JP2006104305A - 固相重縮合方法、固相重縮合物および固相重縮合装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、溶融重縮合工程および固相重縮合工程を含むポリマーの重縮合方法において、固相重縮合をマイクロ波を照射して行うことにより課題を解決するものである。
【選択図】なし
Description
また、経済的には、固相重合工程を、均一かつ短時間で行うことが望まれる。
本発明は、極めて均一性の高い重合体生成物を効率的に得る固相重縮合方法を実現することを目的とするものである。
(2)固相重縮合対象の重合体の表面、内部の各部分が同時昇温するので、該重合体を微細な粉体とする必要がなく、粉塵の発生、該重合体粒子同士の融着等を回避することができ、かつ、昇温が早い。
(3)固相重縮合対象の重合体の各部分が同時昇温するので、重合体内部および重合体粒子間の固相重縮合が均一に進行する。
(4)したがって、固相重縮合対象の重合体の表層部の重合反応が優先的に進行することがなく、表層部が高重合度化することによる内部からの揮発成分の除去の阻害、長時間加熱による表層部での分解反応が抑制され、製品中の低分子量化合物含有量が少ない。
ポリエステル樹脂は本発明を適用するのに特に好ましい。特に好ましいものは、透明性と低分子量化合物(オリゴマー、アセトアルデヒド等)の含有が問題となる容器、特に飲料用ボトルに使用されるPET、PENであり、成形体が高温環境下に置かれる可能性のあるサーモトロピック液晶ポリエステルである。
溶融重縮合は、通常は常圧下で上記アセチル化温度〜370℃、好ましくは上記アセチル化温度〜330℃の範囲で酢酸を系外へ継続的に留出させながら行う。また反応温度を、徐々に(例えば0.5℃/分程度)昇温して実施することが好ましい。
PETおよびPENの溶融重縮合方法は、公知の方法、例えば特開平6−322082、特開平7−18068による。
SUS316を材質とし、ダブルヘリカル攪拌翼を有する6L重合槽(神戸製鋼所製)にp−ヒドロキシ安息香酸1.33kg(9.6モル)、p,p’−ビフェノール0.60kg(3.2モル)、テレフタル酸0.4kg(2.4モル)、イソフタル酸0.13kg(0.8モル)、触媒として酢酸カリウム0.2g、酢酸マグネシウム0.5gを仕込み、重合槽の減圧−窒素注入を2回行って窒素置換した後、減圧加圧を行うことなく、無水酢酸1.72kg(16.8モル)を添加し、攪拌翼の回転数45rpmで150℃まで1.5時間で昇温して還流状態で2時間アセチル化反応を行った。アセチル化終了後、酢酸留出状態にして0.5℃/分で昇温して、305℃において重合物を重合槽下部の抜き出し口から取り出した。取り出した重合体を冷却固化した後、ホソカワミクロン株式会社製の粉砕機により概ね5mm以下に粉砕した。(以下、「重合体A」という。)
さらに、JIS標準フルイにて、5メッシュ(呼び径4.00mm)通過〜270メッシュ(呼び径53μm)不通の範囲にある粉砕物を選別した。このうち、83質量%は、5メッシュ(呼び径4.00mm)通過〜100メッシュ(呼び径150μm)の範囲にあった。(以下、「重合体B」という。)
見掛け粘度を、インテスコ(株)製キャピラリーレオメーター(Model 2010)を用い、キャピラリーとして径1.0mm、長さ40mm、流入角90°のものを用い、せん断速度100sec−1で300℃から+4℃/分の昇温速度で等速加熱を用いながら測定し、300℃における見かけ粘度を求めた。「重合体A」、「重合体B」ともに、50poiseであった。
実施例において使用した固相重縮合装置の概要を図1に示す。
1は固相重縮合装置であり、マイクロ波発振器2(周波数2.45GHz、出力1.5kW/1.0kW/0.6kW/0.5kW/0.2kWで切り替え可能。)を内蔵し、固相重縮合室3の底面4はターンテーブル機構を有している。固相重縮合を施される重合体は容器5(底面30mmφ、高さ60mmのガラス製。)に充填され、セラミック熱電対6を中央に挿入されて3内に設置され、2からマイクロ波を照射される。4のターンテーブル機構は、必要に応じて使用する。6は熱電対である。以下の説明における温度は熱電対6により測定したものである。
比較例において使用した固相重縮合装置は、実施例の装置のマイクロ波発信器2に替えて電熱ヒーター7を有するものである。
<実施例1>
固相重縮合装置1の耐熱ガラス容器5に充填した重合体A30gに1.0kWのマイクロ波を照射した。照射開始から5分で260℃となったので照射を停止した。この時の見かけ粘度は100poiseであった。その後、出力と照射時間を適宜調整し260℃を30分間維持した後、容器を取り出し、固相重縮合物を回収した。回収物の見かけ粘度は200poiseであった。なお、回収時に粉砕体間、および、粉砕体と容器壁間に融着はなかった。
耐熱ガラス容器に充填した重合体B30gに、1.0kWのマイクロ波を照射した。照射開始から4分で温度が260℃となったので照射を停止した。この時の見かけ粘度は100poiseであった。その後、出力と照射時間を適宜調整し260℃を30分間維持した後、容器を取り出し、固相重縮合物を回収した。回収物の後の見かけ粘度は200poiseであった。回収時に粉砕体間、および、粉砕体と容器壁間に融着はなかった。
固相重合装置内の耐熱ガラス容器に重合体A30gを充填し、電熱ヒーター7により加熱した。加熱開始から5分後では50℃であったが、30分後に260℃となった。以後、電熱ヒーターのオンオフを適宜調整し260℃にて5分間維持した後、容器を取り出し、固相重縮合物を回収した(全固相重縮合工程の時間を実施例1と同じ35分とした。)。回収物の見かけ粘度は70poiseであり、重縮合反応の進行は認められなかった。回収時には、壁近傍の粉砕体と容器壁間に融着が見られた。
固相重合装置内の耐熱ガラス容器に重合体B30gを充填し、電熱ヒーターにより加熱した。加熱開始5分後では50℃であったが、30分後に260℃となった。以後、電熱ヒーターのオンオフを適宜調整し260℃にて5分間維持した後、容器を取り出し、固相重縮合物を回収した。回収物の見かけ粘度は70poiseであり、重縮合反応の進行は認められなかった。回収時には、壁近傍の粉砕体と容器壁間に融着が見られ、一部は回収不能となった。
重合体Bについて比較例2に準じた処理を行った。加熱開始5分後では100℃、15分後に240℃、35分後に280℃となった。容器を取り出し、固相重縮合物の回収を試みたが、粉砕体全体と容器壁間に融着が見られ、回収不能であった。
重合体Bについて比較例2と同様の処理行った後、見かけ粘度を実施例2と同じにするために、さらに3時間、温度を260℃に維持した後、容器を取り出し、固相重縮合物を回収した。回収物の見かけ粘度は200poiseであった。回収時には、壁近傍の粉砕体と容器壁間に融着が見られ、一部は回収不能となった。
実施例1、実施例2、および、比較例4で回収された固相重縮合体を、粉砕機により重量平均粒径1mmに粉砕し、得られた粉砕物を20mlのバイアル瓶に入れて密封した後、130℃で12時間熱処理を行った。発生した酢酸およびフェノールのガスをヒューレットパッカード社製のヘッドスペースサンプラー(HP7694)を接続したガスクロマトグラフィー(HP6890)により定量した。
カラムには化学品検査協会製のG−100(40m)を用い、その他の条件は、初期温度45℃、昇温速度20℃/分、最終温度280℃、ヘリウム圧8.3psiおよびスプリット比2.0として、FID検出器を用いて測定を行った。
実施例1の試料から発生した酢酸は50ppm、フェノールは10ppm、実施例2から発生した酢酸は15ppm、フェノールは4ppm、であった。比較例4から発生した酢酸は200ppm以上(オーバースケール)、フェノールは50ppmであった。
ジメチル―テレフタルカルボキシレート0.97kg(5.0モル)、エチレングリコール0.62kg(10.0モル)、触媒として0.05kgの酢酸マグネシウムをエステル交換反応槽に仕込み、170〜215℃でエステル交換反応を行った。留出物が出なくなった時点で重合反応槽に移した。240〜250℃で約10分間常圧反応せしめ、その後270℃で高真空下(数mmHg以上の高真空)にて2時間間反応を行った。系内を加圧して反応物を排出させる際にペレタイザーを経由させ約2mmφ×4mmのペレットとした。得られた重合体の固有粘度[η]は0.65(フェノール/テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒中、30℃で測定。以下、同じ。)であった。
<実施例3>
固相重縮合装置内の耐熱ガラス容器に上記溶融重合PETペレット30gを充填し、0.6kWのマイクロ波を照射した。照射開始から5分で温度が210℃となったので照射を停止した。この時の固有粘度[η]は0.87であった。その後、出力と照射時間を適宜調整し210℃にて30分間維持した後、容器を取り出し、ペレットを回収した。なお、回収時にペレット間およびペレットと容器壁間に融着はなかった。回収ペレットの[η]は1.05であった。
固相重合装置内のステンレス容器に上記溶融重合PETペレット30gを充填し、電熱ヒーターで加熱した。加熱開始5分後では50℃であったが、30分後に210℃となった。以後、電熱ヒーターのオンオフを適宜調整し210℃の温度を30分間維持した後、容器を取り出し、ペレットを回収した。回収時には、壁近傍のペレットと容器壁間に軽い融着が見られた。回収ペレットの[η]は0.65であった。
ステンレス容器に充填した上記溶融重合PETペレット30gを、電熱ヒーターで加熱した。温度は加熱開始5分後では50℃であったが、30分後に210℃となった。以後、電熱ヒーターのオンオフを適宜調整し210℃の温度を、[η]を実施例3と同じにするため、10時間維持した後、容器を取り出し、ペレットを回収した。なお、回収時にペレットと容器壁間に融着が見られ、一部は回収不能となった。回収ペレットの[η]は1.05であった。
実施例3および比較例6で得られた固相重縮合体各200mgを、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)混液2mlに溶解し、更にクロロホルム20mlを加えて希釈した。これにメタノール10mlを加え試料を再析出させ濾過した後の濾液を得た。該濾液を乾固後、残渣をジメチルホルムアミド25mlに溶解した液についてオリゴマー含有量液体クロマトグラフシステム(島津製作所製LC―6Aシステム)で分析定量した。ここでオリゴマーとは、テレフタル酸グリコール単位が2〜5量化した鎖状または環状の化合物をいう。
実施例3中のオリゴマー量は0.20質量%、比較例6中のオリゴマー量は、0.32質量%であった。
ジメチル―2,6―ナフタレンジカルボキシレート1.22kg(5.0モル)、エチレングリコール0.62kg(10.0モル)、触媒として酢酸マグネシウム0.05kgをエステル交換反応槽に仕込み、190〜255℃でエステル交換反応を行った。留出物が出なくなった時点で重合反応槽に移した。270〜280℃で約10分間常圧反応せしめ、その後290℃で高真空下(数mmHg以上の高真空)にて2時間間反応を行い、系内を加圧して反応物を排出させる際にペレタイザーをして経由させ約2mmφ×4mmのペレットとした。得られたポリマーの固有粘度[η]は0.60(フェノール/テトラクロルエタン(重量比1/1)の混合溶媒中、35℃で測定。以下、同じ。)であった。
<実施例4>
固相重合装置内の耐熱ガラス容器に上記溶融重合PENペレット30gを充填し、0.6kWのマイクロ波を照射した。照射開始から6分で230℃となったので照射を停止した。この時の[η]は0.80であった。その後、出力と照射時間を適宜調整し230℃の温度を30分間維持した後、容器を取り出し、ペレットを回収した。なお、回収時にペレット間およびペレットと容器壁間に融着はなかった。回収ペレットの[η]は1.00であった。
耐熱ガラス容器に上記溶融重合PENペレット30gを充填し、電熱ヒーターで加熱した。加熱開始5分後では50℃であったが、30分後に230℃となった。以後、電熱ヒーターのオンオフを適宜調整し230℃の温度を30分間維持した後、容器を取り出し、ペレットを回収した。回収時には、壁近傍のペレットと容器壁間に軽い融着が見られた。回収ペレットの[η]は0.68であった。
ステンレス容器に上記溶融重合PETペレット30gを充填し電熱ヒーターにより加熱した。加熱開始5分後では50℃であったが、30分後に230℃となった。以後、電熱ヒーターのオンオフを適宜調整し230℃にて、[η]を実施例4と同じにするために10時間維持した後、容器を取り出し、ペレットを回収した。なお、回収時にペレットと容器壁間に融着が見られ、一部は回収不能となった。回収ペレットの[η]は1.00であった。
実施例4および比較例8で得られた固相重縮合体各200mgを、クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)混液2mlに溶解し、更にクロロホルム20mlを加えて希釈した。これにメタノール10mlを加え試料を再析出させ濾過した後の濾液を得た。該濾液を乾固後、残渣をジメチルホルムアミド25mlに溶解した液についてオリゴマー含有量液体クロマトグラフシステム(島津製作所製LC―6Aシステム)で分析定量した。
実施例4中のオリゴマー量は0.27質量%、比較例8中のオリゴマー量は、0.36質量%であった。ここでオリゴマーとは、ナフタレングリコール単位が2〜5量化した鎖状または環状の化合物をいう。
特に、本発明により得られるサーモトロピック液晶ポリマーは腐食性ガスの発生を嫌う電気電子部品(コネクター等)用のベースレジンとして、PENおよびPENは、飲料用容器等の各種食品包装材料に使用されるとその効果が大きい。
2 マイクロ波発振器
3 固相重縮合室
4 ターンテーブル
5 容器
6 セラミック熱伝対
7 電熱ヒーター
Claims (8)
- 溶融重縮合工程および固相重縮合工程を含むポリマーの重縮合方法において、固相重縮合をマイクロ波を照射して行うことを特徴とする重縮合方法。
- ポリマーがポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1記載の重縮合方法。
- ポリマーがポリエチレンナフタレンジカルボキシレートであることを特徴とする請求項1記載の重縮合方法。
- ポリマーがサーモトロピック液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1記載の重縮合方法。
- ポリマーが融点320℃以上の全芳香族液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項4記載の重縮合方法。
- ポリマーが脱酢酸反応を含む溶融重縮合方法により得られるサーモトロピック液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1、4または5に記載の重縮合方法。
- 溶融重縮合工程およびマイクロ波を照射する固相重縮合工程を含む重縮合方法によって得られたポリマー。
- 溶融重縮合工程および固相重縮合工程を含むポリマーの重縮合方法に使用する固相重縮合装置であって重合体に照射するマイクロ波発生装置を有することを特徴とする固相重縮合装置。
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