JP2006089338A - 耐食性部材とその製造方法、およびこれを用いた半導体・液晶製造装置用部材 - Google Patents

耐食性部材とその製造方法、およびこれを用いた半導体・液晶製造装置用部材 Download PDF

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Abstract

【課題】腐食性ガスのプラズマに暴露された場合、耐食面に熱応力が発生しやすく、長期間の使用にともなってパーティクルや、亀裂が発生しやすい。
【解決手段】少なくとも腐食性ガスやそのプラズマに暴露される耐食面が立方晶の酸化イットリウムを主成分とし、単斜晶の酸化イットリウムを含有してなる耐食性部材であって、上記耐食面のX線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、IM40−2/IC222が0.1以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体・液晶製造装置に用いられ、腐食性ガスに対する高い耐食性が求められる耐食性部材とその製造方法、また、これら部材を用いた半導体・液晶製造装置に関し、例えば、チャンバ、マイクロ波導入窓、シャワーヘッド、フォーカスリング、シールドリング等に用いるものである。
近年、半導体製造の際のエッチングや成膜などの各工程において、プラズマを利用した被処理物への処理を施す技術が盛んに使用されているが、この工程には、反応性の高いフッ素系、塩素系等のハロゲン元素を含む腐食性ガスが多用されており、このような装置に用いられる耐食性部材は、腐食性ガスやプラズマに接触する部材は高い耐食性が要求されている。
この耐食性部材としては、アルミナ焼結体、窒化アルミニウム焼結体などのセラミックス、これらセラミックスに炭化珪素等のセラミック膜を被覆したものが使用されていた。
最近では、上述のセラミックスに代わり、ハロゲン元素を含む腐食性ガスやそのプラズマに曝される部位をイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)や酸化イットリウムからなる焼結体や膜で形成した耐食性部材が、より耐食性の優れる材料として注目されてきている。
特に、酸化イットリウム(Y)焼結体や酸化イットリウム膜は、ハロゲン元素を含む腐食性のフッ素系ガスが酸化イットリウム焼結体中の酸化イットリウムと反応すると、主にYFを生成し、塩素系ガスと酸化イットリウムが反応すると主にYClを生成する。これらの反応生成物の融点(YF:1152℃、YCl:680℃)は、従来から用いられていた石英や酸化アルミニウム焼結体との反応により生成される反応生成物の融点(SiF:−90℃、SiCl:−70℃、AlF:1040℃、AlCl:178℃)より高い。このように、反応生成物(YF、YCl)の融点が高いため、酸化イットリウム焼結体は腐食性ガスやプラズマに高温で曝されたとしても腐食されにくいからである。
これらの耐食性部材の例として、特許文献1には、少なくとも表面領域が酸化イットリウム焼結体であることを特徴とする耐プラズマ性部材が記載されている。
また、特許文献2には、金属微量成分量が質量基準でSi:400ppm以下、Al:200ppm以下であり、平均粒径が200μm以下、気孔率が5%以下である酸化イットリウム焼結体が記載されている。
さらに、特許文献3には、相対密度が96%以上の酸化イットリウムからなる酸化イットリウム焼結体が記載されている。
また、酸化イットリウム膜からなる耐食膜をセラミックや金属からなる基材の表面に形成してなる部材が特許文献4、5に記載されている。
特許文献4には、アルミナ製のチャンバ内壁に酸化イットリウムを含む物質からなる耐食膜を設けた部材を用いた半導体製造装置が例示されており、この皮膜層は、溶剤に酸化イットリウム粉末を溶かしたものをチャンバ内壁に塗工して乾燥させるか、溶射してチャンバ内壁に皮膜を形成させた後、500〜800℃で加熱して皮膜を硬化させることで形成されている。特許文献5には、金属アルミニウム、アルミナ、ジルコニアのいずれかからなる本体の表面に溶射によって形成された、酸化イットリウムからなる耐食膜を備えた耐ハロゲンガスプラズマ用部材が記載されている。
また、非特許文献1には、気孔率10%で、立方晶の酸化イットリウム結晶からなる酸化イットリウム焼結体が、応力を受けることによって単斜晶の結晶へ相転移することが記載されている。その結果によると、例えば、応力が20GPaで単斜晶の結晶相のみとなり、50GPaで、立方晶が80%、単斜晶が20%となり、応力の大きさによって単斜晶の酸化イットリウム結晶の生成割合が変化している。非特許文献1の酸化イットリウム焼結体は、酸化イットリウム粉末を100kgf/cmの圧力で、直径10mm、厚み1mmのペレットに成形、焼成することにより作製されている。
特開2002−68838号公報 特開2003−55050号公報 特開2001―181042号公報 特開平20003−59904号公報 特開2002−249864号公報 Journal of Solid State Chemistry,89,378−384(1990)
特許文献1〜5に記載された酸化イットリウムを主成分とする耐食性部材は、高純度化したり、緻密化したり、不純物を低減したりすること等が耐食性を向上させるのに有効であると記載されている。
しかし、近年、半導体チップの小型化、回路等の細密度化に対応して、半導体・液晶製造装置のエッチングや成膜工程で腐食やパーティクル等の発生をさらに抑制できる高い耐食性の部材の要求が強くなっているため、従来の耐食性部材の耐食性レベルではこの要求を満足することができなくなってきた。例えばLSIに用いるシリコン半導体を製造する過程で、Siウエハにパーティクルが付着すると配線が断線するため、パターン幅が微細である程、シリコン半導体の製造でウエハに付着するパーティクルの粒径を縮小する必要がある。特に、ウエハ処理工程においてウエハに付着するパーティクルは半導体の不良の主原因となる。従来の耐食性部材は、腐食性ガス、特にハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマ中で使用すると、表面が腐食されて亀裂や大きなパーティクルが発生する問題や、焼結体や膜が割れたり、クラックが入ったりして機械的強度が低下する問題が発生するため、微細化が進んだ半導体の製造工程に用いることができなくなっている。
ここで、本発明者は、従来の耐食性部材が単斜晶酸化イットリウムの結晶を多く含有するために耐食性をより高めることができないということを知見した。
単斜晶酸化イットリウムの含有割合を相対的に表す方法として、X線回折におけるピーク強度比を用いる方法がある。立方晶酸化イットリウム結晶に対する単斜晶酸化イットリウム結晶の含有割合が多くなると、X線回折における立方晶酸化イットリウムの特定のミラー指数のピーク強度に対する単斜晶酸化イットリウムの特定のミラー指数のピーク強度の比は増加する。
特許文献1〜3、非特許文献1のように、セラミック焼結体からなる部材では、一般的に最大100MPa程度の圧力で数秒以下の時間で昇圧して成形していた。そのため、圧力が成形体全体に均一に伝播しにくく、成形体の密度ばらつきが大きくなっていた。また、焼成工程における焼成温度が炉内で均一になっておらず、場所による温度のばらつきが20℃を超えるものであり、これによって耐食性部材の前駆体である成形体の密度および焼成保持温度がばらついたまま製造され、焼成収縮率や結晶の粒成長速度が部分的に大きく異なっていた。その結果、焼成中に結晶に大きな応力が印可され、立方晶酸化イットリウムの結晶の多くが単斜晶酸化イットリウムの結晶に相転移し、単斜晶酸化イットリウムの含有割合が多くなり、得られた部材は、X線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、そのピーク強度比IM40−2/IC222が0.1よりも大きくなる場合があった。
また、非特許文献1では、応力印加前の酸化イットリウム焼結体中には、単斜晶酸化イットリウムの結晶相が検出されていないものの、成形体の密度を不均一にすると焼結体中に単斜晶酸化イットリウムの結晶が生成する。特に成形体の厚みが厚い程、密度が不均一になりやすく、その結果さらに単斜晶の結晶が多く生成しやすい。
また、通常、量産されている市販の立方晶酸化イットリウム粉末はその平均粒径が例えば1〜5μm程度と微細であるため、市販の酸化イットリウム粉末を単に溶射するだけでは、基材に強固な酸化イットリウムの皮膜を形成させることは困難である。
このため、市販の酸化イットリウム粉末を用いて基材に強固な酸化イットリウムの皮膜層を形成させるには、通常酸化イットリウム粉末を造粒する必要があるが、特許文献4、5は、溶射前に酸化イットリウム粉末を造粒していないため、酸化イットリウム粉末を造粒後に溶射した場合でも造粒粉の粒径のばらつきを低減しないと、溶射の際に溶射皮膜が高温で大きな応力を受け、溶射皮膜に含まれる立方晶酸化イットリウムの結晶の多くが単斜晶酸化イットリウムの結晶に相転移し、単斜晶酸化イットリウムの含有割合が多くなり、セラミック焼結体の場合と同様に、得られた部材は、X線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、そのピーク強度比IM40−2/IC222が0.1よりも大きくなる場合があった。これらの相転移が起こる原因は明確ではないが、非特許文献1に立方晶酸化イットリウムは高温で大きな衝撃を受けると、単斜晶酸化イットリウムに相転移することが示唆されている。したがって、立方晶酸化イットリウムを主成分とする焼結体や耐食膜は、高温で大きな応力を受けると単斜晶酸化イットリウムに相転移すると考えられる。
また、特許文献1〜5に記載された部材は、焼成や溶射の際に極めて大きな応力がかかるとIM40−2/IC222が0.1を超え、格子欠陥が増加して残留応力が増加し、機械的強度が低下するという問題も生じていた。
本発明は、上述した種々の問題点に鑑みて為されたものであり、微細化が進んだ半導体を製造する工程等において用いることが可能な、耐食性に優れ、パーティクルの粒径が小さくかつその発生量も少ない耐食性部材を提供することに目的がある。特に、腐食性ガスを含むプラズマに対する耐食性に優れた耐食性部材を提供することがその大きな目的である。
本発明の耐食性部材は、少なくとも腐食性ガスやそのプラズマに暴露される耐食面が立方晶の酸化イットリウムを主成分とし、単斜晶の酸化イットリウムを含有してなる耐食性部材であって、上記耐食面のX線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、IM40−2/IC222が0.1以下であることを特徴とする。
また、上記IM40−2/IC222が0.005以上であることを特徴とする。
また、上記耐食面が焼結体からなり、焼結体の平均密度に対する密度のばらつきが±0.1g/cmの範囲内であることを特徴とする。
また、上記耐食面が溶射皮膜からなり、溶射皮膜の残留応力が100MPa以下であることを特徴とする。
本発明の耐食性部材の製造方法は、平均粒径が3μm以下の立方晶酸化イットリウムからなる粉末に有機バインダーを添加、混合してなる原料粉末を成形して成形体を作製する成形工程と、得られた成形体を1500〜2000℃で保持して焼成する焼成工程とを含み、上記成形工程における成形圧が100MPaを超えた時点から昇圧速度0.2〜1MPa/秒で昇圧し、且つ上記焼成工程における成形体内の温度ばらつきを20℃以内とすることを特徴とする。
また、平均粒径が0.4〜5μmの立方晶の酸化イットリウム粉末を造粒し、造粒後の粉体の平均粒径を10〜100μm、かつ粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下とした造粒粉を、金属またはセラミックスからなる基材の表面に吹き付け速度100〜300m/秒でプラズマ溶射することにより耐食面を形成することを特徴とする。
本発明の半導体・液晶製造装置は、上記の耐食性部材を用いたことを特徴とする。
また、本発明のプラズマ処理容器は、前記半導体・液晶製造装置用部材を用いたことを特徴とする。
本発明の耐食性部材は、腐食性ガスやそのプラズマに暴露される耐食面を備え、上記耐食面が立方晶の酸化イットリウムを主成分とし、単斜晶の酸化イットリウムを含有してなり、上記耐食面のX線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、IM40−2/IC222が0.1以下である耐食性部材とすることによって、耐食面の格子欠陥が低減し、かつ腐食性ガスのプラズマに暴露された場合に耐食面に発生する熱応力を緩和することができるので、パーティクルが発生しにくく、亀裂が生じにくい耐食面を備えた耐食性部材とすることができる。
また、本発明の半導体・液晶製造装置は、上記耐食性部材を用いるので、製造装置中に腐食性ガスを流しても腐食されにくく、また、耐食性部材からのパーティクルの発生が少ないので、微細な配線を形成した半導体を不良を抑制したまま製造することが可能となる。
本発明の耐食性部材は、腐食性ガスに暴露されるべき耐食面を備え、耐食面が立方晶の酸化イットリウムを主成分とし、単斜晶の酸化イットリウムを含有してなるものであり、ハロゲン元素を含むフッ素系ガスなどの腐食性ガスが酸化イットリウムと反応すると、主にYFを生成し、塩素系ガスと酸化イットリウムが反応すると主にYClを生成する。これらの反応生成物の融点は、YFで1152℃、YClで680℃と他のセラミック焼結体に比較して高いため、腐食性ガスやプラズマに高温で曝されたとしても腐食されにくいため、耐食性の優れた部材とすることができる。
ここで、本発明の耐食性部材は、上記耐食面のX線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、IM40−2/IC222が0.1以下とすることを特徴とする。
これにより、優れた耐食性を有する耐食性部材を得ることができる。耐食面のIM40−2/IC222を0.1以下とすることで、格子欠陥が少なく、腐食性ガスに暴露された場合、大きなパーティクルが発生しにくく、また、亀裂も生じにくい耐食性部材を得ることができる。
詳細には、IM40−2/IC222を0.1以下とすることで、単斜晶の酸化イットリウム結晶の割合を少なく含有するように制御した場合、腐食性ガス、特にそのプラズマによって腐食したり、大きなパーティクルが発生したりすることを抑制できるのは、耐食面の格子欠陥を低減できるからであることを見出した。このように、本発明の耐食性部材において格子欠陥を低減でき、耐食性に優れたものである理由について説明する。
耐食面に単斜晶の酸化イットリウム結晶の割合が多い場合、すなわち耐食面のIM40−2/IC222が0.1を超える場合は、耐食性部材が腐食性ガスによって腐食したり、大きなパーティクルが発生したりする。この原因は次のように考えられる。耐食面に単斜晶酸化イットリウムを多く含んでいると、結晶格子を構成するY、O(酸素)の欠損や、Y、Oの配列の乱れなどの格子欠陥が多く生成する。格子欠陥が多いと、この格子欠陥に位置したり隣接したりする原子が電気的、結晶構造的に不安定となるため、腐食性ガスは、この格子欠陥のある結晶格子の原子を選択的にエッチングにより腐食しようとすると考えられる。これにより格子欠陥のある結晶格子の原子に隣接する結晶格子が電気的、結晶構造的に安定性を保つことが困難となるので、さらに隣接する結晶格子の原子も電気的、結晶構造的に不安定となる。このエッチングによる腐食が進行して大きなパーティクルが発生すると考えられる。特に、ハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマ中に、単斜晶酸化イットリウムを多く含む耐食性部材、すなわちIM40−2/IC222が0.1を超える耐食性部材が暴露されると、耐食性部材表面の酸化イットリウム結晶とハロゲン元素を含む腐食性ガスのプラズマ中のマイナスイオン(例:F)とが反応しやすいので、反応生成物(例:YF)が耐食性部材表面に非常に多く生成し、この反応生成物と酸化イットリウム結晶との熱膨張率の違いによって耐食性部材に亀裂が生じると考えられる。一方、IM40−2/IC222が0.1以下の耐食性部材は格子欠陥が少ないので腐食性ガスに曝されても腐食されにくく、腐食性ガスのプラズマ中でも亀裂が生じにくいと考えられる。
また、IM40−2/IC222が0.1以下の耐食性部材は、このように格子欠陥を低減でき、その結果エッチングされにくく、亀裂が生じにくいだけでなく、耐食面が腐食性ガスのプラズマに曝された場合に、焼結体や溶射膜が局所的に温度上昇することにより熱応力が発生しても、この熱応力を緩和することができるので、腐食性ガスのプラズマに曝されてもパーティクルが発生しにくいものとなる。このように熱応力を緩和してパーティクルの発生を抑制できる理由ついて説明する。
通常、酸化イットリウム結晶からなる焼結体や耐食面を形成するための原料は、未焼結の酸化イットリウム原料粉が用いられる。この原料粉は、一般に単斜晶酸化イットリウム結晶を含まない、立方晶酸化イットリウム結晶の粒子のみからなる。この原料粉を用いると、製造条件のばらつき例えば焼成条件や溶射条件のばらつきが原因で、単斜晶酸化イットリウム結晶をわずかに含む焼結体や溶射皮膜が製造される場合がある。また、通常、耐食性部材は、腐食性ガスを含むプラズマに曝されると局所的に温度が上昇して耐食面に熱応力が発生する。本発明の耐食性部材は、この熱応力が次のような理由により緩和されると考えられる。
単位格子の体積は、単斜晶の酸化イットリウム結晶の方が立方晶酸化イットリウム結晶よりも約7%少ない。元々立方晶酸化イットリウム結晶からなる粒子が、焼結や溶射の際にわずかに単斜晶酸化イットリウム結晶に相転移すると、立方晶酸化イットリウム結晶の界面に小さな引張応力が生じ、立方晶酸化イットリウム結晶の格子面間隔が大きくなろうとする。熱応力は立方晶酸化イットリウム結晶の格子面間隔を小さくしようとするので、熱応力と引張応力はお互いの応力を緩和し、その結果両者の応力は相殺される。熱応力が緩和された耐食性部材は、腐食性ガスのプラズマ中でも格子欠陥が生成しにくいので、耐食性が向上し、パーティクルの発生も少なくすることができる。単斜晶の酸化イットリウム結晶の含有量をIM40−2/IC222が0.1以下となる量にすることによって、このような熱応力の緩和機能を奏する耐食性部材を得ることができると考えられる。
上述したパーティクルや亀裂の発生のメカニズムを、腐食性ガスがCFガスのプラズマである場合を例にして説明すると、CFガスのプラズマ中では、CFの一部がCFラジカル、陽イオンCF 、陰イオンFとなって、耐食性部材表面に衝突する。これらのうち、主にラジカルと陽イオンは、耐食性部材表面に衝突すると、酸化イットリウム結晶をはぎ取ってパーティクルを発生させやすい。この原因は、単斜晶の割合が多くなると、格子欠陥が多くなり、結晶間の結合力あるいは結晶子間の結合力がラジカルと陽イオンの衝突による応力に抗することができず、結晶が剥げ落ちてしまうからである。
また、部材表面では、陰イオンFと耐食性部材の結晶格子に含まれるY3+とが反応してYFが生成する。表面にYFが生成すると、YFと酸化イットリウムの熱膨張率の差によって両者の界面に応力が発生したり、亀裂が生じたりする。単斜晶酸化イットリウムの割合が多くなると格子欠陥が多くなるので、YFと酸化イットリウムの熱膨張率の差によって生じる応力が格子欠陥に作用して、さらに亀裂が増加すると考えられる。
また、さらにはIM40−2/IC222の上限値を0.05とすることにより、さらに耐食性を向上させることができるので好ましい。最も望ましくは、IM40−2/IC222の上限値を0.03とする。
腐食性ガスのプラズマに暴露された場合に耐食性が低下する恐れをなくすためには、IM40−2/IC222の下限値を0.005とすることが好ましい。これは、IM40−2/IC222の下限値を0.005とすることにより、腐食性ガスのプラズマに暴露された場合に発生する熱応力を十分緩和することができる引張応力が、酸化イットリウム結晶間に働くからであると考えられる。したがって、IM40−2/IC222は0.005〜0.1であることが好ましい。耐食面のIM40−2/IC222が0.005の場合の耐食面の単斜晶酸化イットリウムの含有量は、本発明者が考察した結果0.3体積%程度と推測される。
ここで、立方晶酸化イットリウムのX線回折ピーク強度のうち(222)面の帰属ピーク強度IC222を用いるのは、立方晶酸化イットリウムのX線による回折面のうちミラー指数が(222)面のX線回折ピーク強度が最も大きな回折強度を示すので、IC222が立方晶酸化イットリウムの含有量に比例した値を最も正確に表すと考えられるからである。立方晶酸化イットリウムの単斜晶酸化イットリウムのX線回折ピーク強度のうち(40−2)面帰属ピーク強度IM40−2が選ばれるのは、単斜晶酸化イットリウムのX線による回折面のうちミラー指数(40−2)面のX線回折ピーク強度が、比較的大きな回折強度を示しかつ立方晶酸化イットリウムのX線回折ピークと重なりにくいので、単斜晶酸化イットリウムの含有量に比例した値を最も正確に表すと考えられるからである。したがって、IM40−2/IC222が単斜晶酸化イットリウムの含有割合に比例した値を最も正確に表すと考えられる。
なお、上記IM40−2/IC222の測定は例えば次のようにして行う。
先ず、耐食性部材の表面部を、CuKα線を用いたX線回折法により測定し、立方晶酸化イットリウムのミラー指数(222)面帰属X線回折ピーク強度、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属X線回折ピーク強度を測定する。立方晶酸化イットリウムのX線回折パターンはJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)カードNo.43−1036を参照することができる。JCPDSカードNo.43−1036によれば、立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属X線回折ピークの面間隔は3.061Å、回折角2θは29.15°とされている。また、単斜晶酸化イットリウムのX線回折パターンはJCPDSカードNo.44−0399またはNo.47−1274を参照することができる。JCPDSカードNo.44−0399によれば、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属X線回折ピークの面間隔は2.929Å、回折角2θは30.494°とされている。JCPDSカードNo.47−1274によれば、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属X線回折ピークの面間隔は2.936Å、回折角2θは30.42°とされている。なお、立方晶酸化イットリウム、単斜晶酸化イットリウムのJCPDSカードに記載されているこれらの面間隔、回折角は、測定誤差等によって変動する場合がある。
本発明の耐食性部材は、部材全体または耐食面のみが酸化イットリウムを主成分とするセラミック焼結体からなるもの、金属やセラミックからなる基材の少なくとも耐食面に酸化イットリウムを主成分とする膜を形成したものからなり、また、本発明でいう耐食面とは、腐食性ガスに暴露されるべき面およびその近傍である。ここで近傍とは、耐食面の直下の内部を示す。
なお、上記腐食性ガスとしては、SF、CF、CHF、ClF、NF、C、HF等のフッ素系ガス、Cl、HCl、BCl、CCl等の塩素系ガス、Br、HBr、BBr等の臭素系ガスなどが選ばれる。
ここで、先ず耐食性部材の少なくとも耐食面が酸化イットリウムを主成分とする酸化イットリウム質焼結体からなる場合について説明する。
この場合、焼結体の密度のばらつきが、平均密度に対して±0.1g/cmの範囲内である耐食性部材は、現在要求される高いレベルの耐食性、例えば、ハロゲン元素を含む腐食性ガスプラズマに数万時間曝された後でもエッチングレートが増加しないレベルの耐食性を備えることができる。
これは、耐食面にある酸化イットリウム結晶と腐食性ガスのプラズマ中のマイナスイオン(例:F)とが反応すると、反応生成物(例:YF)が耐食面に形成される。上記酸化イットリウム質焼結体の密度のばらつきが±0.1g/cmの範囲外であると、耐食面の開気孔率が部位によって大きく異なる。開気孔率が大きく異なると、耐食面の単位面積当たりの表面積が上記部位によって大きく異なるので、YFなどの反応生成物の生成量が上記部位によって異なる。その結果、腐食性ガスのプラズマによって耐食性部材に長時間(数千〜数万時間)熱応力が印可されると、耐食面に生成した反応生成物の結晶が剥離しやすくなる。上記酸化イットリウム質焼結体の密度のばらつきが±0.1g/cmの範囲内であると、耐食面の開気孔率を略一定にすることができるので、耐食性部材に長時間熱応力が印可された場合でも、耐食面に生成した反応生成物の結晶が剥離しにくい。
なお、平均密度とは、焼結体全体の密度であり、好ましくは見かけ密度の平均を言う。平均密度はアルキメデス法を用いて測定することができる。
また、本発明の耐食性部材は、部材全体を酸化イットリウムを主成分とする酸化イットリウム質焼結体から形成することがより好ましい。これは、耐食性に優れるのみならず、高温の腐食性ガスに暴露された場合に熱応力が印可されても耐食性部材全体に渡って、クラックや亀裂を生じさせないものとすることができる。耐食性部材のうち耐食面のみが高温の腐食性ガスに部分的に暴露されることによって耐食面に局所的に熱応力が発生しても、酸化イットリウム質焼結体の機械的強度がこの熱応力に抗することができるからである。
さらに、その肉厚を2mm以上とすることにより、耐食性部材全体の機械的強度が向上するので信頼性が向上し、高温の腐食性ガスのプラズマに長時間暴露されても、熱応力によってクラックが入ったり、亀裂が生じたりすることがない。肉厚が2mm未満であると、酸化イットリウム質焼結体の機械的強度を十分に大きくすることができないので、長時間繰り返し熱応力が印可された場合、この熱応力によって耐食性部材にクラックが入ったり、亀裂が生じたりする恐れがあるからである。特に、腐食性ガスのプラズマに暴露される部分の肉厚が2mm以上であることがより機械的信頼性を向上させるために好ましい。
ここで、耐食面が焼結体からなる耐食性部材について、その製造方法について説明する。
平均粒径が3μm以下の立方晶酸化イットリウムからなる粉末に有機バインダーを添加、混合してなる原料粉末を成形して耐食性部材前駆体である成形体を作製する成形工程と、得られた成形体を1500〜2000℃で保持して焼成する焼成工程とを含み、上記成形工程における成形圧が100MPaを超えた時点から昇圧速度0.2〜1MPa/秒で昇圧し、且つ上記焼成工程における成形体内の温度ばらつきを20℃以内とすることが重要である。
この製造方法により、高純度、致密で、腐食性ガスに暴露されるべき耐食面を有し、この耐食面のIM40−2/IC222の上限値を0.1に制御することができるので、耐食性に優れた酸化イットリウム質焼結体からなる耐食性部材を製造することができる。
立方晶Yからなり、平均粒径が3μm以下の粉末を用いることによって、高純度であるとともに焼結活性の高い粉末を準備することができる。このため、この粉末を用いて耐食性部材前駆体である成形体を焼成すると、耐食性部材全体が一様にち密に焼結し、かつ焼成中の焼成収縮率を耐食性部材全体に渡ってばらつきなくすることができるので、焼成中に結晶に大きな応力が印可される恐れがなくなる。これによって、立方晶酸化イットリウムからなる結晶の多くが単斜晶酸化イットリウムに多く相転移する恐れがなくなるので、IM40−2/IC222の上限値が0.1を超える恐れがなくなる。ここで、立方晶酸化イットリウムからなる粉末の平均粒径の下限値を0.4μmとすることが好ましい。平均粒径の下限値を0.4μmに制御した粉末を準備することによって、粉末を加圧成形した際に、高密度でかつ密度ばらつきの特に少ない成形体を得ることができる。
そして、上記粉末を成形して耐食性部材前駆体である成形体を作製する成形工程を行う。この成形工程では、成形圧が100MPaを超えた時点から昇圧速度0.2〜1MPa/秒で昇圧するとともに、焼成工程における成形体内の温度ばらつきを20℃以内とすることが重要である。
これにより、所望の形状の耐食性部材を得ると共に、焼成中の焼成収縮率を耐食性部材全体に渡ってばらつきなくすることができ、焼成中に結晶に大きな応力が印可されない。また、成形体の密度のばらつきが±0.1g/cm以下と非常に小さなものとなり、焼成収縮率も全体に均一にとなって焼成することができる。特に、例えば半導体・液晶製造装置用部材であるプラズマ処理容器などの大型形状の成形体等、成形密度のばらつきを抑制することが困難であったものの場合でも、成形密度をその平均密度に対して±0.1g/cmの範囲内とすることができる。一方、成形圧が100MPa以下の場合や、昇圧速度が昇圧速度1MPa/秒を超えた場合は、成形体の密度のばらつきが±0.1g/cmを越え、耐食性部材前駆体の焼成収縮率が部分的に大きく異なって焼成される。このため、焼成中で結晶に大きな応力が加わり、立方晶酸化イットリウムの結晶の多くが単斜晶酸化イットリウムの結晶に相転移し、IM40−2/IC222が0.1を超える恐れがある。
なお、上記成形圧はその最大値を105MPa以上とし、さらには110MPa以上とすることが好ましい。
また、この成形工程においては、1回の成形によって成形圧が100MPaを超えて、好ましくは250MPaを超える値で静水圧法等を用いて等方加圧する方法や、先ず、10〜100MPa以下の低圧で加圧し圧粉体を作製した後、さらに得られた圧粉体を100MPaを超える成形圧で昇圧速度0.2〜1MPa/秒で等方加圧する方法でもよい。
さらに、成形する前に圧粉体の密度にばらつきが生じないようにするため、成形型に超音波を与えながらに成形型に粉末を充填後に加圧することが好ましく、成形体の密度をより均一にばらつきのないものとすることができる。
さらに、上記IM40−2/IC222を0.05以下にするためには、成形工程における成形圧が100MPaを超えた時点から昇圧速度0.2〜0.7MPa/秒で昇圧することが好ましい。これによって、焼成時の焼成収縮率を耐食性部材全体に渡って、特にばらつきなくすることができるので、焼成中に立方晶の酸化イットリウム結晶が単斜晶の酸化イットリウム結晶に相転移することがさらに抑制され、IM40−2/IC222を0.05以下に制御することができる。
次いで、得られた成形体を焼成する焼成工程を行う。
この焼成工程において、得られた成形体を1500〜2000℃で保持して焼成し、成形体内の温度ばらつきを20℃以内とすることが重要であり、焼成中の結晶の粒成長速度を耐食性部材全体にわたって均一にすることができるため、焼成中に耐食性部材に内部応力が発生することを抑制できる。これにより、立方晶酸化イットリウムの結晶が単斜晶酸化イットリウムの結晶に多く相転移することが抑制され、得られる耐食性部材に含まれる単斜晶酸化イットリウムの含有割合を少なくすることができ、その結果IM40−2/IC222の上限値を確実に0.1とすることができる。
なお、温度ばらつきを20℃以内とするためには、例えば次のように焼成中に焼成炉内の温度制御を行う。内壁が概ね直方体形状のバッチ炉を用いて焼成する場合、被焼成物の温度制御を直方体の各面(6面)から個別に行うだけでなく、各面をさらに3ゾーンに分け、炉内を合計18の領域に個別に温度制御し、各領域の温度が同じとなるよう温度を制御する。こうすることによって、従来は困難であった高精度の温度制御が可能となる。
なお、上記成形工程および焼成工程において、立方晶酸化イットリウムからなる粉末の平均粒径を0.4〜3μmとし、成形工程における成形圧が100MPaを超えた時点から昇圧速度0.2〜0.7MPa/秒で昇圧し、焼成工程における成形体内の温度ばらつきを10℃以内に制御しながら1500〜2000℃で1〜20時間保持して焼成することにより、焼成中の結晶の粒成長速度と結晶粒径のばらつきを耐食性部材全体にわたってより低減させることができ、焼成中に発生する内部応力をより確実に抑制することができる。これにより立方晶酸化イットリウムの結晶が単斜晶酸化イットリウムの結晶に相転移することがさらに抑制され、IM40−2/IC222を0.05以下に制御することができる。
ここで、上記立方晶酸化イットリウムからなる粉末の平均粒径は、例えば(株)堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920により測定し、成形体の密度のばらつきは、成形体から例えば10×10×10mmの大きさの成形体片を10個以上切り出し、それぞれの密度を測定し、密度の最大値と最小値の差により求める。さらに、焼成時の成形体内の温度ばらつきは、例えば、焼成中の耐食性部材の近傍に、厳密に温度校正した白金/ロジウム系の熱電対を複数配置して、成形体近傍の温度ばらつきを測定するか、または、焼成中の耐食性部材の温度を厳密に温度校正した光高温計や放射温度計により測定し、求めることができる。
また、上記IM40−2/IC222を0.005以上に制御するために、上記焼成工程において、焼成中の成形体にかかる掛かる重力と、成形体の焼成収縮に対する抵抗を制御すればよい。成形体を焼成用治具に載置して焼成する場合や、さらに成形体と焼成用治具の間に焼成用敷粉を介在させて焼成する場合、焼成中に成形体に重力が掛かるので、成形体を載置した部分(重力を受ける側)は、焼成用治具や焼成用敷粉との摩擦、すなわち収縮抵抗を受けながら焼成収縮する。一方、焼成用治具や焼成用敷粉と接していない成形体の部分は、焼成収縮の際に収縮抵抗を受けない。この収縮抵抗を極端に小さくすると焼結体に応力が残留しにくい。この残留応力がないと、残留応力によって起こる立方晶酸化イットリウムから単斜晶酸化イットリウムへの非常にわずかな相転移が抑制されるため、焼結体中に単斜晶酸化イットリウムがほとんど生成せず、IM40−2/IC222の下限値を0.005に制御することができない。収縮抵抗を所定の値以上にすればわずかに残留応力が発生し、この残留応力による相転移によって単斜晶酸化イットリウムが極わずかに生成するので、IM40−2/IC222の下限値を0.005に制御することができる。
なお、収縮抵抗の値を定量的に測定することは困難であるものの、この収縮抵抗は、成形体を載置するための焼成用治具の材質・表面状態、およびこの焼成用治具と成形体の間に介在させる焼成用敷粉の材質・表面粗さにより次のように変化する。
成形体と焼成用治具の固着が起こらないような焼成用治具の材質とすれば、収縮抵抗は小さくなり、固着が起こりやすい焼成用治具とすれば収縮抵抗は大きくなる。焼成用治具の表面粗さを小さくすれば収縮抵抗は小さくなり、表面粗さを大きくすれば収縮抵抗は大きくなる。また、焼成中に焼成用敷粉が成形体と反応して、成形体に敷粉が固着し易いような焼成用敷粉の材質とすれば、収縮抵抗は大きくなり、成形体に敷粉が固着しにくいような焼成用敷粉の材質とすれば、収縮抵抗は小さくなる。焼成用敷粉を球状にすれば収縮抵抗は小さくなり、鋭角を有する多面体などのような形状にすれば収縮抵抗は大きくなる。このように収縮抵抗の大きさを相対的に制御することは可能である。
そのため、収縮抵抗が所定の値以上となるよう、次のように焼成用治具の材質・表面粗さ、焼成用敷粉の材質・形状を制御すればIM40−2/IC222の下限値を0.005以上とすることができる。すなわち、成形体と焼成用治具との間に、融点が2100℃以上の球状の酸化物セラミックスからなる微粒子、例えば、平均粒径が10〜500μmの電融アルミナまたは電融マグネシアを介在させる。その際、成形体を載置するための焼成用治具として、その中心線表面粗さRaを10μm以下にした高純度アルミナ質焼結体を用いればよい。
次いで、耐食性部材の少なくとも耐食面が立方晶の酸化イットリウムを主成分とし、単斜晶の酸化イットリウムを含有してなる溶射皮膜からなる場合について説明する。
この場合、例えば、金属またはセラミック(酸化イットリウムを除く)からなる基材の耐食面となる表面に溶射法によって形成した酸化イットリウム質の溶射皮膜を形成してなり、基材の組成や電気的特性等に関係なく、耐食性に優れた皮膜層を速い速度で基材に成膜したものとすることができる。溶射以外の成膜法では、成膜速度が遅いので、腐食性ガスに暴露されるべき耐食面に、十分な厚みの皮膜層を形成できない恐れがあるだけでなく、厚みを厚くして成膜すると皮膜層に大きな内部応力が残留して皮膜層の機械的強度を著しく向上させることができないからである。
また、溶射皮膜の残留応力が100MPa以下とすることにより、耐食面が腐食性ガスのプラズマに暴露されて溶射皮膜に大きな熱応力が発生した場合でも、溶射皮膜に亀裂が入ったり、クラックが発生したりすることが抑制される。残留応力が100MPaを超えると、溶射皮膜に大きな熱応力が発生した場合に、残留応力と大きな熱応力の両方が溶射皮膜にかかるので、溶射皮膜に亀裂が入ったり、クラックが発生したりする恐れがある。
溶射皮膜の残留応力σは、例えばX線回折法を用いて式(1)により計算する。X線回折による格子面間隔の測定はディフラクトメーター法を用いる。この場合、回折角θの位置を、溶射皮膜表面からの法線が2θの補角を2等分する方向に分け、常に正反射方向の回折像を測定する。
σ=E(d−d)/2ν式(1)
ここで、Eは溶射被膜のヤング率、νは溶射被膜のポアソン比、dは基材の表面に垂直方向の格子面間隔、dは応力のない状態で測定したdと同じ格子面の面間隔である。Eとνは立方晶酸化イットリウム焼結体のヤング率(160GPa)、ポアソン比(0.3)を近似的に用いる。dは例えば、溶射皮膜を基材から分離してサンプリングしたものを試料とし、この試料のdをマイクロディフラクトメーターを用いて測定する。dは基材に溶射皮膜を形成したまま、溶射皮膜の表面をディフラクトメーター法を用いて測定する。d、dの格子面は例えば(400)面、(440)面のうち少なくとも1つが選ばれる。(400)面、(440)面のうち少なくとも1つが選ばれるのは、酸化イットリウムの溶射膜は(400)面や(440)面が溶射皮膜と平行な方向に配向しやすい性質を持っているからである。dの測定に際しては、酸化イットリウムと同じ回折角付近に回折ピークのない試料を用いてディフラクトメーターを校正しておくことが好ましい。
また、溶射法による皮膜層の厚みは50〜1000μmとすることが好ましい。この理由は、厚みを50〜1000μmとすることによって、耐食面の耐食性を向上させたまま、耐食面全体にわたって、基材と皮膜層の接合強度を特に向上させることができるからである。溶射法による皮膜層の厚みが50μm未満では、成膜の際に基材と酸化イットリウムが十分反応したり、アンカー効果(皮膜層を形成する酸化イットリウム質の膜を基材表面の凹凸の間隙に入り込ませて、皮膜層と基材の接合強度を高める効果)が十分起きたりしないため、基材と皮膜層の接合強度を特に向上させることができない。溶射法による皮膜層の厚みが1000μmを超えると、皮膜層の密度や厚みがばらついて皮膜層の一部が剥離する恐れがあるため好ましくない。
さらに、基材として、金属の場合には銅合金、アルミニウム合金、ステンレス、チタンが選ばれる。具体的には銅合金は、無酸素銅C1020、タフピッチ銅C1100、りん脱酸銅C1220、りん青銅C5191、快削りん青銅C5441、洋白2種C7521、クローム銅Z3234のうちいずれかが好ましい。アルミニウム合金は、純度99.0%以上の一般用アルミニウムであるA1050、A1100、Al−Cu合金のA2017(ジュラルミン)、A2024、Al−Mg合金のA5052、A5052H−0、Al−Mg−Si合金のA6063、Al−Zn−Si合金のA7075のうちいずれかが好ましい。ステンレスは、SUS304、SUS303、SUS309、SUS310、SUS316、SUS430のうちいずれかが好ましい。チタンは、TP340、TP270のうちいずれかが好ましい。また、基材がセラミックスの場合にはアルミナ質焼結体、ジルコニア質焼結体、コーディエライト質焼結体、ムライト質焼結体、ステアタイト質焼結体、フォルステライト質焼結体、窒化硅素質焼結体、炭化硅素質焼結体のうちいずれかが好ましい。特に、アルミナ質焼結体が好ましい。
また、耐食面の単斜晶酸化イットリウムの含有量は、次の方法により測定することができる。
まず、耐食性部材が酸化イットリウム質焼結体からなる場合は耐食面を含む薄片をサンプリングする。耐食性部材が基材に溶射皮膜を形成したものからなる場合は、溶射皮膜の薄片をサンプリングする。そして、各々の薄片を加工し、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察しながら、個々の結晶の電子線回折による格子像を観察する。この格子像を解析し、各結晶の結晶相(立方晶酸化イットリウム、単斜晶酸化イットリウム)を同定する。この解析の際にJCPDSカードを参照してしても良い。単斜晶酸化イットリウムの結晶の総面積が、立方晶酸化イットリウムの結晶と単斜晶酸化イットリウムの結晶の面積の合計に占める割合を計算し、この割合を体積%と見なすことができる。
ここで、耐食面が溶射皮膜からなる耐食性部材について、その製造方法を説明する。
本発明者は、耐食面が溶射皮膜により形成された耐食性部材を製造する場合、耐食面に含まれる立方晶酸化イットリウム結晶の単斜晶酸化イットリウム結晶のへ相転移を抑制して、IM40−2/IC222を0.1以下に制御するためには、次のような製造方法とすれば良いことを見出した。すなわち、この製造方法は、平均粒径が0.4〜5μmの立方晶の酸化イットリウム粉末を造粒し、造粒後の粉体の平均粒径を10〜100μm、かつ粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下とした造粒粉を、金属またはセラミックスからなる基材の表面に吹き付け速度100〜300m/秒でプラズマ溶射することにより耐食面を形成する製造方法である。この製造方法を具体的に説明する。
先ず、平均粒径が0.4〜5μmの立方晶の酸化イットリウム粉末を造粒し、造粒後の粉体の平均粒径を10〜100μm、かつ粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下とした造粒粉を、金属またはセラミックスからなる基材の表面に、吹き付け速度100〜300m/秒でプラズマ溶射することにより耐食面を形成するものである。なお、プラズマ温度は4000〜20000℃に制御する。
これにより耐食性に優れた酸化イットリウム膜を有する耐食性部材を製造することができる。この理由は次のように考えられる。
立方晶酸化イットリウムからなり、平均粒径0.4〜5μmの酸化イットリウム粉末を用いるのは、溶射中に立方晶酸化イットリウムが単斜晶酸化イットリウムに相転移しても、皮膜層のIM40−2/IC222が0.1を超える恐れがほとんどないからである。平均粒径が0.4μm未満または5μmを超えた場合は、皮膜層のIM40−2/IC222が0.1を超える恐れがある。
また、造粒後の粉体の平均粒径を10〜100μmとするのは、10μm未満では溶射の際に皮膜層を形成することが困難であるからであり、100μmを超えると溶射の際に酸化イットリウム粉末が基材に高速で衝突し、この時に立方晶酸化イットリウム粒子が大きな応力を受けて単斜晶酸化イットリウムに相転移しやすいため、皮膜層のIM40−2/IC222が0.1を超える恐れがあるためである。
さらに、粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下とした造粒粉を用いる必要があるのは、次のような理由によると考えられる。造粒粉を構成する個々の造粒粒子は、各々が高速・高温で基材に衝突する。この衝突の瞬間に造粒粒子は機械的な衝撃を受けるので、個々の造粒粒子は基材に垂直な方向がつぶれた形に変形し、固着する。これが断続的に起こって溶射皮膜が形成される。立方晶酸化イットリウムの一部が単斜晶酸化イットリウムに相転移する現象は主に、この衝突、変形、固着の際に起こると考えられる。標準偏差が平均粒径の30%未満であると造粒粒子の粒径のばらつきが大きくなるので、個々の造粒粒子が受ける衝突時の衝撃、変形量、固着の度合いのばらつきが大きくなる。個々の造粒粒子が受ける衝突の際の衝撃が異なると、衝突の際に起こる相転移の割合が個々の造粒粒子間で異なるだけでなく、相転移に伴う酸化イットリウム結晶の体積減少の割合がばらつくので、造粒粒子の変形、固着の際に起こる相転移を助長し、結果として、単斜晶酸化イットリウムの割合が増加し、溶射皮膜のIM40−2/IC222が0.1を超える恐れがある。この相転移の助長を抑制するためには、造粒粉の平均粒径のばらつきを抑制することが必要であり、具体的には造粒粉の粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下とすることが必要となる。
また、吹き付け速度100〜300m/秒でプラズマ溶射するのは、100m/秒未満であると皮膜層が基材に強固に固着せず、皮膜層が剥げ落ちてしまい、300m/秒を超えると、酸化イットリウム粉末が基材に衝突した際に粉末を構成する酸化イットリウム粒子が大きな衝撃を受け、造粒粉の粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下としたとしても、この衝撃によって立方晶酸化イットリウムの粒子の多くが単斜晶酸化イットリウムの粒子に相転移してしまい、IM40−2/IC222が0.1を超えるためである。吹き付け速度が100〜300m/秒であると、基材に皮膜層を強固に固着でき、かつ皮膜層表面のIM40−2/IC222の上限値を0.1とすることができる。
この製造方法により耐食性部材を製造する際に用いる基材は、上述と同様なものを用いることができるが、より好ましくは、基材としてアルミナ質焼結体を用いる。
また、立方晶酸化イットリウムからなる粉末の平均粒径は、上述した方法により測定することができる。また、造粒後の粉体の平均粒径は、造粒体を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して測定することができる。
酸化イットリウム膜を有する耐食性部材の製造方法について、さらに実験を重ねた結果、IM40−2/IC222の下限値を0.005に制御するには、溶射の際のプラズマ温度を5000〜10000℃に制御すれば良いことがわかった。
上述のように得られた耐食性部材は、各種の半導体・液晶製造装置用部材として好適に用いることができる。
例えば、半導体を製造するためにドライエッチングを行う際、これらの腐食性ガスに暴露される部材や、これらの腐食性ガスにマイクロ波等の高周波を照射して腐食性ガスをプラズマ化し、このプラズマに暴露される部材等として用いることができ、腐食性ガスのプラズマに暴露されても、優れた耐食性を有し、部品交換の頻度を少なくできるために、製造コストを抑えることが可能となる。
なお、ドライエッチングにより行われるエッチング効果を高めるために、腐食性ガスとともに、Ar等の不活性ガスを導入してプラズマを発生させることもある。腐食性ガスによりエッチング可能な材料としては、酸化膜系材料(th−SiO、PSG、BPSG、HTO、P−SiO、P−TEOS、SOG等)、窒化膜系材料(P−SiN、LP−SiN等)、シリコン系材料(Si、Poly−Si、a−Si、WSi、MoSi、TiSi等)、金属系材料(Al、Al合金、TI、TiN、TiW、W、Cu、Pt、Au等)がある。
ここで、本発明の半導体・液晶製造装置は、上記半導体・液晶製造装置用部材を具備することにより、微細な配線を形成した半導体を、不良を抑制したまま製造することが可能となる。本発明の耐食性部材を用いた半導体・液晶製造装置の一例を図1、2に示す。
図1は本発明の耐食性部材を用いた半導体・液晶製造装置の一例であるドライエッチング装置を示す。図1中、1はチャンバを、2はクランプリングまたはフォーカスリングを、3は下部電極を、4はウエハを、5は誘導コイルを示す。図1の装置では、チャンバ1の中にハロゲン元素を含む腐食性ガスを注入し、周りに巻かれている誘導コイル5に高周波電力を印加して、ハロゲン元素を含むガスをプラズマ化する。また、下部電極3にも高周波電力を与え、バイアスを発生させ、クランプリング2で固定されたウエハ4に所望のエッチング加工を行う。本装置にて発生したプラズマはチャンバ1や、ウエハ4を固定しているクランプリング2に接触するために、これらの部品は特に腐食を受けやすい。そこでチャンバ1やクランプリング2を本発明の耐食性部材で形成することによって、優れた耐食性を示し、また熱衝撃による割れ等も防止することが可能となる。また、クランプリングは、腐食性ガスのプラズマに対する優れた耐食性を有しており、この耐食性リングは、その部品交換の頻度を少なくできるために、製造コストを抑えることが可能となる。
図2は、本発明の耐食性部材を用いた半導体・液晶製造装置の一例である、誘導結合型プラズマエッチング装置を示す概略断面図である。図2中の参照符号10が本発明の耐食性部材である処理容器である。この処理容器10はドーム状をなし、内壁表面には粗面部11を有しており、その下に金属製の下部チャンバ12が処理容器10に密着するように設けられ、これらによりチャンバ12が構成されている。下部チャンバ12内の上部には支持テーブル13が配置され、その上に静電チャック14が設けられており、静電チャック14上に半導体ウエハ15が載置される。静電チャック14の電極には直流電源が接続されており、これにより半導体ウエハ15を静電吸着する。また、支持テーブル13には高周波電源(RF電源)が接続されている。一方、下部チャンバ12の底部には真空ポンプ18が接続されており、下部チャンバ12内を真空排気可能となっている。また、下部チャンバ12の上部には半導体ウエハ15の上方にエッチングガス、腐食性ガス6として例えばCFガスを供給するガス供給ノズル16が設けられている。処理容器用10の周囲には誘導コイル17が設けられており、この誘導コイル17には高周波電源から例えば400kHzの高周波が印加される。
このようなエッチング装置においては、真空ポンプ18によりチャンバ12内を所定の真空度まで排気し、静電チャック14により半導体ウエハ15を静電吸着した後、ガス供給ノズル16からエッチングガスとして例えばCFガスを供給しつつ、RF電源から誘導コイル18に給電することにより、半導体ウエハ15の上方部分にエッチングガスのプラズマが形成され、半導体ウエハ15が所定のパターンにエッチングされる。なお、高周波電源から支持テーブル13に給電することにより、エッチングの異方性を高めることができる。
このようなエッチング処理の際、処理容器10の内面は腐食性ガス例えばCFガスのプラズマによる腐食を受けるとともに、フッ化物膜等が付着する。しかしながら、処理容器10は上述した本発明の半導体・液晶製造装置用部材で構成されているため、プラズマに対する耐食性が高いとともに、大きなパーティクルが落下しにくい。
本発明の耐食性部材は、図1、2のような半導体・液晶製造装置用部材に限らず、他のエッチング装置やCVD成膜装置等、腐食性ガスのプラズマに曝される半導体・液晶製造装置用の部材としてあらゆる部分に適用することが可能であるが、特に半導体・液晶製造装置用部材であるプラズマ処理容器などの大型の処理容器として好適に用いることができる。この処理容器は、直径が200mm以上の大型なものが多用されており、その形状も図2に示すようなドーム型を成すため、焼結体で形成した場合にその密度がばらつきやすい。そのため、上述の焼結体からなる耐食性部材を用いることで、均一な密度を有する処理容器を提供することができ、プラズマに対する耐食性が高いとともに、大きなパーティクルが落下しにくいものとなる。
次いで、本発明の実施例を説明する。
平均粒径が0.3〜3μmの立方晶酸化イットリウム(Y)粉末100質量部に対して、有機バインダーとしてポリビニルアルコールを4質量部添加、混合後、造粒し、造粒粉を得た。この造粒粉を金型を用いて成形圧Pで粉末プレス成形し、さらに静水圧プレスを用いて圧力Pまで昇圧して等方加圧して120mm×120mm×30mmの形状から成る耐食性部材前駆体である成形体を複数個成形した。ここで、静水圧プレスにおいて100MPa以下の成形圧における昇圧速度は10MPa/秒として、100MPaを超える成形圧における昇圧速度は表1に示す値とした。得られた成形体の密度のばらつきを次のように測定した。得られた成形体のうち1個を選び、この成形体の質量を成形体の体積で割って平均密度Dを求めた。次にこの成形体から10×10×10mmの大きさの成形体片を100個切り出し、それぞれの成形体片の密度を測定し、密度の最大値DMAXと最小値DMINを求めた。密度のばらつきの値として、DMAX−D、DMIN−Dを求めた。なお、立方晶酸化イットリウムの粉末の平均粒径(PDY)は、株式会社堀場製作所製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用いて測定した。
また、得られた120×120×30mmの成形体を、球状の電融アルミナ(平均粒径50μmまたは)を載せた高純度アルミナ基板上に載置し、同一の上記成形体内の温度ばらつきを表1の範囲内に制御しながら、表1に示す保持温度で10時間保持して焼成し、焼結体を作製した。ここで、高純度アルミナ基板のRaは試料No.7は20μmとし、試料No.7以外は5μmとした。また焼成の保持の際、同一成形体内の温度ばらつきを次のように測定した。焼成中の耐食性部材の近傍に、厳密に温度校正した白金/ロジウム系の熱電対を複数配置して、成形体近傍の温度ばらつきを測定するか、または、焼成中の耐食性部材の温度を厳密に温度校正した光高温計により測定し、耐食性部材の各部分の温度ばらつきを測定した。
得られた焼結体を硝酸水溶液中で超音波洗浄し、さらに純粋中で超音波洗浄、乾燥して本発明の試料を作製した。得られた試料の特性を次のように評価した。
(X線回折ピーク強度比IM40−2/IC222
株式会社リガク製X線回折装置RINT2000/PCシリーズを用いて、得られた試料表面をCuKα線を用いたX線回折法により分析した。立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属X線回折ピーク強度IC222は、JCPDSカードNo.43−1036を参照し、面間隔3.05〜3.09ÅにあるX線回折ピークの強度とした。単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属X線回折ピーク強度IM40−2は、JCPDSカードNo.44−0399を参照し、面間隔2.91〜2.93ÅにあるX線回折ピーク強度とした。これらの値(IM40−2、IC222)を用いて、IM40−2/IC222を計算した。
(4点曲げ強度)
試料からJIS R1601に準ずる試験片を切り出し、4点曲げ試験にて曲げ強度(SF4)(7本平均)を測定した。
(腐食性ガス中でのエッチングレート比)
本発明の試料と基準試料(アルミナ含有量99.9質量%のアルミナ質焼結体からなる基板)とをRIE(Reactive Ion Etching)装置に同時にセットし、装置内にCFとArの混合ガス(体積比1:1)を導入、このガスをプラズマ化させて、このプラズマに100時間暴露し、本発明の試料と基準試料の重量をプラズマに暴露する前と後でそれぞれ測定した。本発明の試料と基準試料は、プラズマに暴露することによって重量減少しており、この重量減少をもとにして本発明の試料と基準試料各々の1分間当たりのエッチングレート(下記式により計算)を算出した。
エッチングレート=プラズマに暴露される前と後での試料の重量減少(g)/(プラズマに暴露された試料の面積(cm)×プラズマ中への暴露時間(分))
エッチングレート比(RER)は、本発明の試料のエッチングレートを基準試料のエッチングレートで割ることにより求めた。
(パーティクルの個数)
エッチングレート比の測定後の試料を細い金属線を用いて硝子容器に入れた純水中に吊し、その状態でCleansonic製超音波洗浄機BRANSON DHA−1000にて超音波を1分間かけた。その後、硝子容器から金属線に吊した試料を取出して、純水中のパーティクルをパーティクルカウンター(リオン株式会社製KL−26)で測定した。表1のパーティクルの個数は、超音波洗浄によって純水中に放出された純水1ml当たりのパーティクル数(個/ml)をKL−26により測定し、このパーティクル数と試料表面の面積とを用いて試料表面の面積1cm当たりから放出されたパーティクルの個数(個/cm)に換算した値である。なお、パーティクルの個数は、粒径0.1μm以上、0.3μm以上、0.5μm以上のパーティクルの個数を測定し、これらの個数から粒径0.1〜0.3μmのパーティクル、0.3〜0.5μmのパーティクル、0.5μm以上のパーティクルの個数(個/cm)をそれぞれ計算した。
結果を表1に示す
Figure 2006089338
表1から明らかなように、IM40−2/IC222の値が0.1以下である本発明の試料No.1〜7は、エッチングレート比が0.36以下と小さく、パーティクルについては粒径0.3μm以上のものは発生せず、粒径0.1〜0.3μmのパーティクルが25個/cm以下と少なかった。また、4点曲げ強度が90MPa以上と高くなった。
また、試料No.4のX線回折チャートを図3に示す。図3において、横軸は入射X線の回折角2θ(°)である。縦軸は回折したX線のピーク強度である。立方晶酸化イットリウムのピークは○または■で示し、このうち■はミラー指数(222)面のピークを示している。また、単斜晶酸化イットリウムのピークは△または▲で示し、このうち▲はミラー指数(40−2)面のピークを示している。試料No.4のIM40−2/IC222の値は、図3の▲のピーク強度を■のピーク強度で割ることにより求められ、IM40−2/IC222=0.015となった。
これに対して、IM40−2/IC222の値が0.1よりも大きい比較例の試料No.8〜11は、エッチングレート比が0.5以上と大きくなった。また、パーティクルについては粒径0.3μm以上のものが発生したのみならず、粒径0.1〜0.3μmのパーティクルも実施例よりも多く発生した。また、IM40−2/IC222の値が0.2以上の試料No.11は4点曲げ強度が80MPaと低くなった。
(実施例2)
平均粒径が0.4〜5μmの立方晶酸化イットリウムからなる粉末100質量部に対して、積水化学工業株式会社製のブチラール樹脂エスレックBの水溶液を、エスレックBが2質量部となるように混合後、転動造粒、乾燥し、造粒粉を作製した。得られた造粒粉を遠心力型風力分級機を用いて分級し、分級後の造粒粉が表2の平均粒径および標準偏差を有するように調整した。ここで、立方晶酸化イットリウムからなる粉末の平均粒径(PDY)は、実施例1と同様に測定した。また、分級後の造粒粉を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、この粉体の粒径を測定して分級後の造粒粉の平均粒径を計算した。
次いで、焼結体からなる100×100×10mmの形状のアルミナ基板(アルミナ含有量99.9質量%)の表面全体に、分級後の造粒粉を用いて次の条件で大気プラズマ溶射した。
溶射雰囲気:大気中
溶射距離(溶射ノズルとアルミナ基板との距離):100mm
プラズマ温度:5000〜10000℃(推定値)
造粒粉の吹き付け速度(V):50〜300m/秒(Y粉末換算)
造粒粉の吹き付け量:10g/分(Y粉末換算)
なお、溶射ノズルは、溶射ノズルとアルミナ基板との距離を一定に保ちながら20m/分の速度で溶射面に対して平行に移動させ、酸化イットリウムの皮膜層をアルミナ基板の表面全体に溶射により形成した。酸化イットリウムの皮膜層を形成させた後、実施例1と同様に硝酸水溶液中で超音波洗浄し、さらに純粋中で超音波洗浄、乾燥して本発明の試料を作製した。
実施例1と同様にして、得られた試料のエッチングレート比(RER)、パーティクルの個数を測定した。
結果を表2に示す。
Figure 2006089338
表2から明らかなように、IM40−2/IC222の値が0.1以下である本発明の試料No.12〜17は、エッチングレート比が0.35以下と小さく、パーティクルについては粒径0.3μm以上のものは発生せず、粒径0.1〜0.3μmにおいてもパーティクルが17個/cm以下と少なかった。
また、試料No.14のX線回折チャートを図4に示す。図4においては、図3と同様、横軸は入射X線の回折角2θ(°)、縦軸は回折したX線のピーク強度を示している。また、同様に立方晶酸化イットリウムのピークは○または■、単斜晶酸化イットリウムのピークは△または▲で示している。試料No.14のIM40−2/IC222の値は、図4の▲のピーク強度を■のピーク強度で割ることにより求められ、IM40−2/IC222=0.02となった。
これに対して、IM40−2/IC222の値が0.1よりも大きい比較例である試料は、エッチングレート比が0.68以上と大きく、パーティクルについても粒径0.3μm以上のものが発生したのみならず、粒径0.1〜0.3μmのパーティクルも本発明の試料よりも多く発生した。また、造粒粉の平均粒径を6μmと小さくすると皮膜層ができなかった(試料No.17)。また、吹き付け速度を28m/秒とすると皮膜層が剥げ落ちた(試料No.20)。
本発明の耐食性部材を用いたドライエッチング装置の概略断面図である。 本発明の耐食性部材を用いた誘導結合型プラズマエッチング装置の概略断面図である。 本発明の耐食性部材のX線回折パターンを示す図である。 本発明の耐食性部材のX線回折パターンを示す図である。
符号の説明
1、12:チャンバ
2:クランプリングまたはフォーカスリング
3:下部電極
4:ウエハ
5:誘導コイル
6:腐食性ガス
10;処理容器
11;粗面部
13;支持テーブル
14;静電チャック
15;半導体ウエハ
16;ガス供給ノズル
17;誘導コイル
18:真空ポンプ

Claims (8)

  1. 少なくとも腐食性ガスやそのプラズマに暴露される耐食面が立方晶の酸化イットリウムを主成分とし、単斜晶の酸化イットリウムを含有してなる耐食性部材であって、上記耐食面のX線回折における立方晶酸化イットリウムの(222)面帰属ピーク強度をIC222、単斜晶酸化イットリウムの(40−2)面帰属ピーク強度をIM40−2とするとき、IM40−2/IC222が0.1以下であることを特徴とする耐食性部材。
  2. 上記IM40−2/IC222が0.005以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性部材。
  3. 上記耐食面が焼結体からなり、焼結体の平均密度に対する密度のばらつきが±0.1g/cmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性部材。
  4. 上記耐食面が溶射皮膜からなり、溶射皮膜の残留応力が100MPa以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性部材。
  5. 平均粒径が3μm以下の立方晶酸化イットリウムからなる粉末に有機バインダーを添加、混合してなる原料粉末を成形して成形体を作製する成形工程と、得られた成形体を1500〜2000℃で保持して焼成する焼成工程とを含み、上記成形工程における成形圧が100MPaを超えた時点から昇圧速度0.2〜1MPa/秒で昇圧し、且つ上記焼成工程における成形体内の温度ばらつきを20℃以内とすることを特徴とする耐食性部材の製造方法。
  6. 平均粒径が0.4〜5μmの立方晶の酸化イットリウム粉末を造粒し、造粒後の粉体の平均粒径を10〜100μm、かつ粒径の標準偏差を平均粒径の30%以下とした造粒粉を、金属またはセラミックスからなる基材の表面に吹き付け速度100〜300m/秒でプラズマ溶射することにより耐食面を形成することを特徴とする耐食性部材の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の耐食性部材を用いたことを特徴とする半導体・液晶製造装置用部材。
  8. 前記半導体・液晶製造装置用部材を用いたことを特徴とするプラズマ処理容器。
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