JP2006083467A - 陽極酸化皮膜および陽極酸化処理方法 - Google Patents

陽極酸化皮膜および陽極酸化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 充分な耐食性、耐衝撃性を備えた均一で緻密な皮膜陽極酸化皮膜を形成したアルミニウムまたはアルミニウム合金部材を得る。
【解決手段】 アルミニウムまたはアルミニウム合金12の表面に形成した陽極酸化皮膜11であって、該陽極酸化皮膜11のセル14がアルミニウムまたはアルミニウム合金12の表面に対してランダムな方向に成長し、配向性を持たない陽極酸化皮膜。
【選択図】 図1

Description

本発明はアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に施した陽極酸化(アルマイト)皮膜およびかかる皮膜を得るための陽極酸化処理方法に関する。本発明は、特には、耐食性に優れ、均一な膜厚を有する陽極酸化皮膜およびかかる皮膜を得るための陽極酸化処理方法に関する。
従来から、アルミニウムまたはアルミニウム合金表面に陽極酸化皮膜を施した部材は腐食条件下で用いられる自動車部品等の用途において用いられている。しかし、船外機などの高い耐食性を必要とするアルミニウム部品では、陽極酸化(アルマイト)処理を行った後、陽極酸化皮膜のハニカム状のセルに生ずる孔から母材への錆の侵食を防ぐため、防錆処理を必要としていた。
例えば、特許文献1では耐食性の向上を目的として、陽極酸化処理後に封孔処理を行う方法が記載されている。特に、図15に示す装置を用いた従来の直流による陽極酸化処理では、陽極酸化皮膜においてセルが直線的に成長するため、セルに生ずる孔も直線的になりやすく、錆の原因となる水分の孔への浸入が起こりやすい。それを防ぐためには、前述の封孔処理のような防錆処理が必要である。
また、エンジンのピストンの第1リングの溝などに耐摩耗性向上を目的とした陽極酸化処理を行う場合、ピストン等に使用されるアルミニウムまたはアルミニウム合金は、シリコンの含有量が多く(8質量%以上30質量%以下)、偏析しているため、均一に陽極酸化皮膜を成長させることが困難であり、皮膜厚さのばらつきも大きくなる。また、シリコンに限らず、不純物及び/または添加物を含む場合、不純物及び/または添加物周辺では陽極酸化皮膜の成長が阻害される傾向がある。これは陽極酸化皮膜のハニカム状のセルが一方向(母材表面に対して垂直方向)へ成長するため、シリコン等の不純物及び/または添加物の析出が多い箇所では、不純物及び/または添加物により陽極酸化皮膜の成長が阻害され、陽極酸化皮膜の生成がしにくくなるためである。
この問題点を解決する方法として、例えば特許文献2には、TIG溶接装置を使用して高密度エネルギー熱線で表面付近に析出しているSi粒子を再溶融することで微細化ないし希釈した上で、陽極酸化処理を行い、これにより平滑な表面の陽極酸化(アルマイト)を得る方法が記載されている。しかし、この方法では陽極酸化処理工程以外に再溶融工程が必要であり、熱歪等の問題がある。
特許文献3には、シリコンの皮膜成長阻害により凸凹に成長した陽極酸化皮膜をローラー・バニッシング加工で機械的に押し潰して平滑表面を得る方法が記載されている。しかし、この方法では陽極酸化処理工程以外にローラー・バニッシング工程が必要であり、ピストンのリング溝部等の細部、ローラー・バニッシングによる破損の可能性がある場所には適用が困難であった。
特許文献4には、リン酸、フッ化物水溶液中で陽極酸化処理し、平滑な表面を得た後、熱硬化樹脂を微細孔に含浸させる方法が記載されている。しかし、この方法では陽極酸化処理工程以外に二つもの工程が必要である。
一方、陽極酸化皮膜中にシリコンを含有させることにより、陽極酸化皮膜の耐衝撃性を向上させることができることが知られている。しかし、従来技術においては、シリコンの周りでは陽極酸化皮膜の成長が阻害されるため、母材中のシリコンを包括し陽極酸化皮膜を生成させることは困難であった。
この問題点を解決する目的の従来技術として、特許文献5では、陽極酸化処理前に強アルカリ性溶液にて洗浄することで表面のアルミニウムを溶かし、シリコンを露出させ、露出量は回りの陽極酸化(アルミニウム)が酸化によって膨張する高さに合わせることで平滑な表面を得る方法が記載されている。しかし、この方法では、陽極酸化処理工程以外に強アルカリ洗浄工程が必要である。
特許文献6では、電子ビーム等を使用してエネルギー・ビーム熱線で表面付近に析出しているSi粒子を再溶融することで微細化かつ均一分散化した上で、陽極酸化処理を行う方法を開示している。これによりシリコンを取込みながら陽極酸化皮膜を形成することができるが、陽極酸化処理工程以外に再溶融工程が必要であり、熱歪等の問題がある。
さらに、船外機などの陽極酸化(アルミニウム)部品の防錆処理として陽極酸化処理を実施する場合は、高い防錆効果を得るため、比較的、膜厚の厚い陽極酸化皮膜を形成する必要があり、所望する厚さの皮膜を得るには、処理時間が長くかかり、陽極酸化処理時間の時間短縮は困難であった。
また、耐磨耗性向上を目的とした陽極酸化処理を行う場合、皮膜硬さを硬くする必要がある。皮膜を硬くする方法として、例えば非特許文献1には、陽極酸化処理を低温(0℃程度)で行う硬質皮膜法が紹介されている。しかし、この方法では、皮膜成長が進まない、大掛かりな冷却設備が必要となるなどの問題があった。
特公平7−103479号公報 特開平5−17899号公報 特開平10−237693号公報 特開2001−271704号公報 特開2002−89361号公報 実開平6−14620号公報 佐藤敏彦著,「アルマイト理論」,カロス出版株式会社,昭和55年1月,第27項
本発明は、耐食性に優れ、不純物及び/または添加物(シリコン等)の析出が多いアルミニウムまたはアルミニウム合金を母材とする場合においても膜厚が均一で緻密な皮膜を有し、耐衝撃性の高い陽極酸化皮膜を提供することを目的とする。また、これらの特性を備えた陽極酸化皮膜を、従来技術に比べて簡易で短い処理時間で形成する陽極酸化処理方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は10℃(5〜15℃)の陽極酸化処理でも硬質皮膜法による0℃の陽極酸化処理と同等のHV400程度の硬さを有する耐衝撃性の高い陽極酸化皮膜を提供することを目的とする。
本発明は、一局面によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成した陽極酸化皮膜であって、該陽極酸化皮膜のセルがアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に対してランダムな方向に成長し、配向性を持たない陽極酸化皮膜である。
このようなセルを有する皮膜により腐食の原因となる水などが母材に到達する時間を遅らせることができ、セルの孔を介しての母材に対する腐食を防ぐ効果を高めることが可能となる。
前記アルミニウムまたはアルミニウム合金に不純物及び/または添加物が含有され、前記陽極酸化皮膜において、前記セルが、ランダムな方向に微細に枝分かれした状態で、不純物及び/または添加物の周囲を包囲していることが好ましい。
ここで、「不純物及び/または添加物」とは、不純物または添加物、あるいはそれらの両方を意味する。
不純物及び/または添加物により陽極酸化皮膜の成長が阻害されることなく、不純物及び/または添加物の析出が多いアルミニウムまたはアルミニウム合金母材表面の不純物及び/または添加物上部にもアルマイト皮膜を形成させることが可能となり、アルミニウムまたはアルミニウム合金母材の表面にほぼ均等に陽極酸化皮膜を形成させることができる。
本発明は、一局面によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成した陽極酸化皮膜であって、該陽極酸化皮膜の前記セルが球又は楕円形状を形造り、そのセルが寄り集まってぶどうの房状に形成した構造であることが好ましい。
このようなセルを有する皮膜により、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合が低くなり、硬質皮膜法のような0℃程度までの冷却を行わなくても、10℃(5〜15℃)の陽極酸化処理でも硬さを確保することが可能となる。
前記添加物が、シリコンであることが好ましい。
このとき、上記皮膜の特性により、陽極酸化皮膜から析出シリコンが脱落することを防止し、アルミニウムまたはアルミニウム合金母材に含まれる析出シリコンが陽極酸化皮膜中にしっかりと包括されている。そして、シリコンの性質により耐衝撃性の高い陽極酸化皮膜を得ることが可能になる。
本発明は、別の局面によれば、上記陽極酸化皮膜をアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成してなるアルミニウムまたはアルミニウム合金部材である。
本発明は、別の局面によれば、処理浴中に浸漬したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品に電圧を印加することによるアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理方法であって、処理部品に、プラス電圧を印加する工程と、電荷を除去する工程とを繰り返し、1回のプラス電圧印加の通電時間が25μs〜100μsである陽極酸化処理方法である。電荷を除去する工程は、処理電源の極を短絡、もしくは極を反転させてマイナス電圧を印加することにより行うことができる。
かかる方法によれば、耐食性および耐衝撃性に優れた陽極酸化皮膜を容易に得ることができる。
前記プラス電圧印加の通電時間が、25μs〜50μsであることが好ましく、30μs〜35μsであることがさらに好ましい。かかる周波数で処理することにより、より短い処理時間で、より膜厚のばらつきの少ない陽極酸化皮膜を形成することができる。
本発明は、また、処理浴中に浸漬したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品に電圧を印加することによるアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理方法であって、交流成分を有する電源を用い、5kHz〜20kHzの周波数で処理する陽極酸化処理方法である。
かかる方法によれば、耐食性および耐衝撃性に優れた陽極酸化皮膜を容易に得ることができる。
前記周波数が10kHz〜20kHzであることが好ましく、14kHz〜16kHzであることがさらに好ましい。
かかる周波数で処理することにより、より短い処理時間で、より膜厚のばらつきの少ない陽極酸化皮膜を形成することができる。
また、本発明は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金部材であって、上記いずれかの陽極酸化処理方法により製造されたものである。
本発明により得られた陽極酸化皮膜は、封孔処理を施したものと同程度かそれ以上に耐食性に優れ、高腐食性条件下で用いるのに有効である。また、好ましくは、耐衝撃性の高い陽極酸化皮膜を得ることができる。また本発明の陽極酸化処理方法によれば、そのような特性を有する陽極酸化皮膜を容易、かつ低コストで製造することができるため、工業的に非常に有用である。
以下に、本発明を、陽極酸化皮膜の構造的な特徴、陽極酸化処理方法、陽極酸化皮膜形成のメカニズムにより特定して説明する。図面において、同じ部材には同じ符号を付して表した。
[陽極酸化皮膜の特徴]
図1に、本発明の一実施形態に係る陽極酸化皮膜の断面を模式的に表す。図示する陽極酸化皮膜11には複数のセル14が形成されている。そして、各セル14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12の表面に対してランダムな方向に成長しており、配向性を持たない。アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12とその表面に形成された陽極酸化皮膜11とは、アルミニウムまたはアルミニウム合金部材10を構成する。
母材となるアルミニウムまたはアルミニウム合金12としては、アルミニウムダイカスト材、アルミニウム鋳物材、アルミニウム展伸材等を用いることができる。具体的には、純アルミニウムが挙げられる。図示する陽極酸化皮膜11は、このようなアルミニウム母材12に、後述する陽極酸化処理方法を適用することで得られるものである。
図2(A)に、本実施形態に係る陽極酸化皮膜のセルの断面写真を示す。また、図16(A)に、従来技術である直流電解法により得られた陽極酸化皮膜のセルの断面写真を示す。図2(A)中、セルの配向を矢印で表した。本実施形態による陽極酸化皮膜は、セルが微細に折れ曲がった方向に変化して、母材の表面に対してランダムな方向にセルが成長している。つまり、セルの配向性が無いことを特徴とする。これに対し、図16(A)に示す従来の陽極酸化皮膜では、セルが、母材の表面に垂直な方向に揃った配向性を有するものである。
また、図2(B)に、本実施形態に係る陽極酸化皮膜の破断面におけるセルの外観の写真を示す。また、図16(B)に、従来技術である直流電解法により得られた陽極酸化皮膜の表面の写真を示す。本実施形態による陽極酸化皮膜は、セルがセル径の2倍に満たない高さで球又は楕円形状をほぼ連続的に形造り、そのセルが寄り集まってぶどうの房状に形成した構造である。したがって、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合が低くなる。これに対し、図16(B)に示す従来の陽極酸化皮膜では、セルが連続した筒状に形成され、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合が高くなる。なお、図1では、過度に複雑になるのを避けるため、セルが球又は楕円形状をしている点を省略して記載している。
本実施形態に係る陽極酸化皮膜11によれば、セルの成長方向が従来の様に直線ではなく、微細に折れ曲がっているため、方向が変わる箇所(折れ曲がりが生じる箇所)において、浸入してきた水に対する抵抗が生じ、母材にまで水が進行するのを防ぐことができる。また、各セルの孔の深さを、陽極酸化皮膜の厚さ以上の深さとすることができ、母材にまで水が進行する時間を遅らせることができる。従来技術による陽極酸化皮膜では、セルの孔の深さは、陽極酸化皮膜の厚さ以下にしかならないが、本実施形態の陽極酸化皮膜のセルはランダムな方向、つまり母材の表面に対して斜めに成長するためである。さらに、各セルの孔がランダムな方向を向くことから、一方向の圧力により、腐食の原因となる水などが一度に多くの孔に浸入することも防止できる。以上の特徴は、腐食の原因となる水などが母材に到達する時間を遅らせることができ、セルの孔により、母材に対する腐食を防ぐ効果を高めることが可能となる。
そして、本実施形態に係る陽極酸化皮膜は、封孔処理などの防錆処理を行わなくても高い耐食性を備える。従って、耐食性を要する陽極酸化皮膜を得るために、従来の陽極酸化、封孔処理、塗装の工程の内、封孔処理を省略することができ、工数の削減が可能となる。
また、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合を低くすることができるため、硬質皮膜法のような0℃程度までの冷却を行わなくても、10℃(5〜15℃)の陽極酸化処理でも硬さを確保することが可能となる。
図3(C)に、本発明の別の実施形態に係る陽極酸化皮膜の断面を表す概念図を示す。本実施形態による陽極酸化皮膜11は、不純物及び/または添加物13を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金母材12aに、配向性のないセル14が形成されている。各セル14は、アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12aに対しランダムな方向に成長している。また、ハニカム状のセル14は、不純物及び/または添加物13の周囲をランダムな方向に微細に枝分かれした状態で包囲している。アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12aとその表面に形成された陽極酸化皮膜11とは、アルミニウムまたはアルミニウム合金部材10aを構成している。なお、不純物及び/または添加物とは、アルミニウム、またはアルミニウム合金母材に含まれるアルミニウム以外の元素をいう。
ここで、本実施形態によるアルミニウムまたはアルミニウム合金の母材12aとしては、不純物及び/または添加物13を含むアルミニウムダイカスト材、アルミニウム鋳物材、アルミニウム展伸材等が挙げられる。本実施形態では、不純物及び/または添加物13の具体例として、特に母材の耐衝撃性を高めることができる添加物であるシリコンを挙げて説明するが、その他に不純物及び/または添加物13としては、銅、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、チタン、すず等が挙げられる。また、不純物及び/または添加物の含有量が、8質量%以上30質量%以下のものが好ましく用いられる。このような不純物及び/または添加物を含む母材の具体例としては、AC4、AC8、AC9等のAC材、ADC10〜14等のADC材、A6061等の展伸材が挙げられる。
本実施形態による陽極酸化皮膜では、図3(A)に示すように、不純物及び/または添加物13周辺において、一方向の成長長さが短く、細かく枝分かれしたハニカム状のセル14が存在する。陽極酸化皮膜11が成長する過程で、陽極酸化皮膜11の成長の阻害となる不純物及び/または添加物13が存在しても、析出した不純物及び/または添加物13を回避し、包囲しながら陽極酸化皮膜11のセルが成長している。この状態を図3(B)に示す。したがって、不純物及び/または添加物13により陽極酸化皮膜11の成長が阻害されることがない。不純物及び/または添加物13の析出が多い(例えば、8%以上30%以下)アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12表面の不純物及び/または添加物13上部にも陽極酸化皮膜11を形成することが可能となり、図3(C)に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12aの表面にほぼ均等に陽極酸化皮膜11が形成されている。
これに対して、不純物及び/または添加物13を含むアルミニウムまたはアルミニウム合金母材12aを従来の直流電解法で処理した陽極酸化皮膜21では、母材面に対して垂直な方向に侵食しながら成長したセルが存在する。アルミニウムまたはアルミニウム合金母材中12に不純物及び/または添加物13が多く析出している場合、図4(A)に示すように、表面近くの不純物及び/または添加物13周辺は陽極酸化皮膜21が成長しない。陽極酸化皮膜21の成長が進むと、図4(B)に示すように、不純物及び/または添加物13が析出している箇所は、凹部となり、陽極酸化皮膜21の厚さにばらつきが生じた状態である。さらに成長が進むと、図4(C)に示すように、不純物及び/または添加物13の脱落による深い凹部16が発生したり、内部の不純物及び/または添加物13より先は皮膜の成長が阻害された部分17が生じたりする。すなわち、従来技術で処理されたアルミニウムまたはアルミニウム合金部材20は、陽極酸化皮膜21の厚さのばらつきが大きいものであった。
本実施形態による陽極酸化皮膜11は、従来法で製造した陽極酸化皮膜21と比べて、膜厚が均一で緻密である。また、微細に枝分かれしたセル構造により、セルの孔内への水分の浸入をさらにしにくくすることができ、耐食性を更に向上させることが可能となる。さらに、本実施形態による陽極酸化皮膜11では、ランダムな方向へ微細に枝分かれしたセルに、シリコンが包囲された特徴を持つ。この特徴により、陽極酸化皮膜11から析出シリコンが脱落することを防止し、アルミニウムまたはアルミニウム合金母材12aに含まれる析出シリコンが陽極酸化皮膜中にしっかりと包括され、シリコンの性質により耐衝撃性の高い陽極酸化皮膜を得ることが可能になる。なお、本実施形態においてもセルが球又は楕円形状を形造っているが、図3でもこれを省略して記載している。
[陽極酸化処理方法]
次に、本発明に係る陽極酸化皮膜を、その陽極酸化処理方法により説明する。
本発明の一実施形態による陽極酸化処理方法は、処理浴中に浸漬したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品に、プラス電圧を印加する工程と、電荷を除去する工程とを繰り返すことによる。
ここで、本実施形態による陽極酸化処理方法は、電解浴と電源とを備える電解装置により実施することができる。図5に本実施形態に係る陽極酸化処理方法に用いる電解装置の一例を示す。図5に示す装置は、電解浴2と、陽極電送線3と、対の陰極板4と、陰極電送線5と、電源6とから構成され、主にアルミニウムまたはアルミニウム合金から成る処理部品1を取り付けることができるようになっている。
処理部品1は、陽極酸化処理対象となるものである。処理対象となるのは、アルミニウム又はアルミニウム合金である。用途により、シリコンなどの添加物や、その他の不純物、あるいはそれらの両方が含まれているものであってもよく、含まれていないものであってもよい。アルミニウム合金には、例えば、アルミニウムダイカスト材、アルミニウム鋳物材、アルミニウム展伸材等があるが、その成分により限定されるものではない。また、かかるアルミニウム又はアルミニウム合金の形状は、板状、棒状などがあるが、特に限定されるものではない。
電解浴2において、希硫酸、シュウ酸、リン酸、クロム酸等が挙げられるが、これらには限定されないジプロトン酸浴、ジプロトン酸浴+有機酸の混酸浴、アルカリ浴等、通常の陽極酸化処理に使用される処理液を用いることができる。アルカリ浴は、アルカリ土類金属化合物を含んでもよい。また、アルカリ浴には、任意選択的にホウ化物または、フッ化物を含めることもできる。
電解浴2は十分な攪拌を行うことができる機構を備えている。発生する泡等による局所的な焼けを防ぐためである。処理液の攪拌を十分に行うことで、皮膜が均一に成長することを補助することができる。
陰極板対4、4aは処理部品を中心に、電解浴2中に、対向に配置される。処理浴に浸漬する各陰極板4、4aは処理部品の表面積の20倍以上の表面積を処理液中に浸漬することができるものが好ましい。均一な皮膜を得るために適切だからである。
陽極電送線3はアルミニウムまたはアルミニウム合金製の処理部品1を、電源6の陽極側に結線し、陰極電送線5は陰極板4を電源6の陰極側に結線するものである。陽極、陰極への陽極電送線3、陰極電送線5は、処理部品1および陰極板4、4aの表面積1dm2あたりに、20A以上の電流をストレスなく送電できるものを用いることができる。具体的には、電送線としては、銅線、銅板等を用いることができる。
電源6は、処理部品1にプラス電荷を供給して極短時間で陽極酸化を行う一方、陽極酸化時に皮膜に溜めた電荷を極短時間に逃がすものである。電解装置に用いる電源6は、このような、プラス電圧の印加と、電荷の除去との切替えを高速で行う機能を有するものであることが好ましい。
次に、上記図5に示す装置を用いた陽極酸化処理方法の各工程について説明する。
まず、処理浴中に浸漬したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品に、プラス電圧を印加する工程では、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品1に陰極電送線5に取り付けて、電解浴2に浸漬し、アルミニウム部品1にプラス印加して電解処理を行う。
電荷を除去する工程では、一旦、プラス印加をやめ、極の短絡、もしくはマイナス電圧を印加する。極の短絡は、具体的には陽極電送線3と陰極電送線5を直接つなげるか、アルミニウム部品1と陰極板4とを接触させることにより実施することができる。マイナス電圧を印加する場合は、溜まった電荷が速やかに流れるため、電荷を逃がす時間を短くすることができ、好ましい。
再び、同様に短時間のプラス印加を行った後、プラス印加をやめ、溜まった電荷を除去し、これらの工程を繰り返して、所望の皮膜厚さに到達するまで処理を続ける。なお、皮膜厚さは用途によって異なり、例えば、5μm〜50μmとすることができるが、この範囲には限定されない。ここで、本実施形態においては、プラス印加と電荷の除去とを繰り返しを高速で行うために、以下のような方法が挙げられる。
例えば、電源6として交流電源を用いて、プラス印加とマイナス印加を交互に実施することができる。また、陽極酸化時に陽極酸化用の直流電源に接続し、電荷放電の時に電荷放電用の直流電源に接続を切替えることでも実現できる。この場合、電源6は陽極酸化用直流電源と電荷放電用直流電源を高速に切替える切替器を備え、陽極酸化用直流電源、電荷放電用直流電源、切替器の3点を合わせて交直重畳電源として構成することができる。
印加電圧波形はサイン波、矩形波(パルス波)、三角波など、特に限定されない。又、繰返し印加する電圧は一定とすることが好ましい。均一に皮膜が成長するので、皮膜厚さを処理時間で調節できるためである。好ましいプラス印加電圧は、12V〜70Vとすることができ、好ましいマイナス印加電圧は−10V〜0V程度とすることができる。プラス印加電圧は溶解しない陽極酸化可能範囲で、マイナス印加電圧は電荷除去可能な最低の範囲で選択することができる。
交流電源を用いた一例として、図6に直流と交流を組み合わせた交直重畳電解処理を行う交直重畳電源6aを構成要素とする電解装置を示す。交直重畳電源6aは、処理部品1にプラス電荷を供給して非常に短い時間で陽極酸化を行う一方、陽極酸化時に皮膜に溜めた電荷を非常に短い時間に逃がすことができる。そのため、本発明の方法を実施する電解装置の電源として使用するのに好適である。特に、図6に示すように、交流電源61と直流電源62を直列に接続した形式の交直重畳電源6aでは、電源切替時のサージを無くすことができる点でも有利である。このような電解装置においては、陽極電送線3と陰極電送線5は、絡ませたり、絶縁物を介して密着させたりすることが好ましい。周波数による電力損失を防ぐためである。
図7(A)に、直流電解処理を行う電源6bを構成要素とする電解装置を示す。かかる電源6bは、陽極酸化用直流電源63、電荷放電用直流電源64、切替器65の3点から構成され、切替器65により、プラス印加と電荷の除去との切替えが可能となる。かかる電解装置は、特に、図6に示す装置と比較して、構成要素を大幅に削減することができ、装置の製作コストを下げることができるといった利点がある。
図7(B)に、図7(A)の具体的な電源回路構成を示す。かかる電源6eは、陽極酸化用直流電源67、電荷放電用直流電源68、切替器(インバーター)69の3点から構成され、切替器69により、プラス印加と電荷の除去との切替えが可能となる。図7(A)の電源6cは電源6e、陽極酸化用直流電源63は陽極酸化用直流電源67、電荷放電用直流電源64は電荷放電用直流電源68に、切替器65は切替器69にそれぞれ対応する。81、82、84、85は高速半導体スイッチを示し、IGBT、パワーMOS・FET等のパワー・デバイスで構成する。
陽極酸化時にはスイッチ81をONし、陽極酸化用直流電源67、コンデンサ83の電荷により陽極酸化を行う。次にスイッチ82をONし電流を回生させつつ、スイッチ81をOFFし、電荷放電用直流電源68への切替え準備を行う。これは、陽極酸化用直流電源67、電荷放電用直流電源68とショートさせないように切替えのタイムラグをつける意味もある。電荷放電時にはスイッチ84をONし、電荷放電用直流電源68、コンデンサ86の電荷により、皮膜に溜まった電荷の放電を行う。次にスイッチ85をONし電流を回生させつつ、スイッチ84をOFFし、陽極酸化用直流電源67への切替え準備を行う。これを繰り返すことで陽極酸化処理を行う。これにより図7(C)に示す電圧及び電流の波形を得ることができる。
かかる電解装置は、図7(A)を具体化したものであり、図6に対し、構成要素を大幅に削減することができ、装置の製作コストを下げることができるといった利点と、図7(A)における、大容量のコンデンサ83、86と、回生用回路を成すスイッチ82、85でμsオーダーの瞬時切替えを可能とし、過電流による衝撃を緩和できるといった利点がある。
図8に、直流電解処理を行う電源6cを構成要素とする電解装置を示す。電源6cは、直流電源66と2組以上の陰極、陰極切替装置7との3点から構成され、プラス印加と電荷の除去をワーク内での電荷の移動により可能にする。陰極板4、4aは陰極電送線5aに切替装置7を介して取り付けられており、それぞれの陰極板4、4aに対し、順番にスイッチング装置7によって、通電を切替えて処理を行う。通電している陰極の方向に電荷が移動することで、本発明の陽極酸化皮膜を形成することができる。かかる電解装置は、特に、大物部品で、陽極酸化処理に大電流が流れる場合に、交流の大電流が処理部品の中での移動にとどまり、電流負荷を低くできるといった利点がある。
交流電源や交直重畳電源などを使用して、プラス電圧印加およびマイナス電圧印加を行う場合、プラス電圧印加の1回の通電時間を、25μs〜100μsとすることができる。プラス電圧印加の1回の通電時間は、より好ましくは25μs〜50μsであり、さらに好ましくは、30μs〜35μsである。30μs〜35μsで処理すると、皮膜厚さの均一性がピークに達し、最も好ましい。この場合、極の短絡、もしくはマイナス電圧を印加することで電荷の除去を行うことができるが、マイナス電圧を印加する場合、プラス電圧印加と同じ時間でマイナス電荷を除去することができるため、好ましい。
プラスおよびマイナス電圧印加時間を同じ時間で繰り返す場合には5kHz〜20kHzの周波数で処理することが好ましい。より好適には10kHz〜20kHzの周波数、更に好適には14kHz〜16kHzの周波数での処理が好ましい。皮膜厚さの均一性が高くなるためである。
以上のような1回の通電時間を短くした印加時間で処理を行うことにより、プラス印加と電荷の除去との切替えを従来に比べて著しく高い頻度で行うことができ、陽極酸化皮膜を容易に効率よく形成することができる。
[陽極酸化皮膜形成のメカニズム]
次に、図9を参照して、膜厚が均一でセルの配向性の無い陽極酸化皮膜が形成されるメカニズム説明する。図9(A)は、陽極酸化皮膜が形成されていない処理部品1が、電解浴中の処理液18に浸漬されている状態を示す。処理部品1は、母材であるアルミニウム12aとその中に含有される不純物及び/または添加物13から構成されている。
I.印加による皮膜成形
処理部品1にプラス印加し、電解処理を行うと、アルミニウム部品が溶解し、溶解したアルミニウムが処理液中の酸素と結合して、図9(B)に示すように、アルミニウム12aの表面に微小な酸化皮膜11aができる。この酸化皮膜11aは絶縁体である。そして、酸化皮膜11aの生成と同時に、皮膜11aと母材12aとの境界に電荷が溜まる。導電体であるアルミニウム母材12aと絶縁体である酸化皮膜11aとの境界は電荷を蓄える性質があるためである。このように、皮膜11aと母材12aとの境界に電荷が溜まることで電解によるアルミニウムの溶解、酸化が継続され易くなり、最初に陽極酸化皮膜が形成しやすい箇所では皮膜の膜厚がどんどん厚くなる。一方、不純物及び/または添加物などを含み、陽極酸化皮膜が形成されにくい箇所では、電解によるアルミニウムの溶解の機会を失い、陽極酸化皮膜の成長は遅く、膜厚が薄くなる。従って、この段階では、場所により陽極酸化皮膜のばらつきが生じている。
II.電荷の除去
一旦、プラス印加をやめ、極の短絡、もしくはマイナス電圧を印加すると、皮膜11aと母材12aとの境界に溜まった電荷が除去される。
III.短時間のプラス印加
再び、I.と同様に短時間のプラス印加を行う。この時、I.で厚く生成した部分の陽極酸化皮膜11aは絶縁体となっており、且つ、II.で電荷を取り除いたため、電解が進みにくい状態となっている。一方、陽極酸化皮膜が薄い部分では電荷が速やかに溜まり、厚い部分より電解し易い状態となり、陽極酸化皮膜の形成が進む。従って、図9(C)に示すように、I.で生じた陽極酸化皮膜11aの表面の凹凸を埋めるように、新たな陽極酸化皮膜11bが形成される。尚、このように、一旦、プラス印加をやめ、極の短絡等を行った後に再度のプラス印加をする時に、セルの成長方向が変化したり、枝分かれしたりするという現象が起こる。
IV.上記II.とIII.との繰り返し
暫くプラス印加をすると、また皮膜11aと母材12aとの境界に電荷が溜まり、陽極酸化皮膜のばらつきが生じる。II.と同様に一旦、プラス印加をやめ、溜まった電荷を除去し、III.と同様に再度プラス印加を行う。以下、II.とIII.とを繰り返し、図9(D)に示すように、皮膜11cを形成させ、所望の皮膜厚さに到達するまで、処理を続ける。
以上の様にプラス印加、電荷の排除を繰り返す電解処理により、局部的な皮膜成長を抑え、満遍なく皮膜を成長させることができる。また、プラス印加と電荷除去の切替えの頻度を調整することにより、陽極酸化皮膜のセルの一方向への成長長さや枝分かれの頻度をコントロールすることが可能となる。電荷の除去後の再度のプラス印加時に、セルの成長方向が変化したり、枝分かれが生じたりするためである。
なお、図9では、母材であるアルミニウム合金12aとその中に含有される不純物及び/または添加物13から構成されている処理部品1上への陽極酸化皮膜11の形成について説明したが、不純物及び/または添加物13を含まないアルミニウム合金の処理部品上への陽極酸化皮膜の形成も、同様のメカニズムで行うことができる。
本発明の方法および装置により、アルミニウムまたはアルミニウム合金に陽極酸化処理を行い、陽極酸化皮膜を形成した。
(1)陽極酸化皮膜の製造
本発明の陽極酸化処理方法により、陽極酸化皮膜を形成した。処理対象として、AC8Aからなるピストンを用い、10%vol硫酸、10℃の処理浴を用いた。処理電圧は45Vp-p、1回のプラス電圧印加時間は50μsとし、電荷の除去は、マイナス電圧2Vを、1回のマイナス電圧印加時間が50μsとなるように印加した。また、これらのプラス、マイナスの印加の繰り返しを4分間実施し、陽極酸化皮膜の膜厚が15〜20μmになるまで処理をした。
図10は本実施例により製造された陽極酸化皮膜の断面写真である。図11に示す従来の方法で陽極酸化処理された皮膜に比べて、皮膜厚さの均一性が大幅に向上していることが確認できた。なお、ADC12からなる船外機のアルミ外装部品に、上記印加電圧条件を5分間適用し、膜厚が5〜8μmになるまで処理をした場合も、同様の結果を得ることができた。
(2)添加物(シリコン)を含有する陽極酸化皮膜の製造
本発明の陽極酸化処理方法により、シリコンを含有するアルミニウム合金に陽極酸化皮膜を形成した。処理対象として、シリコンの含有量が異なるアルミニウム合金、AC4A(Si:4.0〜6.0質量%)、AC8A(Si:11.0〜13.0質量%)、ADC12(Si:9.6〜12.0質量%)を用いた。処理浴は、10%vol硫酸、10℃とし、処理電圧は35Vp-pとした。1回のプラス電圧印加時間は、25μsから500μsのあいだで変化させ、電荷の除去は、2Vのマイナス電圧を、プラス電圧印加時間と同じ時間印加することにより行った。
図12は、シリコン含有量の異なる処理部品について、プラス電圧印加時間の違いによる皮膜厚ばらつきの変化を調べた結果を示すグラフである。皮膜厚ばらつき幅を平均皮膜厚で割ったものをプラス電圧印加時間別に示しており、グラフは縦軸の値が低いほど、均一に皮膜が形成していることを示す。同じ、AC材(低圧鋳造材)においてもSiの含有量が多いほど均一な皮膜生成が困難であることが分かるが、上記で述べたように、1回のプラス電圧印加が25μs〜100μsでの処理においては、皮膜厚の均一性が確認できる。より好適には25μs〜50μsの電圧印加、更に好適には30μs〜35μsの電圧印加での処理が好ましいことがわかった。
また、印加電圧を適切な値に設定することによりシリコンの含有量の高いアルミニウム材に対しても均一な膜厚を確保できている。したがって、シリコンの効果による皮膜自体の強度向上が実現可能であることもわかった。
次に、シリコン含有量の異なる処理部品について、交流成分を持つ電源を用いた場合の周波数の違いによる皮膜厚ばらつきの変化を調べた。処理対象、処理浴は上記と同様の条件とし、周波数を1kHzから19kHzで変化させ、処理電圧は−5V〜+40V、処理時間は5分とした。
図13は、周波数の違いによる皮膜厚さのばらつきを示すグラフである。上記で述べた様に、5kHz〜20kHzの周波数で処理することにより、均一な皮膜の形成が確認できる。より好適には10kHz〜20kHzの周波数、更に好適には14kHz〜16kHzの周波数での処理が好ましいことがわかった。
(3)耐食性能試験
従来の直流電解法による陽極酸化処理を行った後に封孔処理を施したものと、本発明の陽極酸化処理のみで封孔処理を行っていないものについて腐食促進試験を行った。
試験品にAD12材からなる船外機部品(ギヤケース、240×265×100mm)を用いた。10%vol硫酸、20℃の処理浴を用い、処理電圧を35Vp-p、1回のプラス電圧印加時間を50μsとして、電荷の除去は、2Vのマイナス電圧を1回の印加時間を50μsとして印加した。この処理を5分間繰り返して5μmの皮膜を形成した。(試料(b))。
比較試験品にAD12材からなる船外機部品(ギヤケース、240×265×100mm)を用い、従来技術の直流電解法により陽極酸化を行い、13μmの皮膜を形成した。処理浴は上記と同一として、35Vの直流電圧を15分間印加し、極の短絡や極の反転を行わずに通電して陽極酸化処理を行った。この後、市販の封孔処理剤(製品名:トップシール)を溶解させた90℃の溶液に15分間浸漬させて、封孔処理させたのち水洗い、乾燥させた(試料(a))。
このようにして製造した試験品(a)および(b)について、塗装を施した上で、JASO複合サイクル腐食試験にしたがって所定の傷を付け、浸漬複合サイクル腐食試験を840時間行い、腐食率を調べた。
図14はその結果を示したものである。試験結果から分かるように、本発明の陽極酸化皮膜では、封孔処理を行っていないにも関わらず、従来の直流電解法により形成された陽極酸化皮膜に封孔処理を行ったものよりも高い耐食性能を示している。このことから、本発明により得られる陽極酸化皮膜は、より高い耐食性能を有することがわかった。
本発明の活用例として、耐食性、耐摩耗性が高く、過酷な腐食条件下で用いられる自動車部品、船外機のアルミ外装部品などが挙げられる。
本発明の陽極酸化皮膜を模式的に示した断面図である。 本発明により形成された陽極酸化皮膜の電子顕微鏡写真である。図2(A)は皮膜の断面を示す写真(50000倍)であり、図2(B)は皮膜の破断面におけるセル外観を示す写真である。 アルミニウムまたはアルミニウム合金母材に不純物及び/または添加物を含有する場合の、本発明の陽極酸化皮膜の成長を模式的に示した断面図である。図3(A)、図3(B)、図3(C)は、本発明の陽極酸化処理をする過程での陽極酸化皮膜の成長を順に表す。 アルミニウムまたはアルミニウム合金母材に不純物及び/または添加物を含有する場合の、従来技術の陽極酸化皮膜の成長を模式的に示した断面図である。図4(A)、図4(B)、図4(C)は、従来技術の陽極酸化処理をする過程での陽極酸化皮膜の成長を順に表す。 本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の概略図である。 本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の変形形態を示す概略図である。 図7(A)は、本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の変形形態を示す概略図である。図7(B)は、この電解装置に用いられる電源回路構成図である。(図7(C)は、この電源回路構成図により得られる電圧及び電流の波形を示すグラフである。 本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の変形形態を示す概略図である。 本発明の陽極酸化処理方法による陽極酸化皮膜の形成メカニズムを説明する概略図である。図9(A)は、処理浴に浸漬し、通電する前の状態を表し、図9(B)は、1回目のプラス電荷印加後の状態を表し、図9(C)は、2回目のプラス電荷印加後の状態を表し、図9(D)は、3回目のプラス電荷印加後の状態を表す。 本発明により形成された、アルミニウム母材と陽極酸化皮膜との境界の断面を示す、500倍の電子顕微鏡写真である。 従来技術により形成された、アルミニウム母材と陽極酸化皮膜との境界の断面を示す、500倍の電子顕微鏡写真である。 シリコン含有量の異なる処理部品について、プラス電圧印加時間の違いによる皮膜厚ばらつきの変化を調べた結果を示すグラフである。 シリコン含有量の異なる処理部品について、周波数の違いによる皮膜厚ばらつきの変化を調べた結果を示すグラフである。 耐食性能試験の結果を示すグラフである。 従来技術の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の概略図である。 従来技術により形成された陽極酸化皮膜の電子顕微鏡写真である。図16(A)は皮膜の断面を示す写真(50000倍)であり、図16(B)は皮膜の破断面におけるセル外観を示す写真である。
符号の説明
1 処理部品
2 電解浴
3、3a 陽極電送線
4、4a 対の陰極板
5、5a 陰極電送線
6、6a、6b、6c、6d、6e 電源
61 交流電源
62 直流電源
63 陽極酸化用直流電源
64 電荷放電用直流電源
65 切替器
66 直流電源
67 陽極酸化用直流電源
68 電荷放電用直流電源
69 切替器(インバータースイッチング制御)
7 切替装置
81、82、84、85 スイッチ
83、86 コンデンサ
10、10a アルミニウム合金部材
11、11a、11b、11c 本発明の陽極酸化皮膜
12 アルミニウムまたはアルミニウム合金母材
13 シリコン
14 セル
16 脱落
17 皮膜の成長が阻害された部分
18 処理液
20 従来のアルミニウム合金部材
21 従来の陽極酸化皮膜

Claims (12)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成した陽極酸化皮膜であって、該陽極酸化皮膜のセルがアルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に対してランダムな方向に成長し、配向性を持たない陽極酸化皮膜。
  2. 前記アルミニウムまたはアルミニウム合金に不純物及び/または添加物が含有され、前記陽極酸化皮膜において、前記セルが、ランダムな方向に微細に枝分かれした状態で、不純物及び/または添加物の周囲を包囲している請求項1に記載の陽極酸化皮膜。
  3. 前記アルミニウムまたはアルミニウム合金に不純物及び/または添加物が含有され、前記陽極酸化皮膜において、前記セルが球又は楕円形状を形造り、そのセルが寄り集まってぶどうの房状に形成した構造である請求項1に記載の陽極酸化皮膜。
  4. 前記添加物が、シリコンである請求項2または3に記載の陽極酸化皮膜。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の陽極酸化皮膜を、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に形成してなるアルミニウムまたはアルミニウム合金部材。
  6. 処理浴中に浸漬したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品に電圧を印加することによるアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理方法であって、
    処理部品に、プラス電圧を印加する工程と、
    電荷を除去する工程と
    を繰り返し、
    1回のプラス電圧印加の通電時間が25μs〜100μsである陽極酸化処理方法。
  7. 前記プラス電圧印加の通電時間が、25μs〜50μsである請求項6に記載の方法。
  8. 前記プラス電圧印加の通電時間が、30μs〜35μsである請求項7に記載の方法。
  9. 処理浴中に浸漬したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる処理部品に電圧を印加することによるアルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化処理方法であって、
    交流成分を有する電源を用い、5kHz〜20kHzの周波数で処理する陽極酸化処理方法。
  10. 前記周波数が10kHz〜20kHzである請求項9に記載の方法。
  11. 前記周波数が14kHz〜16kHzである請求項10に記載の方法。
  12. 請求項5〜10に記載のいずれかの陽極酸化処理方法により形成された陽極酸化皮膜を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金部材。
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