JP2008205158A - プリント回路基板用フィルム - Google Patents

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昌 木口
Hideo Saito
秀夫 斎藤
Masanori Ikeda
池田  正紀
Hiroshi Kamo
弘 加茂
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Abstract

【課題】
熱収縮性、耐熱性、低吸水性、電気特性に優れた、プリント回路基板を得ることを目的とする。
【解決手段】
ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を含有することを特徴とするプリント回路基板用フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント回路基板用フィルムに関する。
携帯電話などの電子機器の技術進歩に伴って、プリント回路基板の需要が急激に伸びている。従来、本用途では銅箔張り合わせのエポキシ樹脂積層板や、ポリイミドフィルムやポリイミドの薄膜化フィルム等が使用されてきた。
しかしながら、ポリイミドは、その素材の性質上、フィルム化や薄膜化が困難であり、素材自体も非常に高価なものである。また、ポリイミドは比較的吸水しやすくプリント回路などの電子材料には好ましくない特性も有している。さらに誘電率や誘電正接などの電気特性も必ずしも十分とは言い難い。とくに近年のマイクロ波やミリ波などの高周波領域化を考慮すると大きな課題と言える。一方、耐熱性に優れてはいるが、本用途においては過剰品質である点も否めない。
耐熱性がポリイミドほどは高くないが比較的安価でバランスがとれた素材として特許文献1にポリエチレンナフタレートフィルムをプリント回路基板に用いることが提案されている。しかしながら熱収縮率や吸水性はある程度改善されているものの十分なレベルとは言えない。さらに電気特性は依然として改善されていない。
特開2005−129699
本発明は、かかる課題を解決するために、耐熱性、低吸水性、電気特性に優れ、なおかつ安価な、プリント回路基板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物のフィルムがプリント回路基板用フィルムとして有用であることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を含有することを特徴とするプリント回路基板用フィルム。
2.該樹脂組成物中に面状繊維補強材が含有されていることを特徴とする1、に記載のプリント回路基板用フィルム。
3.該面状繊維補強材がガラスクロスであることを特徴とする2、に記載のプリント回路基板用フィルム。
4.200℃における熱収縮率が−1〜1%であり、吸水率が0.1%以下であり、Tgが150℃〜300℃であり、1GHzにおける誘電正接が0.003以下であることを特徴とするプリント回路基板用フィルム。
本発明により、低熱収縮率、耐熱性、低吸水性、電気特性に優れたプリント回路基板を得ることができる。
本発明に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は耐熱性や耐吸水性、熱収縮性、難燃性、誘電率・誘電正接などの電気特性の点で優れた樹脂で特に電子材料用途に好適である。しかしながらポリフェニレンエーテル系樹脂は押し出し成型でフィルム類を製造すると、そのフィルムが外観不良となる厚みむらが多くなる、焼けがフィルムにできる等の問題が生ずる場合があり、安定に高品質のフィルム類を得るのが難しい。そこで国際公開第02/059208、特開2004−051889号報、特開2004−107511号報などで開示された籠状シルセスキオキサンまたは籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体を含む樹脂組成物として使用すると、前記問題は解消され、高品質のフィルムを得ることができ、本発明に好適に用いることができる。
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、「ポリフェニレンエーテル樹脂及びそれを含むポリマーアロイ」を示す。本発明で用いられる「ポリフェニレンエーテル樹脂」とは、下記一般式(1)を繰り返し単位とした単独重合体、下記一般式(1)の繰り返し単位を含む共重合体、あるいはそれらの変性ポリマーを示す。
一般式(1)
Figure 2008205158
式中R、R、R、R、は水素、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、アミノアルキル、炭化水素オキシを表す。
当該ポリフェニレンエーテル樹脂としては幅広い分子量の重合体が使用可能であるが、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)として、好ましくは0.15〜1.0dl/gの範囲にあるホモ重合体及び/または共重合体が使用され、さらに好ましい還元粘度は、0.20〜0.70dl/gの範囲、最も好ましくは0.40〜0.60の範囲である。当該ポリフェニレンエーテル樹脂としては、その目的に応じて幅広い溶融流動性の樹脂が使用可能であり、特に溶融流動性の制限はない。しかしながら、例えば、特に高い耐熱性及び機械諸物性が要求される構造材料として使用される場合には、JIS K6730に従い、かつ、280℃、荷重10Kgで測定されたメルトインデックスの値としては、好ましくは6(g/10min)以下、より好ましくは5(g/10min)以下、特に好ましくは4(g/10min)以下の値の樹脂が使用される。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。この内、特に好ましいものは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。ポリフェニレンエーテル共重合体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールあるいは2−メチルフェノール(o−クレゾール))との共重合体などが挙げられる。以上のような各種ポリフェニレンエーテル樹脂の中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらにはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが特に好ましい。
本発明で使用するポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法の例として、米国特許第3306874号明細書記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法が挙げられる。
米国特許第3306875号、同第3257357号および同第3257358号の明細書、特公昭52−17880号および特開昭50−51197号および同63−152628号の各公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法として好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、重合行程後のパウダーのまま用いてもよいし、押出機などを用いて、窒素ガス雰囲気下あるいは非窒素ガス雰囲気下、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融混練することでペレット化して用いてもよい。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂には、ジエノフィル化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含まれる。この変性処理には、種々のジエノフィル化合物が使用されるが、ジエノフィル化合物の例としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、フェニルマレイミド、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアリレート、メチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンなどの化合物が挙げられる。さらにこれらジエノフィル化合物により変性する方法としては、ラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で押出機などを用い、脱揮下あるいは非脱揮下にて溶融状態で官能化してもよい。あるいはラジカル発生剤存在下あるいは非存在下で、非溶融状態、すなわち室温以上、かつ融点以下の温度範囲にて官能化してもよい。この際、ポリフェニレンエーテルの融点は、示差熱走査型熱量計(DSC)の測定において、20℃/分で昇温するときに得られる温度−熱流量グラフで観測されるピークのピークトップ温度で定義され、ピークトップ温度が複数ある場合にはその内の最高の温度で定義される。
本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記のポリフェニレンエーテル樹脂のみであってもよいし、あるいは、上記のポリフェニレンエーテル樹脂と他の樹脂とのポリマーアロイでも良い。この場合の他の樹脂の例としては、例えば、アタクティックポリスチレン、シンジオタクティックポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのポリスチレン系樹脂、ナイロン6,6やナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂等が挙げられる。本発明で使用されるポリフェニレンエーテル樹脂を含むポリマーアロイは、ポリフェニレンエーテル樹脂とひとつの他の樹脂と組み合わせたポリマーアロイとしても良いし、ポリフェニレンエーテル樹脂と複数の他の樹脂と組み合わせたポリマーアロイでも良い。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル樹脂と他の樹脂とのポリマーアロイにおいては、当該ポリマーアロイの全重量に対するポリフェニレンエーテル樹脂の含有量としては、好ましくは60wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上、特に好ましくは90wt%以上である。
以下に、本発明に使用する籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体について説明する。
シルセスキオキサン化合物は[R’SiO3/2]で表される単位を主要構成成分とする化合物であり、その中の特定の構造のシルセスキオキサン化合物、即ち、籠状(完全縮合ケージ状)構造あるいはその部分開裂構造体(籠状構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠状構造の一部ケイ素−酸素結合が切断された構造)が本発明に使用される。
本発明に使用される籠状シルセスキオキサンの具体的構造の例としては、例えば、下記の一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンが挙げられる。又、本発明に使用される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の具体的構造の例としては、例えば、下記の一般式(B)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が挙げられる。しかしながら、本発明に使用される籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂構造体の構造は、これらの構造に限定されるものではない。
[RSiO3/2 (A)
(RSiO3/2(RXSiO) (B)
一般式(A)、(B)において、Rは水素原子、炭素原子数1から6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基又はケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基から選ばれ、Rは全て同一でも複数の基で構成されていても良い。
本発明で用いられる一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンの例としては[RSiO3/2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(3))、[RSiO3/2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(4))、[RSiO3/210の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(5))、[RSiO3/212の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(6))、[RSiO3/214の化学式で表されるタイプ(例えば下記一般式(7))が挙げられる。
一般式(3)
Figure 2008205158
一般式(4)
Figure 2008205158
一般式(5)
Figure 2008205158
一般式(6)
Figure 2008205158
一般式(7)
Figure 2008205158
本発明の一般式(A)[RSiO3/2で表される籠状シルセスキオキサンにおけるnの値としては、6から14の整数であり、好ましくは8,10あるいは12であり、より好ましくは、8、10または8,10の混合物あるいは8,10,12の混合物であり、特に好ましくは8又は10である。
また、本発明では、籠状シルセスキオキサンの一部のケイ素−酸素結合が部分開裂した構造か、又は、籠状シルセスキオキサンの一部が脱離した構造、あるいはそれらから誘導される、一般式(B)[RSiO3/2(RXSiO)(lは2から12の整数であり、kは2又は3である。)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を用いることもできる。
一般式(B)においてXはOR(Rは水素原子、アルキル基、第4級アンモニウムラジカル)、ハロゲン原子及び上記Rで定義された基の中から選ばれる基であり、複数のXは同じでも異なっていても良い。又(RXSiO)中の複数のXが互いに連結して連結構造を形成しても良い。ここで、lは2から12の整数、好ましくは4から10の整数、特に好ましくは4、6又は8である。kは2又は3である。
(RXSiO)中の2個又は3個のXは、同一分子中の他のXと互いに連結して各種の連結構造を形成しても良い。その、連結構造の具体例を以下に説明する。
一般式(B)の同一分子中の2個のXは一般式(8)で示される分子内連結構造を形成しても良い。さらに、それぞれ異なった分子中に存在する2個のXが互いに連結して、上記一般式(8)で表される連結構造により複核構造を形成しても良い。
一般式(8)
Figure 2008205158
Y及びZはXと同じ基の群の中から選ばれ、YとZは同じでも異なっていても良い。
一般式(B)で表される化合物における上記の各種の連結構造のうちでは、一般式(8)で表される連結構造が、合成が容易であり好ましい。
本発明で使用される一般式(B)で表される化合物の例としては、例えば一般式(4)の一部が脱離した構造であるトリシラノール体あるいは、それからから合成される(RSiO3/2(RXSiO)の化学式で表されるタイプ(例えば、下記一般式(9))、一般式(9)あるいは(RSiO3/2(RXSiO)の化学式の化合物の中の3個のXのうち2個のXが一般式(8)で示される連結構造を形成するタイプ(例えば、下記一般式(10))、一般式(4)の一部が開裂したジシラノール体から誘導される(RSiO3/2(RXSiO)の化学式で表されるタイプ(例えば、下記一般式(11)及び(12))、一般式(11)あるいは(RSiO3/2(RXSiO)の化学式の化合物の中の2個のXが一般式(8)で示される連結構造を形成するタイプ(例えば、下記一般式(13))等が挙げられる。一般式(9)から(13)中の同一ケイ素原子に結合しているRとXあるいはYとZはお互いの位置を交換したものでもよい。さらに、それぞれ異なった分子中に存在する2個のXが互いに連結して、上記一般式(8)で代表される各種の連結構造により複核構造を形成しても良い。
これらの各種の籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂構造体は、それぞれ単独で用いてもいいし、複数の混合物として用いても良い。
一般式(9)
Figure 2008205158
一般式(10)
Figure 2008205158
一般式(11)
Figure 2008205158
一般式(12)
Figure 2008205158
一般式(13)
Figure 2008205158
本発明に使用される一般式(A)及び/又は一般式(B)で表される化合物におけるRの種類としては水素原子、炭素原子数1から6のアルコキシル基、アリールオキシ基、炭素原子数1から20の置換又は非置換の炭化水素基、またはケイ素原子数1から10のケイ素原子含有基が挙げられる。
炭素原子数1から6のアルコキシル基の例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基等が挙げられる。一般式(A)又は一般式(B)の化合物の1分子中のアルコキシル基及びアリールオキシ基の数は合計で好ましくは3以下、より好ましくは1以下である。
炭素数1から20までの炭化水素基の例としてはメチル、エチル、n―プロピル、i-プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec-ブチル)、ペンチル(n―ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル等の非環式及び環式アルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基あるいはキシリル基のようなアリール基、4−アミノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビニルフェニル基のような置換アリール基等が挙げられる。
これらの炭化水素基の中でも、特に炭素数2から20の脂肪族炭化水素基、炭素数2から20のアルケニル基の数が、全R、X、Y、Zにしめる割合が大きい場合には特に良好な成形時の溶融流動性が得られる。またRが脂肪族炭化水素基及び/又はアルケニル基の場合には、成形時の溶融流動性、難燃性及び操作性のバランスがいいものとして、R中の炭素数は通常20以下、好ましくは16以下、より好ましくは12以下である。
又、本発明に使用されるRとしてはこれらの各種の炭化水素基の水素原子又は主査骨格の一部がエーテル結合、エステル基(結合)、水酸基、チオール基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオール基、チオエーテル結合、スルホン基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(極性結合)あるいはフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等から選ばれる置換基で部分置換されたものでも良い。
一般式(A)及び(B)におけるR中の置換又は非置換の炭化水素基中の置換基も含めた全炭素原子数としては、通常は20以下のものが使用されるが、フィルムの特性バランスがよいものとしては、好ましくは16以下、特に好ましくは12以下のものが使用される。
Rとして採用されるケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基としては、広範な構造のものが採用される。当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数としては、通常1〜10の範囲であるが、好ましくは1〜6の範囲、より好ましくは1〜3の範囲である。ケイ素原子の数が大きくなりすぎると籠状シルセスキオキサン化合物は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が困難になるので好ましくない。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムの量産性向上効果とフィルムの特性向上効果の両方とも特に優れた効果を示す別の化合物の群としては、一般式(A)及び一般式(B)で表される化合物の中でも、一般式(A)及び/又は一般式(B)のR、X、Y、Zの少なくとも一つは、1)不飽和炭化水素結合を含有する基、あるいは、2)窒素原子及び/又は酸素原子を含有する極性基を有する基である化合物の群が挙げられる。ここで、R、X、Y、Zが複数の種類の基で構成されている場合には、その中の少なくとも一つが上記の1)又は2)の基であればよい。
上記1)の不飽和炭化水素結合を含有する基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル、スチリル等の非環式及び環式アルケニル基、アルキニル基、あるいはこれらの基を含有する基が挙げられる。上記の不飽和炭化水素結合を含有する基の具体例としては、例えばビニル基、アリル基、2−(3,4−シクロヘキセニル)エチル基、3,4−シクロヘキセニル基、ジメチルビニルシロキシ基、ジメチルアリルシロキシ基、(3−アクリロイルプロピル)ジメチルシロキシ基、(3−メタクリロイルプロピル)ジメチルシロキシ基等が挙げられる。
また、上記2)の窒素原子及び/又は酸素原子を含有する極性基を有する基の例としてはエーテル結合、エステル結合、水酸基、カルボニル基、アルデヒド基、エポキシ基(結合)、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、シアノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基等を含む基が挙げられる。その中でも、特に、アミノ基あるいはその誘導体、あるいはエーテル基(エポキシ基も含む)を含有する基が好ましい。上記のアミノ基誘導体の例としては、例えば、モノアルキルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基、ジアルキルアミノ基等の各種置換アミノ基、アミド基、イミド基、イミノ基、ウレア基等が挙げられる。
上記のアミノ基あるいはその誘導体を含有する基の具体例としては、例えば、3−アミノプロピル基(HNCHCHCH−)、MeNCHCHCH−、MeC=NCHCHCH−、ーCHCHNH、3−アミノプロピルジメチルシロキシ基(HNCHCHCHMeSiO−)、HNCHCHCHMe(HO)SiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル基(HNCHCHNHCHCHCH−)、MeHNCHCHNHCHCHCH−、MeC=NCHCHNHCHCHCH−、HOCHCHHNCHCHNHCHCHCH−、CH3COHNCHCHNHCHCHCHMeSiO−、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメチルシロキシ基(HNCHCHNHCHCHCHMeSiO−)、HNCHCHNHCHCHCHMe(HO)SiO−が挙げられる。また、上記のエーテル基(エポキシ基も含む)を含有する基の具体例としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピル基、3−グリシジルオキシプロピルジメチルシロキシ基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルシロキシ基、CHOCHCHCH−、HOCHCHOCHCHCH−等が挙げられる。
一般式(A)および一般式(B)におけるR、X、Y、Zの中から選ばれる少なくとも一つの官能基が上記のアミノ基を含有する一般式(A)の籠状シルセスキオキサン及び/又は一般式(B)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体がポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムを製造した時に得られるフィルム特性のバランスが良いため、好ましい。
一般式(A)および一般式(B)におけるR、X、Y、Zはそれぞれ独立に各種の構造を取りうるし、又、R、X、Y、Zはそれぞれ複数の基からなっていてもよい。
本発明の籠状シルセスキオキサンは例えばBrownらのJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313や、FeherらのJ.Am.Chem.Soc.1989,111,1741あるいはOrganometallics 1991,10,2526などの方法で合成することができる。例えばシクロヘキシルトリエトキシシランを水/メチルイソブチルケトン中で触媒にテトラメチルアンモニウムヒドロキサイドを加えて反応させることにより結晶として得られる。また一般式(9)(X=OH)、一般式(11)(X=OH)、一般式(12)(X=OH)で表されるトリシラノール体及びジシラノール体は完全縮合型の籠状シルセスキオキサンを製造する際に同時に生成するか、一度完全縮合型の籠状シルセスキオキサンからトリフルオロ酸やテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドによって部分切断することでも合成できる(FeherらのChem.Commun.,1998,1279参照)。また、さらに、一般式(9)(X=OH)の化合物は、RSiT(T=Clまたはアルコキシル基)型化合物から、直接合成することも出来る。
一般式(4)で8個のRのうち、1個のRのみ異なった置換基R´を導入する方法としては一般式(9)(X=OH)で表されるトリシラノール化合物とR´SiCl等を反応させて合成する方法が挙げられる。そのような合成法の具体例としては、例えば一般式(9)(R=シクロヘキシル基、X=OH)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を上記の方法で合成した後、テトラヒドロフラン溶液中で、HSiCl1当量と一般式(9)(R=シクロヘキシル、X=OH)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体1当量の混合物に、3当量のトリエチルアミンを加えることによって合成することができる。(例えばBrownらのJ.Am.Chem.Soc.1965,87,4313参照)
一般式(B)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体で、Xとしてケイ素原子含有基を導入する方法の具体例としては、例えば一般式(9)(R=シクロヘキシル基、X=OH)で示される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体1当量対して、テトラヒドロフラン中で、3当量のトリエチルアミンと3当量のトリメチルクロロシランを加えることによって、XとしてMeSiO―基を導入した化合物を製造する方法が挙げられる。(例えばJ.Am.Chem.Soc.1989,111,1741参照)
本発明の籠状シルセスキオキサンの構造解析は、X線構造解析(LarssonらのAlkiv Kemi 16,209(1960))で行うことができるが、簡易的には赤外吸収スペクトルやNMRを用いて同定を行うことができる。(例えばVogtらのInorga.Chem.2,189(1963)参照)
本発明に用いられる一般式(A)で表される籠状シルセスキオキサンあるいは一般式(B)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体はそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合物として用いても良い。また更に籠状シルセスキオキサン及び籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を混合して使用しても良い。
また、本発明に用いられる籠状シルセスキオキサン、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体、又はその混合物はそれ以外の他の構造を有する有機ケイ素系化合物と組み合わせで使用しても良い。この場合の他の構造を有する有機ケイ素系化合物の例としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、ポリジメチル/メチルフェニルシリコーン、アミノ基や水酸基等の極性置換基を含有した置換シリコーン化合物、無定形ポリメチルシルセスキオキサン、各種ラダー型シルセスキオキサン等が挙げられる。その場合、混合物の組成比の制限は特にないが、通常は上記混合物における籠状シルセスキオキサンあるいは/およびその部分開裂構造体の割合は、好ましくは10重量%以上で使用され、より好ましくは30重量%以上で使用され、特に好ましくは50重量%以上で使用される。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂と籠状シルセスキオキサンおよび/または籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物中の、籠状シルセスキオキサン、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体、又はこれらの混合物の含有量は好ましくは0.1重量%以上90重量%以下である。より好ましくは0.1重量%以上50重量%以下の範囲、更に好ましくは0.5重量%以上30重量%以下の範囲、特に好ましくは1重量%以上15重量%以下が使用される。したがって、プリント回路基板用ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム中のポリフェニレンエーテル系樹脂の含有量は好ましくは10重量%以上99.9重量%以下であり、より好ましくは50重量%以上99.9重量%以下の範囲、更に好ましくは70重量%以上99.5重量%以下の範囲、特に好ましくは85重量%以上99重量%以下の範囲が使用される。
プリント回路基板用ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム中の籠状シルセスキオキサンあるいは、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体が上記範囲より添加量が少ない場合は溶融流動性が不十分であるために、均一で高品質の本発明のフイルム状成型体を得るのが難しい。上記範囲より多い場合には耐熱性や機械的強度などの物性値が下がるため好ましくない。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムには更に難燃助剤として、特定の構造の環状窒素化合物を加えることが出来る。該環状窒素化合物とは、基本的に分子中にトリアジン骨格を有する化合物およびメラミン誘導体である。その具体例としては、好ましくは、メラミン誘導体であるメラミン、メレム、メロンが挙げられる。その中でも、揮発性が低いという点でメレム及びメロンがより好ましい。当該環状窒素化合物は、難燃性向上効果発現の為には微粉化されたものが好ましい。微粉化された粒子径は、好ましくは平均粒子径30μm以下、より好ましくは0.05〜5μmに微粉化されたものである。
上記環状窒素化合物の含有量は0.1重量%以上、20重量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは0.2重量%以上10重量%以下の範囲である。上記範囲より添加量が少ない場合は難燃性に対する効果が小さく、上記範囲より添加量が多い場合は機械的物性が下がるため好ましくない。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムでは、上記の成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、酸化防止剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、フォスファゼン系化合物)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物)、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃助剤、耐候(光)性改良剤、ポリオレフィン用造核剤、有機充填剤、熱安定剤、滑剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤、各種着色剤を添加してもかまわない。
本発明に使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサン及び/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる上記樹脂組成物を混練法により製造する場合、各成分を添加する順番は特に限定はないが、一括して添加して混練することが、プロセスの簡略性や物性向上の観点から望ましい。
本発明で使用される上記樹脂組成物は種々の方法で製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等による加熱溶融混練方法が挙げられるが、中でも二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常150−350℃の中から任意に選ぶことができる。溶融混練に際しては、各成分は予めタンブラーもしくはヘンシェルミキサーのような装置で各成分を均一に混合した後、混練装置に供給してもよいし、各成分を混練装置にそれぞれ別個に定量供給する方法も用いることができる。なお、上記添加剤は樹脂組成物の製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
本発明で使用される上記樹脂組成物のフィルムの製造方法としては、様々な方法が使用可能であるが、好ましい例としては、例えば、上記の樹脂組成物をダイ(口金)を備えた押出機に供給してフィルムを製造する方法が挙げられる。当該フィルムの製造工程においては、ダイにおける樹脂温度は、上記樹脂組成物のガラス転移点をTg(℃)としたとき、(Tg+30)(℃)以上(Tg+130)(℃)以下の範囲であることが好ましく、(Tg+50)(℃)以上、(Tg+110)(℃)以下の範囲であることがより好ましい。ダイにおける樹脂温度が低い場合には、外観不良となる傾向、厚みむらが多くなる傾向があり、また、ダイにおける樹脂温度が高すぎる場合には、外観不良となる傾向、焼けがフィルムにできる傾向がある。フィルムにできる焼けとは、ポリフェニレンエーテル系樹脂が混練中に加熱分解し、フリーズ転移して生成した化合物由来のものであり、押出成型されたフィルム内に茶褐色等の異物として生成する。フィルム上に焼けが生成した場合、使用時に焼けの部分から切れ易くなることや、電気絶縁特性が変わるため特性不良となるため好ましくない。得られたフィルムの中に含まれる直径20μm以上の焼けの数は20個/m以内であることが好ましく、10個/m以内であることがより好ましい。
上記の樹脂組成物のフィルム製造法においては、ダイとして、Tダイ、円筒スリットのダイを使用することが好ましい。Tダイとしては、その形状から、ストレートマニホールド型、フィッシュテール型、コートハンガー型などをあげることができ、目的、樹脂の性状に応じてそれらから選択、使用することができる。Tダイのスリット間隙は目的に応じて設定することができるが、0.1〜3mmの範囲が好ましく、0.2〜2mmの範囲がさらに好ましい。Tダイから押出されたフラット状の樹脂は、必要に応じて冷却装置を使用して冷却した後に巻き取ることが出きる。冷却する際に水槽を用いることもできるし、冷却エアを用いることもできる。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルム製造法においては、必要に応じてTダイから押出された組成物を巻き取り機でMD(machine direction「巻き取り方向」)へ延伸すると同時にテンター方式などでTD(transversedirection「巻き取り方向に垂直方向」)へも延伸してニ軸延伸したフィルムを作製することができる。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムは、押出しチューブラー法、場合によってはインフレーション法とも呼ばれる方法にて製造することがもできる。この場合、円筒から出てきたパリソンがすぐに冷却してしまわないように、50−290℃の温度範囲の中から適宜選択して、パリソンの温度制御することがフィルム厚みを均一にし、焼けのないフィルムを作成する上で極めて重要である。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムは、上記の方法で得られた樹脂組成物を押出フィルム成形することにより得ることもできるし、当該樹脂組成物の各成分を押出フィルム成形機に直接投入し、ブレンドとフィルム成形を同時に実施して得ることもできる。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムの厚みは特に限定するものではないが、0.1〜1000μmの範囲が実用上好ましく、1〜500μmの範囲がより好ましく、5〜150μmの範囲が特に好ましい。
本発明で用いられる上記の樹脂組成物のフィルムは、必要に応じて表面処理を施すことができる。このように表面処理法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、赤外線処理、スパッタリング処理、溶剤処理、研磨処理などが挙げられる。これらの処理は、成型加工の過程で行っても良いし、成型加工後のフィルムに対して行っても良いが、成型加工の過程、特に巻き取り機の手前でかかる処理を施すのが好ましい。
本発明で用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは面状繊維補強材に含浸して用いてもよい。線膨張係数の小さな面状繊維補強材に含浸することにより、含浸した成型体の線膨張係数を小さくすることができ、特にプリント回路基板用の基材層フィルムとして好適に用いることができる。該面状繊維補強材は繊維の織物や編物や不織布が使用できるが、一般的に織物の方が外部の力による変形が小さく、樹脂組成物を含浸した場合にも成型されたフィルムの強度や弾性率は高くなり、また線膨張係数は小さくなり好ましい。繊維の種類については有機材料および無機材料のものが使用できる。本発明に使用される面状繊維補強材としては、その厚さは0.2mmから0.01mmの範囲が好ましく、重量は250g/mから10g/mの範囲のものが好ましいが、いずれもこの範囲に限定されるものではない。
有機材料系の繊維材料としては、例えば、ポリエステルやポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール繊維などの合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)などのセルロース再生繊維、木綿、麻、バクテリアセルロースなどの天然繊維が挙げられるがこれらに限定されるものではない。この中でも、バクテリアセルロースを用いた不織布のように、繊維径が細い(好ましくはナノサイズである)不織布が、強度が大きく、また得られた複合膜の透明性にも優れているので特に好ましい。無機材料系の繊維材料としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、鉱物繊維などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本発明においては、面状繊維補強材に樹脂組成物を含浸させる場合、例えば電子材料の用途に使用する場合は線膨張係数が小さく、誘電率や誘電正接などの電気特性に優れた材料が好ましい。また光学材料の用途に使用する場合は全光線透過率やヘイズ(曇価)に優れた材料が好ましい。このような条件を満足する材料としてガラス繊維が好んで用いられる。ガラスにはEガラス、Dガラス、Sガラス、Cガラス、ARガラス、Hガラス、高誘電率ガラスのような様々な種類があり、ガラスクロスに使用可能であるが、電子材料用途に用いられる場合は電気特性の点からEガラス、Dガラス、Hガラスが好ましく、その中でもEガラスが好ましい。このようなガラス繊維を織り込んだガラスクロスの厚さや単位面積あたりの重量はプレス後の成型体の物性に大きく影響する。例えば、厚さは0.2mmから0.01mmの範囲、重量は250g/mから10g/mの範囲のものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。このようなガラスクロスは樹脂の含浸性や保持性を向上させるために開繊処理を施されていてもよいし、密着性を向上させるためにシランカップリング等の各種の表面処理剤で表面処理をされていてもよい。また成型体の表面平滑性を向上させるために扁平加工されていてもよい。
面状繊維補強材へのポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物よりなるフィルム状成型体の含浸は、両者を重ねて加熱溶融プレスすることにより成型して行うことができる。ポリフェニレンエーテル系樹脂は籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体との樹脂組成物にすることにより、樹脂の流動性が改良されて、面状繊維補強材の繊維束内に樹脂の未含浸部が発生することなく熱溶融プレスで含浸することが可能になる。プレス温度は樹脂が面状繊維補強材に隙間なく含浸されるのに十分な流動性がでる温度にすることが必要で、200℃以上が好ましい。特に繊維間の隙間の小さい補強材に含浸させる場合には250℃以上がより好ましく、280℃以上が特に好ましい。プレス時の真空度は大気圧でもプレス可能であるが、減圧でプレスする方が気泡を含むことが少なくなりより好ましく、10kPa以下が好ましい。プレス圧力は1MPa以上100MPa以下が好ましく、特に繊維間の隙間の小さい補強材に含浸させるためには5MPa以上100MPa以下が好ましい。面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムの重ね合わせ方は面状繊維補強材の両側に樹脂組成物フィルムを配置して挟み込むか、または樹脂組成物フィルムの両側に面状繊維補強材を配置して挟み込むようにしてもよい。面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムの熱膨張率が大きく異なる場合は前記配置にすれば温度変化による反りやカールが発生することを抑えることができる。面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムの熱膨張率に差がない場合は両者を1枚づつ重ねてプレスしてもよい。また両者を2枚以上交互に重ねてプレスすることも可能である。プレスの方法については一定の大きさの面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムを重ねて面圧を加えてプレスする方法が一般的であるが、ロール状の面状繊維補強材と樹脂組成物フィルムを送り出しながら両者をロールプレスで線圧を加えて連続式にプレスしていく方法も可能である。
面状繊維補強材の含有率は0.5重量%以上90重量%以下が好ましい。より好ましくは1.0重量%以上90重量%以下であり、さらに好ましくは5.0重量%以上80重量%以下である。フィルム状成型体中の面状繊維補強材の含有率は得られるフィルム状成型体の力学的物性や寸法安定性に大きく影響する。面状繊維補強材の含有率が大きいほど成型体の強度が増大し、線膨張係数は減少するが、大きすぎると繊維間に充填する樹脂量が不足して透明なフィルムが得られない。
本発明のフィルムは、200℃における熱収縮率が−1〜1%である。これは、好ましくは−0.5〜0.5%以下、更に好ましくは−0.3〜0.3%以下である。−1%未満や1%を超えると、回路基板を形成する工程においてフィルムの熱による寸法変化が大きいため、良好な回路が形成できない。
また本発明のフィルムは、吸水率が0.1%以下である。これは、好ましくは0.05%以下、更に好ましくは0.03%以下である。吸水率が0.1%を超えると、フィルムの水分吸収によりフィルムの電気特性が悪化したり、回路そのものに悪影響を及ぼしたりする。またプリント回路基板製造工程において、吸水しないように余計な工程が必要になったり、フィルムそのものや回路基板としての取り扱いが煩雑になるなど好ましくない。
また本発明のフィルムのガラス転移温度(Tg)は、150〜300℃であることが好ましい。これは、より好ましくは170〜290℃、更に好ましくは190〜280℃である。150℃未満であると、本発明で目的とするプリント回路基板の製造、加工時において、基材層フィルムが熱変形を起こしたり、加熱プレス加工によって粘着力が増加したりして、剥離性が悪化して加工後の製品プリント回路基板の剥離が出来なくなる場合がある。
さらに本発明のフィルムの電気特性については、誘電率は信号の伝播速度に関係し、小さいほど速度が早く好ましく、また、誘電正接は信号の損失に関係し、小さいほど損失は小さく好ましいが、近年のマイクロ波やミリ波などの高周波領域化により誘電率は1GHzで2.8以下が好ましい。より好ましくは2.7以下であり、さらに好ましくは2.6以下である。誘電率が2.8を超える場合は信号の伝播速度が低下し好ましくない。誘電率の下限は通常2.4〜2.5付近である。誘電正接は1GHzで0.005以下であることが好ましい。より好ましくは0.004以下であり、さらに好ましくは0.003以下であり、特に好ましくは0.0025あるいは0.002以下である。誘電正接が0.005を超える場合は信号の伝送損失が大きくなるので好ましくない。誘電正接の下限は、通常は0.001付近である。誘電率や誘電正接が高すぎる場合には、伝播速度の低下や伝送損失を抑えるためのプリント配線のパターンが制限され、自由度が損なわれる問題が発生する。
本発明では、フィルムを金属箔を積層してもよい。金属箔を積層しておくことで、プリント回路基板を製造する際の工程の生産性を上げることができ好ましい。該金属箔としては、銅箔やアルミニウム箔などが挙げられる。これら金属箔は、圧延されて作成されたものや電解によって作成されたものなど一般的な方法で得られるものである。厚みはプリント基板の用途分野により適したものが選択できるが、一般的に実装材料用途では1〜50μmが好ましい。エッチングの時間を短縮して生産性を上げるためには薄い方が好ましく、1〜25μmがより好ましい。さらに好ましくは1〜12μmである。表面の粗度はベースフィルムとの接着強度に影響し、粗度が大きいほど機械的投錨効果が大きく接着強度が大きい。しかし、近年ビルドアップ基板の厚みを薄くすることが要求され、またファインパターン化の要望もあり、銅箔の粗度は小さくなる傾向にある。さらに回路に流れる電気信号が高周波化するに従い、電流は導体回路の表層のみを流れるようになる(表皮効果)ため、粗度の大きな銅箔表面では回路の直線性が悪くなり、信号の伝播距離が長くなって、信号の遅延や減衰が発生する。このため、GHz帯への高周波化に伴い、銅箔の粗度はより小さいものが望まれている。好ましくは粗度(Rz)は3μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。
これら金属箔の積層方法としては、接着剤を介する方法やフィルム表層を溶融させ直接シールする方法などが挙げられる。接着剤については、耐熱性の観点から硬化性樹脂が好ましい。
好適な硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、脂環式オレフィン重合体などが挙げられる。
また、所望に応じて、その他の成分を配合することができる。
配合剤としては、紫外線吸収剤、軟質重合体、フィラー、熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、充填剤、硬化剤、難燃剤などが挙げられ、その配合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
また、メッキやスパッタリングなどによって直接フィルムに金属箔を形成させる方法であっても構わない。
フィルムと金属箔の積層は通常加熱プレスで行う。プレス時の真空度は大気圧でもプレス可能であるが、減圧でプレスする方が気泡を含むことが少なくなりより好ましく、10kPa以下が好ましい。プレス圧力は1MPa以上100MPa以下が好ましく、特に金属箔の微細な凹凸に樹脂を含浸させるためには5MPa以上100MPa以下が好ましい。プレス温度はフィルム表層が溶融する温度以上であることが好ましく、100℃〜300℃が好ましい。さらに好ましくは150℃〜280℃である。
本発明においてポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物のフィルムはプリント回路基板用フィルムに好適に用いられるが、該フィルムの高い屈曲性を利用してフレキシブルプリント基板用のフィルムとしてより好適に用いることができる。
以下実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、得られたフィルムの物性評価は以下の方法に従って行った。
1.熱収縮率
フィルムサンプルを、MDとTDに各片が平行になるように、100mm×100mmの大きさにカットし、200℃に設定したオーブン中に60分間セットし、取り出して放冷する。MD、TD各々加熱前後の寸法を測定し、以下の式に従って求めた。
熱収縮率(%)=(加熱前の辺の長さ−加熱後の辺の長さ)/(加熱前の辺の長さ)×100
2.吸水率
フィルムサンプルをサイズ100×100mm角に切り取り、110℃のオーブンで1時間乾燥させた。乾燥させたフィルムを23℃の水槽に入れ、24時間曝した後、以下の式に従って、重量増加率(Δw)を求めた。各シート2枚の平均値をとった。
重量増加率(Δw)(%)=(w1−w0)/w0×100
(w1:加温加湿後、十分にシート表面の水滴を拭った後のシート重量(g)、w0:吸水前に、110℃、1時間熱風乾燥機中にて乾燥し、デシケーター中にて室温まで冷却したシート重量(g))重量増加率(Δw)の値が小さい方が、耐吸湿性に優れることを意味する。
3.ガラス転移温度
フィルムサンプルを3mm幅×19mm幅にカットし、島津製作所(株)製熱機械分析装置(TMA−50)を使用し、チャック間15mmで、荷重10gで10℃/minで測定を行い、昇温過程での膨張率が増加する温度を接点交線により求め、ガラス転移温度とした。
4.誘電率、誘電正接
インピーダンスアナライザーHP4291B(HEWLETT製)を用いて温度23℃湿度48%RHの条件下で、1GHzで測定した。
5.耐熱性(180℃)
50mm×1mmのプリント回路を有する回路基板を180℃に設定したオーブンに10分間入れ、フィルムの変形状態を観察した。
6.はんだ耐熱性
25mm×25mmの銅張面を有する回路基板を沸騰水で2時間煮沸した後表面の水分を拭って、280℃のはんだ浴に銅張面を下にして1分間フロートし、銅箔とフィルムのはがれの有無を観察した。
製造例1
<ポリフェニレンエーテル(PPE−1)の製造例>
2,6−ジメチルフェノールを酸化重合して得た還元粘度0.5のパウダー状のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)である。
製造例2
<籠状シルセスキオキサンの製造例>
TrisilanolIsobutyl−POSS[米国Hybrid Plastics社製]をトルエン/メタノールの溶液中、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン[チッソ(株)社製]と反応させることによって、式(14)で表されるアミノ基含有籠状シルセスキオキサンを得た。
式(14)
Figure 2008205158
製造例3
<籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体の製造例>
TrisilanolIsobutyl−POSS[米国Hybrid Plastics社製]をトルエン/メタノールの溶液中、アミノプロピルメチルジメトキシシラン[チッソ(株)社製]と反応させることによって、式(15)で表されるアミノ基含有籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を得た。
式(15)
Figure 2008205158
実施例1
ポリフェニレンエーテルと式(14)で表される籠状シルセスキオキサンを、それぞれポリフェニレンエーテル:95wt%、式(14)で表される籠状シルセスキオキサン:5wt%で、120−290℃に設定したベントポート付き二軸押出機[KZW−15:テクノベル(株)製]を用いて溶融混練し、ペレットとして得た。得られたペレットを、シリンダー温度290℃、Tダイ温度280℃に設定した300mm幅Tダイを備えたスクリュー径15mmの押出機を用い、フィルム成型を行った。得られたフィルムの平均厚さは51μmであった。上に示した方法に従ってフィルム評価を実施した。その結果を表1に示した。
実施例2
ポリフェニレンエーテルと式(15)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を、それぞれポリフェニレンエーテル:95wt%、式(15)で表される籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体:5wt%で、120−290℃に設定したベントポート付き二軸押出機(KZW−15:テクノベル(株)社製)を用いて溶融混練し、ペレットとして得た。得られたペレットを、シリンダー温度290℃、Tダイ温度280℃に設定した300mm幅Tダイを備えたスクリュー径15mmの押出機を用い、フィルム成型加工を行った。得られたフィルムの平均厚さは52μmであった。上に示した方法に従ってフィルム評価を実施した。その結果を表1に示した。
比較例1
厚さ50μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックスQ51 帝人製)を用いた。上に示した方法に従ってフィルム評価を実施した。その結果を表1に示した。
比較例2
厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200H 東レ・デュポン製)を用いた。上に示した方法に従ってフィルム評価を実施した。その結果を表1に示した。
実施例3
実施例1で得たフィルムを30mm×30mmに切り出し、同じ大きさに切り出した粗度(Rz)2.4μm、厚み12μmの銅箔(古河サーキットフォイル株式会社製 電解銅箔F3−WS)を重ねて、真空度10kPa、プレス圧10MPa、プレス温度280℃の条件で真空熱プレスを行い、回路基板用積層体を作成した。これに25mm×25mmのマスキングテープを貼りこんで、塩化第二鉄水溶液でエッチングして、25mm×25mmの銅張面を有する回路基板を作製した。別に実施例1で得たフィルムを50mm×50mmに切り出し、同じ大きさの銅箔を重ねて同様に真空熱プレスし、50mm×1mmのマスキングテープを等間隔に3枚張り込んで同様にエッチングして50mm×1mmのプリント回路を有する回路基板を作製した。これらの回路基板について評価し、結果を表2に示した。
実施例4
実施例1で得たフィルムの代わりに実施例2で得たフィルムを使用すること以外は実施例3と同様にして回路基板を作成した。得られた回路基板について評価し、結果を表2に示した。
比較例3
実施例1で得たフィルムの代わりに比較例1のフィルムを使用すること以外は実施例3と同様にして回路基板を作成した。得られた回路基板について評価し、結果を表2に示した。
比較例4
実施例1で得たフィルムの代わりに比較例2のフィルムを使用すること以外は実施例3と同様にして回路基板を作成した。得られた回路基板について評価し、結果を表2に示した。
Figure 2008205158
Figure 2008205158

表1からポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物のフィルムはポリエチレンナフタレートやポリイミドのフィルムに比べて熱収縮率や吸水率が小さく、電気特性は誘電率誘電正接ともに低い値を示した。また表2より、耐熱性は180℃ではポリエチレンナフタレートをフィルムとする回路基板は著しく変形したのに対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物のフィルムを用いた回路基板はまったく変形することはなかった。はんだ耐熱ではポリイミドを用いた回路基板はポリイミドに吸収されていた水分が熱で膨張し、銅箔が剥がれたのに対して、ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物のフィルムを用いた回路基板では銅箔の剥がれはみられなかった。これらから、ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物のフィルムはプリント回路基板用のフィルムとして有用であることがわかる。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を含有するフィルムは、低熱収縮率、耐熱性、低吸水性、電気特性に優れるので、プリント回路基板用フィルムとして有用である。さらに、前記フィルムは、大変フレキシブルなので、様々な形態の回路基板にも適応できる点でも優れたものである。

Claims (4)

  1. ポリフェニレンエーテル系樹脂と籠型シルセスキオキサンおよび/または籠型シルセスキオキサンの部分開裂構造体よりなる樹脂組成物を含有することを特徴とするプリント回路基板用フィルム。
  2. 該樹脂組成物中に面状繊維補強材が含有されていることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板用フィルム。
  3. 該面状繊維補強材がガラスクロスであることを特徴とする請求項第2記載のプリント回路基板用フィルム。
  4. 200℃における熱収縮率が−1〜1%であり、吸水率が0.1%以下であり、Tgが150℃〜300℃であり、1GHzにおける誘電正接が0.003以下であることを特徴とするプリント回路基板用フィルム。
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