JP2006097162A - 印刷用塗工紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用塗工紙において、填料として軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を含有した原紙上に、顔料粒子の粒径分布が体積基準で0.1〜1.0μmの範囲に60%以上含まれる顔料を有する塗工層を設けることを特徴とする印刷用塗工紙。
【選択図】なし
Description
本発明の塗工液には、分散剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等の通常使用される各種助剤を使用しても良い。本発明においては、保水性を向上させる場合は、アクリル系合成保水剤、ヒドロキシエチルセルロースを用いることが好ましく、会合型のアクリル系合成保水剤を使用するのがより好ましい。会合型アクリル系合成保水剤は、塗工液の保水性を向上させ、かつ塗工液の高ずり粘度を低くする働きがある。そのため、高速塗工に適するとともに、塗工時に塗料が塗工原紙内部に押し込まれず、原紙上の塗工層を嵩高にし、塗工層のクッション性が向上する。尚、アクリル系合成保水剤および/またはヒドロキシエチルセルロースを用いる場合、配合量としては、顔料100重量部に対して0.1〜1.0重量部が好ましい。
このような軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を製造法としては、例えば特願2004−27483号の記載に基づいて得ることができる。以下この方法について説明する。
この軽質炭酸カルシウムの反応原液中の濃度は、後述の軽質炭酸カルシウムとケイ酸の配合比率が重要であるため、ケイ酸濃度の影響も加味しなくてはならないが、1〜20重量%が好ましい。1%未満の低濃度であると、1バッチあたりの生産量が少なく、生産性に問題がある。また20%を超える高濃度とすると分散性が悪く、また軽質炭酸カルシウム量と比較して、反応に用いるケイ酸アルカリ濃度が低くなるため、反応時の粘度が上昇し、操業性に問題がある。
ついでこの軽質炭酸カルシウムスラリーに、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ溶液に分解した形のケイ酸を加える。一般的に工業用に用いられるものは、ケイ酸ソーダ(ナトリウム)もしくはケイ酸カリウムであるが、ケイ酸アルカリのモル比はいずれでも良い。3号ケイ酸はSiO2:Na2O=3〜3.4:1程度のモル比の物であるが、一般に入手しやすく、適度に使用される。軽質炭酸カルシウムとケイ酸アルカリとの仕込み量比は、生産する軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物中の炭酸カルシウムとシリカの重量比が目標とする範囲に入るように仕込む。軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の炭酸カルシウムとシリカの重量比は、CaCO3/SiO2=30/70〜70/30が好ましい。
次に酸を用いた中和反応を行う。この場合、酸は鉱酸ならいずれでも良く、さらには鉱酸中に硫酸バンドや硫酸マグネシウムのような酸性金属塩を含む酸でも使用できる。工業的には硫酸、塩酸等の比較的安価で購入できる酸が好ましい。高濃度の酸を用いた場合、酸による中和時の攪拌が不十分であると、高濃度の酸の添加により部分的にpHの低い部分ができ、軽質炭酸カルシウムが分解するため、酸添加口でホモミキサー等を用いた強攪拌を行う必要がある。一方、あまり希薄な酸を用いると、酸添加により全体的な容量が極端に増えてしまうので好ましくない。この面からも、0.05N以上の濃度の酸を用いることが適当である。鉱酸または酸性金属塩水溶液の添加は、アルカリ性であるケイ酸金属塩水溶液と軽質炭酸カルシウムとの混合物の沸点以下の温度で行う。この中和処理によりケイ酸塩を析出させ、非晶質ケイ酸を形成し、これが軽質炭酸カルシウム粒子の表面を被覆する。
次に、上記酸添加によるスラリーの中和はpH=7〜9を目標に行う。析出してきたケイ酸分により軽質炭酸カルシウムが被覆されていくが、酸性側(pH7未満)にすると、軽質炭酸カルシウムが分解してしまう。一方、pHが高い(9.0超)状態で中和を終了すると、ケイ酸分の析出が十分に行われず、スラリー中に未反応のケイ酸分が残り、ケイ酸分のロスが多くなり、工業的には好ましくない。そのため、目標pHは7〜9で中和を終了させる。
得られた軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物は、目的粒子径より大きい組成物を取り除くため、スクリーン等を用いて、100μm以上の粒子を除去する。
粗大粒子を除去した後、あるいは粗大粒子除去後さらに強攪拌や粉砕処理を施した軽質炭酸カルシウム−ケイ酸の複合物の平均粒子径は、その用途が紙用の填料である場合には、30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは1〜10μmである。
本発明においては、填料として軽質炭酸カルシウム−シリカ複合粒子の他に、本発明の効果を損なわない範囲で他の無機、有機填料を使用することができる。その種類については、無定型シリカ、無定型シリケート、タルク、カオリン、クレー、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができ、填料の配合量は、パルプ重量に対して1〜25重量%程度である。
塗工原紙に調整された塗工液を塗工する方法としては、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーター等を用いて、一層もしくは二層以上を原紙上に片面あるいは両面塗工する。塗工量は、所望の特性に応じて決定されるが、本発明の場合はおよそ原紙坪量が60g/m2以下の場合、片面当たり6〜10g/m2、40g/m2以下の場合5〜8g/m2の少ない塗工量で、充分な被覆性と、印刷光沢度を得ることができる。
(ロール相当径)=(ソフトロール径)×(ヒートロール径)/{(ソフトロール径)+(ヒートロール径)}
尚、本発明においては、白光沢度50%以上、坪量80g/m2以下あるいは密度1.00g/cm3以下の印刷用塗工紙について効果が顕著である。
〈評価方法〉
(1)内添填料の平均粒子径:軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物のスラリーを、分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2%を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、レーザー法(マルバーン社製粒度測定機マスターサイザーS型)で測定した、体積累積分布の50%部分の値を平均粒径とした。
(2)塗工顔料の体積粒度分布測定:塗工層に使用する全顔料スラリーを、分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2%を添加した純水中に滴下混合して均一分散体とし、レーザー法(MALVERN Instruments社製Laser Diffraction粒度分布測定器)で体積分布粒径分布を測定した。測定後、粒径が0.10〜1.00の範囲に入る部分の含有率(%)を求めた。
(3)白紙光沢度:JIS P 8142に基づいて測定した。
(4)印刷光沢度:RI−II型印刷試験機を用い、東洋インキ製造株式会社製オフセット印刷用枚葉プロセスインキ(TKハイエコー紅 MZ)を0.30cc使用して印刷を行い、一昼夜放置後、得られた印刷物の表面をJIS P 8142に基づいて測定した。
(5)強度:RI−II型印刷試験機を用い、東洋インキ製造株式会社製特殊インキ(SMXタックグレード15)を0.40cc使用して印刷を行い、裏取りを行い、剥けの状態を以下の基準で目視評価した。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
(6)密度:JIS P 8118に基づいて測定した。
(7)不透明度:JIS P 8138に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。
○:良好、△:やや劣る
(8)剛度:JIS P 8143に基づいて測定し、評価は以下の基準で行った。
◎:極めて良好、○:良好、△:やや劣る、×:劣る
〈軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物の製造方法〉
(製造例1:軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Aの調製)
反応容器中に市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名 アルバカー5970 SMI社製)10部を水に分散し、ここにSiO2濃度18.0wt/wt%、Na20濃度6・1wt/wt%のケイ酸ソーダ溶液を57部加えた後、水を加え、全量を200部とした。この混合スラリーをアジテータで十分に撹拌しながら加熱し、85℃としたスラリーに、10%硫酸溶液を撹拌しながら添加した。添加方法は、温度一定を保ち、硫酸添加後の最終pHは8・0、全硫酸添加時間は240分間となるように、一定速度で硫酸を添加し、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aスラリーを得た。このときの軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの平均粒子径は3.4μmであり、軽質炭酸カルシウムとシリカの固形分重量比は、50/50であった。
(製造例2:軽質炭酸カルシウムーシリカ複合物Bの調製)
反応に使用した、市販ロゼッタ型軽質炭酸カルシウム(商品名 アルバカー5970 SMI社製)20部、SiO2濃度18.0wt/wt%、Na20濃度6・1wt/wt%のケイ酸ソーダ溶液を28部加えたこと以外は製造例1と同様の方法で、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Bスラリーを得た。このときの軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Bの平均粒子径は2.1μmであり、軽質炭酸カルシウムとシリカの固形分重量比は、80/20であった。
[実施例1]
微粒カオリン(J.M.Huber社製Japangloss)70部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)30部からなる顔料100部(体積分布粒径0.1〜1.0μm:65.0%)に、分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加して(対無機顔料 0.2部)セリエミキサーで分散し、固形分濃度70%の顔料スラリーを調整した。この様にして得られた顔料スラリーに、中空プラスチックピグメント4部、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(ガラス転移点温度20℃、ゲル含量85%)10部、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉(ペンフォード社製 PG295)6部を加えた後、さらに水を加えて固形分濃度60%の塗工液を得た。
[実施例2]
実施例1において、ロール温度70℃、2ニップ、カレンダー線圧260kg/cm、通紙速度1000m/分でソフトニップカレンダー処理を行った以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、顔料スラリーにプラスチックピグメントを添加せずに塗料調整を行った以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
実施例1において、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの代わりに、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Bに変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
実施例1において、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの代わりに、軽質炭酸カルシウム(Speciality Minerals社製アルバカー5970)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
実施例1において、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの代わりに、ホワイトカーボン(Rhodia Silica Korea社製Tixolex17)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
実施例1において、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの代わりに、ホワイトカーボン(Rhodia Silica Korea社製Tixolex17)と軽質炭酸カルシウム(Speciality Minerals社製アルバカー5970)の50:50の混合物に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
実施例1において、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物Aの代わりに、二酸化チタン(堺化学社製 TCA123)に変更した以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
[比較例5]
実施例1において、微粒カオリン(J.M.Huber社製Japangloss)70部、微粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−90)30部からなる顔料の代わりに、微粒カオリン(J.M.Huber社製Japangloss)25部、デラミネーテッドクレー(IMERIS社製 DBプレート)25部、2級クレー(IMERIS社製DB コート)25部、粗粒重質炭酸カルシウム(ファイマテック社製FMT−75)25部に変更した顔料100部(体積分布平均粒径0.1〜1.0:52.2%)以外は実施例1と同様の方法で印刷用塗工紙を得た。
Claims (4)
- 原紙上に顔料及び接着剤を含有する塗工層を設けてなる印刷用塗工紙において、填料として軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を含有した原紙上に、顔料粒子の粒径分布が体積基準で0.1〜1.0μmの範囲に60%以上含まれる顔料を有する塗工層を設けることを特徴とする印刷用塗工紙。
- 前記軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物が紙中填料として1〜25重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗工紙。
- 前記軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物において、軽質炭酸カルシウムとシリカとの固形分重量比が、軽質炭酸カルシウム/シリカ=30/70〜70/30であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用塗工紙。
- 剛性ロールの温度が100℃以上のソフトニップカレンダーで処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
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