JP5691135B2 - 陽極酸化皮膜及び陽極酸化処理方法 - Google Patents

陽極酸化皮膜及び陽極酸化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に施す陽極酸化皮膜及びその皮膜を得るための陽極酸化処理方法に関する。
アルミ鋳造材(AC材)及びアルミダイカスト材(ADC材)等のアルミニウム合金部材への従来の直流陽極酸化処理では、被処理物を陽極酸化処理液(例えば、硫酸浴等)に浸漬して、被処理物の表面積1dmに対し、電流3A以下での処理が適正であった。しかし、この処理方法での陽極酸化皮膜の皮膜成長速度は、AC材及びADC材共に1.0μm/min以下であった。また、直流陽極酸化皮膜は凹凸が多く、その膜厚は不均一であるため、皮膜の品質を低下させる大きな要因になっている。
例えば、特許文献1には、陽極酸化処理液に浸漬した被処理物に、正電圧を印加する工程と電荷を除去する工程とを繰り返すことによる陽極酸化処理方法が開示されている。この方法での皮膜成長速度は、直流陽極酸化処理よりも速い。具体的には、AC材で7.5μm/min以上、7.5%以上のSiを含有しているADC材の加工面で4.0μm/min以上を達成している。また、この方法で作製された皮膜は平滑であり、その膜厚は均一であることから、皮膜の品質の観点からも直流陽極酸化皮膜より優れている。
しかしながら、皮膜成長速度がAC材で13.0μm/min以上、7.5%以上のSiを含有しているADC材の加工面で6.0μm/min以上となった場合、直流陽極酸化皮膜と同様に、陽極酸化皮膜は凹凸が多く、その膜厚は不均一になってしまうという問題点があった。
特許第4075918号
本発明は上記事情に鑑み、皮膜の凹凸が少なく、かつ、その膜厚が均一な陽極酸化皮膜及びその皮膜を得るための陽極酸化処理方法を提供することを目的としている。
上記の課題を解決するため、本発明においては、処理浴中に浸漬した、不純物及び/又は添加物が含有されたアルミニウム又はアルミニウム合金部材からなる処理部品に電圧を印加することによるアルミニウム又はアルミニウム合金部材の陽極酸化処理方法であって、前記処理部品と対向して陰極板を配置し、陽極酸化用直流電源、電荷放電用直流電源、前記処理部品及び前記対となる陰極板を前記陽極酸化用直流電源又は電荷放電用直流電源と極性を逆にして接続する切替器、前記処理部品及び前記対となる陰極板と並列な関係で前記各電源に接続された、コンデンサならびに回生用回路を備えた電源装置を用いて、前記処理部品に、プラス電圧を印加する工程と、電荷を除去する工程とを繰り返し、前記電荷を除去する工程における電圧が、−22〜−7Vの間で調整される陽極酸化処理方法を提供する。
本発明の陽極酸化処理方法により、皮膜の凹凸が少なく、かつ、その膜厚が均一な陽極酸化皮膜を得ることができる。
本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の概略図である。 本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の変形形態を示す概略図である。 図3(A)は、本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の変形形態を示す概略図である。図3(B)は、この電解装置に用いられる電源回路構成図である。図3(C)は、この電源回路構成図により得られる電圧及び電流の波形を示すグラフである。 本発明の陽極酸化処理方法を実施する電解装置の変形形態を示す概略図である。 ADC12材における皮膜成長速度と膜厚分布の標準偏差の関係を示すグラフである。 ADC12材における負電圧と膜厚分布の標準偏差の関係を示すグラフである。 AC8A材における負電圧と膜厚分布の標準偏差の関係を示すグラフである。
本発明に係る陽極酸化処理方法を説明する。
本発明の一実施形態による陽極酸化処理方法は、処理浴と電源とを備える電解装置により実施することができる。図1に本実施形態に係る陽極酸化処理方法に用いる電解装置の一例を示す。図1に示す装置は、処理浴2と、陽極電送線3と、対の陰極板4と、陰極電送線5と、電源6とから構成され、主にアルミニウム又はアルミニウム合金部材からなる処理部品1を取り付けることができるようになっている。
処理部品1は、陽極酸化処理対象となるものである。処理対象となるのは、アルミニウム又はアルミニウム合金部材である。用途により、Si等の添加物や、その他の不純物、あるいはそれらの両方が含まれているものであってもよく、含まれていないものであってもよい。アルミニウム合金部材には、例えば、アルミ鋳造材、アルミニウムダイカスト材、アルミニウム展伸材等がある。また、かかるアルミニウム又はアルミニウム合金部材の形状は、板状、棒状等があるが、特に限定されるものではない。
処理浴2は、希硫酸、シュウ酸、リン酸、及びクロム酸等が挙げられるが、これらには限定されない。ジプロトン酸浴、ジプロトン酸浴+有機酸の混酸浴、アルカリ浴等、通常の陽極酸化処理に使用される処理液を用いることができる。アルカリ浴は、アルカリ土類金属化合物を含んでもよい。また、アルカリ浴には、任意選択的にホウ化物又はフッ化物を含めることもできる。
処理浴2は十分な攪拌を行うことができる機構を備えている。発生する泡等による局所的な焼けを防ぐためである。処理液の攪拌を十分に行うことで、皮膜が均一に成長することを補助することができる。
陰極板対4及び4aは処理部品を中心に、処理浴2中に、対向に配置される。処理浴に浸漬する各陰極板4及び4aは、処理部品の表面積の20倍以上の表面積を処理液中に浸漬することができるものが好ましい。均一な皮膜を得るために適切だからである。
陽極電送線3は、アルミニウム又はアルミニウム合金部材からなる処理部品1を、電源6の陽極側に結線し、陰極電送線5は、陰極板4を電源6の陰極側に結線するものである。陽極、陰極への陽極電送線3、陰極電送線5は、処理部品1及び陰極板4及び4aの表面積1dmあたりに、20A以上の電流をストレスなく送電できるものを用いることができる。具体的には、電送線としては、銅線、銅板等を用いることができる。
電源6は、処理部品1にプラス電荷を供給して極短時間で陽極酸化を行う一方、陽極酸化時に皮膜に溜まった電荷を極短時間に逃がすものである。電解装置に用いる電源6は、このような、プラス電圧の印加と、電荷の除去との切替えを高速で行う機能を有するものであることが好ましい。
次に、図1に示す装置を用いた陽極酸化処理方法の各工程について説明する。
まず、プラス電圧を印加する工程では、処理浴中に浸漬したアルミニウム又はアルミニウム合金部材からなる処理部品1に陰極電送線5を取り付けて、処理浴2に浸漬し、処理部品1にプラス電圧印加して電解処理を行う。
電荷を除去する工程では、一旦、プラス電圧印加をやめ、極の短絡、もしくはマイナス電圧を印加する。極の短絡は、具体的には陽極電送線3と陰極電送線5を直接つなげるか、処理部品1と陰極板4とを接触させることにより実施することができる。マイナス電圧を印加する場合は、溜まった電荷が速やかに流れるため、電荷を逃がす時間を短くすることができ、好ましい。
再び、同様に短時間のプラス電圧印加を行った後、プラス電圧印加をやめ、溜まった電荷を除去し、これらの工程を繰り返して、所望の皮膜厚さに到達するまで処理を続ける。なお、皮膜厚さは用途によって異なり、例えば、5μm〜50μmとすることができるが、この範囲には限定されない。ここで、本実施形態においては、プラス電圧印加と電荷の除去とを繰り返しを高速で行うために、以下のような方法が挙げられる。
例えば、電源6として交流電源を用いて、プラス電圧印加とマイナス電圧印加を交互に実施することができる。また、陽極酸化時に陽極酸化用の直流電源に接続し、電荷放電の時に電荷放電用の直流電源に接続を切替えることでも実現できる。この場合、電源6は陽極酸化用直流電源と電荷放電用直流電源を高速に切替える切替器を備え、陽極酸化用直流電源、電荷放電用直流電源、切替器の3点を合わせて交直重畳電源として構成することができる。
印加電圧波形はサイン波、矩形波(パルス波)、三角波など、特に限定されない。また、繰返し印加する電圧は一定とすることが好ましい。均一に皮膜が成長するので、皮膜厚さを処理時間で調節できるためである。
プラス印加電圧は、被処理物の表面積の大きさによって適正値が異なるが、AC材では好ましくは20〜150V、さらに好ましくは30〜100V程度とすることができ、ADC材では好ましくは30〜150V、さらに好ましくは40〜100V程度とすることができる。
プラス印加電圧は、皮膜焼けや皮膜溶解などの外観不良が発生しない陽極酸化可能範囲で選択することができる。
マイナス印加電圧は、−22〜−7Vの間で調整することができる。特に、AC材では好ましくは−21〜−7V、さらに好ましくは−17〜−11V、最も好ましくは−16〜−14V程度とすることができ、ADC材では好ましくは−22〜−11V、さらに好ましくは−18〜−13V、最も好ましくは−16〜−14V程度とすることができる。
陽極酸化皮膜とアルミニウム合金部材との間に電荷が溜まることでアルミニウムが溶解して酸化が起こり、皮膜が成長する。しかし、Si等の合金成分を多く含む部分では、アルミニウムの溶解、酸化が起こりにくいため、皮膜は成長しにくい。ここで、マイナス電圧を印加して溜まった電荷を除去することで、再びプラス電圧を印加したときに、皮膜の厚い部分よりも皮膜の薄い部分の方が速く電荷が溜まることで、皮膜の薄い部分での皮膜の生成が起こりやすくなる。このように、皮膜成長のためのプラス電圧印加と電荷除去のためのマイナス電圧印加を極短時間で繰り返すことで皮膜の膜厚は均一になる。しかし、皮膜成長速度をより高めた場合、多くの電流が流れるため皮膜に電荷が溜まりやすく、電荷除去が不十分になりやすい。その結果、凹凸の多い皮膜となり、その膜厚は不均一になる。また、マイナス電圧をかけすぎると、電荷が溜まりやすい皮膜の薄い部分に多くのマイナスの電荷が溜まり、それが皮膜の成長を阻害する(皮膜にマイナスの電荷が溜まると、プラス電圧を印加した時、まず溜まったマイナスの電荷の除去が行われてから陽極酸化反応が起こるため、皮膜成長が阻害される)ことで、皮膜の膜厚が不均一になる。このため、最適なマイナス電圧を印加することは、均一な膜厚の皮膜を得るためには重要である。
交流電源を用いた一例として、図2に直流と交流を組み合わせた交直重畳電解処理を行う交直重畳電源6aを構成要素とする電解装置を示す。交直重畳電源6aは、処理部品1にプラス電荷を供給して非常に短い時間で陽極酸化を行う一方、陽極酸化時に皮膜に溜まった電荷を非常に短い時間に逃がすことができる。そのため、本発明の方法を実施する電解装置の電源として使用するのに好適である。特に、図2に示すように、交流電源61と直流電源62を直列に接続した形式の交直重畳電源6aでは、電源切替時のサージを無くすことができる点でも有利である。このような電解装置においては、陽極電送線3と陰極電送線5は、絡ませたり、絶縁物を介して密着させたりすることが好ましい。周波数による電力損失を防ぐためである。
図3(A)に、直流電解処理を行う電源6bを構成要素とする電解装置を示す。かかる電源6bは、陽極酸化用直流電源63、電荷放電用直流電源64、切替器65の3点から構成され、切替器65により、プラス電圧印加と電荷の除去との切替えが可能となる。かかる電解装置は、特に、図2に示す装置と比較して、構成要素を大幅に削減することができ、装置の製作コストを下げることができるといった利点がある。
図3(B)に、図3(A)の具体的な電源回路構成を示す。かかる電源6eは、陽極酸化用直流電源67、電荷放電用直流電源68、切替器(インバーター)69の3点から構成され、切替器69により、プラス電圧印加と電荷の除去との切替えが可能となる。図3(A)の電源6cは電源6e、陽極酸化用直流電源63は陽極酸化用直流電源67、電荷放電用直流電源64は電荷放電用直流電源68に、切替器65は切替器69にそれぞれ対応する。81、82、84、85は高速半導体スイッチを示し、IGBT、パワーMOS・FET等のパワー・デバイスで構成する。
陽極酸化時にはスイッチ81をONし、陽極酸化用直流電源67、コンデンサ83の電荷により陽極酸化を行う。次にスイッチ82をONし電流を回生させつつ、スイッチ81をOFFし、電荷放電用直流電源68への切替え準備を行う。これは、陽極酸化用直流電源67、電荷放電用直流電源68とショートさせないように切替えのタイムラグをつける意味もある。電荷放電時にはスイッチ84をONし、電荷放電用直流電源68、コンデンサ86の電荷により、皮膜に溜まった電荷の放電を行う。次にスイッチ85をONし電流を回生させつつ、スイッチ84をOFFし、陽極酸化用直流電源67への切替え準備を行う。これを繰り返すことで陽極酸化処理を行う。これにより図3(C)に示す電圧及び電流の波形を得ることができる。
かかる電解装置は、図3(A)を具体化したものであり、図2に対し、構成要素を大幅に削減することができ、装置の製作コストを下げることができるといった利点と、図3(A)における、大容量のコンデンサ83、86と、回生用回路を成すスイッチ82、85でμsオーダーの瞬時切替えを可能とし、過電流による衝撃を緩和できるといった利点がある。
図4に、直流電解処理を行う電源6cを構成要素とする電解装置を示す。電源6cは、直流電源66と2組以上の陰極、陰極切替装置7との3点から構成され、プラス電圧印加と電荷の除去をワーク内での電荷の移動により可能にする。陰極板4及び4aは陰極電送線5aに切替装置7を介して取り付けられており、それぞれの陰極板4及び4aに対し、順番にスイッチング装置7によって、通電を切替えて処理を行う。通電している陰極の方向に電荷が移動することで、本発明の陽極酸化皮膜を形成することができる。かかる電解装置は、特に、大物部品で、陽極酸化処理に大電流が流れる場合に、交流の大電流が処理部品の中での移動にとどまり、電流負荷を低くできるといった利点がある。
交流電源や交直重畳電源等を使用して、プラス電圧印加及びマイナス電圧印加を行う場合、プラス電圧印加の1回の通電時間を、被処理物の表面積の大きさに適した25μs〜500μsとすることができる。
プラス及びマイナス電圧印加時間を同じ時間で繰り返す場合には50μs〜1000μsの周期で処理することが好ましい。
プラス電圧印加、電荷の除去を繰り返す電解処理により、局部的な皮膜成長を抑え、満遍なく皮膜を成長させることができる。また、プラス電圧印加と電荷除去の切替えの頻度を調整することにより、陽極酸化皮膜の一方向への成長長さ及び枝分かれの頻度をコントロールすることが可能となる。電荷の除去後の再度のプラス電圧印加時に、成長方向が変化したり、枝分かれが生じたりするためである。本発明に係る陽極酸化処理方法では、皮膜成長速度をAC材で13.0μm/min以上、7.5%以上のSiを含有しているADC材の加工面で6.0μm/min以上とすることができ、AC材では約20μm/minまで、7.5%以上のSiを含有しているADC材の加工面では約14μm/minまで高めた(表2、表4)。
以下、実施例等を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(皮膜平滑性評価方法)
本発明に係る陽極酸化処理方法を用いた陽極酸化皮膜の作製において、印加する負電圧を変化させた数種の陽極酸化皮膜を作製したのち、陽極酸化皮膜を皮膜断面が露出するように垂直に切断し、皮膜切断面を観察した。皮膜切断面より、皮膜膜厚を約20μm間隔で30箇所測定することで膜厚分布を求め、膜厚分布の標準偏差を平滑性として考え、評価を行った。膜厚分布の標準偏差σは以下の数1で表される。


(ここで、nは測定数(30箇所)、
は測定膜厚、
は平均膜厚を示す。)
つまり、標準偏差σが小さければ小さいほど、平均膜厚からのバラツキが小さく(膜厚が均一であり)、平滑な皮膜であることを意味している。ここでは、皮膜の平滑性=標準偏差σとして考えることとし、効果のある(膜厚が均一で、平滑な皮膜とみなす)範囲を、「直流陽極酸化皮膜の標準偏差σと、特許文献1の陽極酸化処理方法での皮膜(従来の膜厚が均一な皮膜)の標準偏差σの中間値以下」と定義する。
実施例1
アルミニウム合金ダイカスト材ADC12において、本発明に係る陽極酸化処理方法により陽極酸化処理を行った。処理浴は20℃、10%vol硫酸を用いた。正電圧は+60V、1回の正電圧印加時間は56μsとし、負電圧は−15V、1回の負電圧印加時間は56μsとなるように印加した。これらの正電圧、負電圧の印加の繰り返しを1分間行い、陽極酸化皮膜の膜厚が7〜10μmになるまで処理をした。実施例1の結果を図5及び表1に示す。
比較例1
アルミニウム合金ダイカスト材ADC12において、従来の直流陽極酸化処理(方法1)により陽極酸化処理を行った。処理浴は20℃、10%vol硫酸を用いた。1.5A/dmの電流密度で、10分間処理を行った。陽極酸化皮膜の膜厚が7〜10μmになるまで処理をした。比較例1の結果を図5及び表1に示す。
比較例2
アルミニウム合金ダイカスト材ADC12において、特許文献1の陽極酸化処理方法(方法2)により陽極酸化処理を行った。処理浴は20℃、10%vol硫酸を用いた。正電圧は+45V、1回の正電圧印加時間は30μsとし、負電圧は−2V、1回の負電圧印加時間は30μsとなるように印加した。これらの正電圧、負電圧の印加の繰り返しを4分間行い、陽極酸化皮膜の膜厚が7〜10μmになるまで処理をした。比較例2の結果を図5及び表1に示す。
比較例3
アルミニウム合金ダイカスト材ADC12において、特許文献1の陽極酸化処理方法の皮膜成長速度をより高めた方法(方法3)で陽極酸化処理を行った。処理浴は20℃、10%vol硫酸を用いた。正電圧は+60V、1回の正電圧印加時間は56μsとし、負電圧は0V、1回の負電圧印加時間は56μsとなるように印加した。これらの正電圧、負電圧の印加の繰り返しを1分間行い、陽極酸化皮膜の膜厚が7〜10μmになるまで処理をした。比較例3の結果を図5及び表1に示す。
図5及び表1より、比較例1では皮膜成長速度が著しく遅く、膜厚の均一性も悪いことが示された。しかし、比較例2では皮膜成長速度及び膜厚の均一性が大幅に改善された(図5(a))。比較例2よりさらに皮膜成長速度を増加させたのが比較例3である。皮膜成長速度が増加することで、膜厚分布の標準偏差も増加しており、膜厚の均一性が低下していることが示された(図5(b))。実施例1ではこの問題を解決するために、負電圧の調整を行った。実施例1によって、比較例3と同等の皮膜成長速度で、比較例2で得られる皮膜と同等の膜厚の均一性を得ることができた(図5(c))。
実施例2
アルミニウム合金ダイカスト材ADC12をテストピースとして、方法1〜3によりそれぞれ陽極酸化処理を行った。方法1については比較例1と同様に、方法2については比較例2と同様に行った。方法3については、印加する負電圧を変化させることを除いて、比較例3と同様に行い、印加する負電圧の変化による膜厚の均一性の調査を行った。また、本実施例を表面形状の異なる3種のテストピース(A、B、及びC)を用いて行った。負電圧を変化させた時の膜厚分布の標準偏差を図6と表2に、皮膜の断面写真を表3に示す。
図6、表2、及び表3より、負電圧を−22〜−11Vにしたときに膜厚の均一性が向上する効果が得られたことが示された。印加する負電圧が小さい(0Vに近い)と電荷の除去が不十分なため、膜厚は不均一になり、負電圧が大きすぎると、電荷が溜まりやすい皮膜の薄い部分にマイナスの電荷が多く溜まることで皮膜成長が阻害され、膜厚が不均一になったと考えられる。
実施例3
テストピースをAC8A材として、実施例2と同様の方法で陽極酸化処理を行い、効果のある負電圧範囲の調査を行った。テストピースは1種類で行った。また、正電圧が異なる場合においても、最適な負電圧範囲が同じであるかについても調査を行った。負電圧を変化させた時の膜厚分布の標準偏差を図7と表4に示す。
図7及び表4より、負電圧を−21〜−7Vにしたときに膜厚の均一性が向上する効果が得られたことが示された。実施例2での結果と同様に、印加する負電圧が小さい(0Vに近い)と電荷の除去が不十分なため、膜厚は不均一になり、負電圧が大きすぎると、電荷が溜まりやすい皮膜の薄い部分にマイナスの電荷が多く溜まることで皮膜成長が阻害され、膜厚が不均一になったと考えられる。
1 処理部品
2 電解浴
3、3a 陽極電送線
4、4a 対の陰極板
5、5a 陰極電送線
6、6a、6b、6c、6d、6e 電源
61 交流電源
62 直流電源
63 陽極酸化用直流電源
64 電荷放電用直流電源
65 切替器
66 直流電源
67 陽極酸化用直流電源
68 電荷放電用直流電源
69 切替器(インバータースイッチング制御)
7 切替装置
81、82、84、85 スイッチ
83、86 コンデンサ

Claims (2)

  1. 処理浴中に浸漬した、不純物及び/又は添加物が含有されたアルミニウム合金部材からなる処理部品に電圧を印加することによるアルミニウム合金部材の陽極酸化処理方法であって、
    前記処理部品を挟んで対向する対の陰極板を配置し、
    前記処理部品を、陽極酸化用直流電源の陽極側及び電荷放電用直流電源の陰極側に接続し、前記対の陰極板を、前記陽極酸化用直流電源の陰極側又は前記電荷放電用直流電源の陽極側に接続し、
    前記処理部品及び前記対の陰極板を、前記処理部品及び前記対の陰極板の極性を逆にして、前記陽極酸化用直流電源又は前記電荷放電用直流電源と接続する切替器、前記処理部品及び前記対の陰極板と並列な関係で前記各電源に接続された、コンデンサならびに回生用回路を備えた電源装置を用いて、
    前記処理部品に、プラス電圧を印加する工程と、
    電荷を除去する工程と
    を繰り返し、
    前記アルミニウム合金部材が、7.5%以上のSiを含有しているアルミダイカスト材であり、前記プラス電圧を印加する工程と前記電荷を除去する工程とを繰り返すことによる、前記アルミダイカスト材の加工面での陽極酸化皮膜の成長速度が、6.0μm/min以上であり、
    前記電荷を除去する工程における電圧が、−18〜−13Vの間で調整される陽極酸化処理方法。
  2. 請求項1に記載の陽極酸化処理方法によって形成された陽極酸化皮膜。
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