JP2006089544A - 制電性熱可塑性樹脂組成物およびそれよりなるシート - Google Patents
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Abstract
【課題】シートまたはそれよりなる熱成形品、などの成形品にした場合に、温度湿度によらない優れた帯電防止性能と良好な機械強度が付与できる、制電性樹脂組成物を得ること。
【解決手段】は熱可塑性樹脂に対し、(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールを0.1〜10重量%、(B)リチウム金属含有化合物を0.1〜10重量%含有することを特徴とする制電性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】は熱可塑性樹脂に対し、(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールを0.1〜10重量%、(B)リチウム金属含有化合物を0.1〜10重量%含有することを特徴とする制電性熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、シートまたはその熱成形品などにした場合に、温度湿度によらず優れた帯電防止性能を有し、かつ、良好な機械強度を有する、制電性熱可塑性樹脂組成物およびその用途に関する。
一般にプラスチックスは電気抵抗値が大きく、摩擦、剥離などによって容易に帯電し、ゴミや埃を吸引して外観を損ねるなど各種成形品の分野で様々なトラブルの原因となっている。
特にプラスチックシートはクリヤーケース等の包装材として多量に使用されている。このプラスチックシートは通常、枚葉のカットシートとして印刷機などに供給されるが、摩擦などにより静電気が発生して蓄積するため互いにくっつきあって自動給紙が困難であったり、シートやクリアケースに埃を吸い寄せて汚れ易くなるなどの問題が発生し、特に冬場などの低温低湿度下では顕著に発生する。
このプラスチックスの帯電防止方法として、帯電防止剤を塗布する塗布型と樹脂中に帯電防止剤を練り込み製膜する内部添加型がある。このうち塗布型は余分な加工工程が必要であり、成形品表面の摩擦や洗浄で容易に効果が低減する欠点があるため、内部添加型が有利である。
内部添加型による方法としては、これまで、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩といったイオン性界面活性剤をポリマー中に練り込む方法が、効果や経済性に優れるため一般的に採用されてきた。
中でもイオン性界面活性剤としてアルキル(アリール)スルホン酸塩を利用した系はよく検討されており、制電効果の大きなものとして、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、リチウムなどを添加する方法がある。最近ではアルカンのセカンダリー位をスルホン酸金属塩に置換したり、ホスホニウム塩を利用する例がみられる。しかし、こうした低分子量の界面活性剤を利用する方法は、界面活性剤が樹脂表面に染み出しシート表層に均一な層を形成することで初めて帯電防止効果が発現する。従って、ある程度添加量を多くする必要があり、シートの機械物性低下などの問題があった。
そこで、より少量添加で帯電防止層を形成するために、分散性の向上とブリードアウトを促進する目的でポリオキシアルキレングリコールなどを併用するが、比較的分子量が大きなポリオキシアルキレングリコール成分を併用した場合、シートの剛性が低下する恐れがある。逆に分子量があまりに小さなポリオキシアルキレングリコールとアルキルスルホン酸金属塩を併用した場合、混練時や製膜時に熱劣化し、気化したものが押出機の真空系などを閉塞させる恐れがあり、実際には利用困難である。また、低温低湿度下での帯電防止性能と機械物性を双方とも満足させることは出来ていない。
本発明の目的は、上述のような欠点を有することなく、シートまたは熱成形品、射出成
形品などの成形品にした場合に、温度湿度によらない優れた帯電防止性能と良好な機械強度が付与できる、制電性熱可塑性樹脂組成物を得ることにある。
形品などの成形品にした場合に、温度湿度によらない優れた帯電防止性能と良好な機械強度が付与できる、制電性熱可塑性樹脂組成物を得ることにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に特定のポリオキシアルキレングリコールとリチウム金属含有化合物をそれぞれ少量配合した制電性熱可塑性樹脂組成物により、温度湿度によらず優れた帯電防止性能を有し、且つ良好な機械強度を付与できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は熱可塑性樹脂に対し、(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールを0.1〜10重量%、(B)リチウム金属含有化合物を0.1〜10重量%含有する制電性熱可塑性樹脂組成物である。
また、本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物は以下の態様をとることが好ましい。
熱可塑性樹脂がポリスチレンである。
熱可塑性樹脂がアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体である。
熱可塑性樹脂がアクリルルニトリル−スチレン共重合体である。
(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールが炭素数1〜20のアルキル基、アシル基またはアロイル基により末端封鎖されたポリエチレングリコールである。
(B)リチウム金属含有化合物が式1で示されるスルホン酸リチウム塩誘導体である。R(X)nSO3Li [式1]
(ただし、R:炭素数5〜30のアルキル基、X:芳香族基、n:0〜1,Li:リチウム元素を示す。)
(ただし、R:炭素数5〜30のアルキル基、X:芳香族基、n:0〜1,Li:リチウム元素を示す。)
前述された制電性熱可塑性樹脂組成物から成形されたことを特徴とするシートである。
本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物は、特定のポリオキシアルキレングリコールとリチウム金属含有化合物を含有し、特にシートやそれを成形品にした場合に、温度湿度によらない優れた帯電防止性能と良好な機械強度を得ることができる。
本発明における熱可塑性樹脂とは、ポリスチレン、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体のいずれか又はそれらを併用してもよい。
本発明のポリスチレンとは、一般のポリスチレン系樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、スチレンとメチルメタクリレートとの共重合樹脂及びこれらの混合物を主成分とするものである。アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とはアクリルニトリル−ブタジエン−スチレンの三成分を主体とした共重合体を主成分とするものである。本発明で使用するアクリルニトリル−スチレン共重合体とは、一般的なスチレンとアクリルニトリルの共重合体である。
また、本発明における(A)数平均分子量が500〜5000である少なくともの片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールとは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1、2−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、オクタメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの2価アルコールを縮合したものを主体とするポリオキシアルキレングリコールの少なくとも片方の末端を封鎖したものであり、帯電防止効果の点からポリエチレングリコールの片末端または両末端封鎖物が最も好ましい。
また、特に炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アロイル基、または前記のアルキル基、アシル基、アロイル基の一部にグリシジル基、メタクリレート基を有するものや、グリシジル基、メタクリレート基により片末端または両末端を封鎖されたポリオキシアルキレングリコールであることが好ましい。より好ましい炭素数は1〜10、特に好ましい炭素数は1〜6である。両末端が封鎖されていない比較的分子量の低い数平均分子量500〜5000のポリオキシアルキレングリコールを熱可塑性樹脂に対して配合した場合、熱分解による気泡が発生する可能性がある。また、炭素数が20を超える場合、ポリオキシアルキレングリコール中のエーテル基含有量が少なくなり、帯電防止性能が低下する傾向がある。よって、炭素数1〜20の範囲のアルキル基、アシル基、アロイル基により少なくとも片末端が封鎖されていれば、熱分解による生産性悪化を抑制することが可能であり、しかも優れた帯電防止性能が得られる点から、最もバランスがとれているので好ましい。
また、片末端のみ封鎖されているだけでも、比較的分子量の低い数平均分子量500〜5000のポリオキシアルキレングリコールの熱分解を抑制できるが、特に比較的分子量の低い数平均分子量500〜5000の両末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールは熱分解がより少なく好ましい。
少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量は500〜5000であることが必要である。より好ましい数平均分子量は800〜4000、特に好ましい数平均分子量は800〜2000である。数平均分子量が500未満である場合、耐熱性が低いため、樹脂組成物生産時に蒸発し、真空系を閉塞させる恐れがあるばかりではなく、成形品表面に多量にブリードアウトするために成形品自体の印刷性を低下させる恐れがある。また、数平均分子量が5000を超える場合、熱可塑性樹脂からのブリードが減り帯電防止性能が低下する。よって、数平均分子量500〜5000の範囲が帯電防止性能と生産性・加工適性の観点から最もバランスがとれている。
また、(A)数平均分子量が500〜5000である少なくともの片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの含有量は熱可塑性樹脂に対し、0.1〜10重量%であることが必要である。より好ましい含有量は0.3〜8重量%、特に好ましい含有量は0.5〜5重量%である。含有量が0.1重量%未満の場合、帯電防止性能を得ることができず、含有量が10重量%を超えるともはや帯電防止効果は飽和に達するばかりでなく、逆に耐熱性が低下し、機械強度が著しく低下する。よって、含有量は0.1〜10重量%が帯電防止性能と透明性、耐熱性の観点から最もバランスがとれている。
本発明における(B)リチウム金属含有化合物としては、特に限定はしないがCF3SO3Li、LiPF6、LiClO4、LiBF4、CF3CO2Li、LiSCN、Li(CF3SO2)2N、Li(CF3SO2)3Cなどがあり、特に帯電防止性能の観点から、CF3SO3Li、Li(CF3SO2)2N、Li(CF3SO2)3Cなどのリチウム塩が好ましい。
また、下式で示される有機スルホン酸金属塩があり、R(X)nSO3Li(ただし、R:炭素数5〜30のアルキル基、X:芳香族基、n:0〜1,Li:リチウム元素を示す。)、R−X−SO3Liで示される芳香族系スルホン酸リチウム塩や、R−SO3Liで示される脂肪族系スルホン酸リチウム塩があるが、アルキル基の炭素数は5から30であることが好ましい。炭素数が5〜30の範囲であると、スルホン酸リチウム塩が熱可塑性樹脂中で分散性に優れ、良好な帯電防止効果が発現する。
前記R(X)nSO3Liを形成するスルホン酸金属塩の例として、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、オクタデシルスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらを2種類以上混ぜ合わせて使用してもかまわない。
また、これらを2種類以上混ぜ合わせて使用してもかまわない。
また、上述したリチウム金属含有化合物の含有量は、熱可塑性樹脂に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、特に好ましくは0.3〜3重量%である。含有量が0.1重量%未満であると、帯電防止性能が不十分あり、一方、10重量%を超えるともはや帯電防止効果は飽和に達するばかりでなく、逆にゲル状異物が生成しやすくなる。よって、含有量が0.1〜10重量%の範囲が帯電防止性能の観点から最もバランスがとれている。
また、リチウム金属含有化合物の代わりにナトリウム金属含有化合物などを配合した場合、低温低湿度下での優れた帯電防止性能と機械物性の両立は困難であり、リチウム金属含有化合物と(A)数平均分子量が500〜5000である少なくともの片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールを併用して熱可塑性樹脂に適用して初めて両立させることが可能であった。
また、本発明の特徴を損なわない程度で、従来公知の添加剤を制電性熱可塑性樹脂組成物に添加しても構わない。添加剤としては、シリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、架橋ポリスチレンなどの粒子、酸化チタン、カーボンブラックなどの顔料、紫外線吸収剤、離型剤、有機易滑剤(長鎖脂肪族エステルなど)、難燃剤(臭素系難燃剤、シリコーンなど)などが挙げられる。
本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の方法で容易に製造することができる。つまり、(A)数平均分子量が500〜5000である少なくともの片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールと(B)リチウム金属含有化合物の熱可塑性樹脂への添加は、通常の熱可塑性樹脂を製造しておき、このペレットと本発明に用いる(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールと(B)リチウム金属含有化合物とを単軸、二軸(同方向、異方向回転)押出機で混合混練する方法が最も好ましい。
本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物をシートとして用いる場合には、単層であっても、積層であってもよい。本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物からなるシートを少なくとも片方の表層に配置しコア層に熱可塑性樹脂または積層したシートを再利用したものを一定量配合して使用した2種3層積層シートが経済性などの面から優れている。
次に上記のシートの製造方法を説明する。本発明における(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールおよび(B)リチウム金属含有化合物、必要に応じて各種添加剤を所定量含有するペレットを乾燥したのち、公知の溶融押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化させてシートを作る。
積層シートの場合には、2または3台の押出し機、2または3層のマニホールドまたは合流ブロックを用いて、溶融状態の熱可塑性樹脂および制電性熱可塑性樹脂組成物を積層する。この場合、流路にギヤポンプを設置する方法を用いてもよい。
次に本発明の実施例および比較例を示す。まず、測定・評価方法を以下に示す。
(1)厚み:(株)ミツトヨ製マイクロメータ(SPM2−25DM)によりシートの任意の点を10点測定し、その平均値を厚みとした。
(2)表面抵抗値:三菱化学(株)製電気抵抗測定器(Hiresta−UP MCP−HT450)を用い、23℃±2℃、50%RH±5%RH及び15℃±1℃、30%RH±3%RH下の双方で6時間放置した後、測定した。測定条件は印加電圧1000V、サンプリングタイム30secで、1サンプル10箇所測定し、その平均値を採用した。その結果、双方の測定条件下で表面抵抗値が1013Ω/□未満のものを帯電防止性能良好、それ以上のものを不良とした。
(3)引張弾性率:JIS−K−7113に従い測定実施した。評価方法として、各ベース樹脂のみの厚さ約280μmのシートにおける引張弾性率に対して、その85%以上の引張弾性率を維持した場合を良好とし、85%未満を不良とした。
ベース樹脂のみのシート物性について
(4)引張降伏点応力:JIS―K―6734に従い測定実施した。評価方法として、各ベース樹脂のみの厚さ約280μmのシートにおける引張降伏点応力に対して、その85%以上の引張降伏点応力を維持した場合を良好とし、85%未満を不良とした。
(5)総合評価:上記(2)、(3)、(4)までの評価項目が全て満たされ、尚且つ製膜状況も良好であるものを○、それ以外を×とした。
(ベース樹脂および(A)末端封鎖型ポリエチレングリコールの影響について)
〔実施例1〕
(マスターペレットの調製)
耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)90重量%に、加熱保温式液添装置を使用してドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(竹本油脂製 エレカットS417:DBSLi純分80重量%)12.5重量%を連続的に230℃に温調したベント式同方向二軸混練機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断してドデシルベンゼンスルホン酸リチウム10重量%含有マスターペレットを調製した。次に、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)90重量%に、数平均分子量10
00のポリエチレングリコールジメチルエーテル(日本油脂製 ユニオックスMM1000)10重量%を加熱保温式液添装置により90℃に温調して供給し、連続的に230℃に温調したベント式同方向二軸混練機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断して数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターを調製した。
〔実施例1〕
(マスターペレットの調製)
耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)90重量%に、加熱保温式液添装置を使用してドデシルベンゼンスルホン酸リチウム(竹本油脂製 エレカットS417:DBSLi純分80重量%)12.5重量%を連続的に230℃に温調したベント式同方向二軸混練機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断してドデシルベンゼンスルホン酸リチウム10重量%含有マスターペレットを調製した。次に、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)90重量%に、数平均分子量10
00のポリエチレングリコールジメチルエーテル(日本油脂製 ユニオックスMM1000)10重量%を加熱保温式液添装置により90℃に温調して供給し、連続的に230℃に温調したベント式同方向二軸混練機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断して数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターを調製した。
(シートの作製)
押出機に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)80重量%と上記のドデシルベンゼンスルホン酸リチウム10重量%含有マスターペレット10重量%及び上記の数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターペレット10重量%を230℃に温調した押出機に供給し、これを冷却水温度25℃に温調して循環させた冷却ロール上にTダイより押出しシートを得た。なお、押出機の吐出量は一定とし、シート厚みは冷却ロールの回転速度で調整して約280μmとなるよう調製した。
押出機に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)80重量%と上記のドデシルベンゼンスルホン酸リチウム10重量%含有マスターペレット10重量%及び上記の数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターペレット10重量%を230℃に温調した押出機に供給し、これを冷却水温度25℃に温調して循環させた冷却ロール上にTダイより押出しシートを得た。なお、押出機の吐出量は一定とし、シート厚みは冷却ロールの回転速度で調整して約280μmとなるよう調製した。
〔実施例2〜11、比較例1〜15〕
実施例1における押出機への供給樹脂及び添加剤の種類を変更し表2の組成のようになるよう調整し、シート厚みも表2のようになるよう調節してシートを得た。
実施例1における押出機への供給樹脂及び添加剤の種類を変更し表2の組成のようになるよう調整し、シート厚みも表2のようになるよう調節してシートを得た。
以上の方法で得られたシートの表面抵抗値(温度湿度は2条件)及び引張弾性率、引張降伏点応力について、前述した方法による測定・評価した結果及び製膜時の状況とそれらの総合評価を表3に示す。
上記より、数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの影響は以下のように結論することができる。
実施例1〜10のシートは、本発明の請求項1記載の要件を満足しており、温度湿度によらず優れた帯電防止性能を有し、且つ良好な機械強度を有していた。
それに比べ、比較例1のように末端封鎖されていないポリエチレングリコールを使用した場合、シートに気泡が発生し、巻き取る際に折損してしまい生産できなかった。
また、比較例2、4のように少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が500未満の場合、製膜時シート表面に多量のポリオキシアルキ
レングリコールがブリードアウトし、シート及びロールを汚し、良好なシートが採取できなかった。
レングリコールがブリードアウトし、シート及びロールを汚し、良好なシートが採取できなかった。
また、比較例3、5のように少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの数平均分子量が5000を超える場合、機械強度が低下した。
また、比較例6、8、10、12のように数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの含有量が0.1重量%未満である場合、低温低湿度下(15℃×30%RH)での表面抵抗値は1013Ω/□以上となり、帯電防止性能は不良となった。
それ以外に比較例7、9、11、13のように数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールの含有量が10重量%を超える場合、製膜時ポリオキシアルキレングリコールが多量にブリードアウトするばかりか、シートの機械強度が低下し、尚且つ耐熱性が低下したため冷却ロール上に融着が起こったため、シートを安定的に得ることができなかった。
((B)リチウム金属含有化合物の種類および配合量の影響について)
〔実施例12〕
(シートの作製)
押出機に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)89重量%と上記のドデシルベンゼンスルホン酸リチウム10重量%含有マスターペレット1重量%及び上記の数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターペレット10重量%を230℃に温調した押出機に供給し、これを冷却水温度を25℃に調温して循環させた冷却ロール上にTダイより押出しシートを得た。なお、押出機の吐出量は一定とし、シート厚みは冷却ロールの回転速度で調整して約280μmとなるよう調製した。
〔実施例12〕
(シートの作製)
押出機に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)89重量%と上記のドデシルベンゼンスルホン酸リチウム10重量%含有マスターペレット1重量%及び上記の数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターペレット10重量%を230℃に温調した押出機に供給し、これを冷却水温度を25℃に調温して循環させた冷却ロール上にTダイより押出しシートを得た。なお、押出機の吐出量は一定とし、シート厚みは冷却ロールの回転速度で調整して約280μmとなるよう調製した。
〔比較例14〜17〕
実施例12における押出機への添加剤の種類および配合量を変更し表2の組成のようになるよう調整し、シート厚みも表3のようになるよう調節してシートを得た。
実施例12における押出機への添加剤の種類および配合量を変更し表2の組成のようになるよう調整し、シート厚みも表3のようになるよう調節してシートを得た。
以上の方法で得られたシートの引張弾性率、引張降伏点応力及び表面抵抗値(温度湿度は2条件)について、前述した方法による測定・評価した結果及び製膜時の状況とそれらの総合評価を表3に示す。
上記より、実施例12のようにリチウム金属含有化合物の種類が変わっても、請求項1記載の要件を満足しており、温度湿度によらず優れた帯電防止性能を有し、且つ良好な機械強度を有していた。それに比べ比較例14、16のようにリチウム金属含有化合物の配合量が0.1重量%未満であるとき、低温低湿度下(15℃×30%RH)での表面抵抗値は1013Ω/□以上となり、帯電防止性能は不良となった。また、比較例15、17のようにリチウム金属含有化合物の配合量が10重量%を超えても、得られる性能はほぼ飽和し、尚且つシート表面へのブリードアウトが見られ、総合評価は不良となった。
((B)リチウム金属含有化合物以外の影響について)
〔参照例1〕
(シートの作製)
押出機に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)90重量%と前述の数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターペレット5重量%および前述と同様の方法により作成したドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム10重量%含有耐衝撃性ポリスチレン樹脂マスター5重量%を230℃に温調した押出機に供給し、これを冷却水温度25℃に温調して循環させた冷却ロール上にTダイより押出しシートを得た。なお、押出機の吐出量は一定とし、シート厚みは冷却ロールの回転速度で調整して約280μmとなるよう調製した。
〔参照例1〕
(シートの作製)
押出機に耐衝撃性ポリスチレン樹脂(東洋スチレン製、H450)90重量%と前述の数平均分子量1000のポリエチレングリコールジメチルエーテル10重量%含有マスターペレット5重量%および前述と同様の方法により作成したドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム10重量%含有耐衝撃性ポリスチレン樹脂マスター5重量%を230℃に温調した押出機に供給し、これを冷却水温度25℃に温調して循環させた冷却ロール上にTダイより押出しシートを得た。なお、押出機の吐出量は一定とし、シート厚みは冷却ロールの回転速度で調整して約280μmとなるよう調製した。
〔参照例2〕
参照例1における押出機への熱可塑性樹脂の種類を変更し表2の組成のようになるよう調整し、シート厚みも表3のようになるよう調節してシートを得た。
参照例1における押出機への熱可塑性樹脂の種類を変更し表2の組成のようになるよう調整し、シート厚みも表3のようになるよう調節してシートを得た。
以上の方法で得られたシートの引張弾性率、引張降伏点応力及び表面抵抗値(温度湿度は2条件)について、前述した方法による測定・評価した結果及び製膜時の状況とそれらの総合評価を表3に示す。
上記より、リチウム金属含有化合物の影響は以下のように結論することができる。実施例1〜12の制電性熱可塑性樹脂シートは、本発明の請求項1記載の要件を満足しており、温度湿度によらず優れた帯電防止性能を有し、且つ良好な機械強度を有していた。それに比べ、参照例1、2のようにリチウム金属含有化合物がではなく、ナトリウム金属含有化合物を使用した場合、低温低湿度下(15℃×30%RH)での表面抵抗値は1013Ω/□以上となり、帯電防止性能は不良となった。
本発明の制電性熱可塑性樹脂組成物およびそれからなるシートは、温度・湿度によらず優れた帯電防止性能を有し、かつ、良好な機械強度の全てを有するポップ、表示板、クリアケースなどに好適である。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂に対し、(A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールを0.1〜10重量%、(B)リチウム金属含有化合物を0.1〜10重量%含有する制電性熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がポリスチレンであることを特徴とする請求項1に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂がアクリルニトリル−スチレン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
- (A)数平均分子量が500〜5000である少なくとも片末端が封鎖されたポリオキシアルキレングリコールが炭素数1〜20のアルキル基、アシル基またはアロイル基により末端封鎖されたポリオキシアルキレングリコールであることを特徴とする請求項1〜4に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
- (B)リチウム金属含有化合物が式1で示されるスルホン酸リチウム塩誘導体であることを特徴とする請求項1〜5に記載の制電性熱可塑性樹脂組成物。
R(X)nSO3Li [式1]
(ただし、R:炭素数5〜30のアルキル基、X:芳香族基、n:0〜1,Li:リチウム元素を示す。) - 請求項1〜6に記載された制電性熱可塑性樹脂組成物から成形されたことを特徴とするシート。
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