JP7391007B2 - シーラー部を有する被塗物に対する塗膜形成方法 - Google Patents

シーラー部を有する被塗物に対する塗膜形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、シーラー部を有する被塗物に対する新規な複層塗膜形成方法に関する。
一般的に、自動車車体を被塗物とする複層塗膜形成方法は、被塗物に電着塗膜を形成して加熱硬化させた後で、中塗り塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成することにより行われている。また、現在では、揮発性有機化合物(VOC)削減のために、水性ベースコート塗料組成物が使用されている。
ところで、自動車車体などの被塗物は、極めて複雑な構造を有している。例えば、自動車車体を構成する、ドア、ボンネットフード、ルーフなどといった箇所では、2つの板状の鋼板をそれぞれ互いに重ね合わせた接合部または継ぎ目部が存在する。そしてこれらの接合部または継ぎ目部は、その境界部に隙間が存在する。このような隙間は、中塗り塗料組成物、ベース塗料組成物およびクリヤー塗料組成物といった通常の塗料組成物を用いた塗装のみでは、被覆が困難である。さらに接合部または継ぎ目部において存在する境界部の隙間には、水・塵などの異物が侵入し易く、これらの異物が錆の発生の原因となるという問題もある。そのため、このような接合部または継ぎ目部においては一般に、シーリング剤の塗装および充填によるシーラー部が設けられている。シーリング剤の塗装および充填は、一般に、鋼板上に形成された電着硬化塗膜に対して行われる。そして、シーラー部を設けた被塗物に対して、中塗り塗膜および上塗り(ベースおよびクリヤー)塗膜が形成される。被塗物において極めて複雑な構造を有する部位は、その塗装自体が困難であるため、その形状や機能を勘案の上、塗装工数を減らすべく、中塗り塗装や、クリヤー塗装を割愛することがある。このような場合であっても、意匠性を確保するために、着色層であるベース―コート塗料組成物のみは塗工は必要とされる場合が多い。
また、自動車車体の塗装などにおける中塗り塗膜および上塗り(ベースおよびクリヤー)塗膜は、塗膜そして製品の外観および意匠に対して大きく影響を及ぼす。そのため、中塗り塗膜および上塗り(ベースおよびクリヤー)塗膜の塗装および焼き付け硬化工程において、異物の付着によるブツの発生、塗装不具合などによるヘコミまたはハジキの発生といった塗膜欠陥が見出された場合は、この塗膜欠陥部が存在する箇所または被塗物全体に対して、再度、中塗り塗膜および上塗り(ベースおよびクリヤー)塗膜を設ける塗装が行われる。このような再塗装はリコートといわれる。そしてこのリコートにおいては、被塗物に既に設けられているシーラー、中塗り塗膜および上塗り(ベースおよびクリヤー)塗膜を含む複層塗膜と、再塗装によって設けられた中塗り塗膜および上塗り(ベースおよびクリヤー)塗膜からなる再塗装塗膜の全ての層において、密着性を確保することが必要である。
このようなシーラー部を有する被塗物のリコート方法として、特許文献1には、既に設けられていた、シーラー部、硬化第1塗膜、硬化第2塗膜および硬化クリヤー塗膜からなる複層塗膜を有する被塗物上に、リコートによって、硬化第1塗膜、硬化第2塗膜および硬化クリヤー塗膜からなる再塗装塗膜を設ける場合において、既に設けられていた複層塗膜と再塗装塗膜との間の層間剥離を伴うことなく、密着性に優れた塗膜を形成することができることを特徴とする方法が開示されている。
特許文献1に記載された発明によれば、既に設けられていた複層塗膜と再塗装塗膜との間に優れた層間密着性を得ることができる。
特開2014-028332号公報
しかし、上述の被塗物が極めて複雑な構造を有する部材について、ベース―コート塗料組成物が、鋼板上のシーラー部に対して、直接的に1層のみで施与される場合には、その上下に中塗り塗料やクリヤー塗料組成物が併存する場合と比較して、塗膜間の密着性が低く得られる傾向がある。また、特許文献1の方法はリコートによる再塗装塗膜の良好な密着性をもたらすものの、この方法では、リコート以外の塗装、すなわち中塗り塗料組成物および/またはクリヤー組成物が塗装されない場合はシーラー部上で良好な密着性を有する複層塗膜を形成することはできない。
従って、本発明は、シーリング剤から放出される可塑剤、特にポリ塩化ビニルシーリング剤に含まれるフタル酸ジイソノニルの影響を受けることなく、中塗り塗料組成物および/またはクリヤー塗料組成物が塗装されていない部分においても、シーラー部上で良好な密着性を確保する塗膜の形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、リコートの場合はシーラー上に既存の塗膜が存在することから、シーラー部とリコート用の塗料組成物が直接接するものではないが、新たに電着塗装され、シーラー部が形成された被塗物への直接的な塗装では、シーリング材、特にポリ塩化ビニルシーリング剤に含まれ、同シーラー部から放出される可塑剤の影響が無視できないことを見出した。本発明者等は、この知見に基づき、ポリ塩化ビニルシーリング剤を使用した被塗物の上に特定の溶解性パラメーター値を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を配合した水系ベースコート塗料組成物を塗装する塗膜形成方法により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の上記課題は、水性ベースコート塗料組成物を塗装して未硬化の水性ベースコート塗膜を形成する塗装工程、および
得られた未硬化の水性ベースコート塗膜を焼き付け硬化させる焼き付け硬化工程を包含する、被塗物に対する塗膜形成方法であって、
被塗物がシーラー部を有し、該シーラー部が可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を含有するポリ塩化ビニルシーリング剤により構成され、
水性ベースコート塗料組成物が、樹脂成分および顔料を含有し、樹脂成分が溶解性パラメーター値(SP値)が10.0以上の水酸基含有ポリウレタン樹脂を含み、
水酸基含有ポリウレタン樹脂の固形分の、樹脂成分の固形分に対する含有量が、15質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする塗膜形成方法により解決される。
本発明の塗膜形成方法における塗装工程は、未硬化の水性ベースコート塗膜上に、さらにクリヤー塗料組成物を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する、ウエットオンウエット塗装工程として行われ、焼き付け硬化工程が、未硬化の水性ベースコート塗膜およびクリヤー塗膜の同時焼き付け硬化として行われるものであってもよい。
本発明のシーラー部を有する被塗物の塗膜形成方法では、シーリング剤から放出される可塑剤の影響を受けることなく、中塗り塗料組成物および/またはクリヤー塗料組成物により塗装されない場合であっても、被塗物のシーラー部上で良好な密着性を有する塗膜を提供することができる。
本発明の塗膜形成方法を適用する対象となる被塗物は、シーラー部を有する。このシーラー部は、鋼板上に形成された電着硬化塗膜に対して塩化ビニル樹脂および可塑剤を含むポリ塩化ビニルシーリング剤を塗装することによって形成される。
ポリ塩化ビニルシーリング剤に含まれる塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、および、塩化ビニルと酢酸ビニルなどの他の単量体との共重合体、が挙げられる。これら塩化ビニルの単独重合体および共重合体は1種が単独で使用されていることも、2種以上を組み合わせて使用されている場合もある。
被塗物の一部とされるポリ塩化ビニルシーリング剤は、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を含有する。フタル酸エステルは、柔軟性を与え、耐久性を有し、低コストの可塑剤としてシーリング剤に配合される。中でもフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP、DOP)が最も一般的であるが、近年、発がん性、生殖毒性の可能性が指摘されており、欧州におけるREACHの認可物質、RoHS指令における制限物質に指定されている。フタル酸ジブチル(DBP)も同様な規制がある。そのため、規制対象物質ではないフタル酸ジイソノニル(DINP)が使用されることが多い。
ポリ塩化ビニルシーリング剤には、場合により、アルカリ土類金属の炭酸塩および硫酸塩、マイカ、シリカ、タルク、ケイソウ土、カオリン等の充填剤、エポキシ系、アクリル系、ポリアミド系、イソシアネート系などの一般的な接着性付与剤、亜鉛、鉛、バリウム、錫、カルシウムなどの金属の塩等の安定剤、表面処理炭酸カルシウム、超微粒子シリカ粉末等のチクソ性付与剤などが含まれていることもある。
このようなポリ塩化ビニルシーリング剤を塗装した後、常温乾燥、あるいは80℃で5分間程度の強制乾燥を実施することによって、被塗物上にシーラー部が形成される。
本発明の塗膜の形成方法により得られる塗膜は、上記のように構成されたシーラー部を有する被塗物上において、シーラー部およびその他部分(一般には鉄、アルミニウム、又はこれらの合金などの金属)に対して優れた密着性を有する。また、本発明の塗膜の形成方法は、既に塗膜を有する場合、すなわちリコート目的でも、既存の塗膜上は勿論、および既存の塗膜が部分的に存在するシーラー部上等においても優れた密着性を有する。
本発明の水性ベースコート塗料組成物(水性ベースコート塗料または水性ベース塗料ともいう)は、水酸基含有ポリウレタン樹脂が必須成分である。この水酸基含有ポリウレタン樹脂は、ポリオール、ポリイソシアネート化合物、ジメチロールアルカン酸、多価アルコールなどを原料成分とする公知の方法により得ることができる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどが挙げられるが、耐チッピング性の点から、ポリエステルポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールは、多塩基酸と多価アルコールを原料成分とするエステル化反応を利用した、公知の方法により得ることができる。
ポリエステルポリオールの原料成分である多塩基酸として、通常は多価カルボン酸が使用されるが、必要に応じて1価の脂肪酸などを併用することができる。多価カルボン酸として、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、トリメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ピロメリット酸、炭素数の大きな、例えばC20~C50、特にC30~C40のダイマー酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。これらの多塩基酸は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ポリエステルポリオールの原料成分であり、また、水酸基含有ポリウレタン樹脂の原料成分でもある多価アルコールとしては、グリコール及び3価以上の多価アルコールが挙げられる。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、メチルプロパンジオール、シクロヘキサンジメタノール、3,3-ジエチル-1,5-ペンタンジオールなどが挙げられる。また、3 価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ポリオールと反応させるポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、p-又はm-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m -テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのなどが挙げられる。この中でも、耐黄変性などの点から、脂肪族ジイソシアネートが好ましい。これらのポリイソシアネート化合物は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ジメチロールアルカン酸としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘプタン酸、ジメチロールオクタン酸、ジメチロールノナン酸などが挙げられる。これらのジメチロールアルカン酸は、1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
水酸基含有ポリウレタン樹脂の溶解性パラメーター値(SP値)は、10.0以上であり、好ましくは10~11である。10.0以上で、シーリング剤との密着性が十分となり、11.5以下において、塗膜の耐水性が特に良好となる。なお、本発明の水酸基含有ポリウレタン樹脂の溶解性パラメーター値(SP値)は、塩基性物質で中和する前に実測した値である。
本発明で言う樹脂の溶解性パラメーター(SP値)は、簡便な実測方法である濁点滴定によって測定することができ、K.W.SUH、J.M.CORBETTの式(Journal of Applied Polymer Science,12.2359,1968)に準じて計算することができる。

SP=((VL)1/2×δL+(VH)1/2×δH)/((VL)1/2+(VH)1/2
式中、
VLは濁点におけるn-ヘキサン/アセトン混合溶剤の分子容(ml/mol)、
VH は濁点における脱イオン水/アセトン混合溶剤の分子容(ml/mol)、
δLは濁点におけるn-ヘキサン/アセトン混合溶剤のSP値、
δHは濁点における脱イオン水/アセトン混合溶剤のSP値を示す。
濁点滴定では、乾燥させた樹脂(固形分)0.5gをアセトン10mlに溶解して樹脂のアセトン溶液を得、このアセトン溶液中に、測定温度20℃で、n-ヘキサンを加えて行き、濁点での滴定量N(ml)を読む。また、別途、上記と同様の手順で準備したアセトン溶液中に、脱イオン水を加えて行き、濁点での滴定量D(ml)を読む。そして、これらの滴定量を下記式に適用し、VL 、VH 、δL 、δHを算出する。ここで、VA、VN、VDは、それぞれアセトン、n-ヘキサン、脱イオン水の分子容(ml/mol)である。また、各溶剤のSP値はアセトン:9.75、n-ヘキサン:7.24、脱イオン水:23.43である。
VL =VA×VN/((1-φN)×VN+φN×VA)
VH =VA×VD/((1-φD)×VD+φD×VA)
δL =9.75×(1-φN)+7.24×φN
δH =9.75×(1-φD)+23.43×φD
φN =N/(10+N)
φD =D/(10+D)
水性ベースコート塗料は、基体樹脂として、上記の水酸基含有ポリウレタン樹脂を含む。この他にも、任意に、公知の水溶性又は水分散性樹脂を基体樹脂として併用することができる。公知の水溶性又は水分散性樹脂としては、例えば、水溶性又は水分散性ポリエステル樹脂、水溶性又は水分散性アクリル樹脂、水溶性又は水分散性アクリル-ウレタン樹脂などが使用される。
水性ベースコート塗料の基体樹脂である水溶性又は水分散性ポリウレタン樹脂及びその他の水溶性又は水分散性樹脂は、樹脂が有する酸基の少なくとも一部が塩基性物質で中和されていることが好ましい。これにより、樹脂が水性塗料中で安定な状態で存在することができる。
塩基性物質としては、例えば、アンモニア、モルホリン、N-アルキルモルホリン、モノイソプロパノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルイソプロパノールアミン、N-ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-ジエチルエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミンなどが挙げられる。これらの塩基性物質は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水性ベースコート塗料は、好ましくは架橋剤を含有する。架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物などが挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ樹脂は、アミノ基を含有する化合物にホルムアルデヒドを付加し縮合させた樹脂の総称であり、具体的には、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられるが、メラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂としては、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを反応させて得られる部分又は完全メチロール化メラミン樹脂、メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をアルコール成分で部分的にまたは完全にエーテル化して得られる部分または完全アルキルエーテル型メラミン樹脂、イミノ基含有型メラミン樹脂、およびこれらの混合型メラミン樹脂が挙げられる。ここで、アルキルエーテル型メラミン樹脂としては、例えば、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル/ブチル混合アルキル型メラミン樹脂などが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、p-またはm-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4 ,4′-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。この中でも、耐黄変性などの点から、脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート体が好ましい。
ブロック化ポリイソシアネート化合物とは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基を、ブロック剤で保護したものである。ブロック剤としては、例えば、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム類、ε-カプロラクタム類などのラクタム類、アセト酢酸ジエステルなどのジケトン類、イミダゾール、2-エチルイミダゾールなどのイミダゾール類、またはm-クレゾールなどのフェノール類などが挙げられる。
水性ベースコート塗料には、着色顔料、光輝顔料、体質顔料などの各種顔料を含有させることができる。着色顔料としては、例えば、黄鉛、黄色酸化鉄、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタンなどの無機系顔料、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インディゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属錯体顔料などの有機系顔料が挙げられる。また、光輝顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク顔料、アルミナフレーク顔料、マイカ顔料、シリカフレーク顔料、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。そして、体質顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、バライト、沈降性硫酸バリウム、クレー、タルクなどが挙げられる。これらの顔料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水性ベースコート塗料には、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などを含有させることができる。水性ベースコート塗料は、必要に応じて、水、場合によっては少量の有機溶剤やアミンを使用し、適当な粘度に希釈してから塗装に供される。
この水酸基含有ポリウレタン樹脂の含有量は、水性ベースコート塗料組成物に含まれる全ての樹脂成分、特に上記の基本樹脂と、任意に含まれる架橋剤の固形分合計量に対し(すなわち水性ベースコート塗料組成物に含まれる顔料および場合により含まれる添加剤を除いた、全ての樹脂の固形分を基準として)、15質量%以上、30質量%とされる。シーラーとの密着性を確保するために、15質量%以上とすることが必要であり、一方、30質量%以下とすることにより、塗膜の耐水性が確保される。より強固なシーラーとの密着性を確保するために好ましい含有量は、15~27質量%である。
なお、本発明において樹脂の固形分とは、ベースコート組成物から顔料や添加剤を除いた、樹脂成分の不揮発分質量割合を意味する。より詳細には、樹脂の不揮発分質量割合は、ベースコート塗料組成物の作製時に添加した各樹脂成分の乾燥質量の割合から計算することにより求められる。乾燥質量とは、各樹脂成分をそれぞれ0.5g計りとり、これを110℃1時間乾燥して得られる各樹脂固形分の質量%から計算することにより求められる。
本発明の塗膜形成方法のクリヤー塗料組成物(クリヤー塗料ともいう)としては、1液型クリヤー塗料あるいは2液型クリヤー塗料が使用される。クリヤー塗料の基体樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などが挙げられる。硬化剤としては、例えば、メラミン化合物、酸/ エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物などが挙げられる。これらの中でも、耐候性、耐酸性、仕上がり外観性の点から、主剤としてアクリル樹脂を基体樹脂とし、硬化剤としてイソシアネート化合物を含有する2液型クリヤー塗料が好ましい。
本発明の塗膜形成方法における各塗料の塗装方法としては、自動車産業において通常用いられている方法、例えばエアースプレー塗装、エアー霧化式静電塗装、ベル回転霧化式静電塗装などが適用できる。
本発明の塗膜形成方法は、適用対象を、シーラー部を有する被塗物とするが、この被塗物はまず、鋼板上に電着硬化塗膜を形成し、その上にポリ塩化ビニルシーリング剤が塗布され、常温乾燥、あるいは80℃で5分間程度の強制乾燥により、シーラー部が形成されたものである。シーラー部を有する被塗物に対し、本発明では、場合により、中塗り塗料組成物が塗装され、加熱硬化により、中塗り硬化塗膜を形成することができる。さらにその後、水性ベースコート塗料組成物、クリヤー塗料組成物がウェトオンウェトで塗装され、加熱硬化により、複層塗膜が形成される。自動車車体などの被塗物において極めて複雑な構造を有する部位等において、鋼板上にシーラー部を有する被塗物に対して、直接的に水性ベースコート塗料組成物を1層のみで施与される場であっても、本発明の塗膜形成方法によれば、被塗物に対して塗膜が強力な密着性を発揮する。
特に、本発明のベースコート塗料組成物は、ポリ塩化ビニルシーリング剤の硬化物およびこのシーリング剤に通常含まれる可塑剤のフタル酸ジイソノニル(DINP)が放出されても、これに影響を受けずに密着性を維持するものである。
本発明の塗膜形成方法においては、水性ベースコート塗料組成物は、シーラー部上に直接塗装されてもよいし、シーラー部上に形成された中塗り硬化塗膜上に塗装されてもよい。また、硬化前の水性ベースコート塗膜は、その上にクリヤー塗料組成物がウェトオンウェトで塗装された後に加熱硬化されてもよいし、その上にクリヤー塗料組成物が塗装されずに加熱硬化されてもよい。
以下、本発明について実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、各例中の部、% 、比は、それぞれ質量部、質量%、質量比を表す。
<製造例1-1:ポリエステル樹脂ワニスA―1の製造>
反応水の分離管が付属した還流冷却管、窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ダイマー酸(商品名「PRIPOL1017」、CRODA社製、炭素数36)20.0部、アジピン酸15部、ネオペンチルグリコール18部、イソフタル酸26.8部、1,6-ヘキサンジオール19.4部、トリメチロールプロパン0.8部を仕込み、120℃まで昇温させて原料を溶解した後、攪拌しながら160℃まで昇温させた。160℃のまま1時間保持した後、5時間かけて230℃まで徐々に昇温させた。230℃を保持して反応を続け、樹脂酸価が4mgKOH/gになったら、80℃以下まで冷却した後に、メチルエチルケトン29.8部を加え、樹脂固形分75%、樹脂水酸基価が62mgKOH/g、数平均分子量が1,800のポリエステル樹脂ワニスA―1を得た。
<製造例1-2~1-4:ポリエステル樹脂ワニスA-2~A-4の製造>
表1に示した配合に基づき、製造例1-1と同様の方法で、ポリエステル樹脂ワニスA-2~A-4を得た。
<製造例2-1:ポリウレタン樹脂ワニスPUR-1の製造>
窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ポリエステル樹脂溶液A-1を78.3部、ジメチロールプロピオン酸7.8部、ネオペンチルグリコール1.4部、メチルエチルケトン40.0部を仕込み、攪拌しながら80℃まで昇温させた後、イソホロンジイソシアネート27.6部を仕込み、80℃を保持したまま各成分を反応させた。イソシアネート価が0.43meq/gになったところでトリメチロールプロパン4.8部を加え、そのまま80℃で反応を継続させた。そして、イソシアネート価が0.01meq/gになったところでブチルセロソルブ33.3部を加えて反応を終了させた。その後、100℃まで昇温させ、減圧下でメチルエチルケトンを除去した。さらに、50℃まで降温させ、ジメチルエタノールアミンを4.4部加えて酸基を中和し、その後に脱イオン水147.9部を加えて、固形分35%を有するポリウレタン樹脂PUR-1を得た。アミン中和前、脱イオン水を加える前に溶解性パラメーター(SP値)を実測した結果は、10.0であった。
<製造例2-2~2-4:ポリウレタン樹脂ワニスPUR-2~PUR-4の製造>
製造例2-1と同様の方法で、ポリウレタン樹脂ワニスPUR-2~PUR-4を得た。ポリウレタン樹脂のアミン中和前、脱イオン水を加える前に溶解性パラメーター(SP値)を実測した結果を表2にまとめた。
<製造例3:水分散性アクリル樹脂ワニスの製造>
還流冷却器、温度計、攪拌装置、窒素ガス導入管及び滴下ロートを備えたフラスコに脱イオン水130部を仕込んで窒素雰囲気下で80℃に昇温させた。次に、滴下成分として、メタクリル酸メチル15部、スチレン10部、n-ブチルメタクリレート37部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート18.5部、ブチルアクリレート9.2部、アクリル酸10.3部からなるラジカル重合性単量体混合物、乳化重合調節剤(商品名「チオカルコール20」、花王(株)製、n-ドデシルメルカプタン)4.0部、反応性アニオン乳化剤(商品名「エレミノールRS-30」、三洋化成工業(株)製、メタクリロイロキシポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム)2.0部、反応性ノニオン乳化剤(商品名「アデカリアソープNE20」、(株)ADEKA製)1.0部、脱イオン水15部からなる乳化剤溶液、及び過硫酸アンモニウム0.32部、脱イオン水15部からなる重合開始剤溶液を、滴下ロートで3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続けた後、40℃まで冷却し、固形分45%の水分散性アクリル樹脂ワニスを得た。
<製造例4-1:水性ベース塗料B-1の製造>
水系ポリウレタン樹脂ワニスPUR-1を11.5部、水性ポリエステル樹脂ワニス(商品名「バイヒドロールE-270」、コベストロ社製、固形分70%)を8.6部、製造例3により得られた水分散性アクリル樹脂ワニスを13.3部、アミノ樹脂(商品名「サイメル327」、オルネックス社製、固形分90%)を5部、さらにアルミニウムペースト(商品名「アルペースト0539X」、東洋アルミニウム(株)製、水性塗料用特殊加工アルミニウム、固形分69%、)を10.0部、表面調整剤(商品名「ビケトールWS」、ビックケミー社製)を0.5部、レオロジーコントロール剤(商品名「プライマルASE-60」、ダウ・ケミカル社製)を1.0部、相互に混合した。得られた混合物に、N-ジメチルエタノールアミン、脱イオン水を加え、固形分27.4%のメタリック水系塗料組成物を調製した。さらに、得られた各メタリック水系塗料組成物のpHをN-ジメチルエタノールアミンを用いて8.0に調整した。
<製造例4-2~4-7:水性ベース塗料B-2~B-7の製造>
表3に示した配合に基づき、製造例4-1と同様の方法で、水性ベース塗料B-2~B-7を製造した。
以下の方法により、複層塗膜の性能評価板を作成した。
<電着塗膜板の作成>
大きさ70×150mm、厚さ0.9mmのリン酸亜鉛化成処理軟鋼板に、カチオン電着塗料(商品名「カソガードNo.500」、BASFジャパン(株)製)を、乾燥膜厚が15μm になるように電着塗装し、170℃で20分間の加熱硬化させたものを、本評価に使用する電着塗膜板とした。
<シーリング塗布板1の作成>
フタル酸ジイソノニル(DINP)を含有するポリ塩化ビニルシーリング剤を使用した。シーリング剤の溶解性パラメーター(SP値)を実測した結果は、10.6であった。上記の電着塗膜板の中央部に、シーリング剤を長さ100mm、幅50mm、厚さ1mmに塗布した。このシーリング剤を塗布した後、2時間以内の常温乾燥により、被塗物上にシーリング材部が形成される。本評価に使用するシーリング塗布板1とした。
<中塗り塗膜板1の作成>
シーリング塗布板1上に塗装する中塗り塗料は、自動車用焼付型中塗りを使用した。中塗りの乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、塗装後は5分間静置し、120℃で18分間の加熱硬化を実施した。本評価に使用する中塗り塗膜板1とした。
<総合塗膜評価板1の作成>
中塗り塗膜板1上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μmになるように塗装した。塗装後は5分間静置し、80℃で3分間の予備加熱を行った。室温になるまで放冷した後、自動車用2液硬化型クリヤー塗料(BASFジャパン(株)製、アクリル樹脂/ ウレタン硬化型、NCO:OH = 1.0:1.0)を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、総合塗膜評価板1を得た。
<中塗りなし塗膜評価板2の作成>
シーリング塗布板1上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μm になるように塗装した。塗装後は5分間静置し、80℃で3分間の予備加熱を行った。室温になるまで放冷した後、自動車用2液硬化型クリヤー塗料(BASFジャパン(株)製、アクリル樹脂/ ウレタン硬化型、NCO:OH = 1.0:1.0)を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、中塗りなし塗膜評価板2を得た。
<クリヤーなし塗膜評価板3の作成>
中塗り塗膜板1上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μmになるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、クリヤーなし塗膜評価板3を得た。
<中塗りなし、クリヤーなし塗膜評価板4の作成>
シーリング塗布板1上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μmになるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、中塗りなし、クリヤーなし塗膜評価板4を得た。
<シーリング塗布板2の作成>
フタル酸ジイソノニル(DINP)を含有するポリ塩化ビニルシーリング剤を使用した。上記の電着塗膜板の中央部にシーリング剤を長さ100mm、幅50mm、厚さ1mmに塗布する。このシーリング剤を塗布した後、80℃で5分間の強制乾燥により、被塗物上にシーリング材部が形成される。本評価に使用するシーリング塗布板2とした。
<中塗り塗膜板2の作成>
シーリング塗布板2上に塗装する中塗り塗料は、自動車用焼付型中塗りを使用した。中塗りの乾燥膜厚が15μm になるように塗装し、塗装後は5分間静置し、120℃で18分間の加熱硬化を実施した。本評価に使用する中塗り塗膜板2とした。
<総合塗膜評価板5の作成>
中塗り塗膜板2上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μm になるように塗装した。塗装後は5分間静置し、80℃で3分間の予備加熱を行った。室温になるまで放冷した後、自動車用2液硬化型クリヤー塗料(BASFジャパン(株)製、アクリル樹脂/ ウレタン硬化型、NCO:OH = 1.0:1.0)を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、総合塗膜評価板5を得た。
<中塗りなし塗膜評価板6の作成>
シーリング塗布板2上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μmになるように塗装した。塗装後は5分間静置し、80℃で3分間の予備加熱を行った。室温になるまで放冷した後、自動車用2液硬化型クリヤー塗料(BASFジャパン(株)製、アクリル樹脂/ ウレタン硬化型、NCO:OH = 1.0:1.0)を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、中塗りなし塗膜評価板6を得た。
<クリヤーなし塗膜評価板7の作成>
中塗り塗膜板2上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μmになるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、クリヤーなし塗膜評価板7を得た。
<中塗りなし、クリヤーなし塗膜評価板8の作成>
シーリング塗布板2上に水性ベース塗料B-1を乾燥膜厚が12μmになるように塗装した。塗装後は、室温で10分間静置し、130℃で18分間の加熱硬化を行い、中塗りなし、クリヤーなし塗膜評価板8を得た。
得られた塗膜評価板について、以下の塗膜性能評価を行い、結果を表4の実施例1と表5の実施例6に示した。
<初期の碁盤目剥離試験>
上記方法にて作成された塗膜評価板に、カッターナイフ(商品名「NTカッター」S型、A型またはその相当品)の切り刃を塗装面に対して約30度の角度を保ちつつ、基材に達する2mm間隔の碁盤目の切り込みを入れ、100個の碁盤目を作った。その上に気泡が残らないように粘着テープ(ニチバン(株)製)を均一に圧着させた。粘着テープの一端を持ち、塗面に対して30度の角度を保ちつつ、粘着テープを一気に剥がした。このときの[剥がれた碁盤目のマス目の数]/[碁盤目のマス目の数=100]を目視判定により決定した。結果を表4に示した。
以下の基準で評価した。0/100(剥離なし)を○とし、1/100~100/100(剥離あり)を×とした。
<耐温水試験後の2次密着評価方法>
上記方法にて作成された塗膜評価板を40℃の耐温水槽にて240時間浸漬させた。浸漬終了後引き上げた後、表面の水分を拭き取った。20℃にて48時間放冷した。その後、初期の碁盤目剥離試験に準拠して、碁盤目密着性試験を行った。2mm間隔の碁盤目切れ込み後、粘着テープ剥離試験を行い、剥がれた碁盤目数を数えた。初期の碁盤目剥離試験と同様な評価基準で評価した。
<実施例2~5、7~10>
表3に記載した水性ベース塗料B-2~B-5を使用し、実施例1、6と同様の方法で、塗膜性能評価を行った。塗膜性能評価の結果を表4と表5にまとめた。
[表4:シーリング剤プレヒートなし(シーリング塗布板1を用いた評価版の試験)]
[表5:シーリング剤プレヒート80℃×5分間(シーリング塗布板2を用いた評価版の試験)]
<比較例1~4>
表3に記載した水性ベース塗料B-6とB-7を使用し、実施例1と同様の方法で、塗膜性能評価を行った。塗膜性能評価の結果を表4と表5にまとめた。
これらの結果から、本発明の塗膜形成方法によると、シーラー部を有する被塗物に対して設けられた塗膜が極めて優れた密着性を有していることがわかる。
以上、本発明者等によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

Claims (2)

  1. 水性ベースコート塗料組成物を塗装して未硬化の水性ベースコート塗膜を形成する塗装工程、および
    得られた未硬化の水性ベースコート塗膜を焼き付け硬化させる焼き付け硬化工程を包含する、被塗物に対する塗膜形成方法であって、
    前記被塗物がシーラー部を有し、該シーラー部が可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP)を含有するポリ塩化ビニルシーリング剤により構成され、
    前記水性ベースコート塗料組成物が、樹脂成分および顔料を含有し、前記樹脂成分が溶解性パラメーター値(SP値)が10.0以上の水酸基含有ポリウレタン樹脂を含み
    前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の固形分の、前記樹脂成分の固形分に対する含有量が、15質量%以上、30質量%以下であることを特徴とする塗膜形成方法。
  2. 前記塗装工程は、前記未硬化の水性ベースコート塗膜上に、さらにクリヤー塗料組成物を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を形成する、ウエットオンウエット塗装工程っとして行われ、前記焼き付け硬化工程が、未硬化の水性ベースコート塗膜およびクリヤー塗膜の同時焼き付け硬化として行われることを特徴とする、請求項1に記載の塗膜形成方法。
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