JP2020139124A - ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物及び電子回路基板材料 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物及び電子回路基板材料 Download PDF

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Masao Endo
正朗 遠藤
昌治 杉村
Seiji Sugimura
昌治 杉村
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Kazuto Osada
一人 長田
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Abstract

【課題】電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性に優れる硬化物を提供することのできる、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物。ポリフェニレンエーテルは、その主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を1分子中に平均1.5〜5個有し、かつ数平均分子量が、1000以上4200以下である。上記架橋剤は、炭素−炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有し、かつ数平均分子量が4000以下であり、上記ポリフェニレンエーテルと上記架橋剤との重量比は、前者:後者=62:38〜94:6である。上記有機過酸化物は、芳香環を有する有機過酸化物であり、上記有機過酸化物の含有量は、上記ポリフェニレンエーテル及び上記架橋剤の合計100質量部に対し、0.05質量部以上0.9質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物及び電子回路基板材料に関する。
近年、情報ネットワーク技術の著しい進歩や情報ネットワークを活用したサービスの拡大に伴い、電子機器に情報量の大容量化及び処理速度の高速化が求められている。これらの要求に応えるために、プリント配線板等の電子回路基板材料には、難燃性、耐熱性、銅箔とのピール強度等の特性に加え、低誘電率化及び低誘電正接化が求められている。このため、上記プリント配線板等の電子回路基板材料用に用いられる樹脂組成物の更なる改良が検討されている。
ポリフェニレンエーテル(PPE)は、低い誘電率及び低い誘電正接を有するため、上述した要求に応えられる電子回路基板材料として好適である。例えば、ポリフェニレンエーテルと、架橋型硬化性化合物と、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を水素添加して得られる特定量の水添ブロック共重合体と、特定量の有機過酸化物とを含む、PPE含有樹脂組成物であって、有機過酸化物の1分間半減期温度が150℃以上190℃以下である、PPE含有樹脂組成物を記載している。
特開2015−044934号公報
特許文献1に記載されているような従来のポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物は、電気特性、耐熱性、低熱膨張特性おいて未だに改善の余地がある。
したがって、本発明が解決しようとする課題の一つは、電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性に優れる硬化物を提供することのできる、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を特定量有し、かつ特定の数平均分子量を有するポリフェニレンエーテルと、特定の構造及び数平均分子量を有する架橋剤と、芳香環を有する有機過酸化物とを所定の割合で含有する樹脂組成物が、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の実施形態の例を以下の項目[1]〜[16]に列記する。
[1]
ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物であって、
上記ポリフェニレンエーテルが、その主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を1分子中に平均1.5〜5個有し、かつ数平均分子量が、1000以上4200以下であり、
上記架橋剤が、炭素−炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有し、かつ数平均分子量が4000以下であり、
上記ポリフェニレンエーテルと上記架橋剤との重量比が、前者:後者=62:38〜94:6であり、
上記有機過酸化物が、芳香環を有する有機過酸化物であり、
上記有機過酸化物の含有量が、上記ポリフェニレンエーテル及び上記架橋剤の合計100質量部に対し、0.05質量部以上0.9質量部以下である、樹脂組成物。
[2]
上記炭素−炭素二重結合を含む官能基が、下記式(1):
Figure 2020139124
{式(1)中、nは、0又は1の整数であり、Rは、炭素数1〜8のアルキレン基又はアルケニレン基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基である。}
で表される官能基である、項目1に記載の樹脂組成物。
[3]
上記有機過酸化物が、下記式(2)又は(3):
Figure 2020139124
Figure 2020139124
{式(2)中、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一方は、芳香環を有する。式(3)中、R、及びRは、各々独立に、炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、そしてR、R、及びRからなる群より選択される少なくとも一つは、芳香環を有する。}
で表される構造を有する、芳香環含有ジアルキルペルオキシドである、項目1又は2に記載の樹脂組成物。
[4]
上記有機過酸化物が、1分間半減期が155℃以上180℃以下の有機過酸化物である、項目1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[5]
上記架橋剤が、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[6]
上記樹脂組成物が熱可塑性樹脂を更に含み、上記熱可塑性樹脂が、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体及びその水素添加物、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、
上記ブロック共重合体及びその水素添加物は、ビニル芳香族化合物由来の単位を20質量%以上含有する、項目1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[7]
上記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、30,000〜300,000である、項目6に記載の樹脂組成物。
[8]
上記樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂を、上記ポリフェニレンエーテル及び上記架橋剤の合計100質量部に対し、2〜20質量部含有する、項目6又は7に記載の樹脂組成物。
[9]
上記樹脂組成物は、難燃剤を更に含み、上記難燃剤は、上記樹脂組成物の硬化後も上記ポリフェニレンエーテルと相溶しない、項目1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[10]
溶剤を更に含有する、項目1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[11]
項目1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、電子回路基板材料。
[12]
項目1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、樹脂フィルム。
[13]
基材と、項目1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物との複合体である、プリプレグ。
[14]
上記基材がガラスクロスである、項目13に記載のプリプレグ。
[15]
項目12に記載の樹脂フィルム又は項目13若しくは14に記載のプリプレグの硬化物と、金属箔との積層体である、金属張積層板。
[16]
項目15に記載の積層体から上記金属箔の一部が除去された、プリント配線板。
本発明によれば、電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性に優れる硬化物を提供することができる、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物を提供することができる。また、本発明のポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物の硬化物を使用して、電子回路基板材料、例えば樹脂フィルム、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板等を提供することができる。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物である。
ポリフェニレンエーテル
本実施形態におけるポリフェニレンエーテル(PPE)は、主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を1分子中に平均1.5〜5個有し、数平均分子量が1000以上4200以下である。
PPEの1分子中の末端官能基の数は、平均1.5〜5個、好ましくは1.7〜4個である。末端官能基数(平均値)が1.5以上であることにより、樹脂組成物は、硬化した際に十分な耐熱性を付与できる。末端官能基数(平均値)が5以下であることにより、樹脂組成物は、加熱成形時に十分な樹脂流動性を付与できる。
本願明細書において、「末端官能基数」とは、PPE1モル中に存在する全てのPPE1分子あたりの官能基の平均値を表す。末端官能基数は、変性前後のPPEに残存する水酸基数を測定して、変性前のPPEの水酸基数から変性後の水酸基数を減ずることにより、水酸基数の減少分を算出することにより求められる。変性前からのPPEの水酸基数の減少分が、末端官能基数である。変性前後の水酸基数の測定方法は、PPEの溶液に、水酸基と会合する4級アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)を添加し、その混合溶液のUV吸光度を測定することによって求められる。具体的な末端官能基数の算出方法は、後述の実施例に記載の方法を参照できる。
PPEの数平均分子量は1000以上4200以下である。上記数平均分子量が1000以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、硬化形態において、低誘電率及び低誘電正接に優れる。また、数平均分子量が4200以下であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形時の樹脂流動性に優れる。また、数平均分子量が4200以下であることにより、PPEは、架橋剤等との反応後の単位体積当たりの架橋点の数が好適な値となり、これに起因して高温高湿環境下での吸水を抑制できる。PPEの数平均分子量は、好ましくは1200以上4000以下、より好ましくは1400以上3500以下である。なお、PPEの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定を行い、同条件で測定した標準ポリスチレン試料の分子量と溶出時間との関係式から、標準ポリスチレン換算で求められる。具体的な数平均分子量の算出方法は、後述の実施例に記載の方法を参照できる。
主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基としては、主鎖末端に下記式(1)で表される官能基であることが好ましい。
Figure 2020139124
{式(1)中、nは、0又は1の整数であり、Rは、炭素数1〜8のアルキレン基又はアルケニレン基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基である。}
は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等が挙げられる。アルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、及びオクテニレン基等が挙げられる。
もまた、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、及びオクチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、及びオクテニル基等が挙げられる。
末端官能基は、樹脂組成物を硬化させた際の耐熱性に優れる観点から、メタクリル基及び/又はアクリル基であることが好ましく、加熱成形時の樹脂流動性により優れる観点から、メタクリル基であることがより好ましい。
ポリフェニレンエーテル(PPE)は、フェニレンエーテル単位を繰り返し構造単位として含み、フェニレンエーテル単位中のフェニレン基は、置換基を有してもよく、有していなくてもよい。また、PPEは、本発明の作用効果を阻害しない範囲内において、フェニレンエーテル単位以外のその他の構成単位も含んでもよい。
PPEは、下記式(A)で表される繰り返し構造単位を含むことが好ましい。
Figure 2020139124
{式(A)中、R、R、R10及びR11は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子)、置換基を有してもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロヘキシル基等の炭素数6〜10の環状のアルキル基)、置換基を有してもよいアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基)、置換基を有してもよいアリール基(例えば、フェニル基及びナフチル基)、置換基を有してもよいアミノ基、ニトロ基又はカルボキシル基を表す。}
ポリフェニレンエーテル(PPE)の具体例としては、例えば:ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと、他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−ブチルフェノール等)との共重合体;2,6−ジメチルフェノールと、ビフェノール類又はビスフェノール類とをカップリングさせて得られるポリフェニレンエーテル共重合体;及びポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)等を、ビスフェノール類やトリスフェノール類のようなフェノール化合物と、トルエン溶媒中、有機過酸化物の存在下で加熱し、再分配反応させて得られる、直鎖構造もしくは分岐構造を有するポリフェニレンエーテルが挙げられる。
架橋剤
本実施形態における架橋剤は、炭素−炭素二重結合を1分子中に平均2個以上有し、かつ数平均分子量が4000以下である。架橋剤は、架橋反応を起こすか、又は促進する能力を有する。数平均分子量が4000以下であることで、ワニスの粘度の増大を抑制でき、また、加熱成型時の樹脂流動性が良好になる。本願明細書において、架橋剤の数平均分子量は、GPCを用いて測定される。
架橋剤は、1種類の化合物で構成されてもよく、2種類以上の化合物で構成されてもよい。本明細書にいう「炭素−炭素二重結合」とは、架橋剤がポリマー又はオリゴマーである場合、主鎖より分岐した末端に位置する二重結合をいう。炭素−炭素二重結合としては、例えば、ポリブタジエンにおける1,2−ビニル結合が挙げられる。
架橋剤の数平均分子量が600未満である場合、架橋剤の1分子当たりの炭素−炭素二重結合の数(平均値)は、2〜4個であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が600〜1500未満である場合、架橋剤の1分子当たりの炭素−炭素二重結合の数(平均値)は、4〜26個であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が1500〜4000である場合、架橋剤の1分子当たりの炭素−炭素二重結合の数(平均値)は、26〜60個であることが好ましい。架橋剤の数平均分子量が上記特定の範囲内において、炭素−炭素二重結合の数が上記特定値以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、架橋剤の反応性がより高まり、樹脂組成物の硬化物の架橋密度がより向上し、その結果、より耐熱性に優れる。また、本実施形態の樹脂組成物は、架橋剤の数平均分子量が上記特定の範囲内において、炭素−炭素二重結合の数が上記特定値以下であることにより、加熱成形時の樹脂流動性により優れる。
架橋剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)等のトリアルケニルイソシアヌレート化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)等のトリアルケニルシアヌレート化合物、分子中にメタクリル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、分子中にアクリル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、ポリブタジエン等の分子中にビニル基を2個以上有する多官能ビニル化合物、分子中にビニルベンジル基を有するジビニルベンゼン等のビニルベンジル化合物、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン等の分子中にマレイミド基を2個以上有する多官能マレイミド化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。架橋剤は、これらの中でも、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンからなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましい。これらの架橋剤が上記1種以上の化合物を含むことにより、硬化反応(架橋反応)時に架橋密度がより高くなり、これにより、樹脂組成物の硬化物の耐熱性がより向上する傾向にある。
PPEと架橋剤との重量比は、PPE:架橋剤=62:38〜94:6である。重量比が62:38以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、硬化した際に優れた低誘電率及び低誘電正接を有する。重量比が94:6以下であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、PPEと架橋剤とで形成される架橋構造の架橋密度が向上し、その結果、硬化した際に優れた耐熱性を有する。同様の観点から、重量比は、68:32〜85:15であることがより好ましい。
有機過酸化物
本実施形態における有機過酸化物は、芳香環を有する有機過酸化物(芳香環含有有機過酸化物)である。本実施形態の樹脂組成物に配合される有機過酸化物は、PPE含有樹脂組成物において架橋型硬化性化合物の架橋反応の開始剤として機能する能力を有する。
本実施形態の樹脂組成物は、PPEが、主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を1分子中に平均1.5〜5個有し、かつ数平均分子量が1000以上4200以下であるとともに、有機過酸化物が芳香環を有する有機過酸化物であることにより、樹脂組成物中の芳香環含有有機化合物の含有量を少なくしても、電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性に優れる硬化物を提供することができる。その理由としては、理論に限定されないが、発明者らは以下のように推定している。
すなわち、有機過酸化物中の芳香環及びPPEの単位構造は、その構造の類似性から、相溶性が比較的高いと推測される。その結果として、芳香環含有有機過酸化物は、含有量が少量であっても、PPEと架橋剤との反応により形成される架橋構造の架橋密度をより高くすることができると推測される。また、架橋密度をより高くできることは、硬化物の吸水率を低減することができ、更には低誘電率及び低誘電正接につながる。
芳香環を有する有機過酸化物としては、t−へキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエイト、ジ−(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、及びジベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
本実施形態における有機過酸化物は、下記式(2)又は(3)で表される構造を有する芳香環含有ジアルキルペルオキシドであることが好ましい。
Figure 2020139124
Figure 2020139124
{式(2)中、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一方は、芳香環を有する。式(3)中、R、及びRは、各々独立に、炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、そしてR、R、及びRからなる群より選択される少なくとも一つは、芳香環を有する。}
炭素数1〜15の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状又は分岐状アルキル基、シクロプロピル、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、及びベンジルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
炭素数1〜15の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基、及びナフチレン基等のアリーレン基が挙げられる。
、R、及びRからなる群より選択される少なくとも一つは、芳香環を有する。芳香環としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられ、後述する理由から、ベンゼン環であることが好ましい。
有機過酸化物である芳香環含有ジアルキルペルオキシドとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの中でも、上記芳香環含有ジアルキルペルオキシドは、硬化した際に耐熱性、機械特性及び電気特性(低誘電率及び低誘電正接)に一層優れる観点から、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンであることが好ましい。
本実施形態における有機過酸化物は、1分間半減期温度が155℃以上180℃以下であることが好ましい。有機過酸化物の1分間半減期温度は、好ましくは160℃〜180℃、より好ましくは165℃〜175℃である。本実施形態において、1分間半減期温度は、有機過酸化物が分解して、その活性酸素量が半分になる時間が1分間となる温度である。1分間半減期温度は、ラジカルに対して不活性な溶剤、例えばベンゼン等に有機過酸化物を0.05mol/L〜0.1mol/Lの濃度となるように溶解させ、得られた有機過酸化物溶液を窒素雰囲気下で熱分解させることにより測定する。
PPEが、主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を1分子中に平均1.5〜5個有し、かつ数平均分子量が4200以下であるとともに、有機過酸化物の1分間半減期温度が155℃以上であることにより、電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性により優れる硬化物を提供することができる。その理由としては、理論に限定されないが、発明者らは以下のように推定している。
すなわち、本実施形態のPPE含有樹脂組成物を加熱加圧成型(典型的には室温から200℃まで昇温させて行う。)する際、有機過酸化物の1分間半減期温度付近で架橋剤との反応が開始することになる。このとき、PPEと特定の架橋剤とを特定の混合比とすることで、PPEと架橋剤とを相溶させることができる。更に、PPEの数平均分子量が4200以下であることにより架橋剤との相溶性が高まる。また、主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基の数が多くなるとPPEと架橋剤との相溶性が改善する傾向にある。従い、有機過酸化物による硬化反応が開始される際には、PPEと架橋剤とが完全に均一に相溶し、低い溶融粘度状態にすることが可能となる。従い、PPEと架橋剤と過酸化物とが反応進行中を通して均一に混合された状態が維持されやすいため、少量の有機過酸化物量でも十分に架橋反応を進行させることができる。
このように、PPEと架橋剤とをより低温で相溶して均一にしたあと、少量の有機過酸化物で、穏やかに架橋反応を進行させることで、歪みなく均一な架橋構造を得ることができる。したがって、電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性に優れる硬化物を提供することができると考えられる。
一方、有機過酸化物の1分間半減期温度が180℃以下であることにより、通常の加熱加圧成型条件(例えば最高到達温度200℃)での有機過酸化物の分解速度が充分に速くなる。そのため、PPEと架橋剤との架橋反応が効率的かつ緩やかに進むので、良好な電気特性(特に誘電正接)を有する硬化物を形成可能である。
1分間半減期温度が155℃〜180℃の範囲内にある有機過酸化物としては、例えばt−へキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(155.0℃)、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート(166.0℃)、t−ブチルペルオキシラウレート(159.4℃)、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート(158.8℃)、t−ブチルペルオキシ2−エチルへキシルモノカーボネート(161.4℃)、t−へキシルパーオキシベンゾエート(160.3℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(158.2℃)、t−ブチルペルオキシアセテート(159.9℃)、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン(159.9℃)、t−ブチルパーオキシベンゾエート(166.8℃)、n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレラート(172.5℃)、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン(175.4℃)、ジクミルパーオキサイド(175.2℃)、ジ−t−へキシルパーオキサイド(176.7℃)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(179.8℃)、及びt−ブチルクミルパーオキサイド(173.3℃)等が挙げられる。これらの中でも、有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、及び、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンからなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。
有機過酸化物の含有量は、PPE及び架橋剤の合計100質量部に対して、0.05質量部以上0.9質量部以下であり、好ましくは0.15〜0.8質量部、より好ましくは0.3〜0.7質量部である。本実施形態の樹脂組成物は、上記の構成を備えることにより、樹脂組成物を硬化させた際、優れた耐熱性及び電気特性(低誘電率性及び低誘電正接性)を有する。また、樹脂組成物を硬化させた際、耐吸水性に優れ、この樹脂組成物をプリント配線板用材料として用いる際の金属箔(例えば、銅箔)との密着性に優れる。
熱可塑性樹脂
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは、熱可塑性樹脂を更に含む。熱可塑性樹脂は、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体及びその水素添加物(ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体)、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。上記ブロック共重合体及びその水素添加物は、ビニル芳香族化合物由来の単位を20質量%以上含有することが好ましい。ビニル芳香族化合物由来の単位の含有率が20質量%以上であることにより、PPEとの相溶性がより向上し、金属箔との密着強度がより向上する傾向にある。
ビニル芳香族化合物は、分子内に芳香環及びビニル基を有すればよく、例えば、スチレンが挙げられる。オレフィン系アルケン化合物は、分子内に、直鎖若しくは分岐構造を有するアルケンであればよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂は、PPEとの相溶性により優れる観点から、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−ブチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−エチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ブタジエン−ブチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレンの単独重合体(ポリスチレン)からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、及びポリスチレンからなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
ブロック共重合体の水素添加物における水素添加率は特に限定されず、オレフィン系アルケン化合物由来の炭素−炭素二重結合が一部残存していてもよい。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、30,0000〜300,0000であることが好ましい。熱可塑性樹脂の重量平均分子量が30,0000以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、硬化した際に耐熱性により優れる傾向にある。熱可塑性樹脂の重量平均分子量が300,000以下であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形時により良好な樹脂流動性を有する傾向にある。熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により求められる。
熱可塑性樹脂の含有量は、ポリフェニレンエーテル及び架橋剤の合計100質量部に対し、2〜20質量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量が2質量部以上であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、硬化した際の低誘電率性及び低誘電正接性、並びに金属箔との密着性により優れる傾向にある。熱可塑性樹脂の含有量が20質量部以下であることにより、本実施形態の樹脂組成物は、加熱成形時により優れた樹脂流動性を有する傾向にある。
難燃剤
本実施形態の樹脂組成物は、難燃剤を含むことが好ましい。難燃剤としては、耐熱性を向上できる観点から、硬化後もPPEや架橋剤と相溶しないものを使用することができる。難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ほう酸亜鉛等の無機難燃剤、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエタン、4,4−ジブロモビフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド等の芳香族臭素化合物、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート等のリン系難燃剤等が挙げられる。これらの難燃剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、難燃剤は、樹脂組成物を硬化した際の低誘電率性及び低誘電正接性により優れる観点から、デカブロモジフェニルエタンであることが好ましい。
難燃剤の含有量は、特に限定されないが、UL規格94V−0レベルの難燃性を維持する観点から、PPEと架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、得られる硬化物の誘電率及び誘電正接を低く維持できる観点から、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。
シリカフィラー
本実施形態の樹脂組成物は、シリカフィラーを含有してもよい。シリカフィラーとしては、天然シリカ、溶融シリカ、合成シリカ、アモルファスシリカ、アエロジル、及び中空シリカが挙げられる。シリカフィラーの含有量は、PPE及び架橋剤の合計100質量部に対して、10〜100質量部程度であってもよい。また、シリカフィラーはその表面にシランカップリング剤等を用いて表面処理をされたものであってもよい。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃剤及びシリカフィラー意外に、熱安定剤、酸化防止剤、UV吸収剤、界面活性剤、滑剤などの添加剤、溶剤等を更に含んでもよい。本実施形態の樹脂組成物は、溶剤を含む場合、樹脂組成物中の固形成分が溶剤に溶解又は分散したワニスの形態であってもよい。
溶剤
溶剤としては、溶解性の観点から、トルエン、キシレン等の芳香族系化合物、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びクロロホルムであることが好ましい。これらの溶剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
[電子回路基板材料]
本実施形態の電子回路基板材料は、本実施形態の樹脂組成物を含む、電子回路基板材料である。電子回路基板材料は、限定されないが、樹脂フィルム、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板等が挙げられる。
樹脂フィルム
本実施形態の樹脂フィルムは、本実施形態の樹脂組成物で形成される。本実施形態の樹脂フィルムは、硬化前の樹脂組成物を含むが、樹脂組成物の一部が硬化していてもよい。本実施形態の樹脂フィルムは、本実施形態の樹脂組成物と溶剤との混合物である樹脂ワニスを単独で乾燥させること、或いは、樹脂ワニスを支持フィルム等の支持体の上に塗布した後乾燥させることで得ることができる。
樹脂フィルムの支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;銅箔、アルミ箔等の金属箔;離型紙等を挙げることができる。なお、支持体はマッド処理、コロナ処理、離形処理等の化学的、又は物理的な処理を施してあってもよい。
本実施形態の樹脂フィルムは、多層プリント配線板等の積層体の層間絶縁シート、接着フィルム等として好適に用いることができる。
プリプレグ
本実施形態のプリプレグは、基材と、本実施形態の樹脂組成物との複合体である。本実施形態のプリプレグは、硬化前の樹脂組成物を含むが、樹脂組成物の一部が硬化していてもよい。本実施形態のプリプレグは、基材と、この基材に含浸又は塗布された本実施形態の樹脂組成物との複合体であることが好ましい。本実施形態の樹脂組成物が基材表面に塗布され層を形成している場合であっても、プリプレグを硬化させるためのプレス成型によって、樹脂組成物の硬化物が基材中に含浸された構造を得ることができる。本実施形態のプリプレグは、例えば、ガラスクロス等の基材に、本実施形態の樹脂組成物と溶剤との混合物である樹脂ワニスに含浸又は塗布した後、熱風乾燥機等で溶剤を乾燥除去することにより得ることができる。
プリプレグに用いる基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマット等の各種ガラスクロス;アスベスト布、金属繊維布、及びその他の合成若しくは天然の無機繊維布;全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾオキサゾール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布;綿布、麻布、フェルト等の天然繊維布;カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊糸から得られる布等の天然セルロース系基材;ポリテトラフルオロエチレン多孔質フィルム等が挙げられる。これらの基材は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。プリプレグに用いる基材は、ガラスクロスであることが好ましい。
プリプレグ中の本実施形態の樹脂組成物固形分の割合は、30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。上記割合が30質量%以上であることにより、プリプレグを電子基板用等に用いた場合に絶縁信頼性により優れる傾向にある。上記割合が80質量%以下であることにより、電子基板用等に持ちたい場合に曲げ弾性率等の機械特性により優れる傾向にある。
樹脂付金属箔
樹脂付金属箔は、本実施形態の樹脂組成物を含む樹脂ワニスを金属箔に塗布した後、熱風乾燥機等で樹脂ワニス中の有機溶剤を乾燥除去して得ることができる。本実施形態に用いる金属箔は特に限定はないが、例えば、アルミ箔、銅箔等を用いることができ、中でも銅箔は、電気抵抗が低いため好ましい。
金属張積層板
本実施形態の金属張積層板は、本実施形態の樹脂フィルム又は本実施形態のプリプレグの硬化物と、金属箔との積層体である。本実施形態に係る積層体は、1枚又は複数枚の本実施形態の樹脂フィルム及び/又はプリプレグを、銅箔等の基板と重ねた後、プレス成型により樹脂組成物を硬化させ、絶縁層を形成することにより製造することができる。銅箔の代わりに前述の樹脂付金属箔を用いることも可能である。
金属箔としては、例えば、アルミ箔、銅箔等を用いることができ、中でも銅箔は電気抵抗が低いため好ましい。金属箔と組合せる樹脂フィルム及びプリプレグは1枚でも複数枚でもよく、用途に応じて片面又は両面に金属箔を重ねて積層板に加工する。金属張積層板は、特にプリント配線板として好適に用いることができる。
プリント配線板
本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の金属張積層板から金属箔の一部が除去されている。本実施形態のプリント配線板は、本実施形態のプリプレグを加圧加熱成型し、金属箔の一部を除去することにより得ることができる。基材としては、プリプレグに関して前述したのと同様のものが挙げられる。本実施形態のプリント配線板は、本実施形態の樹脂組成物を含むことにより、優れた電気特性(低誘電率及び低誘電正接、並びに吸湿条件下での低誘電正接)、耐熱性、及び低熱膨張特性を有する。
以下、実施例により、本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例、比較例に記載した各物性は、以下の測定方法により評価した。
[有機過酸化物の1分間半減期温度]
本実施例及び比較例で用いた有機過酸化物の1分間半減期温度は、以下のように測定した。ラジカルに対して不活性な溶剤としてのベンゼンに、有機過酸化物を0.10mol/Lの濃度となるように溶解させ、得られた有機過酸化物溶液を窒素雰囲気下で熱分解させることにより測定した。
[PPEの数平均分子量、熱可塑性樹脂の重量平均分子量]
GPC分析を用い、分子量既知の標準ポリスチレンの溶出時間との比較によりPPEの数平均分子量、熱可塑性樹脂の重量平均分子量を求めた。具体的には、試料濃度0.2w/vol%(溶媒:クロロホルム)の測定試料を調製後、測定装置にはHLC−8220GPC(東ソー株式会社製)を用い、カラム:Shodex GPC KF−405L HQ×3(昭和電工株式会社製)、溶離液:クロロホルム、注入量:20μL、流量:0.3mL/min、カラム温度:40℃、検出器:RI、の条件下にて測定した。
[PPEの平均末端官能基数]
PPE1分子当たりの平均末端官能基数を以下の方法により求めた。すなわち、「高分子論文集,vol.51,No.7(1994),第480頁」記載の方法に準拠し、PPEの塩化メチレン溶液にテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド溶液を加えることにより得られるサンプルの波長318nmにおける吸光度変化を紫外可視吸光光度計で測定した。この測定値から、PPEの末端変性の前後のフェノール性水酸基の数を求めた。また、上記方法により求めたPPEの数平均分子量と、PPEの質量とを用いてPPEの分子数(数平均分子数)を求めた。
これらの値から、下記式(1)に従って、変性前後のPPE1分子当たりの平均フェノール性水酸基数を求めた。
1分子当たりの平均フェノール性水酸基数=フェノール性水酸基の数/数平均分子数…(1)
変性後の平均末端官能基数は、下記式(2)に従って、変性後の平均末端官能基数を求めた。
1分子当たりの平均末端官能基数=変性前の平均フェノール性水酸基数−変性後の平均フェノール性水酸基数…(2)
[積層板、ガラスサンプルの誘電率及び誘電正接]
積層板、ガラスサンプルの10GHzでの誘電率及び誘電正接を、空洞共振法にて測定した。測定装置としてネットワークアナライザー(N5230A、AgilentTechnologies社製)、及び関東電子応用開発社製の空洞共振器(Cavity Resornator CPシリーズ)を用いた。厚さ約0.5mmの積層板又はガラスサンプルを、積層板についてはガラスクロスの経糸が長辺となるように、幅約2mm、長さ50mmの大きさに切り出し、同じサンプルを2つ用意した。次に、2つのサンプルを105℃±2℃のオーブンに入れ2時間乾燥させた後、一方のサンプルについては、23℃相対湿度50±5%、他方のサンプルについては、40℃相対湿度85±5%の環境下に96±5時間静置した。その後、2つのサンプルを、23℃、相対湿度50±5%の環境下で上記測定装置を用いることにより、それぞれ、10GHzでの誘電率(Dk)及び誘電正接(Df)を測定した。
[積層板のガラス転移温度]
積層板の動的粘弾性を測定し、tanδが最大となる温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。測定装置に動的粘弾性装置(RHEOVIBRON モデルDDV−01FP、ORIENTEC社製)を用いた。厚さ約0.3mmの積層板を後述するガラスクロスの経糸が長辺となるように、長さ約35mm、幅約5mmに切り出して、試験片とし、引張モード、周波数:10rad/s、昇温速度:3℃/mの条件で測定を行った。
[積層板の吸水率]
積層板を吸水加速試験に供し、増加した質量から吸水率を求めた。厚み約0.3mmの積層板を50mm角に切り出し試験片を作製した。この試験片を105℃で60分乾燥した後、質量を測定し、加速試験前の質量(g)とした。次いで、温度:121℃、圧力:2atm、時間:4時間、の条件下で吸水加速試験を行った後の質量を測定し、加速試験後の質量(g)とした。加速試験前の質量(g)と加速試験後の質量(g)とを用い、下記式(3):
吸水率(質量%)=(加速試験前の質量―加速試験後の質量)/加速試験前の質量×100…(3)
により吸水率を算出し、試験片4枚の測定値の平均値を求めた。
[積層板の吸水試験後のはんだ耐熱性]
上記吸水率の測定後の積層板を用い、288℃でのはんだ耐熱試験を行った。吸水加速試験後の積層板を、288℃のはんだ浴に20秒間浸漬し、目視による観察を行った。はんだ浴へ浸漬しても、膨れ、剥離及び白化の何れも確認されなかった積層板については「○(良好)」と評価した。また、はんだ浴への浸漬により、膨れ、剥離及び白化の何れかが発生した積層板は「×(不良)」と評価した。
[積層板の銅箔引き剥がし強さ(銅箔剥離強度N/mm)]
銅張積層板の銅箔を一定速度で引き剥がす際の応力を測定した。後述の方法で作製した、35μm厚の銅箔(古川電気工業株式会社製、GTS−MP箔)を用いた銅張積層板を、幅15mm×長さ150mmのサイズに切り出した。オートグラフ(AG−5000D、株式会社島津製作所製)を用い、銅箔を銅張積層板に対し90℃の角度で50mm/分の速度で引き剥がした際の荷重の平均値を測定し、5回の測定の平均値を求めた。
[積層板の加熱成型時の樹脂フロー量]
積層板の加熱成型時の樹脂フロー量を、次の方法で求めた。実施例1に記載する方法で作製した、樹脂組成物の固形分の含有量が、58質量%のプリプレグを10cm角に切り出した。それらを4枚積層して、実施例1に記載する方法で加熱成型した。加熱成型前の大きさ(10cm角)より外に流れ出た樹脂組成物の硬化物(流動部)を除去する前の積層板の重量(g)と、流動部を除去した後の積層板の重量(g)を用い、下記式(4):
樹脂フロー量(質量%)=(流動部を除去前の積層板の重量−流動部を除去後の積層板の重量)/流動部を除去前の積層板の重量×100…(4)
により、算出した。
以下の実施例及び比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
「PPE」
・末端メタクリル基変性PPE、(製品名「SA9000」、Sabicイノベーティブプラスチックス社製、Mn:2756、末端官能基数:2.0個)
・PPE−A(後述の方法で合成、Mn:2150、末端官能基数:2.8個)
・PPE−B(後述の方法で合成、Mn:3240、末端官能基数:2.9個)
・PPE−C(後述の方法で合成、Mn:4250、末端官能基数:2.9個)
・PPE−D(後述の方法で合成、Mn:1700、末端官能基数:2.9個)
「架橋剤」
・TAIC(日本化成社製、分子量:249.7、不飽和二重結合数:3個)
・TAC(化薬アクゾ社製、分子量:249、不飽和二重結合数:3個)
・ポリブタジエン、(製品名「B−1000」、日本曹達社製、Mn:1200、不飽和二重結合数:18.4個)
・ポリブタジエン、(製品名「B−2000」、日本曹達社製、Mn:2100、不飽和二重結合数:34.4個)
「有機過酸化物」
・ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、(1分間半減期温度175.4℃、製品名「パーブチルP」、日油社製)
・ジクミルパーオキサイド、(1分間半減期温度175.2℃、製品名「パークミルD」、日油社製)
・t−ブチルクミルパーオキサイド、(1分間半減期温度173.3℃、製品名「パーブチルC」、日油社製)
・2,5−ジ−メチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシル)−ヘキシン−3、(1分間半減期温度194.3℃、製品名「パーヘキシン25B」、日油社製)
「熱可塑性樹脂」
・水添スチレン系熱可塑性樹脂、(製品名「タフテックH1041」、旭化成社製、Mw:4.9万、スチレン単位含有率:30質量%)
・水添スチレン系熱可塑性樹脂、(製品名「タフテックH1043」、旭化成社製、Mw:3.9万、スチレン単位含有率:67質量%)
・水添スチレン系熱可塑性樹脂、(製品名「タフテックN504」、旭化成社製、Mw:20万、スチレン単位含有率:32質量%)
・ポリスチレン、(製品名「PSJ−ポリスチレン685」、PSジャパン社製、Mw:26万)
・スチレン系熱可塑性樹脂、(製品名「タフプレンA」、旭化成社製、Mw:10万、スチレン単位含有率:40質量%)
「難燃剤」
・デカブロモジフェニルエタン、(製品名「SAYTEX8010」、アルベマール社製)
「充填剤」
・球状シリカ(龍森社製)
「基材」
・Lガラスクロス
(旭シュエーベル社製、スタイル:2116、ホウ素:7.3質量部、誘電率:4.9)
・Eガラスクロス
(旭シュエーベル社製、スタイル:2116、ホウ素:2.1質量部、誘電率:6.8)
<製造例1>
トルエン100質量部を攪拌装置及び攪拌羽根を装備したフラスコに入れた。前記フラスコを内温90℃に制御しながら、数平均分子量12700のPPE(旭化成社製「ザイロンS203A」)40質量部、4,4’,4’’−トリヒドロキシトリフェニルメタン
2質量部、過酸化ベンゾイル8質量部を入れ、2時間撹拌を続けて反応させることにより、低分子量化されたPPEの溶液を調製した。このPPEのMnは1800であり、Mw/Mnは2.3、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は2.8個であった。内温を90℃に維持しながら、このPPEの溶液にN,N’−ジメチル−4−アミノピリジン0.4質量部を添加、溶解させた後、無水メタクリル酸10質量部を徐々に添加し、得られた溶液を攪拌しながら90℃で3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却し、主鎖末端がメタクリル基に変性されたPPEの溶液を得た。この溶液を100質量部を40℃に加温したイソプロパノール300質量部に攪拌しながら、徐々に添加することでPPEの沈殿物を生成した。得られた混合物から濾過によって沈殿物を回収し、回収した沈殿物を真空オーブンにて、105℃に加温しながら真空乾燥を5時間行った。前記操作により、末端メタクリル基変性PPE(PPE−A)を得た。PPE−AのMnは2150であり、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0個であった。よって、PPE−Aの末端官能基数(メタクリル基)は2.8個であった。
<製造例2>
過酸化ベンソイルの添加量を6質量部に変更する以外は製造例1と同様の方法で、低分子量化されたPPEの溶液を得た。このPPEのMnは2800であり、Mw/Mnは2.5、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は2.9個であった。次いで、ジメチルアミノピリジンの添加量を0.3質量部、無水メタクリル酸の添加量を6質量部に変更する以外は製造例1と同じ方法で、末端がメタクリル基変性されたPPE(PPE−B)を得た。PPE−BのMnは3240であり、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0個であった。よって、PPE−Bの末端官能基数(メタクリル基)は2.9個であった。
<製造例3>
過酸化ベンソイルの添加量を4質量部に変更する以外は製造例1と同様の方法で、低分子量化されたPPEの溶液を得た。このPPEのMnは3700であり、Mw/Mnは2.7、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は2.9個であった。次いで、ジメチルアミノピリジンの添加量を0.2質量部、無水メタクリル酸の添加量を4質量部に変更する以外は製造例1と同じ方法で、末端がメタクリル基変性されたPPE(PPE−C)を得た。PPE−CのMnは4250であり、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0個であった。よって、PPE−Cの末端官能基数(メタクリル基)は2.9個であった。
<製造例4>
トルエン100質量部を攪拌装置及び攪拌羽根を装備したフラスコに入れた。前記フラスコを内温90℃に制御しながら、数平均分子量12700のPPE(旭化成社製「ザイロンS203A」)40質量部、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン2質量部、過酸化ベンゾイル8質量部を入れ、2時間撹拌を続けて反応させることにより、低分子量化されたPPEの溶液を調製した。このPPEのMnは1600であり、Mw/Mnは2.4、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は2.9個であった。内温を90℃に維持しながら、このPPEの溶液にN,N’−ジメチル−4−アミノピリジン0.4質量部を添加、溶解させた後、無水メタクリル酸10質量部を徐々に添加し、得られた溶液を攪拌しながら90℃で3時間維持した。次いで、溶液を室温に冷却し、主鎖末端がメタクリル基に変性されたPPEの溶液を得た。この溶液を100質量部を40℃に加温したイソプロパノール300質量部に攪拌しながら、徐々に添加することでPPEの沈殿物を生成した。得られた混合物から濾過によって沈殿物を回収し、回収した沈殿物を真空オーブンにて、105℃に加温しながら真空乾燥を5時間行った。前記操作により、末端メタクリル基変性PPE(PPE−D)を得た。PPE−DのMnは1700であり、1分子当たりの平均フェノール性水酸基数は0個であった。よって、PPE−Dの末端官能基数(メタクリル基)は2.9個であった。
<実施例1>
トルエン210質量部に対し、タフテックH1041を9質量部添加し、攪拌、溶解させた。次いで、SAYTEX8010、球状シリカ、及びSA9000をそれぞれ24.5質量部、66質量部、及び80質量部添加し、SA9000が溶解するまで攪拌を継続した。次いで、TAIC、及びパーブチルPをそれぞれ20質量部、及び0.5質量部添加し、十分に攪拌して、ワニスを得た。このワニスに、Lガラスクロス(旭シュエーベル社製、スタイル:2116)を含浸させた後、所定のスリットに通すことにより余分のワニスを掻き落とした。ワニスに含浸させたLガラスクロスを、105℃の乾燥オーブンにて所定時間乾燥させ、トルエンを除去することにより、プリプレグを得た。このプリプレグを所定サイズに切り出し、その重量と同サイズのガラスクロスの重量を比較することで、プリプレグにおける樹脂組成物の固形分の含有量を算出したところ、58質量%であった。このプリプレグを所定枚数重ね、更にその重ね合わせたプリプレグの両面に銅箔(古川電気工業株式会社製、厚み35μm、GTS−MP箔)を重ね合わせた状態で、真空プレスを行うことにより、銅張積層板を得た。この真空プレスの工程では、まず、室温から昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力10kg/cm2でプレスし、次いで、130℃まで達した後に、昇温速度3℃/分で加熱しながら圧力40kg/cm2でプレスした。200℃まで達した後に、温度を200℃に維持したまま、圧力40kg/cm2で60分間プレスした。次に、上記銅張積層板から、エッチングにより銅箔を除去することにより積層板を得た。
<実施例2〜19、比較例1〜6>
表1〜3に記載のとおりに各材料を使用した以外は、実施例1と同様の方法にしてワニスを調製した。また、実施例1と同様の方法により、プリプレグを作製し、樹脂組成物の含有量が58質量%のプリプレグを得た。更にこれらのプリプレグを実施例1と同様の方法により、銅張積層板及び銅箔を除去した積層板を得た。
各実施例1〜19及び比較例1〜6の銅張積層板及び積層板の特性を評価した。評価結果を表4〜6に示す。
Figure 2020139124
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Figure 2020139124
Figure 2020139124
表4〜6の結果より、本発明は、電気特性、耐熱性、及び低熱膨張特性に優れる硬化物を提供することのできる、ポリフェニレンエーテル含有樹脂組成物を提供することができることがわかる。
本発明は、例えば高周波数帯を利用する電子機器の電子回路基板用の絶縁材料として好適である。

Claims (16)

  1. ポリフェニレンエーテル、架橋剤、及び有機過酸化物を含む樹脂組成物であって、
    前記ポリフェニレンエーテルが、その主鎖末端に炭素−炭素二重結合を含む官能基を1分子中に平均1.5〜5個有し、かつ数平均分子量が、1000以上4200以下であり、
    前記架橋剤が、炭素−炭素不飽和二重結合を1分子中に平均2個以上有し、かつ数平均分子量が4000以下であり、
    前記ポリフェニレンエーテルと前記架橋剤との重量比が、前者:後者=62:38〜94:6であり、
    前記有機過酸化物が、芳香環を有する有機過酸化物であり、
    前記有機過酸化物の含有量が、前記ポリフェニレンエーテル及び前記架橋剤の合計100質量部に対し、0.05質量部以上0.9質量部以下である、樹脂組成物。
  2. 前記炭素−炭素二重結合を含む官能基が、下記式(1):
    Figure 2020139124
    {式(1)中、nは、0又は1の整数であり、Rは、炭素数1〜8のアルキレン基又はアルケニレン基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基である。}
    で表される官能基である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記有機過酸化物が、下記式(2)又は(3):
    Figure 2020139124
    Figure 2020139124
    (式(2)中、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、R及びRの少なくとも一方は、芳香環を有する。式(3)中、R、及びRは、各々独立に、炭素数1〜15の1価の炭化水素基であり、Rは、炭素数1〜15の2価の炭化水素基であり、そしてR、R、及びRからなる群より選択される少なくとも一つは、芳香環を有する。)
    で表される構造を有する、芳香環含有ジアルキルペルオキシドである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記有機過酸化物が、1分間半減期が155℃以上180℃以下の有機過酸化物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記架橋剤が、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、及びポリブタジエンからなる群より選択される少なくとも一種の化合物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂組成物が熱可塑性樹脂を更に含み、前記熱可塑性樹脂が、ビニル芳香族化合物とオレフィン系アルケン化合物とのブロック共重合体及びその水素添加物、並びにビニル芳香族化合物の単独重合体からなる群より選択される少なくとも1種であり、
    前記ブロック共重合体及びその水素添加物は、ビニル芳香族化合物由来の単位を20質量%以上含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量が、30,000〜300,000である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂を、前記ポリフェニレンエーテル及び前記架橋剤の合計100質量部に対し、2〜20質量部含有する、請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記樹脂組成物は、難燃剤を更に含み、前記難燃剤は、前記樹脂組成物の硬化後も前記ポリフェニレンエーテルと相溶しない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 溶剤を更に含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、電子回路基板材料。
  12. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む、樹脂フィルム。
  13. 基材と、請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂組成物との複合体である、プリプレグ。
  14. 前記基材がガラスクロスである、請求項13に記載のプリプレグ。
  15. 請求項12に記載の樹脂フィルム又は請求項13若しくは14に記載のプリプレグの硬化物と、金属箔との積層体である、金属張積層板。
  16. 請求項15に記載の積層体から前記金属箔の一部が除去された、プリント配線板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023008524A1 (ja) * 2021-07-28 2023-02-02 三菱ケミカル株式会社 樹脂組成物、樹脂シート、積層体、シート硬化物及び回路基板材料
CN116507670A (zh) * 2020-11-24 2023-07-28 富士胶片株式会社 聚合物膜及层叠体

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