JP2015067650A - 光学用スチレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
親水性添加剤を含むスチレン系樹脂組成物の内、特に色相に優れるスチレン系樹脂組成物を提供すること、及び親水性添加剤が低濃度の場合でも環境変化による白化現象を抑制したスチレン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】
重量平均分子量が15万〜70万のスチレン系樹脂と0.4〜2.0質量%の親水性添加剤を含有し、(1)〜(2)の条件を満たすスチレン系樹脂組成物。
(1)スチレン系樹脂組成物は重量平均分子量が15万〜70万のスチレン系樹脂と、2.1〜50.0質量%の親水性添加剤を含有するスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチをスチレン系樹脂にて希釈することで得られうる。
(2)親水性添加剤はエチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜150であるポリオキシエチレン型界面活性剤と、平均分子量200〜10000のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種であり、HLB値が5〜20である。
【選択図】なし

Description

本発明は、環境変化による白化現象が抑制された色相に優れるスチレン系樹脂組成物に関するものである。
スチレン系樹脂は、透明性、剛性、低吸水性、寸法安定性などの特性に優れ、成形加工性に優れることから、射出成形、押出成形、ブロー成形などの各種成形方法により、電気製品や各種工業材料、食品包装容器、雑貨等として広く用いられている。また、透明性を生かした用途として、導光板等の光学部材にも用いられている。
液晶ディスプレイのバックライトには光源を表示装置の正面に配置する直下型バックライトと側面に配置するエッジライト型バックライトがある。導光板はエッジライト型バックライトに組み込まれ、側面からの光を液晶パネルに導く役割を果たし、テレビ、デスクトップ型パーソナルコンピューターのモニター、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話機、カーナビゲーションなど幅広い用途で使用される。導光板にはPMMA(ポリメチルメタクリレート)に代表されるアクリル樹脂が使用されているが、吸水性が高いため、成形品に反りが発生する問題や寸法の変化が発生する場合がある。
そのため、これら特性を改善したスチレンと(メタ)アクリル酸メチルとの共重合体であるMS樹脂を用いることが提案されている。MS樹脂の、吸水性や成形時の変色低減等の改良技術としては特許文献1が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂の重量平均分子量(Mw)6〜17万、残存モノマー量3000ppm以下、更にオリゴマー量が2%以下の導光板が開示されているが、吸水性が高く寸法安定性がスチレン系単量体を原料とするスチレン系樹脂よりも悪い傾向にあった。
一方、スチレン系単量体を原料とするスチレン系樹脂は吸水性が低いものの、スチレン系樹脂には温度や湿度、温水浸漬(非特許文献1)などの環境変化により成形品が白濁する問題(以下白化現象と記載することがある)があり、用途によっては長所である透明性が損なわれることがあった。具体的には、高温高湿環境下から室温環境下への環境変化や室温環境下から低温環境下への環境変化に成形品が曝された場合、スチレン系樹脂中に均一に存在していた水分が不安定となって相分離して円盤状の欠陥が生成し、その結果、成形品の内部が白濁する現象である。また、温水にスチレン系樹脂の成形品を一定時間以上、浸漬後、成形品を取り出すと白化することがあるが、これも同じ機構による現象である。
そのため、これら特性を改善するためスチレン系樹脂に親水性添加剤を添加することが特許文献2にて提案されている。
特開2003−075648号公報 WO/2013/094641
繊維学会誌、34巻、6号、245〜253頁、1978年
本発明は、環境変化による白化現象を抑制した色相に優れるスチレン系樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、親水性添加剤の添加方法につき検討を行ったところ、親水性添加剤とスチレン系樹脂を直接混練して得たペレットには、親水性添加剤の濃度の偏りがあり、低濃度において白化現象を十分に抑制できない場合があることが分かった。親水性添加剤を高濃度含むスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチをスチレン系樹脂にて特定の濃度範囲に希釈することで低濃度においても白化現象を抑制できるスチレン系樹脂組成物が得られることが分かった。さらに親水性添加剤の添加方法がスチレン系樹脂組成物の色相にも影響を与え、上記添加方法を取ることで、色相に優れたスチレン系樹脂組成物が得られることが分かった。
成形品の色相が悪いと、導光板のように光路長が長い場合、ディスプレイの色相が黄色くなる場合がある。また、成形品が白濁すると、光散乱により透過率が大きく低下して、輝度が低下する問題がある。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。
好ましくは、前記親水性添加剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜60であるポリオキシエチレン型界面活性剤であり、且つ前記スチレン系樹脂組成物−親水性添加剤マスターバッチ100質量%中の含有量が2.1〜50.0質量%、スチレン系樹脂組成物100質量%中の含有量が0.4%〜2.0質量%である。
好ましくは、前記親水性添加剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が13〜35であるポリオキシエチレン型界面活性剤である。
好ましくは、前記親水性添加剤は、HLB値が10〜18である。
好ましくは、前記ポリオキシエチレン型界面活性剤がポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤である。
好ましくは、ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤が下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又は下記一般式(2)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸エステルの郡から選ばれる1種類以上である。
Figure 2015067650
Figure 2015067650
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格を複数個有する6価までの多価ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル骨格を複数個有する6価までの多価ポリオキシエチレン脂肪酸エステルであっても良い。nは整数でエチレンオキサイド単位の付加モル数を表す。)
好ましくは、前記親水性添加剤は、平均分子量200〜10000のポリエチレングリコールであり、且つ前記スチレン系樹脂組成物100質量%中の含有量が2.0〜50.0質量%である。
好ましくは、前記親水性添加剤は、平均分子量200〜1800のポリエチレングリコールである。
また、前記スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸とを共重合して得られるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂であって、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位の含有量が90.0〜99.9質量%、(メタ)アクリル酸単位の含有量が0.1〜10.0質量%である。ただし、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸単位の含有量の合計を100質量%とする。
また、前記スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して得られるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂であって、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位の含有量が40.0〜99.0質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が1.0〜60.0質量%である。ただし、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量の合計を100質量%とする。
また、6−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンを含む。
また、リン系酸化防止剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む。
また、上記の親水性添加剤を含有するスチレン系樹脂組成物の成形品である。
また、上記の成形品からなる導光板である。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、PMMAやMS樹脂と比較して、吸水性が低く安価であり、スチレン系樹脂の欠点である環境変化による白化現象が発生せず、無色透明性に優れることから、スチレン系樹脂本来の透明性を生かした用途に好適に用いることができる。
<<スチレン系樹脂>>
本発明のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を重合して得ることができる。スチレン系単量体とは、芳香族ビニル系モノマーである、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の単独または2種以上の混合物であり、好ましくはスチレンである。また、本発明の特徴を損ねない範囲でスチレン系単量体と共重合してもよく、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニルモノマー、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等のアクリル系モノマーや無水マレイン酸、フマル酸等のα,β−エチレン不飽和カルボン酸類、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のイミド系モノマー類が挙げられる。
スチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂と、各種添加剤とで構成されていることが好ましく、スチレン系樹脂組成物100質量%中のスチレン系樹脂の割合は、例えば90〜99.6質量%であり、95〜99.6質量%が好ましい。スチレン系樹脂の割合は、具体的には例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、99.6質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸とを共重合して得られるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂である場合、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位の含有量が90.0〜99.9質量%、(メタ)アクリル酸単位の含有量が0.1〜10.0質量%であることが好ましい。ただし、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸単位の含有量の合計を100質量%とする。(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸等であり、メタクリル酸が好ましい。
スチレン系樹脂中の(メタ)アクリル酸単位含有量の測定は室温で実施する。スチレン系樹脂0.5gを秤量し、トルエン/エタノール=8/2(体積比)の混合溶液に溶解後、水酸化カリウム0.1mol/Lエタノール溶液にて中和滴定を行い、終点を検出し、水酸化カリウムエタノール溶液の使用量より、(メタ)アクリル酸単位の質量基準の含有量を算出する。なお、電位差自動滴定装置を使用することができ、京都電子工業株式会社製AT−510により測定を行うことができる。スチレン系樹脂中の(メタ)アクリル酸単位の含有量は、スチレン系樹脂の重合時における原料のスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸単量体との組成比によって調整することができるが、相溶する範囲において(メタ)アクリル酸単位を含有するスチレン系樹脂と(メタ)アクリル酸単位を含有しないスチレン系樹脂とをブレンドして調整することもできる。
スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して得られるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂である場合、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位の含有量が40.0〜99.0質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が1.0〜60.0質量%であることが好ましい。ただし、スチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量の合計を100質量%とする。(メタ)アクリル酸エステルとは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル等である。
スチレン系樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量は熱分解ガスクロマトグラフィーで以下の条件にて測定できる。
熱分解炉:PYR−2A(株式会社島津製作所製)
熱分解炉温度設定:525℃
ガスクロマトグラフ:GC−14A(株式会社島津製作所製)
カラム:ガラス製3mm径×3m
充填剤:FFAP Chromsorb WAW 10%
インジェクション、ディテクター温度:250℃
カラム温度:120℃
キャリアーガス:窒素
スチレン系樹脂の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知のスチレン重合方法が挙げられる。品質面や生産性の面では、塊状重合法、溶液重合法が好ましく、連続重合であることが好ましい。溶媒として例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等のアルキルベンゼン類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が使用できる。
スチレン系樹脂の重合時に、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤を使用することができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、公知慣用の例えば、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−アミルパーオキシイソノナノエート等のアルキルパーオキサイド類、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシカーボネート)等のパーオキシカーボネート類、N,N’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、N,N’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、N,N’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、N,N’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤としては、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α−メチルスチレンダイマー及びテルピノーレン等が挙げられる。
連続重合の場合、まず重合工程にて公知の完全混合槽型攪拌槽や塔型反応器等を用い、目標の分子量、分子量分布、反応転化率となるよう、重合温度調整等により重合反応が制御される。重合工程を出た重合体を含む重合溶液は、脱揮工程に移送され、未反応の単量体及び重合溶媒が除去される。脱揮工程は加熱器付きの真空脱揮槽やベント付き脱揮押出機などで構成される。脱揮工程を出た溶融状態の重合体は造粒工程へ移送される。造粒工程では、多孔ダイよりストランド状に溶融樹脂を押出し、コールドカット方式や空中ホットカット方式、水中ホットカット方式にてペレット形状に加工される。
本発明のスチレン系樹脂の重量平均分子量は15万〜70万であり、18万〜50万であることが好ましい。15万未満では成形品の強度が不十分となり、70万を超えると成形性が著しく低下する。スチレン系樹脂の重量平均分子量は、重合工程の反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、連鎖移動剤の種類及び添加量、重合時に使用する溶媒の種類及び量等によって制御することができる。
重量平均分子量(Mw)及びZ平均分子量(Mz)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:昭和電工株式会社製Shodex GPC−101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製 PLgel 10μm MIXED−B
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
本発明の分子量は単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出したものである。
<<スチレン系樹脂組成物−親水性添加剤マスターバッチ>>
スチレン系樹脂組成物−親水性添加剤マスターバッチの製造方法としては、スチレン系樹脂と親水性添加剤を押出機などで溶融混練する方法、ニーダー、タンブラーやヘンシェルミキサーなどで混練する方法などが挙げられ、特に限定されることではない。
スチレン系樹脂組成物−親水性添加剤マスターバッチを希釈成形して得られた成形品、導光板は、同一種類、同一添加量の親水性添加剤を重合工程にて添加し、得られた樹脂組成物を成形した成形品と比較して成形品の着色が少なく、色相が良好となる。重合工程で添加した場合、親水性添加剤が有色の物質に変化してしまうためだと考えられる。
スチレン系樹脂組成物−親水性添加剤マスターバッチを希釈成形して得られた成形品、導光板は、同一種類、同一添加量の親水性添加剤を成形時にスチレン系樹脂にブレンドして得られる成形品と比較して、親水性添加剤の分散性が良好となり、白化抑制効果に優れる。成形品は射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などの目的に応じた各種成形方法で得ることができる。成形品の形状は目的に応じた形状とすることができ、限定されるものではない。
スチレン系樹脂組成物−親水性添加剤マスターバッチの親水性添加剤の含有量は2.1〜50.0質量%であることが好ましい。2.0質量%以下ではこれを希釈成形することで得られるスチレン系樹脂組成物の色相が悪くなり、50.0質量%以上ではその製造が困難である。
<<親水性添加剤>>
親水性添加剤とは、水と相互作用(水素結合)が可能な親水基をもった化合物である。親水基はポリエーテル鎖が好ましい。ポリエーテル鎖はエーテル結合の連なった骨格構造であり、例えば、エチレンオキサイド(以下EOと記載することがある)、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの付加反応によって合成されるポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖、ポリオキシブチレン鎖やグリセリンの脱水縮合などによって合成されるポリグリセロール鎖が挙げられるが、ポリオキシエチレン鎖であることが好ましい。ポリエーテル鎖は、1分子中に1組だけでなく、複数組有していても良い。
このような種々の親水性添加剤のうち、本発明においては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜150であるポリオキシエチレン型界面活性剤と、平均分子量200〜10000のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を添加する。白化現象の抑制効果を高めるには、このような特定の構成の親水性添加剤を用いることが必須であることが実験的に見出されたからである。
また、親水性添加剤のHLB値は、5〜20である。白化現象の抑制効果を高めるには、このような特定のHLB値を有する親水性添加剤を用いることが必須であることが実験的に見出されたからである。HLB値は、好ましくは8〜20であり、より好ましくは10〜20であり、より好ましくは10〜18である。HLB(Hydrophilic−lipophilic blance)値は、添加剤の親水性を表す値であり、HLB値が8〜10では水中に安定に分散し、10を超えると透明感のある分散状態から透明に完全溶解する状態となる。ポリエーテル鎖を有する非イオン性界面活性剤では、HLB値=(親水基部分の分子量)/(添加剤の分子量)×20で計算され、親水基を含まないパラフィンのようなものはHLB値=0で、親水基のみのポリエチレングリコールではHLB値=20となり、非イオン性界面活性剤ではHLB値は0〜20の間となる。
親水性添加剤を含むスチレン系樹脂組成物を希釈、成形して得られる成形品は、親水性添加剤の含有量が0.4〜2.0質量%となるように成形することが好ましい。スチレン系樹脂組成物の耐熱性を維持しつつ白化現象の抑制効果を高めるには、このような含有量になるように添加することが必須であることが実験的に見出されたからである。スチレン系樹脂組成物100質量%中の親水性添加剤の含有量は、好ましくは、0.7〜1.6質量%又は0.6〜1.4質量%であり、さらに好ましくは0.6〜0.9質量%である。
親水性添加剤の温度200℃、窒素雰囲気下における加熱減量は10質量%以下であることが好ましい。温度200℃、窒素雰囲気下における加熱減量は、熱重量分析(TGA)にて求めることができ、窒素雰囲気で室温状態から10℃/分の昇温速度で加熱し、温度200℃での重量減少量から求めることができる。温度200℃、窒素雰囲気下における加熱減量が10質量%を超える添加剤は揮発性が高く、スチレン系樹脂の成形加工時にガスが発生して金型やロール汚れの可能性がある。
<<ポリオキシエチレン型界面活性剤>>
ポリオキシエチレン型界面活性剤としては、ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン型陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン型陽イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン型両性界面活性剤などが挙げられ、ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤が好ましい。
ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤は、下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルや下記一般式(2)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルが挙げられるがポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又はポリオキシエチレン脂肪酸エステルの郡から選ばれる1種類以上であることが好ましい。また、一分子中に複数個のポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格を有する多価ポリオキシエチレンアルキルエーテルや一分子中に複数個のポリオキシエチレン脂肪酸エステル骨格を有する多価ポリオキシエチレン脂肪酸エステルを用いても本発明の目的を達成できる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレン脂肪酸エステルの価数とは、一分子中に存在するポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格やポリオキシエチレン脂肪酸エステル骨格の数をいう。
Figure 2015067650
Figure 2015067650
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格を複数個有する6価までの多価ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル骨格を複数個有する6価までの多価ポリオキシエチレン脂肪酸エステルであっても良い。nは整数でエチレンオキサイド単位の付加モル数を表す。)
ポリオキシエチレンアルキルエーテルはアルコールにエチレンオキサイドを付加させて作られ、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルは脂肪酸にエチレンオキサイドを付加させるか脂肪酸とポリエチレングリコールを直接エステル化させて作られ、エチレンオキサイドの平均付加モル数は3〜150である。白化現象の抑制効果を高めるには、平均付加モル数がこのような特定の範囲内であることが必須であることが実験的に見出されたからである。平均付加モル数は、好ましくは7〜100であり、さらに好ましくは10〜60であり、さらに好ましくは10〜50であり、さらに好ましくは13〜35である。
本発明のポリオキシエチレン型界面活性剤としては、具体的には例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドエシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンテトラオレイン酸、ポリオキシエチレントリイソステアリン酸、ポリオキシエチレンヤシ脂肪酸グリセリルなどが挙げられる。
<<ポリエチレングリコール>>
本発明に用いるポリエチレングリコールの平均分子量は200〜10000である。200〜4000であることが好ましく、200〜1800であることがより好ましく、300〜1000であることがより好ましい。ポリエチレングリコールの平均分子量が200未満では成形加工時にガスが発生し、金型やロールを汚すため好ましくない。また、10000を超えると白化現象を防止する効果が低下する傾向にある他、スチレン系樹脂との相溶性が低下し、スチレン系樹脂組成物やその成形品が白濁する場合がある。平均分子量は、ピリジン無水フタル酸法にて測定された水酸基の濃度(JIS K1557に準拠)から計算されるものである。
<<添加剤・酸化防止剤>>
本発明のスチレン系樹脂組成物には、本発明の無色透明性を損なわない範囲でミネラルオイルを含有しても良い。また、ステアリン酸、エチレンビスステアリン酸アミド等の内部潤滑剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていても良い。また、外部潤滑剤としては、エチレンビスステアリン酸アミドが好適であり、含有量としては樹脂組成物中に30〜200ppmであることが好ましい。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂の特徴である透過率や色相、透明性などの光学特性の悪化が小さいため、透明性を活かした分野、例えば光学用材料として光学用途に好適に用いることができる。光学用途としては、レンズ、導光板、フィルム、光ファイバー、光導波路等が挙げられる。
本発明のスチレン系樹脂組成物に、(c)6−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン(以下、「化合物X」と称する。)、(d)リン系酸化防止剤、(e)ヒンダードフェノール系酸化防止剤のうちの少なくとも1つを加えることで、長期の熱安定性を付与することができる。光学用途のように長期間使用される分野において、長期の熱安定性は重要な特性の一つである。長期の熱安定性は、長期間の使用における熱による色相および透過率の変化を表し、熱安定性に優れるものは色相および透過率の変化が小さい。長期の熱安定性は、加速試験として、樹脂が変形しない程度の高温度条件(60〜90℃)に成形品を保管し、色相および透過率の経時変化によって評価することができる。
化合物Xは、同一分子内にヒンダードフェノール系酸化防止剤の骨格とリン系酸化防止剤の骨格をもった加工安定剤である。
化合物Xは、スチレン系樹脂組成物100質量%中の含有量が0.02〜0.40質量%が好ましく、0.05〜0.20質量%であることがより好ましい。化合物Xの含有量が0.02質量%未満では長期の熱安定性に劣り、初期の色相および透過率にも劣る。また、0.40質量%を超えても長期の熱安定性が悪化する。長期の熱安定性は、長期間の使用における熱による色相および透過率の変化を表し、熱安定性に優れるものは色相および透過率の変化が小さい。長期の熱安定性は、加速試験として、樹脂が変形しない程度の高温度条件(60〜90℃)に成形品を保管し、色相および透過率の経時変化によって評価することができる。スチレン系樹脂組成物100質量%中の化合物Xの含有量は、具体的には例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
本発明のスチレン系樹脂組成物に化合物Xを加えることで長期の熱安定性を付与できる他、リン系酸化防止剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤を加えることでも長期の熱安定性を付与できる。
リン系酸化防止剤はスチレン系樹脂組成物100質量%中0.02〜0.50質量%含有することが好ましく、0.05〜0.40質量%含有することがより好ましく、0.05〜0.30質量%含有することがさらに好ましい。0.02質量%未満では長期の熱安定性に劣り、初期の色相および透過率にも劣る。0.50質量%を超えても長期の熱安定性が悪化する。スチレン系樹脂組成物100質量%中のリン系酸化防止剤の含有量は、具体的には例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤はスチレン系樹脂組成物100質量%中0.02〜0.50質量%含有することが好ましく、0.02〜0.30質量%含有することがより好ましく、0.05〜0.30質量%含有することがさらに好ましい。0.02質量%未満では長期の熱安定性に劣り、初期の色相および透過率にも劣る。0.50質量%を超えても長期の熱安定性が悪化する。スチレン系樹脂組成物100質量%中のヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、具体的には例えば、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50質量%であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
リン系酸化防止剤とは、三価のリン化合物である亜リン酸エステル類である。リン系酸化防止剤は、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ〔5.5〕ウンデカン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス−[2−メチル−4,6−ビス−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エチルフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、耐加水分解性に優れたものが好ましく、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ〔5.5〕ウンデカンであることが好ましい。特に好ましくは、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトである。リン系酸化防止剤は、単独でもよいが二種以上を併用してもよい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤とは、基本骨格にフェノール性水酸基を持つ酸化防止剤である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス〔(ドデシルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、DL−α−トコフェロール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert―ブチルフェニル)−ブタン酸]−グリコールエステル等が挙げられる。好ましくは、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、単独でもよいが二種以上を併用してもよい。
化合物X、リン系酸化防止剤及びヒンダードフェノール系酸化防止剤の添加方法としては、スチレン系樹脂の重合工程、脱揮工程、造粒工程で添加混合する方法や成形加工時の押出機や射出成形機などで添加混合する方法、これらの添加剤を高濃度に調整した樹脂組成物を無添加のスチレン系樹脂によって目的の含有量に希釈混合する方法などが挙げられ、特に限定されることではない。
紫外線吸収剤は、紫外線による劣化や着色を抑制する機能を有するものであって、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリシレート系、シアノアクリレート系、蓚酸アニリド系、マロン酸エステル系、ホルムアミジン系などの紫外線吸収剤が挙げられる。これらは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができ、ヒンダートアミン等の光安定剤を併用してもよい。
<<スチレン系樹脂組成物>>
本発明のスチレン系樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形などの目的に応じた各種成形方法で成形品を得ることができる。成形品の形状は目的に応じた形状とすることができ、限定されるものではない。例えば板状成形品であれば、導光板として用いることができる。導光板とする方法として、板状成形品の背面(光を出射する面の反対側)にドットパターンなどの反射パターンを設けることが知られている。樹脂板から導光板に加工する際、光の入射面あるいは樹脂板の端面全面を研磨処理して、鏡面とすることが好ましい。また、出射光の均一性を高めるために、板状成形品の表面(光が出射される面)にプリズムパターンを設けることができる。板状成形品の表面あるいは背面のパターンは、板状成形品の成形時に形成させることができ、例えば射出成形では金型形状、押出成形ではロール転写などによって、パターン形成させることができる。
本発明のスチレン系樹脂組成物のビカット軟化温度は95℃以上であることが好ましく、97℃以上であることがより好ましい。ビカット軟化温度が95℃未満では耐熱性が不足し、使用環境によっては成形品が変形する可能性がある。
本発明のスチレン系樹脂組成物の曇り度は、4mm厚みの成形品で、5%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<<試験1>>
(スチレン系樹脂R−1〜R−3の製造)
完全混合型撹拌槽である第1反応器と第2反応器及び静的混合器付プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成し、表1に示す条件によりスチレン系樹脂の製造を実施した。各反応器の容量は、第1反応器を39リットル、第2反応器を39リットル、第3反応器を16リットルとした。表1に記載の原料組成にて、原料溶液を作成し、第1反応器に原料溶液を表1に記載の流量にて連続的に供給した。重合開始剤は、第1反応器の入口で表1に記載の添加濃度(原料スチレン及びメタクリル酸の合計量に対する質量基準の濃度)となるように原料溶液に添加し、均一混合した。表1に記載の重合開始剤は次の通り
重合開始剤−1: 2,2−ジ(4,4−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(日油株式会社製パーテトラAを使用した。)
重合開始剤−2: 1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油株式会社製パーヘキサCを使用した。)
なお、第3反応器では、流れの方向に沿って温度勾配をつけ、中間部分、出口部分で表1の温度となるよう調整した。
続いて、第3反応器より連続的に取り出した重合体を含む溶液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、表1に記載の樹脂温度となるよう予熱器の温度を調整し、表1に記載の圧力に調整することで、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、多孔ダイよりストランド状に押し出しして、コールドカット方式にて、ストランドを冷却および切断しペレット化した。
Figure 2015067650
(実施例1−1〜1−6、1−8〜1−33、1−35〜1−45、比較例1−1〜1−13)
表2に示すスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチの添加量にて、スチレン系樹脂R−1〜R−3と添加剤を、二軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬してスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチのペレットを得た。得られたスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチと同一のスチレン系樹脂R−1〜R−3を表2のスチレン系樹脂組成物の添加量に記載の質量%となるよう混合し、単軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬してスチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
(実施例1−7、1−34)
表2に示すスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチの添加量にて、スチレン系樹脂R−1〜R−3と添加剤を、二軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬してスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチのペレットを得た。得られたスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチと同一のスチレン系樹脂R−1〜R−3を表2のスチレン系樹脂組成物の添加量に記載の質量%となるよう混合した。
(比較例1−14、1−15)
表2に示すスチレン系樹脂組成物の添加量にてスチレン系樹脂R−1と添加剤を単軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで直接溶融混してスチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
(比較例1−16〜1−19)
完全混合型撹拌槽である第1反応器と第2反応器及び静的混合器付プラグフロー型反応器である第3反応器を直列に接続して重合工程を構成し、表1に示す条件によりスチレン系樹脂の製造を実施した。各反応器の容量は、第1反応器を39リットル、第2反応器を39リットル、第3反応器を16リットルとした。表1に記載の原料組成にて、原料溶液を作成し、第1反応器に原料溶液を表1に記載の流量にて連続的に供給した。また、第3反応器の入口に、添加剤を、表2に示すスチレン系樹脂組成物の添加量になるよう添加した。続いて、第3反応器より連続的に取出した重合体を含む溶液を直列に2段より構成される予熱器付き真空脱揮槽に導入し、未反応スチレン及びエチルベンゼンを分離した後、ストランド状に押し出しして冷却した後、切断してスチレン系樹脂組成物のペレットを得た。
表2で用いた添加剤を次に示す。
S−1:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=25(花王株式会社製エマルゲン123P)
S−2:ポリオキシエチレンエチレンステアリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=12(花王株式会社製エマルゲン320P)
S−3:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=9(花王株式会社製エマルゲン109P)
S−4:ポリオキシエチレンエチレンセチルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=7(花王株式会社製エマルゲン210P)
S−5:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=30(花王株式会社製エマルゲン130K)
S−6:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=47(花王株式会社製エマルゲン150)
S−7:ポリオキシエチレンエチレンミリスチルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=85(花王株式会社製エマルゲン4085)
S−8:ポリエチレングリコールモノラウレート エチレンオキサイド平均付加モル数=12(花王株式会社製エマノーン1112)
S−9:ポリオキシエチレンエチレンステアリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=6(花王株式会社製エマルゲン306P)
S−10:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(花王株式会社製エマノーンCH−40)
S−11:平均分子量が400のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#400)
S−12:平均分子量が300のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#300)
S−13:平均分子量が600のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#600)
S−14:平均分子量が1000のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#1000)
S−15:平均分子量が2000のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#2000)
S−16:平均分子量が3100のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#4000)
S−17:平均分子量が8800のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#6000)
S−18:ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(日油株式会社製ユニオックスM−550)
S−19:ポリオキシエチレントリイソステアリン酸(日油株式会社製ユニオックスGT−20IS)
S−20:ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(花王株式会社製エマルゲン2025G)
S−21:ポリオキシエチレングリセリルエーテル(日油株式会社製ユニオックスG−750)
S−22:ポリオキシエチレンテトラオレイン酸(日油株式会社製ユニオックスST−30E)
S−23:ステアリルアルコール(花王株式会社製カルコール8098)
S−24:ステアリン酸モノグリセライド(花王株式会社製エキセルS−95)
S−25:平均分子量が60000のポリエチレングリコール(明成化学工業株式会社製アルコックスL−6)
S−26:平均分子量が500のポリグリセリン(阪本薬品工業株式会社製ポリグリセリン#500)
得られたスチレン系樹脂組成物を用いて、シリンダー温度230℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、127×127×3mm厚みの板状成形品を成形した。
<MFR>
スチレン系樹脂組成物のMFR(メルトマスフローレイト)は、200℃、49N荷重の条件で、JIS K 7210に基づき測定した。
<初期の色相評価>
得られた板状成形品から115×85×3mm厚みの試験片を切り出し、端面をバフ研磨によって研磨し、端面に鏡面を有する板状成形品を得た。得られた板状成形品について、日本分光株式会社製の紫外線可視分光光度計V−670を用いて、大きさ20×1.6mm、広がり角度0°の入射光において、光路長115mmでの波長350nm〜800nmの分光透過率を測定し、C光源における、視野2°でのYI値をJIS K7105に倣い算出した。得られた値が表2の「YI 115mm」である。また、表2に示す「透過率 115mm」とは、波長380nm〜780nmの平均透過率を表す。
さらに、表2の「ヘーズ 4mm」は、上記工程で得られたペレットを用いて、シリンダー温度220℃、金型温度40℃にて射出成形を行い、55×50×4mm厚みの板状成形品を成形して得られた試験片を使用し、NDH5000(日本電色工業株式会社製)を用い、JIS K−7105に準拠し測定を行って得られた値である。
<白化抑制効果>
さらに、環境変化による白化現象を確認するため、端面に鏡面を有する板状成形品を60℃、90%相対湿度の環境に150時間暴露し、23℃、50%相対湿度の環境に試験片を取出し、成形品内部に発生する白化現象を観察し、白化抑制効果として下記の通り判定を行った。
◎:全く白化が発生しない
○:取出し1時間後にやや白化するが、24時間後には消失する
△:取出し1時間後に白化するが、24時間後にはほとんど消失する
×:取出し1時間後に著しく白化し、24時間経っても消失しない
<ビカット軟化温度>
ビカット軟化温度については、JIS K―7206により、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nで求めた
表2に各樹脂組成物の特性及び評価結果を示す。
Figure 2015067650
実施例の成形品は、白化抑制効果に優れ、透過率とYI値の悪化もなく透明性と色相にも優れていた。親水性添加剤を添加していないか又は添加量が少ない比較例1−1、1−4、1−8では白化現象の抑制が不十分であった。実施例1−1〜1−6、1−28〜1−33記載のものは、スチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチの親水性添加剤の添加量が少ない比較例1−2、1−6と比較してYI 115mmの値が低く、色相に優れていた。スチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチの添加量が多い比較例1−3、1−7では二軸押出機にて調整する際、スチレン系樹脂と親水性添加剤が分離してしまい作成出来なかった。スチレン系樹脂組成物に親水性添加剤が過剰に添加された比較例1−5及び1−9では、耐熱性が過度に低下してしまった。また、比較例1−10及び1−11では、それぞれ、親水性添加剤であるステアリルアルコール、ステアリン酸モノグリセライドを添加して試験を行ったが、白化抑制効果が不十分であった。さらに、比較例1−12及び1−13では、分子量が大きいポリエチレングリコール、ポリグリセリンを添加して試験を行ったが、親水性添加剤がスチレン系樹脂と相溶せず、成形品が白濁した。親水性添加剤とスチレン系樹脂を直接溶融混練した比較例1−14、1−15より、スチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチを用いた実施例1−9、1−36の方が、白化抑制効果が高かった。親水性添加剤が均一に分散されたためだと考えられる。親水性添加剤を重合工程にて添加した比較例1−16、1−17より、スチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチを用いた実施例1−1〜1−7、実施例1−28〜1−34の方がYI 115mmの値が低く、色相に優れていた。同様に親水性添加剤を重合工程にて添加した比較例1−18より実施例1−26の方が、比較例1−19より実施例1−27の方がYI 115mmの値が低く、色相に優れていた。
以上の結果から、特定の構成を有する親水性添加剤を特定の範囲の量含むスチレン系樹脂組成物を得る際に、スチレン系樹脂と親水性添加剤を直接溶融混練するよりも親水性添加剤を高濃度含むスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチを希釈して得た場合にスチレン系樹脂組成物の白化現象の抑制効果が優れることが分かった。さらに、重合工程にて親水性添加剤を添加して得られたスチレン系樹脂組成物よりもスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチを用いて得られたスチレン系樹脂組成物の方が色相に優れることが分かった。
<<試験2>>
表3に示すスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチの添加量にて、スチレン系樹脂R−1〜R−3と添加剤S、化合物X、DおよびEを、二軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬してスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチのペレットを得た。得られたスチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチと同一のスチレン系樹脂R−1〜R−3を表2のスチレン系樹脂組成物の添加量に記載の質量%となるよう混合し、単軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬してスチレン系樹脂組成物のペレットを得た。表3で用いた添加剤S、化合物X、DおよびEを次に示す。
S−1:平均分子量が400のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#400)
S−2:平均分子量が1000のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#1000)
S−3:平均分子量が2000のポリエチレングリコール(日油株式会社製PEG#2000)
S−4:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=25(花王株式会社製エマルゲン123P)
S−5:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=12(花王株式会社製エマルゲン320P)
S−6:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=9(花王株式会社製エマルゲン109P)
S−7:ポリオキシエチレンエチレンラウリルエーテル エチレンオキサイド平均付加モル数=30(花王株式会社製エマルゲン130K)
S−8:ポリエチレングリコールモノラウレート エチレンオキサイド平均付加モル数=12(花王株式会社製エマノーン1112)
化合物X:6−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン(住友化学株式会社製 スミライザーGP)
D−1:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(BASFジャパン株式会社製 Irgafos 168)
D−2:2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス(株式会社ADEKA製 アデカスタブHP−10)
D−3:ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(Dover Chemical Corporation製 Doverphos S−9228)
D−4:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ〔5.5〕ウンデカン(株式会社ADEKA製 アデカスタブ PEP−36)
E−1:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASFジャパン株式会社製 Irganox 1076)
E−2:3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(株式会社ADEKA製 アデカスタブAO−80)
E−3:エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート〕(BASFジャパン株式会社製 Irganox 245)
また、メルトマスフローレート(MFR)は、JIS K 7210に準拠し、200℃、49N荷重の条件で、ビカット軟化温度は、JIS K 7206に準拠し、昇温速度50℃/hr、試験荷重50Nで測定した。
また、得られたペレットを用いて、シリンダー温度230℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、127×127×3mm厚みの板状成形品を成形した。長期の熱安定性を評価するため、得られた成形品を80℃のオーブン内で1000時間保管した。保管前の初期の成形品と保管後の成形品について光学特性を評価するため、板状成形品から115×85×3mm厚みの試験片を切り出し、端面をバフ研磨によって研磨し、端面に鏡面を有する板状成形品を作成した。研磨後の板状成形品について、日本分光株式会社製の紫外線可視分光光度計V−670を用いて、大きさ20×1.6mm、広がり角度0°の入射光において、光路長115mmでの波長350nm〜800nmの分光透過率を測定し、C光源における、視野2°でのYI値をJIS K7105に倣い算出した。表3に示す透過率とは、波長380nm〜780nmの平均透過率を表す。
次に、以下の式に基いてΔYI差を算出した。
ΔYI差=(追加添加剤ありの実施例での初期とのYI差)−(追加添加剤なしの実施例での初期とのYI差)
一例では、追加添加剤ありの実施例2−2では、初期とのYI差の値が1.1であり、追加添加剤なしの実施例2−1での初期とのYI差が5.1であるので、実施例2−2のΔYI差は−4.0となる。この値は、追加添加剤(化合物X、リン系D、ヒンダードフェノール系E)による長期の熱安定性向上効果を表しており、値が小さいほど、長期の熱安定性向上効果が大きいことを意味している。
さらに、環境変化による白化現象を確認するため、端面に鏡面を有する板状成形品を60℃、90%相対湿度の環境に150時間暴露し、23℃、50%相対湿度の環境に試験片を取出し、成形品内部に発生する白化現象を観察し、白化抑制効果として下記の通り判定を行った。
◎:全く白化が発生しない
○:取出し1時間後にやや白化するが、24時間後には消失する
△:取出し1時間後に白化するが、24時間後にはほとんど消失する
×:取出し1時間後に著しく白化し、24時間経っても消失しない
表3に各樹脂組成物の特性及び評価結果を示す。
Figure 2015067650
表3を参照すると、全ての実施例の白化抑制効果が優れていることが分かる。また、実施例2−1〜2−35と、実施例2−36〜2−42を比較すると、化合物Xの含有量が0.02〜0.40質量%の場合に、長期の熱安定性が特に優れることが分かる。また、実施例2−43〜2−46を参照すると、スチレン系樹脂組成物が、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体である場合にも同様の結果が得られることが分かった。
<<試験3>>
(実施例3−1〜3−36)
試験3では、化合物Xを添加しなかったこと以外は、試験2と同様の方法で評価を行った。
その結果を表4に示す。
Figure 2015067650
表4を参照すると、全ての実施例の白化抑制効果が優れていることが分かる。また、実施例3−1〜3−24と、実施例3−25〜3−32を比較すると、リン系Dの含有量が0.05〜0.40質量%であり、且つフェノール系Eの含有量が0.02〜0.30質量%である場合に、長期の熱安定性が特に優れることが分かる。また、実施例3−33〜3−36を参照すると、スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と、(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体である場合にも同様の結果が得られることが分かった。
本発明のスチレン系樹脂組成物は、環境変化による白化現象が防止され、透明性と色相に優れることから、従来では環境変化によって白化現象が発生していた用途でも、スチレン系樹脂の長所である透明性を維持することができ、好適に用いることができる。
更に、長期の熱安定性に優れるスチレン系樹脂組成物については、色相変化が小さいため、従来より長期間透明性と色相を保ったまま使用できる。
例えば、テレビ、デスクトップ型パーソナルコンピューター、ノート型パーソナルコンピューター、携帯電話機、カーナビゲーションなどの導光板用途等が挙げられる。

Claims (16)

  1. 重量平均分子量が15万〜70万のスチレン系樹脂と0.4〜2.0質量%の親水性添加剤を含有し、(1)〜(2)の条件を満たすスチレン系樹脂組成物。
    (1)スチレン系樹脂組成物は、重量平均分子量が15万〜70万のスチレン系樹脂と2.1〜50.0質量%の親水性添加剤を含有する、スチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチを、スチレン系樹脂にて希釈することにより得られうる。
    (2)親水性添加剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が3〜150であるポリオキシエチレン型界面活性剤と、平均分子量200〜10000のポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種であり、HLB値が5〜20である。
  2. 前記親水性添加剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜60であるポリオキシエチレン型界面活性剤である請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
  3. 前記親水性添加剤は、エチレンオキサイドの平均付加モル数が13〜35であるポリオキシエチレン型界面活性剤である請求項1又は2記載のスチレン系樹脂組成物。
  4. 前記親水性添加剤は、HLB値が10〜18である、請求項3記載のスチレン系樹脂組成物。
  5. 前記ポリオキシエチレン型界面活性剤がポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  6. ポリオキシエチレン型非イオン性界面活性剤が下記一般式(1)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル及び/又は下記一般式(2)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸エステルの郡から選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
    Figure 2015067650
    Figure 2015067650
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を示す。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル骨格を複数個有する6価までの多価ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル骨格を複数個有する6価までの多価ポリオキシエチレン脂肪酸エステルであっても良い。nは整数でエチレンオキサイド単位の付加モル数を表す。)
  7. 前記親水性添加剤は、平均分子量200〜10000のポリエチレングリコールである、請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
  8. 前記親水性添加剤は、平均分子量200〜1800のポリエチレングリコールである、請求項7記載のスチレン系樹脂組成物。
  9. 前記スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸とを共重合して得られるスチレン−(メタ)アクリル酸共重合樹脂であって、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位の含有量が90.0〜99.9質量%、(メタ)アクリル酸単位の含有量が0.1〜10.0質量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。ただし、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸単位の含有量の合計を100質量%とする。
  10. 前記スチレン系樹脂が、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステルとを共重合して得られるスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合樹脂であって、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位の含有量が40.0〜99.0質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が1.0〜60.0質量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。ただし、スチレン系樹脂のスチレン系単量体単位と(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量の合計を100質量%とする。
  11. 6−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  12. リン系酸化防止剤及び/又はヒンダードフェノール系酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物からなる成形品。
  14. 請求項13記載の成形品からなる導光板。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物を得る製造方法。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のスチレン系樹脂組成物を得るためのマスターバッチであって、重量平均分子量が15万〜70万のスチレン系樹脂と2.1〜50.0質量%の親水性添加剤を含有する、スチレン系樹脂−親水性添加剤マスターバッチ。
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