JP2006078600A - 電気光学装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複雑な工程や高価な装置を必要とせずに、高精細で、断線がなく、且つ基板との密着性に優れた金属配線を形成しうる有機EL装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 一対の電極間に少なくとも発光層を有する発光素子と、走査信号を供給する走査線と、該走査線に対して交差する方向に形成される信号線と、発光用電源配線と、が形成されてなる有機EL装置の製造方法において、前記発光用電源配線が、基材上にパターン状に生成させたグラフトポリマーに、導電性物質を付着させることにより形成されることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機EL装置の製造方法に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、他の発光素子に比べて製造が容易であり、薄型かつ軽量の発光素子が構成できる等の利点を有していることから、薄型表示素子として研究開発が進められてきた。近年では、発光輝度、発光効率、耐久性等の点でも発光ダイオード(LED)に匹敵する高性能の有機EL素子が得られている。有機EL素子は、特に、安価な大面積フルカラー表示素子を実現するものとしても有望である。
有機EL装置の製造における金属配線に形成に関しては、配線をより簡易に形成する観点から、例えば、導電材料をインクジェット法により塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このようなインクジェット法を用いた金属配線を形成においては、以下のごとき点で未だ不充分であった。即ち、(1)基板上に形成される配線パターンに応じた撥水性のパターンを形成する必要があり、その工程が煩雑さは解消されていないこと、(2)微細配線の形成という観点からは未だ充分ではないこと、(3)導電性物質を液適で飛ばすため、配線の膜厚が稼げず、何度もインクジェットによる塗布を繰り返す必要があること、(4)導電性物質と基板との密着性に劣る場合があること、等の点である。
以上のように、有機EL装置等の電気光学装置において、高精細な金属配線を、複雑な工程や高価な装置を必要とせずに形成しうる方法については、未だ提供されていないのが現状である。
特開2004−6313号公報
本発明は、前記従来の問題点を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、複雑な工程や高価な装置を必要とせずに、高精細で、断線がなく、且つ基板との密着性に優れた金属配線を形成しうる有機EL装置の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
即ち、本発明の有機EL装置の製造方法は、一対の電極間に少なくとも発光層を有する発光素子と、走査信号を供給する走査線と、該走査線に対して交差する方向に形成される信号線と、発光用電源配線と、が形成されてなる有機EL装置の製造方法において、
前記発光用電源配線が、基材上にパターン状に生成させたグラフトポリマーに、導電性物質を付着させることにより形成されることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
本発明において、前記発光用電源配線を形成は、下記(1)乃至(6)の何れかの態様により行われることが好ましい。以下では、これらの各態様を、配線形成態様(1)乃至配線形成態様(6)として説明する場合がある。
−配線形成態様(1)−
前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマーに導電性材料を付着させる工程と、により行われる態様である。
−配線形成態様(2)−
前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物(以下、適宜、「光開裂化合物」と称する。)を基材に結合させる工程と、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に導電性材料を付着させる工程と、により行われる態様である。
−配線形成態様(3)−
前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程と、により行われる態様である。
−配線形成態様(4)−
前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、該基材上に、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程とにより行われる態様である。
−配線形成態様(5)−
前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程と、により行われる態様である。
−配線形成態様(6)−
前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、該基材上に、ラジカル重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程と、により行われる態様である。
また、上記配線形成態様(1)乃至(6)において、重合開始活性点を生じうる前記重合開始部位としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことが好ましい態様である。
本発明によれば、複雑な工程や高価な装置を必要とせずに、高精細で、断線がなく、且つ基板との密着性に優れた金属配線を形成しうる有機EL装置の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機EL装置の製造方法は、一対の電極間に少なくとも発光層を有する発光素子と、走査信号を供給する走査線と、該走査線に対して交差する方向に形成される信号線と、発光用電源配線と、が形成されてなる有機EL装置の製造方法において、前記発光用電源配線が、基材上にパターン状に生成させたグラフトポリマーに、導電性物質を付着させることにより形成されることを特徴とする。
前述したごとく、本発明における発光用電源配線の形成は、前記配線形成態様(1)乃至(6)の何れかにより行われることが好ましい。以下、配線形成態様(1)乃至(6)についてせつめいする。
<配線形成態様(1)>
前記配線形成態様(1)は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(以下、適宜。「光開裂化合物結合工程」と称する。)と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程(A)」と称する。)と、該グラフトポリマーに導電性材料を付着させる工程(以下、適宜、「導電性材料付着工程)」と称する。)と、を含む。
《光開裂化合物結合工程、及びグラフトポリマー生成工程(A)》
以下、配線形成態様(1)における、光開裂化合物結合工程からグラフトポリマー生成工程(A)までの概略について、図1を用いて説明する。
ここで、図1は、光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(A)の概略を例示的に示す概念図である。
図1(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。ここに、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を付与し、基材表面に接触させる。これにより、図1(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程〕。その後、この化合物(Q−Y)が導入された面に、図1(b)の矢印のようにパターン露光を行う。これにより、重合開始部位(Y)は、露光エネルギーにより光開裂する。その結果、図1(c)に示されるように、化合物(Q−Y)の露光部は、重合開始部位(Y)が失活して、重合開始能失活部位(S)となる〔重合開始能失活工程〕。
その後、図1(d)に示されるように、モノマー等の公知のグラフトポリマー原料を接触させた状態で、図1(d)の矢印のように全面露光を行う。これにより、図1(e)に示すされるように、重合開始部位(Y)が残存している領域において、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成する。〔グラフトポリマー生成工程(A)〕。
以下、このような各工程について具体的に説明する。
図1においてZで表示される基は、基材表面に存在する官能基であり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。これらの官能基はシリコン基板、ガラス基板における基材の材質に起因して基材表面にもともと存在しているものでもよく、基材表面にコロナ処理などの表面処理を施すことにより表面に存在させたものであってもよい。
ここで、本発明に適用される基材について説明する。
本発明における基材としては、通常、有機EL装置に用いられるものであれば特に限定されないが、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基材であることが好ましく、かかる観点からは透明基板を用いることが好ましい。具体的には、ガラス、石英、透明樹脂(ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、及びポリスルホン、等)などが好適に用いられる。基材の厚みは、機械的強度及び熱的強度を保つのに充分であれば特に制限はないが、通常、10μm以上、好ましくは50μm〜5mm程度のものを用いる。
なお、発光用電源配線は、上記基材上に直接形成される場合、基材上に形成された他の層(例えば、絶縁層など)の上に形成される場合など種々の形成態様があるが、本発明において発光用電源配線が形成される基材表面という場合には、基材自体の表面及び基材上に他の層が形成された表面のいずれをも意味するものとする。
発光用電源配線を、上記基材上に形成された他の層上に形成する場合についても、当該他の層の表面には、官能基(Z)が存在している必要がある。
本発明における基材表面は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの官能基(Z)を有することが必要であることから、基材表面に、コロナ処理、グロー処理、プラズマ処理などの表面処理を行い、水酸基、カルボキシル基などを発生させてもよい。
基材の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基材は、無色透明であっても有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
次に、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位(以下、単に、重合開始部位と称する。)と基材結合部位とを有する化合物の構造について具体的に説明する。この化合物について、図1の概念図における、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)のモデルを用いて詳細に説明すれば、一般に、重合開始部位(Y)は、光により開裂しうる単結合を含む構造である。
この光により開裂する単結合としては、カルボニルのα開裂、β開裂反応、光フリー転位反応、フェナシルエステルの開裂反応、スルホンイミド開裂反応、スルホニルエステル開裂反応、N−ヒドロキシスルホニルエステル開裂反応、ベンジルイミド開裂反応、活性ハロゲン化合物の開裂反応、などを利用して開裂が可能な単結合が挙げられる。これらの反応により、光により開裂しうる単結合が切断される。この開裂しうる単結合としては、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合等が挙げられる。
また、これらの光により開裂しうる単結合を含む重合開始部位(Y)は、グラフトポリマー生成工程におけるグラフト重合の起点となることから、光により開裂しうる単結合が開裂すると、その開裂反応によりラジカルを発生させる機能を有する。このように、光により開裂しうる単結合を有し、かつ、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)の構造としては、芳香族ケトン基、フェナシルエステル基、スルホンイミド基、スルホニルエステル基、N−ヒドロキシスルホニルエステル基、ベンジルイミド基、トリクロロメチル基、ベンジルクロライド基、などの基を含む構造が挙げられる。
このような重合開始部位(Y)は、露光により開裂してラジカルを発生するため、そのラジカル周辺に重合可能な化合物が存在する場合には、このラジカルがグラフト重合反応の起点として機能し、所望のグラフトポリマーを生成することができる(グラフトポリマー生成領域)。
一方、重合開始部位(Y)が露光により開裂してラジカルが発生しても、ラジカルの周辺に重合可能な化合物が存在しない場合には、そのラジカルは使用されず失活してしまい、その結果、重合開始能自体が失活することとなる。その結果、このような領域はグラフトポリマー非生成領域となる。
一方、基材結合部位(Q)としては、基材表面に存在する官能基(Z)と反応して結合しうる反応性基で構成され、その反応性基としては、具体的には、以下に示すような基が挙げられる。
Figure 2006078600
また、重合開始部位(Y)と、基材結合部位(Q)と、は直接結合していてもよいし、連結基を介して結合していてもよい。この連結基としては、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選択される原子を含む連結基が挙げられ、具体的には、例えば、飽和炭素基、芳香族基、エステル基、アミド基、ウレイド基、エーテル基、アミノ基、スルホンアミド基等が挙げられる。なお、この連結基は更に置換基を有していてもよく、その導入可能な置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)の具体例〔例示化合物1〜例示化合物16〕を、開裂部と共に以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
Figure 2006078600
Figure 2006078600
Figure 2006078600
本発明における光開裂化合物結合工程は、このような化合物(Q−Y)を基材に結合させる工程である。
例示された如き化合物(Q−Y)を基材表面に存在する官能基Zに結合させる方法としては、化合物(Q−Y)を、トルエン、ヘキサン、アセトンなどの適切な溶媒に溶解又は分散し、その溶液又は分散液を基材表面に塗布する方法、又は、溶液又は分散液中に基材を浸漬する方法などを適用すればよい。このとき、溶液中又は分散液の化合物(Q−Y)の濃度としては、0.01質量%〜30質量%が好ましく、特に0.1質量%〜15質量%であることが好ましい。接触させる場合の液温としては、0℃〜100℃が好ましい。接触時間としては、1秒〜50時間が好ましく、10秒〜10時間がより好ましい。
その後、重合開始能失活工程において、グラフトポリマーを生成させたくない領域に沿ってパターン露光を行い、基材表面に結合している化合物(Q−Y)を光開裂させ、重合開始能を失活させる。
そして、このようにして、重合開始可能領域と、重合開始能失活領域と、が形成された後、グラフトポリマー生成工程が行なわれる。
このグラフトポリマー生成工程では、重合開始可能領域と重合開始能失活領域とを有する基材を、所望とするグラフトポリマーの材料となる、ラジカル重合可能な不飽和化合物(例えば、親水性モノマーなど)を接触させた後、全面露光を行い、重合開始可能領域の重合開始基を活性化させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、ラジカル重合可能な不飽和化合物との間で、グラフト化反応を生起、進行させる。その結果、重合開始可能領域にのみ、グラフトポリマーが生成する。
なお、ラジカル重合可能な不飽和化合物を基材表面に接触させる方法としては、ラジカル重合可能な不飽和化合物が溶解された溶液又は分散された分散液を塗布する方法、溶液又は分散液に基材を浸漬する方法などがある。
グラフトポリマー生成工程において用いられるラジカル重合可能な不飽和化合物としては、ラジカル重合性基を有する化合物であれば、如何なるものも用いることができるが、例えば、親水性モノマー、疎水性モノマー、マクロマー、オリゴマー、重合性不飽和基を有するポリマーなどが挙げられる。本発明においては、特に、導電性素材の付着性の観点から、極性基である親水性基を有する、親水性ポリマー、親水性マクロマー、親水性モノマーなどが好ましい。
以下に、グラフトポリマー生成工程において好適に用いられる、ラジカル重合可能な不飽和化合物について具体的に例示する。
−重合性不飽和基を有する親水性ポリマー−
重合性不飽和基を有する親水性ポリマーとは、分子内に、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基が導入されたラジカル重合性基含有親水性ポリマーを指す。このラジカル重合性基含有親水性ポリマーは、重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有することを要し、その双方に重合性基を有することが好ましい。以下、重合性基を(主鎖末端及び/又は側鎖に)有する親水性ポリマーを、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーと称する。
このようなラジカル重合性基含有親水性ポリマーは以下のようにして合成することができる。
合成方法としては、(a)親水性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを共重合する方法、(b)親水性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、(c)親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法、が挙げられる。これらの中でも、特に好ましいのは、合成適性の観点から、(c)親水性ポリマーの官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
上記(a)や(b)の方法において、ラジカル重合性基含有親水性ポリマーの合成に用いられる親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、アミド基及びエーテル基などの親水性基を有するモノマーが挙げられる。
また、(c)の方法で用いられる親水性ポリマーとしては、これらの親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー若しくはコポリマーが用いられる。
(a)の方法でラジカル重合性基含有親水性ポリマーを合成する際、親水性モノマーと共重合するエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、アリル基含有モノマーがあり、具体的には、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、(b)の方法でラジカル重合性基含有親水性ポリマーを合成する際、親水性モノマーと共重合する二重結合前駆体を有するモノマーとしては、2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜が挙げられる。
更に、(c)の方法でラジカル重合性基含有親水性ポリマーを合成する際、親水性ポリマー中のカルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩と、水酸基及びエポキシ基などの官能基と、の反応を利用して不飽和基を導入することが好ましい。このために用いられる付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなど挙げられる。
−親水性マクロモノマー−
本発明において用い得るマクロモノマーの製造方法は、例えば、平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。
本発明で用い得る親水性マクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルホキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルステレンスルホン酸、及びその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基若しくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。また、ポリエチレングリコール鎖若しくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明のマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらの親水性マクロモノマーのうち有用なものの分子量は、250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
−親水性モノマー−
親水性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、若しくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
本発明において用いうる親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることができる。
例えば、(メタ)アクリル酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、イタコン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アリルアミン若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、スチレンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレート若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸若しくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート若しくはそれらの塩、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート若しくはそのハロゲン化水素酸塩、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリレート、3−トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライドなどを使用することができる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなども有用である。
−溶媒−
上述のラジカル重合可能な不飽和化合物を溶解、分散するための溶媒としては、該化合物や必要に応じて添加される添加剤が溶解可能ならば特に制限はない。
例えば、親水性モノマー等の親水性の化合物が適用される場合であれば、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤に更に界面活性剤を添加したものなどが好ましい。水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
また、疎水性モノマー等の疎水性の化合物が適用される場合であれば、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノールの如きアルコール系の溶剤、メチルエチルケトンの如きケトン系の溶剤、トルエンの如き芳香族炭化水素系の溶剤などが好ましい。
重合開始能失活工程におけるパターン露光、及びグラフトポリマー生成工程における全面露光に用いうる露光方法には特に制限はなく、前記重合開始部位(Y)において開裂を生じさせるエネルギーを付与できる露光であれば、紫外線による露光でも、可視光による露光でもよい。また、重合開始能失活工程におけるパターン露光、及び、グラフトポリマー生成工程における全面露光は、同じ露光条件で行なわれてもよいし、異なる露光条件で行なわれてもよい。
露光に用いられる光源としては、紫外光、深紫外光、可視光、レーザー光等が挙げられ、具体的には、紫外光、i線、g線、KrF、ArFなどのエキシマレーザーが用いられる。中でも、好ましくは、i線、g線、エキシマレーザーである。
本発明により形成される発光用電源配線の解像度は露光条件に左右される。
本発明を用いれば、高解像度のパターン形成が可能であり、高精細のパターン露光を施すことにより、露光に応じた高精細パターンが形成される。高精細パターン形成のための露光方法としては、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光などが挙げられ、所望のパターンの解像度に応じた露光方法をとればよい。
高精細パターン露光としては、具体的には、i線ステッパー、g線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などが挙げられる。
このように、本発明により、表面にグラフトポリマーの生成領域と非生成領域とからなるパターンが形成された基材は、露光後、溶剤浸漬や溶剤洗浄などの処理を行って、残存するホモポリマーを除去して、精製する。具体的には、水やアセトンによる洗浄、乾燥などが挙げられる。ホモポリマーの除去性の観点からは、超音波などの手段を採ることが好ましい。精製後の基材は、その表面に残存するホモポリマーが完全の除去され、基材と強固に結合したパターン状のグラフトポリマーのみが存在することになる。
これらのことから、上述の工程で得られたグラフトポリマー生成領域と非生成領域とからなるパターンは、露光の解像度に応じた微細なパターンとなる。
《導電性材料付着工程》
次に、配線形成態様(1)における、導電性材料とその付着方法について説明する。
本発明においては、上記で得られたグラフトポリマー生成領域に導電性材料を付着させることで発光用電源配線が得られることとなる。
なお、そのような導電性材料の付着方法としては、
(A)グラフトポリマー生成領域に導電性微粒子を付着させる方法と、
(B)グラフトポリマー生成領域に導電性ポリマー層を形成する方法と、
が挙げられ、用途に応じて適宜選択して用いることができる。以下、これらの導電性材料の吸着方法について詳細に説明する。
(A)導電性微粒子の付着
本発明における導電性材料の吸着方法(A)は、以下に説明する導電性微粒子を、上記グラフトポリマーが有する極性基に、その極性に応じて、イオン的に吸着させる方法である。ここで吸着させた導電性微粒子は単分子膜に近い状態で強固に固定されるため少量でも充分な導電性を有し、微細な回路にも適用し得るという利点を有する。
この方法に適用し得る導電性微粒子としては、導電性を有するものであれば特に制限はなく、公知の導電性材料からなる微粒子を任意に選択して用いることができる。例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Crなどの金属微粒子、In23、SnO2、ZnO、Cdo、TiO2、CdIn24、Cd2SnO2、Zn2SnO4、In23−ZnOなどの酸化物半導体微粒子、及びこれらに適合する不純物をドーパントさせた材料を用いた微粒子、MgInO、CaGaOなどのスピネル形化合物微粒子、TiN、ZrN、HfNなどの導電性窒化物微粒子、LaBなどの導電性ホウ化物微粒子、また、有機材料としては導電性高分子微粒子などが好適なものとして挙げられる。
−グラフトポリマーの極性基(親水性基)の極性と導電性微粒子との関係−
本発明において得られるグラフトポリマーが、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する極性基(親水性基)を有する場合は、グラフトポリマー生成領域が選択的に負の電荷を有するようになり、ここに正の電荷を有する(カチオン性の)導電性微粒子を吸着させることで導電性の領域(配線)が形成される。
このようなカチオン性の導電性微粒子としては、正電荷を有する金属(酸化物)微粒子などが挙げられる。表面に高密度で正荷電を有する微粒子は、例えば、米澤徹らの方法、すなわち、T.Yonezawa,Chemistry Letters.,1999 page1061,T.Yonezawa,Langumuir 2000,vol16,5218及び米澤徹,Polymer preprints,Japan vol.49.2911(2000)に記載された方法にて作成することができる。米澤らは金属−硫黄結合を利用し、正荷電を有する官能基で高密度に化学修飾された金属粒子表面が形成できることを示している。
一方、得られるグラフトポリマーが特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基の極性基(親水性基)を有する場合は、グラフトポリマー生成領域が選択的に正の電荷を有するようになり、ここに負の電荷を有する導電性微粒子を吸着させることで導電性の領域(配線)が形成される。負に帯電した金属粒子としてはクエン酸還元で得られた金若しくは銀粒子を挙げることができる。
本導電性微粒子の粒径は、0.1nmから1000nmの範囲であることが好ましく、1nmから100nmの範囲であることが更に好ましい。粒径が0.1nmよりも小さくなると、微粒子同士の表面が連続的に接触してもたらされる導電性が低下する傾向がある。また、1000nmよりも大きくなると、グラフトポリマーの親水性基と粒子との密着性が低下し、導電性領域の強度が劣化する傾向がある。
これらの導電性微粒子は、グラフトポリマーの親水性基に吸着し得る最大量結合されることが耐久性の点で好ましい。また、導電性確保の観点からは、分散液の分散濃度は、0.001〜20重量%程度が好ましい。
導電性微粒子をグラフトポリマーの親水性基に吸着させる方法としては、表面上に荷電を有する導電性微粒子を溶解又は分散させた液を、像様にグラフトポリマー生成領域が形成された基材表面に塗布する方法、及び、これらの溶液又は分散液中に、像様にグラフトポリマー生成領域が形成された基材を浸漬する方法などが挙げられる。塗布、浸漬のいずれの場合にも、過剰量の導電性微粒子を供給し、極性基(親水性基)との間に十分なイオン結合による導入がなされるために、溶液又は分散液とグラフトポリマー生成面との接触時間は、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
導電性微粒子は1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
(B)導電性ポリマー層の形成
導電性材料の吸着方法(B)は、以下に説明する導電性ポリマーの前駆体である導電性モノマーを、グラフトポリマーが有する極性基にイオン的に吸着させ、そのまま重合反応を生起させ、高分子層(導電性ポリマー層)を形成する方法である。このようにして得られた導電性ポリマー層は、強固で耐久性に優れ、モノマーの供給速度などの条件を調整することで非常に薄い膜も形成することができ、更に薄膜であっても均質で、且つ、膜厚が均一であるという利点を有する。
この方法に適用し得る導電性ポリマーとしては、10-6s・cm-1以上、好ましくは、10-1s・cm-1以上の導電性を有する高分子化合物であれば、いずれのものも使用することができるが、具体的には、例えば、置換及び非置換の導電性ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチレン、ポリピリジルビニレン、ポリアジン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、所望の導電性を達成できる範囲であれば、導電性を有しない他のポリマーとの混合物として用いることもできるし、これらのモノマーと導電性を有しない他のモノマーとのコポリマーなども用いることができる。
このような導電性ポリマーを用いて、導電性ポリマー層を形成する方法には特に制限はないが、均一な薄膜を形成し得るという観点からは、以下に述べるような導電性を有するモノマーを用いる方法が好ましい。
まず、グラフトポリマー生成領域が形成された基材を、過硫酸カリウムや、硫酸鉄(III)などの重合触媒や重合開始能を有する化合物を含有する溶液に浸漬し、この液を撹拌しながら導電性ポリマーを形成し得るモノマー、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェンなどを徐々に滴下する。このようにすると、該重合触媒や重合開始能を付与されたグラフトポリマー中の極性基(親水性基)と導電性ポリマーを形成し得るモノマーとが相互作用により強固に吸着すると共に、モノマー同士の重合反応が進行し、基材上のグラフトポリマー生成領域に導電性ポリマーの極めて薄い膜が形成され、これが導電性ポリマー層となる。
本態様においては、導電性モノマー自体がグラフトポリマー生成領域に存在する官能基と静電気的に、或いは、極性的に相互作用を形成することで強固に吸着するため、それらが重合して形成された導電性ポリマー層は、グラフトポリマー生成領域との間に強固な相互作用を形成しているため、薄膜であっても、擦りや引っ掻きに対しても充分な強度を有するものとなる。
更に、導電性ポリマーとグラフトポリマーの極性基(親水性基)とが、陽イオンと陰イオンの関係で吸着するような素材を選択することで、極性基(親水性基)が導電性ポリマーのカウンターアニオンとして吸着することになり、一種のドープ剤として機能するため、導電性パターンの導電性を一層向上させることができるという効果を得ることもできる。具体的には、例えば、親水性基としてスチレンスルホン酸を、導電性ポリマーの素材としてチオフェンを選択すると、両者の相互作用により、グラフトポリマー生成領域と導電性ポリマー層との界面にはカウンターアニオンとしてスルホン酸基(スルホ基)を有するポリチオフェンが存在し、これが導電性ポリマーのドープ剤として機能することになる。
グラフトポリマー生成領域表面に形成された導電性ポリマー層の膜厚には特に制限はないが、0.01μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲であることがより好ましい。導電性ポリマー層の膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを達成することができる。0.01μm以下であると導電性が不充分となる懸念があるため好ましくない。
<配線形成態様(2)>
配線形成態様(2)における発光用電源配線の形成は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程」と称する。)と、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程(B)」と称する。)と、該グラフトポリマーに導電性材料を付着させる工程(以下、適宜、「導電性材料付着工程)」と称する。)と、を含む。
《光開裂化合物結合工程、及びグラフトポリマー生成工程(B)》
以下、配線形成態様(2)における、光開裂化合物結合工程からグラフトポリマー生成工程(B)までの概略について、図1を用いて説明する。
ここで、図2は、配線形成態様(2)における各工程の概略を例示的に示す概念図である。
図2(a)に示されるように、基材表面には当初より官能基(図中、Zで表される)が存在する。この基材表面に、基材結合部位(Q)と、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)を接触させる。これにより、図2(b)に示されるように、基材表面に存在する官能基(Z)と、基材結合部位(Q)と、が結合して、基材表面に化合物(Q−Y)が導入される〔光開裂化合物結合工程(B)〕。
その後、図2(c)に示されるように、モノマー等の公知のグラフトポリマー原料を接触させた状態で、パターン露光を行う。これにより、図2(d)に示されるように、露光領域においては、化合物(Q−Y)の重合開始部位(Y)を起点としてグラフトポリマーが生成される〔グラフトポリマー生成工程(B)〕。一方、未露光領域においては、グラフトポリマーは生成せず、グラフトポリマーの非生成領域が形成される。
以下、このような各工程について具体的に説明する。
図2において(Z)で表示される基は、配線形成態様(1)において説明した基材表面に存在する官能基(Z)と同じものであり、具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。また、官能基(Z)を有する基材の具体例やその形状、厚みなども、前記配線形成態様(1)と同様である。
なお、配線形成態様(2)においては、基材上に、陽極又は陰極の何れか一方の電極が形成された後、光開裂化合物結合工程(B)、グラフトポリマー生成工程(B)、及び、有機化合物層形成工程が順次行われ、その後に他方の電極が形成される。形成される電極の詳細については、前記配線形成態様(1)と同様である。
次に、光開裂によりラジカル重合を開始させうる重合開始部位(以下、単に、重合開始部位と称する。)と基材結合部位とを有する化合物の構造について具体的に説明する。この化合物について、図2の概念図における、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)も、前記第1の態様で示した、基材結合部位(Q)と、重合開始部位(Y)と、を有する化合物(Q−Y)と同義であり、その構造及び具体例も同様である。
この配線形成態様(2)においては、前記配線形成態様(1)の如く、予め、パターン露光により重合開始部位を失活させることはないため、グラフトポリマー生成工程(B)の際には、ラジカルを発生可能な重合開始部位(Y)は基材表面全域に存在する。
このような重合開始部位(Y)は、パターン露光により開裂して、ラジカルが発生すると、そのラジカル周辺に重合可能な化合物が存在する場合には、このラジカルがグラフト重合反応の起点として機能し、所望のグラフトポリマーを生成して、グラフトポリマー生成領域が形成される。その一方、露光が行われなかった領域においては、重合開始部位(Y)の開裂が起きず、当該領域にはグラフトポリマーが生成せず、グラフトポリマー非生成領域が形成される。
本態様における光開裂化合物結合工程(B)は、このような化合物(Q−Y)を基材に結合させる工程である。本工程は、前記配線形成態様(1)における光開裂化合物結合工程(A)における方法や条件と同様である。
本態様におけるグラフトポリマー生成工程(B)では、前述した光開裂化合物結合工程(B)を経た基材に、所望とするグラフトポリマーの材料となるラジカル重合可能な不飽和化合物(例えば、親水性モノマーなど)を接触させた後、パターン露光を行い、露光領域の重合開始部位(Y)を光開裂させてラジカルを発生させ、そのラジカルを起点として、ラジカル重合可能な不飽和化合物との間で、グラフト化反応を生起、進行させる。その結果、露光領域にのみグラフトポリマーが生成する。
また、配線形成態様(2)においては、グラフトポリマーの非生成領域には、光開裂が生じていない状態の重合開始部位(Y)を有する化合物(Q−Y)が残存することになる。
ラジカル重合可能な不飽和化合物を基材表面に接触させる方法は、前記配線形成態様(1)と同様の方法をを用いることができる。また、本工程において用いられるラジカル重合可能な不飽和化合物としても、前記配線形成態様(1)において挙げられたものと同様である。
グラフトポリマー生成工程(B)に用いうるパターン状に露光する方法には、光開裂化合物の重合開始部位(Y)を光開裂させることができる波長の光であれば、制限なく用いることができ、具体的な波長としては、前記配線形成態様(1)において用いられる光源と同様に、紫外線や可視光線が用いられる。
また、本工程においても、高解像度のパターン露光を行うことが好ましく、前記第1の態様と同様に、光学系を用いた光ビーム走査露光、マスクを用いた露光、i線ステッパー、KrFステッパー、ArFステッパーのようなステッパー露光などを用いることが好ましい。
《導電性材料付着工程》
配線形成態様(2)における、導電性材料とその付着方法は、前記配線形成態様(1)
における導電性材料付着工程と同様の内容が適用される。
<配線形成態様(3)>
配線形成態様(3)における発光用電源配線の形成は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(光開裂化合物結合工程)と、前記前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程(グラフトポリマー生成工程(A))と、該グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程と、を含む。
配線形成態様(3)における、光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(A)は、前記配線形成態様(1)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(A)と同様の内容が適用される。
本態様におけるグラフトポリマーへの導電性物質を付着は、グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程(金属イオン又は金属塩付与工程)と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程(金属(微粒子)膜形成工程)により行われる。
即ち、配線形成態様(3)においては、グラフトポリマーが有する親水性基などの金属イオンや、金属塩を付着させうる官能基が、その機能に応じて、金属イオンや金属塩を付着(吸着)し、次いで、吸着した金属イオン等が還元されることで、グラフトポリマー生成領域に金属単体が析出し、その析出態様によって、金属薄膜が形成されたり、金属微粒子が分散してなる金属微粒子付着層が形成されることになる。
配線形成態様(3)において、金属イオン又は金属塩を付与する方法としては、グラフトポリマー生成領域を形成している化合物によって、適宜、選択することができる。また、グラフトポリマー生成領域は、金属イオン等の付着の観点からは、親水性領域であることが好ましく、この場合に当該領域を形成している化合物は親水性化合物となる。
具体的な金属イオン又は金属塩を付与する方法としては、(1)グラフトポリマーがイオン性基(極性基)を有する場合、そのグラフトポリマーのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法、(2)グラフトポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い場合、そのグラフトポリマー生成領域に、金属塩又は金属塩を含有する溶液を含浸させる方法、(3)親水性グラフトポリマー生成領域(親水性領域)に、金属塩が含有する溶液、又は、金属塩が溶解した溶液に浸漬して、そのグラフトポリマー生成領域に金属イオン及び/又は金属塩を含む溶液を含浸させる方法、の何れかの方法を適宜選択して用いることができる。特に、(3)の方法によれば、グラフトポリマーの性質が特に問われないため、所望の金属イオン又は金属塩を付与させることができる。
この結果、金属薄膜(連続層)が形成され、特に導電性の高い領域が形成される。また、グラフトポリマー非生成領域においては、金属イオン、金属塩、は吸着、含浸せず、金属薄膜は形成されず、非導電性の絶縁領域が形成される。
配線形成態様(3)における「金属イオン又は金属塩付与工程」及び「金属(微粒子)膜形成工程」について、詳細に説明する。
《金属イオン又は金属塩付与工程》
〔金属イオン及び金属塩〕
まず、本工程において用いられる金属イオン及び金属塩について説明する。
本態様において、金属塩としては、グラフトポリマー生成領域に付与するために適切な溶媒に溶解して、金属イオンと塩基(陰イオン)に解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Ag、Cu、Al、Ni、Co、Fe、Pdが挙げられ、導電性の観点からはCuが好ましく用いられる。
金属塩や金属イオンは1種のみならず、必要に応じて複数種を併用することができる。また、所望の導電性を得るため、予め複数の材料を混合して用いることもできる。
〔金属イオン及び金属塩の付与方法〕
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマー生成領域に付与する際、(1)グラフトポリマーがイオン性基を有し、そのイオン性基に金属イオンを吸着させる方法を用いる場合には、上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を、グラフトポリマー生成領域が存在する基材表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマー生成領域を有する基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、前記イオン性基には、金属イオンがイオン的に吸着することができる。これら吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマー生成領域に付与する際、(2)グラフトポリマーがポリビニルピロリドンなどのように金属塩に対し親和性の高い場合は、上記の金属塩を微粒子状にして直接付着させる、又は金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製し、その分散液を、グラフトポリマー生成領域が存在する基材表面に塗布するか、或いは、その溶液中にグラフトポリマー生成領域を有する基材を浸漬すればよい。また、グラフトポリマーが親水性化合物からなる場合、グラフトポリマー生成領域は高い保水性を有するため、その高い保水性を利用して、金属塩が分散した分散液をグラフトポリマー生成領域に含浸させることができる。分散液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
金属イオン又は金属塩をグラフトポリマー生成領域に付与する際、(3)親水性グラフトポリマー生成領域(親水性領域)を有する基材を、金属塩が含有する溶液、又は、金属塩が溶解した溶液に浸漬して、その親水性グラフトポリマー生成領域に金属イオン及び/又は金属塩を含む溶液を含浸させる方法を用いる場合には、上記の金属塩が分散し得る適切な溶媒を用いて分散液を調製するか、又は上記の金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含むその溶液を調製し、その分散液又は溶液を、親水性グラフトポリマー生成領域が存在する基材表面に塗布するか、或いは、その溶液中に親水性グラフトポリマー生成領域を有する基材を浸漬すればよい。かかる方法においても、上述と同様に、親水性グラフトポリマー生成領域が有する高い保水性を利用して、分散液又は溶液をその親水性グラフトポリマー生成領域に含浸させることができる。分散液又は溶液の含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液の金属塩濃度、或いは金属塩濃度は1〜50質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、10秒から24時間程度であることが好ましく、1分から180分程度であることが更に好ましい。
《金属(微粒子)膜形成工程》
〔還元剤〕
金属(微粒子)膜形成工程において、グラフトポリマー生成領域に吸着又は含浸して存在する金属塩、或いは、金属イオンを還元し、金属(微粒子)膜を成膜するために用いられる還元剤としては、用いた金属塩化合物を還元し、金属を析出させる物性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、次亜リン酸塩、テトラヒドロホウ素酸塩、ヒドラジンなどが挙げられる。
これらの還元剤は、用いる金属塩、金属イオンとの関係で適宜選択することができるが、例えば、金属イオン、金属塩を供給する金属塩水溶液として、硝酸銀水溶液などを用いた場合にはテトラヒドロホウ素酸ナトリウムが、二塩化パラジウム水溶液を用いた場合には、ヒドラジンが、好適なものとして挙げられる。
上記還元剤の添加方法としては、例えば、グラフトポリマー生成領域が存在する基材表面に金属イオンや金属塩を付与させた後、水洗して余分な金属塩、金属イオンを除去した後、該表面を備えた基材をイオン交換水などの水中に浸漬し、そこに還元剤を添加する方法、該基材表面上に所定の濃度の還元剤水溶液を直接塗布或いは滴下する方法等が挙げられる。また、還元剤の添加量としては、金属イオンに対して、等量以上の過剰量用いるのが好ましく、10倍当量以上であることが更に好ましい。
還元剤の添加による均一で高強度の金属(微粒子)膜の存在は、表面の金属光沢により目視でも確認することができるが、透過型電子顕微鏡、或いは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて表面を観察することで、その構造を確認することができる。また、金属(微粒子)膜の膜厚は、常法、例えば、切断面を電子顕微鏡で観察するなどの方法により、容易に行なうことができる。
(グラフトポリマーが有する極性基の極性と金属イオン又は金属塩との関係)
グラフトパターンを構成するグラフトポリマーが負の電荷を有する極性基をもつものであれば、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属単体(金属薄膜や金属微粒子)が析出する領域が形成される。
(グラフトポリマーが有する親水性基の極性と金属イオン又は金属塩との関係)
グラフトポリマーが先に詳述したように親水性の官能基として、カルボキシル基、スルホン酸基、若しくはホスホン酸基などの如きアニオン性を有する場合は、パターン部分が選択的に負の電荷を有するようになり、ここに正の電荷を有する金属イオンを吸着させ、その吸着した金属イオンを還元させることで金属(微粒子)膜領域(例えば、配線など)が形成される。
一方、グラフトポリマーが親水性の官能基として、特開平10−296895号公報に記載のアンモニウム基などの如きカチオン性基を有する場合は、パターン部分が選択的に正の電荷を有するようになり、ここに金属塩を含有する溶液、又は金属塩が溶解した溶液を含浸させ、その含浸させた溶液の中の金属イオン又は金属塩中の金属イオンを還元させることで金属(微粒子)膜領域(配線)が形成される。
これらの金属イオンは、グラフトポリマーの極性基(親水性基)に付与(吸着)し得る最大量、結合されることが耐久性の点で好ましい。
本態様で形成され発光用電源配線は、SEM、AFMによる表面観察、断面観察より、グラフトポリマーからなる膜中にぎっしりと金属微粒子が分散していることが確認される。また、作製される金属微粒子の大きさとしては、粒径1μm〜1nm程度である。
本態様で形成され発光用電源配線は、そのまま用いてもよいが、効率のよい導電性の確保という観点からは、形成されたパターンを更に加熱処理することが好ましい。
加熱処理工程における加熱温度としては、100℃以上が好ましく、更には150℃以上が好ましく、特に好ましくは200℃程度である。加熱温度は、処理効率や支持体基材の寸法安定性などを考慮すれば400℃以下であることが好ましい。また、加熱時間に関しては、10分以上が好ましく、更には30分〜60分間程度が好ましい。加熱処理による作用機構は明確ではないが、一部の近接する金属微粒子同士が互いに融着することで導電性が向上するものと考えている。
<配線形成態様(4)>
配線形成態様(4)における発光用電源配線の形成は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(光開裂化合物結合工程)と、該基材上に、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(グラフトポリマー生成工程(B))と、該グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程と、を含む。
配線形成態様(4)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(B)は、前記配線形成態様(4)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(B)と同様の内容が適用される。また、グラフトポリマーへの導電性物質の付着は、前記配線形成態様(3)における金属イオン又は金属塩付与工程、及び金属(微粒子)膜形成工程と同様の内容が適用される。
<配線形成態様(5)>
配線形成態様(2)における発光用電源配線の形成は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(光開裂化合物結合工程)と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と(グラフトポリマー生成工程(A))と、該該グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程(以下、適宜「無電解メッキ触媒等付与工程」と称する。)と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程(以下、適宜、「無電解メッキ工程」と称する。)と、を含む。
配線形成態様(5)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(A)は、前記配線形成態様(1)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(A)と同様の内容が適用される。また、グラフトポリマーへの導電性物質の付着は、前記配線形成態様(3)における金属イオン又は金属塩付与工程、及び金属(微粒子)膜形成工程と同様の内容が適用される。
本態様にけるグラフトポリマーへの導電性物質の付着は、グラフトポリマー生成領域(相互作用性領域)に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程(無電解メッキ触媒等付与工程)と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程(無電解メッキ工程)と、により行われる。
即ち、本態様においては、グラフトポリマーが有する無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基(即ち、極性基)を有するグラフトポリマーが、無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用し、次いで行われる無電解メッキ処理により金属薄膜が形成されることになる。
この結果、金属薄膜(連続層)が形成され、特に導電性の高い領域が形成される。また、グラフトポリマー非生成領域においては、無電界メッキ触媒(前駆体)は、吸着、含浸せず、金属薄膜は形成されず、非導電性の絶縁領域が形成される。
本態様における「無電解メッキ触媒等付与工程」及び「無電解メッキ工程」について、説明する。
《無電解メッキ触媒等付与工程》
本工程においては、上記グラフトポリマー生成工程おいて形成されたグラフトポリマー生成領域(相互作用性領域)上に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する。
〔無電解メッキ触媒〕
本工程において用いられる無電解メッキ触媒とは、主に0価金属であり、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。本発明においては、特に、Pd、Agがその取り扱い性の良さ、触媒能の高さから好ましい。0価金属を相互作用性領域に固定する手法としては、例えば、相互作用性領域中の上の相互作用性基と相互作用するように荷電を調節した金属コロイドを、相互作用性領域に適用する手法が用いられる。一般に、金属コロイドは、荷電を持った界面活性剤又は荷電を持った保護剤が存在する溶液中において、金属イオンを還元することにより作製することができる。金属コロイドの荷電は、ここで使用される界面活性剤又は保護剤により調節することができ、このように荷電を調節した金属コロイドを、グラフトポリマーが有する相互作用性基と相互作用させることで、グラフトポリマー上に選択的に金属コロイド(無電解メッキ触媒)を吸着させることができる。
〔無電解メッキ触媒前駆体〕
本工程において用いられる無電解メッキ触媒前駆体とは、化学反応により無電解メッキ触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には上記無電解メッキ触媒で用いた0価金属の金属イオンが用いられる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解メッキ触媒である0価金属になる。無電解メッキ触媒前駆体である金属イオンは、基材へ付与した後、無電解メッキ浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解メッキ触媒としてもよいし、無電解メッキ触媒前駆体のまま無電解メッキ浴に浸漬し、無電解メッキ浴中の還元剤により金属(無電解メッキ触媒)に変化させてもよい。
実際には、無電解メッキ前駆体である金属イオンは、金属塩の状態でグラフトポリマー生成領域(相互作用性領域)上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO3)n、MCln、M2/n(SO4)、M3/n(PO4)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、Agイオン、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
無電解メッキ触媒である金属コロイド、或いは、無電解メッキ前駆体である金属塩をグラフトポリマー生成領域(相互作用性領域)上に付与する方法としては、金属コロイドを適当な分散媒に分散、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その溶液を相互作用性領域が存在する基材表面に塗布するか、或いは、その溶液中に相互作用性領域を有する基材を浸漬すればよい。金属イオンを含有する溶液を接触させることで、相互作用性領域上の相互作用性基に、イオン−イオン相互作用、又は、双極子−イオン相互作用を利用して金属イオンを吸着させること、或いは、相互作用性領域に金属イオンを含浸させることができる。このような吸着又は含浸を充分に行なわせるという観点からは、接触させる溶液中の金属イオン濃度、或いは金属塩濃度は0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、5分〜1時間程度であることがより好ましい。
《無電解メッキ工程》
本工程では、相互作用性領域に、無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与された基材上に、無電解メッキを行うことで、パターン状に金属膜が形成される。即ち、本工程における無電解メッキを行うことで、前記工程により得られたグラフトポリマー生成領域に従った高密度の金属膜(導電性パターン)が形成される。形成された導電性パターンは、優れた導電性、密着性を有する。
〔無電解メッキ〕
無電解メッキとは、メッキとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解メッキは、例えば、無電解メッキ触媒がパターン状に付与された基材を、水洗して余分な無電解メッキ触媒(金属)を除去した後、無電解メッキ浴に浸漬して行なう。使用される無電解メッキ浴としては一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
また、無電解メッキ触媒前駆体がパターン状に付与された基材を、無電解メッキ触媒前駆体がグラフトパターンに吸着又は含浸した状態で無電解メッキ浴に浸漬する場合には、基材を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解メッキ浴中へ浸漬される。この場合には、無電解メッキ浴中において、前駆体の還元とこれに引き続き無電解メッキが行われる。ここ使用される無電解メッキ浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解メッキ浴を使用することができる。
一般的な無電解メッキ浴の組成としては、1.メッキ用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このメッキ浴には、これらに加えて、メッキ浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解メッキ浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解メッキの浴は、銅塩としてCu(SO42、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤が含まれている。また、CoNiPの無電解メッキに使用されるメッキ浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解メッキ浴は、金属イオンとして(Pd(NH34)Cl2、還元剤としてNH3、H2NNH2、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのメッキ浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
このようにして形成される金属膜の膜厚は、メッキ浴の金属塩又は金属イオン濃度、メッキ浴への浸漬時間、或いは、メッキ浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。また、メッキ浴への浸漬時間としては、1分〜3時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
以上のようにして得られる金属パターンの金属膜部は、SEMによる断面観察により、表面グラフト膜中に無電解メッキ触媒やメッキ金属の微粒子がぎっしりと分散しており、更にその上に比較的大きな粒子が析出していることが確認された。界面はグラフトポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基材(有機成分)と無機物(無電解メッキ触媒又はメッキ金属)との界面の凹凸差が100nm以下であっても密着性が良好であった。
《電気メッキ工程》
本態様においては、上記無電解メッキ工程を行った後、電気メッキを行う工程(電気メッキ工程)を有してもよい。
本工程では、前記無電解メッキの後、この工程により形成された金属膜を電極とし、更に電気メッキを行うことができる。これにより基材との密着性に優れた導電性パターンをベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。この工程を付加することにより、導電性パターンを目的に応じた厚みに形成することができ、本発明により得られた導電性パターンを配線パターンなど種々の応用に適用するのに好適である。
電気メッキの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気メッキに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
電気メッキにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、メッキ浴中に含まれる金属濃度、浸漬時間、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.3μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
<配線形成態様(6)>
配線形成態様(6)における発光用電源配線の形成は、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程(以下、適宜、「光開裂化合物結合工程」と称する。)と、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程(以下、適宜、「グラフトポリマー生成工程(B)」と称する。)と、該グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程(無電解メッキ触媒等付与工程)と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程(無電解メッキ工程」)と、を含む。
配線形成態様(6)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(B)は、前記配線形成態様(2)における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程(B)と同様の内容が適用される。また、グラフトポリマーへの導電性物質の付着は、前記配線形成態様(5)における無電解メッキ触媒等付与工程、及び無電解メッキ工程と同様の内容が適用される。
また、本態様においても、無電解メッキ工程の終了後に、電気メッキ工程を更に行ってもよい。電気メッキ工程の詳細は、配線形成態様(5)において説明した内容と同様である。
本発明の有機EL装置の製造方法は、発光方式や駆動方式等の違いによらず、各種の有機EL装置の製造に適用することが可能である。
以下、本発明の有機EL装置の製造方法の実施態様例について、図面を用いて具体例に説明をするが、本発明により製造される有機EL装置はこれに限定されるものではない。
先ず、本発明の有機EL装置の製造方法により得られる有機EL装置の一実施態様について説明する。
図3に示した発光装置1は、本発明により製造しうる有機EL装置の一例であり、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor) を用いたアクティブマトリクス方式の有機EL装置である。
図3に示す本実施形態の発光装置1は、複数の走査線101と、走査線101に対して交差する方向に延びる複数の信号線102と、信号線102に並行して延びる複数の発光用電源配線103とがそれぞれ配線されており、走査線101及び信号線102の各交点付近に、画素領域Aが設けられている。
各信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、及びアナログスイッチを備えるデータ側駆動回路104が接続されている。また、各信号線102には、薄膜トランジスタを備える検査回路106が接続されている。更に、各走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査側駆動回路105が接続されている。
また、画素領域Aの各々には、スイッチング薄膜トランジスタ(第1のスイッチング素子)112、保持容量Cap、カレント薄膜トランジスタ(第2のスイッチング素子)123、画素電極(第1電極)111、発光層110、及び陰極(第2電極)12とが設けられる。尚、第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子は、本発明にいうスイッチング素子に相当する。スイッチング薄膜トランジスタ112 は、そのゲート電極に走査線101が接続されており、走査線101から供給される走査信号に応じて駆動されてオン状態又はオフ状態となる。保持容量Cap は、スイッチング薄膜トランジスタ112を介して信号線102から供給される画像信号を保持する。
カレント薄膜トランジスタ123は、そのゲート電極がスイッチング薄膜トランジスタ112及び保持容量Capに接続されており、保持容量Capによって保持された画像信号がゲート電極に供給される。画素電極111は、カレント薄膜トランジスタ123に接続されており、カレント薄膜トランジスタ123を介して発光用電源配線103 に電気的に接続したときに発光用電源配線103から駆動電流が流れ込む。発光層110 画素電極111と陰極12との間に挟み込まれている。
上記の少なくとも陽極、発光装置、及び陰極によって形成される発光層110には、赤色に発光する発光層110R、緑色に発光する発光層110G、及び青色に発光する発光層110Bの3 種の発光素子が含まれ、各発光層110R,110G,110Bがストライプ配置されている。そして、カレント薄膜トランジスタ123 を介して各発光層110R,110G,110Bに接続される発光用電源配線103R,103G,103Bがそれぞれ、発光用電源回路132に接続されている。各色毎に発光用電源配線103R,103G,103Bが配線されているのは、発光層110R,110G,110Bの駆動電位が各色毎に異なるためである。
また、本実施形態の発光装置においては、陰極12と発光用電源配線103R,103G,103Bとの間に第1の静電容量C1が形成されている。発光装置1が駆動するとこの第1の静電容量C1に電荷が蓄積される。発光装置1の駆動中に各発光用電源配線103を流れる駆動電流の電位が変動した場合には、蓄積された電荷が各発光用電源配線103に放電されて駆動電流の電位変動を抑制する。これにより、発光装置1の画像表示を正常に保つことができる。
なお、この発光装置1においては、走査線101から走査信号が供給されてスイッチング薄膜トランジスタ112がオン状態になると、そのときの信号線102の電位が保持容量Capに保持され、保持容量Capに保持された電位に応じてカレント薄膜トランジスタ123のオン・オフ状態が決まる。そして、カレント薄膜トランジスタ123のチャネルを介して、発光用電源配線103R,103G,103B から画素電極111に駆動電流が流れ、更に発光層110R,110G,110B を介して陰極12に電流が流れる。このとき、発光層110 を流れた電流量に応じた量の発光が発光層110から得られる。
次に、発光装置1の具体的な構成について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、本実施形態の発光装置の平面模式図であり、図5は、図3のA−A’線に沿う断面図であり、図6は、図4のB−B’線に沿う断面図である。図4に示すように、発光装置1 は、基材2、図示の画素電極群領域、発光用電源配線103(103R,103G,103B)、及び画素部3(図中一点鎖線の枠内)とから概略構成される

基材2は、例えば、ガラス等からなる透明な基板である。画素電極群領域は、図3に示したカレント薄膜トランジスタ123に接続された画素電極(図示省略)を基板2上にマトリックス状に配置した領域である。発光用電源配線103(103R,103G,103B)は、図4に示したように、画素電極群領域の周囲に配置され、各画素電極に接続されている。画素部3は、少なくとも画素電極群領域上に位置し、平面視略矩形形状である。この画素部3は、中央部分の有効発光領域4(図中二点鎖線の枠内)と、有効発光領域4の外側に配置されたダミー領域5(一点鎖線及び二点鎖線の間の領域)とに区画されている
また、有効発光領域4の図中両側には、前述の走査線駆動回路105が配置されている。この走査線駆動回路105はダミー領域5の下側(基板2側)に位置して設けられている。更に、ダミー領域5の下側には、走査線駆動回路105に接続される走査線駆動回路用制御信号配線105aと走査線駆動回路用電源配線105bとが設けられている。また更に、有効発光領域4の図中上側には、前述の検査回路106 が配置されている。この検査回路106はダミー領域5の下側(基板側2)に位置して設けられており、この検査回路106により、製造途中や出荷時の発光装置の品質、欠陥の検査を行うことができる。
図4に示すように、発光用電源配線103R,103G,103Bは、ダミー領域5 の周囲に配設されている。各発光用電源配線103R,103G,103Bは、基材2 の図4中下側から走査線駆動回路用制御信号配線105bに沿って図2 中上方に延在し、走査線駆動回路用電源配線105bが途切れた位置から折曲してダミー領域5の外側に沿って延在し、有効発光領域4 内にある図示略の画素電極に接続されている。また、基材2には、陰極12に接続される陰極用配線12aが形成されている。この陰極用配線12aは、発光用電源配線103R,103G,103Bを囲むように平面視略コ字状に形成されている。
また、基材2の一端には、ポリイミドテープ130が貼り付けられ、このポリイミドテープ130上に制御用IC131が実装されている。この制御用IC131には、図3に示したデータ側駆動回路104、陰極用電源回路131、及び発光用電源回路132が内蔵されている。
次に、図5及び図6に示すように、基材2上には回路部11が形成され、この回路部11上に画素部3が形成されている。また、基材2には、画素部3を環状に囲む封止材13が形成されており、更に画素部3 上に封止基板14が備えられている。封止基板14は、封止材13を介して基板2 に接合されており、ガラス、金属、又は樹脂等からなるものである。この封止基板14の裏側には、吸着剤15が貼付され、画素部3と封止基板14との間の空間に混入した水又は酸素を吸収できるようになっているなお、吸着剤15 に代えてゲッター剤を用いてもよい。また、封止材13は、例えば、熱硬化樹脂又は紫外線硬化樹脂からなるものであり、特に熱硬化樹脂の一種であるエポキシ樹脂よりなることが好ましい。
回路部11の中央部分には、画素電極群領域11aが設けられている。この画素電極群領域11aには、カレント薄膜トランジスタ123と、カレント薄膜トランジスタ123に接続された画素電極111 が備えられている。カレント薄膜トランジスタ123は、基材2上に積層された下地保護層281、第2層間絶縁層283、及び第1層間絶縁層284に埋め込まれて形成され、画素電極111は、第1層間絶縁層284上に形成されている。カレント薄膜トランジスタ123に接続され、第2層間絶縁層283上に形成された電極の一方(ソース電極)には、発光用電源配線103(103R,103G,103B)が接続されている。なお、回路部11には、前述した保持容量Cap及びスイッチング薄膜トランジスタ112 も形成されているが、図5及び図6ではこれらの図示を省略している。更に、図5及び図6においては、信号線102の図示を省略している。更に、図4においては、スイッチング薄膜トランジスタ112及びカレント薄膜トランジスタ123の図示を省略している。
次に、図5において、画素電極群領域11aの図中両側には、前述の走査線駆動回路105が設けられている。図5に示した走査線駆動回路105には、シフトレジスタに含まれるインバータを構成するN チャネル型又はPチャネル型の薄膜トランジスタ105cが備えられ、この薄膜トランジスタ105cは、画素電極111に接続されていない点を除いて上記のカレント薄膜トランジスタ123と同様の構造とされている。なお、図6においては、検査回路106の図示を省略しているが、この検査回路106にも同様に薄膜トランジスタが備えられている。検査回路106に備えられている薄膜トランジスタは、後述するダミー画素電極111’に接続されていない点を除いてカレント薄膜トランジスタ123 と同様の構造とされている。
図5に示すように、走査線駆動回路105の図中外側の下地保護層281上には、走査線回路用制御信号配線105aが形成されている。また、図6に示したように、下地保護層281上には、走査線101が形成されている。更に、走査線回路用制御信号配線1 05aの外側の第2層間絶縁層283上には、走査線回路用電源配線105bが形成されている。また、走査線回路用電源配線105bの外側には、発光用電源配線103 が形成されている。この発光用電源配線103は、2つの配線からなる二重配線構造を採用しており、前述したように画素部3の外側に配置されている。二重配線構造を採用することで配線抵抗を軽減できる。
例えば、図5中左側にある赤色用の発光用電源配線103Rは、下地保護層281上に形成された第1配線103R1と、第2層間絶縁層283 を介して第1配線103R1上に形成された第2配線103R2とから構成されている。第1配線103R1及び第2配線103R2は、図4に示すように第2層間絶縁層283を貫通するコンタクトホール103R3により接続されている。このように、第1配線103R1は、陰極用配線12aと同じ階層位置に形成されており、第1配線103R1と陰極用配線12aとの間は第2層間絶縁層283が配置されている。また、図5及び図6に示す通り、陰極用配線12aはコンタクトホールを介して第2層間絶縁層283上に形成された陰極用配線12bと電気的に接続されおり、いわば陰極用配線12aも二重配線構造になっている。よって、第2配線103R2は、陰極用配線12bと同じ階層位置に形成されており、第1配線103R2と陰極用配線12bとの間は第1層間絶縁層284が配置されている。このような構造をとることで、第1配線103R1と陰極用配線12aとの間、及び、第2配線103R2と陰極用配線12bとの間に第2の静電容量C2が形成されている。
同様に、図5の右側にある青色及び緑色用の発光用電源配線103G,103Bも二重配線構造を採用しており、それぞれ下地保護層281上に形成された第1配線103G1,103B1と、第2層間絶縁層283上に形成された第2配線103G2,103B2とから構成され、第1配線103G1,103B1及び第2配線103G2,103B2は、図4及び図5に示すように第2層間絶縁層283を貫通するコンタクトホール103G3,103B3により接続されている。そして、青色の第1配線103B1と陰極用配線12aの間、及び、青色の第2配線103B2と陰極用配線12bとの間に第2の静電容量C2が形成されている。
また、各発光用電源配線103Rの上側には、画素部3 から延出した陰極12が形成されている。これにより、各発光用電源配線103Rの第2配線103R2が、第1層間絶縁層284を挟んで陰極12と対向配置され、これにより第2配線103R2と陰極12との間に前述の第1の静電容量C1が形成される。
次に、図5及び図6に示したように、画素部3のダミー領域5には、ダミー発光層210及びダミーバンク部212が形成されている。ダミーバンク部212は、基板2側に位置するダミー無機物バンク層212aと基材2から離れて位置するダミー有機物バンク層212bとが積層されて構成されている。ダミー無機物バンク層212aは、ダミー画素電極111’の全面に形成されている。また、ダミー有機物バンク層212bは、有機物バンク層122bと同様に画素電極111の間に形成されている。そして、ダミー発光層210は、ダミー無機物バンク212aを介してダミー画素電極111’上に形成されている。
ダミー無機物バンク層212a及びダミー有機物バンク層211bは、先に説明した無機物、有機物バンク層122a,122bと同様の材質、同様の膜厚を有するものである。また、ダミー発光層210は、図示略のダミー正孔注入/ 輸送層上に積層されており、ダミー正孔注入/ 輸送層及びダミー発光層の材質や膜厚は、前述の正孔注入/ 輸送層110a及び発光層110と同様である。従って、上記の発光層110と同様に、ダミー発光層210はダミーバンク部212より薄く形成されている。
次に、陰極12は、有効発光領域4とダミー領域5の全面に形成されるとともにダミー領域5の外側にある基材2上まで延出され、ダミー領域5の外側、即ち画素部3の外側で発光用電源配線103と対向配置されている。また、陰極12の端部が、回路部11に形成された陰極用配線12aに接続されている。陰極12は、画素電極111の対向電極として発光層110に電流を流す役割を果たす。この陰極12は、例えば、フッ化リチウムとカルシウムの積層体からなる陰極層12bと、反射層12cとが積層されて構成されている。陰極12のうち、反射層12cのみが画素部3の外側まで延出されている。反射層12cは、発光層110から発した光を基材2側に反射させるもので、例えば、Al、Ag、Mg/Ag積層体等からなることが好ましい。更に、反射層12b上にSiO2、SiN等からなる酸化防止用の保護層を設けてもよい。
次に、発光装置1の製造工程について説明する。
図7〜図9は、本実施態様例の発光装置の製造工程を説明する工程図である。まず、図7〜図9を参照して、基材2上に回路部11を形成する方法について説明する。なお、図7〜図9に示す各断面図は、図4中のA−A’線に沿う断面に対応している。また、以下の説明において、不純物濃度は、いずれも活性化アニール後の不純物として表される。
まず、図7(a)に示すように、基材2上に、シリコン酸化膜などからなる下地保護層281を形成する。次に、ICVD法、プラズマCVD 法などを用いてアモルファスシリコン層を形成した後、レーザアニール法又は急速加熱法により結晶粒を成長させてポリシリコン層501とする。その後、ポリシリコン層501をフォトリソグラフィ法によりパターニングし、図7(b)に示すように島状のシリコン層241,251,261を形成し、更にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁層282 を形成する。
シリコン層241は、有効発光領域4に対応する位置に形成されて画素電極111に接続されるカレント薄膜トランジスタ123(以下、「画素用TFT」と表記する場合がある) を構成するものであり、シリコン層251,261、走査線駆動回路105内のPチャネル型及びNチャネル型の薄膜トランジスタ(以下、「駆動回路用TFT」と表記する場合がある)をそれぞれ構成するものである。
ゲート絶縁層282の形成は、プラズマCVD法、熱酸化法等により、各シリコン層241,251,261及び下地保護層281を覆う厚さ約30nm〜200nmのシリコン酸化膜を形成することにより行う。ここで、熱酸化法を利用してゲート絶縁層282を形成する際には、シリコン層241,251,261の結晶化も行い、これらのシリコン層をポリシリコン層とすることができる。チャネルドープを行う場合には、例えば、このタイミングで約1×1012cm-2のドーズ量でボロンイオンを打ち込む。その結果、シリコン層241,251,261、不純物濃度が約1×10-17cm-3の低濃度P型のシリコン層となる。
次に、図7(c)に示すように、シリコン層241,261の一部にイオン注入選択マスクM1を形成し、この状態でリンイオンを約1×1015cm-2のドーズ量でイオン注入する。その結果、イオン注入選択マスクM1に対してセルフアライン的に高濃度不純物が導入され、シリコン層241,261中に高濃度ソース領域241S,261S及び高濃度ドレイン領域241D,261Dが形成される。
その後、図7(d)に示すように、イオン注入選択マスクM1を除去した後に、ゲート絶縁層282上にドープドシリコン、シリサイド膜、或いはアルミニウム膜やクロム膜、タンタル膜といった厚さ約200nm程度の金属膜を形成し、更にこの金属膜をパターニングすることにより、Pチャネル型の駆動回路用TFTのゲート電極252、画素用TFTのゲート電極242、Nチャネル型の駆動回路用TFTのゲート電極262を形成する。また、上記パターニングにより、走査線駆動回路用信号配線105a、発光用電源配線の第1配線103R1,103G1,103B1、陰極用配線12aの一部を同時に形成する。更に、これらのゲート電極242,252,262等を形成するときに、図6に示した走査線101を同時に形成する。
本発明においては、このとき前記した配線形成態様(1)乃至(6)により、電源配線(R,G,B用)が形成される。また、陰極用配線12aの一部についても形成することが可能である。
更に、ゲート電極242,252,262をマスクとし、シリコン層241,251,261に対してリンイオンを約4×1013cm-2のドープ量でイオン注入する。その結果、ゲート電極242,252,262に対してセルフアライン的に低濃度不純物が導入され、図7(d)に示すように、シリコン層241,261中に低濃度ソース領域241b,261b、及び低濃度ドレイン領域241c,261cが形成される。また、シリコン層251中に低濃度不純物領域251S,251Dが形成される。
次に、図8(a)に示すように、ゲート電極252の周辺を除く全面にイオン注入選択マスクM2を形成する。このイオン注入選択マスクM2を用いて、シリコン層251に対してボロンイオンを約1.5×1015cm-2のドープ量でイオン注入する。結果として、ゲート電極252もマスクとして機能し、シリコン層252中にセルフアライン的に高濃度不純物がドープされる。これにより251S及び251Dがカウンタードープされ、P型チャネル型の駆動回路用TFTのソース領域及びドレイン領域となる。
そして、図8(b)に示すように、イオン注入選択マスクM2を除去した後に、基材2の全面に第2層間絶縁層283を形成し、更にフォトリソグラフィ法により第2層間絶縁層283をパターニングして、各TFTのソース電極及びドレイン電極並びに陰極用配線12aに対応する位置にコンタクトホール形成用の孔H1を設ける。次に、図8(c)に示すように、第2層間絶縁層283を覆うように、アルミニウム、クロム、タンタル等の金属からなる厚さ約200nm乃至800nm程度の導電層504を形成することにより、先に形成した孔H1にこれらの金属を埋め込んでコンタクトホールを形成する。更に導電層504上にパターニング用マスクM3を形成する。
次に、図9(a)に示すように、導電層504をパターニング用マスクM3によってパターニングし、各TFTのソース電極243,253,263、ドレイン電極244,254、各発光用電源配線の第2配線103R2,103G2,103B2、走査線回路用電源配線105b、及び陰極用配線12aを形成する。上記のように、第1配線103R1及び103B1を陰極用配線12aと同じ階層に離間して形成するとともに、第2配線103R2及び103B2を陰極用配線12bと同じ階層に離間して形成することで、第2の静電容量C2が形成される。
本発明においては、この工程においても前記した配線形成態様(1)乃至(6)により、電源配線(R,G,B用)を形成する。また、陰極用配線12bの一部についても形成することが可能である。
以上の工程が終了すると、図9(b)に示すように、第2層間絶縁層283を覆う第1層間絶縁層284を、例えば、アクリル系などの樹脂材料によって形成する。この第1層間絶縁層284は、約1〜2μm程度の厚さに形成されることが望ましい。次に、図9(c)に示すように、第1層間絶縁層284のうち、画素用TFTのドレイン電極244に対応する部分をエッチングによって除去してコンタクトホール形成用の孔H2を形成する。このとき、同時に陰極用配線12a上の第1層間絶縁層284も除去する。このようにして、基板2上に回路部11が形成される。
次に、図10を参照して、回路部11上に画素部3を形成することにより発光装置1を得る手順について説明する。図10に示す断面図は、図2中のA−A’線に沿う断面に対応している。まず、図10(a)に示すように、基板2の全面を覆うようにITO等の透明電極材料からなる薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより、第1層間絶縁層284に設けた孔H2を埋めてコンタクトホール111aを形成するとともに、画素電極111及びダミー画素電極111’を形成する。画素電極111は、カレント薄膜トランジスタ123の形成部分のみに形成され、コンタクトホール111aを介してカレント薄膜トランジスタ123(スイッチング素子)に接続される。尚、ダミー電極111’は島状に配置される。
次に、図10(b)に示すように、第1層間絶縁層284、画素電極111、及びダミー画素電極111’上に無機物バンク層122a及びダミー無機物バンク層212aを形成する。無機物バンク層122aは、画素電極111の一部が開口する態様にて形成し、ダミー無機物バンク層212aはダミー画素電極111’を完全に覆うように形成する。ここで、無機物バンク層122a及びダミー無機物バンク層212aは、図2中のB−B’線に沿う断面において走査線101の上方に形成される点に注意されたい。無機物バンク層122a及びダミー無機物バンク層212aは、例えば、CVD法、TEOS法、スパッタ法、蒸着法等によって第1層間絶縁層284及び画素電極111の全面にSiO2、TiO2、SiN等の無機物膜を形成した後に、当該無機物膜をパターニングすることにより形成する。
更に、図10(b)に示すように、無機物バンク層122a及びダミー無機物バンク層212a上に、有機物バンク層122b及びダミー有機物バンク層212bを形成する。有機物バンク層122bは、無機物バンク層122aを介して画素電極111の一部が開口する態様にて形成し、ダミー有機物バンク層212bはダミー無機物バンク層212aの一部が開口する態様にて形成する。このようにして、第1層間絶縁層284上にバンク部122を形成する。
続いて、バンク部122の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域を形成する。
本実施形態においてはプラズマ処理工程により、各領域を形成するものとしている。具体
的に、このプラズマ処理工程は、画素電極111、無機物バンク層122a、及びダミー無機物バンク層212aを親液性にする親液化工程と、有機物バンク層122b及びダミー有機物バンク層212bを撥液性にする撥液化工程とを少なくとも有している。
即ち、バンク部122を所定温度(例えば、70〜80℃程度)に加熱し、次いで親液化工程として大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。続いて、撥液化工程として大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、プラズマ処理のために加熱されたバンク部122を室温まで冷却することで、親液性及び撥液性が所定箇所に付与されることとなる。
更に、画素電極111上及びダミー無機物バンク層212a上にそれぞれ、発光層110及びダミー発光層210をインクジェット法により形成する。発光層110並びにダミー発光層210は、正孔注入/輸送層材料を含む組成物インクを吐出・乾燥した後に、発光層材料を含む組成物インクを吐出・乾燥することにより形成される。尚、この発光層110及びダミー発光層210の形成工程以降は、正孔注入/輸送層及び発光層の酸化を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
次に、図10(c)に示すように、バンク部122、発光層110、及びダミー発光層210を覆う陰極12を形成する。陰極12は、バンク部122、発光層110、及びダミー発光層210上に陰極層12bを形成した後に、陰極層12bを覆って基板2上の陰極用配線12aに接続される反射層12cを形成することにより得られる。このように、反射層12cを陰極用配線12aに接続させるべく反射層12cを画素部3から基板2上に延出させることにより、反射層12cが第1層間絶縁層284を介して発光用電源線103に対向配置され、反射層12c(陰極)と発光用電源線103との間に第1の静電容量C1が形成される。最後に、基材2にエポキシ樹脂等の封止材13を塗布し、この封止材13を介して基材2に封止基板14を接合する。このようにして、図3〜図6に示すような発光装置1が得られる。
このようにして製造された発光装置(本発明により得られる有機EL装置)は、ノート型コンピュータ、携帯電話機を、プロジェクタ、マルチメディア対応のパーソナルコン
ピュータ(PC)及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することが可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(合成例1:化合物Aの合成)
前記例示化合物1の合成は、以下の2つのステップにより行われる。それぞれのステップのスキームを挙げて説明する。
1.ステップ1(化合物aの合成)
DMAc50gとTHF50gの混合溶媒に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン24.5g(0.12mol)を溶かし、氷浴下でNaH(60% in oil)7.2g(0.18mol)を徐々に加えた。そこに、11−ブロモ−1−ウンデセン(95%)44.2g(0.18mol)を滴下し、室温で反応を行った。1時間で反応が終了した。反応溶液を氷水中に投入し、酢酸エチルで抽出し、黄色溶液状の化合物aを含む混合物が得られた。この混合物37gをアセトニトリル370mlに溶かし、水7.4gを加えた。p−トルエンスルホン酸一水和物1.85gを加え、室温で20分間撹拌した。酢酸エチルで有機相を抽出し、溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲルC−200、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/80)で化合物aを単離した。
合成スキームを以下に示す。
Figure 2006078600
1H NMR(300MHz CDCl3
δ=1.2−1.8(mb,24H),2.0(q,2H),3.2(t,J=6.6,2H),4.9−5.0(m,2H)5.8(ddt,J=24.4,J=10.5,J=6.6,1H.),7.4(t,J=7.4,2H),7.5(t,J=7.4,1H),8.3(d,1H)
2.ステップ2(化合物aのハイドロシリル化による化合物Aの合成)
化合物a5.0g(0.014mol)にSpeir catalyst(H2PtCl6・6H2O/2−PrOH、0.1mol/l)を2滴加え、氷浴下でトリクロロシラン2.8g(0.021mol)を滴下して撹拌した。更に1時間後にトリクロロシラン1.6g(0.012mol)を滴下してから室温に戻した。3時間後に反応が終了した。反応終了後、未反応のトリクロロシランを減圧留去し、化合物Aを得た。
合成スキームを以下に示す。
Figure 2006078600
1H NMR(300MHz CDCl3
δ=1.2−1.8(m,30H),3.2(t,J=6.3,2H),7.3−7.7(m,3H),8.3(d,2H)
(合成例2:重合性基を有する親水性ポリマーPの合成)
ポリアクリル酸(平均分子量25,000)18gをDMAc(ジメチルアセトアミド)300gに溶解し、そこに、ハイドロキノン0.41gと2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート19.4gとジブチルチンジラウレート0.25gとを添加し、65℃で4時間反応させた。得られたポリマーの酸価は7.02meq/gであった。1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液でカルボキシル基を中和し、酢酸エチルに加えポリマーを沈殿させ、よく洗浄し、重合性基を有する親水性ポリマーPを得た。
[実施例1]
本発明に係る有機EL装置を、前記実施態様例に記載の工程に準じて製造した。
本実施例においては、配線形成態様(1)により、各発光用電源配線を形成した。なお、本実施例における配線形成は、ゲート絶縁層の形成後(図5(d)参照。)、及び第2層間絶縁層の形成後(図7(a)参照。)にそれぞれ行った。発光用電源配線の形成工程は以下の通りである。
(光開裂化合物結合工程)
ゲート絶縁層(或いは、第2層間絶縁層)が形成されたガラス基板(日本板硝子(株)製)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5質量%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。このようにして得られた化合物Aが結合した基板を基板A1とする。
(重合開始能失活工程)
基材A1の片面に、パターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させるようにクリップで留め、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)で1分間パターン露光を行った。このように処理を施した基板を基板B1とする。
(グラフトポリマー生成工程(A))
親水性ポリマーP(0.5g)を純水4.0gとアセトニトリル2.0gとの混合溶媒に溶かし、グラフトポリマー生成用塗布液を調製した。そのグラフト生成層用塗布液を、スピンコーターで基板B1のパターン露光面に塗布した。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、その後1000rpmで20秒間回転させた。塗布後の基板B1を、100℃で2分間乾燥した。乾燥後のグラフトポリマー生成層の膜厚は2μmであった。
グラフトポリマー生成層を有する基板上を、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)で5分間全面露光を行った。その後、露光面を純水で充分洗浄した。
以上のようにして、グラフトポリマーパターンC1を形成した。
(導電性材料付着工程)
グラフトポリマーパターンC1を有する基板を、以下のようにして得られた正電荷を有するAg粒子分散液中に浸漬し、その後、流水で表面を十分洗浄して余分な微粒子分散液を除去し、グラフトポリマー生成領域のみにAg粒子が吸着した発光用電源配線D1を得た。
<Ag粒子分散液の調製>
過塩素酸銀のエタノール溶液(5mmol/l)50mlにビス(1,1−トリメチルアンモニウムデカノイルアミノエチル)ジスルフィド3gを加え、激しく撹拌しながら水素化ホウ素ナトリウム溶液(0.4mol/l)30mlをゆっくり滴下してイオンを還元し、4級アンモニウムで被覆された銀粒子の分散液を得た。この銀粒子のサイズを電子顕微鏡で測定したところ、平均粒径は5nmであった。
<配線形成の確認>
発光用電源配線D1が形成された表面を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、グラフトポリマー生成領域のみに付着したAg微粒子に起因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認された。また、発光用電源配線D1は、線幅8μm/空隙幅8μmの微細な配線であることが確認された。
<導電安定性の評価>
発光用電源配線D1の配線部分の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、10Ω/□を示した。このことから、導電性に優れた配線が形成されていることがわかった。
<密着性の評価>
発光用電源配線D1の配線部分について、幅5mmで切込みを入れJIS 5400に順じて碁盤目テープ法により膜密着性を評価した。カットした碁盤目に対するテープの引き剥がしテストを行ったところ、1目の剥離も見られず、基材と配線部分との密着性が良好であることが確認された。
[実施例2]
本実施例において、配線形成態様(2)により各発光用電源配線を形成して、有機EL装置を作製した。
本実施例で行ったグラフトポリマー形成工程は以下の通りである。
(光開裂化合物結合工程)
ガラス基板(日本板硝子(株)製)を、終夜、ピランハ液(硫酸/30%過酸化水素=1/1vol混合液)に浸漬した後、純水で洗浄した。その基板を、窒素置換したセパラブルフラスコ中に入れ12.5wt%の化合物Aの脱水トルエン溶液に1時間浸漬した。取り出し後、トルエン、アセトン、純水で順に洗浄した。このようにして得られた化合物Aが結合した基板を基板A1とする。
(グラフトポリマー生成工程(B))
親水性ポリマーP(0.5g)を純水4.0gとアセトニトリル2.0gの混合溶媒に溶かし、グラフトポリマー生成層用塗布液を調製した。そのグラフトポリマー生成層用塗布液を、スピンコーターで基板A1に塗布した。スピンコーターは、まず300rpmで5秒間、その後1000rpmで20秒間回転させた。塗布後の基板A1を、100℃で2分間乾燥した。乾燥後のグラフトポリマー生成層の膜厚は2μmであった。
−パターン露光−
グラフトポリマー生成層を有する基板上に、パターンマスク(NC−1、凸版印刷社製)を密着させるようにクリップで留め、露光機(UVX−02516S1LP01、ウシオ電機社製)で1分間露光した。露光後マスクを取り外し、純水で充分洗浄した。
以上のようにして、グラフトポリマーパターンA2を形成した。
−グラフトポリマーパターンの確認−
グラフトポリマーパターンA2を、原子間顕微鏡AFM(ナノピクス1000、セイコーインスツルメンツ社製、DFMカンチレバー使用)で観察した。その結果、グラフト歩リマパターンA2として、幅7μmのパターン(グラフトポリマー生成領域)が形成されていることが確認された。
(導電性材料付着工程)
また、グラフトポリマーへの導電性物質の吸着は、実施例1における導電性材料付着工程と同様の工程により行った。これにより、発光用電源配線D2を得た。
<配線形成の確認>
発光用電源配線D2の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、先に確認されたグラフトポリマー生成領域のみに付着したAg微粒子付着に起因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認された。また、発光用電源配線D2は、線幅8μm/空隙幅8μmの微細な配線であることが確認された。
<導電安定性の評価>
発光用電源配線D2の配線部分の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、10Ω/□を示した。このことから、導電性に優れた配線が形成されていることがわかった。
<密着性の評価>
発光用電源配線D2の配線部分について、実施例1と同様にして膜密着性を評価したところ、1目の剥離も見られず、基材と配線部分との密着性が良好であることが確認された。
[実施例3]
本実施例において、配線形成態様(3)により各発光用電源配線を形成して、有機EL装置を作製した。
本実施例で行ったグラフトポリマー形成工程は実施例1と同様の工程であり、これによりグラフトポリマーパターンC3を得た。
次いで、グラフトポリマーパターンC3への導電性物質の吸着を、以下の工程により行った。
(金属(微粒子)膜の形成)
グラフトポリマーパターンC3が形成された基板を、硝酸銀(和光純薬製)15質量%の水溶液に12時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、100mlの蒸留水に当該基板を浸漬し、その蒸留水中に、0.2mol/lのテトラヒドロホウ素酸ナトリウムを30ml滴下することにより、吸着している銀イオンを還元したところ、グラフトポリマーパターンC3の表面に均一なAg金属膜(金属(微粒子)膜)が形成された。形成されたAg金属膜は、厚さ0.1μmであった。これにより、Ag(微粒子)膜が形成された発光用電源配線D3を得た。
<配線形成の確認>
発光用電源配線D3の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、先に確認されたグラフトポリマー生成領域のみに付着したAg微粒子付着に起因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認された。また、発光用電源配線D3は、線幅8μm/空隙幅8μmの微細な配線であることが確認された。
<導電安定性の評価>
発光用電源配線D3の配線部分の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、0.3Ω/□を示した。このことから、導電性に優れた配線が形成されていることがわかった。
<密着性の評価>
発光用電源配線D3の配線部分について、実施例1と同様にして膜密着性を評価したところ、1目の剥離も見られず、基材と配線部分との密着性が良好であることが確認された。
[実施例4]
本実施例において、配線形成態様(4)により各発光用電源配線を形成して、有機EL装置を作製した。
本実施例で行ったグラフトポリマー形成工程は実施例2と同様の工程であり、これによりグラフトポリマーパターンC4を得た。また、グラフトポリマーへの導電性物質の吸着は、実施例3と同様の工程により行った。これにより、発光用電源配線D4が形成された。
得られた発光用電源配線D4について、以下のように評価した。
<配線形成の確認>
発光用電源配線D4の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、先に確認されたグラフトポリマー生成領域のみに付着したAg微粒子付着に起因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認された。また、発光用電源配線D4は、線幅8μm/空隙幅8μmの微細な配線であることが確認された。
<導電安定性の評価>
発光用電源配線D4の配線部分の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、0.3Ω/□を示した。このことから、導電性に優れた配線が形成されていることがわかった。
<密着性の評価>
発光用電源配線D4の配線部分について、実施例1と同様にして膜密着性を評価したところ、1目の剥離も見られず、基材と配線部分との密着性が良好であることが確認された。
[実施例5]
本実施例において、配線形成態様(5)により各発光用電源配線を形成して、有機EL装置を作製した。
本実施例で行ったグラフトポリマー形成工程は実施例1と同様の工程であり、これによりグラフトポリマーパターンC5を得た。
次いで、グラフトポリマーパターンC5への導電性物質の吸着を、以下の工程により行った。
グラフトポリマーパターンC5が形成された基板を、硝酸パラジウム(和光純薬製)0.1質量%の水溶液に1時間浸漬した後、蒸留水で洗浄した。その後、下記組成の無電解メッキ浴に20分間浸漬した。これにより、発光用電源配線D5が形成された。
<無電解メッキ浴成分>
・OPCカッパ−H T1(奥野製薬(株)製) 6mL
・OPCカッパ−H T2(奥野製薬(株)製) 1.2mL
・OPCカッパ−H T3(奥野製薬(株)製) 10mL
・水 83mL
得られた発光用電源配線D5について以下のように評価した。
<配線形成の確認>
発光用電源配線D5の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、先に確認されたグラフトポリマー生成領域のみに付着したAg微粒子付着に起因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認された。また、発光用電源配線D5は、線幅8μm/空隙幅8μmの微細な配線であることが確認された。
<導電安定性の評価>
発光用電源配線D5の配線部分の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、10Ω/□を示した。このことから、導電性に優れた配線が形成されていることがわかった。
<密着性の評価>
発光用電源配線D5の配線部分について、実施例1と同様にして膜密着性を評価したところ、1目の剥離も見られず、基材と配線部分との密着性が良好であることが確認された。
[実施例6]
本実施例において、配線形成態様(6)により各発光用電源配線を形成して、有機EL装置を作製した。
本実施例で行ったグラフトポリマー形成工程は実施例2と同様の工程である。また、グラフトポリマーへの導電性物質の吸着は、実施例5と同様の工程により行った。これにより、発光用電源配線D6が形成された。
得られた発光用電源配線D6について、以下のように評価した。
<配線形成の確認>
発光用電源配線D6の表面を、透過型電子顕微鏡(JEOL JEM−200CX)にて10万倍で観察したところ、先に確認されたグラフトポリマー生成領域のみに付着したAg微粒子付着に起因する緻密な凹凸形状が形成されていることが確認された。また、発光用電源配線D6は、線幅8μm/空隙幅8μmの微細な配線であることが確認された。
<導電安定性の評価>
発光用電源配線D6の配線部分の表面導電性をLORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定したところ、10Ω/□を示した。このことから、導電性に優れた配線が形成されていることがわかった。
<密着性の評価>
発光用電源配線D6の配線部分について、実施例1と同様にして膜密着性を評価したところ、1目の剥離も見られず、基材と配線部分との密着性が良好であることが確認された。
[比較例1]
実施例1において、配線形成態様(1)により発光用電源配線することに代えて、インクジェット方式により導電性素材を付与して、発光用電源配線を形成した以外は、実施例1同様にして、比較例1の有機EL装置を作製した。
得られた比較例の有機EL装置における配線部分を、実施例1と同様にして観察したところ、線幅は20μm〜25μmの配線であった。また、実施例1と同様にして密着性を評価したところ、5〜10%に剥離が見られ、密着性に劣ることが分かった。
本発明の第1の態様におけるグラフトポリマー生成工程までを概略を示す概念である。 本発明の第2の態様における光開裂化合物結合工程及びグラフトポリマー生成工程の概略を示す概念である。 本発明により得られる有機EL装置の配線構造を模式的に示す図である。 本発明により得られる有機EL装置の平面模式図である。 図4のA−A’線に沿う断面図である。 図4のB−B’線に沿う断面図である。 本発明の製造方法を説明する工程図である。 本発明の製造方法を説明する工程図である。 本発明の製造方法を説明する工程図である。 本発明の製造方法を説明する工程図である。
符号の説明
4…有効発光領域
5…ダミー領域
12 … 陰極(第2電極)
101 … 走査線
102 … 信号線
103 … 発光用電源配線
110 … 発光素子
110a … 正孔注入/ 輸送層
110b … 発光層
111 … 画素電極(第1電極)
112 … スイッチング薄膜トランジスタ(第1のスイッチング素子)
122 … バンク部( 絶縁部)
123 … カレント薄膜トランジスタ(第2のスイッチング素子)
212 … ダミーバンク部(バンク)
283 … 第2層間絶縁層
284 … 第1層間絶縁層

Claims (8)

  1. 一対の電極間に少なくとも発光層を有する発光素子と、走査信号を供給する走査線と、該走査線に対して交差する方向に形成される信号線と、発光用電源配線と、が形成されてなる有機EL装置の製造方法において、
    前記発光用電源配線が、基材上にパターン状に生成させたグラフトポリマーに、導電性物質を付着させることにより形成されることを特徴とする有機EL装置の製造方法。
  2. 前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマーに導電性材料を付着させる工程と、により行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、該基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に導電性材料を付着させる工程と、により行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  4. 前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程と、により行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、該基材上に、ラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に金属イオン又は金属塩を付与する工程と、該金属イオン又は該金属塩中の金属イオンを還元して金属を析出させる工程とにより行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、パターン露光を行い、露光領域の該重合開始部位を失活させる工程と、前記基材上にラジカル重合可能な不飽和化合物を接触させた後、全面露光を行い、前記パターン露光時における非露光領域に残存した該重合開始部位に光開裂を生起させ、ラジカル重合を開始させることでグラフトポリマーを生成させる工程と、該グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程と、により行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  7. 前記発光用電源配線の形成が、光開裂によりラジカル重合を開始しうる重合開始部位と基材結合部位とを有する化合物を基材に結合させる工程と、該基材上に、ラジカル重合可能な官能基及び無電解メッキ触媒又はその前駆体と相互作用する官能基を有する化合物を接触させて、パターン状に露光して、グラフトポリマー生成領域と非生成領域とを形成する工程と、該グラフトポリマー生成領域に無電解メッキ触媒又はその前駆体を付与する工程と、無電解メッキを行いパターン状の金属薄膜を形成する工程と、により行われることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  8. 前記重合開始部位が、C−C結合、C−N結合、C−O結合、C−Cl結合、N−O結合、及びS−N結合からなる群より選択されるいずれかを含むことを特徴とする請求項2〜請求項7の何れか1項に記載の有機EL装置の製造方法。
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