JP2006111732A - 樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂とを含む。また、樹脂層は、上記に記載の樹脂組成物で構成されている。また、樹脂層付きキャリア材料は、上記に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されている。また、回路基板は、上記に記載の樹脂層を有している。
【選択図】 図2
Description
しかし、上述したような電気信号の高速化に対する要求には、エポキシ樹脂等は誘電率、誘電正接等の電気特性が不十分であり、近年要求されている電気信号の高速伝送化に対応することが困難となる場合がある。
また、本発明の目的は、電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化の少ない樹脂層および樹脂層付きキャリア材料を提供することにある。
また、本発明の目的は、電気信号の高速伝送化が可能な回路基板を提供することにある。
(1)回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記置換基は、シルセスキオキサン構造を有するものである上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記シルセスキオキサン構造は、多面体構造を形成しているものである上記(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記第1の環状オレフィン系樹脂は、下記式(I)で表される置換基を側鎖に有しているものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記第1のノルボルネン系樹脂は、下記式(II)で表されるノルボルネン型モノマーと、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有するノルボルネン型モノマーとの付加共重合体である上記(5)に記載の樹脂組成物。
(8)前記第2のノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーの付加共重合体である上記(7)に記載の樹脂組成物。
(9)前記第1の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜50重量%である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10)前記第2の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の50〜99重量%である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(11)前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位の含有量は、前記付加共重合体の5〜80モル%である上記(6)ないし(10)に記載の樹脂組成物。
(12)前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量よりも大きいものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(13)前記第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜500,000である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(14)前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、100,000〜700,000である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(15)上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
(16)上記(15)に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
(17)上記(15)に記載の樹脂層を有していることを特徴とする回路基板。
また、本発明によれば、電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化の少ない樹脂層および樹脂層付きキャリア材料を得ることができる。
また、本発明によれば、電気信号の高速伝送化が可能な回路基板を得ることができる。
また、式(I)ないし(III)のいずれかで表される置換基を側鎖に有している場合、弾性率を向上することができ、かつ線膨張係数を低下することもできる。
また、前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量が前記第1の環状オレフィン系樹脂のそれよりも大きい場合、特に樹脂層の成膜性を向上することができる。
本発明の樹脂組成物は、回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の樹脂層は、上記に記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の樹脂層付きキャリア材料は、上記に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の回路基板は、上記に記載の樹脂層を有していることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、回路基板の樹脂層を構成するものである。電気信号の高速伝送化が要求される回路基板に、電気特性が優れる樹脂層を提供するためである。
前記置換基は、特に限定されないが、シルセスオキサン構造を有していることが好ましく、特に前記シルセスオキサン構造が多面体構造(籠型構造)を形成していることが好ましい。これにより、特に力学特性、例えば弾性率や膨張係数を向上することができる。
前記置換基の具体例としては、例えばヘテロレプティックPOSS [(RSiO1.5)7(XSiO1.0)1]Σ8(下記式I)、官能化ヘテロレプティックPOSS [(RSiO1.5)4(RXSiO1.5)3]Σ7(下記式III)、官能化ヘテロレプティックPOSS [(RSiO1.5)4(RXSiO1.0)2(RX'SiO1.0)1]Σ7(下記式IV)等が挙げられる。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル等の公知の金属触媒が挙げられる。
一般的にはラジカル重合は、ラジカル開始剤の存在下で温度を50〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素等が挙げられる。
このような主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1のノルボルネン系樹脂は、特に限定されないが、側鎖に前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位と、下記式(II)で表されるノルボルネン型モノマーとの付加共重合体であることが特に好ましい。
前記第2の環状オレフィン系樹脂としては、上述した第1の環状オレフィン系樹脂を構成する環状オレフィン系樹脂を用いることができる。
例えば環状オレフィンモノマーの(共)重合体、環状オレフィンモノマーとα−オレフィン類等の共重合可能な他のモノマーとの共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物等が挙げられる。これらの公知の重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とが挙げられる。このうち、ノルボルネン型モノマーを重合(特に、付加(共)重合)することによって得られたポリマーが好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
以下、第2のノルボルネン系樹脂について説明する。
前記第2のノルボルネン系樹脂は、特に限定されないが、下記式(V)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。これにより、線膨張係数を低下することができる。
前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、具体的には100,000〜700,000が好ましく、特に200,000〜500,000が好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、耐クラック性に特に優れる。前記重量平均分子量は、シクロヘキサンまたはトルエンを有機溶剤とするGPCで測定することができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカおよびガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカおよび溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウムおよびホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましい。これにより、特に樹脂層の誘電率を低くすることができる。前記シリカとしては、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラー、気相法により合成されたシリカフィラー、溶融シリカフィラー、結晶シリカフィラー等がある。特に、気相法により合成されたシリカフィラー、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラーが好ましい。
前記無機充填材の平均粒子径は、例えば動的光散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。
前記シランカップリング剤としては、例えば1分子中にアルコキシシリル基と、アルキル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基等の有機官能基を有するシラン化合物が挙げられる。具体的には、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン等のフェニル基を有するシラン、ブテニルトリエトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも混合して用いても良い。
図1は、上述の樹脂組成物で構成されている樹脂層3が、キャリア材料2の片面に形成されている樹脂層付きキャリア材料1を示す断面図である。
図2は、本発明の回路基板の一例を示す断面図である。
図2に示すように、回路基板10は、コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成されている。
コア基板5には、ドリル機で開口された開口部51が形成されている。また、コア基板5の両表面には導体回路52が形成されている。
開口部51の内部はメッキ処理されており、コア基板5の両表面の導体回路52は導通されている。
また、樹脂層3の両表面には、導体回路32が形成されている。
開口部31の内部はメッキ処理されており、導体回路52と、導体回路32とは導通されている。
また、キャリア材料2として金属層を用いた場合、該金属層を導体回路として加工することができる。
また、一層目の樹脂層3を加熱、半硬化させた樹脂層3上に、さらに一層または複数の樹脂層3を形成し、半硬化の樹脂層3を実用上問題ない程度に再度加熱硬化させることにより、樹脂層3間および樹脂層3と導体回路52との間の密着性を向上させることができる。この場合の半硬化の温度は、特に限定されないが、100〜250℃が好ましく、特に150〜200℃がより好ましい。
また、樹脂層3を形成後に、樹脂層3の表面にプラズマ処理を施すことで樹脂層3間および樹脂層3と導体回路52との間の密着力を向上させることができる。プラズマ処理のガスとしては、例えば酸素、アルゴン、フッ素、フッ化炭素、窒素等を一種もしくは複数種混合して用いることができる。前記プラズマ処理は、複数回実施しても良い。
次に、導体回路32を形成する。導体回路32の形成方法としては、公知の方法であるセミアディティブ法等で形成することができる。これらの方法により、回路基板を得ることができる。
(実施例1)
1.主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂の合成
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、Norbornenylethylethyl−POSS51.4g(0.075モル)(Hybrid Plastics LLC社製)、5−ブチル−2−ノルボルネン0.095g(0.025モル)、次いで、遷移金属触媒(η6−トルエンニッケルビス(パーフルオロフェニル)0.12g(1.00×10−3モル)、トルエン76.0gを封入した後、マグネチックスターラーで撹拌しながら、80℃/3時間反応させた。反応後、メタノール1.50kg中に再沈させ、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂(A)26.0gを得た。
得られた第1の環状オレフィン系樹脂をゲルパーメーション・クロマトグラフィ(GPC)測定より、ポリスチレン換算重量平均分子量1.05×105)であることを確認した。また、核磁気共鳴(NMR)測定より組成が、Norbornenylethylethyl−POSS/5−ブチル−2−ノルボルネンの組成が24/76(モル%)であることを確認した。
上述で得られた第1の環状オレフィン系樹脂(A)3.00g(30重量%)を、第2の環状オレフィン系樹脂としてブチルノルボルネン90モル%とトリエトキシシランノルボルネン10モル%との共重合体溶液(PROMERUS LLC社製アバトレルEPM、固形分22.3重量%、重量平均分子量3.05×105)31.82g(70重量%)に添加後、真空脱法混練撹拌装置を用いて、混合して樹脂ワニスを得た。
上記で得られた樹脂ワニスをダイコータ−で、キャリア材料であるポリエステルフィルム(T−100G−25、ダイヤホイルテキスト(株)社製、厚さ25μm)上に20μmの厚さで形成し、樹脂層付きキャリア材料を得た。
4.1 内層回路および樹脂層の形成
総厚さが0.3mmで銅箔厚さが12μmの両面銅張り積層板(住友ベークライト(株)製ELC−4781)をドリル機で開孔後、開口部に無電解めっきで上下銅箔間の導通を図った。そして、前記両面の銅箔をエッチングすることにより内層導体回路を両面に形成した。
次に内層導体回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製テックSO−G)をスプレー吹きつけすることにより粗化処理による凹凸形成を行い、上述で得られた樹脂層付きキャリア材料を、真空ラミネーターを使用して配線を埋め込み、200℃で60分間のベーキング処理を行い、樹脂層を形成した。
次に、UV−YAGレーザー装置(三菱電機(株)製ML605LDX)を用いてφ40μmの開口部(ブラインド・ヴィアホール)を形成し、デスミア処理(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザーシリーズ)を施した後、無電解銅めっき(上村工業(株)製スルカップPRX)を15分間行い、厚さ0.5μmの給電層を形成した。次に、この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成(株)製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク((株)トウワプロセス製)を使用して、位置合わせ、露光装置(ウシオ電機(株)製UX−1100SM−AJN01)により露光した。炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
第1の環状オレフィン系樹脂(A)と、第2の環状オレフィン系樹脂との混合比率を以下のようにした以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂3.0g(24重量%)と、第2の環状オレフィン系樹脂(アバトレルEPM溶液:固形分22.3重量%)41.9g(76重量%)とを用いた。
第1の環状オレフィン系樹脂(A)と、第2の環状オレフィン系樹脂との混合比率を以下のようにした以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂3.0g(50重量%)と、第2の環状オレフィン系樹脂(アバトレルEPM溶液:固形分22.3重量%)13.5g(50重量%)とを用いた。
第1の環状オレフィン系樹脂(A)と、第2の環状オレフィン系樹脂との混合比率を以下のようにした以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂3.0g(5重量%)と、第2の環状オレフィン系樹脂(アバトレルEPM溶液:固形分22.3重量%)255.6g(95重量%)とを用いた。
第1の環状オレフィン系樹脂として、以下のものを用いた以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂を合成する際に、Norbornenylethylethyl−POSS51.4gに変えて、Norbornenylethylcyclopentyl−POSS79.0gを用いて、第1の環状オレフィン系樹脂(B)28.3gを得た。
得られた第1の環状オレフィン系樹脂(B)をゲルパーメーション・クロマトグラフィ(GPC)測定より、ポリスチレン換算重量平均分子量4.80×105であることを確認した。また、核磁気共鳴(NMR)測定より組成が、Norbornenylethylcyclopentyl−POSS/5−ブチル−2−ノルボルネンの組成が24/76(モル%)であることを確認した。
第1の環状オレフィン系樹脂を合成する際に反応時間を30分として、第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量を変えて、第1の環状オレフィン系樹脂(C)を得た以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂(C)の重量平均分子量は、4.50×104であった(GPC測定より、ポリスチレン換算)。
また、NMR測定より組成が、Norbornenylethylcyclopentyl−POSS/5−ブチル−2−ノルボルネンの組成が26/74(モル%)であることを確認した。
第2の環状オレフィン系樹脂として、以下のものを用いて樹脂ワニスを得た以外は実施例1と同様にした。
第2の環状オレフィン系樹脂として米国特許5,468,819号に記載されている方法によって得られた第2の環状オレフィン系樹脂(D)(2−ノルボルネン99モル%とデシル−2−ノルボルネン1モル%、ポリスチレン換算重量平均分子量3.31×105)7.00gをトルエン溶液40.0gに溶解した。
第2の環状オレフィン系樹脂として、以下のものを用いて樹脂ワニスを得た以外は実施例1と同様にした。
第2の環状オレフィン系樹脂として米国特許5,468,819号に記載されている方法によって得られた第2の環状オレフィン系樹脂(E)(2−ノルボルネン76モル%とデシル−2−ノルボルネン24モル%、ポリスチレン換算重量平均分子量1.67×105)7.00gをトルエン溶液40.0gに溶解した。
第1の環状オレフィン系樹脂を用いずに、第2の環状オレフィン系樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様にした。
第2の環状オレフィン系樹脂を用いずに、第1の環状オレフィン系樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様にした。
得られた樹脂ワニスを実施例1と同様にして25μm厚PET基材(T−100G−25、ダイヤホイルテキスト(株)社製)上に塗布、乾燥したが、フィルムが割れ、フィルムを得ることが出来なかった。
1.誘電率および誘電正接の測定
樹脂層付きキャリア材料より、樹脂層を剥離して窒素中で220℃×1時間乾燥した。得られた20μm厚さのフィルムを2mm×80mmに切断し、円筒空洞共振機(アジレント・テクノロジー社製マイクロ波ネットワークアナライザ HP8510B)を用いた摂動法で誘電率および誘電正接の測定を行った(測定周波数を10GHzとした)。
電気信号の劣化は、トリプレートストリップライン共振器法を用いて伝送損失を測定した。(測定周波数を10GHzとした。)
耐熱性は、示差熱熱重量同時測定装置で評価した(重量減少率5%の温度)。
耐クラック性は、−55℃〜125℃の温度サイクル試験を1,000回行い、回路基板の表面および断面観察を行い、樹脂層のクラックの有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:温度サイクル試験で500回を超え、1,000回まで樹脂層にクラックが無い
○:温度サイクル試験で200回を超えて、500回まで樹脂層にクラックが無い
△:温度サイクル試験で50回を超えて、200回まで樹脂層にクラックが無い
×:温度サイクル試験で50回までに、樹脂層にクラックが生じる
密着性は、碁盤目試験(JIS K5400−1900)で評価した。
◎:切り傷一本毎が、細くて両側が滑らかで、交点と正方形一目一目にはがれがない。
○:切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
△:切り傷の両側と交点にはがれがあり、欠損部の面積は5%以上
×:はがれの面積が65%以上
また、実施例1〜8は、耐熱性にも優れていた。
また、実施例1〜5、7および8は、耐クラック性が特に優れていた。
また、実施例1〜3、5および6は、密着性が特に優れていた。
本発明の樹脂組成物を回路基板の層間絶縁膜として使用する際、回路基板上へ塗布もしくはキャリアフィルム上に塗布された樹脂層付きキャリアフィルムをプレスするなどの方法が考えられるが、層間絶縁層における厚みの均一性が求められるため、キャリアフィルムに樹脂層を形成し、該樹脂層付きキャリアフィルムをプレスにより埋め込むほうが好ましい。
2 キャリア材料
3 樹脂層
31 開口部
32 導体回路
5 コア基板
51 開口部
52 導体回路
10 回路基板
Claims (17)
- 回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、
主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。 - 前記置換基は、シルセスキオキサン構造を有するものである請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記シルセスキオキサン構造は、多面体構造を形成しているものである請求項2に記載の樹脂組成物。
- 前記第1の環状オレフィン系樹脂は、第1のノルボルネン系樹脂を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記第2の環状オレフィン系樹脂は、第2のノルボルネン系樹脂を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記第2のノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーの付加共重合体である請求項7に記載の樹脂組成物。
- 前記第1の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜50重量%である請求項1ないし8のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記第2の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の50〜99重量%である請求項1ないし9のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位の含有量は、前記付加共重合体の5〜80モル%である請求項6ないし10に記載の樹脂組成物。
- 前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量よりも大きいものである請求項1ないし11のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜500,000である請求項1ないし12のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、100,000〜700,000である請求項1ないし13のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1ないし14のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
- 請求項15に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
- 請求項15に記載の樹脂層を有していることを特徴とする回路基板。
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