JP2006111724A - 光硬化性プリプレグテープおよびその硬化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 繊維強化材に光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物を含浸、増粘させることによって得られる光硬化性プリプレグテープ1の、側面から表面にかけて樹脂膜2で被覆されてなり、樹脂膜1が、少なくとも光硬化性プリプレグテープ1側面近傍部において長手方向の引き裂き性を有することを特徴とする。
本発明の光硬化性プリプレグテープの硬化方法は、上記の光硬化性プリプレグテープ1において、被着体へ接着させる面の樹脂膜2を剥がす際に、該プリプレグテープ1側面近傍部の樹脂膜2を引き裂きながら剥がして被着体に貼付け、光を照射して接着硬化させることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
従来の硬化性プリプレグシートは、図5に示すように、繊維強化材に硬化性樹脂を含浸、増粘させたプリプレグテープ本体11の両表面に、剥離性のフィルム12を貼着させて構成されている。この剥離性のフィルム12は、被着物に接着する際にプリプレグテープ本体11から引き剥がされ、被着物上でプリプレグテープ本体11が硬化される。
近年、硬化スピードが速く、硬化させるための熱源がいらないという点より、光硬化性樹脂組成物を用いた光硬化性プリプレグシートが使用されてきている(特許文献1、特許文献2参照)。
(1)シートの柔軟性
(2)被着体への密着性
(3)保存時の形態安定性
(4)取り扱い性
(1)のシートの柔軟性は、硬化性プリプレグシートを適用する配管物や各種構造部材のような被着体は曲面形状や凹凸部を有する場合が多いため、硬化性プリプレグシートには被着体形状への追従性が必要であるからである。
(2)の被着体への密着性は、被着体の補強・補修強度や水密性を高めるためには、被着体との接着性が必要とされ、この接着性は硬化前プリプレグシートの被着体への密着性が大きく影響するからである。
しかし、増粘度を低くして得られたプリプレグシートは、常温でシートを積み重ねたり、またはロール状に巻いて保存する際に、シート自重による変形やシートから含浸させた未硬化の樹脂が滲み出して積み重ねたシート同士が粘着してしまうといった現象が起きてしまい、シートの形態が保ち難くなる傾向がある。それで、(3)の保存時の形態安定性が要請される。
光硬化性プリプレグシートは、常温で硬化させることができるという点が産業上の大きな利点であるため、通常(3)保存時の形態安定性をある程度犠牲にした増粘度に調整されている。
そのため、施工場所へのシート運び込みや保管方法が制限され、材料の取り扱い易さや作業時間の短縮という要求が特に強い配管物や各種構造部材などの補修、補強、あるいは防水用ライニング材としての使途が制限されていた。
特許文献2には、シート保存中に樹脂が繊維質基材から流れ出すことがない硬化性プリプレグとして、予備重合された硬化性プリプレグの片面または両面に粘着剤層を有する構成が示されているが、この方法によって予備重合された硬化性プリプレグの増粘度は比較的高いものとなり、必ずしも(1)シートの柔軟性が満足できるものではない。
本発明の光硬化性プリプレグテープの硬化方法は、請求項1記載の光硬化性プリプレグテープにおいて、被着体へ接着させる面の樹脂膜を剥がす際に、該プリプレグテープ側面近傍部の樹脂膜を引き裂きながら剥がして被着体に貼付け、光を照射して接着硬化させることを特徴とする。
本発明の基本的コンセプトをなす光硬化性プリプレグテープは、図1に示すように、繊維強化材に光重合開始剤を含む光硬化性樹脂を含浸、増粘させた光硬化性プリプレグテープ本体1の周囲に樹脂膜2を設けたもので、プリプレグテープ側面3の近傍部4が、長手方向に引き裂き性が付与されている。
この基本的コンセプトをなす光硬化性プリプレグテープは、具体的には、例えば、長尺の樹脂フィルム上に強化繊維を導き、その強化繊維上に増粘材、硬化剤を配合した光硬化性樹脂組成物を流延、強化繊維に含浸させ、さらに上面をフィルムで挟み込み、次いで光硬化性樹脂組成物を増粘させることによって連続的に光硬化性プリプレグテープを製造する。
もちろん、最終的に本発明の構成となればよく、樹脂膜を被覆する方法、および樹脂膜に長手方向の引裂き性を与える方法は、これに限定されるものではない。
図3に示す他の実施の形態においては、本発明の光硬化性プリプレグテープ1の、両面にフィルム10を残しておき、樹脂膜2が光硬化性プリプレグテープ1の側面3に近い部分にだけ設けられている。
図4(a)に示すものにおいては、両面にフィルム10を残しておき、樹脂膜2が光硬化性プリプレグテープ本体1のほぼ1面を除いて設けられている。同(b)に示すものにおいては、両面にフィルム10を残しておき、樹脂膜2が光硬化性プリプレグテープ本体1の全面に設けられている。同(c)は、片面にフィルム10を残しておき、樹脂膜2が光硬化性プリプレグテープ1のほぼ1面を除いて設けられている。同(d)は、片面にフィルム10を残しておき、樹脂膜2が光硬化性プリプレグテープ本体1の全面に設けられた実施の形態を示している。
[繊維強化材]
本発明で用いられる繊維強化材とは、光硬化性樹脂組成物に含まれる光重合開始剤の感光波長域の光に対して実質的に透明であれば特に限定されない。
一般的には光透過性及び強度の点で優れ、また低廉でもあるガラス繊維が使用される。これ以外にもアラミド繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維等を使用することができる。使用する繊維は、一種を選択してもよいし、複数種を選択してもよい。
繊維強化材は、光硬化性プリプレグ100質量部に対して、好ましくは10〜30重量%で使用される。
本発明で用いられる光硬化性樹脂組成物とは、重合性樹脂に光重合開始剤、増粘剤等を配合したものであり、繊維強化材に含浸させる際には液状であり、含浸された後で所定の粘度まで増粘可能な、光照射によって硬化する性質を持つものである。
{重合性樹脂}
重合性樹脂としては、ラジカル重合可能な不飽和ポリエステル樹脂及びカチオン重合可能なエポキシ樹脂が代表的に挙げられるが、安定した増粘体が得やすい、取扱い易いという理由でラジカル重合性樹脂が好適に使用される。
ラジカル重合可能な液状樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂をはじめ、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アリルエステル樹脂等がその例である。
本発明において使用される不飽和ポリエステル樹脂とは、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、スチレンのような液状ビニル系単量体に溶解したものである。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
飽和多塩基酸としては、例えば、無水フタル酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸等が挙げられる。
また、不飽和ポリエステル樹脂には、必要に応じて低収縮剤として熱可塑性樹脂を配合することができる。低収縮剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等が挙げられる。
本発明において使用されるウレタンアクリレート樹脂としては、例えばエチレングリコールの両端に、トリレンジイソシアネートを付加させ、更に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを両端末に付加させたウレタンアクリレートを、スチレンのような液状ビニル系単量体に溶解したものである。
これらラジカル重合可能な液状樹脂は、その1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
これら液状ビニル系単量体は、その1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
この重合性樹脂には必要に応じて、硬化安定剤としてヒドロキノン、ナフトキノン、t−ブチルカテコールなど、さらに充填剤、分散剤等を、光線を遮蔽したり吸収したりして光硬化シートの硬化を阻害しない範囲で適宜のものが使用される。
ラジカル重合性樹脂に用いられる光重合開始剤としては、光照射によってラジカルを生成し、ラジカル重合可能な液状樹脂を重合、架橋して、組成物全体を硬化させる。
光照射によってラジカルを発生する重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルホスフィンオキサイド系のような公知の光重合開始剤が挙げられ、具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、1−フェニル−2−ヒドロキシ−3−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明において、上記ラジカル重合性樹脂組成物は、繊維強化材に含浸された後、所定の粘度まで増粘されるわけであるが、このラジカル重合性樹脂組成物を増粘する方法としては、例えば熱可塑性樹脂粒子をゲル化剤として配合してゼリー状に増粘させる方法、ヒドロキシル基を有するアクリレート樹脂をイソシアネート化合物で増粘させる方法等周知の方法が使用できる。
増粘剤として使用される熱可塑性樹脂粒子としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物などを単量体とする重合体および共重合体が用いられる。
ラジカル重合性樹脂組成物の粘度は、ビニル系単量体の配合量で調節することができるが、ビニル系単量体の含有率が10重量%未満では、樹脂組成物が高粘度となるため繊維強化材への含浸性が悪化し、70重量%を超える量では、硬化物の耐薬品性、耐水性等が低下するので好ましくない。
ラジカル重合性樹脂組成物の増粘後の粘度は、増粘剤の配合量で調節することができる。増粘剤の配合量は、使用する増粘剤の種類に応じて適宜決定される。
(樹脂膜の機能)
本発明において、光硬化性プリプレグテープは、その側面から表面にかけて樹脂膜で被覆し、少なくとも光硬化性プリプレグテープ側面近傍部の樹脂膜は、長手方向の引き裂き性を有するものである。
側面を被覆することによって、プリプレグテープに荷重(堆積保管した場合の自重を含む)が作用した場合にプリプレグテープ側面からの樹脂の滲みだしが抑えられて、プリプレグテープ保存時の形態安定性が向上する。
そのため、プリプレグテープ側面を被覆する樹脂膜は、少なくともプリプレグテープの端部においてプリプレグテープ表面を被覆する樹脂膜と連続している必要がある。
樹脂膜は、プリプレグテープ側面からの樹脂の滲みだし力に耐える強度が必要であるが、この樹脂膜の必要強度はプリプレグテープの厚さ、強化繊維の充填率、プリプレグを形成する樹脂の増粘度、保存時にテープが受ける荷重などによって異なるため一概に特定することはできないが、同業者であれば何回かのテストにより容易に求めることができる。
プリプレグテープの側面から表面にかけて樹脂膜で被覆する方法、そして、プリプレグテープ側面近傍部の樹脂膜に、長手方向の引き裂き性を付与する方法としては、いくつかの方法がある。例えば、次に例示する(1)〜(5)の方法である。
(1)押出し機で加熱溶融した熱可塑性樹脂を、2つのスリット口金を用いて2方向からシート状にロール間に押出し、それらの溶融樹脂シート間にプリプレグテープを通して溶融樹脂シートをテープに圧着させ、テープ側面はその部分の溶融樹脂シート厚を厚く調整することで被覆する方法(図2)。
ここでテープ側面近傍部の樹脂膜に、長手方向の引き裂き性を付与する方法としては、テープ側面近傍部樹脂膜に対応する位置のスリット口金内部に突起を設けて溶融樹脂シートにウェルドラインを形成させる方法、およびテープ側面近傍部の樹脂膜の長手方向に溝をつける方法、また樹脂膜全体に長手方向の引き裂き性を付与する方法として、溶融樹脂シートの引き落とし量を大きくすることにより樹脂膜の流れ方向に延伸・配向をかける方法などが用いられる。
ここでテープ側面近傍部の樹脂膜に、長手方向の引き裂き性を付与する方法としては、テープ側面近傍部の樹脂膜に溝をつける方法、または乾燥樹脂膜のテープ側面近傍部を除いて樹脂膜を加熱処理することによりテープ側面近傍部以外の樹脂膜引き裂き強度を相対的に高める方法などが用いられる。
さらに、(3)ホットメルトコーティング法、(4)熱ラミネート法、または(5)プリプレグテープと反応機構が異なる反応性樹脂を被覆して硬化させる方法など、種々プラスチックの成膜方法が用いられる。
樹脂膜を形成する樹脂としては、プリプレグテープに使用される重合性樹脂の溶媒であるビニル系単量体に溶解または過度に膨潤しない樹脂であれば良く、
ポリエチレン、ポリプロピレン、EVA、熱可塑性エラストマー、酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン・ブタジエン共重合体系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが本発明の光硬化性プリプレグテープの求められる機能に応じて使用することが適宜成膜方法で用いられる。
光硬化性プリプレグテープの接着面側と反接着面側の樹脂膜の樹脂および樹脂組成が異なるものでも構わない。
樹脂膜を通して光硬化性プリプレグテープに光を照射する場合以外は、樹脂が着色されていても、樹脂自体が有色、不透明でも構わない。
例えば、被着体への貼り付け作業の間、自然光によるテープの硬化ができるだけ進まず、かつテープを通して被着体面が見えるように着色することで、テープを貼り付ける際の脱泡作業が余裕をもって行うことができ、かつ貼り付け作業終了後に着色樹脂膜を剥がしてテープに所定の光量を当ることで速やかに硬化させることができ、施工作業性を向上させることができる。
光硬化性プリプレグテープからの樹脂膜の剥離性を考慮し、接着面側の樹脂膜をシリコン等で離型処理することができる。
本発明では、片面または両面にフィルムを積層した光硬化性プリプレグテープの、側面から表面にかけて樹脂膜で被覆されてなり、少なくとも光硬化性プリプレグテープ側面近傍部の樹脂膜が、長手方向の引き裂き性を有することを特徴とする光硬化性プリプレグテープも含まれる(図3)。
フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンフィルム、ビニロンフィルム,ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム,ポリプロピレンフィルムなど、公知のフィルムが使用できる。
プリプレグテープの接着面側に使用するフィルムとしてはプラスチック以外に剥離紙なども使用できる。
フィルムを通して光硬化性プリプレグテープに光を照射する場合以外は、フィルムが着色されていても、フィルムを構成するプラスチック自体が有色のものや不透明でも構わない。
光硬化性プリプレグテープのフィルム積層面は、その全面を樹脂膜によって被覆する必要はない。この場合、樹脂膜と重なり合うフィルム面は樹脂膜と接着、粘着させ得るものが好ましい。
本発明の光硬化性プリプレグテープを被着体に貼り付ける際、テープ被着面のフィルムを剥がすわけであるが、樹脂膜よりも弾性率が大きい樹脂のフィルムを用いたほうが、フィルムを剥がす際にフィルムの端部で樹脂膜を引き裂きながら剥がすことができるため、フィルム剥がしの作業性上好ましい。
本発明の光硬化性プリプレグテープは、接着面側のフィルムおよび/または樹脂膜を剥がして被着体に貼り付け、テープ部に光を照射することで被着体と接着硬化される。
テープの反接着面側にフィルムおよび/または樹脂膜を残すことにより、貼付けの作業性が向上し、かつラジカル重合性樹脂の空気による硬化阻害が抑えられる。
この反接着面側のフィルムおよび/または樹脂膜はテープ硬化後剥がしても、またそのままテープと接着一体化することもできる。
本発明の光硬化性プリプレグテープを硬化させるために照射する光としては、赤外線、可視光、紫外線などを用いることができるが、一般的に取扱いが容易かつ簡便であり、比較的高エネルギーを得ることができる紫外線が好適に用いられる。より好ましくは、波長200〜420nmの紫外線が用いられる。
紫外線は、高圧水銀灯、ケミカルランプなどの適宜の光源を用いて照射することができる。
また、厚さが5mmより厚くなると、光線がシートの深部まで届きにくくなるために硬化不良となる可能性がある。
このようにして被着体に接着硬化したテープの表面を耐候性や耐薬品性などを向上する目的で塗装仕上げすることができる。
また、光硬化性プリプレグテープを重ね貼りして硬化させることも、硬化したテープの上に光硬化性プリプレグテープを貼り付けて硬化させることもできる。
本発明の光硬化性プリプレグテープを積み重ねたり、ロール状に巻回して保存することができるが、周囲は光を遮蔽し、また溶剤等の飛散を防止できる気体透過性の低いアルミ蒸着フィルム等で梱包することが好ましい。
なお、本発明は比較的狭幅、長尺の場合に産業上より有効性を持つため「テープ」と称しているが、これによって幅や長さが限定されるわけではない。
[試料調整]
(増粘性を有する光硬化性樹脂組成物(1)の調整;実施例用)
重合性単量体がスチレン、25℃における粘度が150mPa・sのビスフェノール系エポキシアクリレート樹脂:ネオポール8250L(日本ユピカ(株)製商品名)100質量部に、増粘剤としてゼオンF−303(ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、日本ゼオン(株)製商品名)10質量部、光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド系化合物:パラタールX999(DSM社製商品名)0.3質量部を加え、室温下で分散混合して増粘性を有する光硬化性樹脂組成物(1)を調整した。
重合性単量体がスチレン、25℃における粘度が150mPa・sのビスフェノール系エポキシアクリレート樹脂100質量部に、増粘剤としてゼオンF−303(ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、日本ゼオン(株)製商品名)を、増粘性を有する光硬化性樹脂組成物(1)よりも増やした15質量部、光重合開始剤としてアシルホスフィンオキサイド系化合物:パラタールX999(DSM社製商品名)0.3質量部を加え、室温下で分散混合して増粘性を有する光硬化性樹脂組成物(2)を調整した。
上面にシリコン処理した50μmのPETフィルムの上に強化繊維として密度600g/m2のガラス繊維チョップドストランドマットを乗せ、マットの上から増粘性を有する光硬化性樹脂組成物(1)を流延してマットに含浸し、その上から下面にシリコン処理した50μmのPETフィルムで挟み込んで、90℃加熱炉を通して20分間加熱して樹脂組成物を増粘し、室温まで冷却させた後で幅10cmにスリットして、[PET(シリコン処理面)/プリプレグ/(シリコン処理面)PET]構成の厚さ1.2mm、長さ5mの光硬化性プリプレグテープ本体(1)を作製した。
押出し機で180℃に加熱溶融したEVA樹脂を、幅120mmの2つのスリット口金を用いて2方向からシート状にロール間に押出し、それらの溶融樹脂シート間に両面からPETフィルムを剥がした光硬化性プリプレグテープ本体(1)を通して溶融EVAシートに圧着被覆して図1に示すタイプの光硬化性プリプレグテープを得た。
なお、テープ側面は溶融EVAシートのネックインによる溶融シート端部厚肉化を利用して被覆した。
また、一方のスリット口金内部の端部から5mmの流路内に微小突起を設けて溶融EVAシートの端部付近にウェルドラインを形成させて、光硬化性プリプレグテープ側面近傍部のEVA樹脂膜に長手方向の引き裂き性を付与すると同時に、その一方の溶融EVAシート/光硬化性プリプレグテープ本体(1)間にシリコン分散液を噴霧塗布した。
この光硬化性プリプレグテープは[EVA膜(シリコン処理)/]を光硬化性プリプレグテープ本体(1)から剥がして被着体に貼り付け、[/EVA膜]側から光を照射してテープを硬化させた後、表面のEVA膜を取除く方法で使用される。
光硬化性プリプレグテープ本体(1)の上面に積層したPETフィルムを剥がし、この面にアクリル酸エステル樹脂系エマルジョンをロールコーターで塗布し、温風を吹きつけながら約20分間乾燥し、[PET(シリコン処理)/光硬化性プリプレグテープ本体(1)/アクリル酸エステル樹脂フィルム]構成のテープを得た。
次いで、実施例1と同じ方法で淡黄色に着色したEVA樹脂膜を被覆した。
なお、実施例1で実施した溶融EVAシート/光硬化性プリプレグテープ本体(1)間のシリコン処理は行わなかった。
このようにして、片面にアクリル酸エステル樹脂フィルムを積層した光硬化性プリプレグテープの、側面から表面にかけてEVA樹脂膜で被覆され、光硬化性プリプレグテープ側面近傍部の樹脂膜が、長手方向の引き裂き性を有する、[EVA淡黄色膜/PET(シリコン処理)/光硬化性プリプレグテープ本体(1)/アクリル酸エステル樹脂フィルム/EVA淡黄色膜]構成の、厚さ1.9mmの本発明による光硬化性プリプレグテープを作製した。
上面にシリコン処理した50μmのPETフィルムの上に強化繊維として密度600g/m2のガラス繊維のガラス繊維チョップドストランドマットを乗せ、マットの上から増粘性を有する光硬化性樹脂組成物(2)を流延してマットに含浸し、その上から両面ともシリコン処理していない50μmのPETフィルムで挟み込んで、90℃加熱炉を通して20分間加熱して樹脂組成物を増粘し、室温まで冷却させた後で幅10cmにスリットして、[PET(シリコン処理面)/プリプレグ/PET]構成の厚さ1.2mm、長さ5mの光硬化性プリプレグテープを比較例として作製した。
実施例1、2及び比較例1で得た光硬化性プリプレグテープについて、以下の項目についてそれぞれの要領で評価した。結果は表1に示した。
テープの柔軟性、被着体への密着性:100mm角のFRP製角パイプ(エッジ部R=5mm)の表面に、光硬化性プリプレグテープ接着面側のフィルム及び/又は樹脂膜を剥がし、プリプレグテープを巻き付ける方向に貼り付け、屋外自然光で光硬化性プリプレグテープを硬化させ(実施例2の場合は、さらに表面のEVA淡黄色膜を剥がして屋外自然光に当てて硬化させ)、被着体との密着状態を観察した。評価基準は以下の通りである。
×:粘着性が弱く、硬化前の段階で被着体からテープが剥離。
△:硬化前は被着体と密着していたが、硬化の過程で角パイプのエッジR部で被着体とテープが剥離。
○:硬化完了まで被着体との剥離なし。
この光硬化性シートを接着硬化させたFRPパネルから20mm×20mmの試料を切り出し、その両面にスチール製の引っ張り治具を瞬間接着剤で接着し、この治具を鉛直方向に引っ張り、FRPパネルと硬化した光硬化性シートが剥離する際の抵抗を測定し、これを接着強度とした。
×:テープが垂れてロール形状が変形。テープ側面から樹脂が流れ出し、テープロール側面に粘着し、テープの巻き出しが困難。
○:変形はしているが、テープ側面から樹脂が流れ出しはなく、テープの巻き出しは特に問題なし。
×:プリプレグテープ側面近傍以外の部分まで引き裂きが伝播。
○:プリプレグテープ側面近傍で、樹脂膜が長手方向にほぼ直線的に引き裂かれながら樹脂膜とフィルムをプリプレグテープから剥離させることが可能。
2:樹脂膜
3:プリプレグテープ側面
4:(プリプレグテープ側面)近傍部
5:押出し機
6:スリットダイ
7:溶融樹脂膜
8:樹脂膜接合部
9:ロール
10:フィルム
11:プリプレグテープ本体
12:(剥離性の)フィルム
Claims (2)
- 繊維強化材に光重合開始剤を含む光硬化性樹脂組成物を含浸、増粘させることによって得られる光硬化性プリプレグテープの、
側面から表面にかけて樹脂膜で被覆されてなり、
前記樹脂膜が、少なくとも光硬化性プリプレグテープ側面近傍部において長手方向の引き裂き性を有することを特徴とする光硬化性プリプレグテープ。 - 請求項1記載の光硬化性プリプレグテープにおいて、
被着体へ接着させる面の樹脂膜を剥がす際に、
該プリプレグテープ側面近傍部の樹脂膜を引き裂きながら剥がして被着体に貼付け、
光を照射して接着硬化させることを特徴とする、
光硬化性プリプレグテープの硬化方法。
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