JP2006089345A - 導電性多孔質セラミックス焼結体およびその製造方法 - Google Patents

導電性多孔質セラミックス焼結体およびその製造方法 Download PDF

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政雄 朝井
Saburo Nagano
三郎 永野
Koichi Nishimura
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Abstract

【課題】導電性多孔質セラミックスの製造方法として溶射による製造方法があるが、抵抗値の安定性、結合強度、気孔率の安定性、耐薬品性などの面で課題があった。
【解決手段】酸化チタンを主成分としNb、Taから選ばれる元素を少なくとも一種類以上含有し、その結晶格子定数が、4.5935Å<a<4.6006Å、または2.9590Å<c<2.9608Åであり、且つ体積抵抗率が10〜10Ω・cmの範囲内の導電性多孔質セラミックスとする。
【選択図】図2

Description

本発明は導電性多孔質セラミックス焼結体に関するものである。
導電性多孔質セラミックスは電子部品加工装置、半導体製造装置、電極、ヒーター、フィルターなど様々な分野で用いられている。
電子部品加工装置への利用は帯電緩和材など製品の破損を防ぐ目的などに用いられている場合が多く、製品歩留まりや品質に関わる非常に重要な技術要素である。このような用途に多孔質セラミックスが用いられるのは、焼結体と比較して比表面積が大きく水分を表面により多く吸着するため静電気の発生が緩和される特徴があるからである。
電子部品加工装置への実施例としてはZnO、SnO、TiOにAl、Sb、Nbなどを添加した材料で、気孔率1〜20%、抵抗値10〜1010Ω・cmである導電性多孔質セラミックスを用いる方法が知られている(特許文献1参照)。
半導体製造装置への利用は静電チャックなど製造上で重要なコア部分に用いられることが多い。この様な用途に多孔質セラミックスが用いられるのは部材の軽量化とともに、導入ガスのパーティクルを捕集することができるためである。
半導体製造装置への実施例としては窒化アルミニウム、アルミニウム酸窒化物、炭素含有成分から構成される材料で、気孔率10〜65%、体積抵抗率が0.01〜10000Ω・cmである導電性多孔質セラミックを半導体製造装置用部材に用いる方法が知られている(特許文献2参照)。
このように、導電性多孔質セラミックスは緻密体にない特徴をもっているため、様々な分野で用いられている。
特開平8−35051号公報 特開平11−171649号公報
しかしながら、特許文献1で提案された方法で得られる導電性多孔質セラミックスは溶射によって成形されており、抵抗値の安定性、結合強度、気孔率の安定性、耐薬品性などの面で課題があった。抵抗値の安定性では、使用する原材料の混合が湿式の混合ではないため、導電性材料の分布にムラが発生し局部的な絶縁部分が発生する。実施例に示されているように抵抗値のもっとも小さいものを基準とすると10〜10倍といった非常に幅広いものとなり安定していない。また、気孔率が高くかつ強度の高い多孔質体を溶射法で得るのは非常に難しいとされており、十分な強度を保った状態で得られる最大の気孔率は20%程度である。この場合、気孔率が20%より大きなものを供給した場合、多孔質体の破損やパーティクルの発生などの問題が生じる。また、気孔率の安定性という面では吹きつけの条件等で非常に変わりやすいために常に安定した気孔率を得ることが困難である。また、耐薬品性の面では、導電性酸化物にZnOを使用しているが、これらはアルカリや酸に溶出するといった弱点を含んでいる。
また、特許文献2で提案された方法では還元性雰囲気で焼成しなければならず、製造コストや還元ガスの濃度分布により部分的に抵抗が異なるといった課題があった。
上記の問題に鑑みて、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、酸化チタンを主成分としNb、Taから選ばれる元素を少なくとも一種類以上含有し、且つその結晶格子定数が、4.5935Å<a<4.6006Å、または2.9590Å<c<2.9608Åであり、且つ体積抵抗率が10〜10Ω・cmの範囲内であることを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、Nb、Taから選ばれる元素の含有量の合計が酸化物換算で0.3mol%〜1.5mol%であることを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、抗折強度が50MPa以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、気孔率が10%〜45%の範囲にあることを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、原料を湿式粉砕した後、粉砕したスラリーに有機バインダーを加えてスプレードライヤーで乾燥造粒させ、得られた造粒体と有機バインダーと調合水とを加え押出成形することを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、上記成形後、酸化雰囲気で焼成することを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体およびその製造方法は、焼成時における最高温度を1000℃〜1300℃とすることを特徴とするものである。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、上記焼成後、焼結体の表面を0.01mm以上研削あるいは研磨することを特徴とするものである。
本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、格子定数を4.5935Å<a<4.6006Å、または2.9590Å<c<2.9608Åであり、かつ体積抵抗率を10〜10Ω・cmで制御することができるため、帯電緩和用部材、ヒーター、電極部材などといった用途に用いることができる。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体はNb、Taから選ばれる元素の含有量が酸化物換算で0.3mol%〜1.5mol%であることによって、Nb、Taの添加量を変化させることで結晶格子定数を制御する事ができ、かつ体積抵抗率の制御が可能となる。さらに、本発明で使用している酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタルはフッ酸や溶融アルカリ以外の酸やアルカリに強く耐薬品性に非常に優れているため、酸・アルカリ水溶液や腐食性ガスなどを使用する装置の部材としても用いることができる。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、抗折強度が50MPa以上であり、気孔率を45%程度にしても強度不足による破損やパーティクルの発生はない。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、気孔率が10%〜45%の範囲にあり、非常に幅広い用途に対応できる。たとえば、特許文献1を例にとると、気孔率が大きくなると取り付け台の取り付け面と電子部品の接触面積が小さくなり接触帯電、剥離帯電の電位を小さくすることができ、かつ取り付け面はより水分を吸着することができるため静電気の発生を抑制することができる。特許文献1の方法では気孔率20%が上限であるため、本発明での特性はこれを遙かにしのぐ効果が得られる。
また、本発明の導電性多孔質セラミックスの製造方法は、有機バインダーを含有する造粒体を押出成形することで、通常の押出成形よりも気孔率を高くすることができ、かつ広範囲の焼結温度で結晶格子定数を制御することができる。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、酸化雰囲気で焼成することで得られる。特許文献2のように窒化アルミニウムやカーボンを含む材料を焼成する場合には還元雰囲気などの非酸化雰囲気で焼成しなければ導電性を発現させることができないが、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は酸化雰囲気で焼成しても導電性が得られる。さらに、酸化雰囲気で焼成するために残炭素量が少ない。
また、焼成時における最高温度を1000℃〜1300℃とすることで、結晶格子定数、体積抵抗率、気孔率を制御することができる。
また、焼結体の表面を0.01mm以上研削あるいは研磨するが、酸化チタンは微量成分の影響によってその色調が変化しやすく、炉内や台板からの不純物の拡散により導電性多孔質セラミックスの表面が黄色く変色する場合がある。この変色部分が気孔率、体積抵抗率のばらつきに影響する場合があるため、表面を研削あるいは研磨する事で、これらの諸問題を解決できる。
本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は帯電緩和剤、半導体製造装置用部材などに適用するものであり、具体的には結晶格子定数が4.5935Å<a<4.6006Å、または2.9590Å<c<2.9608Åであり、かつ体積抵抗率が10〜10Ω・cmである多孔質セラミックスである。
本発明において、結晶格子定数を上記範囲にした理由は以下の通りである。一般に、酸化チタンの結晶格子定数はa=4.5935Å、c=2.9590Åであるが、Nb、Taから選ばれる元素を少なくとも1種類以上含有させて、加熱すると結晶格子定数がa=4.5935Å、c=2.9590Åよりも大きくなる。そして、結晶格子定数a=4.5935Å、c=2.9590Åでは絶縁体であるが、a>4.5935Å、c>2.9590Åとなると導電性が発現し、導電性多孔質セラミックスとすることができるのである。ただし、a≧4.6006Å、c≧2.9608Åとなると体積抵抗率が小さくなりすぎるため好ましくない。
また、体積抵抗率を上記範囲としたのは、体積抵抗率が10Ω・cmより小さくなると、帯電緩和材として用いた場合に急激な放電が発生するため部品に衝撃を与えてしまうためであり、一方、10Ω・cmより大きくなると帯電緩和材としての効果が小さくなってしまうためである。
本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体の結晶格子定数や体積抵抗率を制御する好ましい手段として、Nb、Ta元素の含有量、多孔質構造の制御、焼成温度等があげられる。これらについて以下に具体的に説明する。
本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体はNb、Taから選ばれる少なくとも一種の元素の含有量が酸化物換算で0.3mol%〜1.5mol%の範囲内であることが好ましい。この範囲内において体積抵抗率は極小値をとり、添加の効果が最大限に引き出せる。0.3mol%未満になっても1.5mol%を超えても抵抗が大きくなりすぎてしまう。望ましくは0.59mol%〜0.89mol%の範囲内である。
また、同時に酸化チタンにNb、Taを含有させて少なくとも650℃以上で加熱することでa>4.5935Åまたはc>2.9590Åとすることができる。このようにNb,Taの添加量を変化させることで結晶格子定数と体積抵抗率の制御が可能である。
また、結晶格子定数や体積抵抗率を安定化させるためには、多孔質構造の制御を行わなければならない。そこで、本発明の導電性多孔質セラミックスの製造方法では、粉砕したスラリーに有機バインダーを添加しあらかじめ球状の造粒体を製造し、その造粒体と有機バインダーと調合水を混合し押出成形することで、顆粒の形状を維持したまま成形体を作製する。この成形体を焼成すると焼結体内部に適度な空隙がのこるため、焼成温度の変動があっても緻密化しにくくなる。同じ組成であっても、緻密化が進むことにより結晶格子定数は大きくなる傾向があり同時に体積抵抗率も大きくなる傾向を示す。
従って、この多孔質構造の制御により結晶格子定数や体積抵抗率を安定化させることができる。その上、顆粒を作製しておくことで、押出成形の混練で酸化チタンと酸化ニオブあるいは酸化タンタルとの組成分離がしにくくなっている。この構造制御と組成分離の防止により体積抵抗率のばらつきは抵抗値の最も小さいものを基準として10倍以下と低くおさえる事ができる。
また、本発明に用いる酸化チタンの結晶構造にはアナターゼ、ルチル、ブルッカイト等があげられるが、焼成時の結晶転位による焼結体のクラックや気孔率制御の観点からルチルを主成分とするものを使用することが好ましい。また、酸化チタンの原料としては、平均粒径は10μm以上の粗粒を含むものから5μm以下の微粉のものがあげられるが、ドーパントとの分散性の問題や製造上の問題等から2μm以下のものを使用することが好ましい。また、純度は98%以下の低純度のものから99.99%以上の高純度のものがあげられる。酸化チタンは耐薬品性に優れているが、それに含まれる微量不純物成分が耐薬品性に劣ると、気孔率の経時変化や強度の劣化などの問題を引き起こすため、耐薬品性の観点から純度は98%以上のものを用いることが好ましい。この酸化チタンには不可避不純物として、Si、Nb、Ca、Zn、K、P、S、Na、Sn、Mg、Cr、Ni、Sr、Feなどが含まれてもよい。
本発明で用いるNbはNb、NbO、NbO、Nb23、Nb25の形態で用いることができるが、酸化雰囲気で焼成すること、酸化チタンとの分散性、結晶の安定性、価格の面を考慮するとNb25を使用することが好ましい。また、平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も98%以上のものを用いることが好ましい。また、不可避不純物として、Si、Nb、Ca、Zn、K、P、S、Na、Sn、Mg、Cr、Ni、Sr、Fe、Taなどが含まれてもよい。
また、本発明に用いるTaはTa、TaO2、Ta23、Ta25の形態で用いることができるが、酸化雰囲気で焼成すること、酸化チタンとの分散性、結晶の安定性、価格の面を考慮するとTa25を使用することが好ましい。また、平均粒径、純度ともに酸化チタンと同様な理由により平均粒径で2μm以下、純度も98%以上のものを用いることが好ましい。また、不可避不純物として、Si、Nb、Ca、Zn、K、P、S、Na、Sn、Mg、Cr、Ni、Sr、Fe、Nbなどが含まれてもよい。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、抗折強度が50MPa以上であることが好ましい。50MPa以下であると部材のエッジ部分が欠けたり、部材そのものがわずかな応力で割れたりする。また、部品との接触によりパーティクルが発生し、電子回路などでショートの原因となったりする。より好ましくは60MPa以上である。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は、気孔率が10%〜45%の範囲にあることが好ましい。気孔率が10%以下になると磁器密度が上がることとなり、体積抵抗率が小さくなってしまう。一方、気孔率が45%以上になると体積抵抗率のばらつきが大きくなり制御が困難になる。
また、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体およびその製造方法は、原料を調合、粉砕、乾燥、成形、焼成、加工を経て製造する事が好ましい。
また、原料の調合は誤差の少ない重量秤を用いることが望ましい。特に添加する酸化ニオブあるいは酸化タンタルの計量ずれは体積抵抗率のばらつきに大きく影響するので正確に計量する必要がある。必要に応じてIg.Loss測定を行って計量しても良い。
また、粉砕は湿式粉砕で行うことが好ましい。乾式粉砕では酸化チタンと酸化ニオブあるいは酸化タンタルとの分散性が悪く、部分的に抵抗が大きくなるという問題が発生するが、湿式粉砕では十分な分散効果が得られるため抵抗のばらつきが小さい。粉砕に用いるミルはボールミル、振動ミル、ビーズミルがあげられるが、メディアの摩耗が少ないビーズミルで行うことが好ましい。また、メディアは耐摩耗性の高いイットリアやカルシアなどの部分安定化ジルコニア製のものを用いることが好ましい。ビーズのサイズは特に限定はしないが、粉砕効率を考えるとφ2mm以下のものが好ましい。しかし、耐摩耗性が高いとはいえ、摩耗による混入は避けられず、ジルコニアと部分安定化材を含めると混入量は20〜200ppm程度となる。
粉砕粒度が細かいほど酸化チタンと酸化ニオブあるいは酸化タンタルの分散性は向上するものの過度の粉砕は多孔性セラミックの焼結を促進させるため気孔率が小さくなってしまう。好ましくは平均粒径が0.5〜1.5μmである。尚、本発明の粉砕粒度はレーザー回折法で測定した。
また、乾燥方法はスプレードライヤーが好ましい。スプレードライヤーはスラリーを瞬間的に乾燥し、混合成分の偏りがなく、かつ流動性が良い球状の顆粒が得られる。
また、成型方法は押し出し成形が好ましい。押し出し成形は成形圧がほとんどかからないために気孔率30%以上の製品を製造するのに適している。その上に特殊なバインダーを使用することができるため成形体の強度も十分保つことができ、成形体の欠けが発生し難く取り扱いが容易である。さらに、スプレードイライヤーで乾燥させた有機バインダーを含む造粒体を使用する場合は顆粒の形状を崩すことなく押し出し成形が可能であるため、結晶格子定数の制御と体積抵抗率の安定化を実現できる。尚、有機バインダーは分散性を向上させる界面活性剤等やポバールなど有機結合を含むもの全般を指す。
また、焼成温度によって結晶格子定数、体積抵抗率が変化するため、焼成温度はこれらの制御に関する重要な要因である。焼成温度の最高値は1000℃〜1300℃であることが好ましい。この範囲では結晶格子定数と体積抵抗率は安定している。また、気孔率10%〜45%で制御するためにはこの温度範囲で焼成する必要である。また、昇温スピードと降温スピードも結晶格子定数、体積抵抗率、気孔率の制御に対して重要な要素であり、昇温スピードは50〜200℃/h、降温は100〜200℃/hの範囲であることが好ましい。
また、本発明の導電性多孔質セラミックスの製造方法は、焼結体の表面を0.01mm以上研削あるいは研磨する事が好ましい。焼成炉内にある不純物、たとえば炉材、ヒーター、棚板などから蒸発した微量成分などが焼成温度を上げることによって再蒸発し、拡散によって導電性多孔質セラミックスの表面に付着すると、焼結の進行、色調の変化が発生する。焼結の進行は表面と内部の気孔率の差となるばかりか、残留応力のためにクラックが発生したりする。また、不純物の影響、特にNi、Crなどの遷移金属元素は酸化チタンと反応するとわずかな褐色を呈するものがあるため表面のみが黄色のような着色がおこる。つまり、これらの悪影響を取り除くために、本発明の導電性多孔質セラミックス焼結体は表面を研削あるいは研磨する必要がある。
まず、酸化チタンと酸化ニオブ及び/又は酸化タンタルを混合し焼成した導電性多孔質体と導電性緻密体とでの格子定数の評価を行った。
まず、酸化チタン、酸化ニオブ(Nb)、及び酸化タンタル(Ta)を準備し、表1の試料番号1〜5に示す組成になるように調合した。次に溶媒とともにミルを用いた湿式粉砕を行い、粒径を調整した後にさらに有機系のバインダーを添加しスラリーを作製した。得られたスラリーは噴霧乾燥により乾燥させた。さらに、得られた粉体と押し出し成型用の有機系のバインダーとを万能攪拌機により混合して押し出し用坏土を作製した。さらに、坏土を押し出し成形器にて所定の形状に押し出した後に、乾燥させた。
その後、得られた成形体を酸素存在下で焼成し、得られた焼結体を研削機あるいは研磨機にて表面を研削・研磨する事で導電性多孔質セラミックスを得た。格子定数はX線回折によって得られたデータを解析することにて得た。体積抵抗率は3端子法(JIS C2141)にて測定を行い、測定値は室温のものを用いた。抵抗値が10より小さい場合は4端針法(JIS R1637)にて測定を行った。気孔率は見掛け密度測定法(JIS C2141)によるものを用いた。
比較例である酸化チタンのみ(試料番号5)の格子定数はa=4.5935Å、c=2.9590Åであり、この場合は絶縁体である。一方、Nb、Taを含有した本発明の導電性多孔質セラミックス(試料番号1〜3)はa>4.5935Å、c>2.9590Åとなっており導電性を示す。また、試料番号1(多孔質体)は比較例である試料番号4(緻密体)と同じ調合組成であっても、結晶格子定数が各々0.0002Å以上小さくなっており、体積抵抗率が10Ω・cmより大きい。つまり、焼結温度で格子定数を制御した結果、多孔質体の体積抵抗率は10〜10Ω・cmの範囲に収まっている。
次に、酸化ニオブあるいは酸化タンタルの添加量と結晶格子定数、体積抵抗率、気孔率、抗折強度について調査した。抗折強度は3点曲げで評価した。
作製した試料は試料番号6〜13である。同焼成条件で組成を変化させて作製した試料1、6、7を比較すると、結晶格子定数は添加量が多くなると大きくなる傾向がある(図1参照)。一方、体積抵抗率は五酸化ニオブの添加量0.75mol%で極小値を取ることがわかる(図2参照)。添加量が0.3mol%〜1.5mol%の間では体積抵抗率が10Ω・cm以下となっているが、それ以外の範囲(試料番号8,9)では10Ω・cmより大きくなっていることがわかる。抗折強度(図3参照)は概ね75〜80MPaの範囲にあり、十分な強度を備えている。気孔率に関しても25〜31%の範囲にある(図4参照)。
次に、焼成温度を変化させて結晶格子定数、体積抵抗率、気孔率、抗折強度について調査した。作製した試料は試料番号14〜22である。同一組成で焼成温度を変化させた試料番号1、4、14、15、16を比較すると、結晶格子定数に関しては焼成温度が上昇するに伴って各々大きくなる(図5参照)。体積抵抗率は1000〜1300℃の範囲では10〜10Ω・cmの範囲に入っているが、試料番号4,14,20の様に980℃や1380℃など範囲を逸脱すると体積抵抗率はこの範囲からはずれてしまう(図6参照)。気孔率も同様で1000〜1300℃の範囲では10〜45%の範囲に含まれる(図7参照)。また、抗折強度に関しても1000℃以上では50MPaを越えているが、1000℃以下(試料番号4,14)では下回っている(図8参照)。
次にCr、NiOなどの不純物を添加して色調を調べた。作製した試料は試料番号23〜26である。これらの焼結体は淡い黄色〜黄色を示した。添加量が増加するに伴いその色調が濃くなっていることがわかる。試料番号1に示すような通常のものについても不可避不純物としてこれらの元素が含まれるが、その含有量は30ppm以下であり、その場合には変色が発生しない。また、この結果から添加量が増加するに伴い変色するとともに体積抵抗率が大きくなり、気孔率が小さくなることがわかる。つまり、これら不純物を添加したものは本発明の請求範囲に含まれるが、色調の変化や気孔率への影響があるため過剰な含有は好ましくはない。
また、試料番号1と同様な条件で作製した試料で研磨代を変化させたものを作製した。試料番号は27〜29である。これらの結果が示すように、焼成炉内に残存するNiやCr等の不純物によって研磨しない状態ではその表面は黄色く変色している。ところが、研磨によって表面を削ると次第に変色は無くなり、0.01mm以上削ると色調は白くなる。
試料番号21〜23で示したように、黄色い変色によって体積抵抗率、気孔率が変化することから表面と内部での抵抗のばらつき、応力の発生が考えられるためこれらを除去するために0.01mmの研削あるいは研磨が必要である。
Figure 2006089345
本発明の導電性多孔質セラミックスにおける組成と結晶格子定数aの関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける組成と体積抵抗率の関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける組成と抗折強度の関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける組成と気孔率の関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける焼成温度と結晶格子定数aの関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける焼成温度と体積抵抗率の関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける焼成温度と気孔率の関係を示すグラフである。 本発明の導電性多孔質セラミックスにおける焼成温度と抗折強度の関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 酸化チタンを主成分としNb、Taから選ばれる元素を少なくとも一種類以上含有し、且つその結晶格子定数が、4.5935Å<a<4.6006Å、または2.9590Å<c<2.9608Åであり、且つ体積抵抗率が10〜10Ω・cmの範囲内であることを特徴とする導電性多孔質セラミックス焼結体。
  2. Nb、Taから選ばれる元素の含有量の合計が酸化物換算で0.3mol%〜1.5mol%であることを特徴とする請求項1に記載の導電性多孔質セラミックス焼結体。
  3. 抗折強度が50MPa以上であることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載の導電性多孔質セラミックス焼結体。
  4. 気孔率が10%〜45%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性多孔質セラミックス焼結体。
  5. 原料を調合、粉砕、乾燥、成型、焼成、加工を経て請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電性多孔質セラミックス焼結体を製造する方法であって、原料を湿式粉砕した後、粉砕したスラリーに有機バインダーを加えてスプレードライヤーで乾燥造粒させ、得られた造粒体と有機バインダーと調合水とを加え押出成形することを特徴とする導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
  6. 上記成形後、酸化雰囲気で焼成することを特徴とする請求項5に記載の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
  7. 焼成時における最高温度を1000℃〜1300℃とすることを特徴とする請求項6に記載の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
  8. 上記焼成後、焼結体の表面を0.01mm以上研削あるいは研磨することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の導電性多孔質セラミックス焼結体の製造方法。
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