JP2006083052A - 球状活性炭及びその製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石炭を原料とし、その16〜24重量%に相当する水とともに練合し、造粒機により球状に成形し、これを炭化、賦活化して得られる細孔径30nm以上細孔容積が0.2〜0.6ml/gであり、そのうち直径1μm以下の細孔容積の割合が60%以上であり、安息角が30°以下である球状活性炭が上記課題を解決した。
【選択図】なし
Description
一方、石炭を原料とした成形活性炭は、マクロ孔に富むが、形状が一般に破砕状、ペレット状であるため、その形状では使用中、あるいは再生する際に粉化する率が高く、再生処理をした場合の再生率は高くない。
しかし、原料がヤシガラ炭のような粘結性のない粉末の場合は、この転動造粒法による成形は困難で、粘結剤などを用いて球状造粒物を得たとしても、賦活時に破損・粉化する率が高くなる。石炭粉末の場合は、例えば原料石炭を粘結剤と混合し少量の水を加えて転動造粒した後、炭化・賦活化すると球状活性炭を得ることができるが、機械的強度が高く且つ細孔径が30nm以上で1μm以下のマクロ孔に富んだ水処理に適した活性炭は得られない。
したがって、本発明の課題は、硬度が高く、磨耗を受け難く、細孔直径30nm以上の細孔及び細孔直径30nm未満の細孔のそれぞれがバランスよく発達した水中の有機物吸着に適した球状活性炭およびその製法を提供することにある。
(1)
石炭を原料とし、直径30nm以上の細孔容積が0.2〜0.6ml/gで、そのうち直径1μm以下の細孔容積の割合が60%以上であり、BET比表面積が800〜2000m2/gであり、安息角が30°以下である球状活性炭、
(2)
水質浄化用である(1)記載の球状活性炭、
(3)
石炭を原料とする粉末炭を、その16〜24重量%に相当する水とともに練合し、造粒機により球状に成形し、これを炭化、賦活化することを特徴とする直径30nm以上の細孔容積が0.2〜0.6 ml/gで、そのうち直径1μm以下の細孔容積の割合が60%以上であり、BET比表面積が800〜2000m2/gであり、安息角が30°以下である球状活性炭の製造法、
(4)
使用済みの(1)記載の球状活性炭を、700〜1000℃で水蒸気再生する球状活性炭の製造法、
である。
活性炭を球状に成形するには、まず石炭を粉砕機で粉砕して、微粉状とする。微粉は、100メッシュ(0.149mm)パス、好ましくはその90%以上が200メッシュ(0.074mm)パスする程度の粉末炭とするのがよく、粉末の平均粒子径は、通常0.005〜0.12mm、好ましくは、0.01〜0.1mmである。
この粉末炭を用いて造球するには、先ず、粉末炭に特定量の水と必要により粘結剤を加えて均一に混合し、微細気泡を巻き込まないように練合することが肝要である。
造球は、存在する水分の表面張力で微粉炭相互の凝集が促進されて球形となるので、造球時に含まれる水分の量が少な過ぎると造球が困難となる。一方供給する水分量が多過ぎると、ベタついて造球できないことがあり、造球できたとしても微細な気泡を巻き込んだ粒子を形成し、この気泡が炭化時直径1μm以上の細孔の形成に大きな影響を与えるので、混練時における粉末炭と水の割合は活性炭の直径1μm以上の細孔形成にとって極めて重要である。
すなわち、本発明において混練時に存在させる水分は、粉末炭の16〜24重量%、好ましくは16〜20重量%、特に好ましくは17〜20重量%である。転動造粒をする際は、蒸発する水分を補うために、混練物に適量の水、例えば1〜10重量%、好ましくは3〜7重量%の水を噴霧することもできる。成型物の水分は15〜20%、好ましくは16〜19%である。
つぎに、この練合物から球状炭を得るために、転動造粒法または押出し成形とマルメライザー成形を組み合わせて造球することができるが、転動造粒法が好ましい。
賦活化された活性炭のBET比表面積は、通常800〜2000m2/g、好ましくは900〜1800m2/g、さらに好ましくは900〜1300m2/gである。BET比表面積が少ないと、ミクロ孔の発達が不十分となり、吸着性能が低くなる。
賦活化活性炭の充てん密度は、通常0.43〜0.63g/ml、好ましくは0.45〜0.60g/ml、さらに好ましくは0.47〜0.57g/mlである。
活性炭のBET比表面積は、液体窒素温度での活性炭の窒素吸着等温線を作成し、BET法により計算する。
活性炭の直径30nm以下の細孔容積は、液体窒素温度での活性炭の窒素吸着等温線を作成し、CI法により計算する。
活性炭のマクロ孔容積は、水銀圧入法細孔容積測定装置(マイクロメリティクス社製、AUTOPORE9220)を用いて求める。
安息角は、図1に示す容器に活性炭を入れ、容器を静かに転がして静止させたのち、角φを測定する(傾斜法)ことにより求めた。
使用済みの活性炭は、たとえば、700〜1000℃、好ましくは、800〜900℃に保った炉内で、水蒸気を導入しながら10〜30分間程度加熱することによって容易に再生することができる。本発明によって得られた活性炭は硬さが高く、実質的に球状であるため再生操作による粒子の摩耗による損失も受け難く、水蒸気再生によって使用する前とほぼ同等の好ましい性能を有する活性炭を得ることができる。
この再生活性炭は、新炭と同様、公知の方法で塩酸、硝酸、硫酸、燐酸などの鉱酸を用いて洗浄してもよいし、その後さらに水で洗浄してもよい。また、種々の目的のために薬品等を添着した添着活性炭として使用してもよい。
混練物を転動造粒機にかけ、水5重量部を噴霧しながら造球して、平均粒径1.7mmの成形品を得た。これを100℃で乾燥後、300〜600℃で炭化した。続いて850℃で2時間水蒸気賦活した。賦活後、篩にかけ2.36mmを通過し、0.50mmを通過しない粒子を集め、活性炭No.1を得た。この活性炭のBET比表面積は1000m2/g、水銀圧入法で求めた直径30nm以上の細孔容積は0.37ml/g、そのうち直径1μm以下の割合は80%であった。
また、直径30nm未満の細孔容積は、0.50ml/g、活性炭の平均粒径は1.3mm、安息角は28°、活性炭の充てん密度は0.520g/mlであった。
〔比較例1〕
〔比較例2〕
〔比較例3〕
〔比較例4〕
混練物に水5重量部を噴霧しながら転動造粒機にかけ、平均粒径1.9mmの成形品を得た。これを60℃で乾燥後、300〜600℃で炭化したところ、殆どの粒子が崩壊し、粉末と化した。したがって、後述する各種の試験には、試料として用いなかった。
硬さ測定試験:
活性炭の粒度を篩により2.36mm〜0.50mmとして、JIS K1474の硬さ測定方法によって測定した。この方法は、主として摩擦に対する耐久性を求める方法である。
MS硬度測定方法:
図2に示す容器にあらかじめ粒度範囲の篩を用いて篩い分けた活性炭10mlを直径7.94mmの鋼球10個と共に入れ、毎分25回転で40分回転後、活性炭と鋼球を分離し、活性炭を0.355mmの篩で篩い分けたとき、
[ふるい上の質量]×100(%)/[ふるい上の質量+ふるい下の質量]
で求めた。この方法は、衝撃、摩擦に対する耐久性を求める方法である。
活性炭No.1〜3(実施例1〜3)、活性炭No.4〜6(比較例1〜3)各220mlを直径50mmのガラス製カラムに充てんし、ジベンゾフラン1000μg/Lを含む水溶液を25℃で2.16L/hの割合で通水した。吸着層の目詰まりを防止するため、週1回の頻度で、水を上向きに1L/分の割合で15分間流し逆洗浄をした。活性炭処理水、処理前の水のジベンゾフラン濃度を蛍光分光光度計により測定し、次式によって破過率を求め、通水日数を横軸に、破過率を縦軸に結果をプロットし、破過率5%に達するまでの日数を比較した。
また、試験終了時の活性炭の体積を測定した。
これらの結果を表1に纏めた。
前記有機物破過吸着試験終了後、それぞれの活性炭を所定の温度に保った電気炉内で、水蒸気を導入しながら20分間加熱し、再生活性炭を得た。再生活性炭の収率(再生前活性炭の固定炭素分基準)、JIS K1474で測定した硬さ、MS硬度、平均粒径、吸着性能を比較した。それらの実験結果を表2に示した。
直径30nm以上の細孔分布が異なる活性炭No.4は、再生収率が低く、再生品の平均粒径が小さくなっていた。再生温度を950℃にすると、さらに再生収率が低下した。活性炭No.5は、再生後も吸着能が低くかった。また、破砕状である活性炭No.6は、再生時に活性炭の割れ、欠けが生じて収率が低く、再生品の平均粒径も小さくなり、吸着性能も低下した。再生温度を950℃にすると、さらに収率が低くなってしまった。
Claims (4)
- 石炭を原料とし、直径30nm以上の細孔容積が0.2〜0.6ml/gで、そのうち直径1μm以下の細孔容積の割合が60%以上であり、BET比表面積が800〜2000m2/gであり、安息角が30°以下である球状活性炭。
- 水質浄化用である請求項1記載の球状活性炭。
- 石炭を原料とする粉末炭を、その16〜24重量%に相当する水とともに練合し、造粒機により球状に成形し、これを炭化、賦活化することを特徴とする直径30nm以上の細孔容積が0.2〜0.6ml/gで、そのうち直径1μm以下の細孔容積の割合が60%以上であり、BET比表面積が800〜2000m2/gであり、安息角が30°以下である球状活性炭の製造法。
- 使用済みの請求項1記載の球状活性炭を、700〜1000℃で水蒸気再生する球状活性炭の製造法。
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