JP2006084062A - 石炭焚き火炉の運用方法と装置 - Google Patents

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三紀 下郡
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Abstract

【課題】低品位炭と高品位炭を混焼させる際の灰付着を制御する石炭焚きボイラの運用方法と装置を提供すること。
【解決手段】
二種類以上の石炭をボイラ火炉内で混焼させる際、火炉運転時の収熱量低下速度が基準となる石炭の収熱量低下速度の10倍以下になるように混炭比率を調整すること、及び高品位炭を単味で焚いた際のスートブロア運用直前の火炉収熱量をQw1とし、これと運用時の収熱量が等しくなったらスートブロアを運用する方法と装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、高品位炭と低品位炭からなる2種類以上の石炭を混焼させる石炭焚き火炉の運用方法と装置に関する。
近年、発電単価を下げるために低品位炭と高品位炭を効果的に混焼させる運用方法が必要とされている。発電単価を下げるには低品位炭のブレンド比率(以下、混焼比率と称す)を増加することが効果的であるが、低品位炭の混焼比率を増やすと火炉への灰付着が懸念される。ここで高品位炭とは瀝青炭、無煙炭などの発熱量の比較的高い石炭をいい、低品位炭は亜瀝青炭、褐炭などの発熱量の比較的低い石炭をいう。
火炉への灰付着が引き起す具体的な問題点として、(1)火炉の水壁などの伝熱面に多量の灰が付着し、火炉収熱量が低下すること、(2)付着灰の形態が成長する段階で除去しやすい(強度の低い)クリンカから除去しにくい(強度の高い)クリンカに変化し、スートブロアの運用によっても収熱が回復しないことなどが挙げられる。
従来は低品位炭と高品位炭の混焼時の収熱低下特性が十分把握されていなかったため、ブレンドの仕方に一定の基準を設けるような運用方法は提示されていなかったが、近年特に国内火力発電所用のボイラでは前記混焼を推奨する傾向があり、運用方法の提示が急務となっている。
その対策の一例として、本出願人の発明である下記特許文献1には火炉壁を構成する水冷壁の熱交換量の過熱器に対する相対割合の増加又は減少を検知して、その検知に基づいて低品位炭と高品位炭からなる複数の燃料の混合割合を調整して燃焼中の灰が過熱器に付着しないようにする方法が提案されている。
特開平11−304143号公報
上記本出願人の出願発明のように低品位炭と高品位炭の混焼比率を調整してボイラ火炉内での石炭を効果的に燃焼させて伝熱管による熱交換性能をできるだけ良くする試みがなされているが、十分ではない。
本発明の課題は、低品位炭と高品位炭を混焼させる際の灰付着を制御する石炭焚き火炉の運用方法と装置を提供することである。
請求項1記載の発明は、高品位炭と低品位炭からなる2種類以上の石炭を混合して燃焼させ、石炭の燃焼により発生する熱を吸収する伝熱面を備えた石炭焚き火炉の運用方法において、火炉運用時の火炉収熱量の低下速度が基準となる石炭の火炉収熱量の低下速度の10倍以下になるように前記複数の石炭の火炉への供給量により各石炭の混炭比率を調節する石炭焚き火炉の運用方法である。
請求項2記載の発明は、火炉運用時の火炉収熱量が高品位炭を単味で火炉内で燃焼させた際の火炉内に付着する灰を除去するスートブロア運用直前の予め決められた火炉収熱量と等しくなったらスートブロアを作動させる請求項1記載の石炭焚き火炉の運用方法である。
請求項3記載の発明は、高品位炭と低品位炭からなる2種類以上の石炭を混合して燃焼させるバーナと該バーナでの石炭の燃焼により発生する熱を吸収する伝熱面を備えた火炉と、前記2種類以上の石炭をバーナへ供給する量をそれぞれ調節する石炭供給量調節手段と、該各石炭の供給量調節手段で調節した各々の石炭を粉砕する粉砕機と、該粉砕機で粉砕された混合炭をバーナに供給するための燃料供給手段と、火炉運用時の火炉内での収熱量測定装置と、該収熱量測定装置で得られた伝熱面の収熱量の低下速度が基準となる石炭の伝熱面の収熱量の低下速度の10倍以下になるように前記石炭供給量調節手段による各石炭のバーナへの供給量により各石炭の混炭比率を調節する制御装置とを設ける石炭焚き火炉の運用装置である。
請求項4記載の発明は、火炉内に付着する灰を除去するスートブロアを設け、制御装置は、高品位炭を単味で火炉内で燃焼させた際の火炉内に付着する灰を除去するスートブロア運用直前の予め決められた火炉収熱量と等しくなったらスートブロアを作動させる構成を備えた請求項3記載の石炭焚き火炉の運用装置である。
(作用)
請求項1、3記載の発明では、低品位炭と高品位炭をボイラ火炉内で混焼させる際、ボイラ運転時の火炉収熱量低下速度が基準となる石炭の火炉収熱量低下速度の10倍以下になるように前記2種類以上の石炭の混炭比率を調整することにより、(1)火炉内の伝熱面に多量の灰が付着し、火炉収熱量が低下すること、及び(2)前記付着灰の形態が成長する段階で除去しやすい(強度の低い)クリンカから除去しにくい(強度の高い)クリンカに変化し、スートブロアの運用によっても収熱が回復しないことの2つの問題点を解決することができる。
請求項2、4記載の発明では、基準となる石炭を火炉内で燃焼させた際のスートブロア運用直前の火炉収熱量Qw1に対し、運用中の石炭の火炉収熱量低下速度からQw1に達する時間を算出し、スートブロア運用間隔を決定することにより、(1)火炉内の伝熱面に多量の灰が付着し、火炉収熱量が低下すること、及び(2)前記付着灰の形態が成長する段階で除去しやすい(強度の低い)クリンカから除去しにくい(強度の高い)クリンカに変化し、スートブロアの運用によっても収熱が回復しないことの2つの問題点を解決することができる。
請求項1〜4記載の発明では、次のような効果がある。
(1)火炉に灰付着を引き起すことのない範囲で低品位炭の混焼比率を上げることができるため、効果的に発電単価を下げることができる。
(2)スートブロアによる火炉内の伝熱面での灰除去機能を最大限に利用できるため、メンテナンスコストを低減できる。
(3)灰除去が容易になるため、メンテナンス時に必要な定期点検期間が従来より短くなる。
(4)多炭種対応が可能であるため、運用コストが下げられる。
本発明による実施例を図面と共に説明する。
図1に本実施例の構成図を示す。ボイラの火炉1の対向する2つの壁面に複数のバーナ2が上下方向に複数段配置され、該バーナ2の上方にはアフターエアポート3が配置される。また、火炉内の要所には複数のスートブロア11が配置される。またバーナ2には低品位炭ホッパ4と高品位炭ホッパ5から石炭が供給される。低品位炭ホッパ4と高品位炭ホッパ5からそれぞれダンパ9,10を経由して粉砕機6に設定された量の低品位炭と高品位炭が供給され、粉砕機6で粉砕された混合炭は微粉状の石炭となり、バーナ2に供給される。
また火炉1には収熱量データ収録装置7が設置されているので、該装置7で得られたボイラ運用中の火炉収熱量データは制御装置8に送信され、該制御装置8により運用中の石炭の火炉収熱量低下速度△Qw/△t(Qw:火炉収熱量、t:運転時間)を得ることができる。例えば10分おきの火炉1の収熱量低下速度△Qw/△tを随時算出する。
混焼時の前記速度△Qw/△tが高品位炭単味の燃焼時の前記速度△Qw/△tに対して10倍以下となるようダンパ9,10の開度を調整する。
複数の石炭を用いる混焼時の火炉1の収熱量低下速度△Qw/△tを高品位炭単味の前記速度△Qw/△tに対して10倍以下に制御する根拠を以下説明する。
図2は火炉1の運転時間と火炉収熱量の関係を示したものである。実機では一般的に2〜3時間おきにスートブロア11を運用することにより、伝熱面上の付着灰が堆積したことによる伝熱面からの収熱量の低下と付着灰の堆積層を除去することによる収熱量の回復が繰り返されていることが良く分かる。
図3には、伝熱面への付着灰の形態と収熱量低下特性の関係を示した実験結果の一例を示す。スートブロア11の運用により除去可能な焼結灰が伝熱面などに付着した際の火炉収熱量低下速度△Qw/△tに対して、除去不可能な溶融スラグが伝熱面上などに形成された際の前記速度△Qw’/△t’は10倍より大きくなる。
従って、スートブロア11の運用で収熱回復を可能とする伝熱面付着灰の形態を維持するには混焼時の前記速度△Qw/△tを高品位炭単味の△Qw/△tに対して10倍以下に制御する必要がある。混焼時の前記速度△Qw/△tが高品位炭単味の前記速度△Qw/△tに対し10倍より大きくなる際は、先に示したように制御装置8から低品位炭用のダンパ9の開度を閉じ、高品位炭用のダンパ10の開度を開くという操作を行う。
図4は低品位炭混焼比率の上限をイメージ的に示したものである。図4から分かるように、低品位炭混焼比率をあまり高くすることはできない。
次にスートブロア11の運用制御について述べる。
混焼時の前記速度△Qw/△tを高品位炭単味の前記速度△Qw/△tに対して10倍以下に制御した場合でも、火炉の水壁などの伝熱面に付着した灰は火炉内の高温雰囲気下に置かれているうち、除去しにくい溶融スラグへと変化するおそれがある。溶融スラグに変化する傾向は低品位炭の混焼比率が増えると共に強くなる。従って、混焼時はスートブロア11の運用頻度を増やすことが望ましい。具体的には高品位炭を単味で燃焼させた際のスートブロア11の運用直前の火炉収熱量をQw1とし、収熱量データ収録装置7のデータから、これと等しくなった時点で、制御装置8を介してスートブロア1を運用する。
一般的には各ケースにおいてスートブロアの運用直後の火炉収熱量に対して所定の割合(x%)以下になったら、スートブロアを運用することが多いが、この手法では急激に収熱量が低下し、溶融スラグが形成されている致命的状況があっても、これを事前に避けることができない。
本実施例によれば、スートブロアの運用頻度が高くなるものの、火炉に灰付着を引き起すことのない範囲で最多量の低品位炭を用いることができる混焼比率で低品位炭を高品位炭と混焼させることができ、効果的に発電単価を下げることができるため、十分に発電コストの低減ができる。
また、本実施例では、スートブロアによる灰除去機能を最大限に利用でき、さらに灰除去が容易になるためメンテナンス時に必要な定期点検期間が従来より短くなり、さらに多炭種対応が可能であるため運用コストが下げられる等の利点がある。
本発明は、低品位炭と高品位炭を混焼させる際の灰付着を制御する石炭焚きボイラの運用が可能となる。
本発明による実施例の概要を示す図である。 石炭焚き火炉の運転時間と火炉収熱量低下の関係を示す図である。 石炭焚き火炉の付着灰の形態と収熱量低下特性を示した実験結果の一例を示す図である。 本発明の実施例の混焼比率の上限を示す図である。
符号の説明
1 火炉 2 バーナ
3 アフターエアポート 4 低品位炭ホッパ
5 高品位炭ホッパ 6 粉砕機
7 収熱量データ収録装置 8 制御装置
9,10 ダンパ 11 スートブロア

Claims (4)

  1. 高品位炭と低品位炭からなる2種類以上の石炭を混合して燃焼させ、石炭の燃焼により発生する熱を吸収する伝熱面を備えた石炭焚き火炉の運用方法において、
    火炉運用時の火炉収熱量の低下速度が基準となる石炭の火炉収熱量の低下速度の10倍以下になるように前記複数の石炭の火炉への供給量により各石炭の混炭比率を調節することを特徴とする石炭焚き火炉の運用方法。
  2. 火炉運用時の火炉収熱量が高品位炭を単味で火炉内で燃焼させた際の火炉内に付着する灰を除去するスートブロア運用直前の予め決められた火炉収熱量と等しくなったらスートブロアを作動させることを特徴とする請求項1記載の石炭焚き火炉の運用方法。
  3. 高品位炭と低品位炭からなる2種類以上の石炭を混合して燃焼させるバーナと該バーナでの石炭の燃焼により発生する熱を吸収する伝熱面を備えた火炉と、
    前記2種類以上の石炭をバーナへ供給する量をそれぞれ調節する石炭供給量調節手段と、
    該各石炭の供給量調節手段で調節した各々の石炭を粉砕する粉砕機と、
    該粉砕機で粉砕された混合炭をバーナに供給するための燃料供給手段と、
    火炉運用時の火炉内での収熱量測定装置と、
    該収熱量測定装置で得られた伝熱面の収熱量の低下速度が基準となる石炭の伝熱面の収熱量の低下速度の10倍以下になるように前記石炭供給量調節手段による各石炭のバーナへの供給量により各石炭の混炭比率を調節する制御装置と
    を設けることを特徴とする石炭焚き火炉の運用装置。
  4. 火炉内に付着する灰を除去するスートブロアを設け、
    制御装置は、高品位炭を単味で火炉内で燃焼させた際の火炉内に付着する灰を除去するスートブロア運用直前の予め決められた火炉収熱量と等しくなったらスートブロアを作動させる構成を備えたことを特徴とする請求項3記載の石炭焚き火炉の運用装置。
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