JP7453462B1 - 炭素質材料及びその製造方法、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、並びに水浄化設備 - Google Patents

炭素質材料及びその製造方法、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、並びに水浄化設備 Download PDF

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Abstract

【課題】炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素と、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能な炭素質材料及びその製造方法、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、並びに水浄化設備を提供すること。【解決手段】本発明の炭素質材料は、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるN2の吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m2/g以上1,700m2/g以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素質材料及びその製造方法、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、並びに水浄化設備に関する。
家庭用浄水器は、水道水中の有害物質を除去するために広く利用されている。そのような有害物質のうち、遊離残留塩素が、家庭用浄水器の家庭用品品質表示法にて除去対象物質として指定されており、水道水中から除去されることが望まれている。
遊離残留塩素を除去するために、家庭用浄水器には、通常、活性炭や金属亜硫酸塩が用いられる。例えば、特許文献1において、細孔径が0.679nm以上0.733nm以下である、小さな細孔径を多く有する活性炭が記載されており、そのような細孔径を有することで、活性炭の細孔内に遊離残留塩素を捕捉する性能が向上させることが記載されている。特許文献2には、金属亜酸化物を含む遊離残留塩素の除去剤が記載されている。
特開2020-157242号公報 特開2004-113869号公報
ところが近年、家庭用浄水器では、浄水器本体の小型化などの要求が高まり、活性炭の高除去性能化が求められている。特に、2019年には、家庭用浄水器におけるJIS試験法が改定され、新たなJIS S3201:2019において、除去対象物質が5品種追加された。これにより、従来よりも多種類の有害物質を除去する家庭用浄水器が望まれている。
特許文献1に記載の活性炭では、細孔径を所定の範囲に設定してミクロ孔の制御を行うことで、遊離残留塩素に対する高い除去性能を実現しているが、大きな細孔については制御されていない。そのため、その活性炭では、新たに追加された陰イオン界面活性剤等の比較的大きな有機物に対して、高い吸着性能を有さず、多種類の有害物質を除去することができない。
また、特許文献2に記載の除去剤では、金属亜硫酸塩が奏する還元作用を利用して、遊離残留塩素に対する高い除去性能を実現しているが、その除去剤は、細孔を持たない。そのため、その除去剤においても、陰イオン界面活性剤等に対する吸着性能を有さず、多種類の有害物質を除去することができない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素と、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能な炭素質材料及びその製造方法、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、並びに水浄化設備を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を解決するために鋭意研究を重ねた結果、よう素吸着量、リアクティブブラック5価、及び比表面積が、それぞれ特定の範囲にある炭素質材料が、炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素と、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の実施態様を含む。
[1]よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である、炭素質材料。
[2]窒素吸着等温線から炭素質材料1g当たりのQSDFT法により算出した1.00nm以下の細孔容積(A)と、-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められるメソ孔の細孔容積(B)との比(A/B)が1.0以上4.0以下である、[1]に記載の炭素質材料。
[3]メソ孔の割合が4.8%以上15.0%以下である、[1]に記載の炭素質材料。
[4]-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められるメソ孔の細孔容積が0.06cm/g以上0.30cm/g以下である、[1]に記載の炭素質材料。
[5]-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる全細孔容積が0.25cm/g以上1.00cm/g以下である、[1]に記載の炭素質材料。
[6]タッピング法により測定される充填密度が0.30g/mL以上0.50g/mL以下である、[1]に記載の炭素質材料。
[7]水中で、少なくとも、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤の除去に用いられる、[1]~[6]のいずれかに記載の炭素質材料。
[8]原料を炭化して炭化物を得る炭化工程と、前記炭化物を賦活処理して賦活物を得る賦活工程と、を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の炭素質材料の製造方法。
[9]前記賦活物を洗浄する洗浄工程を更に含む、[8]に記載の製造方法。
[10]前記原料が、ヤシ殻である、[8]に記載の製造方法。
[11][1]~[6]のいずれかに記載の炭素質材料を含む、吸着フィルター。
[12][1]~[6]のいずれかに記載の炭素質材料を含む、浄水器カートリッジ。
[13][1]~[6]のいずれかに記載の炭素質材料を含む、浄水器。
[14][1]~[6]のいずれか一項に記載の炭素質材料を備える、水浄化設備。
本発明によれば、炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素と、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能な炭素質材料及びその製造方法、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、並びに水浄化設備を提供することができる。
図1のIは、ロータリーキルンの模式断面図であり、IIはロータリンキルンの模式側面図である。 図2は、ロータリーキルンを説明するための模式断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
本明細書において、炭素質材料が有する細孔は、IUPAC(国際純正応用化学連合)の分類基準に準拠し、その細孔径(直径)に応じて、細孔径が2.0nm未満の細孔をミクロ孔とし、細孔径が2.0nm以上50.0nm以下の細孔をメソ孔とし、細孔径が50.0nmを超える細孔をマクロ孔と分類する。メソ孔は、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等の吸着に有効である。
[炭素質材料]
本実施形態の炭素質材料は、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である。
炭素質材料が、このような要件を備えることにより、炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素と、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立させることが可能となる。すなわち、炭素質材料は、炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素に適するように単位質量当たりの表面積が制御されているため、遊離残留塩素に対して高い除去性能を有することが可能となる。そのうえで、炭素質材料は、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等に適するように細孔径が制御されているため、陰イオン界面活性剤等に対して高い吸着性能を有することができる。
陰イオン界面活性剤としては、例えば、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩が挙げられる。本実施形態の炭素質材料は、これらの陰イオン界面活性剤の1種又は2種以上を好適に吸着することができる。
炭素質材料のよう素吸着量は、1,300mg/g以上1,800mg/g以下である。
よう素吸着量は、炭素質材料に存在する、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等を物理吸着することが可能な細孔の表面積の指標である。炭素質材料のよう素吸着量が上記範囲にあることで、炭素質材料は、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対して高い吸着性能を発揮する。炭素質材料は、よう素吸着量が1,300mg/g以上であることで、炭素質材料の細孔容積が十分大きくなり、陰イオン界面活性剤等の吸着性能が顕著に向上する。炭素質材料は、よう素吸着量が1,800mg/g以下であることで、炭素質材料の細孔が大きくなりすぎず、陰イオン界面活性剤等を吸着する細孔の制御が容易になる。
よう素吸着量は、JIS K 1474(2014年)に準拠して測定及び算出される。よう素吸着量の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
よう素吸着量は、好ましくは1,310mg/g以上1,700mg/g以下であり、より好ましくは1,330mg/g以上1,650mg/g以下である。よう素吸着量が上記範囲にあると、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。
炭素質材料のリアクティブブラック5価は、1.0g/L以上6.0g/L以下である。リアクティブブラック5は、下記式(1)で表される染料であり、C.I.リアクティブブラック-5とも称される。
Figure 0007453462000002
リアクティブブラック5は、その分子量が995.88と大きく、嵩高い構造を有するため、リアクティブブラック5価は、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等の吸着特性の指標となる。炭素質材料は、リアクティブブラック5価が上記範囲にあることで、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対して高い吸着性能を発揮する。リアクティブブラック5価が1.0g/L以上であることで、炭素質材料の大きな細孔における累積細孔容積が大きくなりすぎず、炭素質材料は、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等に対する有効な細孔量を好適に保持できる。リアクティブブラック5価が6.0g/L以下であることで、炭素質材料が有する細孔のうち、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等の吸着に好適な細孔量が十分となる。そのため、陰イオン界面活性剤等に対する吸着性能が顕著に向上する。
リアクティブブラック5価は、例えば、次のようにして算出することができる。すなわち、まず、紫外可視分光光度計を用いて、波長594nm及び光路長(セル長)10mmの条件にて、リアクティブブラック5を含む試験液と、その試験液に炭素質材料を混合し十分にリアクティブブラック5を炭素質材料に吸着させた後に、リアクティブブラック5が吸着した炭素質材料を除去して得られる残液の、それぞれの吸光度を測定する。そして、これらの吸光度を用いて、残液中に含まれるリアクティブブラック5の残存率(%)と、炭素質材料1g当たりのリアクティブブラック5の吸着量(/g)とを算出する。リアクティブブラック5価(g/L)は、これらの値を用いて、1Lの試験液中のリアクティブブラック5を99%除去するために必要な炭素質材料の量として算出する。なお、リアクティブブラック5価の測定において、炭素質材料としては、体積基準の累積分布の50%粒子径(D50)が9.0μm以上11.0μm以下に調整された炭素質材料を用いることが好ましい。本明細書において、50%粒子径(D50)は、レーザー回折光散乱法粒度分布測定装置を用いて、体積基準のメジアン径として測定される値を称する。リアクティブブラック5価の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
リアクティブブラック5価は、好ましくは1.5g/L以上5.5g/L以下であり、より好ましくは1.7g/L以上4.5g/L以下であり、更に好ましくは2.0g/L以上4.0g/L以下である。リアクティブブラック5価が上記範囲にあると、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。
炭素質材料において、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積(以下、単に「BET比表面積」とも称する)は、1,100m/g以上1,700m/g以下である。BET比表面積は、炭素質材料が保有する単位質量当たりの表面積であり、遊離残留塩素を分解可能な表面積の指標である。BET比表面積が上記範囲にあることで、炭素質材料は、陰イオン界面活性剤等に対する吸着性能を維持しつつ、特に、遊離残留塩素に対して高い除去性能を発揮する。BET比表面積が1,100m/g以上であることで、炭素質材料の比表面積が十分となる。そのため、炭素質材料は、遊離残留塩素に対して高い除去性能を発揮することが可能となり、遊離残留塩素に対する除去性能が顕著に向上する。BET比表面積が1,700m/g以下であることで、炭素質材料の比表面積は大きくなり過ぎず、そのことから、炭素質材料の細孔容積も好適となる。また、炭素骨格を構成する炭素量の低下を招かず、好適な炭素質材料を得ることができる。そのため、例えば、水道水中においても、炭素質材料は、破壊され難く、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等に対して高い除去性能を発揮することが可能となる。BET比表面積の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
BET比表面積は、好ましくは1,250m/g以上1,690m/g以下であり、より好ましくは1,300m/g以上1,680m/gであり、更に好ましくは1,400m/g以上1,670m/gである。BET比表面積が上記範囲にあると、陰イオン界面活性剤等に対する吸着性能を維持しつつ、特に、遊離残留塩素に対してより高い除去性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。
炭素質材料において、窒素吸着等温線から炭素質材料1g当たりのQSDFT法により算出した細孔径1.0nm以下の細孔容積(A)(以下、単に「細孔径1.00nm以下の細孔容積」とも称する)と、-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められるメソ孔容積(B)(以下、単に「メソ孔の細孔容積」とも称する)との比(A/B、以下、単に「メソ孔比」とも称する)は、好ましくは1.0以上4.0以下であり、より好ましくは1.3以上3.5以下であり、更に好ましくは1.5以上3.0以下である。メソ孔比が上記範囲にあると、陰イオン界面活性剤等に対する吸着性能を維持しつつ、特に、遊離残留塩素に対してより高い除去性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。
メソ孔比は、遊離残留塩素の除去に有効な細孔の割合を示す指標となる。メソ孔比が1.0以上であることで、遊離残留塩素の除去に有効な細孔径の細孔がより十分に存在し、より高い除去性能を発揮できる傾向にある。メソ孔比が4.0以下であることで、遊離残留塩素の除去に適さない大き過ぎる細孔の割合が小さく、また、炭素質材料中における空隙が大きくなり過ぎないため、炭素骨格を構成する炭素量の低下を招かない。そのことから、より高い除去性能を発揮する傾向にある。
メソ孔比の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
炭素質材料におけるメソ孔の割合は、好ましくは4.8%以上15.0%以下であり、より好ましくは5.0%以上13.0%以下であり、更に好ましくは6.0%以上12.0%以下である。メソ孔の割合が上記範囲にあると、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。
本明細書において、メソ孔の割合とは、炭素質材料において、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積(すなわち、BET比表面積)に対する、-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる比表面積(以下、単に「BJH比表面積」とも称する)の比率で求められる。メソ孔は、炭素質材料において吸着に寄与する細孔の中で、比較的大きな孔である。そのため、メソ孔の割合が大きいほど、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等の吸着性能に優れることを示している。メソ孔の割合の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
メソ孔の割合が4.8%以上であることで、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等に対して有効な細孔の割合が十分となる。そのため、炭素質材料は、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対する除去性能が顕著に向上する。メソ孔の割合が15.0%以下であることで、炭素質材料は炭素質材料の細孔が大きくなりすぎず、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、陰イオン界面活性剤等を吸着する細孔の制御が容易になる。
炭素質材料において、-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められるメソ孔の細孔容積(以下、単に「メソ孔の細孔容積」とも称する)は、好ましくは0.06cm/g以上0.30cm/g以下であり、より好ましくは0.10cm/g以上0.25cm/g以下であり、更に好ましくは0.12cm/g以上0.22cm/g以下である。メソ孔の細孔容積が上記範囲にあると、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。
メソ孔の細孔容積が0.06cm/g以上であることで、炭素質材料は、特に、陰イオン界面活性剤等に対して有効である比較的大きな細孔を多く保有することができる。そのため、炭素質材料は、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対して高い吸着性能を有する傾向にある。メソ孔の細孔容積が0.30cm/g以下であることで、炭素質材料の細孔が大きくなりすぎず、炭素質材料は、特に、陰イオン界面活性剤等の吸着に対して有効な細孔を多く保有することができる。そのため、炭素質材料は、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対して高い吸着性能を有する傾向にある。メソ孔の細孔容積の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
炭素質材料において、-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる全細孔容積(以下、単に「全細孔容積」とも称する)は、好ましくは0.25cm/g以上1.00cm/g以下であり、より好ましくは0.35cm/g以上0.90cm/g以下であり、更に好ましくは0.45cm/g以上0.85cm/g以下である。全細孔容積が上記範囲にあると、遊離残留塩素に対する除去性能を維持しつつ、特に、陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料が得られる傾向にある。なお、全細孔容積は、細孔径が1.2nm以上97.4nm以下の範囲における累積細孔容積として算出する。
全細孔容積が0.25cm/g以上であることで、炭素質材料は、細孔容積が十分に大きいため、特に、陰イオン界面活性剤等に対してより高い性能を発揮する傾向にある。全細孔容積が1.00cm/g以下であることで、炭素質材料は、炭素質材料の細孔が大きくなりすぎず、陰イオン界面活性剤等の吸着に対して有効な細孔を多く保有することができるため、陰イオン界面活性剤等に対してより高い性能を発揮する傾向にある。全細孔容積の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
炭素質材料において、タッピング法により測定される充填密度(以下、単に「充填密度」とも称する)は、好ましくは0.30g/mL以上0.50g/mL以下であり、より好ましくは0.31g/mL以上0.45g/mL以下であり、更に好ましくは0.33g/mL以上0.43g/mL以下である。充填密度が上記範囲にあることで、炭素質材料は、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対する除去性能をより高いレベルで実現できる傾向にある。充填密度が0.30g/mL以上であることで、炭素質材料の細孔が大きくなりすぎず、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対して有効な細孔を多く保有することができる。そのため、炭素質材料は、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対して高い除去性能を有する傾向にある。充填密度が0.50g/mL以下であることで、物理吸着に寄与する細孔が十分に存在する傾向にある。そのため、炭素質材料は、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対するより高い除去性能を有する傾向にある。充填密度の具体的な測定及び算出方法は、実施例を参照すればよい。
炭素質材料の形状は、用途によっても異なり、特に限定されない。そのような形状としては、例えば、粉末状、塊状、破砕状、球状、円柱、楕円球状、歪曲状、楕円柱、楕円錐台、並びに三角柱、四角柱、五角柱、及び六角柱などの多角柱などの棒状、糸状、中実ペレット及び中空ペレットなどのペレット状、粉末状等の破砕状、基板状(シート状)、織り布(クロス)状、フェルト状等の繊維状、及びブロック状等が挙げられる。
炭素質材料の形状としては、公知の吸着フィルターにおける炭素質材料として適用可能な形状とすることが好ましい。そのような形状としては、例えば、球状、楕円球状、歪曲状、棒状、糸状、ペレット状、粉末状等の破砕状、基板状(シート状)、織り布(クロス)状、繊維状、及びブロック状が挙げられる。これらの形状は、具体的使用態様に応じて適宜選択することできる。これらの中でも、単位体積当たりの吸着性能が高いことから、炭素質材料の形状は、破砕状が好ましく、粉末状がより好ましい。粉末状の炭素質材料である場合、その寸法は特に限定されず、具体的使用態様に応じて適宜粒度等を調整すればよい。
本明細書において、破砕状とは、形状が一定ではなく、通常、角のある任意の形状をもつ粒子を称する。また、粉末状とは、例えば、微粉状、粉状、細粒状、及び顆粒状の粉体を称し、通常、体積基準の累積分布の50%粒子径(D50)は、1μm以上150μm以下である。
例えば、炭素質材料を浄水器の吸着フィルターとして用いる場合、用途によっても異なり、特に限定されないが、その形状は、好ましくは、円柱、及び基板状(シート状)である。炭素質材料が、そのような形状であると、浄水器の吸着フィルターとして炭素質材料を効率よく使用することができる傾向にある。
炭素質材料としては、活性炭であることが好ましい。
[炭素質材料の製造方法]
本実施形態の炭素質材料は、公知の製造方法によって得ることができる。
そのような方法としては、例えば、熱分解法、賦活法、被覆法、及び蒸着法等を挙げることができる。製造方法としては、賦活法を用いることが好ましい。それらの製造方法を用いることで、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料をより容易に製造できる傾向にある。
本実施形態の炭素質材料の製造方法は、原料を炭化して炭化物を得る炭化工程と、炭化物を賦活処理して賦活物を得る賦活工程と、を含む。本実施形態の炭素質材料の製造方法は、賦活物を洗浄する洗浄工程を含むことが好ましい。
(炭化工程)
炭素質材料の製造方法は、原料を炭化して炭化物を得る炭化工程を含む。
原料としては、所望の炭素質材料を得ることができる材料であれば特に限定されない。原料としては、例えば、木材、木粉、ヤシ殻などの果実殻、パーム核、梅、及び桃等の種子、パルプ製造時の副産物、バガス、廃糖蜜、石炭(泥炭、亜炭、褐炭、及び瀝青炭など)、無煙炭、石油蒸留残渣成分、石油ピッチ、コークス、及びコールタールなどの植物系原料又は化石系原料;フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール樹脂、セルロイド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、及びポリアミド樹脂などの各種合成樹脂;ポリブチレン、ポリブタジエン、及びポリクロロプレンなどの合成ゴム;その他合成木材;合成パルプなどが挙げられる。これらの原料は、単独で用いることもでき、要求仕様に応じて、2種以上を任意の比率で混合して使用することもできる。
原料は、天然物であることが好ましく、ヤシ殻であることがより好ましい。そのような原料を用いることで、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を更に容易に製造できる傾向にある。
原料は、必要に応じて、添加剤等を含んでもよい。また、添加物等は、必要に応じて、炭化物に加えてもよい。
そのような添加剤等としては、例えば、水、コールタール、無水タール、硬質ピッチ、コールタール系ピッチ、及び石油系ピッチが挙げられる。添加剤等は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
添加剤等は、それぞれ、原料又は炭化物100質量部に対して、通常1.0質量部以上50.0質量部以下で配合される。また、添加剤等の合計量は、原料又は炭化物100質量部に対して、通常1質量部以上100質量部以下である。原料又は炭化物と、添加剤と、を混合するに際しては、必要に応じて、予め原料又は炭化物中の酸素量を、原料又は炭化物100質量%に対して、1.0質量%以上20.0質量%以下の範囲で調節してもよい。酸素量の調節は、例えば、150℃以上300℃以下の加熱下で、原料又は炭化物と、酸素と、を混合することで行うことができる。
炭素質材料の製造方法では、原料を炭化させる前に、原料を粉砕あるいは成型してもよい。そのような方法としては、例えば、原料を炭化させる前に、原料を公知の粉砕機を用いて粉末状に粉砕した後、炭化を行う方法が挙げられる。また、原料を炭化させる前に、原料を公知の方法でペレット状に成型した後、炭化を行う方法が挙げられる。
原料の形状を粉末状とした場合、粉末の粒度(体積基準の累積分布の50%粒子径、D50)は、好ましくは1μm以上150μm以下である。
原料の炭化方法は、特に限定されず、例えば、無酸素の条件で300℃以上900℃以下、好ましくは400℃以上800℃以下まで加熱する方法が挙げられる。
炭化時間は、原料、及び炭化を行う設備によって適宜設定できる。炭化時間としては、例えば、15分以上20時間以下であり、好ましくは30分以上10時間以下であり、より好ましくは60分以上5時間以下である。炭化処理は、例えば、ロータリーキルンなどの公知の製造設備を用いて行うことができる。また、炭化処理は、空気を排除して減圧下で行ってもよく、窒素雰囲気下で行ってもよい。
炭素質材料の製造方法では、公知の粉砕機を用いて、炭化物を粉末状に粉砕してもよい。これにより、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を一層容易に製造できる傾向にある。炭素質材料の製造方法では、炭化物を粉末状に粉砕した後、必要に応じて粉末状の炭化物に添加剤等を加えて公知の方法で混練し、得られた混練物を公知の方法で成型してもよい。
炭化物の形状を粉末状とした場合、炭化物の粒度(体積基準の累積分布の50%粒子径、D50)は、好ましくは1μm以上150μm以下である。
炭素質材料の製造方法では、公知の方法を用いて、炭化物、粉末状の炭化物、混練物、又は粉末状の混練物を円柱ペレット状に成型してもよい。これにより、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を一層容易に製造できる傾向にある。
炭化物の形状を円柱ペレット状とした場合、円柱ペレットの直径は、好ましくは0.1mm以上4.0mm以下である。また、円柱ペレットのアスペクト比(直径:高さ)は、好ましくは1:1~1:10である。
上記炭化工程により、原料の炭化物が得られる。
炭素質材料の製造方法は、炭化工程の後に、炭化物を洗浄処理及び/又は乾燥処理等を行う、洗浄工程及び/又は乾燥工程を有してもよい。これらの工程における条件は、特に限定されず、公知の条件を採用できる。また、下記の洗浄工程及び乾燥工程を参照してもよい。
(賦活工程)
炭素質材料の製造方法は、炭化物を賦活処理して賦活物を得る賦活工程を含む。
賦活処理としては、公知の方法を採用できる。
賦活処理は、ロータリーキルン、流動炉、及びスリープ炉(縦型炉)などの公知の製造設備を用いることができる。また、賦活処理は、空気を排除して減圧下で行ってもよく、窒素雰囲気下で行ってもよい。
賦活処理は、ロータリーキルンを用いて行うことが好ましい。ロータリーキルンを用いることにより、炭化物の賦活の進行に伴って質量が軽くなった賦活物は、炉外へと飛散せず、キルン炉内にて留まることが可能となる。そのため、炭化物をより十分に賦活することができるため、ミクロ孔とメソ孔とが十分発達し、それらの孔の割合が好適の範囲に制御された賦活物を得ることができる傾向にある。
また、ロータリーキルンを用いることで、炭化物と活性ガスとを効率よく接触させることが可能となる。その結果、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料を好適に製造できる傾向にある。
ロータリーキルンを用いて賦活処理を行う場合、ロータリーキルンに投入される炭化物は、JIS Z8801-1:2019で規定する標準篩用金網にて、好ましくは70メッシュ(目開き寸法:243μm)篩上2メッシュ篩下(目開き寸法:10.7mm)の粒度を有し、より好ましくは32メッシュ(目開き寸法:490μm)篩上2メッシュ篩下(目開き寸法:10.7mm)の粒度を有する。炭化物の粒度が上記範囲にあることにより、炭化物の賦活の進行に伴って質量が軽くなった賦活物が、キルン内により留まり、賦活をより効率的に行うことが可能となる。炭化物としては、炭化工程の前に予め所望のサイズに原料を切断することで粒度を調整した炭化物を用いてもよく、炭化物を所望のサイズに破砕分級することで粒度を調整した炭化物を用いてもよい。
賦活処理の方法としては、例えば、水蒸気ガス、酸素ガス、及び二酸化炭素ガスなどの活性ガスを用いて炭化物をガス化させるガス賦活法、並びに塩化亜鉛及びリン酸などの薬剤を用いて炭化物を賦活する薬品賦活法が挙げられる。賦活処理の方法としては、ガス賦活法が好ましい。ガス賦活法として活性ガスを用いることで、より十分な反応速度を有し、生産効率をより低下させずに反応速度を制御できる傾向にある。そのため、ミクロ孔及びメソ孔が発達した炭素質材料をより容易に得ることができる傾向にある。その結果、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対してより高い処理性能を有する炭素質材料を好適に製造できる傾向にある。なお、活性ガスと共に窒素などの不活性ガスを併用してもよい。
活性ガスの分圧は、例えば、10%以上100%以下であり、好ましくは30%以上100%以下である。
活性ガスとしては、水蒸気ガス及び酸素ガスからなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、水蒸気ガスと酸素ガスの両方を用いることがより好ましい。
水蒸気ガスは、より十分な反応速度を有し、生産効率をより低下させずに反応速度をより制御できる傾向にある。また、水蒸気ガスを用いることで、生産効率を下げないまま、メソ孔及びミクロ孔が発達した炭素質材料をより容易に得ることができる傾向にある。そのため、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等に対してより高い吸着性能を有する炭素質材料を好適に製造できる傾向にある。
また、通常、賦活反応は吸熱反応であるため、賦活反応をより効率的に進行させるためには、一定以上の熱量が必要である。その熱量を維持するため、活性ガスには、水蒸気ガスと共に、酸素ガスを用いることが好ましい。賦活反応時に発生する揮発性ガスが酸素ガスと反応し燃焼することで、賦活に必要な熱量を維持することが可能となる。なお、揮発性ガスとしては、例えば、炭化物を賦活することによって発生する水素ガスや及び一酸化炭素ガスなどの可燃性ガスが挙げられる。
活性ガスとして水蒸気ガスと酸素ガスとを用いた場合、水蒸気のガス分圧は、20.0容量%を超えて40.0容量%未満であることが好ましく、25.0容量%以上35.0容量%以下であることがより好ましい。酸素ガス分圧は、1.0容量%を超えて5.0容量%未満であることが好ましく、1.5容量%以上3.5容量%以下であることがより好ましい。なお、その他のガスとして、窒素などの不活性ガスが含まれていてもよい。その場合、不活性ガスの分圧は、45.0容量%超えて89.0容量%未満であることが好ましく、61.5容量%以上73.5容量%以下であることがより好ましい。それらの割合が上記範囲にあることにより、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を更に容易に製造できる傾向にある。
活性ガスとして水蒸気ガスと酸素ガスとを用いた場合、それらの流量は、1分間当たり、合計量で10リットル(L)以上300リットル(L)以下であることが好ましい。
賦活処理の時間は、原料、賦活温度、及び製造設備などの条件によって適宜設定できる。賦活時間としては、例えば、20分間以上48時間以下であり、好ましくは50分間以上36時間以下であり、より好ましくは100分間以上24時間以下であり、更に好ましく150分間以上600分間以下であり、更により好ましく240分間以上480分間以下である。賦活時間が上記範囲にあることにより、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を更に容易に製造できる傾向にある。
賦活処理の温度は、特に限定されないが、好ましくは800℃以上1,250℃以下であり、より好ましくは850℃以上1,150℃以下である。そのような温度で賦活処理することにより、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を更に容易に製造できる傾向にある。
賦活処理を行うための賦活装置としては、例えば、図1及び2で示すようなロータリーキルンが挙げられる。図1は、ロータリーキルンの断面図I及び側面図IIである。図2は、ロータリーキルンを説明するための模式断面図である。
図1及び2に示すとおり、ロータリーキルンは、通常、管体1と、その管体1の内壁面に配置された攪拌羽A~Fとを備える。活性ガスは、通常、一方から他方に、すなわち、図1及び2に示すようなロータリーキルンであれば、管体1の活性ガスの流れ方向2に向かって送気される。
管体1の材質は、ロータリーキルンに用いられる材質であれば特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
図1及び2では、攪拌羽の数は6枚であるが、原料である炭化物5の装入量に応じて、適宜調整できる。攪拌羽の数は、通常1枚以上20枚以下であり、好ましくは3枚以上12枚以下であり、より好ましくは5枚以上10枚以下である。また、攪拌羽は、管体1の中心軸周りに等間隔で設置することが好ましい。例えば、攪拌羽の数が6枚であれば、管体1の中心軸周りに60°毎に設置することになる。
攪拌羽の高さ(管体1の壁から中心に向かう方向における高さ)は、管体1の大きさ及び炭化物5の装入量に応じて適宜設定できるが、攪拌羽が、管体1に装入される炭化物5により覆われず視認できる程度の高さであることが好ましい。具体的には、攪拌羽の高さは、攪拌羽が管体1の最底面に位置(図2の右図における攪拌羽Bの位置)する場合、その攪拌羽が、炭化物5により最底面から1/2以上2/3以下覆われる高さであることが好ましい。攪拌羽の高さは、管体1の内半径に対して、10%以上30%以下であることがより好ましい。
攪拌羽の厚さ(管体1の回転方向3の厚さ)は、管体1の大きさ及び炭化物5の装入量に応じて適宜設定できるが、攪拌羽が、管体1に装入される炭化物5により破損しない程度の強度を有する厚さであることが好ましい。具体的には、攪拌羽の厚さは、管体1の壁厚さに対して、通常1%以上100%以下であり、20%以上90%以下であることが好ましく、30%以上95%以下であることがより好ましい。
攪拌羽の材質は、ロータリーキルンに用いられる材質であれば特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼が挙げられる。
管体1内の攪拌羽が、そのように配置されることで、炭化物5と活性ガスとの接触効率がより向上する傾向にある。このことから、所望の比表面積を有する炭素質材料をより容易に製造できる傾向にある。
図2に示すとおり、炭化物5は、管体1の内部に適量装入されている。そして、管体1が管体の回転方向3に回転することで、例えば、攪拌羽Aに捕集されていた炭化物5は、攪拌羽Aにより持ち上げられ、その後、炭化物の落下方向4に向って攪拌羽Aを超えながら混合され、活性ガスと接触して賦活されながら、攪拌羽AとBとの間に捕集される。このように管体1が回転することで、炭化物5は、攪拌羽A~Fを超えながら混合されつつ、活性ガスと効率的、かつ均一に接触して賦活される。このことから、所望の細孔径分布を有する炭素質材料をより容易に製造できる傾向にある。
このように、賦活装置としてロータリーキルンを用いることで、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料をより容易に製造できる傾向にある。
上記賦活工程により、賦活物が得られる。
炭素質材料の製造方法は、賦活工程の後に、賦活物を洗浄処理及び/又は乾燥処理等を行う、洗浄工程及び/又は乾燥工程等を有してもよい。これらの工程における条件は、特に限定されず、公知の条件を採用できる。また、下記の洗浄工程及び乾燥工程を参照してもよい。
(洗浄工程)
炭素質材料は、賦活工程で得られた賦活物を洗浄する洗浄工程を経て得られることが好ましい。洗浄としては、水洗浄であることがより好ましい。そのような洗浄工程を経ることで、よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である炭素質材料を更に容易に製造できる傾向にある。
洗浄における温度及び時間は、目的とする炭素質材料が得られるように適宜調整すればよい。
(乾燥工程)
炭素質材料は、洗浄工程で得られた洗浄物を乾燥する乾燥工程を経て得られることが好ましい。
乾燥方法としては、特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、及び熱風乾燥などの公知の乾燥方法を用いることができる。乾燥方法としては、加熱及び/又は減圧する方法が好ましい。加熱にて乾燥する方法としては、乾燥ムラがなく、安定して乾燥できる点から、熱風による乾燥方法が好ましい。乾燥工程において、炭素質材料の水分率が20.0質量%以下になるまで乾燥することが好ましく、10.0質量%以下になるまで乾燥することがより好ましい。
加熱方法としては、例えば、静置型の定温乾燥機;静置型の熱風乾燥機;真空乾燥機;回転式のエバポレーター;コニカルドライヤー、ナウタードライヤー等の混合式の乾燥機等による加熱方法が挙げられる。加熱温度は、炭素質材料が硬化し、かつ、融解しない温度であればよく、例えば、40℃以上300℃以下が好ましい。
減圧方法としては、例えば、オイルポンプ、オイルレスポンプ、及びアスピレータ等を用いた減圧方法が挙げられる。減圧方法における圧力は、通常0.00001MPa以上0.05MPa以下である。
乾燥時間は、乾燥温度にもよるが、通常1分以上20時間以下程度である。
このようにして得られた炭素質材料は、そのまま用いてもよいし、必要に応じて公知の方法によって、破砕、粉砕、及び分級による粒子サイズの調節;例えば、水、有機溶剤、酸水溶液、及びアルカリ水溶液を用いた、追加の洗浄による高純度化;追加の熱処理を用いた耐久性付与及び構造調整を実施して、炭素質材料を得てもよい。
炭素質材料は、その粒度(体積基準の累積分布の50%粒子径、D50)が20μm以上500μm以下になるように粒度を調整することが好ましい。炭素質材料の粒度が上記範囲にあることにより、炭素質材料は、例えば、下記に例示するような用途に好適に用いることができる。
[用途]
炭素質材料は、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等とを、除去、吸着、濃縮、及び回収する様々な用途に好適に用いることができる。そのような用途は、除去、吸着、濃縮、及び回収の操作を、適宜組み合わせる用途であってもよい。そのような用途としては、例えば、吸着フィルター、浄水器カートリッジ、浄水器、充填塔、家庭用飲用水処理、産業プロセスにおける用水処理及び精製、並びに排水処理など含む、水浄化設備などが挙げられる。
炭素質材料は、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等の除去に好適に用いられる。
[遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等との除去方法]
遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等の除去方法は、炭素質材料を用いて、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等を除去する除去工程を含む。遊離残留塩素は、例えば、炭素質材料の表面で分解されることで除去される。陰イオン界面活性剤等は、例えば、炭素質材料に吸着されることで除去される。これらの除去方法では、炭素質材料として本実施形態の炭素質材料を用いること以外に、公知の遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等の除去方法、吸着方法、濃縮方法、及び回収方法等と同様の工程を有していてもよい。
〔吸着フィルター〕
本実施形態の吸着フィルターは、本実施形態の炭素質材料を含む。また、吸着フィルターは、浄水器用であることが好ましい。
吸着フィルターは、炭素質材料を含むことから、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能となる。そのため、例えば、吸着フィルターを浄水器に設置することで、水中に含まれる遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等とを効率よく除去することが可能である。
吸着フィルターは、炭素質材料と繊維状バインダーとを含むことが好ましい。
繊維状バインダーとしては、例えば、フィブリル化させることによって、炭素質材料を絡めて賦形できるものが挙げられる。そのような繊維状バインダーとしては、合成品であってもよく、天然品であってもよい。繊維状バインダーとしては、例えば、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、及びパルプなどが挙げられる。
繊維状バインダーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。繊維状バインダーとしては、ポリアクリロニトリル繊維、及び/又はパルプであることが好ましい。これらの繊維状バインダーを用いることで、吸着フィルターの密度及び吸着フィルターの強度をさらに上げ、性能低下を抑制することができる。
遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等との除去性能をより高いレベルで両立できることから、吸着フィルターは、炭素質材料100質量部に対して、繊維状バインダーを好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下で含む。下限としては、通常、0.01質量部以上である。
なお、吸着フィルターが、後述する他の機能性成分を含む場合、フィルター組成についていう「炭素質材料100質量部に対して」は「炭素質材料と他の機能性成分の合計100質量部に対して」と読み替えて適用すればよい。
吸着フィルターは、本実施形態の効果が阻害されない限りにおいて、他の機能性成分を含んでもよい。そのような他の機能性成分としては、例えば、溶解性鉛を吸着除去できるチタノシリケート及びゼオライト系粉末などの鉛吸着材;イオン交換樹脂;キレート樹脂;抗菌性を付与するために銀イオン及び/又は銀化合物を含む各種吸着材などが挙げられる。
吸着フィルターに通水する場合、その通水は、通常、圧力損失が極度に大きくならないように300/hr以上6500/hr以下の空間速度(SV)で実施される。原水及び透過水中の除去対象物質の濃度から計算される各除去率と、通水開始から流した水量(L)と浄水カートリッジの容積(mL)の比(累積透過水量L/mL)との関係をプロットすることにより、吸着フィルターの性能を確認することができる。
(ろ過能力)
本明細書において、ろ過能力は、吸着フィルターに通水した場合、対象となる除去物質の除去率が80%となるまで通水可能な水量(L)として定義される。通水は、3000/hrの空間速度(SV)で実施される。
(遊離残留塩素ろ過能力)
遊離残留塩素ろ過能力は、JIS S3201:2019における「家庭用浄水器試験法」に規定された試験方法における遊離残留塩素除去性能試験を用いて測定することができる。具体的には、試験水を遊離残留塩素濃度2.0±0.4(mg/L)及び水温20℃±3℃とし、炭素質材料又は吸着フィルターに通水する。試験原水及びろ過水を、分光光度計及びDPD試薬(ジエチル-p-フェニレンジアミン)を用いたDPD吸光光度法により分析し、試験原水濃度(mg/L)と、ろ過水濃度(mg/L)とから除去率(%)を求め、積算通水量(L)に対して除去率(%)をプロットすることでろ過能力を求めることができる。
本実施形態の吸着フィルターはろ過能力に優れるため、通常、JIS S3201:2019に準拠して測定した遊離残留塩素ろ過能力が、炭素質材料1cm当たり17.0L以上であり、好ましくは20.0L以上であり、より好ましくは23.0L以上である。
(陰イオン界面活性剤ろ過能力)
陰イオン界面活性剤ろ過能力は、JIS S3201:2019における「家庭用浄水器試験法」に規定された試験方法における陰イオン界面活性剤除去性能試験を用いて測定することができる。具体的には、試験水を陰イオン界面活性剤濃度0.20±0.04(mg/L)及び水温20℃±3℃とし、炭素質材料又は吸着フィルターに通水する。試験原水及びろ過水を固相抽出-高速液体クロマトグラフ法により分析し、試験原水濃度(mg/L)と、ろ過水濃度(mg/L)から除去率(%)を求め、積算通水量(L)に対して除去率(%)をプロットすることでろ過能力を求めることができる。
本実施形態の吸着フィルターはろ過能力に優れるため、吸着フィルターは、通常、JIS S3201:2019に準拠して測定した、陰イオン界面活性剤ろ過能力が、炭素質材料1cm当たり55.0L以上であり、好ましくは65.0L以上であり、より好ましくは75.0L以上である。
〔浄水器カートリッジ〕
本実施形態の浄水器カートリッジは、本実施形態の炭素質材料を含む。浄水器カートリッジは、本実施形態の炭素質材料を含む以外、公知の浄水器カートリッジと同様の構成を有してもよい。浄水器カートリッジは、炭素質材料を含むことにより、水中に含まれる遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等とを効率よく除去することが可能である。そのため、例えば、浄水器カートリッジを、家庭用浄水器に設置することで、JIS S3201:2019における「家庭用浄水器試験法」に記載の多種類の有害物質、特に、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等を効率よく除去することが可能である。
浄水用カートリッジしては、例えば、炭素質材料をハウジングに充填したカートリッジや、吸着フィルターをハウジングに充填したカートリッジが挙げられる。浄水用カートリッジは、本実施形態に係る炭素質材料又は吸着フィルターに加えて、公知の不織布フィルター、各種吸着材、ミネラル添加材、セラミック濾過材、及び中空糸膜などを組合せて含んでもよい。
[装置]
装置は、炭素質材料を備える。装置は、炭素質材料として本実施形態の炭素質材料を用いること以外に、公知の装置と同様の構成を有していてもよい。
炭素質材料の機能は、これを含む装置によって利用される。装置は、処理装置であることが好ましい。なお、本明細書において、「処理装置」とは、排水、廃液、及び油等の処理対象物に含まれる遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等とを、本実施形態の炭素質材料により、除去、吸着、濃縮、及び回収できる装置であれば、特に限定されない。そのような処理装置は、除去、吸着、濃縮、及び回収の操作を、適宜組み合わせる装置であってもよい。そのような処理装置としては、例えば、炭素質材料を含む、吸着フィルター、カラム、タンク又は浴、チューブ、浄水器カートリッジ、ボンベ、及びシート(以下、単に「炭素質材料を含むフィルター等」とも称す)を含む装置、充填塔、並びに浄水器などのろ過装置、吸着装置、及び濃縮装置が挙げられる。そのような装置としては、例えば、家庭用飲用水処理装置、産業プロセスにおける用水処理装置及び精製装置、並びに排水処理装置が挙げられる。
装置は、例えば、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤等と、炭素質材料とを接触させるための吸着部を備える。吸着部では、必要に応じて、本実施形態に係る炭素質材料以外の吸着材を含んでもよい。そのような吸着材としては、例えば、本実施形態に係る炭素質材料以外の活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、不織布、及び多孔性有機化合物が挙げられる。
ろ過装置としては、例えば、炭素質材料を含む、浄水器、カートリッジ式ろ過装置、膜処理装置、及び限外濾過膜装置が挙げられる。
処理装置には、炭素質材料を含む吸着フィルター等と共に、その他の吸着フィルターを備えてもよい。このようなその他の吸着フィルターとしては、例えば、ステンレス製、アルミニウム製、ブロンズ製、銅製、チタン製、及びニッケル製等を使用した金属製フィルター;ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアミド、及びフッ素系樹脂等を使用した樹脂フィルターが挙げられる。
また、処理装置は、バッチ式でも、連続式でもよく、炭素質材料は、どちらの様式にも用いることができる。
〔浄水器〕
本実施形態の浄水器は、本実施形態の炭素質材料を含む。
浄水器は、炭素質材料又は吸着フィルターを用いて製造される。浄水器は、吸着フィルターを含むことにより、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能となる。そのため、浄水器は、水栓装置用及びキッチン用に好適に利用することができる。
浄水器は、浄水用カートリッジを備え、その浄水用カートリッジが、本実施形態に係る炭素質材料又は吸着フィルターを用いて構成されることが好ましい。そのような浄水用カートリッジの構成としては、上記の浄水器カートリッジを参照してもよい。
(浄水方法)
浄水方法は、特に限定されないが、本実施形態の浄水器を用いることが好ましい。浄水方法は、特に制限がなく、公知の方法を採用できる。
〔水浄化設備〕
本実施形態の水浄化設備は、本実施形態の炭素質材料を備える。水浄化設備は、炭素質材料を備えることにより、遊離残留塩素と陰イオン界面活性剤等との除去性能を高いレベルで両立することが可能となる。
水浄化設備としては、例えば、純水製造装置、超純水装置、及び浄水場などの浄水設備、産業一般の排水処理設備、並びに医薬・食品における用水精製設備が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
〔評価方法〕
(1)よう素吸着量(よう素吸着性能)
炭素質材料のよう素吸着量(mg/g)を測定及び算出した。
具体的には、よう素吸着量の測定は、JIS K 1474(2014年)に準拠して行った。すなわち、まず、JIS Z 8801-1に準拠して、45μmの網篩を90%以上通過するまで炭素質材料を粉砕し、115℃の定温乾燥器(ヤマト科学(株)製DVS402(商品名))中で3時間乾燥した。その後、乾燥剤としてシリカゲルを使用したデシケーター中で室温まで放冷し、放冷後の炭素質材料を得た。
一方、蒸留水約1Lに、よう化カリウム(富士フィルム和光純薬(株)製)25.0gと、よう素(富士フィルム和光純薬(株)製)13.0gとを溶解させ、よう素溶液とした。よう素溶液を0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液(富士フィルム和光純薬(株)製)により滴定し、よう素溶液に適宜蒸留水を加えることで、0.05mol/Lのよう素溶液を調製した。
次いで、上記の放冷後の炭素質材料の任意量(下記ろ液の上澄み液中のよう素残留濃度が、およそ2.5g/Lとなる量)を秤量し、共栓付き三角フラスコ100mLに入れ、更に上記の0.05mol/Lのよう素溶液50mLを全量ピペットで加えた。室温(20℃以上30℃以下)にて、振とう機(タイテック(株)製中型振とう機レシプロシェーカーNR-10(商品名))を使用して200回/分で15分振とうし、よう素を炭素質材料に吸着させ、混合液を得た。その後、セルロース混合エステルメンブレンフィルター(アドバンテック東洋(株)製A045A025A(商品名))を用いて、混合液をろ過することにより、ろ液を得た。ろ液の上澄み液10mLを全量ピペットで採取し、0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液(富士フィルム和光純薬(株)製、ファクター:1.000)により滴定し、下記式(I)により、よう素残留濃度を算出した。
よう素残留濃度(g/L)=滴定に用いた0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)×0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター×12.69/10・・・(I)
下記式(II)により、炭素質材料1g当たりのよう素吸着量を算出した。
炭素質材料1g当たりのよう素吸着量=(10×0.05mol/Lのよう素溶液のファクター-滴定に用いた0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)×0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター)×12.69×5/炭素質材料の質量(g)・・・(II)
なお、0.05mol/Lのよう素溶液のファクターは、式(III)により算出した。
0.05mol/Lのよう素溶液のファクター=(滴定に用いた0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液の量(mL)×0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター)/10・・・(III)
フロインドリッヒの吸着等温式より、横軸をよう素残留濃度とし、縦軸を炭素質材料1g当たりのよう素吸着量とする吸着等温線を作成し、よう素残留濃度2.5g/Lにおける炭素質材料1g当たりのよう素吸着量(mg/g)を算出した。そのよう素吸着量をよう素吸着性能とした。
(2)リアクティブブラック5価
炭素質材料のリアクティブブラック5価(g/L)を測定した。
具体的には、まず、炭素質材料を、体積基準の累積分布の50%粒子径(D50)が10.0μm以下程度になるよう粉砕し、115℃の定温乾燥器(ヤマト科学(株)製DVS402(商品名))中で3時間乾燥した。その後、乾燥剤としてシリカゲルを使用したデシケーター中にて室温まで放冷し、放冷後の炭素質材料を得た。
一方、次のようにして、リン酸緩衝液とリアクティブブラック5(シグマアルドリッチ製)とを含む試験液Aを調製した。すなわち、まず、リン酸二水素カリウム(富士フィルム和光純薬(株)製)7.26gと、リン酸水素二ナトリウム・12水和物(富士フィルム和光純薬(株)製)28.66gとを2Lの蒸留水に溶解させて、リン酸緩衝液(pH:7.0)を調製した。その後、得られたリン酸緩衝液1Lに対して、リアクティブブラック5を約0.5g以上1.2g以下の範囲で加えて試験液Aを調製した。なお、その際、リアクティブブラック5の量は、次のようにして調整した。すなわち、得られた試験液Aを蒸留水にて20倍希釈した溶液の吸光度が1.18以上1.23以下の範囲に入るようにリン酸緩衝液1Lに加えるリアクティブブラック5の量を適宜調整した。吸光度は波長594nmの吸光度であり、光路長10mmのガラスセルを用いて、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテク製ダブルビーム分光光度計U-2910(商品名))にて測定した。なお、上述のようにして得られた試験液Aを20倍に希釈した溶液を試験液Bとして、その試験液Bを下記の吸光度の測定に用いた。
次いで、共栓付き三角フラスコ100mLに、上記の放冷後の炭素質材料を任意の質量(下記式(V)による、ろ液中に含まれるリアクティブブラック5の残存率が10%程度となる量)だけ分取し、その炭素質材料を上記で調製した試験液A50mLに加え、振とう恒温槽(タイテック(株)製ウォーターバスシェーカーMM-10(商品名))を用いて、40℃の水浴中にて150回/分の速度で5時間振とうし、混合液を得た。その後、メンブレンフィルター(アドバンテック東洋(株)製DISMIC(登録商標)25HP045AN(商品名))を用いて、混合液をろ過することにより、ろ液を得た。
光路長10mmのガラスセルを用いて、紫外可視分光光度計((株)日立ハイテク製ダブルビーム分光光度計U-2910(商品名))にて、得られた試験液Bとろ液について、それぞれの波長594nmにおける吸光度を測定した。それらの吸光度を用いて、下記式(IV)により、炭素質材料1g当たりのリアクティブブラック5の吸着量(以下、単に「炭素質材料1g当たりのRB5吸着量(/g)」と称する)を算出した。
炭素質材料1g当たりのRB5吸着量(/g)=(試験液Bの波長594nmにおける吸光度×20-ろ液の波長594nmにおける吸光度)/炭素質材料の質量(g)・・・(IV)
また、下記式(V)により、ろ液中に含まれるリアクティブブラック5の残存率(以下、単に「RB5残存率(%)」と称する)を算出した。
RB5残存率(%)=(ろ液の波長594nmにおける吸光度/試験液Bの波長594nmにおける吸光度×20)×100・・・(V)
次いで、横軸にRB5残存率(%)を、縦軸に炭素質材料1g当たりのRB5吸着量(/g)を用いて累乗近似曲線を作成した。その累乗近似式を用いて、リアクティブブラック5残存率が1%におけるリアクティブブラック5の吸着量(以下、単に「RB5残存率が1%におけるRB5吸着量(/g)」と称する)を求め、式(VI)により、リアクティブブラック5価(g/L)を算出した。
リアクティブブラック5価(g/L)=(試験液Bの波長594nmにおける吸光度×20×0.99/RB5残存率が1%におけるRB5吸着量(/g))/0.05(L)・・・(VI)
なお、式(VI)中の0.05(L)は、試験液の量である。
(3)BET比表面積
-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる炭素質材料の比表面積(m/g)を測定した。
具体的には、BET比表面積(m/g)を、下記のようにして求めた。すなわち、まず、比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製のBELSORP(登録商標)-miniII(商品名))を使用し、炭素質材料を減圧下(真空度:0.1kPa以下)にて250℃で3時間加熱した後、-196℃における炭素質材料の窒素吸着等温線を測定した。得られた窒素吸着等温線を使用し、BET解析により、得られた曲線から多点法により相対圧P/P0=0.01以上0.10以下の領域での直線を得て、この直線からBET比表面積を算出した。
(4)メソ孔比
・BELSORP-MAXを使用する窒素ガス吸着等温線の測定
比表面積/細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製BELSORP(登録商標)-MAX(商品名))を使用し、炭素質材料を真空条件下で300℃及び3時間加熱した後に、温度77Kの条件下での窒素ガス吸着等温線を測定した。
・細孔径1.00nm以下の細孔容積の測定
窒素吸着等温線から炭素質材料1g当たりのQSDFT法により算出したミクロ孔の中で細孔径1.00nm以下の細孔容積(cm/g)は、次のようにして算出した。具体的には、上記の「BELSORP-MAXを使用する窒素ガス吸着等温線の測定」により得られた窒素ガス吸着等温線の値を使用し、Caluculation modelとしてN at 77K carbon[slit pore/cyl.pore (QSDFT Ads.model)]を適用して細孔径分布を計算することで、細孔径1.00nm以下の細孔容積(cm/g)を算出した。
・メソ孔の細孔容積の測定
-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる炭素質材料のメソ孔の細孔容積(cm/g)を測定した。具体的には、上記のBET比表面積の測定で用いた窒素吸着等温線を使用し、相対圧P/P0=0.385以上0.99以下の領域でBJH解析により曲線を得た。得られた曲線から、各細孔径に対する累積細孔容積を算出し、細孔径が50.0nmまでの累積細孔容積から、細孔径が2.0nmまでの累積細孔容積を差し引くことで、細孔径が2.0nm以上50.0nm以下のメソ孔の細孔容積を算出した。
・メソ孔比の算出
炭素質材料のメソ孔比を算出した。
具体的には、炭素質材料のメソ孔比(A/B)は、細孔径1.00nm以下の細孔容積(cm/g)(A)と、メソ孔の細孔容積(cm/g)(B)とを用いて、下記式(VII)より算出した。
炭素質材料のメソ孔比(A/B)=細孔径1.00nm以下の細孔容積(A)/メソ孔の細孔容積(B)・・・(VII)
(5)メソ孔の割合
・BJH比表面積
-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる炭素質材料の比表面積(m/g)を測定した。なお、BJH比表面積は、BJH法に基づいて測定した、炭素質材料の細孔容積と細孔径より求められる比表面積である。
具体的には、上記のBET比表面積の算出で用いた窒素吸着等温線を使用し、相対圧P/P0=0.385以上0.99以下の領域でBJH解析により曲線を得た。得られた曲線から、細孔径が2.0nm以上50.0nm以下の範囲の各細孔径毎にメソ孔の細孔容積を算出し、それらの値と下記式(VIII)とを用いて、比表面積を算出した。得られた細孔径毎の比表面積を足し合わせることで、炭素質材料のBJH比表面積を算出した。
Ap=2×Vp/(rp×10)×0.0001・・・(VIII)
なお、式(VIII)において、Apはある細孔径における比表面積(m/g)を示し、Vpはある細孔径における細孔容積(cm/g)を示し、rpはその細孔径(nm)を示す。
・メソ孔の割合の算出
炭素質材料におけるメソ孔の割合(%)を算出した。
具体的には、炭素質材料のメソ孔の割合(%)は、上記で求められたBET比表面積(m/g)と、BJH比表面積(m/g)とを用いて、下記式(IX)より算出した。
メソ孔の割合=BJH比表面積/BET比表面積×100・・・(IX)
(6)メソ孔の細孔容積
-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる炭素質材料のメソ孔の細孔容積(cm/g)は、上記のメソ孔比における「メソ孔の細孔容積の測定」により測定し、算出した。
(7)全細孔容積
-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる炭素質材料の全細孔容積(cm/g)を測定した。具体的には、上記のBET比表面積の算出で用いた窒素吸着等温線を使用し、相対圧P/P0=0.385以上0.99以下の領域でBJH解析により曲線を得た。得られた曲線から、細孔径が1.2nm以上97.4nm以下の累積細孔容積を算出し、その値を炭素質材料の全細孔容積とした。
(8)充填密度
タッピング法により測定される炭素質材料の充填密度(g/mL)を算出した。
具体的には、まず、115℃の定温乾燥器(ヤマト科学(株)製DVS402(商品名))中で3時間、炭素質材料を乾燥した。その後、乾燥剤としてシリカゲルを使用したデシケーター中で室温まで放冷し、放冷後の炭素質材料を得た。
上記の放冷後の炭素質材料5.0gを秤量し、それを概ね3等分し、その一部(約1/3の量)の炭素質材料を150mLメスシリンダー(内径:31mm、(筒井理化学器械(株))へ入れた。メスシリンダーにゴム栓を施して自動タッピング装置(筒井理化学器械(株)製粉体減少度測定機TPM-3A型(商品名))にセットし、振とう幅45mm、及び振とう回数35~36回/分にて1分間タッピングを行った。タッピング終了後、先に3等分したうちの別の一部(約1/3の量)の炭素質材料を更にメスシリンダーへ加えて、ゴム栓を施して、上記と同様の条件で、1分間タッピングを行った。その後、先に3等分したうちの最後の一部(約1/3の量)の炭素質材料を更にメスシリンダーへ加えて、ゴム栓を施して、上記と同様の条件で、30分間タッピングを行った。
タッピング終了後、ゴム栓を外してメスシリンダー内の試料上面をスパーテル等で平らにし、メスシリンダーの目盛りから試料体積(mL)を目視で計測した。計測した試料体積を用いて、下記式(X)により、タッピング法により測定される充填密度を算出した。
充填密度(g/mL)=炭素質材料の質量(g)/計測した試料体積(mL)・・・(X)
(9)遊離残留塩素ろ過能力
JIS S3201:2019における「家庭用浄水器試験方法」に規定された遊離残留塩素ろ過能力試験の試験条件で、炭素質材料の遊離残留塩素ろ過能力(L/cm)を算出した。
なお、ろ過能力試験は、ジュラコン(登録商標)(ポリアセタール)製下降流通水カラム(自社設計切削品、内径φ50mm、及び高さ60mm)に炭素質材料の50cmを充填し、ろ過流量3.0L/分にて行った。
(10)陰イオン界面活性剤ろ過能力
JIS S3201:2019における「家庭用浄水器試験方法」に規定された陰イオン界面活性剤ろ過能力試験の試験条件で、炭素質材料の陰イオン界面活性剤ろ過能力(L/cm)を算出した。
なお、ろ過能力試験は、ジュラコン(登録商標)(ポリアセタール)製下降流通水カラム(自社設計切削品、内径φ50mm、及び高さ60mm)に炭素質材料の50cmを充填し、ろ過流量3.0L/分にて行った。
〔実施例1〕
(炭化工程)
温度600℃及び約2時間にて、フィリピン産のヤシ殻の炭化を行うことで炭化物を得た。
(賦活処理)
得られた炭化物を、図1及び2に示すような、900℃に加熱した炉内に攪拌羽が搭載されているロータリーキルン中に、ロータリーキルンの容積1mに対して約0.06倍にて投入した。その後、回転数3.0rpmでキルンを回転させながら、ガス(水蒸気30.0容量%、酸素2.5容量%、及び窒素67.5容量%)をキルン内に導入し、260分間賦活処理を行うことで賦活物を得た。
なお、用いたロータリーキルンにおいて、攪拌羽は、管体の中心軸周りに60°毎に、6枚設置されていた。また、攪拌羽の高さは、管体の内半径に対して15%以上25%以下であり、攪拌羽の厚さは、管体の厚さに対して40%以上80%以下とした。
(洗浄工程及び乾燥工程等)
得られた賦活物を水で十分に洗浄して、乾燥させることで乾燥物を得た。その後、得られた乾燥物を粉砕し、JIS Z8801-1:2019で規定する標準篩用金網にて、140メッシュの篩(目開き寸法:106μm、東京スクリーン(株))上60メッシュの篩(目開き寸法:233μm、東京スクリーン(株))下を用いて、粒度(体積基準の累積分布の50%粒子径、D50)が210μmになるように調整を行うことで、活性炭である粉砕状の炭素質材料1を得た。
〔実施例2〕
賦活工程において、390分間賦活処理を行うこと以外は、実施例1と同様にして、活性炭である粉砕状の炭素質材料2を得た。
〔実施例3〕
賦活工程において、420分間賦活処理を行うこと以外は、実施例1と同様にして、活性炭である粉砕状の炭素質材料3を得た。
〔比較例1〕
(炭化工程)
温度600℃及び約2時間にて、フィリピン産のヤシ殻の炭化を行うことで炭化物を得た。
(賦活処理)
得られた炭化物を、図1及び2に示すような、900℃に加熱した炉内に攪拌羽が搭載されているロータリーキルン中に、ロータリーキルンの容積1mに対して約0.06倍にて投入した。その後、回転数3.0rpmでキルンを回転させながら、ガス(水蒸気40.0容量%、酸素5.0容量%、及び窒素55.0容量%)をキルン内に導入し、130分間賦活処理を行うことで賦活物を得た。
なお、用いたロータリーキルンにおいて、攪拌羽は、管体の中心軸周りに60°毎に、6枚設置されていた。また、攪拌羽の高さは、管体の内半径に対して15%以上25%以下であり、攪拌羽の厚さは、管体の厚さに対して40%以上80%以下とした。
(洗浄工程及び乾燥工程等)
得られた賦活物を水で十分に洗浄して、乾燥させることで乾燥物を得た。その後、得られた乾燥物を粉砕し、JIS Z8801-1:2019で規定する標準篩用金網にて、140メッシュの篩(目開き寸法:106μm、東京スクリーン(株))上60メッシュの篩(目開き寸法:233μm、東京スクリーン(株))下を用いて、粒度(体積基準の累積分布の50%粒子径、D50)が210μmになるように調整を行うことで、活性炭である粉砕状の炭素質材料4を得た。
〔比較例2〕
賦活工程において、200分間賦活処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして、活性炭である粉砕状の炭素質材料5を得た。
〔比較例3〕
賦活工程において、250分間賦活処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして、活性炭である粉砕状の炭素質材料6を得た。
〔比較例4〕
賦活工程において、280分間賦活処理を行うこと以外は、比較例1と同様にして、活性炭である粉砕状の炭素質材料7を得た。
〔比較例5〕
(炭化工程)
温度600℃及び約2時間にて、フィリピン産のヤシ殻の炭化を行うことで、炭化物1を得た。
得られた炭化物1を、平均粒径20μm以上80μm以下となるように粉砕して粉砕品を得た。その後、混合機(ユニバース(株)製、高速混合器DH-5(商品名))に、得られた粉砕品1000gと、塩化カルシウム(試薬特級、富士フィルム和光純薬(株)製)25gを水57gに溶解した塩化カルシウム水溶液と、ハードピッチ(軟化点:110℃、JFEケミカル(株)製PK-Mフレーク(商品名))250gと、クレオソート(JFEケミカル(株)製クレオソート油(ナフタリンB)(商品名))80gと、リグニン(日本製紙(株)製サンエキス(登録商標)M(商品名))15gと、水73gとを投入し、25分間混合し、混合物を得た。その後、得られた混合物を、孔径4.0mmの押出し造粒機(不二パウダル(株)製ディスクペレッター(商品名))に投入し、押出成形することで造粒物を得た。温度650℃及び約30分間にて、得られた造粒物の炭化を行うことで、炭化物2を得た。
(賦活処理)
得られた炭化物2を、図1及び2に示すような、900℃に加熱した炉内に攪拌羽が搭載されているロータリーキルン中に、ロータリーキルンの容積1mに対して約0.06倍にて投入した。その後、回転数3.0rpmでキルンを回転させながら、ガス(水蒸気40.0容量%、酸素5.0容量%、及び窒素55.0容量%)をキルン内に導入し、150分間賦活処理を行うことで賦活物を得た。
なお、用いたロータリーキルンにおいて、攪拌羽は、管体の中心軸周りに60°毎に、6枚設置されていた。また、攪拌羽の高さは、管体の内半径に対して15%以上25%以下であり、攪拌羽の厚さは、管体の厚さに対して40%以上80%以下とした。
(洗浄工程及び乾燥工程等)
得られた賦活物を希塩酸で洗浄し、次いで残留した塩酸を除去するため水で十分に洗浄及び乾燥させ、乾燥物を得た。その後、得られた乾燥物を粉砕し、JIS Z8801-1:2019で規定する標準篩用金網にて、140メッシュの篩(目開き寸法:106μm、東京スクリーン(株))上60メッシュの篩(目開き寸法:233μm、東京スクリーン(株))下を用いて、粒度(体積基準の累積分布の50%粒子径、D50)が210μmになるように調整を行うことで、活性炭である粉砕状の炭素質材料8を得た。
Figure 0007453462000003
本実施形態の炭素質材料は、炭素質材料表面で分解可能な遊離残留塩素と、分子サイズの比較的大きい陰イオン界面活性剤等を、除去、吸着、濃縮、及び回収する様々な用途に好適に用いることができる。
A,B,C,D,E,F…攪拌羽、1…管体、2…活性ガスの流れ方向、3…管体の回転方向、4…炭化物の落下方向、5…炭化物。

Claims (14)

  1. よう素吸着量が1,300mg/g以上1,800mg/g以下であり、リアクティブブラック5価が1.0g/L以上6.0g/L以下であり、-196℃におけるNの吸着等温線からBET法によって求められる比表面積が1,100m/g以上1,700m/g以下である、炭素質材料。
  2. 窒素吸着等温線から炭素質材料1g当たりのQSDFT法により算出した1.00nm以下の細孔容積(A)と、-196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められるメソ孔の細孔容積(B)との比(A/B)が1.0以上4.0以下である、請求項1に記載の炭素質材料。
  3. メソ孔の割合が4.8%以上15.0%以下である、請求項1に記載の炭素質材料。
  4. -196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められるメソ孔の細孔容積が0.06cm/g以上0.30cm/g以下である、請求項1に記載の炭素質材料。
  5. -196℃におけるNの吸着等温線からBJH法によって求められる全細孔容積が0.25cm/g以上1.00cm/g以下である、請求項1に記載の炭素質材料。
  6. タッピング法により測定される充填密度が0.30g/mL以上0.50g/mL以下である、請求項1に記載の炭素質材料。
  7. 水中で、少なくとも、遊離残留塩素及び陰イオン界面活性剤の除去に用いられる、請求項1~6のいずれか一項に記載の炭素質材料。
  8. 原料を炭化して炭化物を得る炭化工程と、
    前記炭化物を賦活処理して賦活物を得る賦活工程と、を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の炭素質材料の製造方法。
  9. 前記賦活物を洗浄する洗浄工程を更に含む、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記原料が、ヤシ殻である、請求項8に記載の製造方法。
  11. 請求項1~6のいずれか一項に記載の炭素質材料を含む、吸着フィルター。
  12. 請求項1~6のいずれか一項に記載の炭素質材料を含む、浄水器カートリッジ。
  13. 請求項1~6のいずれか一項に記載の炭素質材料を含む、浄水器。
  14. 請求項1~6のいずれか一項に記載の炭素質材料を備える、水浄化設備。
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