離、硬化させる硬化傾斜塗膜の形成方法が開示されている。しかし、ここで開示されている方法は、電着塗膜に直接上塗り塗料を塗装する中塗りレスの積層塗膜の形成方法であり、チッピングプライマーの塗膜層と、中塗り塗膜層の形成を1工程の塗装で行うことを目的として提案されているものではない。
本発明は、上記現状に鑑み、例えば、自動車車体及び部品の塗装工程において、チッピングプライマーの塗装と、中塗り塗料の塗装とを1工程の塗装で同時に行うことができ、かつ、耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる塗膜の形成方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、電着塗膜が形成された被塗物に水性塗料組成物を塗装し層分離させる工程(1)、及び、加熱して硬化させる工程(2)を含む塗膜の形成方法であって、上記水性塗料組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)と、水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有するものであり、上記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと、上記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとは、(δb−δa)>2.0の関係を満たし、上記ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は、50000〜500000であり、上記水性ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000であることを特徴とする塗膜の形成方法である。
上記ポリオレフィン樹脂(a)は、酸成分をグラフト化したポリオレフィン樹脂を含有するものであることが好ましい。
本発明は、上述した塗膜の形成方法により得られることを特徴とする塗膜でもある。
本発明は、上述した塗膜の形成方法により得られることを特徴とする塗膜でもある。
本発明は、上述した塗膜の形成方法により得られた塗膜上に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(3)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(4)、及び、得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(5)を含むことを特徴とする積層塗膜の形成方法でもある。
本発明はまた、上記ポリオレフィン樹脂(a)と、上記水性ポリエステル樹脂(b)と、上記メラミン樹脂(c)とを含有することを特徴とする水性塗料組成物でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を詳細に説明する。
塗膜の形成方法
本発明の塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品等の被塗物に対して、耐チッピング性に優れた塗膜を形成することができる方法である。上記塗膜の形成方法は、特定の成分を含有する水性塗料組成物を塗装して、層分離した塗膜を得る方法である。このため、従来の自動車塗装では、耐チッピング性を付与するために、通常チッピングプライマーの塗装及び水性中塗り塗料の塗装を行っていたが、上記塗膜の形成方法を用いることにより、上記水性塗料組成物の塗装を1工程で行うことができ、塗装工程の短縮化とそれに伴うエネルギー消費の削減が可能である。
本発明の塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品等の被塗物に対して、耐チッピング性に優れた塗膜を形成することができる方法である。上記塗膜の形成方法は、特定の成分を含有する水性塗料組成物を塗装して、層分離した塗膜を得る方法である。このため、従来の自動車塗装では、耐チッピング性を付与するために、通常チッピングプライマーの塗装及び水性中塗り塗料の塗装を行っていたが、上記塗膜の形成方法を用いることにより、上記水性塗料組成物の塗装を1工程で行うことができ、塗装工程の短縮化とそれに伴うエネルギー消費の削減が可能である。
工程(1)
本発明の塗膜の形成方法において、上記工程(1)は、電着塗膜が形成された被塗物に、特定の重量平均分子量(Mw)を有するポリオレフィン樹脂(a)と、特定の重量平均分子量(Mw)を有する水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有する水性塗料組成物を塗装し層分離させるものであり、上記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと上記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとが特定の関係を満たすものである。
本発明の塗膜の形成方法において、上記工程(1)は、電着塗膜が形成された被塗物に、特定の重量平均分子量(Mw)を有するポリオレフィン樹脂(a)と、特定の重量平均分子量(Mw)を有する水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有する水性塗料組成物を塗装し層分離させるものであり、上記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと上記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとが特定の関係を満たすものである。
従って、溶解性パラメーターが(δb−δa)>2.0を満たす場合、上記工程(1)を行うことにより、電着塗膜が形成された被塗物側に、上記ポリオレフィン樹脂(a)及び上記メラミン樹脂(c)を主として含む塗膜層〔以下、塗膜層(I)という〕が形成され、更に、上記塗膜層(I)上(電着塗膜が形成された被塗物側と反対側)に、上記水性ポリエステル樹脂(b)及び上記メラミン樹脂(c)を主として含む塗膜層〔以下、塗膜層(II)という〕が形成される。
水性塗料組成物
上記ポリオレフィン樹脂(a)としては、例えば、従来のチッピングプライマーに用いられているポリオレフィン樹脂を挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂(a)は、例えば、特公昭62−21027号公報に示したプロピレンが50モル%以上を占めるエチレン/プロピレン共重合体に5〜50%のマレイン酸、無水マレイン酸等の酸成分を0.1〜50重量%、好ましくは0.3〜20重量%、更に好ましくは5〜20重量%グラフト化したものが好ましい。酸成分をグラフト化したポリオレフィン樹脂(a)を用いることにより耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる。なかでも、酸成分として、マレイン酸又は無水マレイン酸を用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオレフィン樹脂(a)としては、例えば、従来のチッピングプライマーに用いられているポリオレフィン樹脂を挙げることができる。
上記ポリオレフィン樹脂(a)は、例えば、特公昭62−21027号公報に示したプロピレンが50モル%以上を占めるエチレン/プロピレン共重合体に5〜50%のマレイン酸、無水マレイン酸等の酸成分を0.1〜50重量%、好ましくは0.3〜20重量%、更に好ましくは5〜20重量%グラフト化したものが好ましい。酸成分をグラフト化したポリオレフィン樹脂(a)を用いることにより耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる。なかでも、酸成分として、マレイン酸又は無水マレイン酸を用いることが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水性ポリエステル樹脂(b)としては、例えば、従来の水性中塗り塗料に用いられている水性ポリエステル樹脂を挙げることができる。
上記水性ポリエステル樹脂(b)は、多塩基酸成分とポリオール成分とを常法によって縮合してポリエステル樹脂を得た後、中和塩基によって中和して水に分散又は溶解することによって得ることができる水分散ポリエステル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂(アルキド樹脂も含む)の両方を意味する。
上記水性ポリエステル樹脂(b)は、多塩基酸成分とポリオール成分とを常法によって縮合してポリエステル樹脂を得た後、中和塩基によって中和して水に分散又は溶解することによって得ることができる水分散ポリエステル樹脂、水溶性ポリエステル樹脂(アルキド樹脂も含む)の両方を意味する。
上記水性ポリエステル樹脂(b)の酸価は、10〜100であることが好ましい。上記酸価が10未満であると、貯蔵安定性が低下するおそれがある。100を超えると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。上記水性ポリエステル樹脂(b)の水酸基価は、30〜200であることが好ましい。上記水酸基価が30未満であると、硬化性及び貯蔵安定性が低下するおそれがある。200を超えると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。
上記ポリエステル樹脂としては特に限定されず、例えば、アジピン酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸成分、及び、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール、更に必要に応じて、安息香酸、t−ブチル安息香酸等のモノカルボン酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシピバリン酸等のヒドロキシカルボン酸、カージュラE(シエル化学社製)等のモノエポキサイド化合物、及び、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類等を原料として、当業者によってよく知られている常法によって縮重合して得ることができる。更に、上記アルキド樹脂としては、上記ポリエステル樹脂の原料と、例えば、ヤシ油、パーム核油等の油脂成分とを原料として縮重合して得ることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記中和塩基としては、アルカリ金属の水酸化物及びアンモニアのような無機塩基;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ピペラジン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルドデシルアミン等のアミンを挙げることができる。なかでも、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水性ポリエステル樹脂(b)は、上記ポリエステル樹脂の酸価に対して、下限0.3当量、上限1.2当量の上記中和塩基を含む水性媒体中に溶解又は分散させることによって得ることができる。上記下限は、0.5当量であることがより好ましく、上記上限は、1.0当量であることがより好ましい。
上記メラミン樹脂(c)は、上記ポリオレフィン樹脂(a)又は水性ポリエステル樹脂(b)と硬化反応を生じるもので、有機溶剤への溶解性を有するものであっても、水溶性又は水分散性を有するものであってもよい。
上記メラミン樹脂(c)としては、従来のチッピングプライマーに用いられているものや従来の中塗り塗料に用いられているメラミン樹脂を用いることができる。具体的には、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂等を挙げることができ、なかでも、メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましい。
上記メラミン樹脂(c)としては、従来のチッピングプライマーに用いられているものや従来の中塗り塗料に用いられているメラミン樹脂を用いることができる。具体的には、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂等を挙げることができ、なかでも、メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましい。
上記メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有するものとして、サイメル325、サイメル327、サイメル370、マイコート723;メトキシ基とブトキシ基との混合タイプとして、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(何れも商品名、三井サイテック社製);ブトキシ基を単独で有するものとして、マイコート506、マイコート723(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(何れも商品名、三井化学社製)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記工程(1)で使用する水性塗料組成物において、上記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと、上記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとは、(δb−δa)>2.0の関係を満たす。このため、例えば、上記ポリオレフィン樹脂(a)及びブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)を含む塗料組成物(i)と、上記水性ポリエステル樹脂(b)及びメトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)を含む塗料組成物(ii)とを混合することにより得られた水性塗料組成物を、電着塗膜が形成された被塗物に塗装した場合に、溶解性パラメーターの差((δb−δa)>2.0)に起因して、良好に層分離を生じさせることができる。この場合、電着塗膜が形成された被塗物上に(a)及び(c1)成分を主として含む塗膜層(I)が形成され、上記塗膜層(I)上に(b)及び(c2)成分を主として含む塗膜層(II)が形成され、良好に層分離した2層構造の塗膜を得ることができる。
(δb−δa)≦2.0であると、塗膜層(I)及び(II)からなる2層構造に分離した塗膜が形成されないおそれがある。2.0<(δb−δa)<5.0であることが好ましく、3.0<(δb−δa)<4.5であることがより好ましい。
上記メラミン樹脂(c)として、溶解性パラメーターδc1のブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)と溶解性パラメーターδc2のメトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)とを併用する場合、(δc1−δa)≦1.3であることが好ましく、また、(δc2−δb)≦1.3であることが好ましい。この場合、(a)及び(c1)成分を主として含む塗膜層(I)を得ることができ、(c1)成分を塗膜層(I)中の硬化剤として作用させることができる。またこの場合、(b)及び(c2)成分を主として含む塗膜層(II)を得ることができ、(c2)成分を塗膜層(II)中の硬化剤として作用させることができる。(δc1−δa)≦1.1であることがより好ましく、(δc2−δb)≦1.2であることがより好ましい。
上記溶解性パラメーターδとは、当業者等の間で一般にSP(ソルビリティ・パラメーター)とも呼ばれるものであって、樹脂の親水性又は疎水性の度合いを示す尺度であり、また樹脂間の相溶性を判断する上でも重要な尺度である。溶解性パラメーターは、例えば、濁度測定法等をもとに数値定量化することができる(参考文献:K.W.Suh,D.H.Clarke J.Polymer.Sci.,A−1,5,1671(1967).)。本明細書中の溶解性パラメーターδ(δa、δb、δc1、δc2)は、濁度測定法により求めたパラメーターである。濁度測定法による溶解性パラメーターは、例えば、測定対象である樹脂固形分(所定質量)を一定量の良溶媒(アセトン等)に溶解させた後、水又はヘキサン等の貧溶媒を滴下することによって、上記樹脂が不溶化し、溶液中に濁度を生じるまでの各々の滴定量から、上記参考文献等に記載されている公知の計算方法により求めることができる。
上記ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は、下限50000、上限500000である。50000未満であると、得られる塗膜の性能及び物性、特に耐チッピング性が低下するおそれがある。500000を超えると、得られる塗膜の平滑性が低下したり、樹脂の取り扱いが困難になるおそれがある。上記下限は、100000であることが好ましく、上記上限は、300000であることが好ましい。なお、上記ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量は、スチレンポリマーを標準とするGPC法において、決定される値である。
上記水性ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は、下限5000、上限30000である。重量平均分子量が5000未満であると、得られる塗膜の性能及び物性、特に耐チッピング性が低下するおそれがある。30000を超えると、得られる塗膜の平滑性が低下したり、樹脂の取り扱いが困難になるおそれがある。上記下限は、7000であることが好ましく、上記上限は、25000であることが好ましい。なお、上記水性ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量は、スチレンポリマーを標準とするGPC法を使用して決定される値である。
上記工程(1)で使用する水性塗料組成物は、上述したように、重量平均分子量50000〜500000のポリオレフィン樹脂(a)と、重量平均分子量5000〜30000の水性ポリエステル樹脂(b)とを併用するものである。このため、例えば、上記ポリオレフィン樹脂(a)及びブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)を含む塗料組成物(i)と上記水性ポリエステル樹脂(b)及びメトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)を含む塗料組成物(ii)とを混合することによって、上記水性塗料組成物を製造する場合には、上記(δb−δa)>2.0の関係を満たす樹脂を用いることに加えて、特定の重量平均分子量を有する樹脂を用いることによって、(a)及び(c1)成分を主として含む塗膜層(I)と、(b)及び(c2)成分を主として含む塗膜層(II)とからなる2層構造の塗膜を良好に得ることができる。
上記水性塗料組成物は、(a)〜(c)成分及び必要に応じて添加する他の成分を適宜配合することによって製造することができ、例えば、上記ポリオレフィン樹脂(a)及びブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)を含む塗料組成物(i)と上記水性ポリエステル樹脂(b)及びメトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)を含む塗料組成物(ii)とを混合することによって製造することができる。
上記塗料組成物(i)の製造方法としては特に限定されず、(a)、(c1)成分と、必要に応じて顔料等の他の成分との配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する等の当業者に周知のすべての方法を用いることができる。
上記塗料組成物(i)の製造において、上記ポリオレフィン樹脂(a)とブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)との配合比〔(a)/(c1)〕は、90/10〜50/50(質量比)であることが好ましい。(c1)の量が10質量%未満であると、冷熱テスト等の繰返しによる層間剥離性が低下するおそれがあり、50質量%を超えると、柔軟性が乏しくなるため、衝撃エネルギーの吸収に効果が少なくなるおそれがある。より好ましい配合量は、ポリオレフィン樹脂(a)60〜80質量%、ブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)40〜20質量%である。
上記塗料組成物(i)の製造において、上記ポリオレフィン樹脂(a)とブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)との配合比〔(a)/(c1)〕は、90/10〜50/50(質量比)であることが好ましい。(c1)の量が10質量%未満であると、冷熱テスト等の繰返しによる層間剥離性が低下するおそれがあり、50質量%を超えると、柔軟性が乏しくなるため、衝撃エネルギーの吸収に効果が少なくなるおそれがある。より好ましい配合量は、ポリオレフィン樹脂(a)60〜80質量%、ブトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c1)40〜20質量%である。
上記塗料組成物(i)は、タルク、亜鉛華、硫酸バリウム等の顔料類を密着性向上のために顔料重量濃度(PWC)5〜20%の範囲で配合するものであることが好ましい。PWCが5%未満であると、軟質すぎて積層塗膜の冷熱サイクルテストをしたときにワレが発生するおそれがある。PWCが20%を超えると、柔軟性が乏しくなり、衝撃エネルギーの吸収効果が少なくなるおそれがある。
上記塗料組成物(i)は、その他の添加剤として、例えば、沈降防止剤、硬化促進剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、表面調整剤、溶剤等を配合してもよい。上記塗料組成物(i)は、塗料中の成分を溶剤に溶解又は分散することにより調製することができる。
上記塗料組成物(ii)の製造方法としては特に限定されず、例えば、組成物中の成分を塗料組成物(i)と同様の方法により混練、分散する方法を用いることができる。
上記塗料組成物(ii)の製造において、上記水性ポリエステル樹脂(b)とメトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)との配合比〔(b)/(c2)〕は、90/10〜50/50(質量比)であることが好ましい。(c2)の量が10質量%未満であると、硬化が不充分であり、一方、50質量%を超えると、塗膜が硬くもろくなり、チッピング性が低下するおそれがある。より好ましい配合量は、水性ポリエステル樹脂(b)60〜80質量%、メトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)40〜20質量%である。
上記塗料組成物(ii)の製造において、上記水性ポリエステル樹脂(b)とメトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)との配合比〔(b)/(c2)〕は、90/10〜50/50(質量比)であることが好ましい。(c2)の量が10質量%未満であると、硬化が不充分であり、一方、50質量%を超えると、塗膜が硬くもろくなり、チッピング性が低下するおそれがある。より好ましい配合量は、水性ポリエステル樹脂(b)60〜80質量%、メトキシ基で置換されたメラミン樹脂(c2)40〜20質量%である。
上記塗料組成物(ii)は、各種の着色顔料を含有するものであってもよい。
上記顔料は、上記塗料組成物(ii)中において、全顔料質量Pに対する全ビヒクル成分の質量Vの比率P/Vで表わすと、1/10〜2/1の範囲であることが好ましい。ここで顔料以外の全ビヒクル成分とは、顔料以外の塗料を構成する全固形成分を意味する。上記P/Vが1/10未満では、顔料不足のために下地隠蔽性が低下するおそれがある。また、P/Vが2/1を超えると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下することがある。
上記顔料は、上記塗料組成物(ii)中において、全顔料質量Pに対する全ビヒクル成分の質量Vの比率P/Vで表わすと、1/10〜2/1の範囲であることが好ましい。ここで顔料以外の全ビヒクル成分とは、顔料以外の塗料を構成する全固形成分を意味する。上記P/Vが1/10未満では、顔料不足のために下地隠蔽性が低下するおそれがある。また、P/Vが2/1を超えると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下することがある。
上記塗料組成物(ii)は、媒体が水性媒体を主とするものであれば、その形態は特に限定されず、例えば、水溶性塗料組成物、水分散性塗料組成物、エマルション型塗料組成物等を挙げることができる。
上記工程(1)において、水性塗料組成物を電着塗膜が形成された被塗物に塗布する方法は、作業性及び外観を高めるために静電塗装機を用いることが好ましい。上記静電塗装機としては、例えば、「リアクトガン」等と言われるエアー静電スプレー塗装;通称「μμ(マイクロマイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」又は「メタベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機を挙げることができる。これらによる多ステージ塗装、好ましくは2〜3ステージ塗装を挙げることができ、エアー静電スプレー塗装と、回転霧化式の静電塗装機等とを組み合わせた塗装方法等により塗膜を形成することもできる。
上記塗膜の形成方法は、種々の被塗物(基材)、例えば、金属、プラスチック、発泡体等、特に金属表面及び鋳造物に有利に用いることができるが、カチオン電着塗装可能な金属製品に対し、特に好適に使用できる。
上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金を挙げることができる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。これらの金属は、予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものが特に好ましい。
上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金を挙げることができる。具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。これらの金属は、予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されたものが特に好ましい。
電着塗膜
上記塗膜の形成方法に用いられる被塗物は、電着塗膜が形成されたものであるが、化成処理された鋼板上に電着塗膜が形成されていても良い。上記電着塗膜を形成する電着塗料としては、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組成物が防食性において優れた積層塗膜を与えるため好ましい。
上記塗膜の形成方法に用いられる被塗物は、電着塗膜が形成されたものであるが、化成処理された鋼板上に電着塗膜が形成されていても良い。上記電着塗膜を形成する電着塗料としては、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、カチオン型電着塗料組成物が防食性において優れた積層塗膜を与えるため好ましい。
工程(2)
上記工程(2)は、上記工程(1)で得られた塗膜層(I)及び塗膜層(II)からなる2層構造の未硬化の塗膜を加熱して硬化させるものである。上記工程(2)を行うことにより、工程(1)の層分離の促進が期待できる他に、優れた耐チッピング性を有する硬化した2層構造の塗膜を得ることができる。
上記工程(2)は、上記工程(1)で得られた塗膜層(I)及び塗膜層(II)からなる2層構造の未硬化の塗膜を加熱して硬化させるものである。上記工程(2)を行うことにより、工程(1)の層分離の促進が期待できる他に、優れた耐チッピング性を有する硬化した2層構造の塗膜を得ることができる。
上記工程(2)において、加熱する条件は特に限定されないが、硬化温度が下限25℃、上限180℃、硬化時間が下限5分間、上限60分間の条件が加熱、硬化させることが好ましい。これにより、高い架橋度の硬化塗膜が得られる。下限未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。上限を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。
上記工程(1)及び工程(2)により得られる硬化した2層構造の塗膜において、乾燥塗膜の膜厚(2層構造の塗膜の総膜厚)は所望の用途により変化するが、下限20μm、上限60μmに設定することが好ましい。20μm未満であると、外観及び耐チッピング性が低下するおそれがある。60μmを超えると、塗装時のタレや焼き付け硬化時のワキ等の不具合が生じるおそれがある。上記下限は、25μmであることがより好ましく、上記上限は、50μmであることがより好ましい。
上記塗膜の形成方法で得られる2層構造の塗膜は、耐チッピング性に優れた塗膜である。このような2層構造の塗膜もまた、本発明の1つである。
上記塗膜の形成方法で得られる2層構造の塗膜は、耐チッピング性に優れた塗膜である。このような2層構造の塗膜もまた、本発明の1つである。
積層塗膜の形成方法
本発明の積層塗膜の形成方法は、上述した塗膜の形成方法により得られた塗膜上に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(3)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(4)、及び、得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(5)を含む方法である。これにより、自動車車体及び部品等の被塗物に対して、耐チッピング性等の物性に優れた積層塗膜を得ることができる。
本発明の積層塗膜の形成方法は、上述した塗膜の形成方法により得られた塗膜上に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(3)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(4)、及び、得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(5)を含む方法である。これにより、自動車車体及び部品等の被塗物に対して、耐チッピング性等の物性に優れた積層塗膜を得ることができる。
工程(3)
上記工程(3)は、上述した塗膜の形成方法により得られた2層構造の硬化した塗膜上に、水性ベース塗料を塗布し、ベース塗膜を形成するものである。上記工程(3)を行うことにより、被塗物上に、未硬化のベース塗膜を形成することができる。
ベース塗膜
上記積層塗膜の形成方法において、水性ベース塗膜の形成には水性ベース塗料が用いられる。上記水性ベース塗料としては、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機系や無機系の各種着色顔料、体質顔料及び必要により光輝性顔料等を含有するものを挙げることができる。
上記工程(3)は、上述した塗膜の形成方法により得られた2層構造の硬化した塗膜上に、水性ベース塗料を塗布し、ベース塗膜を形成するものである。上記工程(3)を行うことにより、被塗物上に、未硬化のベース塗膜を形成することができる。
ベース塗膜
上記積層塗膜の形成方法において、水性ベース塗膜の形成には水性ベース塗料が用いられる。上記水性ベース塗料としては、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機系や無機系の各種着色顔料、体質顔料及び必要により光輝性顔料等を含有するものを挙げることができる。
上記塗膜形成性樹脂としては、従来公知のものを使用することができるが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂等を用いることが好ましい。樹脂の形態としては、水溶性、水分散性又はエマルションであってよい。上記塗膜形成性樹脂のなかでも、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂を用いることが耐候性、耐水性等の塗膜性能面から好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記塗膜形成性樹脂は、数平均分子量が下限5000、上限30000であることが好ましい。5000未満であると、作業性及び硬化性が充分でないおそれがある。30000を超えると、塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえって作業性が悪くなるおそれがある。上記下限は、7000であることがより好ましく、上記上限は、25000であることがより好ましい。なお、本明細書では、上記数平均分子量は、スチレンポリマーを標準とするGPC法を使用して決定される値である。
上記塗膜形成性樹脂は、水酸基価が下限20、上限180を有することが好ましい。20未満であると、塗膜の硬化性が低下するおそれがある。180を超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。上記下限は、30であることがより好ましく、上記上限は、160であることがより好ましい。
上記塗膜形成性樹脂は、酸価が下限10mgKOH/g、上限80mgKOH/gであることが好ましい。10mgKOH/g未満であると、塗膜の硬化性が低下するおそれがある。80mgKOH/gを超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。上記下限は、15mgKOH/gであることがより好ましく、上記上限は、70mgKOH/gであることがより好ましい。
上記硬化剤としては、従来公知のものを使用することができるが、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート樹脂、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物等を好ましいものとして挙げることができる。得られた塗膜の諸性能、コストの点から、アミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネート樹脂が一般的に用いられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記硬化剤の配合量は、上記塗膜形成性樹脂の全固形分100質量部に対して、下限20質量部、上限100質量部であることが好ましい。20質量部未満であると、硬化性が不充分となるおそれがある。100質量部を超えると、硬化膜が堅くなりすぎ、脆くなるおそれがある。上記下限は、25質量部であることがより好ましく、上記上限は、70質量部であることがより好ましい。
上記着色顔料としては、例えば、有機系のアゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等;無機系では、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等を挙げることができる。また、上記体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等が用いられる。
上記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の金属又は合金等の無着色若しくは着色された金属製光輝材及びその混合物等を挙げることができる。また、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料その他の着色、有色偏平顔料等を併用しても良い。
上記光輝性顔料の形状は特に限定されず、更に着色されていても良いが、例えば、平均粒子径が2〜50μmであり、かつ粒子平均厚みが0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒子径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、更に好適に用いられる。
上記光輝性顔料は、上記光輝性顔料の顔料濃度(PWC)が20.0%以下となるように混合されることが好ましい。20.0%を超えると、塗膜外観が低下するおそれがある。より好ましくは、0.01〜18.0%であり、更に好ましくは、0.1〜15.0%である。
上記光輝性顔料及びその他の全ての顔料を含めた水性ベース塗料中の全顔料濃度(PWC)が0.1〜50%となるように混合されることが好ましい。50%を超えると、塗膜外観が低下するおそれがある。より好ましくは、0.5〜40%であり、更に好ましくは、1.0〜30%である。
上記水性ベース塗料には、クリヤー塗膜とのなじみ防止、塗装作業性を確保できる水性ベース塗料を得るために、粘性制御剤を混合することができる。
上記粘性制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料、架橋若しくは非架橋の樹脂粒子等を挙げることができる。
上記粘性制御剤としては、一般にチクソトロピー性を示すものを使用でき、例えば、脂肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポリアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチレン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発現する偏平顔料、架橋若しくは非架橋の樹脂粒子等を挙げることができる。
上記水性ベース塗料には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を混合してもよい。これらの成分の配合量は、当業者の公知の範囲で適宜決定することができる。
上記水性ベース塗料の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述した塗料組成物(i)の製造方法と同様の方法を用いることができる。
上記工程(3)において、水性ベース塗料を電着塗膜及び2層構造の硬化した塗膜が形成された被塗物に塗布する方法は、具体的には、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成することが好ましい。
上記水性ベース塗料の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述した塗料組成物(i)の製造方法と同様の方法を用いることができる。
上記工程(3)において、水性ベース塗料を電着塗膜及び2層構造の硬化した塗膜が形成された被塗物に塗布する方法は、具体的には、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成することが好ましい。
上記水性ベース塗料を塗装して形成されるベース塗膜において、乾燥塗膜の膜厚は所望の用途により変化するが、下限5μm、上限35μmに設定することが好ましい。5μm未満であると、下地隠蔽性が不充分となり、膜切れ(塗膜が不連続な状態)が生じる場合がある。35μmを超えると、鮮映性が低下したり、塗膜にムラ又は流れが生じる場合がある。上記下限は、7μmであることがより好ましく、上記上限は、25μmであることがより好ましい。
工程(4)
上記工程(4)は、上記工程(3)を行うことにより得られた未硬化のベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成するものである。上記工程(4)を行うことにより、被塗物上に、未硬化のベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成することができる。
上記工程(4)は、上記工程(3)を行うことにより得られた未硬化のベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布してクリヤー塗膜を形成するものである。上記工程(4)を行うことにより、被塗物上に、未硬化のベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成することができる。
上記クリヤー塗膜は、上記ベース塗膜に起因する凹凸、光輝性顔料が含まれる場合に起こるチカチカ等を平滑にし、保護するために形成される。
上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂及び硬化剤等を含有するものを使用することができる。上記クリヤー塗料の形態としては、溶剤型、水性型及び粉体型のものを挙げることができる。
上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂及び硬化剤等を含有するものを使用することができる。上記クリヤー塗料の形態としては、溶剤型、水性型及び粉体型のものを挙げることができる。
上記溶剤型クリヤー塗料の好ましい例としては、透明性若しくは耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組合わせ;カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等を挙げることができる。
上記水性型クリヤー塗料の例としては、上記溶剤型クリヤー塗料の例として挙げたものに含有される塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した樹脂を含有するものを挙げることができる。この中和は、重合の前又は後にジメチルエタノールアミン及びトリエチルアミンのような3級アミンを添加することにより行うことができる。
上記粉体型クリヤー塗料としては、熱可塑性及び熱硬化性粉体塗料のような通常の粉体塗料を用いることができる。良好な物性の塗膜が得られるため、熱硬化性粉体塗料が好ましい。熱硬化性粉体塗料の具体的なものとしては、エポキシ系、アクリル系及びポリエステル系の粉体クリヤー塗料等を挙げることができるが、耐候性が良好なアクリル系粉体クリヤー塗料が特に好ましい。
上記粉体型クリヤー塗料として、硬化時の揮散物が無く、良好な外観が得られ、そして黄変が少ないことから、エポキシ含有アクリル樹脂/多価カルボン酸の系の粉体塗料が特に好ましい。
更に、上記クリヤー塗料には、上述の水性ベース塗料同様に、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤を添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用できる。このようなものとして、例えば、上述の水性ベース塗料についての記載で挙げたものを使用することができる。また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含むことができる。
上記工程(4)において、クリヤー塗料をウエットオンウエットで塗布する方法は、具体的には、先に述べたμμベル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成することが好ましい。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に下限10μm、上限80μmが好ましい。10μm未満であると、下地の凹凸が隠蔽できないおそれがある。80μmを超えると、塗装時にワキ又はタレ等の不具合が起こる場合がある。上記下限は、20μmであることがより好ましく、上記上限は、60μmであることがより好ましい。
上記クリヤー塗料により形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に下限10μm、上限80μmが好ましい。10μm未満であると、下地の凹凸が隠蔽できないおそれがある。80μmを超えると、塗装時にワキ又はタレ等の不具合が起こる場合がある。上記下限は、20μmであることがより好ましく、上記上限は、60μmであることがより好ましい。
工程(5)
上記工程(5)は、上記工程(3)及び工程(4)を行うことによって得られた未硬化の積層塗膜(ベース塗膜及びクリヤー塗膜)を同時に焼き付け、硬化を行うものである。上記工程(5)を行うことによって、耐チッピング性等の物性に優れた積層塗膜を得ることができる。
上記工程(5)は、上記工程(3)及び工程(4)を行うことによって得られた未硬化の積層塗膜(ベース塗膜及びクリヤー塗膜)を同時に焼き付け、硬化を行うものである。上記工程(5)を行うことによって、耐チッピング性等の物性に優れた積層塗膜を得ることができる。
上記工程(5)は、いわゆる2コート1ベークによって塗膜形成を行うが、水性ベース塗装後に40〜100℃で1〜10分間水分を揮散させる工程(プレヒート)を行うことが好ましい。
上記工程(5)において、上記未硬化の積層塗膜を同時に焼き付け、硬化させる硬化温度は、下限80℃、上限180℃であることが好ましい。これにより、高い架橋度の硬化塗膜が得られる。80℃未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。上記下限は、120℃であることがより好ましく、上記上限は、160℃であることがより好ましい。硬化時間は、硬化温度により変化するが、120〜160℃で10〜30分が適当である。
上記工程(5)において、上記未硬化の積層塗膜を同時に焼き付け、硬化させる硬化温度は、下限80℃、上限180℃であることが好ましい。これにより、高い架橋度の硬化塗膜が得られる。80℃未満であると、硬化が不充分となるおそれがある。180℃を超えると、塗膜が固く脆くなるおそれがある。上記下限は、120℃であることがより好ましく、上記上限は、160℃であることがより好ましい。硬化時間は、硬化温度により変化するが、120〜160℃で10〜30分が適当である。
上記積層塗膜の形成方法により得られる積層塗膜の乾燥膜厚は、下限30μm、上限300μmであることが好ましい。30μm未満であると、膜自体の強度が低下するおそれがある。300μmを超えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下するおそれがある。上記下限は、50μmであることがより好ましく、上記上限は、250μmであることがより好ましい。
上記積層塗膜の形成方法により形成される硬化した積層塗膜は、優れた耐チッピング性等の物性を有する積層塗膜である。従って、上記積層塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品等の被塗物等の優れた耐チッピング性等が要求される用途に対して好適に適用することができる。
上述したポリオレフィン樹脂(a)と、水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有する水性塗料組成物は、塗布、硬化することにより優れた耐チッピング性を有する2層構造の硬化した塗膜を得ることができる。このような水性塗料組成物もまた、本発明の1つである。
本発明の塗膜の形成方法は、特定の重量平均分子量(Mw)を有するポリオレフィン樹脂(a)と、特定の重量平均分子量(Mw)を有する水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有する水性塗料組成物を塗装し層分離させる工程(1)を行うもので、かつ、(a)及び(b)成分が(δb−δa)>2.0の関係を満たす。このため、上記塗膜の形成方法を用いることにより、耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる。従って、自動車車体及び部品に積層塗膜を形成する場合に、耐チッピング性等の物性に優れた積層塗膜を得ることができる。また、チッピングプライマーの塗装及び中塗り塗料の塗装を1工程の塗装により行うことができる方法であるため、塗装工程を短縮化することができる。
本発明の塗膜の形成方法は、上述した構成よりなるものであるため、耐チッピング性に優れた塗膜を得ることができる。従って、自動車塗装の塗装工程を短縮化することができる。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
製造例1 塗料組成物1の製造
マレイン化ポリオレフィン樹脂(坂井化学工業株式会社製「BOR−904」;不揮発分10%、重量平均分子量210000、数平均分子量51800、SP9.0)100重量部、ブチル化メラミン樹脂(三井化学株式会社製「ユーバン20N60」;不揮発分60%、重量平均分子量3900、数平均分子量1500、SP10.1)10重量部、カーボンブラック0.13重量部(PWC0.42%)、「タイペークCR−97」14.87重量部(石原産業社製二酸化チタン、商品名)、酸化防止剤(城北化学工業株式会社製「JAST−500」)0.4重量部を、トルエン25重量部、ソルベッソ25重量部に加え、卓上SGミルで1時間分散することにより、塗料組成物1を得、トルエン/酢酸エチル=1/1混合溶媒を用いて、塗料粘度を14秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
マレイン化ポリオレフィン樹脂(坂井化学工業株式会社製「BOR−904」;不揮発分10%、重量平均分子量210000、数平均分子量51800、SP9.0)100重量部、ブチル化メラミン樹脂(三井化学株式会社製「ユーバン20N60」;不揮発分60%、重量平均分子量3900、数平均分子量1500、SP10.1)10重量部、カーボンブラック0.13重量部(PWC0.42%)、「タイペークCR−97」14.87重量部(石原産業社製二酸化チタン、商品名)、酸化防止剤(城北化学工業株式会社製「JAST−500」)0.4重量部を、トルエン25重量部、ソルベッソ25重量部に加え、卓上SGミルで1時間分散することにより、塗料組成物1を得、トルエン/酢酸エチル=1/1混合溶媒を用いて、塗料粘度を14秒(#4フォードカップ/20℃)に調整した。
製造例2 塗料組成物2の製造
「タイペーク97」(石原産業社製二酸化チタン)99部、MA−100(三菱化学社製カーボンブラック)1部、脱イオン水30部、及び日本ペイント社製水性ポリエステル樹脂(固形分比率50%、重量平均分子量21000、数平均分子量2800、SP13.1)20部(樹脂固形分として)を、ペイントコンデイショナー中でガラスビーズ媒体を加えて室温で1時間混合分散し、粒度10μm以下の顔料分散体組成物を得た。次にこの顔料分散体組成物(固形分120部)に対して、日本ペイント社製ポリエステルディスパージョン(固形分比率50%、重量平均分子量8000、数平均分子量2800、SP12.1)50部(固形分として)、「マイコートM−723」(三井サイテック社製メラミン樹脂、固形分比率100%、重量平均分子量415、数平均分子量455、SP13.3)30部(固形分として)、「サーフィノール104E」(エアプロダクツジャパン社製表面調整剤)3部及び脱イオン水50部を、混合して10分間ディスパーにて攪拌混合し、塗料組成物2を得た。
「タイペーク97」(石原産業社製二酸化チタン)99部、MA−100(三菱化学社製カーボンブラック)1部、脱イオン水30部、及び日本ペイント社製水性ポリエステル樹脂(固形分比率50%、重量平均分子量21000、数平均分子量2800、SP13.1)20部(樹脂固形分として)を、ペイントコンデイショナー中でガラスビーズ媒体を加えて室温で1時間混合分散し、粒度10μm以下の顔料分散体組成物を得た。次にこの顔料分散体組成物(固形分120部)に対して、日本ペイント社製ポリエステルディスパージョン(固形分比率50%、重量平均分子量8000、数平均分子量2800、SP12.1)50部(固形分として)、「マイコートM−723」(三井サイテック社製メラミン樹脂、固形分比率100%、重量平均分子量415、数平均分子量455、SP13.3)30部(固形分として)、「サーフィノール104E」(エアプロダクツジャパン社製表面調整剤)3部及び脱イオン水50部を、混合して10分間ディスパーにて攪拌混合し、塗料組成物2を得た。
製造例3 水性塗料組成物の製造
製造例1で得られた塗料組成物1 100部(固形分18%)と、製造例2で得られた塗料組成物2 100部(固形分59%)とを混合して10分間ディスパーにて攪拌混合し、水性塗料組成物を得た。
製造例1で得られた塗料組成物1 100部(固形分18%)と、製造例2で得られた塗料組成物2 100部(固形分59%)とを混合して10分間ディスパーにて攪拌混合し、水性塗料組成物を得た。
実施例1 積層塗膜の形成方法
カチオン電着塗料(日本ペイント株式会社製カチオン型電着塗料「パワートップU−50」(硬度2H;グレー色))を用いて乾燥膜厚25μmに電着塗装された厚さ0.8mmのリン酸亜鉛処理した亜鉛メッキ鋼板上に、製造例3で得られた水性塗料組成物を膜厚が45μmとなるようにスプレー塗装し、7分間セッティングした後、140℃で30分間焼き付けて塗装塗板を得た。
冷却後、塗装塗板の上に、メタリックカラーベース塗料(日本ペイント株式会社製「スーパーラックM−155シルバー」)を乾燥膜厚が約15μmとなるように塗装した後、ウェット・オン・ウェット方式でクリヤー塗料(日本ペイント株式会社製「スーパーラックO−150クリヤー」)を乾燥膜厚40μmとなるように塗装した。7分間セッティングした後、140℃で30分間焼き付けることにより、積層塗膜を得た。
カチオン電着塗料(日本ペイント株式会社製カチオン型電着塗料「パワートップU−50」(硬度2H;グレー色))を用いて乾燥膜厚25μmに電着塗装された厚さ0.8mmのリン酸亜鉛処理した亜鉛メッキ鋼板上に、製造例3で得られた水性塗料組成物を膜厚が45μmとなるようにスプレー塗装し、7分間セッティングした後、140℃で30分間焼き付けて塗装塗板を得た。
冷却後、塗装塗板の上に、メタリックカラーベース塗料(日本ペイント株式会社製「スーパーラックM−155シルバー」)を乾燥膜厚が約15μmとなるように塗装した後、ウェット・オン・ウェット方式でクリヤー塗料(日本ペイント株式会社製「スーパーラックO−150クリヤー」)を乾燥膜厚40μmとなるように塗装した。7分間セッティングした後、140℃で30分間焼き付けることにより、積層塗膜を得た。
比較例1 積層塗膜の形成方法
実施例1において、亜鉛メッキ鋼板上に、製造例3で得られた水性塗料組成物を膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装したことの代わりに、製造例1で得られた塗料組成物1を膜厚が5μmとなるようにスプレー塗装し、5分間セッティング後、製造例2で得られた塗料組成物2を乾燥膜厚40μmとなるようにスプレー塗装した、以外は、実施例1と同様にして積層塗膜を得た。
実施例1において、亜鉛メッキ鋼板上に、製造例3で得られた水性塗料組成物を膜厚が40μmとなるようにスプレー塗装したことの代わりに、製造例1で得られた塗料組成物1を膜厚が5μmとなるようにスプレー塗装し、5分間セッティング後、製造例2で得られた塗料組成物2を乾燥膜厚40μmとなるようにスプレー塗装した、以外は、実施例1と同様にして積層塗膜を得た。
〔評価〕
(耐チッピング性)
上記で作成された積層塗膜を有する試験板を、グラロベ試験機KSS−1(スガ試験機社製、ダイヤモンドショット方式)を用い、以下の条件下で飛石試験を行った。
<試験条件>
石の大きさ:6〜8mm
石の量:0.7〜0.8g/個
距離:35cm
ショット圧:0.6kg/cm2
ショット角度:45°
試験温度:−20℃
(耐チッピング性)
上記で作成された積層塗膜を有する試験板を、グラロベ試験機KSS−1(スガ試験機社製、ダイヤモンドショット方式)を用い、以下の条件下で飛石試験を行った。
<試験条件>
石の大きさ:6〜8mm
石の量:0.7〜0.8g/個
距離:35cm
ショット圧:0.6kg/cm2
ショット角度:45°
試験温度:−20℃
(結果)
実施例1で得られた試験板の平均剥離面積は、8mm2であった。一方、比較例1で得られた試験板の平均剥離面積は、8mm2であった。この結果から、実施例1の積層塗膜の形成方法を用いることによって、比較例1で得られた積層塗膜と同等の耐チッピング性を有する積層塗膜を得ることができることが明らかとなった。また、実施例1において、製造例3で得られた水性塗料組成物を塗布することによって2層構造の塗膜が得られた。この結果から、実施例1の積層塗膜の形成方法を用いることによって、比較例1で得られるような積層塗膜と同等の耐チッピング性を有する積層塗膜を得ることができることが明らかとなった。
実施例1で得られた試験板の平均剥離面積は、8mm2であった。一方、比較例1で得られた試験板の平均剥離面積は、8mm2であった。この結果から、実施例1の積層塗膜の形成方法を用いることによって、比較例1で得られた積層塗膜と同等の耐チッピング性を有する積層塗膜を得ることができることが明らかとなった。また、実施例1において、製造例3で得られた水性塗料組成物を塗布することによって2層構造の塗膜が得られた。この結果から、実施例1の積層塗膜の形成方法を用いることによって、比較例1で得られるような積層塗膜と同等の耐チッピング性を有する積層塗膜を得ることができることが明らかとなった。
本発明の塗膜の形成方法は、自動車車体及び部品等に対して好適に適用することができる方法である。
Claims (5)
- 電着塗膜が形成された被塗物に水性塗料組成物を塗装し層分離させる工程(1)、及び、加熱して硬化させる工程(2)を含む塗膜の形成方法であって、
前記水性塗料組成物は、ポリオレフィン樹脂(a)と、水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有するものであり、
前記ポリオレフィン樹脂(a)の溶解性パラメーターδaと、前記水性ポリエステル樹脂(b)の溶解性パラメーターδbとは、(δb−δa)>2.0の関係を満たし、
前記ポリオレフィン樹脂(a)の重量平均分子量(Mw)は、50000〜500000であり、前記水性ポリエステル樹脂(b)の重量平均分子量(Mw)は、5000〜30000である
ことを特徴とする塗膜の形成方法。 - ポリオレフィン樹脂(a)は、酸成分をグラフト化したポリオレフィン樹脂を含有するものである請求項1記載の塗膜の形成方法。
- 請求項1又は2記載の塗膜の形成方法により得られることを特徴とする塗膜。
- 請求項1又は2記載の塗膜の形成方法により得られた塗膜上に、水性ベース塗料を塗布しベース塗膜を形成する工程(3)、得られたベース塗膜上にウエットオンウエットでクリヤー塗料を塗布しクリヤー塗膜を形成する工程(4)、及び、得られた塗膜を同時に焼き付け、硬化を行う工程(5)を含むことを特徴とする積層塗膜の形成方法。
- ポリオレフィン樹脂(a)と、水性ポリエステル樹脂(b)と、メラミン樹脂(c)とを含有することを特徴とする水性塗料組成物。
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-
2004
- 2004-10-26 JP JP2004310525A patent/JP2006122732A/ja active Pending
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