JP2006080463A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 最外層に保護層を形成する場合であっても、バインダー等を十分に除去できる積層セラミック電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のセラミック電子部品(コンデンサ)の製造方法は、セラミック材料及び第1のバインダー化合物を含むセラミック材料層、並びに、このセラミック材料層を挟むように配置された電極ペースト層を有する内層部と、この内層部を挟むように配置されており、セラミック材料及び第2のバインダー化合物を含む外層部とを備える積層体を形成する工程と、積層体を加熱して、積層体から第1及び第2のバインダー化合物を除去する工程と、この積層体を焼成する工程とを有している。この際、上記第2のバインダーとしては、第1のバインダー化合物よりも分解温度が低いものを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セラミック電子部品の製造方法、特に、積層セラミックコンデンサを好適に製造する方法に関する。
積層セラミックコンデンサ等の積層型のセラミック電子部品としては、セラミック層と内部電極層とが交互に積層された構造を有するものが一般的である。このようなセラミック電子部品は、例えば、セラミック材料、溶剤、バインダー等を含む材料をシート状に成形したグリーンシートと、電極ペースト層とを交互に積層し、得られた積層体から溶剤やバインダーを除去(脱バインダー)して、焼成した後、外部電極等を形成する方法によって製造されている。
脱バインダーは、積層体を加熱することによってバインダー等を分解してガスを発生させ、生じたガスを積層体の外部に放出することによって行われる。しかし、従来のセラミック電子部品の製造方法においては、発生したガスを積層体外部に排出するのが困難であったため、積層体中にバインダー等が残り易い傾向にあった。そして、積層体中に残存したバインダー等は、焼成時の高温によって急激にガスを生じて外部に抜けようとするため、セラミック層と内部電極との間のデラミネーションや、セラミック層のクラック等を発生させる原因となっていた。このようなデラミネーションやクラック等が生じると、例えば、積層セラミックコンデンサがショートしたり、耐電圧が低下したりする等の不都合が生じ易くなる。
上述した不都合を解消するために、例えば、特許文献1には、電極ペースト層及びグリーンシートのうち、厚みの薄い側の層に、より高い分解温度を有するバインダーを含有させる方法が記載されている。かかる方法によれば、厚みの厚い側の層に含まれるバインダーの方が除去され易いため、分解ガスは、主として厚みの厚い側の層を通って排出されるようになる。その結果、積層体内部に過度の応力が発生することが少なくなり、上述したデラミネーション等が生じ難くなる。
特開平9−120931号公報
ところで、積層型のセラミック電子部品を製造する際には、セラミック層や内部電極を焼成時や素子使用時の破損から保護するため、グリーンシートや電極ペースト層を含む内層部の外側に、グリーンシートを更に複数層積層した外層部を設け、これにより保護層を形成することが多い。しかしながら、このように保護層を形成する場合、上述した従来技術による方法では、脱バインダー時に、バインダー等から発生したガスの排出が保護層によって阻害されてしまうため、十分に脱バインダーを行うのが困難な傾向にあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、最外層に保護層を形成する場合であっても、バインダー等を十分に除去できる積層セラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、セラミック材料及び第1のバインダー化合物を含むセラミック材料層、並びに、このセラミック材料層を挟むように配置された電極ペースト層を有する内層部と、この内層部を挟むように配置されており、セラミック材料及び第1のバインダー化合物よりも分解温度が低い第2のバインダー化合物を含む外層部とを備える積層体を形成する工程と、積層体を加熱して、当該積層体から第1及び第2のバインダー化合物を除去する工程と、第1及び第2のバインダー化合物が除去された積層体を焼成する工程とを有することを特徴とする。なお、第1及び第2のバインダー化合物は、これらを分解してガスを発生させることによって、セラミック材料層や外層部から除去される。
ここで、「分解温度」とは、バインダー化合物(第1又は第2のバインダー化合物)が、加熱により気化又は分解等の所定の反応を生じてガス化される温度をいい、本明細書においては、分解前のバインダー化合物を、50℃/時間の条件で昇温して、分解前の質量から50%の質量減少が見られたときの温度であると定義する。
上記本発明のセラミック電子部品の製造方法においては、第2のバインダー化合物が、第1のバインダー化合物よりも低い分解温度を有している。このため、積層体を加熱して第1及び第2のバインダー化合物を除去する際には、外層部に含まれる第2のバインダー化合物が、内層部に含まれる第1のバインダー化合物よりも除去され易い。
通常、バインダー及びセラミック材料を含む層からバインダーを除去すると、このバインダーが存在していた領域に微小な空孔が形成される。そして、本発明のセラミック電子部品の製造方法においては、上述の如く、第2のバインダーの方が第1のバインダーよりも除去され易いため、積層体を加熱した場合には、まず、第2のバインダーが除去され、外層部に微細な空孔が多数形成されることとなる。それから、内層部に含まれる第1のバインダーから生じたガスが、この外層部の空孔を通って積層体の外部に容易に排出される。こうして、本発明のセラミック電子部品の製造方法においては、第1及び第2のバインダーの両方が積層体から容易に除去され得る。ただし、作用はこれに限定されない。
このように、本発明のセラミック電子部品の製造方法においては、最外層に保護層を形成する場合であっても、第1及び第2のバインダー化合物の両方が積層体から容易に除去され得るため、積層体内部にバインダーが残存することが極めて少なくなる。その結果、従来、バインダーの残存に起因して生じていた、保護層と内層部との間、又は、セラミック層と内部電極との間のデラミネーション、或いは、積層体内部のクラック等を大幅に低減することが可能となる。
ここで、上記分解温度の差をより顕著に生じさせるためには、第1及び第2のバインダー化合物として、それぞれ異なる化合物を用いることが好ましい。具体的には、第1のバインダー化合物としてブチラール樹脂を含有しており、且つ、第2のバインダー化合物としてアクリル樹脂を含有していると好ましい。
また、第1のバインダー化合物及び第2のバインダー化合物が、上述した分解温度の条件を満たすためには、例えば、第2のバインダー化合物が、第1のバインダー化合物よりも小さい分子量を有していると好ましい。さらに、第1及び第2のバインダー化合物が高分子化合物である場合には、第2のバインダー化合物が、第1のバインダー化合物よりも小さい重合度を有していても、上述した分解温度の条件を良好に満たすことができる。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によれば、最外層に保護層を形成する場合であっても、脱バインダーを良好に実施することができ、従来の製造方法で生じ易かった、保護層と内層部との間又はセラミック層と内部電極との間のデラミネーション、或いは、積層体内部のクラック等を大幅に低減することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態の製造方法により得られた積層セラミックコンデンサ(セラミック電子部品)の断面構造を模式的に示す図である。コンデンサ10は、コンデンサ素体11と、その両端面に設けられた一対の外部電極18とを備えている。コンデンサ素体11は、内部電極12とコンデンサ層14とが交互に積層された積層構造を有している。また、コンデンサ素体11は、この積層構造を、積層方向において両側から挟むように設けられた一対の保護層16を有している。
さらに、コンデンサ素体11において、内部電極12は、外部電極18が設けられた両端面に交互に露出するように積層されている。コンデンサ10においては、この内部電極12の露出部分が外部電極18と接触しており、これにより内部電極12と外部電極18との接続が図られている。
内部電極12は、積層セラミックコンデンサの内部電極として通常用いられる電極材料からなるものであれば特に制限なく適用できる。この電極材料としては、例えば、Cu、Niやこれらの合金等が挙げられる。なかでも、Ni合金が好ましく、Ni合金としては、95質量%以上のNiを含有しており、Mn、Cr、Co、Al等の少なくとも一種を更に含む合金が挙げられる。
コンデンサ層14の構成材料としては、公知の高誘電率セラミック材料が適用できる。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト化合物系材料、チタン酸ストロンチウム系(SrTiO)系材料等が例示でき、これらのセラミック材料のほか、焼結助剤等の他の成分を更に含有していてもよい。
保護層16は、コンデンサ14に用いたのと同様の高誘電率セラミック材料から構成されている。ここで、コンデンサ層14及び保護層16は、それぞれ異なるセラミック材料から構成されていてもよく、同じセラミック材料から構成されていてもよいが、後述する焼成時において、収縮率の差に起因するデラミネーション等の発生を極力抑制するため、これらは同じ材料から構成されていることが好ましい。
外部電極18としては、CuやCu合金、NiやNi合金、AgやAg合金(例えばAg−Pd合金)、SnやSn合金等からなるものが挙げられる。なお、コンデンサ10の製造コストを低減する観点からは、比較的安価なCuやNi、或いはこれらの合金を用いることが好ましい。また、外部電極18は、これらの金属からなる層上に、例えば、NiめっきやSnめっき等が更に施された構造を有していてもよい。
次に、上述した構成を有するコンデンサ10の製造方法の好適な実施形態について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、グリーンチップを形成する工程を説明するための図である。コンデンサ10の製造においては、まず、図2に示すように、セラミック材料層141上に複数の電極ペースト層121が並列されたグリーンシート210を複数重ねるとともに、その最外層の両側に、保護層16を形成するための外層部161を配置し、これらを積層方向に加熱圧着することにより、グリーンチップ220を得る。
グリーンシート210は、コンデンサ層14を形成するためのセラミック材料層141の上に、内部電極12を形成するための電極ペースト層121が複数設けられた構造を有している。また、セラミック材料層141上の電極ペースト層121が形成されていない領域には、その間隔を埋めるようにセラミック材料層142が形成されている。図示されないが、グリーンシート210において、電極ペースト層121は、幅方向(図2中の左右方向)のみならず、長さ方向(図2中の奥行き方向)にも複数並列されている。なお、電極ペースト層121は通常極めて薄く、上記セラミック材料層142を形成しなくてもコンデンサ10の特性等に対する影響は極めて少ないことから、コンデンサ10においては、セラミック材料層142が、必ずしも形成されなくてもよい。
セラミック材料層141は、コンデンサ層14を形成するためのセラミック材料、バインダー化合物(以下、「第1のバインダー」という)、可塑剤、有機溶剤等を含むセラミックペースト(以下、「第1のセラミックペースト」という)により形成されたものである。また、電極ペースト層121は、内部電極12を構成する電極材料、バインダー化合物、可塑剤、有機溶剤等を含む電極ペーストにより形成されたものである。さらに、電極ペースト層121間に形成されたセラミック材料層142は、第1のセラミックペーストと同様に、セラミック材料、バインダー化合物、可塑剤、有機溶剤等を含むセラミックペーストにより形成されている。
上述したセラミックペーストや電極ペースト中のバインダー化合物としては、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、セルロースエチルエーテル等の高分子化合物が挙げられる。また、可塑剤としては、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)等が挙げられる。さらに、有機溶剤としては、トルエン、メチルエチルケトン(MEK)、アルコール系溶媒等が挙げられる。
ここで、グリーンシート210は、例えば、次に示す方法により製造することができる。すなわち、まず、樹脂フィルム等からなる所定の支持体上に、ドクターブレード法等の公知の方法により第1のセラミックペーストを塗布して乾燥し、セラミック材料層141を形成する。続いて、この上に、スクリーン印刷等の公知の方法により電極ペーストを印刷し、乾燥して、所望の数の電極ペースト層121を形成する。さらに、この複数の電極ペースト層121の間を埋めるように、セラミック材料層142形成用のセラミックペーストをスクリーン印刷等の方法により印刷して、セラミック材料層142を形成する。そして、セラミック材料層141から支持体を剥離して、上述した構成を有するグリーンシート210を得る。なお、セラミック材料層141形成用のセラミックペースト(第1のセラミックペースト)と、セラミック材料層142形成用のセラミックペーストとは、同じ組成を有するものであってもよく、異なる組成を有するものであってもよい。
グリーンチップ220の形成において、グリーンシート210は、セラミック材料層141と内部電極層121とが、積層方向において交互に配置されるように積層する。また、図2に示すように、各グリーンシート210は、隣接するもの同士が交互にΔXだけオフセットするように位置決めされている。これにより、隣接するグリーンシート210における電極ペースト層121同士は、その幅方向が積層方向からみて互いに一致しないようになっている。なお、図示しないが、各グリーンシート210は、図2中の奥行き方向において、いずれも同じ位置となるように配置されている。
グリーンチップ220において最外層に配置された外層部161は、複数(図中は2層)のセラミックシート143から構成されるものである。セラミックシート143は、保護層16を構成するセラミック材料、バインダー化合物(以下、「第2のバインダー」という)、可塑剤、有機溶剤等を含むセラミックペースト(以下、「第2のセラミックペースト」という)により形成されている。このセラミックシート143は、例えば、所定の支持体上に第2のセラミックペーストを印刷して乾燥させた後、支持体を剥離することによって形成することができる。
なお、第2のセラミックペーストに含まれるセラミック材料、第2のバインダー、可塑剤及び有機溶媒としては、それぞれ第1のセラミックペーストと同様のものが適用できるが、これらのセラミックペーストに含まれる第1及び第2のバインダーは、後の脱バインダー工程において良好に除去を可能とするため、それぞれの分解温度が後述するような特定の関係を満たしている。
コンデンサ10の製造においては、上述した方法により得られたグリーンチップ220を、所定のサイズに切断することによって、図3に示す構造の積層体180を得る。図3は、グリーンチップ切断後に得られた積層体の断面構造を示す図である。図示されるように、積層体180は、電極ペースト層121とセラミック材料層141とが交互に積層された内層部160と、この内層部160を挟むように配置されており、セラミックシート143が複数積層されてなる外層部161とを有している。この積層体180は、焼成によってコンデンサ素体11となる。
グリーンチップ220の切断は、積層体180において、各電極ペースト層121の幅方向の端部が交互に異なる切断面に露出するように行うことが好ましい。これにより、焼成後のコンデンサ素体11における内部電極12が、交互に異なる端面に露出するようになる。グリーンチップ220を切断する位置としては、例えば、図2中のC1〜C10で表される線に沿う位置が挙げられる。
このようにして積層体180を得た後、この積層体180から、電極ペースト層121、セラミック材料層142及びセラミック材料層143に含まれる各バインダー化合物や有機溶剤等を除去する(かかる工程を以下、「脱バインダー工程」という)。脱バインダー工程においては、積層体180を加熱することにより、第1及び第2のバインダーや有機溶剤等を気化又は分解等してガス化させる。そして、これらのガスを積層体180の外部に排出することによって、各バインダーや有機溶剤等の除去を行う。
上述したように、第1及び第2のバインダーとしては、脱バインダー工程における良好な除去を可能とするため、その分解温度が以下に示すような関係を満たす組合せのものを用いる。すなわち、第1及び第2のバインダーは、それぞれが異なる分解温度を有しており、これらの分解温度が、下記式(1);
(第1のバインダーの分解温度)>(第2のバインダーの分解温度) …(1)
で表される条件を満たしている。ここで、脱バインダー工程を好適に行う観点からは、第2のバインダーは、第1のバインダーと比較して、その分解温度が50℃低いと好ましく、70℃低いとより好ましく、120℃低いと更に好ましい。
第1及び第2のバインダーの組み合わせとしては、まず、それぞれ異なる種類の化合物の組み合わせが挙げられる。具体的には、第2のバインダーとして、第1のバインダーよりも低い分解温度を有する種類の化合物を用いる。この場合、第1又は第2のバインダーとして使用可能な化合物としては、例えば、分解温度が370℃程度であるブチラール樹脂、分解温度がそれぞれ250〜320℃程度であるアクリル樹脂、分解温度がそれぞれ410〜415℃程度であるエチルセルロース樹脂等が挙げられる。これら各種の樹脂を、上述した条件を満たすように適宜組み合わせて用いることができる。
なかでも、第1のバインダーとしてブチラール樹脂を用い、第2のバインダーとしてアクリル樹脂を用いる組み合わせが好ましい。このような組み合わせによれば、比較的大きな分解温度の差が得られ易くなる傾向にあるほか、多様なセラミック材料と好適に組み合わせて用いることができるようになる。
また、第1及び第2のバインダーとしては、同一種類の化合物(例えば、アクリル樹脂同士)を組み合わせて用いることもできる。この場合、第1及び第2のバインダーとしては、それぞれが異なる分解温度を有する組み合わせを適宜選択する。例えば、一般に、分子量の大きい化合物ほど分解温度が高い傾向にあることから、第2のバインダーとして、第1のバインダーよりも小さな分子量を有するものを用いることにより、上述した分解温度の条件を満たすことができる。
また、一般に、高分子化合物は、重合度の大きいものほど分解温度が高い傾向にあることから、第1及び第2のバインダーが高分子化合物である場合には、両者の組み合わせとしては、第2のバインダーとして、第1のバインダーよりも重合度の小さい化合物を用いるような組み合わせとすることもできる。
またさらに、第1及び第2のバインダーが同一種類の化合物である場合には、それぞれが有している官能基の種類や量によっても分解温度が変わる傾向にある。例えば、ブチラール樹脂は、そのブチラール化度が大きいものほど高い分解温度を有する傾向が大きい。よって、第1及び第2のバインダーとしてブチラール樹脂を用いる場合には、第2のバインダーとして、第1のバインダーよりもブチラール化度が小さいものを用いることにより、上述した分解温度の条件を満たすことができる。
この脱バインダー工程は、例えば、積層体180の加熱温度を、第1のバインダーが除去され得る温度に設定することによって実施することができる。こうすれば、第2のバインダーは第1のバインダーよりも低い分解温度を有していることから、第1及び第2のバインダーの両方を除去することができる。この際、第2のバインダーの方が、第1のバインダーよりも分解温度が低いことから、第1のバインダーよりも容易に除去される傾向にある。また、積層体180の加熱温度は、必ずしもこのように一定の温度に設定する必要はなく、例えば、積層体180を、まず、第2のバインダーのみが除去され得る温度に加熱した後、第1のバインダーが除去され得る温度まで更に加熱するといった2段階の温度設定を採用してもよい。こうすれば、1段階目の加熱により第2のバインダーが優先的に除去されるため、2段階目の加熱時における第1のバインダーの除去が一層容易となる。なお、積層体180の加熱は、このような2段階に限られず、例えば、徐々に昇温するようにして行ってもよい。
コンデンサ10の製造方法においては、このように脱バインダー工程を実施した後に、積層体180を焼成してコンデンサ素体11を得る。焼成は、例えば、NやH等の不活性ガス雰囲気下、1200〜1400℃程度に加熱することにより実施することができる。そして、必要に応じて、更に1000度前後の熱処理を行った後、コンデンサ素体11における内部電極12が露出した両端面に、外部電極18用の電極材料、バインダー化合物、可塑剤、有機溶剤等を含む外部電極ペーストを塗布し、これを焼き付けることによって外部電極18を形成する。これにより、上述した構造のコンデンサ10が得られる。
上記形態のコンデンサ10の製造方法によれば、以下に示すような作用、効果が得られる。すなわち、積層体180においては、外層部161に含まれる第2のバインダーが、セラミック材料層141に含まれる第1のバインダーよりも分解温度が低い。このため、脱バインダー工程において、第2のバインダーのほうが、第1のバインダーよりも除去され易い傾向にある。よって、積層体180を加熱して脱バインダーを行う際には、第1のバインダーの分解ガスが生じるよりも早く第2のバインダーが除去されて、外層部161に微小な空孔が多数形成された状態となる。その結果、内層部160(セラミック材料層141,142)に含まれる第1のバインダーは、この空孔を通って容易に積層体の外部に放出される。
このように、脱バインダー工程においては、積層体180が外層部161を有しているにもかかわらず、第1及び第2のバインダーを容易に除去することができる。このため、脱バインダー工程後の積層体180は、その内部のバインダー残存量が少なく、積層体180を焼成してコンデンサ素体11を形成する際にも、残存したバインダーによる急激なガスの発生が極めて少ない。よって、実施形態のコンデンサの製造方法よれば、従来の保護層を形成するコンデンサの製造方法に比して、内部電極12とコンデンサ層14とのデラミネーションや、コンデンサ素体11内部のクラック等の発生を大幅に低減することができる。こうして得られたコンデンサ10は、コンデンサ素体11内部の欠陥が少ないため、ショートや耐電圧不良といった不都合を極めて生じ難いものとなる。
なお、本実施形態では、本発明を積層型のコンデンサの製造方法に適用した例を示しているが、これに限るものではない。本発明は、例えば、積層型コンデンサ以外の、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗等のセラミック電子部品の製造方法にも適用可能である
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[コンデンサの製造]
(実施例1〜3、比較例1〜3)
まず、チタン酸バリウム、バインダー化合物(第1のバインダー)、可塑剤及び有機溶剤を含むセラミックペーストを、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布して、セラミック材料層を形成した後、この上に、Niを含む電極ペーストを印刷して複数の電極ペースト層を形成した。その後、電極ペースト間に、上記セラミックペーストを更に印刷した後、PETフィルムを剥離して、グリーンシートを得た。
また、チタン酸バリウム、バインダー化合物(第2のバインダー)、可塑剤及び有機溶剤を含むセラミックペーストを、PETフィルム上に塗布し、乾燥した後、PETフィルムを剥離して、セラミックシートを形成した。
次いで、上記グリーンシートを250層積層すると共に、その最外層に上記セラミックシートを、焼成後の厚さが150μmとなるように積層し、これらを加熱、圧着してグリーンチップを得た。その後、このグリーンチップを切断することにより、電極ペースト層及びセラミック材料層が交互に積層された内層部と、この内層部を挟むように形成されたセラミックシートからなる外層部とを備える積層体を得た。
この積層体を、以下に示す条件にしたがって、脱バインダー、焼成、及び熱処理を施した。すなわち、まず、室温(20℃)にある積層体を、N及びHガス中、50℃/時間の条件で400℃まで昇温させて脱バインダーを行った。続いて、N及びHガス中、1250℃で2時間加熱して焼成を行った。その後、Nガス中、1050℃で2時間加熱する再酸化処理を行った。そして、焼成後の積層体を冷却してコンデンサ素体を得た。
得られたコンデンサ素体の両端面に、Cuを含む外部電極ペーストを焼き付けた後、Niめっき処理、Snめっき処理を順次施して外部電極を形成し、実施例1〜3及び比較例1〜3の積層型セラミックコンデンサを得た。各コンデンサは、長さ×幅×高さが、それぞれ3.2mm×1.6mm×1.6mmであるサイズとした。なお、実施例1〜3及び比較例1〜3の各コンデンサは、それぞれ用いる第1及び第2のバインダーを代えて製造を行ったものであり、各実施例又は比較例における第1及び第2のバインダーは、表1に示す組み合わせにしたがって用いた。
[特性評価]
(デラミネーション又はクラック発生率の評価)
各実施例及び比較例に対応するコンデンサをそれぞれ1000個作成し、これらの内部電極とコンデンサ層との間又は内層部と外層部との間のデラミネーション、或いは、内部電極又はコンデンサ層にクラックが発生しているか否かを顕微鏡により観察した。各実施例及び比較例に対応する1000個のコンデンサのうち、デラミネーション又はクラックが発生していたものの数を数え、1000個中のデラミネーション又はクラック発生率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
(ショート又は耐電圧不良発生率の評価)
各実施例及び比較例に対応するコンデンサをそれぞれ10000個作成し、これらを用いて、ショート又は耐電圧不良が生じるか否かを測定した。具体的には、各コンデンサに対し2Vの直流を印加した場合に、抵抗値が5×10Ω以下であったものをショート不良であると判定し、また、50Vの交流を印加した場合に、抵抗値が5×10Ω以下であったものを耐電圧不良であると判定した。各実施例及び比較例に対応する10000個のコンデンサのうち、ショート又は耐電圧不良が生じていたものの数を数え、10000個中のショート又は耐電圧不良の発生率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2006080463
表1より、第2のバインダーとして、第1のバインダーよりも低い分解温度を有する化合物を用いた実施例1〜3のコンデンサは、比較例1〜3のコンデンサに比して、デラミネーションやクラックの発生が大幅に少なく、また、ショートや耐電圧不良も極めて生じ難いことが確認された。
実施形態の製造方法により得られた積層セラミックコンデンサの断面構造を模式的に示す図である。 グリーンチップを形成する工程を説明するための図である。 グリーンチップ切断後に得られた積層体の断面構造を示す図である。
符号の説明
10…コンデンサ、11…コンデンサ素体、12…内部電極、14…コンデンサ層、16…外層部、18…外部電極、121…電極ペースト層、142,142…セラミック材料層、143…セラミックシート、160…内層部、161…外層部、180…積層体、210…グリーンシート、220…グリーンチップ。

Claims (4)

  1. セラミック材料及び第1のバインダー化合物を含むセラミック材料層、並びに、該セラミック材料層を挟むように配置された電極ペースト層を有する内層部と、該内層部を挟むように配置されており、セラミック材料及び前記第1のバインダー化合物よりも分解温度が低い第2のバインダー化合物を含む外層部と、を備える積層体を形成する工程と、
    前記積層体を加熱して、当該積層体から前記第1及び第2のバインダー化合物を除去する工程と、
    前記第1及び第2のバインダー化合物が除去された前記積層体を焼成する工程と、
    を有することを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  2. 前記第1のバインダー化合物としてブチラール樹脂を含有しており、且つ、前記第2のバインダー化合物としてアクリル樹脂を含有していることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 前記第2のバインダー化合物として、前記第1のバインダー化合物よりも小さい分子量を有するものを用いることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  4. 前記第1及び第2のバインダー化合物は高分子化合物であり、且つ、前記第2のバインダー化合物として、前記第1のバインダー化合物よりも小さい重合度を有するものを用いることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品の製造方法。
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