JP2006104354A - 研磨用組成物、その製造方法及び該研磨用組成物を用いる研磨方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下である研磨用組成物。この研磨用組成物は、活性珪酸水溶液またはコロイダルシリカに窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を接触させ、その後該活性珪酸水溶液またはコロイダルシリカを陰イオン交換体に接触させる工程を有する方法によって製造される。
【選択図】 なし
Description
そのため金属性不純物の混入を嫌う分野においては、これら金属性不純物を実質的に含まない高純度なシリカ原料から製造された高価なコロイダルシリカ製品を使用していた。
(1)シリカ濃度10重量%でのコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下である高純度コロイダルシリカを含有する研磨用組成物を用いることにより、研磨対象物の汚染が少ないこと、(2)上記コロイダルシリカを得る方法として、(a)特定のキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を調製し、その特定のキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を陰イオン交換体に接触させることにより、金属性不純物の含有量が極めて少ない高純度の活性珪酸水溶液を得ることができ、その高純度の活性珪酸水溶液を用いて製造されるコロイダルシリカが極めて高純度であること、(b)特定のキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を調製し、そのキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を用いてコロイダルシリカの成長を行い、得られるキレート化剤を含有するコロイダルシリカを、陰イオン交換体に接触させることにより、金属性不純物の含有量が極めて少ない高純度のコロイダルシリカが得られること、(c)コロイダルシリカに、特定のキレート化剤を混合して、キレート化剤を含有するコロイダルシリカを調製し、そのキレート化剤を含有するコロイダルシリカを陰イオン交換体に接触させることにより、コロイダルシリカ表面に吸着している金属性不純物及びコロイダルシリカの分散媒である水に溶解又は水酸化物の形態で分散した金属性不純物を効果的に除去できるので、コロイダルシリカ中の金属性不純物の含有量を少なくでき、ひいては研磨用組成物中の金属性不純物の含有量を少なくできること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
これらの窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤は、イミノ二酢酸骨格を有する化合物又は水溶性の有機リン酸であることが好ましい。さらに、これらの窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤は、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジピコリン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸若しくはヒドロキシエタンジホスホン酸又はこれらの誘導体若しくはこれらの塩であることが好ましい。
本発明の研磨用組成物は、キレート化剤によって精製されたコロイダルシリカを含有し、シリカ濃度10重量%でのコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下であることを特徴とする。
ここで、キレート化剤によって精製されたコロイダルシリカ粒子としては、後述の方法によって得られるものであり、その製造工程において、金属性不純物量を上記の範囲以下まで減少させたものである。
本発明でシリカ濃度とは、珪酸アルカリ水溶液、活性珪酸水溶液又はコロイダルシリカ等に含まれるSiO2の重量割合をいう。
コロイダルシリカのシリカ粒子の平均一次粒子径としては、5〜150nmの実質的に単分散であるコロイダルシリカであり、好ましくは20〜100nmである。ここで言う平均一次粒子径とは、窒素吸着BET法により測定される比表面積を、球状粒子の直径に換算したものである。コロイダルシリカ粒子は、大小2種類の粒子径の粒子からなるコロイダルシリカを用いてもよい。この場合は、平均一次粒子径が40〜60nmの粒子と、60〜100nmの粒子の2種類の粒子であってその重量比が1:0.05〜1:0.3であるものが特に好ましい。また、コロイダルシリカ粒子は、大中小3種類の粒子径の粒子からなるコロイダルシリカを用いてもよい。この場合は、平均一次粒子径が15〜30nmの粒子と30〜50nmの粒子と、60〜100nmの粒子の3種類の粒子であってその重量比がほぼ当量であるものが特に好ましい。
溶媒としては、金属性不純物の含有量が少ない水が好ましいが、必要に応じてアルコール等の有機溶媒を含有することもできる。
コロイダルシリカの濃度は、1〜60重量%であるが、研磨に使用する際に1〜40重量%に希釈して用いることができる。
また、アルカリ性化合物として、pH9.0〜11.0の間で緩衝溶液を形成するイオン種で構成された緩衝液を用いることができる。緩衝溶液が強アルカリと弱酸の組み合わせで構成され、その陽イオンが、四級アンモニウムイオン及びアルカリ金属イオンの少なくとも1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオン、炭酸水素イオン、及びホウ酸イオンの少なくとも1種以上であるものが好ましい。緩衝溶液を形成する陽イオンが、カリウムイオン、ナトリウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオンから選ばれた1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオンおよび炭酸水素イオンのいずれか1種以上であることがさらに好ましい。
本発明の研磨用組成物は、その他の界面活性剤、水溶性高分子、シリコーン消泡剤、殺菌剤、湿潤剤、水混和性有機溶剤、凍結防止剤、防錆剤などを併用することができる。
本発明の研磨用組成物は、キレート化剤によって精製されたコロイダルシリカを含有する。本発明で用いるキレート化剤としては、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤であって、金属の多座配位子として金属と結合し、陰イオン錯体を形成するものであれば、本発明の効果を損なわない限り、任意のものを用いることができる。キレート化剤としては、分子中にイミノ二酢酸骨格を構造の一部に有する化合物又は水溶性の有機リン酸が好ましい。
(a)窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を調製し、該活性珪酸水溶液を陰イオン交換体に接触させる高純度活性珪酸水溶液製造工程を有する方法(特願2004−232393号に記載の方法)。
(b)窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を用いてコロイダルシリカ粒子の成長を行い、キレート化剤を含有するコロイダルシリカを得、次いで、該コロイダルシリカを陰イオン交換体に接触させ、高純度コロイダルシリカを得る高純度コロイダルシリカ製造工程を有する方法(特願2004−232393号に記載の方法)。
(c)コロイダルシリカに、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を混合し、キレート化剤を含有するコロイダルシリカを得るキレート化剤混合工程、及び該コロイダルシリカを陰イオン交換体に接触させる陰イオン交換体接触工程を有する方法(特願2004−230610号に記載の方法)。
H形陽イオン交換体としては、イオン交換樹脂、イオン交換膜、ゼオライト等の無機化合物等が挙げられるが、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。珪酸アルカリ水溶液又はキレート化剤を含有する珪酸アルカリ水溶液と、H形陽イオン交換体を接触させる方法としては、例えば、珪酸アルカリ水溶液又はキレート化剤を含有する珪酸アルカリ水溶液に、H形陽イオン交換体を添加し攪拌する方法、又は珪酸アルカリ水溶液又はキレート化剤を含有する珪酸アルカリ水溶液を、H形陽イオン交換体が充填されているカラムに通過させる方法が挙げられる。
本発明の研磨用組成物の調整方法を示す。
前記したキレート化剤によって精製された高純度コロイダルシリカであって、シリカ濃度が15〜65重量%のコロイド溶液に、前記したアルカリ性化合物を加える。アルカリ性化合物として緩衝溶液を用いる場合には、前述のイオン種で構成される高濃度の緩衝組成溶液をあらかじめ作成しておき、加えることができる。
続いて、水及び塩類を含み、界面活性剤や水溶性高分子を0.001〜10mmol/Kg含有する溶液あるいはその混合物を作成し、これを用いて前記の溶液を希釈することにより、研磨用組成物を得る。水の代わりに、水と有機溶剤の混合物を用いることもできる。さらに必要に応じてその他の界面活性剤、水溶性高分子、シリコーン消泡剤、殺菌剤、湿潤剤、水混和性有機溶剤、凍結防止剤、防錆剤などを添加することができる。
本発明の研磨用組成物は被研磨物に適合したシリカ濃度に希釈調製して、さらに必要に応じて界面活性剤、水溶性高分子、pH調節剤などを添加して、被研磨物用の研磨剤として使用する。実際の研磨加工時におけるシリカ濃度は被研磨物の種類や研磨装置の機種、研磨条件により異なり、限定することはできないが、1〜40重量%であることが肝要である。一例を挙げれば、好ましい範囲は、シリコンウエハの表面研磨では1〜10重量%であり、外周部研磨では1〜15重量%である。タンタル酸リチウム基板や水晶基板のような硬脆性材料では20重量%以上である。
本発明の研磨用組成物を用いた研磨方法としては、例えば被研磨物であるシリコンウエハの表面または外周部を研磨する方法を示すことができる。表面の研磨は、研磨布を上下両面あるいは片面に貼付した回転可能な定盤を有する研磨装置に、被研磨物であるシリコンウエハを載置押圧し、前記定盤及び被加工物の双方あるいは一方を回転しつつ、上述の研磨剤を供給しながら研磨を行なう方法が適用できる。研磨布は、合成樹脂発泡体、合成皮革あるいは不織布等、通常用いられているものを使用することができる。平面研磨においては、単一回転方式、オービタル運動方式、リニア運動方式などの様々な研磨装置が提案されており、これらのいかなる装置をも使用することができる。
外周部の研磨は、表面に研磨布を貼付したドラム形状の研磨部材または、円弧状をした作業面を持つ研磨具を有する研磨装置に、ウエハ等の被加工物の外周部分を押圧し、研磨部材及び/または前記被加工物を回転させつつ、上述の研磨剤を供給しながら、前記被加工物の外周部分の研磨を行なう方法が適用できる。外周部研磨においては、特開平07−314304号公報、特開2000−317788号公報、特開2002−36079号公報記載の研磨装置などが適宜使用できる。特に最近では外周部の垂直端面と傾斜面とを同時に研磨する方法が提案されていて好ましい。これらに限定する物ではなく従来より使用されてきたいかなる装置も使用することができる。
以下の製造例1〜3に従い、高純度コロイダルシリカを製造した。
(製造例1)
脱イオン水281kgに、JIS3号珪酸ソーダ(SiO2:28.8重量%、Na2O:9.8重量%、H2O:61.4重量%)52kgを加えて均一に混合しシリカ濃度4.5重量%の珪酸ソーダ水溶液を作成した。この珪酸ソーダ水溶液を、予め塩酸によって再生したH形強酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B、オルガノ社製)120Lが充填されたカラム(以下、H形強酸性陽イオン交換樹脂カラムと記載する。)に通して脱アルカリし、シリカ濃度3.7重量%、pH3.0の活性珪酸水溶液380kgを得た。
得られた高純度コロイダルシリカ(A)の1kgサンプルに、6%硝酸を添加し、中和した。次いで、更に、6%硝酸を、添加後の硝酸の濃度が0.2mol/kgとなるまで添加した。次いで、純水を添加して、シリカ濃度が10.0重量%となるように調整した。純水の添加後、1時間放置した後、分画分子量6000の中空糸形限外濾過膜(マイクローザUFモジュールSIP−1013、旭化成製)を用いて限外濾過をおこない濾水を採取した。採取した濾水中のCu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率をICP質量分析装置により分析した。その結果を表1に示した。
EDTA−2Naの添加および陰イオン交換を行わない以外は、製造例1と同様の方法で行い、活性珪酸水溶液を得た。
高純度活性珪酸水溶液に代え、活性珪酸水溶液とする以外は、製造例1と同様の方法でコロイダルシリカの粒子成長および濃縮を行い、シリカ濃度20%のコロイダルシリカ(B)を得た。得られたコロイダルシリカ(B)中のシリカ1kg当たりのCu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率を測定した結果を、表1に示した。
製造例1と同様の方法でコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量の測定を行い、その結果を表1に示した。
EDTA−2Naの添加および陰イオン交換を行わない以外は、製造例1と同様の方法で行い、活性珪酸水溶液を得た。
得られた活性珪酸水溶液を、予め塩酸によって再生したH形キレート樹脂(アンバーライトIRC−748、オルガノ社製)10Lが充填されたカラムに通し、シリカ濃度3.0重量%、pH3.0の活性珪酸水溶液を得た。
製造例1と同様の方法でコロイダルシリカの粒子成長および濃縮を行い、シリカ濃度20%のコロイダルシリカ(C)を得た。得られたコロイダルシリカ(C)中のシリカ1kg当たりのCu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率を測定した結果を、表1に示した。製造例1と同様の方法でコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量の測定を行い、その結果を表1に示した。
EDTA−2Naを、添加後の濃度が、活性珪酸水溶液中のシリカ1kgに対して26mmolとなるように添加することに代え、シュウ酸を、添加後の濃度が、活性珪酸水溶液中のシリカ1kgに対して26mmolとなるように添加する以外は、製造例1と同様の方法で行い、活性珪酸水溶液を得た。
希釈珪酸ソーダにキレート化剤を添加し、ビルドアップの工程後に強塩基性陰イオン交換樹脂と接触させる製造方法の例を示す。
脱イオン水281kgにJIS3号珪酸ソーダ(SiO2:28.8重量%、Na2O:9.5重量%、H2O:61.7重量%)52kgを加えて均一に混合しシリカ濃度4.5重量%の希釈珪酸ソーダ水溶液を作成した。この希釈珪酸ソーダ水溶液中のシリカ1kg当たりのCu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率は、それぞれ98μg/kg、530μg/kg、650μg/kg、39500μg/kg、950μg/kgであった。この希釈珪酸ソーダ水溶液を攪拌下にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水塩(EDTA−2Na)粉末を72g加えて溶解した。EDTA−2Naの添加量は希釈珪酸ソーダ水溶液中のシリカ1kgに対して13mmolになる。このEDTA−2Naを含有する希釈珪酸ソーダを予め塩酸によって再生した製造例1で用いたH形強酸性陽イオン交換樹脂カラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度3.7重量%でpH3.2の活性珪酸水溶液380kgを得た。以下、ビルドアップの手法によりコロイダルシリカ粒子成長工程を行った。すなわち、この活性珪酸水溶液の一部47kgを採り、攪拌下に高純度水酸化テトラメチルアンモニウムの20%水溶液1.4kgを添加してpHを9.0とし、98℃まで加熱して、3時間98℃を保持し、攪拌を続けた。次いで、残部の活性珪酸水溶液333kgを8時間かけて添加した。添加中は98℃を保ち、また、10重量%水酸化テトラメチルアンモニウムを30分おきに添加し、pHを10に保った。活性珪酸水溶液の添加終了後、更に95℃で12時間保った後、50℃まで放冷した。次いで、予め高純度水酸化テトラメチルアンモニウムの10%水溶液によって再生されたOH形強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通し、シリカ濃度3.0重量%、pH10の高純度コロイダルシリカを得た。次いで、製造例1と同じ方法で限外濾過を行い、シリカ濃度20重量%の高純度コロイダルシリカ(E)を得た。この高純度コロイダルシリカ(E)は、pHが9.7、BET法による粒子径は15nmであった。また、高純度コロイダルシリカ中のシリカ1kg当たりのCu、Mn、Ni、Fe、Znの含有率は、それぞれ24μg/kg、200μg/kg、140μg/kg、12000μg/kg、50μg/kg未満(検出限界未満)であった。
製造例1で作成したコロイダルシリカを用いて、コロイダルシリカの精製を行った。
製造例1で作成したコロイダルシリカ(A)に純水を加えてシリカ濃度15重量%とした後、ニトリロトリメチレンホスホン酸(以下、NTPと記載する。)を、添加後の濃度が、シリカ1kgに対して10mmolとなるように攪拌下添加した。NTPを添加後、1時間攪拌放置し、NTPを含有するコロイダルシリカ希釈液を、予めアンモニア水によって再生したOH形強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通し、高純度コロイダルシリカを得た。次いで、製造例1と同じ方法で限外濾過を行い、シリカ濃度20重量%の高純度コロイダルシリカ(F)を得た。
製造例1と同様の方法でコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量の測定を行い、その結果を表2に示した。
製造比較例3で作成したコロイダルシリカを用いて、コロイダルシリカの精製を行った。
製造比較例3で作成したコロイダルシリカ(D)に純水を加えてシリカ濃度15重量%とした後、シュウ酸を、添加後の濃度が、シリカ1kgに対して10mmolとなるように攪拌下添加した。シュウ酸を添加後、1時間攪拌放置し、シュウ酸を含有するコロイダルシリカ希釈液を、予めアンモニア水によって再生したOH形強塩基性陰イオン交換樹脂カラムに通し、コロイダルシリカを得た。次いで、製造例1と同じ方法で限外濾過を行い、シリカ濃度20重量%の高純度コロイダルシリカ(G)を得た。
製造例1と同様の方法でコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中の金属性不純物の含有量の測定を行い、その結果を表2に示した。
(研磨剤の調製方法)
製造例1〜3及び製造比較例1〜4と同様の方法で製造した7種類のコロイダルシリカに市販の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)20%、及び炭酸水素テトラメチルアンモニウム(TMAHを炭酸ガスでpH8.4に中和して作成)を、シリカ1kgに対してそれぞれ0.10及び0.11molとなる量で攪拌下に添加し、緩衝溶液組成の研磨剤原液を7点調製した。この7点の研磨剤原液はいずれもpH10.3であり、シリカ濃度は20%である。
上記の7点の研磨剤原液をそれぞれ625gはかり採り、それぞれに純水4375gを加えて攪拌し、シリカ濃度2.5%の研磨剤を7点作成した。
得られた研磨用組成物のシリカ濃度10%当たりの不純物濃度を表3に示した。
効果を判り易くするため研磨時間を通常より長くした。
研磨装置:スピードファム株式会社製、SH−24型片面研磨装置
定盤回転数:70RPM 、プレッシャープレート回転数:50RPM、
研磨布:SUBA600(ロデールニッタ社製)、 面圧力:400g/cm2
研磨組成物流量:100ml/分、 研磨時間:10分
被加工物:エッチング済み4インチシリコンウエハ
上記7点の研磨剤を使用した時の汚染状況を確認した。汚染状況としては研磨後のウエハ表面に付着した金属不純物を確認した。これはVPD-AAS(Vapor Phase Decomposition and Atomic Absorption Spectroscopy)により評価した。VPD-AASはウエハ表面の自然酸化膜をHF蒸気で気相分解し、その時同時に分解された不純物をHClやHF等の薬液で回収し原子吸光光度計で定量分析する手法である。
上記実施例1〜3によって研磨した後のウエハの平坦度はいずれも良好であり、研磨傷等の発生もなかった。 汚染状況の結果を表4及び図1に記載した。製造例1〜3の研磨用組成物は、製造比較例1〜4の研磨用組成物を使用した場合に比較して、ウエハ表面の汚染が明らかに低いことが判った。
Claims (11)
- キレート化剤によって精製されたコロイダルシリカを含有する研磨用組成物であって、シリカ濃度10重量%でのコロイダルシリカ粒子表面及び分散媒中に存在する金属性不純物として、Cuが10ppb以下、Niが20ppb以下、Znが20ppb以下であることを特徴とする、研磨用組成物。
- コロイダルシリカのシリカ粒子の平均粒子径が5〜150nmであり、かつコロイダルシリカのシリカ濃度が1〜60重量%であることを特徴とする請求項1に記載の研磨用組成物。
- さらにアルカリ性化合物を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
- アルカリ性化合物が、pH9.0〜11.0の範囲でpH緩衝作用を呈する緩衝溶液であることを特徴とする、請求項3に記載の研磨用組成物。
- 緩衝溶液が強アルカリと弱酸の組み合わせで構成され、その陽イオンが、4級アンモニウムイオンまたはアルカリ金属イオンの少なくとも1種以上であり、陰イオンが、炭酸イオン、炭酸水素イオン、またはホウ酸イオンの少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の研磨用組成物。
- 窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を、陰イオン交換体に接触させて得られた高純度活性珪酸水溶液を用いて製造した高純度コロイダルシリカを使用する、請求項1〜5に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を含有する活性珪酸水溶液を用いてコロイダルシリカ粒子の成長を行い、キレート化剤を含有するコロイダルシリカを得、次いで、該キレート化剤を含有するコロイダルシリカを、陰イオン交換体に接触させて得られた高純度コロイダルシリカを使用する、請求項1〜5に記載の研磨用組成物の製造方法。
- コロイダルシリカに、窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤を混合し、キレート化剤を含有するコロイダルシリカを得るキレート化剤混合工程、及び該キレート化剤を含有するコロイダルシリカを、陰イオン交換体に接触させる陰イオン交換体接触工程を行って得られた高純度コロイダルシリカを使用する、請求項1〜5に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 前記窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤が、イミノ二酢酸骨格を有する化合物又は水溶性の有機リン酸であることを特徴とする請求項1〜5に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 前記窒素原子又は燐原子を有するキレート化剤が、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、1,3−プロパンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジピコリン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸若しくはヒドロキシエタンジホスホン酸又はこれらの誘導体若しくはこれらの塩であることを特徴とする請求項6〜9に記載の研磨用組成物の製造方法。
- 請求項1〜5に記載の研磨用組成物を用いてシリコンウエハの表面または外周部を研磨する、シリコンウエハの研磨方法。
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