JP2006102757A - テーラードブランク材のプレス成形方法及び装置 - Google Patents

テーラードブランク材のプレス成形方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】テーラードブランク材のプレス成形後に、異なる金属板の接合部にしわが発生するのを抑制する。
【解決手段】パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の温度に対してテーラードブランク材の温度が10℃〜200℃高くなるように、プレス成形用の型を冷却して、プレス成形することにより、テーラードブランク材の弾性変形域でプレス成形を行うことができると共に、応力緩和を抑制でき、仮に異なる金属板の接合部にしわが発生しても、常温まで冷却される過程で熱収縮によってそれが十分に延ばされ、常温まで冷却された後にはしわは残存せず、結果的にしわは発生しない。上記のような温度制御には、冷媒の流量及び温度の少なくとも何れか一方を制御する。また、加工発熱量が大きい部位ほど、プレス成形用の型を局所的に強く冷却するようにするのが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、板厚及び材質の少なくとも何れかが異なる金属板(以下、単に異なる金属板とも記す)を接合したテーラードブランク材のプレス成形方法に関するものである。
近年、自動車の安全性確保と対環境性能に関する要望の高まりから、自動車の車体重量の軽量化が図られつつある。その手段の一つとして、従来、例えば特許文献1に登場する、焼付け塗装後に強度が上昇するBH(Bake Hardening)鋼板や、特許文献2に登場する、高張力鋼板等を各種自動車用部品の素材金属板として用いる方法が採られてきた。これらは何れも、素材金属板を高強度化した分、薄いものを用いるようにし、それにより、軽量化を図ろうとするものである。
一方で、一様な板厚と材質を持つ金属板を、例えば300℃を超える温度に加熱した上でプレス成形することで、金属板の冷却もあわせて行い、焼入れ効果により、プレス成形後の部品を高強度化する特許文献3や特許文献4のような方法も採られることがあった。
特許文献3では、更に、金属板をプレス成形するときの金属板の加熱温度を850℃以上の高温とすることを、特許文献4では、更に、同金属板の加熱温度を300℃を超える温度とし、プレス成形するときの付与歪量を0.1以上、付与歪速度を毎秒0.1以上、冷却速度を毎秒20℃以上とすることを規定している。
あるいは、別な例としては、成形後の部品をさらにプレス成形することで冷却も行い、焼入れ効果で高強度化するプレスクエンチ法と呼ばれる特許文献5のような方法が採られることもあった。
特許文献5では、更に、成形後の部品をプレス成形するときの部品の加熱温度を850℃以上とし、500〜450℃の温度範囲までの冷却速度を毎秒80〜150℃、それ以降、100℃以下までの冷却速度を毎秒20〜100℃とすることを規定している。
これらも、素材金属板として、高強度化する分、薄いものを使うようにし、それにより、軽量化を図ろうとしている点は同じである。また、プレス成形を繰り返すうちに、プレス成形用の型の方が温度上昇してしまう問題は、例えば、特許文献6のように型の内部を水冷することで解決できる。
しかしながら、以上のような方法が登場してきたにもかかわらず、さらに一層の自動車の車体重量の軽量化が要望されている。このような要望に応えるため、部品のうち高い強度の必要な部分にだけ、局部的に、高強度の金属板をプレス成形用の素材として用い、そうでない部分には、比較的低強度の金属板をプレス成形用の素材として用いるようにしようとする動きがある。つまり、部品のうち高い強度の必要な部分にだけ、局部的に、板厚の厚いものを用いたり、高強度の材質のものを用いようというのである。
即ち、板厚及び材質の少なくとも何れかが異なる金属板を接合した、いわゆるテーラードブランク材を素材金属板として用い、それをプレス成形して所望形状に加工する、特許文献7のような方法を採るのであるが、このようなテーラードブランク材のプレス成形方法に関する技術が、今、注目を集めている。
特許文献7では、更に、プレス成形する際に、金属板の歪みの高くなりそうな部分に高強度のものを用い、比較的歪みの小さくなりそうな部分には比較的低強度のものを用いるとしている。
特開2004−43884号公報 特開2003−73775号公報 特開2002−102980号公報 特開2004−25247号公報 特開平10−96031号公報 特開昭52−35756号公報 特開2001−1062号公報 特開2004−34053号公報 特開2004−58082号公報
しかしながら、テーラードブランク材をプレス成形すると、図13(a)に示すように、テーラードブランク材5の接合部にしわRが発生してしまう問題があった。ちなみに、図13(a)は、しわの様子を金属板の板厚方向の断面で見た様子である。このようなしわが発生する原因としては、図13(b)に示すように、パンチ1とダイ2の間で、テーラードブランク材5が摺動しても、接合部の板厚段差のある部分が引っ掛かって破断してしまうことのないよう、逃げ部分と呼ばれる隙間6を設けてあるため、テーラードブランク材5が摺動した際、この隙間6に入り込みやすいから、という点が挙げられる。
しかし、この問題を解決しようと、この隙間6をなくすことは、接合部に板厚段差がある場合、パンチ1あるいはダイ2として、その板厚差に相当する段差を設けたものを使用することになり、そうすると、パンチ1とダイ2の間で、テーラードブランク材5が摺動した際、図13(c)に示すように、先述の通り、接合部の板厚段差のある部分が引っ掛かって破断してしまうため、実際上不可能に近い。しかも、板厚差が全くなくて材質だけが異なるものを接合したテーラードブランク材を用いた場合でも、このしわは発生する場合があった。
即ち、後出図4に示すように、接合部に突き合わせ溶接のビード部が存在するような場合にも同様に逃げ部分が設けられ、強度の弱い側にしわが発生するほか、更に、ビード部も逃げ部分も全く設けられない場合であっても、しわが発生する場合があった。
それについて説明すると、テーラードブランク材5を構成する異なる金属板に作用する摩擦力や押付力が同等であっても、両者で降伏点、加工硬化指数、強度係数等が異なる場合、原初的にそれらの値の小さい側にしわが発生し易く、接合部においては、更に、しわが発生し易い傾向があるが、更に、図13(d)に示すように、パンチ1の厚さ寸法方向の断面で見た場合、テーラードブランク材5のプレス成形に伴う加工は、パンチ1の厚さ寸法方向の両側で行われるものであるところ、片側のテーラードブランク材5の展伸過多となって薄くなり、もう片側では、パンチ1とダイ2の間隔Cが拡大してしまって、そこにテーラードブランク材5がしわRを発生しながら入り込んできてしまうという場合があったのである。
このような問題を解決しようと、テーラードブランク材5の接合部をまたぐようにビード部を形成する特許文献8のような方法が採られる場合もあったが、例えば、自動車のドアのようなものを想像してみても分かる通り、プレス成形後の部品に、そのようなビード部の形跡が残存していると、非常に見苦しく、販売できない、という大きな問題がある。かといって、プレス成形によりこのビード部を何の跡形もなく消滅させることは容易ではない。
一方、話は変わるが、テーラードブランク材を素材金属板として用い、特許文献3や特許文献4あるいは特許文献5のような300℃を超える温度に加熱した上でプレス成形するという方法を組合せる、特許文献9(加熱温度例930℃)のような手立ても別途想定し得るわけで、そのようにすることで、さらなる高強度化を図ろうとする動きもある。
しかし、そのようにした場合、このしわが発生する傾向が、却って助長されるという問題があった。更に、特許文献1や特許文献2のようなBH鋼板や高張力鋼板は、300℃を超える温度に加熱すると変質してしまい、それをテーラードブランク材の一部として用いると、プレス成形後の部品には、必要な部分に所望の強度が得られない場合がある、という問題もあり、この点からも改善が求められていた。
本発明は上記諸問題を解決するためになされたものであり、異なる金属板の接合部にしわが発生しにくいテーラードブランク材のプレス成形方法及び装置を提供することを目的とするものである。
発明者は、テーラードブランク材を850℃以上とか930℃という高温ではなく、適切な温度(50℃〜300℃)としてプレス成形すると、金属板の接合部にしわが発生しにくくなること、そして、それには、テーラードブランク材の温度がプレス成形用の型の温度よりも10℃〜200℃高くなるように当該プレス成形用の型を冷却することが重要になること、に気付き、本発明に想到した。テーラードブランク材を50℃〜300℃の適切な温度にするためには、プレス成形に伴う加工発熱により自然に昇温する作用を大いに利用するが、加熱することも妨げない。一方で、何枚ものテーラードブランク材を続けてプレス成形すると、加工発熱により昇温したテーラードブランク材との接触で、プレス成形用の型の方も昇温し、両者の温度差が僅少化(10℃未満)してしまって、しわの発生を抑制するという所期の目的を達せられなくなる場合が出てくる問題がある。加えて、両者の間でかじりが発生するなどの不測の事態が生じる恐れもある問題もある。
これを受け、本発明のうち請求項1に係るテーラードブランク材のプレス成形方法は、板厚及び材質の少なくとも何れかが異なる金属板を接合したテーラードブランク材のプレス成形方法において、前記テーラードブランク材の温度がプレス成形用の型の温度よりも10℃〜200℃高くなるように当該プレス成形用の型を冷却することを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項2に係るテーラードブランク材のプレス成形方法は、前記請求項1の発明において、前記プレス成形用の型を構成するパンチ、ダイ、ホルダの少なくとも一つの温度を検出し、その検出された温度に基づいて当該プレス成形用の型を冷却するための冷却用媒体の温度及び流量の少なくとも何れか一方を調整することを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項3に係るテーラードブランク材のプレス成形方法は、前記請求項1又は2の発明において、前記プレス成形用の型を構成するパンチ、ダイ、ホルダのうちの温度上昇し易い箇所を局部的に強く冷却することを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項4に係るテーラードブランク材のプレス成形方法は、前記請求項1乃至3の何れかの発明において、前記冷却用媒体に液体を用いたことを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項5に係るテーラードブランク材のプレス成形方法は、前記請求項1乃至3の何れかの発明において、前記冷却用媒体に気体を用いたことを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項6に係るテーラードブランク材のプレス成形方法は、前記請求項5の発明において、断熱膨張により前記気体を冷却することを特徴とするものである。
また、本発明のうち請求項7に係るテーラードブランク材のプレス成形装置は、前記請求項1乃至6の何れかのテーラードブランク材のプレス成形方法にてテーラードブランク材をプレス成形するのに用いることを特徴とするものである。
而して、本発明のうち請求項1に係るテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、板厚及び材質の少なくとも何れかが異なる金属板を接合したテーラードブランク材のプレス成形方法において、前記テーラードブランク材の温度がプレス成形用の型の温度よりも10℃〜200℃高くなるように当該プレス成形用の型を冷却することにより、異なる金属板の接合部にしわが発生するのを著しく抑制することができる。
また、本発明のうち請求項2に係るテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、プレス成形用の型を構成するパンチ、ダイ、ホルダの少なくとも一つの温度を検出し、その検出した温度に基づいて当該プレス成形用の型を冷却するための冷却用媒体の温度及び流量の少なくとも何れか一方を調整することにより、テーラードブランク材とプレス成形用の型の温度差を調整することができるので、テーラードブランク材の異なる金属板の接合部にしわが発生するのを著しく抑制することができる。
また、本発明のうち請求項3に係るテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、プレス成形用の型を構成するパンチ、ダイ、ホルダのうちの温度上昇し易い箇所を局部的に強く冷却することにより、テーラードブランク材とプレス成形用の型との温度差の局部的な違いを極小化することができ、これによりテーラードブランク材の異なる金属板の接合部にしわが発生するのを著しく抑制することができる。
また、本発明のうち請求項4に係るテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、冷却用媒体に液体を用いたことにより、プレス成形用の型の冷却効率を向上することができる。
また、本発明のうち請求項5に係るテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、冷却用媒体に気体を用いたことにより、冷却用媒体の漏洩を気にする必要がなくなり、プレス成形用の型の冷却装置を簡略化することができる。
また、本発明のうち請求項6に係るテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、断熱膨張により冷却用媒体としての気体を冷却することにより、冷却用媒体の冷却装置を簡略化することができ、また、プレス成形用の型の局部的な冷却を容易なものとすることができる。
発明者は、異なる金属板の接合部に発生するしわの低減方法として、予め熱による膨張を金属板に与えておき、プレス成形後の冷却により発生する熱収縮によりしわを相殺するのが有効ではないかと考え、本発明に想到した。この点、素材金属板を300℃を超える温度に加熱した上でプレス成形する特許文献3や特許文献4あるいは特許文献5のような方法を、テーラードブランク材のプレス成形に組合せて用いた場合、プレス成形時の素材金属板の温度が高過ぎて、素材金属板に導入される歪みが応力緩和して消滅してしまい、軟質な分、却ってしわの発生が助長されるものと推定している。
本発明によれば、特許文献1や特許文献2のようなBH鋼板や高張力鋼板が変質するほど高い温度には加熱することを要しないため、こちらの方の問題も合わせて解決できる。
次に、本発明のテーラードブランク材のプレス成形方法の第1実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形装置であり、図1(a)は上死点状態、図1(b)は下死点状態を示す。また、図中の符号1はパンチ、符号2はダイ、符号3,4はホルダ、符号5はテーラードブランク材である。このプレス成形装置でシングルアクションと呼ばれるプレス成形を行う場合には、ダイ2と共に上側ホルダ4を下降して下側ホルダ3との間にテーラードブランク材5を挟持し、然る後、ダイ2、ホルダ3,4、テーラードブランク材5を下降してパンチ1に当接し、更にダイ2、ホルダ3,4、テーラードブランク材5を下降して、テーラードブランク材5を所望の形状にプレス成形する。同装置によれば、上側ホルダ4を下降して下側ホルダ3との間にテーラードブランク材5を挟持し、然る後、ダイ2を下降するダブルアクションと呼ばれるプレス成形を行うこともできる。なお、本実施形態のプレス成形装置では、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4のテーラードブランク材5に接する側に冷媒(冷却用媒体)通路10を形成し、各冷媒通路10に供給する冷媒の温度を制御することにより、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4を冷却できるようにした。冷媒には、空気をはじめとする気体、水などの液体を使用することができる。また、気体を冷媒とする場合には、断熱膨張の原理を用いて所望の箇所だけを局部的に冷却することも可能である。本実施形態では、水を冷媒として用いる。
図2は、例えば自動車の部品としてプレス成形されたテーラードブランク材5である。図中の線Aが、異なる金属板の接合部であり、例えば同材質で厚さの異なる冷延鋼板同士を接合したり、一方が他方より高強度で厚さの異なる冷延鋼板同士を接合したり、材質も厚さも異なる冷延鋼板同士を接合したりしたものをプレス成形することで作成することができる。冷延鋼板に替えて熱延鋼板を使用してもよいし、ステンレス鋼やその他の種類の金属板を使用してももちろんよく、金属板の種類は問わない。ここで、図3は、同材質で厚さの異なる金属板同士を接合したテーラードブランク材5である。同図からも分かるように、厚さの異なる金属板同士を接合する場合、互いの厚さ方向の中心を合わせるのではなく、互いの一方の面(図では下面)が所謂面一になるようにして接合する場合が多い。そして、この場合には、ダイ2側に、接合部の段差を吸収するための隙間6が形成されている。この隙間は、プレス成形時にパンチ1とダイ2の間で、テーラードブランク材5が摺動しても、接合部の板厚段差のある部分が引っ掛かって破断してしまうことのないようにするためのものである。例えば、異なる材質で厚さが同じ金属板同士を接合し、その接合部に溶接盛り(ビード)がある場合には、図4に示すような隙間6をダイ2に形成する場合が多い。
しかしながら、これら隙間6があると、プレス成形後、テーラードブランク材5の異なる金属板の接合部にしわが発生し易い。この問題を回避するため、本実施形態では、テーラードブランク材を50〜300℃の温度とした上でプレス成形する。そのようにすることで、結果的にプレス成形用の型、つまりパンチ1やダイ2あるいはホルダ3,4よりもテーラードブランク材5を10℃〜200℃高い温度にした上でプレス成形することになる。プレス成形を何度か繰り返すとパンチ1やダイ2あるいはホルダ3,4の温度が常温乃至最高で100℃内外まで温度上昇することを勘案すると、テーラードブランク材5の温度を50℃〜300℃とすることが妥当となる。発明者は、以下に述べるようにして、上記知見を得た。
はじめに、テーラードブランク材をプレス成形すると、異なる金属板の接合部に、プレス成形後、しわの発生が観察された。しわが観察されたテーラードブランク材は、材質の異なる所謂異種材を接合したものであったため、当初、発明者は、そのしわは、異種材を接合した際に発生した歪みが残存していて、それがプレス成形に伴って変形として顕在化するものと考え、異種材を接合したテーラードブランク材特有の問題と考えた。しかしながら、このしわは、同じ材質で、板厚の異なる金属板を接合したテーラードブランク材にも同様に発生することにその後気付き、それ以降、接合した際に発生した熱歪みが残存していて、それがプレス成形に伴って変形として顕在化するものと考えるようになった。
そこで、テーラードブランク材にアニーリング(焼鈍)を施し、歪みを除去することによりしわの発生を低減しようと試みた。しかしながら、焼鈍ではしわの発生を低減することができなかった。そこで、異なる金属板の接合部のしわは、材料ではなく、プレス成形用の型の方に起因すると考えるに至り、プレス成形用の型、つまりダイ・パンチ・ホルダを詳細に観察してみた。その結果、例えば前記ダイ2に形成された隙間6に薄い金属板が入り込んでたるむことに気付き、それがプレス成形後にも残存してしわが発生することに気付いた。
次に、テーラードブランク材が隙間6に流入するのを抑えるために、同部にドロービードを設けて張力をかけてみようと試みた。ドロービードとは、先述の図2のような例でいえば、接合部以外の箇所にビード部Dを形成しようとするもので、金属板の厚み方向の断面で見た図5からも分かるように、そのビード部Dをホルダ3,4で挟みながらプレス成形し、パンチ1とダイ2の間で、テーラードブランク材5が摺動するのを抑制することで、テーラードブランク材5に張力を付与しようというものである。しかしながら、ドロービードを設けると、今度は、割れの発生率が高くなり、型の設計そのものを見直す必要に迫られた。従って、ドロービードでは、テーラードブランク材をプレス成形した際、異なる金属板の接合部にしわが発生するのを抑制できない。
よって、その次に、例えばダイ2に形成する隙間6の形状の最適化を試みた。具体的には、隙間を極力小さくし且つテーラードブランク材をプレス成形する際に、異なる金属板の接合部及びその付近の締付けを極力強くするようにした。しかし、計算上はしわの発生を抑制できるはずであったが、実際にはやはりしわが発生してしまい、しかもテーラードブランク材とパンチ・ダイ・ホルダ等のプレス成形用の型との間でかじりが発生してしまい、製品にならなかった。
結局、しわは、薄い金属板、換言すれば強度の低い金属板の側の予測できない変形によるものと結論せざるを得なかった。そこで、最後の手段として、発明者は、テーラードブランク材をダイ・パンチ・ホルダ等のプレス成形用の型よりも高い温度に加熱し、その状態でプレス成形を行おうと試みた。その結果、しわの発生の抑制に効果があることが分かったのである。発明者は、その理由を以下のように推定している。即ち、加熱により、テーラードブランク材には熱膨張による伸びが発生する。伸びたテーラードブランク材をそのままプレス成形すると、常温まで冷却される過程で熱収縮する。この熱収縮によって、テーラードブランク材をプレス成形した際の異なる金属板の接合部に伸び、つまりしわが発生していても延ばされ、結果的にしわが発生するのを抑制することができる。しかも、厚さの異なる金属板同士の接合部には、型との間に隙間があるため、プレス成形中のテーラードブランク材の温度降下が小さい分、型から取り出し後の熱収縮が大きく、十分な効果が得られるとも推定している。
ちなみに、鋼の熱膨張係数を約12×10-6(/K)、しわの高さが20μm、しわの数が5カ所であるとすると、テーラードブランク材がプレス成形用の型よりも10℃温度が高ければ、常温まで冷却される過程で熱収縮によってしわが延ばされ、しわは消滅する。しかし、テーラードブランク材とプレス成形用の型との温度差が大きければよいというものでもない。つまり、実際の操業ではプレス成形用の型も昇温するため、単純にプレス成形用の型とテーラードブランク材との温度差が200℃以上、若しくはテーラードブランク材単体の温度が300℃を超えるようにすると、テーラードブランク材が弾性変形域から外れ、塑性変形域でプレス成形が行われることになると共に、テーラードブランク材側は高温ゆえ、プレス成形により導入される歪みが応力緩和して消滅してしまい、発生したしわは常温まで冷却される過程での熱収縮によっては十分に延ばされず、常温まで冷却した後もしわが残存してしまう。それどころか、高温に加熱されるほど、軟質なため、最初のしわが発生し易いことから、結果的に、却ってしわの発生を助長してしまう。従って、テーラードブランク材単体の温度を50℃〜300℃とするか、若しくはテーラードブランク材の温度をプレス成形用の型、つまりダイ・パンチ・ホルダ等の温度に対して10℃〜200℃高い温度としてプレス成形すれば、テーラードブランク材の弾性変形域でプレス成形を行うことができると共に、応力緩和を抑制でき、プレス成形時にしわが発生しても常温まで冷却される過程で熱収縮によって十分に延ばされ、常温まで冷却された後にはしわは残存せず、結果的にしわは発生しない。
そこで、前記温度差の条件、即ちプレス成形用の型とテーラードブランク材との温度差の条件を満足するために、ダイ・パンチ・ホルダ等のプレス成形用の型の方を積極的に冷却する。プレス成形用の型の冷却に際しては、適切な箇所の温度を温度センサで検出して、所望の温度範囲内になるようにフィードバック制御するようにしてもよい。また、プレス成形用の型の冷却の程度を局所的に変更可能として、プレス成形する際のテーラードブランク材の加工発熱が局部的に大きい、即ち温度上昇が局部的に大きい部位を選択的に強く冷却する等してもよい。また、プレス成形中にプレス成形用の型の昇温プロファイルとテーラードブランク材の昇温プロファイルの両方を温度センサで検出し、両昇温プロファイルの温度差が最大となる箇所について、プレス成形用の型とテーラードブランク材との温度差が10℃〜200℃の範囲に入るように、プレス成形用の型の冷却を行うようにしてもよい。
即ち、図6(a)に模式的に示すように、プレス成形の際のストロークと圧下力とで囲まれる面積がテーラードブランク材に与えられたエネルギであり、プレス成形では、それが加工発熱として現れる。テーラードブランク材の加工発熱は、ダイ・パンチ・ホルダからなるプレス成形用の型に伝達・伝導され、当該プレス成形用の型の昇温につながる。前述のように、ダイ・パンチ・ホルダからなるプレス成形用の型の温度に対してテーラードブランク材の温度が10℃〜200℃高い状態でプレス成形を行いたいのであるから、このプレス成形によるテーラードブランク材の昇温に対して、例えば図6(b)に模式的に示す抜熱量分だけプレス成形用の型を冷却(抜熱)すれば、テーラードブランク材を必ずしも加熱しなくても、プレス成形に伴う加工発熱によって、自動的に前記温度差の条件が満たされ、その結果、テーラードブランク材の異なる金属板の接合部にしわが発生するのを抑制することができるようになる。
なお、以上述べた実施形態では、テーラードブランク材をプレス成形する際、異なる金属板の接合部に相当するプレス成形用の型の側に隙間が形成されている場合について説明したが、隙間が形成されていない場合でも、しわは発生する可能性がある。即ち、同材質で厚さの異なる金属板を接合したテーラードブランク材において、溶接盛り(ビード)を除去した場合には、隙間は必要ない。しかしながら、例えば図7(a)のような所謂ハット型の部材をテーラードブランク材を素材としてプレス成形するような場合、型の温度が上昇すると、例えば図7(b)のように、ハット型部材の立壁のうち、左右少なくとも一方の立壁と型との間には、隙間が生じる場合が出てくる。このようにして、テーラードブランク材とプレス成形用の型との間に予期せず隙間が生じた場合にも、例えば図7(c)に示すようなしわが発生する場合がある。更に、テーラードブランク材を構成する異なる金属板に作用する摩擦力や押付力が同等であっても、両者で降伏点、加工硬化指数、強度係数等が異なる場合、原初的にそれらの値の小さい側にしわが発生し易く、接合部においては、更に、しわが発生し易い傾向があるが、全く隙間がない場合であっても、例えば先述の図13(d)に示した場合のように、片側のテーラードブランク材5(立壁)の展伸過多となって薄くなり、もう片側では、パンチ1とダイ2の間隔Cが拡大してしまったような場合にも、そこにテーラードブランク材5がしわRを発生しながら入り込んできてしまうという場合があったのである。本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形方法は、このような場合のしわの発生を抑制できる。
図8は、本実施形態のプレス成形用の型の冷却システムの概略構成図である。前述のように、本実施形態では、冷媒に水を用い、ダイ・パンチ・ホルダで構成されるプレス成形用の型を冷却した水を一旦、貯水槽11に回収する。この貯水槽11内の水をポンプ12で加圧してクーリングタワー13に送給する。クーリングタワー13では、供給される水がすのこから水滴として滴下し、蒸発潜熱で冷却される。クーリングタワー13で冷却された水は貯水槽14に貯留され、ポンプ15で加圧されて、前記ダイ・パンチ・ホルダで構成されるプレス成形用の型の冷媒通路10に供給される。なお、クーリングタワー13にはファン16が設けられており、制御装置20によってファン16の回転速度を制御することにより、滴下する水滴の温度を調整することができる。
以下、本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形方法を実際に用いた場合の実施例について説明する。表1に、本実施例で用いた冷延鋼板及び高強度冷延鋼板の性質を示す。これらの金属板をレーザーで突合せ溶接して300mm×600mmのテーラードブランク材を作成し、図6のようなハット型部材をプレス成形して作成し、異なる金属板の接合部においてしわの発生の有無を判定した。トリム(余肉除去成形)、リストライク(再プレス)は行わなかった。また、プレス成形は、前述したシングルアクションとし、ホルダでの押さえ力は400kNとした。しわの発生の有無の判定は目視にて行い、しわが発生していれば×、発生していなければ○とした。
Figure 2006102757
表1のA1材とA2材、A1材とB1材、A1材とB2材とを接合したテーラードブランク材を夫々用意し、前記図8に示す冷却システムによってプレス成形用の型を冷却した場合と、冷却しない場合について、夫々、2秒/枚のプレス間隔で200枚のテーラードブランク材をプレス成形し、プレス成形開始時のプレス成形用の型の温度(℃)、プレス成形終了時のプレス成形用の型の温度(℃)、プレス成形用の型の温度上昇量(℃)、テーラードブランク材とプレス成形用の型との温度差(℃)を図示しない温度センサにより検出した後、しわの発生の有無の判定を行った。プレス成形用の型の冷却の有無と合わせ、しわの発生の有無の判定結果を表2に示す。同表から明らかなように、何れのテーラードブランク材においても、テーラードブランク材の温度をダイ・パンチ・ホルダ等のプレス成形用の型の温度に対して10℃〜200℃高い温度としてプレス成形した場合、テーラードブランク材単体の温度を50℃〜300℃としてプレス成形した場合には、しわが発生していない。
Figure 2006102757
このように、本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形方法によれば、テーラードブランク材の温度がプレス成形用の型の温度に対して10℃〜200℃高くなるようにプレス成形用の型を冷却しながらプレス成形を行うことにより、異なる金属板の接合部にしわが発生するのを効果的に抑制することができる。
次に、本発明のテーラードブランク材のプレス成形方法の第2実施形態について説明する。本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形装置では、図9に示すように、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の温度をフィードバック制御するために、熱電対(温度センサ)17を、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4の最もテーラードブランク材5に近い部位に複数設置した。また、図10のプレス成形用の型の冷却システムの概略構成図に示すように、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型を局所的に強く冷却したり弱く冷却したりすることができるように、前記貯水槽11の水をポンプ12で加圧して複数の冷却器18に送給し、それを複数の流量調整弁19を介してパンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の複数の冷媒通路10に別々に供給可能とした。
そして、本実施形態では、前記複数の冷媒通路10に供給される水(冷媒)によって、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の温度を、テーラードブランク材の加工発熱量が経験的に大きいことが分かっている部位について、強く冷却するようフィードフォワード的にも制御する。即ち、前記図6からも明らかなように、圧下力が大きいということは与えられるエネルギが大きい、つまり加工発熱量が大きいことを意味するが、テーラードブランク材を加工する程度の大きい部位は圧下力も大きく、局部的に加工発熱量も大きい。プレス成形によるテーラードブランク材の加工発熱がどの部位で局部的に大きく、型の方の温度は他の部位と比べてどこがどの程度局所的に高くなるのかは、経験的にも、あるいは数値シミュレーションなどの理論計算によっても分かるので、それに応じ、冷却器18により冷媒の温度を制御するか、流量調整弁19により冷媒の流量を制御するか、少なくとも一方を実施し、しかも、前述の複数の冷媒通路10について別々に実施することで、型の各部位の温度を可及的に近づけるようにしている。そして、ここでは、前記温度センサ17の温度検出値に基づく型の温度のフィードバック制御は、前述したフィードフォワード制御だけでは発生してしまう誤差を補正するように行うものとした。
また、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の局所的な温度の制御には、冷媒の温度と流量のうちの少なくとも一方を用いることは先にも述べたが、前記冷却器18による冷媒の温度制御の効果は、流量制御弁19による冷媒の流量制御の効果よりも小さいので、当該冷却器18による冷媒の温度制御をフィードフォワード的に実施し、それだけでは発生してしまう誤差を冷媒の流量制御によってフィードバック的に実施することとした。
以下、本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形方法を実際に用いた場合の実施例について説明する。表1に示した冷延鋼板及び高強度冷延鋼板をレーザーで突合せ溶接して300mm×600mmのテーラードブランク材を作成し、前記第1実施形態の実施例同様、図7のようなハット型部材をプレス成形して作成し、異なる金属板の接合部においてしわの発生の有無を判定した。プレス成形は、前出のシングルアクションとし、ホルダでの押さえ力は400kNとした。しわの発生の有無の判定は目視にて行い、しわが発生していれば×、発生していなければ○とした。
表1のA1材とA2材、A1材とB1材、A1材とB2材とを接合したテーラードブランク材を夫々用意し、前記図10に示す冷却システムによって全てのプレス成形用の型を冷却するものの、前述した加工発熱量の局部的な違いに応じたプレス成形用の型の局所的な温度制御を行った場合と、行わなかった場合について、夫々、2秒/枚のプレス間隔で200枚のテーラードブランク材をプレス成形し、プレス成形用の型の温度上昇量(℃)、テーラードブランク材とプレス成形用の型との温度差(℃)を図示しない温度センサにより検出した後、しわの発生の有無の判定を行った。加工発熱量の局部的な違いに応じたプレス成形用の型の局所的な温度制御を行わなかった場合には、冷媒の温度も流量も制御していない。加工発熱量に応じたプレス成形用の型の局所的な温度制御の有無、温度センサ17で検出されたプレス成形用の型の温度のフィードバック制御の有無、冷媒(水)流量制御の有無、冷媒(水)温度制御の有無、並びに型温度上昇量が最大の箇所におけるその値及びしわの発生の有無の判定結果を表3に示す。
Figure 2006102757
同表から明らかなように、何れのテーラードブランク材も、ダイ・パンチ・ホルダ等のプレス成形用の型の温度に対して10℃〜200℃高い温度でプレス成形されているので、しわが発生していない。しかしながら、加工発熱量の局部的な違いに応じてプレス成形用の型を局所的に強く冷却する制御を行ったものの方が、プレス成形用の型の温度上昇量を小さな値に調整できており、プレス成形用の型とテーラードブランク材との温度差も確保できている。
また、本実施形態のように、冷媒に水(液体)を用いると、液体は熱伝達率、熱伝導率、熱容量とも大きいので、プレス成形用の型の冷却を効率よく行うことができる。
次に、本発明のテーラードブランク材のプレス成形方法の第3実施形態について説明する。本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形装置でも、前記第2実施形態のテーラードブランク材のプレス成形装置と同様に、図9に示すように、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の温度をフィードバック制御するために、熱電対(温度センサ)17を複数設置した。また、本実施形態では、空気(気体)を冷媒として用いる。具体的には、図11のプレス成形用の型の冷却システムの概略構成図に示すように、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型を局所的に強く冷却したり弱く冷却したりすることができるように、ポンプ21で加圧された空気を複数のクーラー22に送給し、それを複数の可変絞り23を介してパンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の複数の冷媒通路10に別々に供給可能とした。クーラー22は、所謂断熱膨張により空気の温度を低下させるものである。
そして、本実施形態でも、前記第2実施形態と同様に、前記複数の冷媒通路10に供給される空気(冷媒)によって、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の温度を、テーラードブランク材の加工発熱量が経験的に大きいことが分かっている部位について、強く冷却するようフィードフォワード的にも制御する。そして、前記温度センサ17の温度検出値に基づく型の温度のフィードバック制御は、前記したフィードフォワード的制御だけでは発生してしまう誤差を補正するように行うものとした。また、パンチ1、ダイ2、ホルダ3,4から構成されるプレス成形用の型の局所的な温度の制御には、前記第2実施形態と同様に、空気(冷媒)の温度と流量のうちの少なくとも一方を用いる。そして、ここでは、クーラー22により冷媒の温度制御をフィードフォワード的に実施し、それだけでは発生してしまう誤差を、可変絞り23による冷媒の流量制御によってフィードバック的に実施することとした。
以下、本実施形態のテーラードブランク材のプレス成形方法を実際に用いた場合の実施例について説明する。表1に示した冷延鋼板及び高強度冷延鋼板をレーザーで突合せ溶接して300mm×600mmのテーラードブランク材を作成し、前記第1実施形態の実施例同様、図7のようなハット型部材をプレス成形して作成し、異なる金属板の接合部においてしわの発生の有無を判定した。プレス成形は、前出のシングルアクションとし、ホルダでの押さえ力は400kNとした。しわの発生の有無の判定は目視にて行い、しわが発生していれば×、発生していなければ○とした。
表1のA1材とA2材、A1材とB1材、A1材とB2材とを接合したテーラードブランク材を夫々用意し、前記図11に示す冷却システムによって全てのプレス成形用の型を冷却するものの、前述した加工発熱量の局部的な違いに応じたプレス成形用の型の局所的な温度制御を行った場合と、行わなかった場合について、夫々、2秒/枚のプレス間隔で200枚のテーラードブランク材をプレス成形し、プレス成形用の型の温度上昇量(℃)、テーラードブランク材とプレス成形用の型との温度差(℃)を図示しない温度センサにより検出した後、しわの発生の有無の判定を行った。加工発熱量の局部的な違いに応じたプレス成形用の型の局所的な温度制御を行わなかった場合には、冷媒の温度も流量も制御していない。加工発熱量に応じたプレス成形用の型の局所的な温度制御の有無、温度センサ17で検出されたプレス成形用の型の温度のフィードバック制御の有無、冷媒(空気)流量制御の有無、冷媒(空気)温度制御の有無、並びに型温度上昇量が最大の箇所におけるその値及びしわの発生の有無の判定結果を表4に示す。
Figure 2006102757
同表から明らかなように、何れのテーラードブランク材も、ダイ・パンチ・ホルダ等のプレス成形用の型の温度に対して10℃〜200℃高い温度でプレス成形されているので、しわが発生していない。しかしながら、加工発熱量の局部的な違いに応じてプレス成形用の型を局所的に強く冷却する制御を行ったものの方が、プレス成形用の型の温度上昇量を小さな値に調整できており、プレス成形用の型とテーラードブランク材との温度差も確 また、本実施形態のように、冷媒に空気(気体)を用いると、冷媒の冷却システムを簡略化することができる。
なお、前記実施形態では、クーラー22内で空気(気体)を断熱膨張して冷却したが、例えば図12に示すように、冷媒の供給口から冷媒通路10に向けて口径の小さいノズルを形成し、このノズル24から冷媒通路10に冷媒が噴出することにより断熱膨張が発生するようにすれば、冷媒が吹き付けられるパンチ1、ダイ2、ホルダ3,4の部位を局所的に強く冷却することができる。
また、前記実施形態では、冷延鋼板と高強度冷延鋼板とを接合したテーラードブランク材のプレス成形方法についてのみ説明したが、本発明に用いるテーラードブランク材は、これらに限られるものではなく、如何様な材質、如何様な厚さの組合せからなるテーラードブランク材も用いることができる。また、同様に、金属板の種類は二種類に限られるものではなく、三種類又はそれ以上の金属板を接合したテーラードブランク材も勿論用いることができる。
また、本発明により、異なる金属板の接合部にしわが発生するのを抑制できる作用は、プレス成形に用いる型の形状には何ら依存するものではなく、如何様な形状の部材をプレス成形する際にも本発明は適用可能である。
また、プレス成形の方法も、前述のシングルアクションに限られるものではなく、所謂ダブルアクションをはじめとする如何様なプレス成形方法にも本発明は適用可能である。
本発明のテーラードブランク材のプレス成形方法の一実施形態を示すプレス成形装置の概略構成図であり、(a)は上死点状態、(b)は下死点状態を示す図である。 図1のプレス成形装置によってプレス成形されたテーラードブランク材の例を示す斜視図である。 同材質で厚さの異なる金属板同士を接合したテーラードブランク材の説明図である。 異なる材質で厚さが同じ金属板同士を接合したテーラードブランク材のプレス成形用の型に形成された隙間の説明図である。 ドロービードの説明図である。 テーラードブランク材のプレス加工における発熱量と、必要な抜熱量の関係を模式的に示した説明図である。 テーラードブランク材のプレス成形用の型に隙間が形成されていないときでもしわが発生する原理の説明図であり、(a)は当該テーラードブランク材でプレス成形されたハット型の部材の説明図、(b)はテーラードブランク材とプレス成形用の型との間にできた隙間の説明図、(c)はプレス成形後に異なる金属板の接合部に発生したしわの様子の説明図である。 図1のプレス成形装置のプレス成形用の型の冷却システムの概略構成図である。 プレス成形用の型に設置された熱電対(温度センサ)の説明図である。 本発明のテーラードブランク材のプレス成形方法の第2実施形態に用いられるプレス成形用の型の冷却システムの概略構成図である。 本発明のテーラードブランク材のプレス成形方法の第3実施形態に用いられるプレス成形用の型の冷却システムの概略構成図である。 断熱膨張によってパンチ、ダイ、ホルダを局所的に冷却するための他の方法についての説明図である。 従来技術の問題を説明するための図である。
符号の説明
1はパンチ(プレス成形用の型)
2はダイ
3,4はホルダ
5はテーラードブランク材
6は隙間
10は冷媒通路
11は貯水槽
12はポンプ
13はクーリングタワー
14は貯水槽
15はポンプ
16はファン
17は温度センサ
18は冷却器
19は流量調整弁
21はポンプ
22はクーラー
23は可変絞り
Rはしわ
Cは間隔
Dはビード部(ドロービード)

Claims (7)

  1. 板厚及び材質の少なくとも何れかが異なる金属板を接合したテーラードブランク材のプレス成形方法において、前記テーラードブランク材の温度がプレス成形用の型の温度よりも10℃〜200℃高くなるように当該プレス成形用の型を冷却することを特徴とするテーラードブランク材のプレス成形方法。
  2. 前記プレス成形用の型を構成するパンチ、ダイ、ホルダの少なくとも一つの温度を検出し、その検出された温度に基づいて当該プレス成形用の型を冷却するための冷却用媒体の温度及び流量の少なくとも何れか一方を調整することを特徴とする請求項1に記載のテーラードブランク材のプレス成形方法。
  3. 前記プレス成形用の型を構成するパンチ、ダイ、ホルダのうちの温度上昇し易い箇所を局部的に強く冷却することを特徴とする請求項1又は2に記載のテーラードブランク材のプレス成形方法。
  4. 前記冷却用媒体に液体を用いたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のテーラードブランク材のプレス成形方法。
  5. 前記冷却用媒体に気体を用いたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のテーラードブラン材のプレス成形方法。
  6. 断熱膨張により前記気体を冷却することを特徴とする請求項5に記載のテーラードブランク材のプレス成形方法。
  7. 前記請求項1乃至6の何れかのテーラードブランク材のプレス成形方法を用いたテーラードブランク材のプレス成形装置。
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