JP2006089394A - 細胞周期停止剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞周期停止作用を有して発癌を予防し、あるいは癌細胞の増殖を抑制する作用を呈し、医薬品、健康食品、飲食品、化粧品、皮膚外用剤等として利用される細胞周期停止剤を得る。
【解決手段】本発明細胞周期停止剤はアブラナ科植物に含まれる成分あるいは化学合成によって得られる成分ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート(ただし、アルキル基の炭素数が4〜8である)を有効成分として含有し、細胞周期停止作用を呈することを特徴とする。

Description

本発明は癌細胞等の細胞周期を停止させる作用を有し、医薬品、健康食品、飲食品、化粧品または皮膚外用剤として利用される細胞周期停止剤に関する。
一般に哺乳類の細胞は、細胞周期と呼ばれる組織化された一連の制御化事象を通過しながら細胞分裂を行う。細胞周期は5つの主要段階に分けられ、G0期、G1期、S期、G2期およびM期と呼ばれている。G0期中は、細胞休止状態である。G1期は、細胞増殖開始期であり、細胞は分裂するためのシグナルに応答して、DNA合成に必要なRNAおよびタンパク質を産生する。S期は核のDNAの複製がおこる時期である。S期終了時に、各細胞は元のDNA含量の2倍のDNAを含有するが、1枚の外部細胞膜により境界されている。G2期は細胞分裂直前期であり、タンパク質が、細胞分裂に備えて作り上げられる。有糸分裂(M)期中は、細胞が2つの娘細胞に分裂する。身体を構成しているほとんどの細胞はG0期にあるのに対し、発癌イニシエ−ションを受けた細胞や癌細胞は増殖因子によりその増殖を開始し、半永久的に分裂を続ける。
現在、日本人の死亡原因の第一位は癌であり、その治療薬剤の開発が行われている。そのターゲットのひとつに、無限に増殖を続ける癌細胞の細胞周期を停止させることで癌を治療する方法が提示されている。薬剤としては、合成ヌクレオチドや所定のアミノ酸配列を持つ組換えポリペプチドが提示されている。しかし、これらはいずれも治療薬剤であり、副作用の懸念があることや日常的に摂取するものではないことから、副作用がなく、より安全性の高い食品素材由来の発癌予防素材、抗癌素材が求められている。
また、近年環境問題が取り上げられ、地球温暖化とともにフロン等によるオゾン層の破壊に伴う紫外線の悪影響が懸念されている。紫外線を浴びることにより表皮細胞や真皮細胞層に様々なラジカル種が発生し、細胞や皮膚を構成するマトリクスが障害を受け、シワやタルミ、シミ、クスミが促進されるばかりではなく、時には発癌に至る。また、従来の成分は紫外線による障害の防止のみを狙ったものであり、発癌まで防止するものはなかった。
特表2003−517041 特表2003−518368
本発明の課題は、細胞周期停止作用を有して、発癌を予防し、あるいは癌細胞の増殖を抑制する作用を呈し、健康食品、飲食品、化粧品、皮膚外用剤、医薬品として利用される細胞周期停止剤を提供することにある。
上述の課題を解決するため、本発明によれば、アブラナ科植物、特に、本わさびに含まれるω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート(ただし、アルキル基の炭素数が4〜8)あるいは化学合成によって得られるω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート(ただし、アルキル基の炭素数が4〜8)を有効成分として含有し、細胞周期停止作用を呈することを特徴とする。
本発明の細胞周期停止剤はアブラナ科植物に含まれる成分を有効成分として含有し、癌細胞の細胞周期を停止させることにより発癌を抑制するとともに癌細胞の増殖を抑制する。
さらに、本発明の細胞周期停止剤は健康食品、飲食品、化粧品、皮膚外用剤、医薬品としての利用が可能である。
以下、本発明を具体的に詳述する。
本発明に用いられる有効成分はアブラナ科植物を粉砕、すりおろし、あるいは凍結すりおろし等の物理的手段により、あるいは、溶媒が水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、ヘキサン、ジエチルエーテル、酢酸エチル等の抽出手段により、さらには、熱風乾燥、真空乾燥、凍結真空乾燥等の乾燥手段により、あるいはさらに、これら物理的手段、溶媒抽出手段、および乾燥手段を組み合わせることにより得られる。
ここで用いられるアブラナ科植物としては、本わさび、西洋わさび、キャベツ、ブロッコリー、クレソン、芽キャベツ、カリフラワー、大根、からみ大根、ナタネ、からし菜等が挙げられ、特に本わさびが好ましい。なお、本発明において、これらアブラナ科植物は単独で、あるいは複数種を組み合わせて用いられる。
さらに、ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート(以下、「イソチオシアネート類」という。)はアルキル基の炭素数が4〜8を有し、細胞周期停止作用を呈する物質であり、具体的には4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート、5−メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート、7−メチルスルフィニルヘプチルイソチオシアネート、8−メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネートである。この中で特に6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートが好ましい。本発明ではこれら物質を単独で、または複数種を組み合わせて使用される。
さらに、上述のイソチオシアネート類は各種化学合成法によって合成される。ここで、イソチオシアネート類の化学合成法を説明すると、以下のとおりである。
原理的にはKiaer等の方法に従う。(Kiaer et,al.Acta Chem.Scand,11,1298,1957年)。出発物質としてω−クロロアルケノールを用い、CH−SNaと還流してω−メチルチオアルケノールを得、これにSOClを作用させてω−クロロアルケノールメチルサルファイドを得る。
次に、ガブリエル法を用いてアミノ基を導入し、N−(ω−メチルチオアルキル)−フタルイミドを生成し、これらにヒドラジン水化物を加えて還流し、ω−メチルチオアルキルアミンを得る。さらに、Li等の方法(Lietal.J.Org.Chem.,62,4539,1997年)に従い、ラウチムジスルフィドを経て得られたω−メチルチオアルキルイソチオシアネートをm−クロロ過安息香酸でメチルチオ基を酸化し、ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートを得る。
このようにして得られる本発明にかかる細胞周期停止剤は、発癌の予防および癌の増殖抑制作用を有する食品、健康食品、飲食品、化粧品、皮膚外用剤、医薬品として使用される。本発明の組成物の剤形・形態は任意であり、粉末状に加工された本発明にかかる細胞周期停止剤を果糖に加えて打錠されたタブレット、野菜飲料に所望の割合で混合して得られた飲料等の食品、健康食品および飲食品として使用される。その際、混合使用される副原料は食品素材であれば種類を問わない。
また、化粧品および皮膚外用剤としては、カプセル、粉末、顆粒、固形、液体、ゲル、乳液、クリーム、軟膏、シート、パック等の形態で利用できる。その利用分野は、外用製剤全般において利用でき、医薬品、医薬部外品や化粧料等、例えば、化粧水、美容液、乳液、クリーム、ローション等の基礎化粧品類、洗顔料や皮膚洗浄剤、マッサージ用剤、クレンジング用剤、香水、日焼け止めクリーム、シャンプー、リンス、ボディーソープ、固形石鹸、シェービングクリーム、ヘアートニック、育毛・養毛剤、整髪料、浴用剤、制汗剤、防臭剤として用いることができる。
本発明の細胞周期停止剤には、効果を損なわない範囲で、任意の成分や添加剤を配合でき、例えば、美白剤としてハイドロキノンおよびその誘導体、コウジ酸、アスコルビン酸誘導体等、さらにはシワやシミに有効とされているイソフラボン、コラーゲン、セラミド、ヒアルロン酸等の成分、また、各種油脂類として、シソ油、ホホバ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、サフラワー油、ナタネ油、ヤシ油、パーム油、スクワレン、スクワランが挙げられ、ロウ類としては、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、セラックロウ、ライスワックス等、鉱物油として、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン等、脂肪酸類として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサへキサン酸、エイコサペンタエン酸等の天然油脂やカプロン酸、イソペンタン酸等の合成油脂、アルコール類として、エタノール、イソピロパノール、コレステロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
さらに、エステル類や金属石鹸類、ガム質、糖類、水溶性高分子化合物、界面活性剤、ビタミン類、アミノ酸類、ペプチド類、低分子タンパク質類、色素類、香料類、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、安定剤、乳化剤、ホルモン類、各種薬剤、植物系・動物系原料由来の成分等、これらを任意に組み合わせ、または加工を行ったものを用いることができる。
以下に実施例をあげて詳細に説明する。
6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートの合成
メタノール80mlに15%メチルメルカプタンナトリウム溶液26gを加え、これに氷冷下、ブロモヘキサンニトリル10gをゆっくり滴下した。滴下後、氷冷下で2分攪拌し、さらに室温で3時間攪拌した。次いで、エバポレーターでメタノールを完全に留去し、得られた残渣に水40mlを加え、ジエチルエーテル40mlで3回抽出し、エーテル層を得た。これを5%塩酸、水、および飽和食塩水で順番に洗浄し、6−メチルチオヘキサンニトリルを得た。
次に、ジエチルエーテル160mlに攪拌しながらリチウムアルミニウムハイドライド4gを加え、アルゴン置換の後、6−メチルチオヘキサンニトリルのジエチルエーテル溶媒を加え、室温で2時間攪拌した。次いで氷冷下で4ml、15%水酸化ナトリウム水溶液4ml、および水10mlを順次に加えた後、ろ過し、ろ液をジエチルエーテル50mlで抽出した。得られたエーテル層を水、および飽和食塩水の順で洗浄し、ぼう硝で脱水後、エバポレーターで減圧濃縮し、6−メチルチオヘキシルアミン6.9gを得た。
次いで、さらに、二硫化炭素3.4gに水酸化ナトリウム水溶液1.8g/4mlを加え、10℃で6−メチルチオヘキサンニトリル6.4gをゆっくり加え、徐々に反応温度を上げ、80℃で2時間攪拌した。その後、40℃に冷却し、クロロギ酸エチル4.8g
をゆっくり加え、1時間攪拌した。これをジクロロメタンで抽出し、抽出液をぼう硝で脱水後、エバポレーターで減圧留去した。残渣を100℃で2時間攪拌の後、冷却した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネート6.4gを得た。
さらに、6−メチルチオヘキシルイソチオシアネート2.0gを酢酸エチル400mlに溶解し、氷冷下、m−クロロ過安息香酸2.5gをゆっくり加え、1時間攪拌した。これを5%炭酸水素ナトリウム溶液、水、および飽和食塩水で順次洗浄し、ぼう硝で脱水後、エバポレーターで濃縮乾固した。得られた乾固物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに供し、6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(以下、6−MSITCと略す)1.5gを得た。
マウス正常上皮細胞株JB6 Cl41細胞を2.5×10cells/mLとなるように5%牛胎児血清(以下、「血清」と略記:シグマ・アルドリッチ社)を含むRPMI1640培地(シグマ・アルドリッチ社)に懸濁した。この細胞懸濁液を96ウェルマルチプレート(グライナー社)に100μLずつ播きこみ、細胞がプレート上に接着し、安定するまで、12時間静置した。細胞が接着しているのを確認した後、培養液を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でウェル内の細胞を洗浄した。0.1%血清を含むRPMI1640培地を100μLずつ入れ、36時間培養し、細胞周期をG0期に同調するため血清飢餓状態にした。なお、血清飢餓により91%の細胞がG0/G1期に同調された。培養液を除去し、6−MSITCを含む0.1%血清を含むRPMI1640培地を100μLずつ入れ、30分間培養した。血清を5μLずつ加え(細胞周期の進行開始シグナル)、48時間培養した。CellTiter 96・AQueous One Solution Cell Proliferation Assayキット(プロメガ社)を用いて細胞増殖試験を行った。測定はマイクロプレートリーダー(MTP−120コロナ電気(株))を用いて行った。
結果を図1に示す。図1は48時間後のJB6細胞の細胞増殖におよぼす6−MSITCの影響をグラフで表す。図1から、培養48時間後、血清を添加せず細胞周期の進行を刺激しなかった細胞に比べ、血清を添加した細胞では2倍に細胞が増殖しているのに対し、6−MSITCを添加した細胞では細胞増殖が抑えられていることがわかる。
マウス正常上皮細胞株JB6 Cl41細胞を2.5×10cells/mLとなるように5%血清を含むRPMI1640培地に懸濁した。この細胞懸濁液を60mmディッシュ(グライナー社)に4mL播きこみ、細胞がプレート上に接着し、安定するまで12時間静置した。細胞が接着しているのを確認した後、培養液を除去した。PBSでディッシュ内の細胞を洗浄した。0.1%血清を含むRPMI1640培地を4mL入れ、36時間培養し、細胞周期をG0期に同調するため血清飢餓状態にした。培養液を除去した後、6−MSITCを含む0.1%血清を含むRPMI1640培地を4mL入れ、30分間培養した。血清を200μL加え(細胞周期の進行開始シグナル)、12、14、16または18時間培養した。なお、血清を加えた時間を0時間とした。トリプシン処理し、細胞を回収し、PBSで細胞を洗浄した後、70%エタノールで−20℃にて一晩細胞を固定した。エタノールを除去し、PBSで細胞を洗浄した。200μg/mLプロピディウム イオダイドおよび20μg/mLリポヌクレア−ゼAを含むPBS350μLに懸濁し、暗所室温で30分放置した後、フローサイトメトリーにより細胞周期を測定・解析を行った。データ収集は全自動細胞解析装置;EPICS XL ADC(ベックマン・コールター社)を用いた。細胞周期解析ソフトは、Multicycle フェニックス・フロー・システムズ社)を用いて解析した。
結果を図2に示す。図2はJB6細胞の細胞増殖におよぼす6−MSITCの影響を表す。
6−MSITCで処理していない細胞では、血清添加により12時間後に細胞周期S期への移行が見られた。14時間後には68%、16時間後では96%の細胞がS期にあった。一方、0.5μg/mLの6−MSITCであらかじめ処理した細胞では16時間後でS期移行が見られたのは21%だけであり、1.0μg/mLで処理したものでは全く細胞周期の進行が見られなかった。このことから6−MSITCは細胞周期開始抑制作用(細胞周期停止作用)をもつことが示された。
JB6 Cl41細胞は皮膚の細胞であり、紫外線照射による発がんのモデル、特に発癌プロモーションの研究に用いられる。6−MSITCがG0期に同調したJB6 Cl41細胞の細胞周期開始を抑制したことから、紫外線による発癌に対する予防効果があることが明らかとなった。
6−MSITCの細胞毒性および、細胞周期停止作用に関し、以下の方法で形態学的な見地から評価を行った。マウス正常上皮細胞株JB6 Cl41細胞を2.5×10cells/mLとなるように5%血清を含むRPMI1640培地に懸濁した。この細胞懸濁液を60mmディッシュ(グライナー社)に4mL播きこみ、細胞がプレート上に接着し、安定するまで12時間静置した。細胞が接着しているのを確認した後、培養液を除去した。PBSでディッシュ内の細胞を洗浄した。0.1%血清を含むRPMI1640培地を4mL入れ、36時間培養し、細胞周期をG0期に同調するため血清飢餓状態にした。培養液を除去した後、6−MSITCを含む0.1%血清を含むRPMI1640培地を4mL入れ、30分間培養した。血清を200μL加え(細胞周期の進行開始シグナル)、16時間培養した。なお、血清を加えた時間を0時間とした。培養液を除去し、ディッシュ内の細胞をPBSで洗浄した後、70%エタノールで−20℃で一晩細胞を固定した。エタノールを除去し、PBSで細胞を洗浄した。200μg/mLプロピディウム イオダイドを含むPBS1mLを加え、暗所室温で30分放置し、位相差顕微鏡ECLIPSE TS100((株)ニコン製)により細胞の形態を、蛍光顕微鏡により細胞核の形態変化を調べた。
結果を図3に示した。図3はJB6細胞の細胞増殖におよぼす6−MSITCの影響を顕微鏡で観察した写真を表す。上段は位相差顕微鏡での観察結果であり、下段は蛍光顕微鏡での観察結果である。これらの写真から、6−MSITCで処理していない細胞の中には、分裂期(M期)に進んでいる細胞が観察されるのに対し、0.5μg/mLおよび1.0μg/mLの6−MSITCであらかじめ処理した細胞では分裂はほとんど見られず、細胞周期停止作用があることが確認できた。
また、細胞周期の進行が抑制されている16時間において、細胞の縮小、核の凝集、それに続く核の断片化やアポトーシス小体の形成が観察されなかったことから、既に報告されているアポトーシス(プログラムされた細胞死)は誘導されていないことがわかる。
6−MSITCの細胞周期停止作用が細胞毒性によるものかを以下の方法で、酵素活性の観点から評価した。マウス正常上皮細胞株株JB6 Cl41細胞を2.5×10cells/mLとなるように5%牛胎児血清(以下、「血清」と略記:シグマ・アルドリッチ社)を含むRPMI1640培地(シグマ・アルドリッチ社)に懸濁した。この細胞懸濁液を96ウェルマルチプレート(グライナー社)に100μLずつ播きこみ、細胞がプレート上に接着し、安定するまで、12時間静置した。細胞が接着しているのを確認した後、培養液を除去し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)でウェル内の細胞を洗浄した。0.1%血清を含むRPMI1640培地を100μLずつ入れ、36時間培養し、細胞周期をG0期に同調するため血清飢餓状態にした。培養液を除去し、各種濃度の6−MSITCを添加した。0.1%血清を含むRPMI1640培地を100μL入れ、16時間培養した後、CellTiter 96 ・ AQueous One Solution Cell Proliferation Assayキット(プロメガ社)を用いてミトコンドリア内のデヒドロゲナーゼ活性を測定した。なお、培養16時間は、実施例4で0.5μg/mLの濃度の6−MSITCが細胞周期の進行を明らかに阻害している状態にあった時間である。
結果を図4に示した。図4は6−MSITCの細胞毒性をグラフで示す。
この実験は、実施例4が形態学的な評価を行ったのに対して、細胞死を酵素活性により評価したものである。すなわち、細胞毒性により死細胞が生じると、ミトコンドリア内のデヒドロゲナーゼ活性が減少するため、細胞の減少(細胞毒性)を酵素活性の観点から調べることができる。
実施例2および3で細胞周期停止作用が確認された0.5μg/mLの6−MSITC濃度では、非処理のものと細胞生存率に有意な差がなかったことより、6−MSITCの細胞周期停止作用は細胞毒性によるものではないことが確認された。
本わさび根茎部10kgをすりおろして37℃3時間酵素反応を起こさせ、減圧して辛味を除去した。次いで、これに4倍量の50%エタノールを加えて3時間常温にて攪拌し、抽出液を濾過後減圧濃縮した。得られた濃縮液を凍結真空乾燥することにより、6−メチルスルフィニルヘキシルシアネートの含有率が0.7%のわさびパウダー252gを得た。
実施例6で作製したわさびパウダー3部に対して果糖2部を加えて打錠して1.0g、直径7mmのダブレットを得た。
実施例6で作製したわさびパウダー1部に対し、大麦若葉の乾燥粉末を10部加え、青汁のもとを作製した。この粉末3gに対し、150mlの水を加えることで、6−MSITCを含有した青汁を作製した。
以下の配合で、6−MSITCを含有する美容液を作製した。
美容液
1.精製水 52.15%(重量%)
2.グリセリン 10.0%
3.ショ糖脂肪酸エステル 1.3%
4.カルボキシビニルポリマー 17.5%
5.アルギン酸ナトリウム 15.0%
6.モノラウリン酸ポリグリセリル 1.0%
7.コラーゲン 1.0%
8.わさびパウダー(実施例6) 0.05%
9.スクワラン 1.0%
10.ミツロウ 1.0%
製法:1〜8の水相成分を混合し、75℃にて加熱溶解した。9、10の油相成分を75℃にて加熱溶解させ、両者を混合して予備乳化を行った。その後、ホモミキーにて均一に乳化させ、冷却して美容液とした。
以下の配合で、6−MSITCを含有するクリームを作製した。
クリーム
1.スクワラン 10.0%(重量%)
2.ステアリン酸 2.0%
3.水素添加パーム油 0.5%
4.親油性モノステアリン酸グリセリン 2.0%
5.グリセリン 12.0%
6.パラオオキシ安息香酸メチル 0.1%
7.ヒアルロン酸 2.0%
8.アルギニン 13.0%
9.精製水 43.34%
10.カルボキシビニルポリマー 15.0%
11.わさびパウダー(実施例6) 0.01%
12.わさび葉水抽出物 0.05%
製法:1〜4の油相成分を混合し、80℃にて加熱溶解した。5〜12の水油相成分を75℃にて加熱溶解させ、両者を混合して予備乳化を行った。その後、ホモミキーにて均一に乳化させ、冷却してクリームとした。
本発明の細胞周期停止剤は、細胞周期停止作用を有して発癌あるいは癌細胞の増殖抑制作用を発揮できさらに、食品、皮膚外用剤、化粧料としての利用性も高い。
48時間後のJB6細胞の細胞増殖におよぼす6−MSITCの影響を示したグラフである。 JB6細胞の細胞増殖におよぼす6−MSITCの影響を示したグラフである。 JB6細胞の細胞増殖におよぼす6−MSITCの影響を顕微鏡で観察した写真である。 6−MSITCの細胞毒性を表したグラフである。

Claims (9)

  1. アブラナ科植物に含まれる成分ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネート(ただし、アルキル基の炭素数が4〜8である)を有効成分として含有し、細胞周期停止作用を呈することを特徴とする細胞周期停止剤。
  2. 請求項1において、細胞周期を停止させることによって発癌を抑制し、あるいは癌細胞の増殖を抑制する請求項1に記載の細胞周期停止剤。
  3. 請求項1において、ω−メチルスルフィニルアルキルイソチオシアネートが6−メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネートである請求項1に記載の細胞周期停止剤。
  4. 請求項1において、アブラナ科植物が本わさびである請求項1に記載の細胞周期停止剤。
  5. 請求項1において、アブラナ科植物が西洋わさび、キャベツ、ブロッコリー、クレソン、芽キャベツ、カリフラワー、大根、からみ大根、ナタネの群から選択される1種または複数種である請求項1に記載の細胞周期停止剤。
  6. 請求項1において、アブラナ科植物に含まれる成分がアブラナ科植物の粉砕またはすりおろしの物理的手段、溶媒による抽出手段、乾燥手段またはこれらの組み合わせによって得られる請求項1に記載の細胞周期停止剤。
  7. 請求項1において、アブラナ科植物に含まれる成分が化学合成によって得られる請求項1に記載の細胞周期停止剤。
  8. 請求項1の細胞周期停止剤を含有する皮膚外用剤または化粧品。
  9. 請求項1の細胞周期停止剤を含有する食品または健康食品。
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