JP2008201978A - フィルム状成型体およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気特性や熱的寸法安定性、透明性に優れたフィルム状成型体およびこのフィルム状成型体の生産性の高い製造方法を提供する。
【解決手段】 面状繊維補強材にポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を溶融状態で含浸させる。
【選択図】なし

Description

本発明はフィルム状成型体およびその製造方法に関する。
近年プリント配線基板等の電子材料用フイルムに求められる特性は従来より高度なものとなり、従来のエポキシ樹脂積層板では、特に、電気特性、耐熱性、寸法安定性(低線膨張係数)、低吸湿性に関する要求特性を満足させるのは困難になってきている。
この問題を解決する新しいプリント配線基板材料の候補として電気特性、耐熱性や低吸湿性に優れたポリフェニレンエーテルが挙げられる。しかしながらポリフェニレンエーテルは以下に説明するように、成型性が悪く、かつ寸法安定性が不良である(線膨張係数が大きい)ので、これまではポリフェニレンエーテルを利用した有用な配線基板材料は知られていなかった。
以下にポリフェニレンエーテルの問題点について詳しく説明する。
ポリフェニレンエーテルは溶融成型が困難であり、無理に押出し成型でフィルム類を製造すると、そのフィルムが外観不良となる、厚みむらが多くなる、着色異物やゲルが生じる等の問題により安定に高品質のフィルム類を得るのが難しい。これを回避する方法としてポリフェニレンエーテル系樹脂にポリスチレン系樹脂を添加することにより溶融流動性を向上させて溶融成型を行う方法が知られている。しかしながらポリスチレン系樹脂を添加させたポリフェニレンエーテル系樹脂では、ポリフェニレンエーテルが持つ本来の優れた特性である耐熱性が低下してしまう問題がある。またフィルム成型の際に生じる着色異物やゲル等の問題についても十分解決されていない。
ポリフェニレンエーテルをフィルム化する別の方法としては、当該ポリマーの溶液を利用するキャスト製膜法が挙げられるが、ポリフェニレンエーテルは有機溶剤に溶解しにくく、その溶解液の粘度も非常に高いなどの問題がある。即ち、ポリフェニレンエーテルは塩素系溶剤、または50℃以上の加熱状態でトルエン、キシレン等の芳香族有機溶剤にしか溶解せず、プリプレグ製造時の作業環境の悪化、製造工程の簡素化が困難等の観点からは好ましくない。更に、大きな問題としては、キャスト製膜法でポリフェニレンエーテルを成膜しようとすると、乾燥中にひび割れ等が発生して均一・透明なフィルムが得られない。
特許文献1にはポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸との反応によりポリフェニレンエーテルを改質してポリフェニレンエーテルの製膜性を改良する技術も開示されているが、当該材料ではポリフェニレンエーテル樹脂本来の優れた電気特性が損なわれてしまうという問題がある。また、更に、当該改質樹脂フイルムの線膨張係数を小さくするためにこの樹脂をキャスト法でガラスクロスに含浸させると膜厚が厚いためやはり乾燥中にひび割れ等が発生してきれいなフィルムが得られない。このような乾燥中のひび割れを抑えて樹脂をガラスクロスに均一に含浸させることを目的として、上記改質ポリフェニレンエーテルとトリアリルイソシアヌレートとエポキシ樹脂とアリルグリシジルエーテルからなる組成物をキャスト法でガラスクロスに含浸させる技術(特許文献2)や、上記改質ポリフェニレンエーテルとトリアリルイソシアヌレートとアリルアルコールからなる組成物をキャスト法でガラスクロスに含浸させる技術(特許文献3)が提案されている。しかしながら、ポリフェニレンエーテルを他の樹脂と混合することは、ポリフェニレンエーテルが本来持つ優れた電気特性を損なう欠点を有している。加えてキャスト法による製膜は溶剤の除去に長時間を要するなど生産性にも問題があった。
特公平8−5977号公報 特開平6−32875号公報 特開平6−206955号公報
以上のように、ポリフェニレンエーテルは成型加工性が悪いために均一で透明なフイルムを形成することが困難であり、かつ線膨張係数も大きいので、ポリフェニレンエーテルを配線基板材料に使用することは困難であった。したがって、ポリフェニレンエーテルの優れた耐熱性や電気特性を活かした配線基板材料用のフイルム状成型体を開発するためには、均一・透明フイルムを可能にするための成型加工性の向上と、線膨張係数の向上の両方を同時に実現する方策を開発する必要があった。
本発明は、こうした問題を解決したフィルム状成型体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、面状繊維補強材にポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を溶融状態で含浸することにより、高生産性で所望のフィルム成型体を製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.ポリフェニレンエーテル系樹脂と、籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体とを含有する樹脂組成物と、面状繊維補強材とからなるフィルム状成型体。
2.前記面状繊維補強材がガラスクロスであることを特徴とする前項1記載のフィルム状成型体。
3.前項1又は2に記載のフイルム状成型体であって、さらに1GHzにおける誘電正接が0.003以下であり、線膨張係数が5〜40ppm/℃の範囲であることを特徴とするフィルム状成型体。
4.前項3に記載のフィルム状成型体であって、さらに、全光線透過率が80%以上、ヘイズが5%以下であることを特徴とするフイルム状成型体。
5.ポリフェニレンエーテル系樹脂と、籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体とを混合して得られた樹脂組成物を、溶融状態で面状繊維補強材に含浸して得ることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載のフィルム状成型体の製造方法。
本発明のフィルム状成型体は電子材料分野や光学材料分野の用途に好適に使用することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
先ず、最初に、本発明のフイルム状成型体の構成材料について説明する。
本発明のフイルム状成型体を構成する面状繊維補強材は、繊維の織物や編物や不織布が使用できるが、一般的に織物の方が外部の力による変形が小さく、樹脂組成物を含浸した場合にも成型されたフィルムの強度や弾性率は高くなり、また線膨張係数は小さくなり好ましい。繊維の種類については有機材料および無機材料のものが使用できる。本発明に使用される面状繊維補強材としては、その厚さは0.2mmから0.01mmの範囲が好ましく、重量は250g/mから10g/mの範囲のものが好ましいが、いずれもこの範囲に限定されるものではない。
有機材料系の繊維材料としては、例えば、ポリエステルやポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール繊維などの合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)などのセルロース再生繊維、木綿、麻、バクテリアセルロースなどの天然繊維が挙げられるがこれらに限定されるものではない。この中でも、バクテリアセルロースを用いた不織布のように、繊維径が細い(好ましくはナノサイズである)不織布が、強度が大きく、また得られた複合膜の透明性にも優れているので特に好ましい。無機材料系の繊維材料としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、鉱物繊維などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、面状繊維補強材に樹脂組成物を含浸させる場合、例えば電子材料の用途に使用する場合は線膨張係数が小さく、誘電率や誘電正接などの電気特性に優れた材料が好ましい。また光学材料の用途に使用する場合は全光線透過率やヘイズ(曇価)に優れた材料が好ましい。このような条件を満足する材料としてガラス繊維が好んで用いられる。ガラスにはEガラス、Dガラス、Sガラス、Cガラス、ARガラス、Hガラス、高誘電率ガラスのような様々な種類があり、ガラスクロスに使用可能であるが、電子材料用途に用いられる場合は電気特性の点からEガラス、Dガラス、Hガラスが好ましく、その中でもEガラスが好ましい。このようなガラス繊維を織り込んだガラスクロスの厚さや単位面積あたりの重量はプレス後の成型体の物性に大きく影響する。例えば、厚さは0.2mmから0.01mmの範囲、重量は250g/mから10g/mの範囲のものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。このようなガラスクロスは樹脂の含浸性や保持性を向上させるために開繊処理を施されていてもよいし、密着性を向上させるためにシランカップリング等の各種の表面処理剤で表面処理をされていてもよい。また成型体の表面平滑性を向上させるために扁平加工されていてもよい。
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、「ポリフェニレンエーテル樹脂及びそれを含むポリマーアロイ」を示す。本発明で用いられる「ポリフェニレンエーテル樹脂」とは、下記一般式(1)を繰り返し単位とした単独重合体、下記一般式(1)の繰り返し単位を含む共重合体、あるいはそれらの変性ポリマーを示す。
一般式(1)
Figure 2008201978

式中R、R、R、R、は水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、炭化水素オキシを表す。
当該ポリフェニレンエーテル樹脂としては幅広い分子量の重合体が使用可能であるが、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)として、好ましくは0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体が使用され、さらに好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。当該ポリフェニレンエーテル樹脂としては、その目的に応じて幅広い溶融流動性の樹脂が使用可能であり、特に溶融流動性の制限はない。しかしながら、例えば、特に高い耐熱性及び機械諸物性が要求される構造材料として使用される場合には、JIS K6730に従い、かつ、280℃、荷重10Kgで測定されたメルトインデックスの値としては、好ましくは6(g/10min)以下、より好ましくは5(g/10min)以下、特に好ましくは4(g/10min)以下の値の樹脂が使用される。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この内、特に好ましいものは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。ポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールあるいは2−メチルフェノール(o−クレゾール))との共重合体などが挙げられる。以上のような各種ポリフェニレンエーテル樹脂の中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
本発明で使用するポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法が挙げられる。
米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法として好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、重合行程後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂には、ジエノフィル化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含まれる。この変性処理には、種々のジエノフィル化合物が使用されるが、ジエノフィル化合物の例としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フェニルマレイミド、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアリレート、メチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンなどの化合物が挙げられる。さらにこれらジエノフィル化合物により変性する方法としては、ラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で押出機などを用い、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融状態で官能化してもよい。あるいはラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で、非溶融状態、すなわち室温以上、かつ融点以下の温度範囲にて官能化してもよい。この際、ポリフェニレンエーテルの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義され、ピークトップ温度が複数ある場合にはその内の最高の温度で定義される。
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記のポリフェニレンエーテル樹脂のみであってもよいし、あるいは、上記のポリフェニレンエーテル樹脂と他の樹脂とのポリマーアロイでも良い。この場合の他の樹脂の例としては、例えば、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ナイロン6,6やナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等が挙げられる。本発明で使用されるポリフェニレンエーテル樹脂を含むポリマーアロイは、ポリフェニレンエーテル樹脂とひとつの他の樹脂と組み合わせたポリマーアロイとしても良いし、ポリフェニレンエーテル樹脂と複数の他の樹脂と組み合わせたポリマーアロイでも良い。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂と他の樹脂とのポリマーアロイにおいては、当該ポリマーアロイの全重量に対するポリフェニレンエーテル樹脂の含有量としては、好ましくは60wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上、特に好ましくは90wt%以上である。
上記のポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、低吸水性、低熱収縮性、難燃性、あるいは、誘電率・誘電正接などの電気特性に優れている。しかしながらポリフェニレンエーテル系樹脂は押し出し成型でフィルム類を製造すると、そのフィルムが外観不良となる厚みむらが多くなる、焼けがフィルムにできる等の問題が生ずる場合があり、安定に高品質のフィルム類を得るのが難しい。一方、国際公開第02/059208には、籠状シルセスキオキサンまたは/および籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体とポリフェニレンエーテル系樹脂からなる樹脂組成物が、優れた溶融流動性と難燃性を示すことが開示されている。本発明者等は、当該組成物を溶融成型することにより均一で透明な高品質のフィルムを製造出来ることを見いだし、本発明に利用した。

以下に、本発明に使用する籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体について説明する。
シルセスキオキサン化合物は[R’SiO3/2]で表される単位を主要構成成分とする化合物であり、その中の特定の構造のシルセスキオキサン化合物、即ち、籠状(完全縮合ケージ状)構造あるいはその部分開裂構造体(籠状構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠状構造の一部ケイ素−酸素結合が切断された構造)が本発明に使用される。
本発明に使用される籠状シルセスキオキサンの具体的構造の例としては、例えば、下記の一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンが挙げられる。又、本発明に使用される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の具体的構造の例としては、例えば、下記の一般式(B)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が挙げられる。しかしながら、本発明に使用される籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂構造体の構造は、これらの構造に限定されるものではない。
[RSiO3/2 (A)
(RSiO3/2(RXSiO) (B)
一般式(A)、(B)において、Rは水素原子、炭素原子数1から6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基又はケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基から選ばれ、Rは全て同一でも複数の基で構成されていても良い。
本発明で用いられる一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンの例としては[RSiO3/2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(3))、[RSiO3/2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(4))、[RSiO3/210の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(5))、[RSiO3/212の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(6))、[RSiO3/214の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(7))が挙げられる。
一般式(3)
Figure 2008201978




一般式(4)
Figure 2008201978
一般式(5)
Figure 2008201978
一般式(6)
Figure 2008201978
一般式(7)
Figure 2008201978
本発明の一般式(A)[RSiO3/2で表される籠状シルセスキオキサンにおけるnの値としては、6から14の整数であり、好ましくは8,10あるいは12であり、より好ましくは、8、10または8,10の混合物あるいは8,10,12の混合物であり、特に好ましくは8又は10である。
また、本発明では、籠状シルセスキオキサンの一部のケイ素−酸素結合が部分開裂した構造か、又は、籠状シルセスキオキサンの一部が脱離した構造、あるいはそれらから誘導される、一般式(B)[RSiO3/2(RXSiO)(lは2から12の整数であり、kは2又は3である。)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を用いることもできる。
一般式(B)においてXはOR(Rは水素原子、アルキル基、第4級アンモニウムラジカル)、ハロゲン原子及び上記Rで定義された基の中から選ばれる基であり、複数のXは同じでも異なっていても良い。又(RXSiO)中の複数のXが互いに連結して連結構造を形成しても良い。ここで、lは2から12の整数、好ましくは4から10の整数、特に好ましくは4、6又は8である。kは2又は3である。
(RXSiO)中の2個又は3個のXは、同一分子中の他のXと互いに連結して各種の連結構造を形成しても良い。その、連結構造の具体例を以下に説明する。
一般式(B)の同一分子中の2個のXは下記一般式(8)で示される分子内連結構造を形成しても良い。さらに、それぞれ異なった分子中に存在する2個のXが互いに連結して、一般式(8)で表される連結構造により複核構造を形成しても良い。
一般式(8)
Figure 2008201978


Y及びZはXと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていても良い。
一般式(B)で表される化合物における上記の各種の連結構造のうちでは、一般式(8)で表される連結構造が、合成が容易であり好ましい。
本発明で使用される一般式(B)で表される化合物の例としては、例えば一般式(4)の一部が脱離した構造であるトリシラノール体あるいは、それからから合成される(RSiO3/2(RXSiO)の化学式で表されるタイプ(例えば、下記一般式(9))、一般式(9)あるいは(RSiO3/2(RXSiO)の化学式の化合物の中の3個のXのうち2個のXが一般式(8)で示される連結構造を形成するタイプ(例えば、下記一般式(10))、一般式(4)の一部が開裂したジシラノール体から誘導される(RSiO3/2(RXSiO)の化学式で表されるタイプ(例えば、下記一般式(11)及び(12))、一般式(11)あるいは(RSiO3/2(RXSiO)の化学式の化合物の中の2個のXが一般式(8)で示される連結構造を形成するタイプ(例えば、下記一般式(13))等が挙げられる。一般式(9)から(13)中の同一ケイ素原子に結合しているRとXあるいはYとZはお互いの位置を交換したものでもよい。さらに、それぞれ異なった分子中に存在する2個のXが互いに連結して、上記一般式(8)で代表される各種の連結構造により複核構造を形成しても良い。
これらの各種の籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂構造体は、それぞれ単独で用いてもいいし、複数の混合物として用いても良い。
一般式(9)
Figure 2008201978
一般式(10)
Figure 2008201978
一般式(11)
Figure 2008201978
一般式(12)
Figure 2008201978

一般式(13)
Figure 2008201978

本発明に使用される一般式(A)及び/又は一般式(B)で表される化合物におけるRの種類としては水素原子、炭素原子数1から6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基、またはケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基が挙げられる。
炭素原子数1から6のアルコキシル基の例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基等が挙げられる。一般式(A)又は一般式(B)の化合物の1分子中のアルコキシル基及びアリールオキシ基の数は合計で好ましくは3以下、より好ましくは1以下である。
炭素数1から20までの炭化水素基の例としてはメチル、エチル、n―プロピル、i-プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec-ブチル)、ペンチル(n―ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル等の非環式及び環式アルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基あるいはキシリル基のようなアリール基、4−アミノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビニルフェニル基のような置換アリール基等が挙げられる。
これらの炭化水素基の中でも、特に炭素数2から20の脂肪族炭化水素基、炭素数2から20のアルケニル基の数が、全R、X、Y、Zにしめる割合が大きい場合には特に良好な成形時の溶融流動性が得られる。またRが脂肪族炭化水素基及び/又はアルケニル基の場合には、成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスがいいものとして、R中の炭素数は通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下である。
又、本発明に使用されるRとしてはこれらの各種の炭化水素基の水素原子又は主査骨格の一部がエーテル結合、エステル基(結合)、水酸基、チオール基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオール基、チオエーテル結合、スルホン基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(極性結合)あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等から選ばれる置換基で部分置換されたものでも良い。
一般式(A)及び(B)におけるR中の置換又は非置換の炭化水素基中の置換基も含めた全炭素原子数としては、通常は20以下のものが使用されるが、フィルムの特性バランスがよいものとしては、好ましくは16以下、特に好ましくは12以下のものが使用される。
Rとして採用されるケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基としては、広範な構造のものが採用される。当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数としては、通常1〜10の範囲であるが、好ましくは1〜6の範囲、より好ましくは1〜3の範囲である。ケイ素原子の数が大きくなりすぎると籠状シルセスキオキサン化合物は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が困難になるので好ましくない。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムの量産性向上効果とフィルムの特性向上効果の両方とも特に優れた効果を示す別の化合物の群としては、一般式(A)及び一般式(B)で表される化合物の中でも、一般式(A)及び/又は一般式(B)のR、X、Y、Zの少なくとも一つは、1)不飽和炭化水素結合を含有する基、あるいは、2)窒素原子及び/又は酸素原子を含有する極性基を有する基である化合物の群が挙げられる。ここで、R、X、Y、Zが複数の種類の基で構成されている場合には、その中の少なくとも一つが上記の1)又は2)の基であればよい。
上記1)の不飽和炭化水素結合を含有する基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル、スチリル等の非環式及び環式アルケニル基、アルキニル基、あるいはこれらの基を含有する基が挙げられる。上記の不飽和炭化水素結合を含有する基の具体例としては、例えばビニル基、アリル基、2−(3,4−シクロヘキセニル)エチル基、3,4−シクロヘキセニル基、ジメチルビニルシロキシ基、ジメチルアリルシロキシ基、(3−アクリロイルプロピル)ジメチルシロキシ基、(3−メタクリロイルプロピル)ジメチルシロキシ基等が挙げられる。
また、上記2)の窒素原子及び/又は酸素原子を含有する極性基を有する基の例としてはエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基(結合)、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、シアノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基等を含む基が挙げられる。その中でも、特に、アミノ基あるいはその誘導体、あるいはエーテル基(エポキシ基も含む)を含有する基が好ましい。上記のアミノ基誘導体の例としては、例えば、モノアルキルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジアルキルアミノ基等の各種置換アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基等が挙げられる。
上記のアミノ基あるいはその誘導体を含有する基の具体例としては、例えば、3−アミノプロピル基(HNCHCHCH−)、MeNCHCHCH−、MeC=NCHCHCH−、ーCHCHNH、3−アミノプロピルジメチルシロキシ基(HNCHCHCHMeSiO−)、HNCHCHCHMe(HO)SiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基(HNCHCHNHCHCHCH−)、MeHNCHCHNHCHCHCH−、MeC=NCHCHNHCHCHCH−、HOCHCHHNCHCHNHCHCHCH−、CH3COHNCHCHNHCHCHCHMeSiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメチルシロキシ基(HNCHCHNHCHCHCHMeSiO−)、HNCHCHNHCHCHCHMe(HO)SiO−が挙げられる。また、上記のエーテル基(エポキシ基も含む)を含有する基の具体例としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピル基、3−グリシジルオキシプロピルジメチルシロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルシロキシ基、CHOCHCHCH−、HOCHCHOCHCHCH−等が挙げられる。
一般式(A)および一般式(B)におけるR、X、Y、Zの中から選ばれる少なくとも一つの官能基が上記のアミノ基を含有する一般式(A)の籠状シルセスキオキサン及び/又は一般式(B)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体がポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムを製造した時に得られるフィルム特性のバランスが良いため、好ましい。
一般式(A)および一般式(B)におけるR、X、Y、Zはそれぞれ独立に各種の構造を取りうるし、又、R、X、Y、Zはそれぞれ複数の基からなっていてもよい。
本発明の籠状シルセスキオキサンは例えばBrownらのJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313や、FeherらのJ.Am.Chem.Soc.1989,111,1741あるいはOrganometallics 1991,10,2526などの方法で合成することができる。例えばシクロヘキシルトリエトキシシランを水/メチルイソブチルケトン中で触媒にテトラメチルアンモニウムヒドロキサイドを加えて反応させることにより結晶として得られる。また一般式(9)(X=OH)、一般式(11)(X=OH)、一般式(12)(X=OH)で表されるトリシラノール体及びジシラノール体は完全縮合型の籠状シルセスキオキサンを製造する際に同時に生成するか、一度完全縮合型の籠状シルセスキオキサンからトリフルオロ酸やテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドによって部分切断することでも合成できる(FeherらのChem.Commun.,1998,1279参照)。また、さらに、一般式(9)(X=OH)の化合物は、RSiT(T=Clまたはアルコキシル基)型化合物から、直接合成することも出来る。
一般式(4)で8個のRのうち、1個のRのみ異なった置換基R´を導入する方法としては一般式(9)(X=OH)で表されるトリシラノール化合物とR´SiCl等を反応させて合成する方法が挙げられる。そのような合成法の具体例としては、例えば一般式(9)(R=シクロヘキシル基、X=OH)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を上記の方法で合成した後、テトラヒドロフラン溶液中で、HSiCl1当量と一般式(9)(R=シクロヘキシル、X=OH)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体1当量の混合物に、3当量のトリエチルアミンを加えることによって合成することができる。(例えばBrownらのJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313参照)
一般式(B)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体で、Xとしてケイ素原子含有基を導入する方法の具体例としては、例えば一般式(9)(R=シクロヘキシル基、X=OH)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体1当量対して、テトラヒドロフラン中で、3当量のトリエチルアミンと3当量のトリメチルクロロシランを加えることによって、XとしてMeSiO―基を導入した化合物を製造する方法が挙げられる。(例えばJ.Am.Chem.Soc.1989,111,1741参照)
本発明の籠状シルセスキオキサンの構造解析は、X線構造解析(LarssonらのAlkiv Kemi 16,209(1960))で行うことができるが、簡易的には赤外吸収スペクトルやNMRを用いて同定を行うことができる。(例えばVogtらのInorga.Chem.2,189(1963)参照)
本発明に用いられる一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンあるいは一般式(B)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合物として用いても良い。また更に籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を混合して使用しても良い。
また、本発明に用いられる籠状シルセスキオキサン、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体、又はその混合物はそれ以外の他の構造を有する有機ケイ素系化合物と組み合わせで使用しても良い。この場合の他の構造を有する有機ケイ素系化合物の例としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、ポリジメチル/メチルフェニルシリコーン、アミノ基や水酸基等の極性置換基を含有した置換シリコーン化合物、無定形ポリメチルシルセスキオキサン、各種ラダー型シルセスキオキサン等が挙げられる。その場合、混合物の組成比の制限は特にないが、通常は上記混合物における籠状シルセスキオキサンあるいは/およびその部分開裂構造体の割合は、好ましくは10重量%以上で使用され、より好ましくは30重量%以上で使用され、特に好ましくは50重量%以上で使用される。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂と籠状シルセスキオキサンおよび/または籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物中の、籠状シルセスキオキサン、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体、又はこれらの混合物の含有量は好ましくは0.1重量%以上90重量%以下である。より好ましくは0.1重量%以上50重量%以下の範囲、更に好ましくは0.5重量%以上30重量%以下の範囲、特に好ましくは1重量%以上15重量%以下が使用される。したがって、本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂と籠状シルセスキオキサンおよび/または籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物中の、ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上99.9重量%以下であり、より好ましくは50重量%以上99.1重量%以下の範囲、更に好ましくは70重量%以上99.5重量%以下の範囲、特に好ましくは85重量%以上99重量%以下の範囲が使用される。
籠状シルセスキオキサンおよび/または籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が上記範囲より添加量が少ない場合は溶融流動性が不十分であるために、均一で高品質の本発明のフイルム状成型体を得るのが難しい。上記範囲より多い場合には耐熱性や機械的強度などの物性値が下がるため好ましくない。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムには更に難燃助剤として、特定の構造の環状窒素化合物を加えることが出来る。該環状窒素化合物とは、基本的に分子中にトリアジン骨格を有する化合物およびメラミン誘導体である。その具体例としては、好ましくは、メラミン誘導体であるメラミン、メレム、メロンが挙げられる。その中でも、揮発性が低いという点でメレム及びメロンがより好ましい。当該環状窒素化合物は、難燃性向上効果発現の為には微粉化されたものが好ましい。微粉化された粒子径は、好ましくは平均粒子径30μm以下、より好ましくは0.05〜5μmに微粉化されたものである。
上記環状窒素化合物の含有量は0.1重量%以上、20重量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.2重量%以上10重量%以下の範囲である。上記範囲より添加量が少ない場合は難燃性に対する効果が小さく、上記範囲より添加量が多い場合は機械的物性が下がるため好ましくない。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムでは、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、フォスファゼン系化合物)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物)、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、有機充填剤、熱安定剤、滑剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤、各種着色剤を添加してもかまわない。
以下に、本発明のフイルム状成型体の製造方法について説明する。
本発明の面状繊維補強材と、ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物よりなるフィルム状成型体は、各種の方法で製造できるが、好ましい実施態様としては、例えば、面状繊維補強材と前記樹脂組成物のフィルムを積層して加熱溶融プレスすることにより成型する方法が挙げられる。前記樹脂組成物は粉体であってもよい。本発明のフイルム状成型体の製造方法として特に好ましい方法としては、生産性と品質安定性の面からは、1)ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を混練法で製造し、2)次いで、溶融成型法で当該樹脂組成物のフイルムを製造し、3)最後に、面状繊維補強材と当該樹脂組成物のフイルムを積層して加熱溶融プレスして目的のフイルム状成型体を製造する方法が挙げられる。
1)ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物の混練
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂は籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体との樹脂組成物にすることにより、樹脂の流動性が改良されて、フィルムに押し出し成型することが可能になり、さらに面状繊維補強材の繊維束内に樹脂の未含浸部が発生することなく熱溶融プレスで含浸することが可能になる。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサン及び/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる上記樹脂組成物を混練法により製造する場合、各成分を添加する順番は特に限定はないが、一括して添加して混練することが、プロセスの簡略性や物性向上の観点から望ましい。
本発明で使用される上記樹脂組成物は種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常150−350℃の中から任意に選ぶことができる。溶融混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合した後、混練装置に供給してもよいし、各成分を混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。なお、上記添加剤は樹脂組成物の製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
2)溶融成型法による当該樹脂組成物のフイルムの製造
本発明で使用される上記樹脂組成物のフィルムの製造方法としては、様々な方法が使用可能であるが、好ましい例としては、例えば、上記の樹脂組成物をダイ(口金)を備えた押出機に供給してフィルムを製造する方法が挙げられる。当該フィルムの製造工程においては、ダイにおける樹脂温度は、上記樹脂組成物のガラス転移点をTg(℃)としたとき、(Tg+30)(℃)以上(Tg+130)(℃)以下の範囲であることが好ましく、(Tg+50)(℃)以上、(Tg+110)(℃)以下の範囲であることがより好ましい。ダイにおける樹脂温度が低い場合には、外観不良となる傾向、厚みむらが多くなる傾向があり、また、ダイにおける樹脂温度が高すぎる場合には、外観不良となる傾向、焼けがフィルムにできる傾向がある。フィルムにできる焼けとは、ポリフェニレンエーテル系樹脂が混練中に加熱分解し、フリーズ転移して生成した化合物由来のものと考えられており、押出成型されたフィルム内に茶褐色又は黒色等の異物として生成する。フィルム上に焼けが生成した場合、使用時に焼けの部分から切れ易くなることや、電気絶縁特性が変わるため特性不良となるため好ましくない。得られたフィルムの中に含まれる直径20μm以上の焼けの数は20個/m以内であることが好ましく、10個/m以内であることがより好ましい。
上記の樹脂組成物のフィルム製造法においては、ダイとして、Tダイ、円筒スリットのダイを使用することが好ましい。Tダイとしては、その形状から、ストレートマニホールド型、フィッシュテール型、コートハンガー型などをあげることができ、目的、樹脂の性状に応じてそれらから選択、使用することができる。Tダイのスリット間隙は目的に応じて設定することができるが、0.1〜3mmの範囲が好ましく、0.2〜2mmの範囲がさらに好ましい。Tダイから押出されたフラット状の樹脂は、必要に応じて冷却装置を使用して冷却した後に巻き取ることが出きる。冷却する際に水槽を用いることもできるし、冷却エアを用いることもできる。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルム製造法においては、必要に応じてTダイから押出された組成物を巻き取り機でMD(machinedirection「巻き取り方向」)へ延伸すると同時にテンター方式などでTD(transversedirection「巻き取り方向に垂直方向」)へも延伸してニ軸延伸したフィルムを作製することができる。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムは、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することもできる。この場合、円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50−290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがフィルム厚みを均一にし、焼けのないフィルムを作成する上で極めて重要である。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムは、上記の方法で得られた樹脂組成物を押出フィルム成形することにより得ることもできるし、当該樹脂組成物の各成分を押出フィルム成形機に直接投入し、ブレンドとフィルム成形を同時に実施して得ることもできる。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムの厚みは特に限定するものではないが、0.1〜1000μmの範囲が実用上好ましく、1〜500μmの範囲がより好ましく、5〜150μmの範囲が特に好ましい。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムは、必要に応じて表面処理を施すことができる。このように表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、赤外線処理、スパッタリング処理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられる。これらの処理は、成型加工の過程で行っても良いし、成型加工後のフィルムに対して行っても良いが、成型加工の過程、特に巻き取り機の手前でかかる処理を施すのが好ましい。
3)面状繊維補強材と当該樹脂組成物のフイルムの加熱溶融プレス
本発明のフィルム状成型体の代表的製造方法としては、上記の樹脂組成物のフィルムと面状繊維補強材を組み合わせて加熱溶融プレスすることにより製造する方法が挙げられる。
プレス温度は樹脂が面状繊維補強材に隙間なく含浸されるのに十分な流動性がでる温度にすることが必要で、200℃以上が好ましい。特に繊維間の隙間の小さい補強材に含浸させる場合には250℃以上がより好ましく、280℃以上が特に好ましい。プレス時の真空度は大気圧でもプレス可能であるが、減圧でプレスする方が気泡を含むことが少なくなりより好ましく、10kPa以下が好ましい。プレス圧力は1MPa以上100MPa以下が好ましく、特に繊維間の隙間の小さい補強材に含浸させるためには5MPa以上100MPa以下が好ましい。面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムの重ね合わせ方は面状繊維補強材の両側に樹脂組成物フィルムを配置して挟み込むか、または樹脂組成物フィルムの両側に面状繊維補強材を配置して挟み込むようにしてもよい。面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムの熱膨張率が大きく異なる場合は前記配置にすれば温度変化による反りやカールが発生することを抑えることができる。面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムの熱膨張率に差がない場合は両者を1枚づつ重ねてプレスしてもよい。また両者を2枚以上交互に重ねてプレスすることも可能である。プレスの方法については一定の大きさの面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムを重ねて面圧を加えてプレスする方法が一般的であるが、ロール状の面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムを送り出しながら両者をロールプレスで線圧を加えて連続式にプレスしていく方法も可能である。
本発明のフィルム状成型体中の面状繊維補強材の含有率は0.5重量%以上90重量%以下である。より好ましくは1.0重量%以上90重量%以下であり、さらに好ましくは5.0重量%以上80重量%以下である。フィルム状成型体中の面状繊維補強材の含有率は得られるフィルム状成型体の力学的物性や寸法安定性に大きく影響する。面状繊維補強材の含有率が大きいほど成型体の強度が増大し、線膨張係数は減少するが、大きすぎると繊維間に充填する樹脂量が不足して透明なフィルムが得られない。
本発明のフィルム状成型体の線膨張係数はフィルム状成型体中の面状繊維補強材の含有率で制御可能である。ガラスクロスにポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物フィルムを溶融含浸させた場合、線膨張係数を5〜40ppm/℃の範囲にするには、ガラスクロスの含有率20重量%90重量%以下が好ましく、50重量%以上90重量%以下がより好ましい。特に好ましくは70重量%以上90重量%以下である。
本発明のフィルム状成型体は全光線透過率やヘイズ等の光学特性や誘電率・誘電正接などの電気特性等、ポリフェニレンエーテル系樹脂の優れた特性を損なうことなく、生産性良く製造することができ、ポリフェニレンエーテル系樹脂の欠点であった線膨張率を大幅に改善することができる。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂の熱変形温度も大幅に向上される。
本発明のフイルム状成型体としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体からなる樹脂組成物あるいはそのフイルムを溶融状態でガラスクロスに含浸させて得られたフィルム状成型体は特に優れた特性を発現する。例えば屈折率についてはガラスクロスで1.56、該樹脂組成物で1.58で非常に差が小さく、その結果該フィルム状成型体はきわめて透明性が高いフィルムとなり、全光線透過率は90%以上、ヘイズは10%以下が確保でき、光学材料用途に有用である。また、ポリフェニレンエーテル系樹脂の線膨張係数は単独では約70ppm/℃付近と大きいが、ガラスクロスに含浸させると実装材料に使用できる10ppm/℃台レベルまで抑えることができる。これにより、耐熱性、低吸水性、低熱収縮、難燃性、電気特性などの本来のポリフェニレンエーテル系樹脂が持つ優れた特性を生かした電子材料として好適に利用できるようになった。
本発明のフィルム状成型体は、光学材料用途や電子材料、とくに実装材料用途に好適に用いられるためには全光線透過率、ヘイズ等の光学特性や耐熱性(Tg)、電気特性に優れていることが必要である。
光学材料用途では透明性が高いほど好ましい。透明性は可視光全域の透過率を示す全光線透過率と曇り度の尺度であるヘイズで表されるが、本発明のフイルム状成型体の全光線透過率は80%以上が好ましく、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上である。また、本発明のフイルム状成型体のヘイズは10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、3%以下が更に好ましく、1%以下が特に好ましい。
また、実装材料用途では高熱に曝される工程が多く、このため本発明のフイルム状成型体の耐熱性はTgが150℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは180℃以上、特に好ましくは200℃以上である。
さらに実装材料用途ではフィルム上に配線パターンを形成させるため、異種材料例えばアルミニウムや銅などの金属箔と張り合わせて使用される場合が多い。線膨張係数が張り合わせる材料と大きく差がある場合は、材料の反りや配線パターンの位置精度の問題が発生する。このため、本発明のフィルム状成型体の線膨張係数は、1〜40ppm/℃の範囲であることが好ましく、5〜40ppm/℃の範囲がより好ましく、5〜30ppm/℃の範囲がさらに好ましく、5〜20ppm/℃の範囲が特に好ましい。
電気特性については誘電率と誘電正接が特に重要である。誘電率は信号の伝播速度に関
係し、小さいほど速度が早く好ましい。また、誘電正接は信号の損失に関係し、小さいほど損失は小さく好ましい。近年のマイクロ波やミリ波などの高周波領域化により1Gz領域での誘電率や誘電正接が重要である。
すなわち、誘電率は1GHzで2.8以下が好ましく、より好ましくは2.7以下であり、さらに好ましくは2.6以下である。誘電率が2.8を超える場合は信号の伝播速度が遅くなり好ましくない。誘電率の下限は通常2.4〜2.5付近である。1GHzでの誘電率の好ましい範囲は用途によっても左右されるが、代表的な範囲としては、例えば、2.4〜2.7の範囲が挙げられる。
また、誘電正接は1GHzで0.005以下であることが好ましく、より好ましくは0.004以下であり、さらに好ましくは0.003以下であり、特に好ましくは0.0025あるいは0.002以下である。誘電正接が0.005を超える場合は信号の伝送損失が大きくなるので好ましくない。誘電正接の下限は、通常は0.001付近である。誘電率や誘電正接が高すぎる場合には、伝播速度の低下や伝送損失を抑えるためのプリント配線のパターンが制限され、自由度が損なわれる問題が発生する。
本発明のフィルム状成型体は、その優れた特性を生かして様々な用途で用いられる。例えば、高い透明性を生かして、ディスプレイ用各種プラスチック基板、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、視野角補正フィルムなどの光学材料に好適に用いることができる。また、電気・電子材料用途では、電気特性、低吸水性、低線膨張係数等の優れた特性を生かして、フレキシブルプリント基板用ベースフィルム、リジッド基板用ベースフィルム、層間絶縁フィルム、カバーレイ、バッファーコートフィルム、フィルムコンデンサー、絶縁フィルム、電線被覆材、自動車用配線部材のベースフィルム、その他磁気記録媒体フィルム、平面型アンテナ用フィルムなどに好適に使用される。

上記のように、本発明のフイルム状成型体は、様々な優れた特性を示すが、その中でも、1GHzにおける誘電正接が0.003以下であるか、又は/及び、1GHzにおける誘電率が2.4〜2.7の範囲であり、線膨張係数が5〜40ppm/℃の範囲であることを特徴とする本発明のフイルム状成型体は、電子材料用フイルムとして、特に適している。
また、1GHzにおける誘電正接が0.003以下であるか、又は/及び、1GHzにおける誘電率が2.4〜2.7の範囲であり、線膨張係数が5〜40ppm/℃の範囲である特性を示し、かつ全光線透過率が80%以上、ヘイズが5%以下であることを特徴とする本発明のフイルム状成型体は、光学材料用フイルムあるいは透明性が求められる電子材料用フイルムとして、特に適している。
また、面状繊維補強材とポリフェニレンエーテル系樹脂からなるフィルム状成型体であって、1GHzにおける誘電正接が0.003以下であるか、又は/及び、1GHzにおける誘電率が2.4〜2.7の範囲であり、線膨張係数が5〜40ppm/℃の範囲である特性を示し、かつ全光線透過率が80%以上、ヘイズが5%以下であることを特徴とするフィルム状成型体は、本発明により初めて実現された。当該フイルム状成型体は、電子・光学材料分野で極めて有用な文献未記載の新規材料である。
従来まで光学材料用途や電子材料用途のフィルム状成型体としては、透明性や耐熱性を有する材料としてポリイミドやポリエステルが用いられてきたが、ポリイミドは線膨張係数が比較的大きい、電気特性に劣る、コストが高いなどの問題があり、ポリエステルも電気特性に劣る、耐熱性が低いという問題があった。これに対して、本発明のフィルム状成型体は電気特性に優れ、高い耐熱性を有し、線膨張係数が小さいという優れた特性を併せ持つ今までに無い新しい材料であると言える。
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、得られたフィルムの物性評価は以下の方法に従って行った。
(1)誘電率、誘電正接
インピーダンスアナライザーHP4291B(HEWLETT製)を用いて温度23℃湿度48%RHの条件下で、1GHzで測定した。
(2)線膨張係数
フィルムを3mm幅×18mmの短冊状にカットし、島津製作所(株)製TMA−50を使用して、試料長15mm、昇温速度10℃/分の条件で、40℃から180℃の範囲で線膨張係数を測定した。
(3)全光線透過率およびヘイズ
日本電色工業(株)の濁度計NDH2000を用いて、JIS K7361−1に基づき全光線透過率およびヘイズを測定した。
(4)ガラス転移温度(Tg)
フィルムサンプルを3mm幅×19mm幅にカットし、島津製作所(株)製熱機械分析装置(TMA−50)を使用し、チャック間15mmで、荷重10gで10℃/minで測定を行い、昇温過程での膨張率が増加する温度を接点交線により求め、ガラス転移温度とした。
製造例1
<ポリフェニレンエーテル(PPE−1)の製造例>
2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して得た還元粘度0.5のパウダー状のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。
製造例2
<籠状シルセスキオキサンの製造例>
TrisilanolIsobutyl−POSS[米国Hybrid Plastics社製]をトルエン/メタノールの溶液中、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン[チッソ(株)社製]と反応させることによって、式(14)で表されるアミノ基含有籠状シルセスキオキサンを得た。
式(14)
Figure 2008201978

製造例3
<籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造例>
TrisilanolIsobutyl−POSS[米国Hybrid Plastics社製]をトルエン/メタノールの溶液中、アミノプロピルメチルジメトキシシラン[チッソ(株)社製]と反応させることによって、式(15)で表されるアミノ基含有籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得た。
式(15)
Figure 2008201978

製造例4
<樹脂組成物のフィルム成型1>
ポリフェニレンエーテルと一般式(14)で表される籠状シルセスキオキサンを、それぞれポリフェニレンエーテル:95wt%、式(14)で表される籠状シルセスキオキサン:5wt%で、120−290℃に設定したベントポート付き二軸押出機[KZW−15:テクノベル(株)製]を用いて溶融混練し、ペレットとして得た。得られたペレットを、シリンダー温度290℃、Tダイ温度280℃に設定した300mm幅Tダイを備えたスクリュー径15mmの押出機を用い、100μmの厚さにフィルム成形を行った。
製造例5
<樹脂組成物のフィルム成型2>
ポリフェニレンエーテルと式(15)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を、それぞれポリフェニレンエーテル:95wt%、一般式(15)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体:5wt%で、120−290℃に設定したベントポート付き二軸押出機(KZW−15:テクノベル(株)社製)を用いて溶融混練し、ペレットとして得た。得られたペレットを、シリンダー温度290℃、Tダイ温度280℃に設定した300mm幅Tダイを備えたスクリュー径15mmの押出機を用い、100μmの厚さにフィルム成形を行った。
製造例6
<樹脂組成物フィルムの延伸>
製造例4のフィルム成型条件に準じて吐出量を増やして厚さ200μmのフィルムを成型した。このフィルムを二軸延伸装置(EX−10−III 東洋精機(株)製)にセットし、温度210℃、延伸速度100%/秒で2.5倍に延伸した。得られた延伸フィルムの厚みは30μmであった。
実施例1
8cm×8cmの大きさの厚み20μmのガラスクロス(1027/AS750MWS 旭シュエーベル(株)製)を製造例4で得た4cm×4cmの大きさの厚み100μmのポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルム2枚で挟み込み、さらに19cm×21cmの大きさの厚み50μmのポリイミドフィルム(カプトン 東レ(株)製)2枚で挟んで19cm×21cmのプレス板の間に挿入して、プレス機にセットする。真空度6kPa、プレス圧10MPaで280℃、10分間真空熱プレスして、ガラスクロスを含有したポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルムを得た。各物性を測定した結果を表1に示す。
実施例2
実施例1で用いたポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルムの代わりに製造例5で得たポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物フィルムを使用すること以外は実施例1と同様にして、ガラスクロスを含有したポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物フィルムを得た。各物性を測定した結果を表1に示す。
実施例3
ガラスクロスを厚み50μmのガラスクロス(1078/AS890MWS 旭シュエーベル(株)製)を使用すること以外は実施例1と同様にして、ガラスクロスを含有したポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルムを得た。各物性を測定した結果を表1に示す。
実施例4
ガラスクロスを厚み50μmのガラスクロス(1078/AS890MWS 旭シュエーベル(株)製)を使用すること、及びポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルムを製造例6で得た厚み30μmのものを使用すること以外は実施例1と同様にして、ガラスクロスを含有したポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルムを得た。各物性を測定した結果を表1に示す。
比較例1
製造例4で得られたフィルムについて、各物性を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
特公平8−5977において開示された方法に従って調製したポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸との反応生成物10gを90gのトルエンに加えて、80℃で攪拌溶解して溶液を調製した。8cm×8cmのバットにこの溶液を5ml入れ、8cm×8cmの大きさの厚み20μmのガラスクロス(1027/AS750MWS 旭シュエーベル(株)製)を浸した。80℃の熱風乾燥機で10分間トルエンを蒸発させ、さらに3時間熱風乾燥機で完全にトルエンを除去して、ガラスクロスを含浸したポリフェニレンエーテルフィルムのキャスト膜を得た。各物性を測定した結果を表1に示す。
比較例3
特開平6−32875において開示された処方に従って、ポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸との反応生成物50部、トリアリルイソシアヌレート10部、アリルグリシジルエーテル10部に開始剤と硬化剤を加えてトリクロロエチレン中に溶解し、この溶液に厚み20μmのガラスクロス(1027/AS750MWS 旭シュエーベル(株)製)を浸漬して含浸を行い、80℃の熱風乾燥機で10分間トリクロロエチレンを蒸発させ、さらに3時間熱風乾燥機で完全にトリクロロエチレンを除去した。得られたフィルムの両面に厚み50μmのポリイミドフィルムを置いてプレス成型機により4MPaのプレス圧をかけて成型硬化させた。得られたフィルムの各物性を測定した結果を表1に示す。
比較例4
実施例1で用いたポリフェニレンエーテル樹脂と籠型シルセスキオキサンよりなる樹脂組成物フィルムの代わりに同じ厚みと大きさのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)フィルム(製品名ダイフロン、ダイキン工業(株)製)を用い、350℃で10分間熱プレスすること以外は実施例1と同様にして、ガラスクロスを含有したPFAフィルムを得た。各物性を測定した結果を表1に示す。
キャスト法によるフィルム成型では完全に溶剤を除去するのに長時間を要した。ポリフェニレンエーテルと無水マレイン酸との反応生成物のトルエン溶液からキャストした比較例2のフィルムではひび割れが発生してきれいなフィルムは得られなかった。このため表1に示すように全光線透過率やヘイズなどの光学特性は満足できるものではなかった。また比較例2の製膜性を改良するために添加物を加えた比較例3のフィルムでは誘電率や誘電正接などの電気特性は満足できる性能が得られなかった。またPFAをガラスクロスに含浸した比較例4のフィルムでは誘電正接は十分小さい値を示したが、透明性は満足できる性能が得られなかった。これに対して実施例1から4の熱溶融プレス法で作製したフィルムは比較的短時間で成型でき、成型したフィルムの物性値に関しては表1に示すように、誘電率や誘電正接などの電気特性や、全光線透過率やヘイズなどの光学特性には影響を与えることなく線膨張率を小さくすることができた。
Figure 2008201978

Claims (5)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂と、籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体とを含有する樹脂組成物と、面状繊維補強材とからなるフィルム状成型体。
  2. 前記面状繊維補強材がガラスクロスであることを特徴とする請求項1記載のフィルム状成型体。
  3. 請求項1又は2に記載のフイルム状成型体であって、さらに1GHzにおける誘電正接が0.003以下であり、線膨張係数が5〜40ppm/℃の範囲であることを特徴とするフィルム状成型体。
  4. 請求項3に記載のフィルム状成型体であって、さらに、全光線透過率が80%以上、ヘイズが5%以下であることを特徴とするフイルム状成型体。
  5. ポリフェニレンエーテル系樹脂と、籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体とを混合して得られた樹脂組成物を、溶融状態で面状繊維補強材に含浸して得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム状成型体の製造方法。
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