JP2006110655A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削工具の摩耗及び工具への被削材の凝着を抑制し、切削工具の切削性及び工具寿命を向上させることができる切削工具を提供する。
【解決手段】主材が立方晶窒化硼素である基材の表面に少なくとも珪素元素を含む非晶質炭素材料からなる被膜が形成された切削工具であり、この切削工具は、非晶質炭素材料に含有する珪素元素及び炭素元素の重量比率Si/Cを、0.17<Si/C<1.19とし、被膜の厚みを、1μmよりも大きく20μmよりも小さい厚みとしたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、立方晶窒化硼素を主材とした基材の表面に被膜を形成した切削工具に係り、特に、この被膜が非晶質炭素材料からなる切削工具に関する。
従来から、高温硬度と高温強度とを必要とする切削工具として、立方晶型窒化硼素(CBN)の粒子の焼結体からなる切削工具が用いられている。そして、このような切削工具の耐摩耗性をさらに改善するため、CBN焼結体を基材とし、この基材の表面に硬質の被膜層を被覆形成させることがあり、近年、このような硬質被膜層に、高硬度で、平滑性に優れ、摩擦係数の低い特性をもつ非晶質炭素材料(ダイヤモンドライクカーボン:DLC)が用いられている。
例えば、立方晶型窒化硼素(CBN)焼結体の基材表面に非晶質カーボン膜が形成された工具として、この非晶質カーボン膜中の水素量を5原子%以下、非晶質カーボン膜の最大厚みを0.5μm以下とした被覆工具が提案されている(特許文献1)。この他にも、工具の基材と工具表面の非晶質炭素膜との間に、中間層を設けることにより、基材と非晶質炭素膜との密着性を高めた非晶質炭素被覆部材が提案されている(特許文献2)。
特開2003−62708号公報 特開2001−316800号公報
ところで、切削加工の加工対象である被削材も、耐摩耗性などの機能をより高めるために、その母材の表面に溶射材料を用いて皮膜を施すことがある。このような溶射材料としては、例えば、鉄元素をベースに、炭素量を0.4〜1.2%程度含有させることで、溶射皮膜の硬度を高める材料や、炭素量を0.05%程度に抑える代わりに珪素元素(Si)を添加し、溶射皮膜に珪素元素の微細酸化物を形成させることで溶射皮膜の硬度を高める材料等が挙げられる。そして、これら母材に施された溶射皮膜は、その硬度が非常に高いので、精度よく切削加工することが難しく、仮に加工ができたとしても、その加工に時間がかかる。
例えば、上記CBN粒子の焼結体からなる切削工具で、このような溶射皮膜を切削加工する場合であっても、上述したと同様に加工が難しく、溶射をしていない被削材を加工したときに比べて、工具寿命は極端に低下する。特に、上述した珪素元素を添加した溶射皮膜を切削する場合には、溶射材料中の炭素量を抑えたことにより、加工時に溶融した溶射皮膜の切屑が工具のすくい面に凝着しやすい。そして、この凝着した切屑は、工具の切削性を低下させるばかりでなく、CBN粒子を脱落させ工具刃先を欠損させてしまうこともある。
さらに、CBN焼結体に非結晶炭素材料の被膜(非晶質カーボン膜)を形成した工具で、このような溶射皮膜を切削する場合であっても、この硬質で炭素量の多い非晶質炭素材料の被膜を形成することにより、工具の摩耗量は減少し工具への切屑の凝着は抑制されるものの、工具の摩耗量はまだ多く、本工具が、溶射皮膜などの硬質の被削材の切削加工に充分な工具寿命を有しているとは言い難い。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、切削工具の摩耗及び切削工具への被削材の凝着を抑制し、切削工具の切削性能及び工具寿命を向上させることができる切削工具を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく多くの実験と研究を行うことにより、切削工具の表面に非晶質炭素材料の被膜を形成するにあたって、この非晶質炭素材料に珪素元素(Si)を添加することで、これまでに比べ工具寿命が画期的に延びるとの知見を得た。そして、この切削工具の長寿命に直接的に寄与するものは、被膜が摩滅した(工具先端の)基材表面に形成される二酸化珪素(SiO)の超薄膜であることがわかった。
本発明は、本発明者らが得た上記の新たな知見に基づくものであり、本発明による切削工具は、主材が立方晶窒化硼素(CBN)である基材の表面に少なくとも珪素元素を含む非晶質炭素材料からなる被膜が形成されていることを特徴とする。前記の如く構成した切削工具は、被膜の非晶質炭素材料に珪素元素を加えたので、切削加工において、工具先端である切削点及びその近傍の基材表面に二酸化珪素の超薄膜を形成することができる。そして、この形成された二酸化珪素の超薄膜は、切削時に生成される被削材の切屑の凝着を抑制すると共に、工具の摩耗を抑制する。また、この被膜に珪素元素を加えたことで被膜と基材との密着強さも向上し、被膜厚みを厚くすることができる。
好ましい態様としては、本発明による切削工具は、被膜の非晶質炭素材料に含有する珪素元素及び炭素元素の重量比率Si/Cが、0.17<Si/C<1.19である。このような範囲の重量比率Si/Cで形成された被膜は、溶射皮膜などに耐え得る被膜硬度と耐摩耗性が得られる。すなわち、被膜中の重量比率Si/Cが、0.17以下であると、切削加工時に被膜が摩滅して現れた基材表面に二酸化珪素の超薄膜を形成することができず、工具は摩耗しやすく、さらに基材と被膜との密着強さも低下する。また、被膜中の重量比率Si/Cが1.19以上であると、被膜の硬さが極端に低下する。
また、好ましい態様としては、本発明による切削工具は、被膜の厚みが、1μmよりも大きく20μmよりも小さい厚みであり、このような被膜厚みにすることで、最適な耐摩耗性と密着強さを保つことができる。すなわち、被膜厚みが、1μm以下では、含有する珪素元素の総量が少ないので耐摩耗性が低下し、20μm以上では、基材と被膜との密着強さが低下する。
また、好ましい態様としては、本発明による切削工具は、基材が、CBNを50〜95重量%含有することであり、この範囲は、CBNの基材表面に均一な二酸化珪素の超薄膜を形成することができる範囲である。すなわち、CBNの含有率が50重量%より小さい場合には、基材の表面上に均一な二酸化珪素の超薄膜を形成することはできず工具寿命は低下し、CBNの含有率が95重量%より大きい場合には、CBN粒子を結合材で焼結することができない。
好ましい態様としては、本発明による切削工具は、この被膜が、プラズマCVDにより基材に形成される。ここで、被膜の形成処理に、プラズマCVDを用いた理由としては、基材と被膜との安定した密着強さが確保できるからである。これに加えて、プラズマCVDによる処理は、ガス反応を利用して低温で被膜形成の処理が可能であるので、CBN焼結体の基材のチップを切削工具本体にろう付けし、このろう付けした基材の表面に被膜の形成処理を行う場合には特に適している。たとえば、ろう材に、銀ろうを用いた場合は、ろう材の軟化点温度は650℃程度であり、このような軟化点温度以下の温度環境で被膜の形成処理ができるので、ろう材が軟化することなく、基材が切削工具本体のろう付け位置から位置ずれを起すことはない。このことから、好ましい態様として切削工具にろう材を用いた場合には、被膜が、ろう材の軟化点温度以下の温度環境で、前記ろう付け基材に形成処理されるのがよい。
本発明によれば、切削工具の摩耗及び切削工具への被削材の凝着を抑制したので、切削工具の切削性及び工具寿命を向上させることができる。そして、このような向上に伴い、切削加工の加工時間を短縮化することができ、それによる加工品の低コスト化を図ることができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
基材に、主材である粒径3μmのCBN粒子を85重量%、残りに結合材としてCo化合物を含有した焼結体を用いた。この基材の表面に、以下に示す方法で、珪素元素を含んだ非晶質材料からなる被膜の形成処理をした。
この基材をプラズマCVD処理装置内に配置し、原料ガスであるテトラメチルシラン、四塩化炭素、水素を混合した混合ガスと、雰囲気ガスであるアルゴンガスと、を装置内に導入し、プラズマCVDにより、処理温度500℃で、基材表面に珪素元素を含む非晶質炭素材料からなる被膜の形成処理を行った。この形成処理にあたっては、形成される被膜に含有する珪素元素(Si)及び炭素元素(C)の重量比率Si/Cが、0.7となり、被膜厚みが10μmとなるように、原料ガスの混合率、処理時間等を設定した。
そして、実施例1の切削工具を用いて摩耗試験を行った。この摩耗試験には、以下に示す被削材1及び2で試験を行った。
被削材1:内径φ82mm、高さ140mの中空円筒形状をしたアルミライナの内周面に、#24アルミナグリッドを用いてショットブラストで、下地処理をし、この下地処理した内周面に、アルゴンガス(Ar)と水素ガス(H)をキャリアガスとして、ガス流量Ar:42L/min、H:6L/min、ガス圧Ar:4kgf/cm、H:6.3kgf/cmの条件で、Fe−1C−0.5Mn―1.2Siの粉末溶射材料を用いて、溶射皮膜の皮膜厚みが0.35mmになるまで、プラズマ溶射をした被削材である。
被削材2:内径φ82mm、高さ140mの中空円筒形状をしたアルミライナの内周面に、上記と同様の下地処理をし、この下地処理をした内周面に、溶射電流350A,電圧28V、吹付けエア圧力5kgf/cmの条件で、線径φ1.6mmのFe−0.06C−1Si−1.2Mnの溶射材料を用いて、溶射皮膜の皮膜厚みが0.35mmになるまで、アーク溶射をした被削材である。
そして、この摩耗試験では、被削材1又は2を、加工速度が500m/secとなるような条件で、円筒形状の被削材1又は2の円筒中心を回転軸として回転させると共に、実施例1の切削工具を、回転軸方向に、送り速度0.3mm/rev、切り込み深さ0.2mm/1パス、で作動させ、水溶性クーラントを用いて被削材1又は2の溶射皮膜を切削加工した。
このような条件で、被削材の切削加工を繰り返し行い、被削材の加工個数(以下ボア加工数という)に対して切削工具の逃げ面摩耗の摩耗幅(以下にVB値という)を測定した。このVB値は、工具寿命を示す指標であり、本摩耗試験では、VB値が0.2mmとなったときに、工具が寿命に達した指標(工具寿命基準値)とし、この値を超えたことがわかった時点で、上記試験を終了した。
また摩耗試験において、実施例1の切削工具の先端を目視観察すると共にマイクロオージェ電子分光試験(高真空中で電子線を工具表面に照射し、この照射により工具表面から放出されるオージェ電子の運動エネルギを測定して、工具表面の元素分析を行う試験)を行った。図1は、摩耗試験の結果であり、図2(a)は、マイクロオージェ電子分光試験の結果であり、表1は、摩耗試験を終了したときにおける工具先端の目視観察の結果である。
Figure 2006110655
図1の線a(◇)は、被削材1の切削加工をしたとき、線b(□)は、被削材2の切削加工をしたときのVB値を示しており、加工数が100個の時点では、どちらも工具寿命には達していなかった。また、表1に示すように、どちらの被削材を切削加工しても、工具表面に切屑の凝着はなかった。さらに、工具先端において、被膜が摩滅した基材表面には、超薄膜が形成されており、図2の(a)に示すように、この超薄膜は、二酸化珪素からなる超薄膜であった。また、この二酸化珪素の超薄膜は、加工時に工具先端の摩耗が進行しても、CBNの基材表面に、常に形成されていた。
(比較例1)
実施例1と同条件で製作した工具であり、実施例1と異なる点は、非晶質炭素材料からなる被膜を形成処理していない点である。また、比較例1も実施例1と同様の試験を行った。
図1の線c(◆)は、被削材1の切削加工をしたとき、線d(■)は、被削材2の切削加工をしたときのVB値を示しており、図から明らかなように、実施例1の切削工具にくらべ、VB値は相対的に大きく、ボア加工数が100個に達する前に工具寿命基準値を超え、工具寿命は短かった。また、表2に示すように、被削材2を切削した表面は、工具のすくい面に皮膜の切屑が凝着し、工具刃先が欠損していた。さらに、図2(b)に示すように、その表面には、工具を組成する元素との酸化化合物が生成されていたが、実施例1の如く、珪素元素は検出されず、二酸化珪素の超薄膜は、形成されていなかった。
(評価1)
上記結果から、実施例1の如き被膜を施すことで、切削工具の寿命が向上することがわかった。また、このような被膜を形成した切削工具は、工具先端の表面に形成された非晶質の被膜が摩滅しても、CBN焼結体の表面に二酸化珪素の超薄膜が形成され、この超薄膜が、切屑の凝着を抑制すると共にCBN焼結体の基材表面の摩耗を抑制し、工具寿命を向上させていると推定される。また、実施例1の工具先端が摩耗しても、二酸化珪素の超薄膜が基材表面に常時形成されている理由としては、工具先端の摩耗に伴って摩耗する被膜に含まれる珪素元素が、基材表面に供給されて酸化したと推定される。さらに、工具すくい面に切屑が凝着しない理由としては、実施例1の工具の被膜に炭素元素を含んでいることによると考えられる。
[実施例2]
(実施例2−1〜7)
実施例2−1〜7の切削工具は、実施例1の切削工具と同様の方法で製作した工具であり、被膜の厚みを10μmで統一し、各々下記の所定の重量比率Si/Cとなるように被膜の形成処理を行った。なお、実施例2−4の工具と、実施例1の工具は、同条件で製作された工具である。
そして、各切削工具の被膜表面のビッカース硬さを測定し、さらに以下示すスクラッチ試験を行った。このスクラッチ試験は、評価すべき工具に形成した被膜の密着強さを評価するための試験であり、ダイヤモンドなどの硬質で先端の鋭い針を被膜に押付け、該被膜と針とを相対運動させながら、徐々に押付け荷重を上げていき、被膜が破壊したときの押付け荷重を測定することで、被膜の密着強さを調べる試験である。
具体的には、被膜を形成した工具(又はチップ)を、移動ステージに固定し、半径5μmのダイヤモンド圧子を用いて被膜表面に負荷速度50N/minで負荷をかけながら、ステージを5mm/minで移動させ、膜が剥離した位置を顕微鏡及びアコースティックエミッションセンサを用いて検出し、その剥離位置と荷重負荷をスタートさせた位置の距離から密着強さを測定した。
さらに、これらの工具に対して、上記した被削材2を用いて摩耗試験を行い、その試験終了後に、マイクロオージェ電子分光試験で、工具先端の表面に二酸化珪素の薄膜が形成されているか否か確認した。上記試験結果を以下の表2に示す。
Figure 2006110655
表2に示すように、実施例2−1(Si/C=0.17)の切削工具は、切削加工時に二酸化珪素の超薄膜が形成されず、他の工具に比べ、VB値が大きい(工具寿命が短い)。また、この工具の被膜の密着強さは、他の工具の密着強さに比べ小さい。また、表2に示すように、Si/Cの値を大きくするにしたがって、被膜硬さは低下し、実施例2−7(Si/C=1.19)の切削工具は、他の工具に比べ極端に被膜硬さが小さい。
(比較例2)
実施例2と同様の条件で製作した工具であり、実施例2と異なる点は、被膜に非晶質炭素材料に珪素元素を加えなかった(重量比率をSi/C=0とした)点である。また、比較例2も実施例2と同様の試験を行った。表2に示すように、比較例2(Si/C=0)の切削工具は、切削加工時に二酸化珪素の超薄膜が形成されず、実施例2の工具に比べ、VB値が大きく(工具寿命が短く)、密着強さも小さい。
(評価2)
上記試験結果から、工具寿命を向上させるためには、切削時に二酸化珪素の超薄膜を形成する必要があり、さらに、工具の表面に二酸化珪素の超薄膜を形成するためには、少なくとも被膜の重量比率Si/Cを0.17よりも大きくし、さらに、被膜の被膜硬度を保つためには、被膜の重量比率Si/Cを1.19よりも小さくするのがよく、より好ましい重量比率Si/Cの範囲は、0.34≦Si/C≦1であることがわかった。この他にも、被膜に珪素元素を加えることで、被膜の密着強さが大きくなっていることもわかった。
[実施例3]
(実施例3−1〜6)
実施例3−1〜6の切削工具は、実施例1の切削工具と同様の方法で製作した工具であり、重量比率Si/Cを0.7で統一し、各々下記の所定の被膜厚みとなるように被膜の形成処理を行った。なお、実施例3−4の工具と、実施例1の工具は、同条件で製作された工具である。そして、これらの切削工具に対してスクラッチ試験を行うと共に、前記した被削材2を用いて摩耗試験を行った。この試験結果を以下の表3に示す。
Figure 2006110655
表3に示すように、実施例3−1(被膜厚み=1μm)の切削工具は、他の工具に比べてVB値が大きく工具寿命は短い。また、実施例3−6(被膜厚み=20μm)の切削工具は、他の工具に比べて密着強さが小さい。
(評価3)
上記試験結果から、最適な耐摩耗性と密着強さを保つためには、切削工具の被膜厚みが、1μmよりも大きく20μmよりも小さい厚みであるのがよく、より好ましい厚みは、2μm〜15μmの厚みであることがわかった。また、被膜厚みが1μm以下である場合は、被膜中の珪素元素の総量が少ないため、切削加工時に二酸化珪素の被膜が充分に形成されないと推定される。
[実施例4]
実施例4の切削工具は、その基材に、主材である粒径3μmのCBN粒子を60重量%、その残りに結合材としてTiC及びAlを含有し、この結合材でCBN粒子を焼結した焼結体を用いた。この基材をプラズマCVD処理装置内に配置し、原料ガスとしてシラン、四塩化炭素、水素、からなる混合ガスと、雰囲気ガスとしてアルゴンガスと、を装置内に導入し、プラズマCVDにより、処理温度350℃で、基材の表面に、珪素元素を含む非晶質炭素材料からなる被膜の形成処理を行った。この形成処理にあたっては、形成される被膜に含有する珪素元素(Si)及び炭素元素(C)の重量比率Si/Cが、重量比率0.7となり、被膜厚みが5μmとなるように、原料ガスの混合率、処理時間等を設定した。この実施例4の切削工具に対して、上記した被削材2を用いて摩耗試験を行った。
実施例4の切削工具は、ボア加工数が50個の時点で、VB値が、0.105mmであり、先に示した実施例1の工具と同程度のVB値であった(実施例1のボア加工数50個時のVB値0.095mm:図1の線b(□)参照)。
(評価4)
上記試験結果から、評価1〜3で得られた条件を満たせば、実施例1の切削工具と同等の工具寿命が得られることがわかった。また、基材に含まれるCBN粒子が60重量%もあれば、充分に工具の基材表面に二酸化珪素の超薄膜が形成され、工具の寿命が向上することがわかった。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
たとえば、本実施例では、低温で被膜の形成処理を行うことができる理由からプラズCVDで処理を行ったが、被膜と基材との密着性を確保し、ろう材使用時には、そのろう材の軟化点温度以下の温度環境で被膜の形成処理ができるのであれば、その処理は、特に限定されるものではない。
また、実施例の切削工具は、CBN粒子を焼結した基材を用いたが、基材がCBNの結晶構造を有しているのであれば、特に焼結体の基材に限定されるものではない。
さらに、実施例の基材表面に形成した被膜の組成は、珪素元素と炭素元素で特定したが、所望の被膜硬さ及び所望の密着強さを保持し、加工時の基材表面に二酸化珪素の超薄膜ができれば、水素元素などの他の元素が添加されてもよい。
本実施例に示した基材及び被膜は、切削工具に用いたが、このような基材と被膜は、エンドミルなどの転削工具、フライス工具や旋削工具に用いられる交換用のチップ、又はカッターなどの切断工具に適用してもよい。
実施例1の切削工具と、比較例1の切削工具とを用いて行った摩耗試験の試験結果を示した図。 切削加工後の、実施例1の切削工具及び比較例1の切削工具の工具表面に対してマイクロオージェ電子分光試験を行った試験結果を示した図。

Claims (6)

  1. 主材が立方晶窒化硼素である基材の表面に少なくとも珪素元素を含む非晶質炭素材料からなる被膜が形成されていることを特徴とする切削工具。
  2. 前記非晶質炭素材料に含有する珪素元素及び炭素元素の重量比率Si/Cは、0.17<Si/C<1.19であることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
  3. 前記被膜の厚みは、1μmよりも大きく20μmよりも小さい厚みであることを特徴とする請求項1又は2に記載の切削工具。
  4. 前記基材は、立方晶窒化硼素を50〜95重量%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の切削工具。
  5. 前記被膜は、プラズマCVDにより、前記基材に形成された被膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
  6. 前記基材は、工具本体にろう付けされるろう付け基材であり、前記被膜は、ろう材の軟化点温度以下の温度環境で、前記ろう付け基材に形成処理された被膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の切削工具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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