JP2006104231A - 緩衝器用油圧作動油及びそれを備えた油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の緩衝器用油圧作動油は、分子中に1個以上のエステル結合を有する合成エステル又は動植物油のいずれかの基油を主成分としかつ生分解性を有し、この油圧作動油の40℃における動粘度が8mm2/秒以上かつ17mm2/秒以下であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
例えば、自動車等の車両においては、車体のサスペンション(懸架装置)やエンジンの固定装置等に筒型の油圧緩衝器を装着させることにより、車両が道路等を走行する際に発生する振動、エンジンの駆動に伴う振動等を減衰させ、操縦性、安定性、乗り心地等を確保するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
(1)鉱油系油圧作動油は、生分解性を持たないために、生分解性を有する油類とは区別して回収し、廃棄処分する必要がある。例えば、油圧緩衝器の使用中に鉱油系基油が周囲に飛散、または漏洩した場合、あるいは、鉱油系基油を廃棄処理する際に周囲に飛散、あるいは漏洩した場合、汚染土壌の処理等、環境への負荷が非常に大きくなる。
(2)鉱油系油圧作動油は、摩擦係数が高く、しかも潤滑性が低いために、摩擦係数の低減、および潤滑性の向上を図るためには、別途添加剤を添加する必要がある。
すなわち、本発明の緩衝器用油圧作動油は、分子中に1個以上のエステル結合を有する合成エステルまたは動植物油のいずれかの基油を含有してなる緩衝器用油圧作動油であって、前記基油の含有量が前記緩衝器用油圧作動油の総量に対して50wt%以上であり、かつ、この緩衝器用油圧作動油は生分解性を有することを特徴とする。
前記緩衝器用油圧作動油の40℃における動粘度が8mm2/秒以上かつ17mm2/秒以下であることが好ましい。
また、生分解性を有することにより、周囲に飛散、または漏洩した場合においても処理が容易となり、環境への負荷は非常に小さい。
本発明において、「生分解性を有する」とは、OECDの化学品テストガイドライン301B、301Cにおける試験で、28日以内、60%以上の分解度を達成できるということである。
また、周囲に飛散、または漏洩した場合においても、処理が容易であるから、環境への負荷は非常に小さいものとなる。
また、生分解性を有する油圧作動油は、オイルシール等の部材になじみ易いために、この部材を膨潤させ緊迫力を高める。これにより、油漏れ等の不具合が防止される。
また、生分解性を有するので、周囲に飛散、または漏洩した場合においても処理が容易であり、環境への負荷が非常に小さい。
また、油圧作動油が周囲に飛散、または漏洩した場合においても、処理が容易であり、環境への負荷を低減することができる。
また、生分解性を有する油圧作動油は、オイルシール等の部材になじみ易いので、オイルシール等の部材を膨潤させて緊迫力を高めることができる。したがって、油漏れ等の不具合を防止することができる。
ここでは、油圧緩衝器として自動車に装備される複筒式の油圧緩衝器を例に取り説明する。
この基油は、合成エステルを主成分としかつ生分解性を有するものであればよく、合成エステルの他に、生分解性を有する物質として、例えば、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、植物油等の天然油脂等を含んでいてもよい。
合成エステルとしては、例えば、ジエステルタイプ、ポリオールエステルタイプが好適に用いられ、特に、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、炭素数8〜13に分岐鎖アルコールから合成されるエステル等のジエステルが好適である。
ここで、40℃における動粘度を上記の様に限定した理由は、動粘度が8mm2/秒未満であると、高温下で粘度が低下し、減衰力特性が得られないからであり、また、動粘度が17mm2/秒を超えると、作動時の減衰力特性が悪化し、乗り心地に影響するからである。
分散剤としては、例えば、アルケニルコハク酸イミド等が挙げられる。この添加量は、油圧作動油の総量に対して0.05〜7重量%である。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、カーバメイト系酸化防止剤等が挙げられる。この添加量は、油圧作動油の総量に対して0.05〜2重量%である。
流動点降下剤としては、例えば、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリアルキルスチレン等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤等が挙げられる。この添加量は、油圧作動油の総量に対して0.01〜1重量%である。
粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート、ポリイソブチレン、オレフィンコポリマー等が挙げられる。この添加量は、油圧作動油の総量に対して3〜15重量%である。
また、生分解性を有するので、万が一周囲に飛散、または漏洩した場合においても、土壌等の汚染処理が容易であり、環境への負荷は非常に小さいものとなる。
また、この油圧作動油が周囲に飛散、または漏洩した場合においても、土壌等の汚染処理が容易となり、環境への負荷を低減することができる。
また、この油圧作動油は、オイルシール等の部材になじみ易いので、オイルシール等の部材を膨潤させて緊迫力を高めることができる。したがって、油漏れ等の不具合を防止することができる。
合成エステルとして、OECD301Bでの生分解率(%)各々が表1に示す数値となる油圧作動油を調整し、実施例1〜3の基油配合比率とした。
次いで、これら各油圧作動油の総量に対して、酸化防止剤としてヒンタードフェノールを0.3重量%、粘度指数向上剤としてポリメタクリレートを5重量%、摩擦調整剤として脂肪族アミンを0.3重量%、摩耗防止剤として亜リン酸エステルを0.5重量%それぞれ添加し、実施例1〜3の緩衝器用油圧作動油を作製した。
合成エステルとして、OECD301Bでの生分解率(%)が本発明の範囲外である表1に示す数値となるように、合成エステルと鉱油の配合を調整し、比較例1〜3の基油配合とした。
次いで、これら各油圧作動油の総量に対して、酸化防止剤としてヒンタードフェノールを0.3重量%、粘度指数向上剤としてポリメタクリレートを5重量%、摩擦調整剤として脂肪族アミンを0.3重量%、摩耗防止剤として亜リン酸エステルを0.5重量%それぞれ添加し、比較例1、2の緩衝器用油圧作動油を作製した。
次いで、この油圧作動油の総量に対して、酸化防止剤としてヒンタードフェノールを0.3重量%、粘度指数向上剤としてポリメタクリレートを5重量%、摩擦調整剤として脂肪族アミンを0.3重量%、摩耗防止剤として亜リン酸エステルを0.5重量%それぞれ添加し、比較例3の緩衝器用油圧作動油を作製した。
生分解率(%)は、OECDの化学品テストガイドライン301Bに準拠して測定した。
動粘度(mm2/s)は、JIS K 2283に準拠して、40℃における動粘度(mm2/秒)を測定した。
低温粘度(mPa・s)は、ASTM(American Society for Testing and Materials)規格D−2983に準拠して、−40℃にて測定した。
各実施例および比較例の緩衝器用油圧作動油200mlを試験用油圧緩衝器に封入し、油圧試験機にセットした。ピストンのストロークを±25mm、伸速度を1.0m/s、圧速度を0.1m/s、三角波の速度比を10:1とし、200サイクルの慣らし運転に続いて、200サイクルの本運転を行った。その後、この試験用油圧緩衝器を取り外し、ピストンを伸ばした状態でピストンロッドに付着した油圧作動油を、あらかじめ重さを測定したろ紙でふき取った。このろ紙の重さを再度量り、ふき取り前後のろ紙の重さの差を漏れ量(g)とした。
上記の漏れ量の測定と同様に、各実施例および比較例の緩衝器用油圧作動油を試験用油圧緩衝器に封入し、これを油圧試験機にセットした。ここでは、ピストンのストロークを±30mm、周波数を0.01Hz、横力を0kgfとし、油圧緩衝器による抵抗力をフリクションとした。
これらの測定結果を表1に示す。
一方、比較例1、2では、動粘度が本発明の範囲外の合成エステルを基油として用いているために、低温粘度、油漏れ量、フリクションのいずれかが高く、生分解度がクリアできないことが分かった。
また、比較例3では、パラフィン系油を基油として用いているために、低温粘度が実施例1〜3に比べて3〜6倍も高く、油漏れ量およびフリクションについても実施例1〜3に比べて高く、生分解性の基準をクリアできない不十分なものであった。
2 外筒
3 内筒
4 シリンダ
5 ピストンロッド
5a 一端
6 ピストン
7 緩衝器用油圧作動油
8、9 減衰力発生機構
10 シール部材
11 ボトムバルブ
A、B 油室
C リザーバ室
Claims (3)
- 分子中に1個以上のエステル結合を有する合成エステルまたは動植物油のいずれかの基油を含有してなる緩衝器用油圧作動油であって、
前記基油の含有量が前記緩衝器用油圧作動油の総量に対して50wt%以上であり、かつ、この緩衝器用油圧作動油は生分解性を有することを特徴とする緩衝器用油圧作動油。 - 前記緩衝器用油圧作動油の40℃における動粘度が8mm2/秒以上かつ17mm2/秒以下であることを特徴とする請求項1記載の緩衝器用油圧作動油。
- シリンダと、一端側が該シリンダ内に挿入され他端側が該シリンダ外に突出するピストンロッドと、該ピストンロッドの一端側に固定され前記シリンダ内を2つの油室に画成するピストンと、前記2つの油室に充填される請求項1または2記載の緩衝器用油圧作動油と、前記ピストンに設けられて前記2つの油室間の緩衝器用油圧作動油の移動を制御することにより所定の減衰力を発生させる減衰力発生機構とを備えてなることを特徴とする油圧緩衝器。
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