JP2007176878A - NF−κB活性化抑制剤、及びこれを含有する外用剤組成物I - Google Patents

NF−κB活性化抑制剤、及びこれを含有する外用剤組成物I Download PDF

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Abstract

【課題】新規なNF−κB活性化抑制剤、及び炎症の緩和、光老化に伴う皮膚症状の予防・改善に有用な組成物の提供。
【解決手段】NF−κB活性化抑制効果を有するマメ科シャジクソウ属植物のレッドクローバー、キンポウゲ科ヒエンソウ属植物のヒエンソウ、イラクサ科イラクサ属植物のセイヨウイラクサ、トルネラ科トルネラ属植物のダミアナ、モクセイ科ハシドイ属植物のライラックからなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物は、炎症を伴う様々な疾患、機能低下の予防・改善効果の他、皮膚の光加齢に伴う様々な症状、例えば色素沈着,しわ,たるみ等の予防・改善効果が期待できるため、その抽出物を配合することにより、外用剤組成物をはじめ、医薬品組成物、医薬部外品組成物等のあらゆる形態の製剤の提供を可能とした。
【選択図】なし

Description

本発明は、炎症をはじめとする様々な疾病症状の緩和、及び皮膚の光老化に伴う症状の予防・改善に有用な天然物由来のNF−κB活性化抑制剤、及びこれを含有する外用剤組成物に関する。
転写因子NF−κBは、免疫グロブリンκ鎖遺伝子のエンハンサ−に結合して転写を活性化するB細胞特異的核内因子として発見された。NF−κBに関しては、成熟B細胞の分化や増殖に関係するほか、炎症性サイトカインであるIL−1、腫瘍壊死因子TNF−α、IL−6、IL−8の産生やリンパ球の細胞接着分子であるE−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1の発現等で重要な役割を果たしていることが明らかになっている。
NF−κBはp50とp65の2種のサブユニットからなる。NF−κBはすべての哺乳類の細胞において同定されており、細胞質にI−κB(inhibitor kappa B)との複合体として存在している。細胞がNF−κBを活性化する刺激を受けると、その刺激が細胞内に伝わり、複数の蛋白リン酸化を引き起こし、最終的にその連鎖反応の情報により阻害サブユニットであるI−κBがリン酸化する。その後、これらのサブユニットはプロテアソ−ムにより分解され、活性型NF−κB2量体が生成する。この2量体は、核に移行してDNA配列に結合し、上記で述べた炎症性サイトカインや、細胞接着分子に関する遺伝子の転写を活性化する。
NF−κB阻害物質としては、特開平11−279057、特開2000−169479、特開2000−194245、特開2000−194246などが知られているが、いづれも活性面等に問題があり、満足できるものではない。
特開平11−279057号公報 特開2000−169479号公報 特開2000−194245号公報 特開2000−194246号公報
従って、本発明の目的は、新規で有用なNF−κB活性化抑制剤及び、NF−κB活性化により生じる炎症が原因となる様々な疾病症状の緩和、および皮膚の光老化に伴う症状の予防・改善に有用な組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、マメ科シャジクソウ属植物のレッドクロ−バ−(Trifolium pratense l.)、キンポウゲ科ヒエンソウ属植物のヒエンソウ(Delphinium consolida l.)、イラクサ科イラクサ属植物のセイヨウイラクサ(Urtica dioica l.)、トルネラ科トルネラ属植物のダミアナ〔Turnera diffusa WILLD. var. aphrodisiaca (WARD.)URB.〕、モクセイ科ハシドイ属植物のライラック(Syringa vulgaris)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物が優れたNF−κB活性化抑制作用を有することを見いだし本発明を完成するに至った。
さらに、本発明は前記NF−κB活性化抑制剤を含有することにより、この作用に基づく優れた効果を有する外用剤組成物を提供するものである。
本発明の有効成分であるレッドクロ−バ−、ヒエンソウ、セイヨウイラクサ、ダミアナ、ライラックから選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物は優れたNF−κB活性化抑制作用をもつことが確認された。更に、本発明品であるNF−κB活性化抑制剤は外用剤組成物をはじめ、医薬品組成物,医薬部外品組成物等のあらゆる形態の製剤に応用が可能であり、炎症を伴う様々な疾患,機能低下の予防・改善効果の他、皮膚の光加齢に伴う様々な症状、例えば色素沈着,しわ,たるみ等の予防・改善効果が期待できる。
本発明のレッドクロ−バ−(Trifolium pratense l.)は、マメ科シャジクソウ属に属する植物で、別名ムラサキツメクサとも呼ばれており、その花より抽出された抽出物が特に好ましい。本発明のヒエンソウ(Delphinium consolida l.)は、キンポウゲ科ヒエンソウ属に属する植物で、別名ルリヒエンソウ又はラ−クスパ−とも呼ばれており、その花より抽出された抽出物が特に好ましい。本発明のセイヨウイラクサ(Urtica dioica l.)は、イラクサ科イラクサ属に属する植物であり、その全草より抽出された抽出物が特に好ましい。ある。本発明のダミアナ〔Turnera diffusa WILLD. var. aphrodisiaca (WARD.)URB.〕は、トルネラ科トルネラ属に属する植物であり、その葉より抽出された抽出物が特に好ましい。本発明のライラック(Syringa vulgaris)は、モクセイ科ハシドイ属に属する植物であり、その葉より抽出された抽出物が特に好ましい。
本発明で使用する植物抽出物における各々の植物体の各種部位は前述した部位が好ましいが、それ以外の部位である花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子又は全草等から選ばれる1種又は2種以上を用いることが出来る。また、ハ−ブとして入手可能なものはそれを利用しても良い。抽出物は、これら各種の抽出部位から溶媒を用いて直接抽出することで得られるものの他、圧搾処理を施した後に得られる圧搾液及び/又は残渣に溶媒を加えて抽出するものでも良い。
本発明で使用する植物抽出物を得るための抽出溶媒としては、供する製品の使用目的、種類、或は後に行う加工処理等を考慮した上で選択すれば良いが、例えば、水;メチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル等の低級1価アルコ−ル;グリセリン、プロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル等の液状多価アルコ−ル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸エチルなどのアルキルエステル;ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素;ジエチルエ−テル等のエ−テル類;ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化アルカン等の1種または2種以上を用いて抽出し、精製して使用することが出来る。
抽出する植物は、使用部位を採取し、乾燥後粉砕したものを、重量比で1〜1000倍量、特に10〜100倍量の溶媒を用い、常温抽出の場合には、0℃以上、特に20℃〜40℃で1時間以上、特に3〜7日間行うのが好ましい。また、60〜100℃で1時間、加熱抽出しても良い。
以上のような条件で得られる上記各抽出物は、抽出された溶液のまま用いても良いが、さらに必要により精製、濾過等の処理をして、濃縮、粉末化したものを適宜使い分けて用いることが出来る。
本発明で使用する植物抽出物の形態としては、液状、固形状、粉末状、ペ−スト状、ゲル状等いずれの形状でも良く、最終的な製品を構成する上で最適な形状を任意に選択することができる。
本発明のNF−κB活性化抑制剤の剤型は任意であり、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸剤、錠剤状、固形状、液状、ゲル状、気泡状、乳液状、クリ−ム状、軟膏状、シ−ト状、エアゾ−ル状等の形態をとることができる。さらに、医薬品類、医薬部外品類、化粧品類又は飲食品に配合して用いることができる。特に、外皮に適用される医薬品,医薬部外品,化粧品組成物といった外用剤組成物に適用される。
本発明の具体的な使用形態としては、水性成分、油性成分、植物抽出物、動物抽出物、粉末、賦形剤、界面活性剤、油剤、アルコ−ル、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、甘味剤、色素、香料等を必要に応じて混合して適宜配合することにより外用剤組成物の化粧水、乳液、クリ−ム、パック、パウダ−、スプレ−、軟膏、分散液、洗浄料、および液体状、ペ−スト状、カプセル状、粉末状、錠剤等種々の剤型とすることができる。この他、経口剤,注射剤等の医薬品、内服用医薬部外品、タブレット等の口腔剤等が例示できる。
本発明のNF−κB活性化抑制剤、外用剤組成物への植物抽出物の含有量は、期待される作用の程度によって若干異なり特に限定しないが、通常、製剤全量中、固形分換算して、0.0001質量%以上、好ましくは0.01〜20.0質量%の濃度範囲とすることが有効である。
以下、本発明による各種抽出物のNF−κB活性抑制効果にかかわる試験実施例を示すと共にその素材を用いた外用剤への応用処方例等について述べるが、ここに記載された実施例に限定されないのは言うまでもない。
(1) 植物抽出液の調製
レッドクロ−バ−の花、ヒエンソウの花、セイヨウイラクサの全草、ダミアナの葉、ライラックの葉を乾燥後粉砕したものに50%エタノ−ル水溶液を加え、37℃にて一週間侵漬抽出した。抽出液をろ過し、40℃で減圧乾燥した残留物を乾燥後、乾燥物が1%になるように50%エタノ−ル水溶液に溶解したものを試料溶液とした。
(2) 細胞の調製
ケラチノサイト細胞株であるHacat細胞を、5%FBSを添加したD−MEM培地20mlを添加した150cm2シャ−レにてコンフル−エントになるまで培養する。培地に植物抽出液のサンプルを添加し、2時間、37℃にてインキュベ−トする。その後、培地を捨てPBS(−)溶液で細胞を洗浄する。洗浄後、東芝FL20S・E−30/DMR ランプで20mJ/cm2のUV−Bを照射した(UV−B 0.502 mW、UV−A 0.11mW)。照射後20mlの培地を添加し、4時間、37℃でインキュベ−トした後、細胞を0.25%トリプシン溶液で処理して、細胞を1.5ml遠心チュ−ブに回収する。
(3)測定用試料の調製と測定
NF−κBの測定はIMGENEX社のNF−κB/p65 Active ELISA kit を用いて行なった。
採集した細胞からキット中の試薬にて細胞核抽出液を調製し、測定用試料とした。なお、細胞核抽出液中のタンパク量は、BCA法により測定し、測定に供するタンパク量を500μgに統一して測定した。
測定結果は、表1に示した。紫外線照射により、細胞核中の活性化NF−κBは増加する。表中の数値は、照射時のNF−κBの量を100%、非照射時の量を0%とした場合の
百分率で示した。表中の数値が小さいほうがNF−κBの活性化を抑制していることを示している。表1より、レッドクロ−バ−が8%、ヒエンソウが38%、セイヨウイラクサが31%、ダミアナが69%、ライラックが62%とそれぞれ強い効果を示した。
Figure 2007176878
(4)塗布によるヒトでの効果確認試験
被験者として、各試料毎に20〜50歳のアトピ−皮膚炎を有する女性15名に1日2回(朝、夜)連続2ヵ月間、本発明品と比較品のそれぞれを顔面に別々に使用させ、塗布部位の状態を試験前後で比較し、改善効果を調べた。本試験には、段落0031で示した乳液状組成物を用い、比較品には段落0031に示した化粧料からレッドクロ−バ−抽出液、セイヨウイラクサ抽出液を除いた乳液状組成物を作成し、その塗布による効果について調べた。本発明の有効成分を配合した乳液状組成物を毎日塗布しながら肌の炎症状態を塗布開始前及び2ヶ月とふごに置けるアンケ−トで集計し、効果の確認を行った。結果は表2に示す。表2からも明らかなように、本試験品では評点合計が52点となり、比較品の14点と比較して高い効果が認められた。また、評価基準を表3に示す。
Figure 2007176878
Figure 2007176878
(各種組成物の製造)
本発明による各種組成物を製造した。以下にその処方例を示すが、本発明はこれらに限定されるわけではない。
化粧料の処方例を以下に示す。
(1)クリ−ム組成物
(重量%)
a)ミツロウ
2.0
b)ステアリルアルコ−ル
5.0
c)ステアリン酸
8.0
d)スクワラン
10.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレ−ト
3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエ−テル(20E.O.)
1.0
g)ヒエンソウ抽出液
0.0001
h)1,3−ブチレングリコ−ル
5.0
i)水酸化カリウム
0.3
j)防腐剤・酸化防止剤
適量
k)精製水
残部
製法 a)〜f)までを加熱溶解し、80℃に保つ。g)〜k)までを加熱溶解し、
80℃に保ち、a)〜f)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。
(2)クリ−ム組成剤
(重量%)
a)ミツロウ
2.0
b)ステアリルアルコ−ル
5.0
c)ステアリン酸
8.0
d)スクワラン
10.0
e)自己乳化型グリセリルモノステアレ−ト
3.0
f)ポリオキシエチレンセチルエ−テル(20E.O.)
1.0
g)レッドクロ−バ−抽出液
3.0
h)ライラック抽出液 2.0
i)1,3−ブチレングリコ−ル
5.0
j)水酸化カリウム
0.3
k)防腐剤・酸化防止剤
適量
l)精製水
残部
製法 a)〜f)までを加熱溶解し、80℃に保つ。g)〜l)までを加熱溶解し、
80℃に保ち、a)〜f)に加えて乳化し、40℃まで撹拌しながら冷却する。
(3)乳液状組成物
(重量%)
a)ミツロウ
0.5
b)ワセリン
2.0
c)スクワラン
8.0
d)ソルビタンセスキオレエ−ト
0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエ−テル(20E.O.) 1.2
f)レッドクロ−バ−抽出液
0.01
g)セイヨウイラクサ抽出液

2.0
h)1,3−ブチレングリコ−ル
7.0
i)カルボキシビニルポリマ−
0.2
j)水酸化カリウム
0.1
k)精製水
残部
l)防腐剤・酸化防止剤
適量
m)エタノ−ル
7.0
製法 a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜l)までを加熱溶解し、
80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。
50℃でm)を添加し、40℃まで冷却する。
(4)乳液状組成物
(重量%)
a)ミツロウ
0.5
b)ワセリン
2.0
c)スクワラン
8.0
d)ソルビタンセスキオレエ−ト
0.8
e)ポリオキシエチレンオレイルエ−テル(20E.O.) 1.2
f)ダミアナ抽出液
0.1
g)1,3−ブチレングリコ−ル
7.0
h)カルボキシビニルポリマ−
0.2
i)水酸化カリウム
0.1
j)精製水
残部
k)防腐剤・酸化防止剤
適量
l)エタノ−ル
7.0
製法 a)〜e)までを加熱溶解し、80℃に保つ。f)〜k)までを加熱溶解し、
80℃に保ち、a)〜e)に加えて乳化し、50℃まで撹拌しながら冷却する。
50℃でl)を添加し、40℃まで冷却する。
(5)化粧水様組成物
(重量%)
a)セイヨウイラクサ抽出液
10.0
b)ダミアナ抽出液
0.005
c)グリセリン
5.0
d)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ−ト(20E.O.)
1.0
e)エタノ−ル
6.0
f)香料
適量
g)防腐剤・酸化防止剤 適量
h)精製水
残部
製法 a)〜h)までを混合し、均一に溶解する。
(6)育毛剤
(重量%)
a)ヒエンソウ抽出物 20.0
b)グリセリン
5.0
c)ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレ−ト(20E.O.)
1.0
d)エタノ−ル
6.0
e)香料
適量
f)防腐剤・酸化防止剤
適量
g)精製水

残部
製法 a)〜g)までを混合し、均一に溶解する。
(7)パック剤
(重量%)
a)ライラック抽出液 ^
5.0
b)セイヨウイラクサ抽出液
0.05
c)酢酸ビニル樹脂エマルジョン
15.0
d)ポリビニルアルコ−ル
10.0
e)オリ−ブ油
3.0
f)グリセリン
5.0
g)酸化チタン
8.0
h)カオリン
7.0
i)エタノ−ル
8.0
j)香料
適量
k)防腐剤・酸化防止剤
適量
l)精製水
残部
製法 a)〜l)までを混合し、よく撹拌、分散させ均一にする。
本発明のNF−κB活性化抑制剤は、炎症を伴う様々な疾患,機能低下の予防・改善効果の他、皮膚の光加齢に伴う様々な症状、例えば色素沈着,しわ,たるみ等の予防・改善効果が期待できるため、外用剤組成物をはじめ、医薬品組成物,医薬部外品組成物等のあらゆる形態の製剤に応用が期待できる。

Claims (2)

  1. シャジクソウ属植物のレッドクローバー(Trifolium pratense L.)、ヒエンソウ属植物のヒエンソウ(Delphinium consolida l.)、イラクサ属植物のセイヨウイラクサ(Urtica dioica l.)、トルネラ属植物のダミアナ〔Turnera diffusa WILLD. var. aphrodisiaca (WARD.)URB.〕、ハシドイ属植物のライラック(Syringa vulgaris)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の植物抽出物を含有することを特徴とするNF−κB活性化抑制剤。
  2. 請求項1記載のNF−κB活性化抑制剤を含有することを特徴とする外用剤組成物。
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