JP2000264630A - 炭酸カルシウムの製造方法 - Google Patents

炭酸カルシウムの製造方法

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JP2000264630A JP11071844A JP7184499A JP2000264630A JP 2000264630 A JP2000264630 A JP 2000264630A JP 11071844 A JP11071844 A JP 11071844A JP 7184499 A JP7184499 A JP 7184499A JP 2000264630 A JP2000264630 A JP 2000264630A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 苛性化工程を利用して、製紙用填料として不
透明度、ワイヤー摩耗性、歩留り性が良好で、白液分離
性及び洗浄性も良い粒子径の大きなアラゴナイト系イガ
グリ状の炭酸カルシウムを得る。 【解決手段】 第1段階は、生石灰消化時の生石灰に対
する水のモル比が1.4で、かつ炭カル含有率が1.6
重量%の消石灰を、pH6.8の液を用い、濃度30重
量%になるようにスラリー化させ消石灰乳を得る。第2
段階の苛性化反応は、緑液の添加速度0.22cc/m
in/g(消石灰乳の生石灰換算値)、反応温度50℃
で行う。第3段階は、炭酸カルシウムスラリーに、生石
灰を所定量添加し、また緑液を0.22(緑液)/mi
n/g(消石灰乳の生石灰換算値)の添加速度で所定量逐
次添加し、50℃にて苛性化反応を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硫酸塩法またはソー
ダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程において製紙用
填料及び、製紙用塗工顔料として有用な性能を与えるア
ラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムを製造する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷あるいは筆記用に使用される紙に
は、通常、白色度、不透明度、平滑性、筆記性、手触
り、印刷適性等の改良を目的として填料が内添される。
この抄紙方法として、填料にタルク、クレー、酸化チタ
ン等を使用し、pH4.5付近で紙を抄く、いわゆる酸
性抄紙と、pH7〜8.5の中性〜弱アルカリ性域で紙
を抄く、いわゆる中性抄紙がある。中性抄紙では、輸入
品で高価なタルク、クレーに変わって、国産の炭酸カル
シウムを填料として使用することが可能となる。近年、
紙の保存性等の問題から中性抄紙によって得られる中性
紙が着目されるようになり、またこのほかにも紙質、コ
スト、環境対策等の面でもメリットが多いことから、中
性抄紙への移行が進んできており、今後ともその普及が
拡大する情勢にある。
【0003】安価で軽量な中性紙への要求が高まってく
るなかで、填料としての炭酸カルシウムの位置づけは非
常に重要である。この中性抄紙で填料として用いられる
炭酸カルシウムには、天然石灰石を乾式あるいは湿式で
機械粉砕して得られる重質炭酸カルシウムと、化学的方
法によって得られる沈降性炭酸カルシウム(合成炭酸カ
ルシウム)がある。
【0004】ところが、天然石灰石をボールミル等の粉
砕機を使用して得られた重質炭酸カルシウムは、内添填
料として使用した場合、抄紙の際に激しくプラスチック
ワイヤを磨耗させてしまう。さらに、この填料を使用し
て、通常の上質紙、塗工紙を抄造製造した場合、嵩、白
色度、不透明度等において不十分である。
【0005】一方、化学的方法によって得られる沈降性
炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム)は、反応系が比
較的簡単(水、消石灰、炭酸ガス)なこともあり、製紙
工場のオンサイトにて実際に製造される例もいくつか見
られる。
【0006】しかしながら、この方法は、炭酸カルシウ
ムが唯一の産物であることから、非常に製造コストが高
く、ユーザーの要望する低コスト化にはそぐわず、安価
な紙には使用できないか、あるいはその使用量も大きく
制限される。
【0007】そこで考えられるのが、クラフトパルプ製
造工程の蒸解薬品の回収・再生を行う苛性化工程で副生
する炭酸カルシウムを製紙用原料として使用する方法で
ある。
【0008】しかし、従来ここで得られる炭酸カルシウ
ムは形状コントロールが難しいため、サイコロ状や六角
面体などの種々雑多な形状を有し、粒子径も大きく、何
れも不定形あるいは塊状で、従来の重質炭酸カルシウム
に近いものであるため、この填料を使用して通常の上質
紙、塗工紙を製造した場合、嵩、白色度、不透明度等に
おいては不十分であった。また、近年、抄紙機が大型化
し、抄紙速度もより高速化する中にあって、プラスチッ
クワイヤの磨耗性とウェットエンドでの歩留まり性にも
大きな問題を抱えていた。
【0009】これに対し最近、特開平10−22697
4号公報では、生石灰の消和反応と苛性化反応の条件を
特定することで上記問題を解決した製紙用に有用な炭酸
カルシウムの製造方法が開示されている。しかし、ここ
で得られた炭酸カルシウムは、白液分離と洗浄性に劣
り、操業性に不安を残した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のような状況に鑑
み、苛性化工程を利用により、抄紙時には、ウェットエ
ンドでの歩留まりが良く、ワイヤ磨耗性に優れ、またこ
れを紙の製造に用いた場合には、不透明度が高く、印刷
品質等の優れた上質紙や塗工紙を提供するという長所を
生かしたまま、特に白液分離性及び洗浄性が大幅に改善
された安価なアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウム
を得ることを本発明の課題とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、硫酸塩法又は
ソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程を利用し
て、生成時の生石灰と水のモル比が特定範囲で、かつ特
定量の炭酸カルシウムを含有する消石灰をpH5.5〜
13.5の液でスラリー化させることによって得られる
消石灰乳に、硫酸塩法又はソーダ法によるパルプ製造工
程の苛性化工程から出る緑液を連続的に添加し、その添
加速度および反応温度を制御することによって、炭酸カ
ルシウムを調製し、ついでこの炭酸カルシウムを結晶成
長させるために、この炭酸カルシウムスラリーに対し、
生石灰、消石灰、石灰乳、および消石灰乳から成る添加
物のいずれか一つを逐次添加し、また緑液を連続添加
し、その添加量、添加速度および反応温度を制御するこ
とによって、本発明の課題を解決できることを見出し、
この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0012】本発明の方法により、従来の苛性化工程の
大幅な設備変更をすること無しに結晶成長した粒子径の
大きい炭酸カルシウムの調製が可能となり、短径が0.
1〜2.5μmで、長径が0.3〜7.0μmの一次粒
子から構成される、平均粒子径が6.5〜30.5μm
のアラゴナイト系イガグリ状の炭酸カルシウムが調製さ
れ、製紙用填料として不透明度、ワイヤ磨耗性、ウェッ
トエンドでの歩留まり性に優れ、さらに塗工顔料とした
場合、白紙光沢度、不透明度、インキ受理性、表面強度
を期待通り改善できる。第3段工程にて、結晶成長させ
ることで平均粒子径が大きくなり、白液分離性及び洗浄
性を大幅に改善することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の第1段工程であるスラリ
ー化において使用する消石灰は、消石灰生成時の生石灰
と水のモル比が、生石灰:水=1:1〜1:10の消石
灰を使用する。水の量が生石灰:水=1:1より少ない
場合には、生石灰が全量消石灰とならず、第2段工程の
反応が不均一となり、生成する炭酸カルシウムのアラゴ
ナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊状粒子が
増加し、ワイヤー摩耗性に劣ると共に、良好な紙質が得
られない。水の量が生石灰:水=1:10を超えても生
成する炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下
し、不定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に
劣ると共に、良好な紙質が得られない。
【0014】消石灰中の炭酸カルシウム含量について
は、消石灰の重量を基準として0.05〜10重量%の
ものを使用する。10重量%を超えれば、生成する炭酸
カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下し、不定形
あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共
に、良好な紙質が得られない。また一方、0.05重量
%以下のものを得るためには、原料生石灰の焼成に要す
るエネルギーが極度に増加したり、あるいは焼成装置に
特別な工夫を必要とするなどがあり、不経済となる。
【0015】ここで、消石灰の生成において使用する生
石灰については、由来は特に限定されないが、炭酸カル
シウムを主成分とする石灰石、及び硫酸塩法またはソー
ダ法によるパルプ製造の苛性化工程において炭酸ナトリ
ウムを水酸化ナトリウムに転化する際に生成する炭酸カ
ルシウムを焼成したものが好ましい。
【0016】消石灰のスラリー化に用いる液としては、
pH5.5〜13.5を有するものを使用する。この液
には、苛性化工程で補充される水、あるいは緑液や白液
中の沈殿物(ドレッグス、炭酸カルシウムスラッジ)を
洗浄した上澄液である弱液が使用できる。特に弱液を使
用する場合、pH13.5を超えると、NaOHやNa
2CO3濃度が高くなるため生成する炭酸カルシウムのア
ラゴナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊状粒
子が増加し、ワイヤ磨耗性が劣ると共に、良好な紙質が
得られない。一方、苛性化工程で補充される水を使用す
る場合は、一般的な工業用水の水質レベルのpH5.5
以上であれば特に問題ない。また、消石灰のスラリー化
に水あるいは弱液を使用した場合、ここでの使用に相当
する、苛性化工程で補充される水量あるいはスメルト溶
解用弱液の量を減少させることで、苛性化工程内の水バ
ランスを調整できる。このことより、苛性化工程の操業
上重要な問題となる白液濃度の低下を伴うこともなく苛
性化反応を行うことができる。
【0017】スラリー化時の消石灰濃度は、10〜60
重量%、好ましくは15〜55重量%で行う。60重量
%を超えると液粘度が高すぎて現実的に攪拌が困難とな
り、一方10重量%未満では、生成する炭酸カルシウム
のアラゴナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊
状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共に、良好な紙
質が得られない。
【0018】スラリー化時における消石灰と液との混合
には、一般的な攪拌羽根式、ポンプ式、押し出し機類、
捏和機類、混練機類の中から、混合時の液あるいはスラ
リーの粘度にあわせて適宜選定して使用すれば良い(昭
和63年3月18日丸善株式会社発行、化学工学便覧参
照)。
【0019】スラリー化時の温度は、後で添加する緑液
の温度により適宜設定する。スラリー化時の時間は、均
一混合できる時間が取れれば良く、濃度、温度、攪拌力
等により適宜設定する。
【0020】本発明の第2段工程である苛性化反応に用
いる緑液は、一般的な硫酸塩法又はソーダ法の苛性化工
程から発生するものを使用し、その濃度はトータルアル
カリで80〜160g/L{その内、Na2CO3が65〜
130g/L(Na2O換算、以下同じ)}、好ましくは
トータルアルカリ100〜150g/L(その内、Na 2
CO3が85〜130g/L)である。
【0021】第1段工程で調製された消石灰乳と緑液の
混合方法は、消石灰乳に対する緑液の添加速度を0.0
2〜0.5cc(緑液)/min/g(生石灰換算値)、好
ましくは0.04〜0.45cc(緑液)/min/g
(生石灰換算値)で行う。0.02cc(緑液)/min/
g(生石灰換算値)より小さい添加速度では、生産性が劣
り現実的でなく、また一方0.5cc(緑液)/min/
g(生石灰換算値)より大きい添加速度では、生成する炭
酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下し、不定
形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共
に、良好な紙質が得られない。
【0022】苛性化反応温度については、反応温度が2
0〜80℃、好ましくは25〜65℃で行う必要があ
る。80℃より高い場合には、生成する炭酸カルシウム
のアラゴナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊
状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共に、良好な紙
質が得られない。また、一方20℃より低い場合にも、
生成する炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低
下し、不定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性
に劣ると共に、良好な紙質が得られない。さらに、冷却
のための装置の工夫およびそれに伴う経費がかさみ不経
済である。
【0023】苛性化反応時の攪拌には、一般的な攪拌羽
根式、ポンプ式、押し出し機類、捏和機類、混練機類の
中から、第1段工程で調整された消石灰乳と緑液が均一
に混合できるものを適宜選定して使用すれば良い(昭和
63年3月18日丸善株式会社発行、化学工学便覧参
照)。
【0024】また、第2段工程では、初期苛性化反応時
に炭酸ナトリウムを使用する方法がある。初期の苛性化
反応における炭酸ナトリウムは、一般的な市販の工業用
の無水炭酸ナトリウムをそのままあるいは濃厚な液を使
用する。
【0025】添加の方法は消石灰乳に対する炭酸ナトリ
ウムの添加速度を0.002〜0.5g/min/g(生
石灰換算値)、好ましくは0.005〜0.4g/min
/g(生石灰換算値)で行う。0.002g/min/g(生
石灰換算値)より小さい添加速度では、生産性が劣り現
実的でなく、また一方0.5g/min/g(生石灰換算
値)より大きい添加速度では、生成する炭酸カルシウム
のアラゴナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊
状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共に、良好な紙
質が得られない。
【0026】炭酸ナトリウムによる初期苛性化反応の比
率は、第2段工程終了時の苛性化比率に対し、0.3〜
50%、好ましくは5〜30%で行なう。0.3%より
低い場合は、使用する消石灰の品質範囲が狭くなり、あ
る条件下では、生成する炭酸カルシウムのアラゴナイト
結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊状粒子が増加
し、ワイヤー磨耗性が劣ると共に、良好な紙質が得られ
ない。また一方50%より高い場合は、その後の緑液使
用量が減少するため、苛性化工程のバランスを崩してし
まう。
【0027】反応温度については、反応温度が20〜8
0℃、好ましくは25〜70℃で行う必要がある。80
℃より高い場合には、生成する炭酸カルシウムのアラゴ
ナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊状粒子が
増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共に、良好な紙質が得ら
れない。また、一方20℃より低い場合には、生成する
炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下し、不
定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると
共に、良好な紙質が得られない。さらに、冷却のための
装置の工夫およびそれに伴う経費がかさみ不経済であ
る。
【0028】反応時の攪拌には、一般的な攪拌羽根式、
ポンプ式、押し出し機類、捏和機類、混練機類の中か
ら、第1段工程で調整された消石灰乳と炭酸ナトリウム
が均一に混合できるものを適宜選定して使用すれば良い
(昭和63年3月18日丸善株式会社発行、化学工学便
覧参照)。
【0029】引き続き第2段工程の緑液による苛性化反
応は、炭酸ナトリウムによる初期苛性化を行わない場合
と同様に行う。本発明の第3段工程である結晶成長反応
に用いる添加物で、生石灰と石灰乳の場合は、生石灰の
重量を基準として0.1〜10重量%の炭酸カルシウム
を含有するものを使用する。10重量%を超えれば、生
成する炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下
し、不定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に
劣ると共に、良好な紙質が得られない。また一方、0.
1重量%以下のものを得るためには、原料生石灰の焼成
に要するエネルギーが極度に増加したり、あるいは焼成
装置に特別な工夫を必要とするなどがあり、不経済とな
る。
【0030】添加物が消石灰と消石灰乳の場合は、消石
灰生成時の生石灰と水のモル比が、生石灰:水=1:1
〜1:10の消石灰を使用する。生石灰:水=1:1よ
り少ない場合には、生石灰が全量消石灰とならず、続く
反応が不均一となり、生成する炭酸カルシウムのアラゴ
ナイト結晶含有率が低下し、不定形あるいは塊状粒子が
増加し、ワイヤー摩耗性に劣ると共に、良好な紙質が得
られない。生石灰:水=1:10を超えても生成する炭
酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下し、不定
形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると共
に、良好な紙質が得られない。
【0031】添加物として用いる消石灰中の炭酸カルシ
ウム含量については、消石灰の重量を基準として0.0
5〜10重量%のものを使用する。10重量%を超えれ
ば、生成する炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率
が低下し、不定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨
耗性に劣ると共に、良好な紙質が得られない。また一
方、0.05重量%以下のものを得るためには、原料生
石灰の焼成に要するエネルギーが極度に増加したり、あ
るいは焼成装置に特別な工夫を必要とするなどがあり、
不経済となる。
【0032】ここで、本発明の第3段工程において用い
る生石灰と石灰乳および消石灰と消石灰乳の生成におい
て使用する生石灰の由来については、特に限定されない
が、炭酸カルシウムを主成分とする石灰石、及び硫酸塩
法またはソーダ法によるパルプ製造の苛性化工程におい
て炭酸ナトリウムを水酸化ナトリウムに転化する際に生
成する炭酸カルシウムを焼成したものが好ましい。
【0033】各添加剤の添加量は、生石灰換算値で比較
して、第1段工程で使用した消石灰量の0.3〜10倍
量、好ましくは1〜7倍のものを使用する。0.3倍よ
り少量であれば、本発明の方法により得られる炭酸カル
シウムの平均粒子径が大きくならず、白液分離性改善効
果に劣り、また一方、10倍を超える場合は、得られる
炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下し、不
定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に劣ると
共に、良好な紙質が得られない。
【0034】第3段工程で使用する緑液は、第2段目工
程と同様の緑液を使用し、緑液の混合方法は、添加物に
対する緑液の添加速度を0.02〜0.5cc(緑液)
/min/g(添加物の生石灰換算値)、好ましくは0.0
4〜0.45cc(緑液)/min/g(添加物の生石灰
換算値)で行う。0.02より小さい添加速度では、生
産性が劣り現実的でなく、また一方0.5より大きい添
加速度では、生成する炭酸カルシウムのアラゴナイト結
晶含有率が低下し、不定形あるいは塊状粒子が増加し、
ワイヤ磨耗性に劣ると共に、良好な紙質が得られない。
【0035】ここで、添加物と緑液の添加方法である
が、添加物を第2段工程で生成した炭酸カルシウムスラ
リーに全量添加後、緑液を逐次添加する方法、あるいは
添加物と緑液を並行して逐次添加し、緑液添加終了まで
に添加物の添加が終了する方法のどちらでも可能であ
る。ただし、添加物の添加方法は、並行逐次添加の方が
良好である。その理由としては、逐次添加の方が、生成
するアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムを構成す
る一次粒子が長く成長しやすく、不透明度等の紙質に有
利に働くためである。添加物の添加速度は、0.01〜
1.0g(生石灰換算値)/min/g(第1段工程消
石灰の生石灰換算値)で、好ましくは0.02〜0.2
g(生石灰換算値)/min/g(第1段工程消石灰の
生石灰換算値)で行う。0.01より小さい添加速度で
は生産性に劣り現実的でない。1.0より大きい場合
は、一次粒子の長さ方向への成長性が劣る。
【0036】第3段工程の反応温度については、反応温
度が20〜105℃、好ましくは25〜90℃で行う。
105℃より高くする場合には、大気圧下での沸騰点を
越えるため、加圧型の苛性化装置等を必要とするため不
経済である。また、一方20℃より低い場合には、生成
する炭酸カルシウムのアラゴナイト結晶含有率が低下
し、不定形あるいは塊状粒子が増加し、ワイヤ磨耗性に
劣ると共に、良好な紙質が得られない。さらに、冷却の
ための装置の工夫およびそれに伴う経費がかさみ不経済
である。
【0037】第3段工程反応時の攪拌には、一般的な攪
拌羽根式、ポンプ式、押し出し機類、捏和機類、混練機
類の中から、第2段工程で調製されたアラゴナイト系イ
ガグリ状炭酸カルシウムスラリーと緑液が均一に混合で
きるものを適宜選定して使用すれば良い(昭和63年3
月18日丸善株式会社発行、化学工学便覧参照)。
【0038】以上のような条件下において、短径が0.
1〜2.5μmで、長径が0.3〜7.0μmの棒状あ
るいは針状の一次粒子がランダムに凝集した、平均粒子
径が6.5〜30.5μmでアラゴナイト結晶を50〜
80%含有するイガグリ状のアラゴナイト系炭酸カルシ
ウムが調製可能となる。
【0039】本発明によって得られるアラゴナイト系イ
ガグリ状炭酸カルシウムは、従来苛性化工程で得られた
炭酸カルシウムに比べて、苛性化工程での白液分離性及
び洗浄性に優れ、さらには抄紙時のワイヤ磨耗性歩留ま
り性に優れ、これを内添することで上質紙、塗工紙の不
透明度、印刷適性等に優れた特徴を与える。
【0040】本発明の第3段工程を行うことにより、イ
ガグリ状を形成する棒状あるいは針状粒子が成長するこ
とで大粒径になることで、ろ過速度が非常に改善される
ため、白液分離性及び洗浄性が飛躍的に改善されると考
えられる。
【0041】
【実施例】以下に本発明を実施例および比較例をあげて
より詳細に説明するが、当然ながら、本発明は実施例の
みに限定されるものではない。 [試験法] アルカリの測定:TAPPI624hm−85あるい
はこれに準じて測定した。
【0042】生石灰、消石灰中の炭酸カルシウム含
量:SSC5100 TG/DTA22システム(セイ
コー電子工業株式会社)使用 生成炭酸カルシウムの平均粒子径:生成物を水洗濾過
し、水で希釈後、レーザー回折式粒度分布計(シーラス
社製モテ゛ル715)で平均粒子径を測定した。短径、長径は走
査型電子顕微鏡(日本電子(株)製 JSM-5300)で実
測した。
【0043】形態観察:生成物を水洗濾過し、乾燥後
走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM-5300)で形
態観察した。 結晶系:Rigaku製 X線回折RAD−2Cによ
り測定した。
【0044】アラゴナイト結晶含有率(%):硝酸カ
ルシウムと尿素よりアラゴナイト結晶を製造{Gyps
um&Lime No.245(P234参照、Rig
aku製 X線回折RAD−2Cの測定ではカルサイト
ピークなし}し、試薬のカルサイト結晶含有率99.9
%との混合比率を変えて、X線回折RAD−2Cで測定
する。この時のX線回折ピークの2θ=26.2°(ア
ラゴナイト結晶)と2θ=29.4°(カルサイト結
晶)の強度から次の計算式{26.2°の強度÷(2
6.2°の強度+29.4°の強度)}より強度比を求
めて、混合割合と強度比の検量線を作成した。この検量
線を使用し、アラゴナイト含有率を求めた。
【0045】ろ過速度:約8L試料スラリー(濃度1
1%)を攪拌下に電熱ヒータで加熱し、所定の減圧度に
調整したブフナーで吸引ろ過した。ろ過経過時間とろ液
量の関係、及び別に求めたろ液量とケーキ厚の関係か
ら、各ケーキ厚におけるろ過速度を求めた。
【0046】装置:リーフテスター VR−23(宮本
コーポレーション製) 温度:50℃ 減圧度;−456mmHg(差圧0.6kg/cm2
当) ろ過面積;28.3cm2 ろ材:ポリプロピレン製(クバナパルピング株) [実施例1]4Lの4ツ口フラスコ容器(以下の実施例・
比較例についても同じ容器使用)に、生成時の生石灰と
水のモル比が、生石灰:水=1:1.4であり、かつ消
石灰の重量を基準として1.6重量%の炭酸カルシウム
を含有する消石灰74gと、pH6.8の苛性化工程で
補充される水を用い、消石灰濃度が30重量%になる割
合で混合、スラリー化させて消石灰乳をつくり、緑液
(組成:Na2CO3=110g/L、Na2S=34g
/L、NaOH=6g/L。いずれもNa2O換算値
で、以下の実施例・比較例について同じ)添加速度0.
22cc/min/g(消石灰乳の生石灰換算値)、添加
時間60分、温度50℃、攪拌速度250rpm(KY
OEI社POWER STIRRER TYPE PS-2N使用、以下の実施例
・比較例について同じ攪拌機使用)の条件で苛性化反応
を行わせた。
【0047】得られた炭酸カルシウムスラリーに、生石
灰の重量を基準として1.6重量%の炭酸カルシウムを
含有する生石灰を0.034g/min/g(第1段工
程消石灰の生石灰換算値)で60分間逐添する。この時
並行して、緑液を添加速度0.22cc/min/g(添
加物としての生石灰全量)、添加時間60分、温度50
℃、攪拌速度250rpmの条件で結晶成長反応を行わ
せた。生成反応物の平均粒子径および形態観察を行った
結果、平均長径3.5μm、平均短径0.35μmの一
次粒子から構成される、平均粒子径14.0μmのアラ
ゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムが認められた。実
験条件および結果を表1−1に示す。 [実施例2]4Lの4ツ口フラスコ容器に、生石灰消化
時のモル比が、生石灰:水=1:1.4で、かつ炭酸カ
ルシウム含有率1.6重量%の消石灰74gと、pH
6.8の苛性化工程で補充される水を用い、消石灰濃度
が30重量%になる割合で混合後、スラリー化させて消
石灰乳をつくり、緑液を添加速度0.22cc/min/
g(消石灰乳の生石灰換算値)、添加時間60分、温度
50℃、攪拌速度250rpmの条件で苛性化反応を行
わせた。得られた炭酸カルシウムスラリーに、生石灰消
化時のモル比が、生石灰:水=1:1.4で、かつ炭酸
カルシウム含有率1.6重量%の消石灰0.067g
(生石灰換算値)/min/g(第1段工程消石灰の生
石灰換算値)で60分間逐添する。この時並行して、該
緑液添加速度0.22cc/min/g(添加物としての
消石灰全量の生石灰換算値)、添加時間60分、温度5
0℃、攪拌速度250rpmの条件で結晶成長反応を行
わせた。生成反応物の平均粒子径および形態観察を行っ
た結果、平均長径3.5μm、平均短径0.35μmの
粒子から構成される、平均粒子径19.5μmのアラゴ
ナイト系イガグリ状炭酸カルシウムが認められた。実験
条件および結果を表1−1に示す。
【0048】[実施例3]4Lの4ツ口フラスコ容器
に、生石灰消化時のモル比が、生石灰:水=1:1.4
で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6重量%の消石灰7
4gと、pH6.8の苛性化工程で補充される水を用
い、消石灰濃度が30重量%になる割合で混合後、スラ
リー化させて消石灰乳をつくり、緑液添加速度0.22
cc/min/g(消石灰乳の生石灰換算値)、添加時間
60分、温度50℃、攪拌速度250rpmの条件で苛
性化反応を行わせた。得られた炭酸カルシウムスラリー
に、生石灰消化時のモル比が、生石灰:水=1:1.4
で、かつ炭酸カルシウム含有率1.6重量%の消石灰と
水を用いて30重量%スラリーにしたものを、0.22
cc/min/g(第1段工程消石灰の生石灰換算値)
で60分間逐添する。この時並行して、緑液添加速度
0.22cc/min/g(添加物としての消石灰乳全量
の生石灰換算値)、添加時間60分、温度50℃、攪拌
速度250rpmの条件で結晶成長反応を行わせた。生
成反応物の平均粒子径および形態観察を行った結果、平
均長径3.5μm、平均短径0.35μmの粒子から構
成される、平均粒子径19.5μmのアラゴナイト系イ
ガグリ状炭酸カルシウムが認められた。実験条件および
結果を表1−1に示す。 [実施例4]4Lの4ツ口フラスコ容器に、生石灰消化
時のモル比が、生石灰:水=1:1.4で、かつ炭酸カ
ルシウム含有率1.6重量%の消石灰74gと、pH
6.8の苛性化工程で補充される水を用い、消石灰濃度
が30重量%になる割合で混合後、スラリー化させて消
石灰乳をつくり、緑液添加速度0.22cc/min/g
(消石灰乳の生石灰換算値)、添加時間60分、温度5
0℃、攪拌速度250rpmの条件で苛性化反応を行わ
せた。得られた炭酸カルシウムスラリーに、炭酸カルシ
ウム含有率1.6重量%の生石灰と水を用いて7重量%
スラリーにしたものを、0.71cc/min/g(第
1段工程消石灰の生石灰換算値)で60分間逐添する。
この時並行して、緑液添加速度0.22cc/min/g
(添加物としての生石灰乳全量の生石灰換算値)、添加
時間60分、温度50℃、攪拌速度250rpmの条件
で結晶成長反応を行わせた。生成反応物の平均粒子径お
よび形態観察を行った結果、平均長径3.5μm、平均
短径0.35μmの粒子から構成される、平均粒子径1
7.4μmのアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウム
が認められた。実験条件および結果を表1−1に示す。 [実施例5]4Lの4ツ口フラスコ容器に、生石灰消化
時のモル比が、生石灰:水=1:8.0で、かつ炭酸カ
ルシウム含有率1.6重量%の消石灰74gと、pH
6.8の苛性化工程で補充される水を用い、消石灰濃度
が20量%になる割合で混合後、スラリー化させて消石
灰乳をつくり、炭酸ナトリウム粉末(純度99%)添加
速度0.04g/min/g(消石灰乳の生石灰換算値)
で10分間添加し、その後、緑液添加速度0.22cc
/min/g(消石灰乳の生石灰換算値)、添加時間50
分、温度50℃、攪拌速度250rpmの条件で苛性化
反応を行わせた。得られた炭酸カルシウムスラリーに、
生石灰の重量を基準として1.6重量%の炭酸カルシウ
ムを含有する生石灰を0.034g/min/g(第1
段工程消石灰の生石灰換算値)で60分間逐添する。こ
の時並行して、緑液添加速度0.22cc/min/g
(添加物としての生石灰の全量)、添加時間60分、温
度50℃、攪拌速度250rpmの条件で結晶成長反応
を行わせた。生成反応物の平均粒子径および形態観察を
行った結果、平均長径3.5μm、平均短径0.35μ
mの粒子から構成される、平均粒子径14.0μmのア
ラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムが認められた。
実験条件および結果を表1−1に示す。 [実施例6]第3段工程の反応温度を90℃にした以外
は、実施例2と同様に行わせた。生成反応物の平均粒子
径および形態観察を行った結果、平均長径3.5μm、
平均短径0.4μmの粒子から構成される、平均粒子径
22.4μmのアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウ
ムが認められた。実験条件および結果を表1−1に示
す。 [比較例1]炭酸カルシウム含有率3.0重量%の生石
灰50gと、pH13.1の弱液を用い、生石灰濃度が
30重量%になる割合で混合、消和させて石灰乳をつく
り、実施例1と同じ緑液を添加速度0.11cc/mi
n/g(生石灰)、添加時間120分、温度85℃、攪
拌速度1000rpmの条件で苛性化反応を行わせた。
反応生成物は、平均長径3.8μm、平均短径0.3μ
mであるアラゴナイト系針状炭酸カルシウムであること
が認められた。実験条件および結果を表2−1に示す。 [比較例2]炭酸カルシウム含有率7.0重量%のキル
ン焼成生石灰を使用した以外は、比較例1と同様に実験
を行った。反応生成物は、平均長径8.0μm、平均短
径0.4μmであるアラゴナイト系針状炭酸カルシウム
であることが認められた。実験条件および結果を表2−
1に示す。 [比較例3]第2段工程反応時の緑液添加速度を、0.8
8cc/min/g(消石灰乳の生石灰換算値)、添加
時間15分にした以外は、実施例1と同様に実験を行っ
た。この時の反応生成物は、平均粒子径15.5μmで
あり、粒子が不定形あるいは塊状の炭酸カルシウムであ
ることが認められた。実験条件及び結果を表2−1に示
す。 [比較例4]第1段工程の消石灰中の炭酸カルシウム含有
率を15重量%にした以外は、実施例2と同様に実験を
行った。この時の反応生成物は、平均粒子径20.4μ
mであり、粒子が不定形あるいは塊状の炭酸カルシウム
であることが認められた。実験条件及び結果を表2−1
に示す。 [比較例5]第1段工程の生石灰消化時のモル比が、生石
灰:水=1:12.0の消石灰にした以外は、実施例2
と同様の実験を行った。この時の反応生成物は、平均粒
子径18.4μmであり、粒子が不定形あるいは塊状の
炭酸カルシウムであることが認められた。実験条件及び
結果を表2−1に示す。 [比較例6]第2段工程と第3段工程の反応時の温度を1
5℃にした以外は、実施例1と同様の実験を行った。こ
の時の反応生成物は、平均粒子径14.7μmであり、
粒子が不定形あるいは塊状の炭酸カルシウムであること
が認められた。実験条件及び結果を表2−1に示す。 [応用例1]カナダ標準濾水度(以下C.S.F.と略
記する)が300mlの晒し化学パルプの単独スラリー
に、対パルプ当たり内添サイズ剤(アルキルケテンダイ
マー)0.02%、硫酸バンド0.5%、カチオン変性
デンプン0.3%、実施例1〜6と比較例1〜6で得た
それぞれの炭酸カルシウムを15%(各種苛性化軽カル
は、サンドグラインダーで3μmに粉砕したものを用い
た)、並びに200ppmの歩留まり向上剤(ポリアク
リルアミド、アニオン性分子量400万〜5OO万)を
内添し調製したスラリーをテストマシンで抄紙した。こ
の様にして得られた紙の坪量、密度、不透明度の測定は
20℃、65%RHで1昼夜調湿した後、JISに準じ
て行った。また填料の歩留りおよびワイヤ摩耗試験を実
施した。試験方法を以下に、また得られた結果を表1−
2及び表2−2に示す。
【0049】
【表1−1】
【0050】
【表1−2】
【0051】
【表2−1】
【0052】
【表2−2】
【0053】[試験法] (1)ワイヤー摩耗測定法 ・試験器:日本フィルコン式磨耗試験装置 ・ワイヤ:日本フィルコンCOS−60ポリエステルワ
イヤ ・スラリー濃度:2重量% ・各種苛性化軽カルは、サンドグラインダーで3μmに
粉砕したものを用いた ・荷重:1250g ・磨耗時間:90分 ・磨耗量:磨耗試験前後のワイヤ重量減量(mg) (2)歩留まり測定法 ・使用パルプ:C.S.F.300mlに叩解したパル
プ ・紙料濃度:0.5重量%(パルプ/填料=60/4
0) ・各種苛性化軽カルは、サンドグラインダーで3μmに
粉砕したものを用いた ・薬品添加順序:パルプ→硫酸バンド(1%)→カチオ
ン化デンプン(0.2%)→填料→コロイダルシリカ
(0.02%) ( )内は対パルプ添加量で重量% ・測定装置:ブリットジャーテスター使用 ・測定条件:薬品添加時シェア 700rpm 測定時シェア 1500rpm 使用ワイヤ 200メッシュ 紙料のファーストパスリテンションを測定
【0054】
【発明の効果】実施例1〜6に示す如く、本発明による
炭酸カルシウムは結晶成長した平均粒子径の大きいアラ
ゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムであった。この炭
酸カルシウムは、抄紙時の歩留まり性及びプラスチック
ワイヤー磨耗性に優れ、さらに白液分離性と洗浄性を大
幅に改善した。
【0055】また応用例1の紙質試験の結果、本発明に
よる炭酸カルシウムは、不透明度も優れていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたアラゴナイト系イガグリ状
炭酸カルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図2】実施例1で得られた生成物についてのX線回折
の結果を示す図である。
【図3】実施例2で得られたアラゴナイト系イガグリ状
炭酸カルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図4】実施例3で得られたアラゴナイト系イガグリ状
炭酸カルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図5】実施例4で得られたアラゴナイト系イガグリ状
炭酸カルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図6】実施例5で得られたアラゴナイト系イガグリ状
炭酸カルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図7】実施例6で得られたアラゴナイト系イガグリ状
炭酸カルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡
写真である。
【図8】比較例1で得られたアラゴナイト系針状炭酸カ
ルシウムの結晶粒子構造を示す走査型電子顕微鏡写真で
ある。
【図9】比較例1で得られた生成物についてのX線回折
の結果を示す図である。
【図10】比較例3で得られた炭酸カルシウムの結晶粒
子構造を示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】 比較例3で得られた生成物についてのX線
回折の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 清 山口県岩国市飯田町2丁目8番1号 日本 製紙株式会社岩国技術研究所内 (72)発明者 南里 泰徳 山口県岩国市飯田町2丁目8番1号 日本 製紙株式会社岩国技術研究所内 Fターム(参考) 4G076 AA16 AC02 BA15 BB04 BB06 BC08 BD01 BD02 CA02 CA05 CA26 CA33 DA02 DA15 DA30 4L055 AG12 AG94 AH01 BC07 EA16 EA20 EA25 EA31 EA32 FA08 FA10 FA12 FA15 FA30 GA34

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製
    造工程の苛性化工程において炭酸カルシウムを製造する
    方法であって、生成時の生石灰と水のモル比が、生石
    灰:水=1:1〜1:10であり、かつ消石灰の重量を
    基準として0.05〜10重量%の炭酸カルシウムを含
    有する前記消石灰に対して、前記消石灰の濃度が10〜
    60重量%になるようにpH5.5〜13.5を有する
    液を添加し、攪拌あるいは捏和しながらスラリー化させ
    て消石灰乳及び/又は消石灰泥を生成する第1段工程、 ついで該消石灰乳及び/又は消石灰泥に対して、前記苛
    性化工程で発生し、白液を製造するに必要な緑液を0.
    02〜0.5cc(緑液)/min/g(消石灰の生石灰
    換算値)の添加速度で所定量逐次添加し、反応温度20
    〜80℃にて苛性化反応を行うことにより炭酸カルシウ
    ムスラリーを生成する第2段工程、 その次に該炭酸カルシウムスラリーに、生石灰、消石
    灰、石灰乳、および消石灰乳から成る添加物のいずれか
    一つを所定量添加し、また該緑液を該添加物に対して
    0.02〜0.5cc(緑液)/min/g(添加物の生
    石灰換算値)の添加速度で所定量を逐次、該炭酸カルシ
    ウムスラリーに添加し、反応温度20〜105℃にて苛
    性化反応を行なう第3段工程よりなる、製紙用に有用な
    アラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第3工程において、該添加物を緑液
    と並行して、逐次添加する請求項1記載のアラゴナイト
    系イガグリ状炭酸カルシウムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2段工程において、該緑液を逐次
    添加する前に、該消石灰乳及び/又は消石灰泥に対して
    炭酸ナトリウムを0.002〜0.5g/min/g
    (消石灰の生石灰換算値)の添加速度で所定量逐次添加
    し、反応温度20〜80℃にて初期苛性化反応を行なわ
    せる請求項1または2記載のアラゴナイト系イガグリ状
    炭酸カルシウムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記pH5.5〜13.5を有する液
    が、苛性化工程で発生する弱液である請求項1〜3記載
    のアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 生石灰換算値で比較して、前記添加物の
    添加量が、前記第1段工程の消石灰に対して、0.3〜
    10重量倍量である請求項1〜4記載のアラゴナイト系
    イガグリ状炭酸カルシウムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記添加物が、生石灰の重量を基準とし
    て0.1〜10重量%の炭酸カルシウムを含有する生石
    灰である請求項1〜5記載のアラゴナイト系イガグリ状
    炭酸カルシウムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記添加物が石灰乳であって、請求項6
    記載の生石灰を含有する請求項1〜5記載のアラゴナイ
    ト系イガグリ状炭酸カルシウムの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記添加物が消石灰であって、生成時の
    生石灰と水のモル比が、生石灰:水=1:1〜1:10
    で、かつ消石灰の重量を基準として0.05〜10重量
    %の炭酸カルシウムを含む消石灰である請求項1〜5記
    載のアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記添加物が消石灰乳であって、請求項
    8記載の消石灰を含有する請求項1〜5記載のアラゴナ
    イト系イガグリ状炭酸カルシウムの製造方法。
  10. 【請求項10】 第2段工程終了時の苛性化率に対する
    前記初期苛性化反応の比率が5〜50%である請求項3
    〜8記載のアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウムの
    製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10記載の方法によって製
    造した、短径が0.1〜2.5μmで、長径が0.3〜
    7.0μmの一次粒子から構成される、平均粒子径が
    6.5〜30.5μmのアラゴナイト系イガグリ状炭酸
    カルシウム
  12. 【請求項12】 請求項1〜10記載の方法によって製
    造した、製紙用填料及び塗工紙用塗工顔料として有用な
    アラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシウム。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の炭酸カルシウムを
    塗工顔料として用いることを特徴とする塗工組成物。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の炭酸カルシウムを製
    紙用填料として用いることを特徴とする紙又は塗工顔料
    として用いることを特徴とする塗工紙
  15. 【請求項15】 第1段工程の消石灰と前記添加物であ
    る消石灰または消石灰泥との生成に使用する生石灰、お
    よび前記添加物である生石灰、石灰乳が、炭酸カルシウ
    ムを主成分とする石灰石、及び/又は硫酸塩法またはソ
    ーダ法によるパルプ製造の苛性化工程において炭酸ナト
    リウムを水酸化ナトリウムに転化する際に生成する炭酸
    カルシウムを焼成したものである請求項1〜10のいず
    れか1項に記載のアラゴナイト系イガグリ状炭酸カルシ
    ウムの製造方法。
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