JP2006113215A - 電子写真画像形成用中間転写ベルト及びその製造方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 像担持体に接触して像担持体上に担持されている顕像が一次転写され、一次転写された顕像を転写材に二次転写するために用いられる無端状の電子写真用中間転写ベルトにおいて、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、遠心塗工時に遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成されていて、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする電子写真画像形成用中間転写ベルト。
【選択図】 図2
Description
また、近年の環境への影響を鑑みて電子写真用画像形成装置に供するエネルギーの省エネルギー化の要請が高まっている。
マシン(画像形成装置)の省エネルギー設計としては、エコスタート、抵エネルギーで定着できる定着方法等の開発が進んでいる。
しかし、このような従来の電子写真用中間転写ベルトでは、複層構造であるので、基体層と表層である高抵抗層との剥離という問題を解決しなければならなかった。つまり、電子写真用中間転写ベルトの基体層と高抵抗層との密着性が悪い場合、繰り返し使用していると基体層から高抵抗層が浮き上がる部分ができ、電流が高抵抗層の一部に流れず、画像のムラが発生してしまうことがあった。
また、導電材比重に関する技術が開示されているが(特許文献2参照)、ここに記載の中間転写体では、中間転写体の樹脂は、ポリイミドに限らず熱可塑性、熱硬化性樹脂を用いている。
また、特許文献3には、導電性の異なる複数種類のカーボンを基材中に含有し、該導電性の異なる複数種類のカーボンを膜厚方向に偏在させることを基本とする技術(電子写真用中間転写ベルト、その製法、画像形成装置)が開示されている。
この構成においては、電子写真用中間転写ベルトの基体中に導電性の異なるカーボンが膜厚方向に偏在しているので、ベルト表面と裏面とで異なる表面抵抗率を有し、画像ムラを防止した電子写真用中間転写ベルトを得ることができる。
また、ポリイミド樹脂は強度や耐熱性、摩擦帯電性の関係で大変有用な材料であり、ポリイミド樹脂にカーボンブラックを分散した単層の電子写真用中間転写ベルトは、他の材料(プラスチック)と比して高い性能が得られている。
しかしながら、この電子写真用中間転写ベルトにおいては、導電性の異なる2種類のカーボンが必要となり分散工程が2工程となる。また、ベルト表面の偏在集合性に関して導電性の異なるカーボンが偏在集合するところがないとはいえなかった。
また、様々な電気写真プロセス上で使用される本ベルトの抵抗値の制御は、導電材であるカーボンブラック単体の抵抗率、添加量により制御され、所望の抵抗を得るには、材料面での制約が多かった。
従来中間転写ベルトを用いて転写を行なう電子写真画像形成方法を行なう際には電界強度として30MV/m程度の電界強度が必要となっており、中間転写ベルト使用の方法において低エネルギー化の要請には十分な値とはいえなかった(転写電圧として500Vから2000Vの転写電圧を加えて転写電界を形成していた)。
また、低電界を形成する方法には、ベルトの低抵抗化と印加エネルギーの低下の2通りの方法があるが、ベルトの電気抵抗を下げた場合、転写に必要な電荷が、ベルトの表面及び内部において固定化せず、移動してしまい、その結果転写率が低下してしまい十分な転写が行なわれていなかった。
すなわち、大きい回転加速度Gを与えた状態でベルトを作成すると低電界で転写効率にすぐれたベルトを提供できることを見出した。
また、上記課題は、本発明の(5)「遠心塗工時の回転遠心力が3.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法」、(6)「該基体中に分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)が1.3未満であることを特徴とする前記第(2)項に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法」、(7)「像担持体に接触して像担持体上に担持されている顕像が一次転写され、一次転写された顕像を転写材に二次転写するために用いられる無端状の電子写真用中間転写ベルトの製造方法において、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、前記熱硬化性樹脂の原料とカーボンブラックを含む有機溶媒溶液を、遠心成形型を用いた遠心塗工によりベルト状に成形して熱硬化性樹脂を硬化する段階を含む製造方法で製造され、該製造時に該遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成され、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有するものであることを特徴とする電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法」、(8)「ベルトの体積抵抗率(ρv)の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法」によって解決される。
また、上記課題は、本発明の(9)「像担持体に帯電処理する段階と、帯電された像担持体を像様に露光する段階と、像露光された像担持体を現像して顕像化する段階と、顕像化されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写する段階と、中間転写ベルト上のトナー像を転写材に二次転写する段階と、該中間転写ベルトをクリーニングする段階とを含む電子写真画像形成方法であって、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、遠心塗工時に遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成されていて、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする電子写真画像形成方法」、(10)「該基体中に分散分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)が1.3未満であることを特徴とする前記第(9)項に記載の電子写真画像形成方法」、(11)「前記ベルトの外表面の表面抵抗率(ρs)の値が、ρs=1.0×109〜1.0×1013Ωであることを特徴とする前記第(9)項に記載の電子写真画像形成方法」、(12)「前記ベルトの体積抵抗率(ρv)の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることを特徴とする前記第(9)項に記載の電子写真画像形成方法」によって解決される。
また、本発明は(13)「像担持体に帯電処理する帯電手段と、帯電された像担持体を像様に露光する像露光手段と、像露光された像担持体を現像して顕像化する現像手段と、顕像化されたトナー像を一次転写する中間転写ベルトと、該中間転写ベルト上のトナー像を転写材に二次転写する二次転写手段と、該中間転写ベルトのクリーニング手段とを有する電子写真画像形成装置であって、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、遠心塗工時に遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成されていて、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする電子写真画像形成装置」、(14)「前記中間転写ベルトの基体中に分散分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)が1.3未満であることを特徴とする前記第(13)項に記載の電子写真画像形成装置」、(15)「前記ベルトの外表面の表面抵抗率(ρs)の値が、ρs=1.0×109〜1.0×1013Ωであることを特徴とする前記第(13)項に記載の電子写真画像形成装置」、(16)「前記ベルトの体積抵抗率(ρv)の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることを特徴とする前記第(13)項に記載の電子写真画像形成装置」を好ましい態様として包含する。
カラー複写機に用いられる中間転写体としての電子写真用中間転写ベルトに用いられるポリマーは難燃性、強度、電気安定性が要求されるが、ポリイミド樹脂(該「ポリイミド樹脂」には、ポリアミドイミド樹脂、これらのブレンドの形の樹脂を含む。以下同じ)は強度や耐熱性、摩擦帯電性の関係で他のプラスチックと比較し大変優れた材料である。このポリイミド樹脂を用いて無端状電子写真用中間転写ベルトを作製する方法として遠心成形方法が挙げられる。
本発明で用いるカーボンは、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック等に分けられる。アセチレンブラックは、アセチレンを予熱した炉で熱分解して得られ、オイルファーネスブラックは、炉に石油を吹き込み、空気量を調節し不完全燃焼させ、生じたカーボンを冷却後、サイクロンなどで捕集して得られ、サーマルブラックは、天然ガスを用い、蓄熱炉中200〜1700℃で蓄熱と熱分解とを交互に行なって得られ、チャネルブラックは、細長い鉄板に、天然ガスの火炎を当て、生じたカーボンを付着させて得られる。以下、便宜上、主にカーボンを中心に説明する。
本発明における遠心塗工液における有機溶媒(NMP以外)としては、DMAC N,N−ジメチルアセトアミド CH3CON(CH3)2等の有機溶媒が挙げられ、その他、特開昭60−28432号公報(第3頁に記載の反応に使用する有機極性溶媒も使用可能である)が挙げられる。
このようにしてカーボンを用意する。
本発明におけるカーボンの含有量は、乾燥樹脂分100重量部当たり5から25重量部範囲で含有するのが好ましく、より好ましくは17.5から22.5重量部である。
本発明の混合ポリアミド酸溶液における溶媒と樹脂分+カーボンブラックの好ましい量比範囲としては、樹脂分+カーボンブラック濃度として10〜50wt%である。
遠心塗工のための好ましい塗工液の粘度範囲は、100〜15000センチポイズ、より好ましくは300〜8000センチポイズである。
塗工液中に含有させてもよい樹脂分、導電性粒子以外の他の添加剤の種類と、添加量割合としては、(a)イミド化触媒(例えばピリジン、ピコリン類、イミダゾール類、キノリン類、トリエチルアミン)が挙げられ、これらは、ポリアミック酸のアミック酸単位に対して0.1モル以上50モル以下であることが好ましい。
さらに、(b)潤滑剥離剤の一般的な項目としてシリコーンオイル成分、フッ素成分等が挙げられる(樹脂に対して0.1以上10以下)。
しかしながら本発明においては、大きい遠心加速度Gの下で膜を形成することにより分散状態の良好なまま、すなわち液状状態における対流の少ない状態で膜が形成され、カーボン粒子の濃淡(偏在)が膜として、ベルトの半導体の領域(中庸範囲の比抵抗及び誘電率の領域)に必要十分な性能を与えていることを見出した。
本発明の中間転写ベルトは、外表面の表面抵抗率の値が、ρs=1.0×109〜1.0×1013Ωであることが好ましいことが見い出された。表面抵抗率がρs=1.0×109Ω未満の場合、電荷が横方向に移行してしまう不都合が生じる。また、ρs=1.0×1013Ωを越える場合、電荷がスムーズに移行せず(消去できず)、連続した現像が行なえない不都合が生じる(電荷の消去が困難となる)。
また、本発明の中間転写ベルトは、体積抵抗率の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることが好ましい。体積抵抗率のより好ましい範囲としては、ρv=1.0×1010〜1.0×107Ω・cmである。
本発明においては所望の成膜を得るためにカーボン粒子を分散した塗工液の塗工条件によりコントロールする検討を行なっている。本発明者らは、電子写真用中間転写ベルトとして要求される多岐にわたる表面抵抗の制御ついて、下記のように所望の値を提供できることを見い出した。
体積抵抗を一定にコントロールしたままで、表面抵抗のコントロールを行なうこと。
すなわちカーボンの抵抗率を同じものを使用し(同一の材料にて)表面抵抗をコントロールすることを見い出した。
すなわち、電子写真プロセスにおいての中間転写ベルトの機能である、像担持体上のトナー潜像を本発明の電子写真用中間転写ベルト上に転写し、その後転写紙上に転写させる場合を考えた場合転写体となるトナーに対した最適な転写媒体の電気的な特性、すなわち転写媒体である膜の外表面のカーボン粒子の状態を制御することが非常に必要となってくると考えられる。
そして比重の大きいカーボンは優先的に表面部分に集合し、分散する状態に変わる。
しかし、より高速で、またはより長時間更に回転を続行すると、遠心加速度Gが加わっていない状態では比重の小さいポリアミド酸分子も理由は不明であるが表面部分に向かって、集合するように移動する傾向になる。
遠心加速度が1.0未満の場合、表面の均一性が損われ、遠心工法上使用できない領域である。
また、遠心加速度が、1000Gを超えた場合、上述のようにカーボン粒子が、表面部分に向かって集合する。
また、遠心成形型の内周面は、平面加工時には良好な抵抗均一性が得られる基材を使用している。
平面で塗工する場合、均一液であれば、粒子にかかる力は重力方向に1Gの力が加わる。
遠心塗工時には、その数倍から数千倍数万倍の力が加わる。
回転塗工時にはその作用する力は、回転スピードの2乗に比例する。
したがって、回転塗工時の遠心力と、回転体の内周面とそこに作用する力を考えた場合、数千Gの遠心加速度とは、そこに加わる力はかなり大きな力でありこのような加速度がかかるときには、平面に微小な傾きがある場合でもそこに加わる力は、液中粒子を偏在させうる、格段に大きな力となる。
また「1G」の状態下では塗工上問題のない面ではあるが、その面内には微かな傾きがある。
実用上で制御が可能な遠心加速度(遠心時の回転数)の値をコントロールすることにより電子写真用中間転写ベルトの表面抵抗値の値をコントロールすることが可能であることを本発明者らは見い出した。
このように所望の値に設計した膜を、従来の1G未満で作成せんとした場合、低電界における転写においては適正な画像形成がなされていなかった(カーボンの凝集偏在等の理由による)。
しかしながら、本発明におけるように、高いGを与えながらベルト作成を行なった場合、低電界におけるトナー像転写において明確に違いがあり適正な画像形成が良好に行なわれる(カーボン粒子の適正分布、適正偏在)。
また、実際の転写工程において特に低電界での転写工程での良否の違いが明確に表れ、高G下で作成したベルト成形物が乾燥過程においてカーボン粒子の凝集偏在の発生が少なく且つ半導体特性(電気抵抗特性および誘電率特性)を良好に示すことを見い出し、優れた中間転写ベルトを提供できることを見い出した。
本発明において、塗工により形成されたベルトの好ましい加熱温度及び時間の目安範囲を説明すると、自己支持膜の作成時(第一次乾燥)50〜210℃の温度で30〜90分、その後イミド化乾燥時(第二次乾燥)200〜350℃の温度で10〜30分が好ましい。
すなわち、トナー像の転写工程においては、印加された電気エネルギーは、例えば最初に、付与された電荷によりトナーの電荷を中和し逆極性に帯電しなおすことなく、トナーを中間転写体に移動させる(一次転写する)ための電場勾配を形成することが好ましい。オーミックコンタクトによる不所望な中和や逆帯電のための少量の電荷量注入が、トナー粒子移動のための大きな電位差付与と共に作用し勝ちであるが、本発明はこれを避けることができる。
転写電圧の印加された場合(部分)と印加電圧の印加されない場合(部分)においては近接作用が働いていると考えられる。
すなわち、トナーの転写が正確に行なわれるためには上述のように印加電圧に加わった部分およびその微小な時間においてトナー転写に十分な必要電界が形成される様、微小空間における半導体性能が提供されることが好ましい。
[印加電界の高い場合]
中間転写ベルトに電荷を与えると共にトナーをも逆帯電させてしまう(転写性の悪化)。中間転写ベルトの電荷が高すぎるので中間転写ベルトが感光体に接近しただけでトナーが中間転写ベルトに飛び移る。
中間転写ベルトと感光体の間の電界が少ないためにトナーを吸引する力が弱くなる(転写率の低下)。
[ベルトの抵抗値の高い場合]
具体的には体積抵抗値が高い場合ベルト内部に電荷の移動が少なくなりベルト厚みによりトナー周辺の電界が弱くなる。
具体的には体積抵抗値が低いため電荷がベルト内部で拡散してしまい転写率が低下する。
従って、本発明において、中間転写ベルトに要求される抵抗値は一定の範囲とする。
図1につき説明すれば、遠心成型時の状態を示すもので、遠心成形型(52)の内面には、中間転写ベルト(51)が成型され、その成型されたベルトの中間転写ベルト断面(53)(拡大図)は、その図に示されるように、遠心成形型(52)の内面方向に向け、カーボンの偏在(濃淡)が生ずる。
図2は遠心成型によって得られた本発明中間転写ベルトの模式図で、電子写真用中間転写ベルト外表面(54)及びその近傍では、ポリイミドを主体とする領域(55)が形成され、該ポリイミドを主体とする領域(55)の内部にはカーボンリッチの領域(56)が形成されている。
図4に示されるように、ベルトの遠心成形過程で、遠心力は微小な表面に対して垂直に加わるが、その微小な表面に傾きがあるときには、該傾きある微小表面に対して横方向に働くベクトル因子成分を考えることができる。その微小な表面の傾き(その表面性の変化)を把握するのは、非常に困難である(角度で1°以下)。また、遠心加工中、混合ポリアミック酸溶液の表面は、空気抵抗に遭遇して回転方向後方に流動するが、しかし粘性に起因して、成形型から千切れ飛ぶことはなく、かつ、回転が進めば、均らされ、したがって、回転方向における場所の違いによるベルトのムラは生じない。
本発明における非常に大きな遠心加速度をかけたときに初めて見い出された重要な点として、遠心加速度が1000Gを超えると、混合ポリアミック酸溶液中の溶剤例えばNMPがカーボンブラック粒子の凹部及び/又は孔部を満たすことになる結果、カーボンブラックの見掛け比重が急に大きくなるためか、カーボンブラックが、ベルト外表面に偏在集合することとなる。
カーボンブラックの集合は、乾燥時、そのような有機溶媒の排出の際、何らかの理由で、より著しくなると思われる。本発明においても、全ての化学的吸着及び収着は内部潜熱の放出(つまり発熱)を伴なうという説の例外ではあり得ず、而して、この発熱は、有機溶媒の蒸発熱の少なくとも1部を補なうはずである。そして、上記のような事由もあって、基体中に分散分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)は、1.3未満であることが好ましい。
この蒸発は常温よりも加熱雰囲気の方が短時間に効率的に行なわれるので好ましい。
注型金型の内面は、可能な限り平面加工時に表面性のバラツキの生じない高精度での鏡面仕上げ加工が好ましく、また大きさは、必要とする円筒状フィルムによって決められる。
イミド閉環は加熱によって行なわれるが、この際にポリアミド酸フィルム中に残存する溶剤を完全に蒸発除去する。
実際のイミド閉環にあっては、注型に引き続いて、そのまま回転しながら前記温度で所定時間加熱してもよいし、ポリアミック酸フィルムを一旦遠心成形型から離型し、取り出して、これを別途準備された円筒状のイミド化型に被覆し、この全体を熱風等の加熱手段によって、加熱してもよい。
また、この電子写真用中間転写ベルトは基体+表層という従来の構造をとらないため、表層が基本から浮くということもない。
また、各実施例における具体的な数値、例えば印加電圧及び転写ギャップは単なる例であって、本発明はこれら数値により制限されるものでは無論ない。
(実施例1)
図5は本発明の実施例に係わる電子写真用中間転写ベルトの製造方法を示す図である。
図5に示すように、電子写真用中間転写ベルトを製造するには、まず、図5(A)に示すように、ポリアミド酸(ポリイミド閉環後の樹脂単体の比重1.5g/cm3)をNMPに溶解させ20重量%にした基材の材料と、NMP中に旭#60H(N−568)(真比重1.8g/cm3であるが、実際の見掛比重は混合ポリアミド酸溶液のそれよりもはるかに小さい)をサンドミルを用いて、粒径が0.04μmになるように分散した溶液を用意する。
この溶液はそれぞれ数種類の溶液を混合しても良い。
測定の際には測定面の裏側にアース電極(23)を配置する。この測定方法で中間転写ベルトの表面抵抗率を測定したところ、表面抵抗率ρs=1×1011Ωであり、また、対抗電極と円柱電極(22)との間の抵抗値をRvとする。この方法で測定した場合の体積抵抗率は、ρv=2×109Ω・cmであった。
このような画像形成装置は、本発明の「像担持体に帯電処理する段階と、帯電された像担持体を像様に露光する段階と、像露光された像担持体を現像して顕像化する段階と、顕像化されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写する段階と、中間転写ベルト上のトナー像を転写材に二次転写する段階と、該中間転写ベルトをクリーニングする段階とを含む電子写真画像形成方法であって、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等(「等」=削除又は他の熱硬化性樹脂材料名候補を明細書中に追加)の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写及び二次転写工程にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、遠心塗工時に遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成されていて、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする電子写真画像形成方法」を実施するのに適している。
上記画像形成装置を用い、転写電界が12.5MV/mの状態のもとで(印加電圧「250V」及び転写ギャップ「10μm」)複写を行なった結果、適正な電子写真プロセスが行なわれ鮮明な良好な画像が得られた。
ポリアミド酸混合溶液注入が完了した後、円筒型(13)の回転数を1000rpmで回転させるこのときの遠心加速度Gの値は、69Gであること以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを得る。
この中間転写ベルトの表面抵抗率を測定したところ、表面抵抗率ρs=5×1010Ωであり、また、体積抵抗率は、ρv=9×108Ω・cmであった。
次に画像形成装置を用い、転写電界が12.5MV/mの状態のもとで(印加電圧「250V」及び転写ギャップ「10μm」)複写を行なった結果、適正な電子写真プロセスが行なわれ鮮明な良好な画像が得られた。
ポリアミド酸混合溶液注入が完了した後、円筒型(13)の回転数を900rpmで回転させるこのときの遠心加速度Gの値は、56Gであること以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを得る。
この中間転写ベルトの表面抵抗率を測定したところ、表面抵抗率ρs=2×1010Ωであり、また、体積抵抗率は、ρv=2×109Ω・cmであった。
次に画像形成装置を用い、転写電界が12.5MV/mの状態のもとで(印加電圧「250V」及び転写ギャップ「10μm」)複写を行なった結果、適正な電子写真プロセスが行なわれ鮮明な良好な画像が得られた。
実施例1と同様にして中間転写ベルトを得る。
次に画像形成装置を用い、一次転写を行なう際の転写電界が30MV/m以外は実施例1と同様にして複写を行なった結果、適正な電子写真プロセスが行なわれず、すなわち中間転写ベルト上のカーボンの濃淡によりトナーの転写ムラが起こりトナー転写が適正におこなわれず良好な画像が得られなかった。
具体的には、中間転写ベルトに電荷を与えると共にトナーをも逆帯電させており(転写性の悪化)、さらに中間転写ベルトの電荷が高すぎるので中間転写ベルトが感光体に接近しただけでトナーが中間転写ベルトに飛び移っていた。
ポリアミド酸混合溶液注入が完了した後、円筒型13の回転数を100rpmで回転させるこのときの遠心加速度Gの値は、0.7Gであること以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを得る。
次に画像形成装置を用い、複写を行なった結果、中間転写ベルト上のカーボンの濃淡によりトナーの転写ムラが起こりトナー転写が適正におこなわれず良好な画像が得られなかった。
ポリアミド酸混合溶液注入が完了した後、円筒型13の回転数を4000rpmで回転させるこのときの遠心加速度Gの値は、1109Gであること以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを得る。
この中間転写ベルトの表面抵抗率を測定したところ、表面抵抗率ρs=6×108Ωであった。
一方、体積抵抗率はρv=9.0×108Ω・cmであった。
次に画像形成装置を用い、複写を行なった結果、適正な電子写真プロセスが行なわれず、すなわちトナーが像担持体から中間転写ベルトに転写される際に微小な転写チリが発生し良好な画像が得られなかった。
具体的には表面抵抗値が低くなることにより電荷がベルト内部で拡散してしまい転写率が低下する(外表面の分散状態が良好すぎるため適正な半導体領域をはずれた抵抗値となっている。)。
(外表面の分散状態が良好すぎるために表面抵抗値と体積抵抗値双方が低下)
2 基材の材料
3 基材の溶液
11 ポリアミド酸混合溶液
11a ポリアミド酸溶液層
12 注入管
13 円筒型
14 シート状ヒータ
15 回転
16 回転
17 イミド化型
18 炉
21 リング電極
22 円柱電極
23 アース電極
24 絶縁板
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 露光部
34B 現像装置
34C 現像装置
34M 現像装置
34Y 現像装置
35 感光体クリーナ
36 転写ベルトクリーナ
37 定着装置
38 一次転写ロール
39 二次転写ロール
51 中間転写ベルト
52 遠心成形型
53 中間転写ベルト断面図
54 中間転写ベルト外表面
55 ポリイミド領域
56 カーボンリッチ領域
A 樹脂単独層
B 混合樹脂層
R1 抵抗素子
C1 コンデンサ素子
C2 コンデンサ素子
R2 抵抗素子
Claims (12)
- 像担持体に接触して像担持体上に担持されている顕像が一次転写され、一次転写された顕像を転写材に二次転写するために用いられる無端状の電子写真用中間転写ベルトにおいて、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、遠心塗工時に遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成されていて、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする電子写真画像形成用中間転写ベルト。
- 前記基体中に分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)が1.3未満であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルト。
- ベルト外表面の表面抵抗率の値が、ρs=1.0×109〜1.0×1013Ωであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルト。
- ベルトの体積抵抗率の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真画像形成用中間転写ベルト。
- 遠心塗工時の回転遠心力が3.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法。
- 該基体中に分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)が1.3未満であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法。
- 像担持体に接触して像担持体上に担持されている顕像が一次転写され、一次転写された顕像を転写材に二次転写するために用いられる無端状の電子写真用中間転写ベルトの製造方法において、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、前記熱硬化性樹脂の原料とカーボンブラックを含む有機溶媒溶液を、遠心成形型を用いた遠心塗工によりベルト状に成形して熱硬化性樹脂を硬化する段階を含む製造方法で製造され、該製造時に該遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成され、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有するものであることを特徴とする電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法。
- ベルトの体積抵抗率(ρv)の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることを特徴とする請求項7に記載の電子写真画像形成用中間転写ベルトの製造方法。
- 像担持体に帯電処理する段階と、帯電された像担持体を像様に露光する段階と、像露光された像担持体を現像して顕像化する段階と、顕像化されたトナー像を中間転写ベルトに一次転写する段階と、中間転写ベルト上のトナー像を転写材に二次転写する段階と、該中間転写ベルトをクリーニングする段階とを含む電子写真画像形成方法であって、前記電子写真用中間転写ベルトは、ポリイミド、ポリアミドイミド等の熱硬化性樹脂を用いた基体と、該基体中に分散している導電性カーボンとを有する材料で成る単層構造であり、顕像を転写する一次転写にて転写電界強度が15MV/m未満に制御される条件下で使用されるものであり、かつ、遠心塗工時に遠心成形型の遠心回転数を可変することによりベルトが形成されていて、その遠心塗工時の回転遠心力が1.0Gから1000Gの範囲で制御された外表面を有することを特徴とする電子写真画像形成方法。
- 該基体中に分散分散される前記導電性カーボンの真比重(d2)と該基体に用いられる材料の比重(d1)の比(d2/d1)が1.3未満であることを特徴とする請求項9に記載の電子写真画像形成方法。
- 前記ベルトの外表面の表面抵抗率(ρs)の値が、ρs=1.0×109〜1.0×1013Ωであることを特徴とする請求項9に記載の電子写真画像形成方法。
- 前記ベルトの体積抵抗率(ρv)の値が、ρv=1.0×106〜1.0×1011Ω・cmであることを特徴とする請求項9に記載の電子写真画像形成方法。
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