JP2006111732A - 樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、樹脂層とした場合に電気特性に優れ、電気信号の劣化の少ない樹脂組成物を提供すること。また、電気特性に優れ、電気信号の劣化の少ない樹脂層および樹脂層付きキャリア材料を提供すること。また、電気信号の高速伝送化が可能な回路基板を提供すること。
【解決手段】 本発明の樹脂組成物は、回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂とを含む。また、樹脂層は、上記に記載の樹脂組成物で構成されている。また、樹脂層付きキャリア材料は、上記に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されている。また、回路基板は、上記に記載の樹脂層を有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板に関する。
近年の電子機器の高機能化および軽薄短小化の要求に伴い、回路基板等の電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできている。このような電子部品の高密度化に伴い、電気信号も高速伝送化が要求されている。
しかし、このように電気信号の高速伝送化に対しては、回路基板を構成する導体部分および絶縁層からの電気損失を低減させる必要がある。特に、絶縁層に起因する電気信号の損失は、電気信号の周波数の増大に伴い、顕著に増加し、GHz帯においては、電気信号が劣化する主要因となる。
回路基板の絶縁層を構成する材料としては、主としてエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂が用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
しかし、上述したような電気信号の高速化に対する要求には、エポキシ樹脂等は誘電率、誘電正接等の電気特性が不十分であり、近年要求されている電気信号の高速伝送化に対応することが困難となる場合がある。
特開平5−121396号公報
本発明の目的は、回路基板の樹脂層とした場合に電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化の少ない樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化の少ない樹脂層および樹脂層付きキャリア材料を提供することにある。
また、本発明の目的は、電気信号の高速伝送化が可能な回路基板を提供することにある。
このような目的は、以下(1)〜(17)に記載の本発明により達成される。
(1)回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記置換基は、シルセスキオキサン構造を有するものである上記(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記シルセスキオキサン構造は、多面体構造を形成しているものである上記(2)に記載の樹脂組成物。
(4)前記第1の環状オレフィン系樹脂は、下記式(I)で表される置換基を側鎖に有しているものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
Figure 2006111732
(5)前記第1の環状オレフィン系樹脂は、第1のノルボルネン系樹脂を含むものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(6)前記第1のノルボルネン系樹脂は、下記式(II)で表されるノルボルネン型モノマーと、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有するノルボルネン型モノマーとの付加共重合体である上記(5)に記載の樹脂組成物。
Figure 2006111732
(7)前記第2の環状オレフィン系樹脂は、第2のノルボルネン系樹脂を含むものである上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(8)前記第2のノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーの付加共重合体である上記(7)に記載の樹脂組成物。
(9)前記第1の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜50重量%である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(10)前記第2の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の50〜99重量%である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(11)前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位の含有量は、前記付加共重合体の5〜80モル%である上記(6)ないし(10)に記載の樹脂組成物。
(12)前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量よりも大きいものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(13)前記第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜500,000である上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(14)前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、100,000〜700,000である上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の樹脂組成物。
(15)上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
(16)上記(15)に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
(17)上記(15)に記載の樹脂層を有していることを特徴とする回路基板。
本発明によれば、回路基板の樹脂層とした場合に電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化が少ない樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明によれば、電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化の少ない樹脂層および樹脂層付きキャリア材料を得ることができる。
また、本発明によれば、電気信号の高速伝送化が可能な回路基板を得ることができる。
また、式(I)ないし(III)のいずれかで表される置換基を側鎖に有している場合、弾性率を向上することができ、かつ線膨張係数を低下することもできる。
また、前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量が前記第1の環状オレフィン系樹脂のそれよりも大きい場合、特に樹脂層の成膜性を向上することができる。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂層、樹脂層付きキャリア材料および回路基板について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の樹脂層は、上記に記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする。
また、本発明の樹脂層付きキャリア材料は、上記に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする。
また、本発明の回路基板は、上記に記載の樹脂層を有していることを特徴とする。
まず、樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、回路基板の樹脂層を構成するものである。電気信号の高速伝送化が要求される回路基板に、電気特性が優れる樹脂層を提供するためである。
前記樹脂組成物は、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする。これにより、優れた電気特性(低誘電率および低誘電正接)を維持しながら、基板と前記樹脂組成物で構成される樹脂層との密着性を向上することができる。
前記置換基は、特に限定されないが、シルセスオキサン構造を有していることが好ましく、特に前記シルセスオキサン構造が多面体構造(籠型構造)を形成していることが好ましい。これにより、特に力学特性、例えば弾性率や膨張係数を向上することができる。
前記置換基の具体例としては、例えばヘテロレプティックPOSS [(RSiO1.5)7(XSiO1.0)1]Σ8(下記式I)、官能化ヘテロレプティックPOSS [(RSiO1.5)4(RXSiO1.5)3]Σ7(下記式III)、官能化ヘテロレプティックPOSS [(RSiO1.5)4(RXSiO1.0)2(RX'SiO1.0)1]Σ7(下記式IV)等が挙げられる。
Figure 2006111732
Figure 2006111732
Figure 2006111732
前記第1の環状オレフィン系樹脂は、前記置換基の中でも具体的に下記式(I)で表されるものを側鎖に有していることが好ましい。これにより、特に力学特性、例えば弾性率や膨張係数を向上することができる。
Figure 2006111732
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびイソブチル基等が挙げられる。前記シクロアルキル基としては、例えばシクロヘキシル基、シクロペンチル基およびメチルシクロヘキシル基等の(C3−C15)シクロアルキル基が挙げられる。前記アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基およびトリエトキシシリルエチル基等のアルコキシシリル基等が挙げられる。
前記第1の環状オレフィン系樹脂を構成する環状オレフィンモノマーとしては、例えばシクロヘキセン、シクロオクテン等の単環体、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、トリシクロペンタジエン、ジヒドロトリシクロペンタジエン、テトラシクロペンタジエン、ジヒドロテトラシクロペンタジエン等の多環体が挙げられる。さらに、後述するように、これらの環状オレフィンモノマーに置換基(官能基)が結合したモノマーも用いることができる。
このような環状オレフィンモノマーの重合体には、例えば環状オレフィンモノマーの(共)重合体、環状オレフィンモノマーとα−オレフィン類等の共重合可能な他のモノマーとの共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物等が挙げられる。これらの公知の重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とが挙げられる。このうち、ノルボルネン型モノマーを重合(特に、付加(共)重合)することによって得られたポリマーが好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
前記第1の環状オレフィン系樹脂の付加重合体としては、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。
前記第1の環状オレフィン系樹脂の開環重合体としては、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、又は他のモノマーとの開環共重合体、及び必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂が挙げられる。これらの樹脂は公知のすべての重合方法で得ることができる。上記のうち、(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合させて得られる付加(共)重合体が好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
前記第1の環状オレフィン系樹脂の付加重合体は、金属触媒による配位重合、又はラジカル重合によって得られる。このうち、配位重合においては、モノマーを、遷移金属触媒存在下、溶液中で重合することによってポリマーが得られる(NiCOLE R. GROVE et al. Journal of Polymer Science: part B, Polymer Physics, Vol.37, 3003-3010(1999))。
配位重合に用いる金属触媒として代表的なニッケルと白金触媒は、PCT WO 9733198とPCT WO 00/20472に述べられている。配位重合用金属触媒の例としては、(トルエン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(メシレン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、(ベンゼン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(テトラヒドロ)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(エチルアセテート)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル、ビス(ジオキサン)ビス(パーフルオロフェニル)ニッケル等の公知の金属触媒が挙げられる。
ラジカル重合技術については、Encyclopedia of Polymer Science, John Wiley & Sons, 13, 708(1988)に述べられている。
一般的にはラジカル重合は、ラジカル開始剤の存在下で温度を50〜150℃に上げ、モノマーを溶液中で反応させる。ラジカル開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウリル、アゾビスイソカプトロニトリル、アゾビスイソレロニトリル、t−ブチル過酸化水素等が挙げられる。
前記第1の環状オレフィン系樹脂の開環重合体は、公知の開環重合法により、チタンやタングステン化合物を触媒として、少なくとも一種以上のノルボルネン型モノマーを開環(共)重合して開環(共)重合体を製造し、次いで必要に応じて通常の水素添加方法により前記開環(共)重合体中の炭素−炭素二重結合を水素添加して熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂を製造することによって得られる。
このような第1の環状オレフィン系樹脂を重合するのに適当な溶媒としては、例えば炭化水素や芳香族溶媒等が挙げられる。炭化水素溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンやシクロヘキサン等であるがこれに限定されない。芳香族溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレン等であるがこれに限定されない。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルアセテート、エステル、ラクトン、ケトン、アミドも使用できる。これら溶剤を単独や混合しても重合溶媒として使用できる。
前記第1の環状オレフィン系樹脂の分子量は、開始剤とモノマーの比を変えたり、重合時間を変えたりすることにより制御することができる。上記の配位重合用が用いられる場合、米国特許No.6,136,499に開示されるように、分子量を連鎖移動触媒の使用により制御することができる。この発明においては、エチレン、プロピレン、1−ヘキサン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィンが分子量制御するのに適当である。
このような第1の環状オレフィン系樹脂の中でもノルボルネン系樹脂が好ましく用いられ、特にノルボルネン系樹脂の付加(共)重合体が好ましい。これにより、得られる樹脂層の電気特性(例えば誘電率が低い)が特に優れる。すなわち前記樹脂組成物は、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1のノルボルネン系樹脂を含むことが好ましい。これにより、電気信号の劣化を防止することができることに加え、耐熱性にも優れることができる。前記置換基には、上述したものと同様のものを用いることができる。
以下、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1のノルボルネン系樹脂について、さらに詳細に説明する。
このような主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1のノルボルネン系樹脂は、特に限定されないが、側鎖に前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位と、下記式(II)で表されるノルボルネン型モノマーとの付加共重合体であることが特に好ましい。
Figure 2006111732
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基およびイソブチル基等の側鎖を有している(C1−C20)アルキル基が挙げられる。前記アルケニル基としては、例えば(C3−C10)アルケニル基等が挙げられる。前記アルキニル基としては、例えばエチニル基、プロペニル基、ヘキセイニル基、オクテニル基およびヘプテニル基等の(C2−C20)アルキニル基等が挙げられる。前記アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、ナフチル基、およびフェニルエチニル基等の(C6−C40)アリール基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、例えばベンジル基、(C7−C15)アラルキル基等が挙げられる。前記エステル基としては、例えばメチルエステル基、エチルエステル基、n−ブチルエステル基、t−ブチルエステル基およびn−プロピルエステル基等のエステル基等が挙げられる。前記(メタ)アクリル基としては、例えばメタクリロキシメチル基等の(メタ)アクリル基等が挙げられる。前記エポキシ基としては、例えばグリシジルエーテル基等のエポキシ基等が挙げられる。
前記付加共重合体中の前記側鎖に前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位の含有量は、特に限定されないが、前記付加共重合体全体の5〜80モル%が好ましく、特に20〜70モル%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に密着性および耐熱性のバランスに優れる。
さて、このような第1の環状オレフィン系樹脂の前記置換基の含有量は、前記第1の環状オレフィン系樹脂全体の1〜80モル%が好ましく、特に5〜75モル%が好ましい。含有量が前記下限値未満であると密着性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると電気特性を向上する効果が低下する場合がある。
前記置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、10,000〜500,000が好ましく、特に50,000〜300,000が好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、特にクラック耐性に優れる。前記重量平均分子量は、例えばシクロヘキサンまたはトルエンを有機溶剤とするGPCで測定することができる。
前記置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂の分子量分布[重量平均分子量:Mwと、数平均分子量:Mnとの比(Mw/Mn)]は、特に限定されないが、2.0〜6.0が好ましく、特に3.0〜5.0が好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、特に電気特性に優れる。前記分子量分布を測定する方法としては、例えばシクロヘキサンまたはトルエンを有機溶剤とするGPCで測定することができる。
前記置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の1〜50重量%が好ましく、特に10〜45重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に電気特性に優れる。
前記樹脂組成物は、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂を含むことを特徴とする。これにより、樹脂層の成膜性を向上することができる。
前記第2の環状オレフィン系樹脂としては、上述した第1の環状オレフィン系樹脂を構成する環状オレフィン系樹脂を用いることができる。
例えば環状オレフィンモノマーの(共)重合体、環状オレフィンモノマーとα−オレフィン類等の共重合可能な他のモノマーとの共重合体、およびこれらの共重合体の水素添加物等が挙げられる。これらの公知の重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体等が挙げられる。これら環状オレフィン系樹脂は、公知の重合法により製造することが可能であり、その重合方法には付加重合法と開環重合法とが挙げられる。このうち、ノルボルネン型モノマーを重合(特に、付加(共)重合)することによって得られたポリマーが好ましいが、本発明はなんらこれに限定されるものではない。
前記第2の環状オレフィン系樹脂を重合する方法、構成するモノマーとしては、前記第1の環状オレフィン系樹脂と同様の方法およびモノマーを使用することができる。
これら第2の環状オレフィン系樹脂の中でもノルボルネン系樹脂の付加(共)重合体が好ましい。
以下、第2のノルボルネン系樹脂について説明する。
前記第2のノルボルネン系樹脂は、特に限定されないが、下記式(V)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。これにより、線膨張係数を低下することができる。
Figure 2006111732
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられ、前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブチニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、前記アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基等が挙げられ、前記環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、前記アラルキル基の具体例としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。
前記第2のノルボルネン系樹脂は、さらに下記式(VI)で表される繰り返し単位を有している付加共重合体であることが好ましい。これにより、密着性を向上することができる。
Figure 2006111732
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられ、前記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ブチニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、前記アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基等が挙げられ、前記環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられ、前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられ、前記アラルキル基の具体例としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、前記シリル基の具体例としては、シリル基や、メチル基およびエチル基等のアルキル基、トリメトキシ基およびトリエトキシ基等のアルコキシ基、フェニル基等の芳香族基等の置換基を有していても良いシリル基が挙げられるが、本発明は何らこれらに限定されない。
前記付加共重合体における下記式(V)で表される繰り返し単位の含有量は、特に限定されないが、前記付加共重合体全体の50〜95重量%が好ましく、特に60〜90重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に誘電特性に優れる。
前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、前記側鎖に置換基を有する第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量よりも大きいことが好ましい。これにより、耐クラック性を向上することができる。
前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、具体的には100,000〜700,000が好ましく、特に200,000〜500,000が好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、耐クラック性に特に優れる。前記重量平均分子量は、シクロヘキサンまたはトルエンを有機溶剤とするGPCで測定することができる。
前記第2の環状オレフィン系樹脂の分子量分布[重量平均分子量:Mwと、数平均分子量:Mnとの比(Mw/Mn)]は、特に限定されないが、2.0〜5.0が好ましく、特に2.0〜3.0が好ましい。分子量分布が前記範囲内であると、特に電気特性に優れる。前記分子量分布を測定する方法としては、例えばシクロヘキサンまたはトルエンを有機溶剤とするGPCで測定することができる。
前記第2の環状オレフィン系樹脂の含有量は、特に限定されないが、前記樹脂組成物全体の50〜99重量%が好ましく、特に30〜80重量%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、特に成膜性に優れる。
前記樹脂組成物は、本発明の目的に反しない範囲で無機充填材、相溶化剤、レベリング剤、消泡剤、界面活性剤、有機フィラー、酸化防止剤等の他の添加剤を含有することができる。これら添加剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
前記無機充填材としては、例えばタルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカおよびガラス等のケイ酸塩、酸化チタン、アルミナ、シリカおよび溶融シリカ等の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよびハイドロタルサイト等の炭酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウム等の水酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウムおよび亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウムおよびホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、窒化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化ケイ素等の窒化物等を挙げることができる。これらの中でもシリカが好ましい。これにより、特に樹脂層の誘電率を低くすることができる。前記シリカとしては、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラー、気相法により合成されたシリカフィラー、溶融シリカフィラー、結晶シリカフィラー等がある。特に、気相法により合成されたシリカフィラー、ゾル−ゲル法により合成されたシリカフィラーが好ましい。
前記無機充填材の平均粒子径は、特に限定されないが、800nm以下が好ましく、特に600nm以下が好ましく、より100nm以下が好ましく、最も1〜50nmが好ましい。平均粒子径が前記上限値を超えると数10μm程度の厚さの樹脂層を平滑に成膜するのが困難となる場合があり、前記下限値未満であると低線膨張係数とする効果が低下する場合がある。
前記無機充填材の平均粒子径は、例えば動的光散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。
前記無機充填材の含有量は、特に限定されないが、前記環状オレフィン系樹脂(第1の環状オレフィン系樹脂および第2の環状オレフィン系樹脂の合計)100重量部に対し、5〜200重量部が好ましく、特に10〜150重量部が好ましく、最も15〜60重量部が好ましい。含有量が前記下限値未満であると熱膨張係数を低下する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると誘電率の増加やフィルム特性が低下する場合がある。
前記無機充填材は、特に限定されないが、シランカップリング剤で表面処理されていることが好ましい。これにより、フィラーの分散性を向上することができる。
前記シランカップリング剤としては、例えば1分子中にアルコキシシリル基と、アルキル基、エポキシ基、ビニル基、フェニル基等の有機官能基を有するシラン化合物が挙げられる。具体的には、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン等のアルキル基を有するシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン等のフェニル基を有するシラン、ブテニルトリエトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のメタクリル基を有するシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基を有するシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも混合して用いても良い。
前記シランカップリング剤の添加量は、特に限定されないが、前記無機充填材100重量部に対し0.01〜30重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜5.0重量部が好ましい。
次に、樹脂層および樹脂層付きキャリア材料について説明する。
図1は、上述の樹脂組成物で構成されている樹脂層3が、キャリア材料2の片面に形成されている樹脂層付きキャリア材料1を示す断面図である。
樹脂層3は、上述した樹脂組成物で構成されている。これにより、低誘電率等の電気特性に優れ、かつ電気信号の劣化も少ない樹脂層を得ることができる。
樹脂層3の厚さは、特に限定されないが、0.1〜60μmが好ましく、特に1〜40μmが好ましい。樹脂層3の厚さが前記下限値未満であると絶縁信頼性を向上する効果が低下する場合があり、前記上限値を超えると回路基板を薄膜化するのが困難になる場合がある。
樹脂層3を製造する方法としては、例えば第1の環状オレフィン系樹脂と、第2の環状オレフィン系樹脂とを、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式等の各種混合機を用いて混合して得られる樹脂ワニスをキャリア材料に塗布する方法により得ることができる。前記塗布する方法としては例えば、ロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターを用いる方法、スプレーにより噴霧する方法、デッィピングにより浸漬する方法、印刷機、真空印刷機およびディルペンサーを用いる方法等が挙げられる。これらの中でもダイコーターを用いる方法が好ましい。これにより、所定の厚さを有する樹脂層3を安定して生産できる。また、樹脂層3をダミー基材等に塗布した後、ドライフィルムの状態で得ることもできる。
前記溶媒としては、前記環状オレフィン系樹脂を溶解することが可能であればよく、例えば脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エチルアセテートやエステル系、ラクトン系、アミド系溶媒等が挙げられ、中でも、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒およびエーテル系溶媒が好ましい。前記炭化水素溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタンやシクロヘキサン等が挙げられ、前記芳香族溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンやメシチレン等が挙げられ、前記ケトン系溶媒としては、例えばメチルエチルケトンやシクロヘキサノン等が挙げられ、前記エーテル系溶媒としては、例えばジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等が挙げられる。これら溶剤を単独や混合しても溶媒として使用できる。これらの内、特に好ましくは、1,3,5−トリメチルベンゼンである。
キャリア材料2としては、例えば銅または銅系合金、アルミまたはアルミ系合金等で構成される金属箔、ポリエチレン、フッ素系樹脂、(芳香族)ポリイミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等で構成される樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でもポリエステル樹脂で構成される樹脂フィルムが最も好ましい。これにより、樹脂層3からキャリア材料2を適度な強度で剥離することが容易となる。さらに、反応性希釈剤に対する安定性にも優れている。したがって、反応性希釈剤および溶剤に溶解している樹脂組成物成分がキャリア材料2にマイグレーションするのを防止することもできる。
キャリア材料2の厚さは、特に限定されないが、10〜200μmが好ましく、特に20〜100μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に回路上での樹脂層3の平坦性に優れる。
樹脂層付きキャリア材料1を製造する方法としては、例えば上述の樹脂組成物を溶剤に溶解したものをキャリア材料2に1〜100μm程度の厚さで塗布し、その塗布層を例えば80〜200℃で20秒〜30分間乾燥する方法が挙げられる。このようにして、樹脂層3がキャリア材料2上に積層された樹脂層付きキャリア材料1を得ることができる。この際、残留溶媒量が全体の0.5重量%以下とすることが好ましい。前記樹脂組成物の加熱硬化温度は、特に限定されないが、150〜300℃が好ましく、特に170〜250℃が好ましい。
次に、回路基板について説明する。
図2は、本発明の回路基板の一例を示す断面図である。
図2に示すように、回路基板10は、コア基板5と、コア基板5の両面に設けられた樹脂層3とで構成されている。
コア基板5には、ドリル機で開口された開口部51が形成されている。また、コア基板5の両表面には導体回路52が形成されている。
開口部51の内部はメッキ処理されており、コア基板5の両表面の導体回路52は導通されている。
導体回路52を覆うようにコア基板5の両面に、樹脂層3が設けられている。樹脂層3には、レーザー加工により形成された開口部31が形成されている。
また、樹脂層3の両表面には、導体回路32が形成されている。
開口部31の内部はメッキ処理されており、導体回路52と、導体回路32とは導通されている。
このような回路基板10を製造する方法としては、例えばコア基板(例えばFR−4の両面銅箔)5をドリル機で開孔して開口部51を設けた後、無電解めっきにより、開口部51の内部にメッキ処理を行い、コア基板5の両面の導通を図る。そして、前記銅箔をエッチングすることにより導体回路52を形成する。
導体回路52の材質としては、この製造方法に適するものであれば、どのようなものでも良いが、導体回路の形成においてエッチングや剥離等の方法により除去可能であることが好ましく、前記エッチングにおいては、これに使用される薬液等に耐性を有するものが好ましい。そのような導体回路52の材質としては、例えば、銅、銅合金、42合金およびニッケル等が挙げられる。特に、銅箔、銅板および銅合金板は、電解めっき品や圧延品を選択できるだけでなく、様々な厚みのものを容易に入手できるため、導体回路52として使用するのに最も好ましい。
次に、導体回路52に、樹脂層3を形成する。樹脂層3を形成する方法としては、上述の樹脂層付きキャリア材料1をプレスする方法、樹脂層付きキャリア材料1を真空プレス、常圧ラミネーター、真空ラミネータ−およびベクレル式積層装置等を用いて積層して樹脂層3を形成する方法が挙げられる。
また、キャリア材料2として金属層を用いた場合、該金属層を導体回路として加工することができる。
キャリア材料2を剥離した後、形成した樹脂層3を加熱・硬化する。前記加熱・硬化する温度は、特に限定されないが、150〜300℃が好ましく、特に160〜250℃が好ましい。
また、一層目の樹脂層3を加熱、半硬化させた樹脂層3上に、さらに一層または複数の樹脂層3を形成し、半硬化の樹脂層3を実用上問題ない程度に再度加熱硬化させることにより、樹脂層3間および樹脂層3と導体回路52との間の密着性を向上させることができる。この場合の半硬化の温度は、特に限定されないが、100〜250℃が好ましく、特に150〜200℃がより好ましい。
また、樹脂層3を形成後に、樹脂層3の表面にプラズマ処理を施すことで樹脂層3間および樹脂層3と導体回路52との間の密着力を向上させることができる。プラズマ処理のガスとしては、例えば酸素、アルゴン、フッ素、フッ化炭素、窒素等を一種もしくは複数種混合して用いることができる。前記プラズマ処理は、複数回実施しても良い。
次に、樹脂層3に、レーザーを照射して、開口部31を形成する。前記レーザーとしては、例えばエキシマレーザー、UVレーザーおよび炭酸ガスレーザー等が使用できる。前記レーザーによる開口部31の形成は、樹脂層3の材質が感光性・非感光性に関係なく、微細な開口部31を容易に形成することができる。したがって、樹脂層3に微細加工が必要とされる場合に、特に好ましい。そして、無電解めっきにより、開口部31にメッキ処理を行う。
次に、導体回路32を形成する。導体回路32の形成方法としては、公知の方法であるセミアディティブ法等で形成することができる。これらの方法により、回路基板を得ることができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
1.主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂の合成
重合系の雰囲気を不活性ガスの窒素で十分に満たした反応容器中に、Norbornenylethylethyl−POSS51.4g(0.075モル)(Hybrid Plastics LLC社製)、5−ブチル−2−ノルボルネン0.095g(0.025モル)、次いで、遷移金属触媒(η−トルエンニッケルビス(パーフルオロフェニル)0.12g(1.00×10−3モル)、トルエン76.0gを封入した後、マグネチックスターラーで撹拌しながら、80℃/3時間反応させた。反応後、メタノール1.50kg中に再沈させ、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂(A)26.0gを得た。
得られた第1の環状オレフィン系樹脂をゲルパーメーション・クロマトグラフィ(GPC)測定より、ポリスチレン換算重量平均分子量1.05×10)であることを確認した。また、核磁気共鳴(NMR)測定より組成が、Norbornenylethylethyl−POSS/5−ブチル−2−ノルボルネンの組成が24/76(モル%)であることを確認した。
2.樹脂ワニスの調製
上述で得られた第1の環状オレフィン系樹脂(A)3.00g(30重量%)を、第2の環状オレフィン系樹脂としてブチルノルボルネン90モル%とトリエトキシシランノルボルネン10モル%との共重合体溶液(PROMERUS LLC社製アバトレルEPM、固形分22.3重量%、重量平均分子量3.05×10)31.82g(70重量%)に添加後、真空脱法混練撹拌装置を用いて、混合して樹脂ワニスを得た。
3.樹脂層付きキャリア材料の作製
上記で得られた樹脂ワニスをダイコータ−で、キャリア材料であるポリエステルフィルム(T−100G−25、ダイヤホイルテキスト(株)社製、厚さ25μm)上に20μmの厚さで形成し、樹脂層付きキャリア材料を得た。
4.回路基板の作製
4.1 内層回路および樹脂層の形成
総厚さが0.3mmで銅箔厚さが12μmの両面銅張り積層板(住友ベークライト(株)製ELC−4781)をドリル機で開孔後、開口部に無電解めっきで上下銅箔間の導通を図った。そして、前記両面の銅箔をエッチングすることにより内層導体回路を両面に形成した。
次に内層導体回路に過酸化水素水と硫酸を主成分とする薬液(旭電化工業(株)製テックSO−G)をスプレー吹きつけすることにより粗化処理による凹凸形成を行い、上述で得られた樹脂層付きキャリア材料を、真空ラミネーターを使用して配線を埋め込み、200℃で60分間のベーキング処理を行い、樹脂層を形成した。
4.2 レーザー加工および外層回路の形成
次に、UV−YAGレーザー装置(三菱電機(株)製ML605LDX)を用いてφ40μmの開口部(ブラインド・ヴィアホール)を形成し、デスミア処理(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザーシリーズ)を施した後、無電解銅めっき(上村工業(株)製スルカップPRX)を15分間行い、厚さ0.5μmの給電層を形成した。次に、この給電層表面に、厚さ25μmの紫外線感光性ドライフィルム(旭化成(株)製AQ−2558)をホットロールラミネーターにより貼り合わせ、最小線幅/線間が20/20μmのパターンが描画されたクロム蒸着マスク((株)トウワプロセス製)を使用して、位置合わせ、露光装置(ウシオ電機(株)製UX−1100SM−AJN01)により露光した。炭酸ソーダ水溶液にて現像し、めっきレジストを形成した。
次に、給電層を電極として電解銅めっき(奥野製薬(株)81−HL)処理を3A/dm2、30分間行って、厚さ約20μmの銅配線を形成した。ここで2段階剥離機を用いて、前記めっきレジストを剥離した。各薬液は、1段階目のアルカリ水溶液層にはモノエタノールアミン溶液(三菱瓦斯化学(株)製R−100)、2段階目の酸化性樹脂エッチング剤には過マンガン酸カリウムと水酸化ナトリウムを主成分とする水溶液(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザー9275、9276)、中和には酸性アミン水溶液(日本マクダーミッド(株)製マキュダイザー9279)をそれぞれ用いた。
次に、給電層を過硫酸アンモニウム水溶液(メルテックス(株)製AD−485)に浸漬処理することで、エッチング除去し、配線間の絶縁を確保した。最後に、回路表面にドライフィルムタイプのソルダーレジスト(住友ベークライト(株)製CFP−1121)を真空ラミネーターにて回路埋め込みを行いながら形成し、最終的に図2に示す構造の回路基板を得た。
(実施例2)
第1の環状オレフィン系樹脂(A)と、第2の環状オレフィン系樹脂との混合比率を以下のようにした以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂3.0g(24重量%)と、第2の環状オレフィン系樹脂(アバトレルEPM溶液:固形分22.3重量%)41.9g(76重量%)とを用いた。
(実施例3)
第1の環状オレフィン系樹脂(A)と、第2の環状オレフィン系樹脂との混合比率を以下のようにした以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂3.0g(50重量%)と、第2の環状オレフィン系樹脂(アバトレルEPM溶液:固形分22.3重量%)13.5g(50重量%)とを用いた。
(実施例4)
第1の環状オレフィン系樹脂(A)と、第2の環状オレフィン系樹脂との混合比率を以下のようにした以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂3.0g(5重量%)と、第2の環状オレフィン系樹脂(アバトレルEPM溶液:固形分22.3重量%)255.6g(95重量%)とを用いた。
(実施例5)
第1の環状オレフィン系樹脂として、以下のものを用いた以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂を合成する際に、Norbornenylethylethyl−POSS51.4gに変えて、Norbornenylethylcyclopentyl−POSS79.0gを用いて、第1の環状オレフィン系樹脂(B)28.3gを得た。
得られた第1の環状オレフィン系樹脂(B)をゲルパーメーション・クロマトグラフィ(GPC)測定より、ポリスチレン換算重量平均分子量4.80×10であることを確認した。また、核磁気共鳴(NMR)測定より組成が、Norbornenylethylcyclopentyl−POSS/5−ブチル−2−ノルボルネンの組成が24/76(モル%)であることを確認した。
(実施例6)
第1の環状オレフィン系樹脂を合成する際に反応時間を30分として、第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量を変えて、第1の環状オレフィン系樹脂(C)を得た以外は実施例1と同様にした。
第1の環状オレフィン系樹脂(C)の重量平均分子量は、4.50×10であった(GPC測定より、ポリスチレン換算)。
また、NMR測定より組成が、Norbornenylethylcyclopentyl−POSS/5−ブチル−2−ノルボルネンの組成が26/74(モル%)であることを確認した。
(実施例7)
第2の環状オレフィン系樹脂として、以下のものを用いて樹脂ワニスを得た以外は実施例1と同様にした。
第2の環状オレフィン系樹脂として米国特許5,468,819号に記載されている方法によって得られた第2の環状オレフィン系樹脂(D)(2−ノルボルネン99モル%とデシル−2−ノルボルネン1モル%、ポリスチレン換算重量平均分子量3.31×10)7.00gをトルエン溶液40.0gに溶解した。
(実施例8)
第2の環状オレフィン系樹脂として、以下のものを用いて樹脂ワニスを得た以外は実施例1と同様にした。
第2の環状オレフィン系樹脂として米国特許5,468,819号に記載されている方法によって得られた第2の環状オレフィン系樹脂(E)(2−ノルボルネン76モル%とデシル−2−ノルボルネン24モル%、ポリスチレン換算重量平均分子量1.67×10)7.00gをトルエン溶液40.0gに溶解した。
(比較例1)
第1の環状オレフィン系樹脂を用いずに、第2の環状オレフィン系樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様にした。
(比較例2)
第2の環状オレフィン系樹脂を用いずに、第1の環状オレフィン系樹脂のみを用いた以外は、実施例1と同様にした。
得られた樹脂ワニスを実施例1と同様にして25μm厚PET基材(T−100G−25、ダイヤホイルテキスト(株)社製)上に塗布、乾燥したが、フィルムが割れ、フィルムを得ることが出来なかった。
各実施例および比較例で得られた回路基板について以下の評価を行った。評価項目を内容と共に示す。得られた結果を表1に示す。
1.誘電率および誘電正接の測定
樹脂層付きキャリア材料より、樹脂層を剥離して窒素中で220℃×1時間乾燥した。得られた20μm厚さのフィルムを2mm×80mmに切断し、円筒空洞共振機(アジレント・テクノロジー社製マイクロ波ネットワークアナライザ HP8510B)を用いた摂動法で誘電率および誘電正接の測定を行った(測定周波数を10GHzとした)。
2.電気信号の劣化
電気信号の劣化は、トリプレートストリップライン共振器法を用いて伝送損失を測定した。(測定周波数を10GHzとした。)
3.耐熱性
耐熱性は、示差熱熱重量同時測定装置で評価した(重量減少率5%の温度)。
4.耐クラック性
耐クラック性は、−55℃〜125℃の温度サイクル試験を1,000回行い、回路基板の表面および断面観察を行い、樹脂層のクラックの有無を目視で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:温度サイクル試験で500回を超え、1,000回まで樹脂層にクラックが無い
○:温度サイクル試験で200回を超えて、500回まで樹脂層にクラックが無い
△:温度サイクル試験で50回を超えて、200回まで樹脂層にクラックが無い
×:温度サイクル試験で50回までに、樹脂層にクラックが生じる
5.密着性
密着性は、碁盤目試験(JIS K5400−1900)で評価した。
◎:切り傷一本毎が、細くて両側が滑らかで、交点と正方形一目一目にはがれがない。
○:切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
△:切り傷の両側と交点にはがれがあり、欠損部の面積は5%以上
×:はがれの面積が65%以上
Figure 2006111732
表1から明らかなように、実施例1〜8は、誘電率および誘電正接が低く、電気信号の劣化が少なかった。
また、実施例1〜8は、耐熱性にも優れていた。
また、実施例1〜5、7および8は、耐クラック性が特に優れていた。
また、実施例1〜3、5および6は、密着性が特に優れていた。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる樹脂層は、回路基板、プリント配線板、多層配線板、半導体装置、液晶表示装置などの用途に好適である。本発明の樹脂組成物は、GHz帯で優れた誘電特性を有し、また、耐熱性に優れるため、実装信頼性および層間の接続信頼性を有し、さらに、優れたレーザー加工性を有するからである。
本発明の樹脂組成物を回路基板の層間絶縁膜として使用する際、回路基板上へ塗布もしくはキャリアフィルム上に塗布された樹脂層付きキャリアフィルムをプレスするなどの方法が考えられるが、層間絶縁層における厚みの均一性が求められるため、キャリアフィルムに樹脂層を形成し、該樹脂層付きキャリアフィルムをプレスにより埋め込むほうが好ましい。
本発明の樹脂層付きキャリア材料の一例を示す断面図である。 本発明の回路基板の一例を示す断面図である。
符号の説明
1 樹脂層付きキャリア材料
2 キャリア材料
3 樹脂層
31 開口部
32 導体回路
5 コア基板
51 開口部
52 導体回路
10 回路基板

Claims (17)

  1. 回路基板の樹脂層を構成する樹脂組成物であって、
    主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有する第1の環状オレフィン系樹脂と、前記第1の環状オレフィン系樹脂と異なる第2の環状オレフィン系樹脂と、を含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記置換基は、シルセスキオキサン構造を有するものである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記シルセスキオキサン構造は、多面体構造を形成しているものである請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記第1の環状オレフィン系樹脂は、下記式(I)で表される置換基を側鎖に有しているものである請求項1ないし3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2006111732
  5. 前記第1の環状オレフィン系樹脂は、第1のノルボルネン系樹脂を含むものである請求項1ないし4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記第1のノルボルネン系樹脂は、下記式(II)で表されるノルボルネン型モノマーと、主としてシリコンと酸素とで構成され、かつ少なくとも一部に環状構造を有する置換基を側鎖に有するノルボルネン型モノマーとの付加共重合体である請求項5に記載の樹脂組成物。
    Figure 2006111732
  7. 前記第2の環状オレフィン系樹脂は、第2のノルボルネン系樹脂を含むものである請求項1ないし6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記第2のノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン型モノマーの付加共重合体である請求項7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記第1の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の1〜50重量%である請求項1ないし8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 前記第2の環状オレフィン系樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体の50〜99重量%である請求項1ないし9のいずれかに記載の樹脂組成物。
  11. 前記置換基を有するノルボルネン型モノマーの繰り返し単位の含有量は、前記付加共重合体の5〜80モル%である請求項6ないし10に記載の樹脂組成物。
  12. 前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量よりも大きいものである請求項1ないし11のいずれかに記載の樹脂組成物。
  13. 前記第1の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、10,000〜500,000である請求項1ないし12のいずれかに記載の樹脂組成物。
  14. 前記第2の環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、100,000〜700,000である請求項1ないし13のいずれかに記載の樹脂組成物。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の樹脂組成物で構成されていることを特徴とする樹脂層。
  16. 請求項15に記載の樹脂層が、キャリア材料の少なくとも片面に形成されていることを特徴とする樹脂層付きキャリア材料。
  17. 請求項15に記載の樹脂層を有していることを特徴とする回路基板。
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