JP2006075820A - 排水処理方法及び排水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのイオンとリン酸イオンとを含有する排水中から簡便にリン酸イオンを選択的に回収する排水方法を提供することにある。
【解決手段】 硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンから選ばれる少なくとも一種と、リン酸イオンとを含む排水からリン酸イオンを回収する排水処理方法であって、酸性を呈する状態にて、排水をアニオン交換樹脂に接触させて、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンの内、前記排水に含まれるイオンをイオン交換させた後に、再び、アニオン交換樹脂に接触させて、アニオン交換樹脂にリン酸イオンをイオン交換させて、リン酸イオンを回収することを特徴とする排水処理方法と該処理方法に用いる排水処理装置とを提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、排水処理方法に関し、詳しくは、リン酸イオンを含む酸性排水の処理方法及び処理装置に関する。
液晶表示板などの基板としては、絶縁材料上にアルミニウムの単層や、アルミニウムとモリブデンとの二層からなる導電層のパターンを形成したものが用いられている。
この導電層のパターンを形成するのに際して、硝酸、リン酸、酢酸の混合物からなるエッチング液にてエッチングする方法が従来用いられている。
このような液晶表示板などの基板の製造において、発生するエッチング液の廃液は、濃度が高くリサイクルしやすいことから他用途に転用し易い。一方、エッチング後の液晶基板を洗浄した排水は、エッチング液の廃液に比べ、リン酸イオンが低濃度となるため、リサイクルはされず、その他の廃液と同様に生物学的処理がされている。この生物学的処理では、単位時間あたりに消費されるリン酸イオンの量は、ほぼ一定であることから、排水中に含まれるリン酸イオン濃度に応じて水面積負荷が変更されている。すなわち、排水によって単位時間あたりの処理量を変更させて処理が行われている。
ところで、近年の環境意識の高まりから、このエッチング後の液晶基板を洗浄した排水のようなイオン濃度が低濃度な排水についてもリサイクルされることが望まれている。特にリン成分は、利用価値が高いことからリン酸イオンを選択的に回収することが試みられており、特許文献1には、リン酸イオンを含む排水中に電界により鉄イオンやアルミニウムイオンを加えリン酸鉄やリン酸アルミニウムとして沈殿させることが開示されている。
しかし、特許文献1に記載の方法では排水中に含まれるイオン濃度の変化に応じて、発生させる鉄イオンやアルミニウムイオンの量を調整しなければならず処理が煩雑になる。
さらに、電界により鉄イオンやアルミニウムイオンを生じさせているため、高いエネルギーコストを要し、特に、リン酸イオン濃度をリン酸鉄やリン酸アルミニウムの溶解度以下にすることは困難であることからリン酸濃度が低濃度になるほど処理効率が低下しリン酸イオン濃度が例えば1%以下の低濃度の排水などには現実には採用するのが困難である。
また、このようにして得られる沈殿物は、リン酸塩以外の鉄塩やアルミニウム塩を含有するおそれを有し、リン酸イオンが選択的に回収されているとはいえないものである。
また、リン酸イオンを回収すべくアニオン交換樹脂などにてイオン交換させることも考え得るが、通常、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのアニオンは、リン酸イオンと同じくアニオン交換樹脂にてイオン交換されやすいことが知られており、排水をアニオン交換樹脂でイオン交換させてリン酸イオン回収することは行われていない。
このように、従来の、排水処理においてはリン酸を選択的に回収することが困難であるという問題を有している。
なお、このような問題は、液晶基板を洗浄した排水のごとくリン酸イオンが低濃度に含まれる排水のみならず、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのイオンとリン酸イオンとを含有する排水からリン酸イオンを選択的に回収する排水処理全般に共通する問題である。
特開平10−225690号公報
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのイオンとリン酸イオンとを含有する排水中から簡便にリン酸イオンを選択的に回収する排水処理方法と排水処理装置とを提供することにある。
リン酸イオンは、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのアニオンと同じくアニオン交換樹脂にてイオン交換されやすいものであり、これらのイオンとリン酸イオンとをアニオン交換樹脂により分離することは、従来、行われていなかった。
しかし、この点について本発明者は、鋭意検討を行い排水が酸性である場合にはリン酸イオンを、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのアニオンに比べ、アニオン交換樹脂にてイオン交換されにくいものとし得ることを見出し本発明の完成に到ったのである。
即ち、本発明は、前記課題を解決すべく、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンから選ばれる少なくとも一種と、リン酸イオンとを含む排水からリン酸イオンを回収する排水処理方法であって、酸性を呈する状態にて、排水をアニオン交換樹脂に接触させて、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンの内、前記排水に含まれるイオンをイオン交換させた後に、再び、アニオン交換樹脂に接触させて、アニオン交換樹脂にリン酸イオンをイオン交換させて、リン酸イオンを回収することを特徴とする排水処理方法と、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンから選ばれる少なくとも一種とリン酸イオンとを含み且つ酸性状態を呈する排水からリン酸イオンを回収する排水処理装置であって、前記排水を通過させて二回以上のアニオン交換を実施し得るように、アニオン交換樹脂を備えたアニオン交換器が二台以上直列に配されていることを特徴とする排水処理装置を提供する。
本発明によれば、排水が酸性を呈する状態においては、リン酸イオンを硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンに比べてアニオン交換樹脂にてイオン交換されにくいものとなることから、排水をアニオン交換樹脂に接触させて、まず、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンをアニオン交換樹脂にてイオン交換させた後、再び、アニオン交換樹脂に接触させることで該アニオン交換樹脂にリン酸イオンを選択的にイオン交換させて回収し得る。
さらには、排水中のリン酸イオン濃度が変化した場合でも単位時間あたりの排水処理量を一定とし得ることから安定した排水処理を実施し得る。
また、電界による沈殿方法のごとく高いエネルギーコストも必要とせず、排水中のリン酸イオン濃度が、1%以下の低濃度、例えば、数ppmの排水にまで適応が可能である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、本実施形態における排水処理方法に用いる排水処理装置について第一の実施形態として図1に基づき説明する。
前記排水処理装置は、排水をアニオン交換樹脂に接触させて、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンなどのイオンをイオン交換させる第一アニオン交換塔1と、該第一アニオン交換塔1を通過後の排水を一旦貯留する第一貯留槽13と、前記第一アニオン交換塔1を通過した排水を再びアニオン交換樹脂に接触させて、リン酸イオンをイオン交換させる第二アニオン交換塔2と該第二アニオン交換塔2を通過後の排水を一旦貯留する第二貯留槽23とを備えている。
また、前記排水処理装置は、前記第一アニオン交換塔1に排水を導入するための注水パイプ3と、第一アニオン交換塔1のアニオン交換樹脂と接触させた排水を、第二アニオン交換塔2へ導入するため連結パイプ4と、第二アニオン交換塔2でアニオン交換された排水を系外に排出する排出パイプ5とを備えている。
さらに、前記排水処理装置は、第一アニオン交換塔1を通過後の排水を再び、第一アニオン交換塔1に戻す第一還流パイプ14と第二アニオン交換塔2を通過後の排水を再び、第二アニオン交換塔2に戻す第二還流パイプ24とを備えている。
前記第一アニオン交換塔1には、注水口と排水口とを備えた容器に弱塩基性アニオン交換樹脂が充填された、二台のアニオン交換器11,12が備えられている。また、該二台のアニオン交換器11,12は、一方のアニオン交換器を用いて排水処理を行い、排水処理の進行に伴いアニオン交換樹脂のアニオンイオン交換性能が低下してきた場合に、他方のアニオン交換器に排水の流れを切り替えて、継続して排水処理を行うことができるように、それぞれのアニオン交換器の注水口と注水パイプとが連結されており、電磁弁6にてそれぞれのアニオン交換器へと排水の流れを切り替えるよう構成されている。また、それぞれの排水口は、排水を前記第一貯留槽13へ導入する第一排水パイプ15に連結されている。なお、図1の電磁弁6以外の個所には符号が付記されていないが図1の電磁弁6と同じ記号が用いられている個所には、電磁弁が用いられていることを表す。
また、前記第二アニオン交換塔2も、前記第一アニオン交換塔1と同様の構成を有しており、2台のアニオン交換器21,22は、その注水口と連結パイプ4とを連結させ、排水口が第二排水パイプ25と連結している。
また、注水パイプ3、第一排水パイプ15及び第二排水パイプ25には、全有機炭素(TOC)測定器が備えられ、第一排水パイプ15と第二排水パイプ25には、電気伝導度(EC)測定器がさらに備えられ、パイプを流れる排水のTOCとECとを測定し、各パイプを流れる排水に含まれているイオンの判定に用いられている。
このようなアニオン交換器に充填される弱塩基性アニオン交換樹脂としては、イオン交換容量1.1〜1.7eq/L−resinのものを用いることができる。
また、その形態は特に限定されるものではなく、通常、直径数mm以下のビーズ状に形成されたものを用いることができる。
次に、このような、排水処理装置を用いて、エッチング液によりエッチング処理された液晶基板を純水にて洗浄して生じた酸性排水の排水処理方法について、第一排水パイプと第二排水パイプを流れる排水のイオン濃度の時間変化を示した図2を参照して述べる。
液晶基板を純水にて洗浄して生じた酸性排水には、通常、リン酸イオンが100〜1000ppm、硝酸イオンが5〜50ppm含有され、さらに、酸性排水中のリン酸イオンよりもさらにアニオン交換樹脂にイオン交換されにくい酢酸イオンが10〜100ppm含有されpHが約2の値となっている。
この酸性排水に含まれる各イオンのイオン濃度については、酸性排水の通水量からアニオン交換器のイオン交換状況を把握するために予めイオン濃度計などで測定する。その後、酸性排水を、一般的な液体搬送手段、例えばポンプ(図示せず)などによって、前記排水処理装置に導入させる。
導入した酸性排水は、前記電磁弁により、注水パイプ、第一アニオン交換塔の第一のアニオン交換器、第一貯留槽、連結パイプ、第二アニオン交換塔の第一のアニオン交換器、第二貯留槽、排出パイプの順に排水処理装置を通して処理する。
そして、前記酸性排水の処理開始後は、図2中の時間0〜aとして示すように、第一アニオン交換塔の第一のアニオン交換器において硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオンのすべてをイオン交換させ、第一排水パイプからは、純水を排出させる。このように、すべてのイオンが第一アニオン交換塔においてイオン交換されていることは、第一排水パイプのTOC、ECがともに低い値、例えばTOC<0.1ppm、EC<1μS/cmとなって観測されることから判定することができる。
次いで、時間aにおいては、第一アニオン交換塔の第一のアニオン交換器に備えられたイオン交換樹脂を硝酸イオン、リン酸イオン、および酢酸イオンで飽和させている。続く、時間a〜bにおいても酸性排水を第一アニオン交換塔でイオン交換させることにより、イオン交換の選択性の低いイオンがイオン交換の選択性の高いイオンと置換され排出される状態とすることができる。すなわち、酸性排水に含まれる硝酸イオンとリン酸イオンとにより前記アニオン交換樹脂にイオン交換している酢酸イオンを脱離させ、代わりに硝酸イオンとリン酸イオンとを酢酸イオンの脱離したアニオン交換樹脂にイオン交換させることができる。
このように、第一排水パイプには元の酸性排水に含まれている酢酸イオンとアニオン交換樹脂から脱離した酢酸イオンとが排出されるため、第一排水パイプのTOCは、一旦、注水パイプのTOCより高くなりやがて時間bにおいて、アニオン交換樹脂からの酢酸イオンの脱離が完了すると両者のTOCは同じ値を示すようになる。
このとき、酢酸が排出され始めたことは、第一排水パイプのTOC、ECの値は、わずかに上昇することから判定できる(例えば、TOC=0.7ppm、EC=4μS/cm)。しかし、第一アニオン交換塔から排出された酢酸イオンは、第二アニオン交換塔にイオン交換させることができるため排出パイプからは、純水を排出させることができる。
さらに、時間b以降も排水処理を継続させ、酸性排水に含まれる硝酸イオンが第一アニオン交換塔のアニオン交換樹脂にてイオン交換しているリン酸イオンを脱離させ、代わりに酸性排水に含まれる硝酸イオンをアニオン交換樹脂にイオン交換させる。
このとき、第一アニオン交換塔からは、リン酸イオンと酢酸イオンとが排出されるため、酢酸イオンとリン酸イオンとにより、第一排水パイプのECの値が、例えばEC=100μS/cmのように、大きく上昇する。
また、ここでも第一排水パイプには元の酸性排水に含まれているリン酸イオンとアニオン交換樹脂から脱離したリン酸イオンとが排出されるため酸性排水中のリン酸イオンよりリン酸イオン濃度の高い排水が流れることとなる。
また、この時も第一アニオン交換塔から排出させたリン酸イオンは、酢酸イオンとともに第二アニオン交換塔にてイオン交換させることができるため排出パイプからは、依然純水を排出させることができる。
さらに、排水処理を継続させ時間cに到ると、第二アニオン交換塔のイオン交換樹脂がリン酸イオンと酢酸イオンとで飽和された状態とすることができ、連結パイプから第二アニオン交換塔に導入した酢酸イオンが、第二アニオン交換塔を通過して第二排水パイプに排出される状態とすることができ、さらに、排水処理を継続させて第二アニオン交換塔のアニオン交換樹脂にすでにイオン交換された酢酸イオンを脱離させて、代わりにリン酸イオンをイオン交換させることができる。
このときも、第二排水パイプには元の酸性排水に含まれている酢酸イオンとアニオン交換樹脂から脱離した酢酸イオンとが排出されるため、第二排水パイプのTOCは、一旦、第一排水パイプのTOCより高くなりやがて時間dにおいて、アニオン交換樹脂からの酢酸イオンの脱離が完了すると両者のTOCは同じ値を示すようになる。
即ち、時間dにおいて第二アニオン交換塔の第一のアニオン交換器は、リン酸イオンで飽和された状態であるとみなすことができ、該アニオン交換器を回収することでリン酸イオンを選択的に回収することができる。
また、この時間c〜dにおいては、酢酸イオンとともにわずかにリン酸イオンが排出される場合があるが、要すれば、排出パイプと第二還流パイプとの電磁弁の開閉を切り替え、第二貯留槽の排水を排出パイプに流さずに第二アニオン交換塔にて再度イオン交換を行わせることで、リン酸イオンを系外に排出させることなく回収できる。また、排出させた酢酸イオンについては、生物学的処理の栄養源として用いることもできる。
また、第二アニオン交換塔におけるこのようなリン酸イオンの選択的な回収は、第一アニオン交換塔のアニオン交換器が硝酸イオンで飽和する時間eまでの期間においては、第二アニオン交換塔の電磁弁を用いて、第二アニオン交換塔で排水をイオン交換させるアニオン交換器を切り替えることにより繰り返し行うことができる。
即ち、図3に示したt2、t4、t6、t8の時点で第二アニオン交換塔のアニオン交換器を切り替えた場合の第二排水パイプから排出される排水のイオン濃度を示すグラフからも判るように、アニオン交換器を切り替えることで、0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、t6〜t7において純水を回収しつつ、t2、t4、t6、t8の時点でリン酸イオンが飽和したアニオン交換器を新しいものに交換したり、アルカリ性水溶液などアニオン交換樹脂からリン酸イオンを脱離させたりしてリン酸イオンの回収を行うことができる。
ここで、t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8においては、リン酸イオンと酢酸イオンとが排出されることとなるが、この場合も第二貯留槽の排水を排出パイプに流さずに第二アニオン交換塔にて再度イオン交換を行わせることで、リン酸イオンを系外に排出させることなく回収できる。
さらに、図2での時間eとなるまでに、第一アニオン交換塔で酸性排水の処理を行うアニオン交換器を切り替えれば、上記した一連の処理(0〜t8)を反復して実施することができ、処理を中断させずに連続的な排水処理を行うことができる。
なお、本実施形態においては確認のためにTOC、ECを設けているが、実際の第一アニオン交換塔でのアニオン交換器の前記切り替えは、事前に測定された排水中の各イオンのイオン濃度と通水量から定められる。ただしこの方法に限定されず、要すれば、ECやTOCの値を参照して前記切り替え時期を定めることも可能である。例えば、通水量を一定に保っておき、第一排水パイプのECの値から図2に示す時間bとなっていることを判定して、その後、タイマーなどで時間eの状態となる前に第一アニオン交換塔で排水のイオン交換をさせるアニオン交換器を切り替えて第一貯留槽あるいは第二アニオン交換塔に硝酸イオンが流入することを抑制させることも可能である。
また、同様に第二アニオン交換塔でのアニオン交換器の切り替え時期も通水量を一定に保ってタイマーで定めることも可能である。
また、第二アニオン交換塔のアニオン交換樹脂にイオン交換させたリン酸イオンは、前記アニオン交換樹脂をナトリウム、カリウム、マグネシウムのいずれかの金属イオンを含有するアルカリ性水溶液にて高濃度にリン酸塩を含有するリン酸塩水溶液として回収することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムの水溶液などを用いてアニオン交換樹脂を再生して、脱離させたリン酸イオンと前記金属イオンとを含むリン酸金属塩の水溶液として回収することも可能である。
このとき、より高濃度の金属イオン含有アルカリ性水溶液を用いることで、リン酸塩水溶液の濃度を高めることができ、リン酸塩水溶液の搬送やリン酸塩の乾燥固化に要する費用を削減し得る。
また、このようにして得られるリン酸塩の内、リン酸ナトリウム塩としては、通常、リン酸二水素ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムとの混合物として回収することができるが、回収するリン酸ナトリウム水溶液のpHを調整することでリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムまたは、リン酸三ナトリウムの含有率を高めることができる。
より、具体的には、pHを4.3〜4.9とすることでリン酸二水素ナトリウムとして回収でき、pHを9.0〜9.6とすることでリン酸水素二ナトリウムとして回収でき、pHを11.5〜12.5とすることでリン酸三ナトリウムとして回収できる。
特に、回収に使用する水酸化ナトリウムの量を少なくでき、より安価に回収し得る点および、回収したリン酸を食品添加剤として利用する点においてリン酸二水素ナトリウム又はリン酸水素一ナトリウムとして回収することが好ましい。
また、リン酸水素二ナトリウムは、リン酸二水素ナトリウムよりも析出を起こし易いことから、より高濃度でリン酸を回収し得る点においてリン酸二水素ナトリウムとして回収することが好ましい。
即ち、リン酸ナトリウム水溶液の回収は、pH4.3〜4.9の範囲で実施し、リン酸二水素ナトリウム水溶液として回収することが好ましい。
なお、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウムの回収においては、水酸化ナトリウムの添加量などを調整することによりpHの調整を行うことができ、さらに、水酸化ナトリウムをリン酸ナトリウムの回収に必要な理論量より多くした場合には、アニオン交換樹脂の再生を行うことができ好適なものとなる。
また、同様に水酸化カリウムを利用した場合得られるリン酸塩の内、リン酸カリウム塩としては、通常、リン酸二水素カリウムとリン酸水素二カリウムとの混合物として回収することができるが、回収するリン酸カリウム水溶液のpHを調整することでリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムまたは、リン酸三カリウムの含有率を高めることができる。
より具体的には、pHを4.4〜4.9とすることでリン酸二水素カリウムとして回収でき、pHを8.7〜9.3とすることでリン酸水素二カリウムとして回収でき、pHを11.5〜12.5とすることでリン酸三カリウムとして回収できる。
また、リン酸二水素ナトリウムの回収においては、図4に示すように一旦、再生液を回収槽100に貯留し、次いで、前記再生液をポンプ101を用いてカチオン交換器103に導入し、ナトリウムのイオン交換を行う。このことにより、再生液のpHを低下させpH4.3〜4.9の範囲となった段階で電磁弁102を閉止してカチオン交換を中止することで回収槽100の再生液にリン酸水素二ナトリウムが混入することをさらに抑制することができ、回収するリン酸二水素ナトリウム水溶液の純度を高いものとし得る。
このような再生においては、塩酸、硫酸またはその塩などを用いて再生液のpHを4.3〜4.9の範囲にする場合に比べて、リン酸二水素ナトリウムに塩素、イオウなどの不純物が混入することを防止できる。
次いで、第二の実施形態として図5に基づき説明する。
この第二の実施形態と、先述の第一の実施形態とは、第二実施形態の排水処理装置には、第一の実施形態に備えられていた第一貯留槽13、第二貯留槽23が備えられておらず第一アニオン交換塔1と第二アニオン交換塔2とが直接パイプで連結され、第二アニオン交換塔2から排出される排水は直接排水パイプ5から系外に排出される点において異なっている。また、第一還流パイプ14および第二還流パイプ24といった第一、第二貯留槽から排水を還流させる手段も備えられていない。すなわち、第二の実施形態の排水処理装置は、第一排水パイプ15が連結パイプ4と直接連結され、第二排水パイプ25が排水パイプ5と直接連結されている。しかし、第一アニオン交換塔1、第二アニオン交換塔2の二塔のアニオン交換塔の各アニオン交換塔にアニオン交換器が二台ずつ備えられている点においては、この第二の実施形態と、先述の第一の実施形態とは共通している。また、一つのアニオン交換塔に備えられた二台のアニオン交換器を切り替えて使用し得るよう構成されている点においても共通している。さらに、図示していないが、注水パイプ3、第一排水パイプ15及び第二排水パイプ25には、全有機炭素(TOC)測定器が備えられ、第一排水パイプ15と第二排水パイプ25には、電気伝導度(EC)測定器がさらに備えられ、パイプを流れる排水のTOCとECとを測定し、各パイプを流れる排水に含まれているイオンの確認に用いられている点、および、各イオン交換塔におけるイオン交換器の切り替えが予め排水中の各イオン濃度を測定し、この測定値とイオン交換塔への排水の流入量により計算し、行われる点についても第一の実施形態の排水処理装置と同じである。
この第二の実施形態の排水処理装置は、さらに第一、第二アニオン交換塔のアニオン交換器を純水で逆洗浄し得るよう構成されている点において第一の実施形態と異なっている。また、さらに、第一、第二アニオン交換塔のアニオン交換器にナトリウム、カリウム、マグネシウムのいずれかの金属イオンを含有する水溶液を通過させてアニオン交換樹脂を再生し得るよう構成されている。
前記逆洗浄のための設備としては、逆洗浄のための純水を貯留する逆洗用純水槽16,26と、該逆洗用純水槽16,26の純水を各アニオン交換器11,12,21,22に導入する逆洗水導入パイプ17a,27aと、さらに各アニオン交換器11,12,21,22から逆洗水を排出させるための逆洗水排出パイプ17b,27bと、該逆洗パイプ17b,27bにより各アニオン交換器11,12,21,22から排出させた逆洗浄排水を貯留するための逆洗排水貯留槽18,28が備えられている。
そして、前記逆洗水導入パイプ17a,27aは、各アニオン交換器11,12,21,22の下流側(排水口側)に連結され、前記逆洗水排出パイプ17b,27bは各アニオン交換器11,12,21,22の上流側(注水口側)に連結され、各アニオン交換器11,12,21,22に下流側から上流側に洗浄水を流して洗浄し得るよう構成されている。
また、アニオン交換樹脂の前記再生のための設備としては、イオン交換されたアニオン交換樹脂を再生するためのアルカリ水溶液を貯留するアルカリ再生液貯留槽19,29と、該アルカリ再生液により再生された後に各アニオン交換器11,12,21,22に残留するアルカリ再生液を洗い流すための純水が貯えられた純水貯留槽110,210と、これらアルカリ再生液貯留槽19,29や純水貯留槽110,210からアルカリ再生液や純水を各アニオン交換器11,12,21,22に導入する再生液導入パイプ111a,211aと、さらに各アニオン交換器11,12,21,22からアルカリ再生液や純水を排出させるための再生液排出パイプ111b,211bと、該再生液排出パイプ111b,211bにより各アニオン交換器11,12,21,22から排出されたアルカリ再生液及び純水を貯留する再生排水貯留槽112,212が備えられている。
そして、前記再生液導入パイプ111a,211aは、各アニオン交換器11,12,21,22の上流側(注水口側)に連結され、前記再生液排出パイプ111b,211bは各アニオン交換器11,12,21,22の下流側(排水口側)に連結され、各アニオン交換器11,12,21,22に上流側から下流側に再生液あるいは純水を流してアニオン交換器のアニオン交換樹脂を再生液で再生したり、アニオン交換器中の再生液を純粋で洗浄したりし得るよう構成されている。
次に、このような、排水処理装置を用いて、エッチング処理された液晶基板を純水にて洗浄して生じた酸性排水をアニオン交換樹脂でイオン交換させつつ、アニオン交換樹脂にイオン交換されたリン酸イオンをアルカリ再生液で再生しつつリン酸塩を回収する方法について、アルカリ再生液として水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合を例に説明する。
ここでは、第一、第二アニオン交換塔から排出される排水を第一貯留槽13や第二貯留槽23に一旦貯留させたり、これら第一、第二の貯留槽に貯留させた排水をそれぞれ第一、第二還流パイプで還流させたりしない点を除けば、第二アニオン交換塔2のアニオン交換器21をリン酸イオンで飽和させるまでの手順は、前述の第一の実施形態と同じである。
この第二アニオン交換塔2の一方のアニオン交換器21がリン酸イオンで飽和された場合には、この飽和されたアニオン交換器21の注水口側、排水口側に設けられた電磁弁を閉止させるとともに、他方のアニオン交換器22の注水口側、排水口側の電磁弁を開口させることにより連結パイプ4から導入させる排水の流路を他方のアニオン交換器22に切り替え、このアニオン交換器22でイオン交換を継続させる。そして、リン酸イオンで飽和されたアニオン交換器21には、逆洗パイプ27aと逆洗水排出パイプ27bとに設けられた電磁弁を開口させ、逆洗用純水槽26に設けられたポンプを作動させるとともに該ポンプ出口の電磁弁を開いてアニオン交換器21中に逆洗用の純水を供給し、アニオン交換器21中に残留する排水を排出させ、逆洗排水貯留槽28に貯留させる。
この逆洗浄が終了した後は、逆洗用純水槽26のポンプを停止させ、該ポンプ出口の電磁弁と、逆洗パイプ27a、逆洗水排出パイプ27bの両パイプの電磁弁とを閉止させ、アルカリ再生液貯留槽29のポンプを作動させるとともに該ポンプ出口に設けられた電磁弁と再生液導入パイプ211a、再生液排出パイプ211bの電磁弁を開いて、再生液導入パイプ211aを通じて水酸化ナトリウム水溶液をアニオン交換器21に導入させる。そして、アニオン交換器21のアニオン交換樹脂を再生しつつこのアニオン交換樹脂にイオン交換されているリン酸イオンを脱離させリン酸ナトリウムとしてアニオン交換器21から再生液排出パイプ211bを通じて排出させ、再生排水貯留槽212にリン酸ナトリウム水溶液として貯留する。
このアニオン交換樹脂の再生が終了した後には、アルカリ再生液貯留槽29のポンプを停止させ、該ポンプ出口に設けられた電磁弁を閉止し、代わりに純水貯留槽210のポンプを作動させるとともに該ポンプ出口に設けられた電磁弁を開口させて、アニオン交換器21に純水を導入させる。そして、アニオン交換器21中に残留する水酸化ナトリウム水溶液を排出させ、アニオン交換器21内をリン酸イオンをイオン交換する前の状態(初期状態)に戻して、純水貯留槽210のポンプを停止させる。そして、純水貯留槽210のポンプポンプ出口に設けられた電磁弁と、再生液導入パイプ211a、再生液排出パイプ211bの各パイプに設けられた電磁弁とを閉止させる。なお、この純水でアニオン交換器21から排出させた水酸化ナトリウム水溶液も再生液排出パイプ211bを通じて、再生排水貯留槽212に貯留させる。
前述のようにこのアニオン交換器21の再生の間、他方のアニオン交換器22ではリン酸イオンのイオン交換を実施させるため、酸性排水の処理を中断させることなく連続的に実施させることができる。
なお、アニオン交換器21の再生は、全てのアニオン交換樹脂が水酸化ナトリウム水溶液で再生された場合に終了させることとなるが、全てのアニオン交換樹脂が水酸化ナトリウム水溶液で再生されているか否かについては、アニオン交換樹脂のイオン交換能と再生に用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度ならびに量から判定することができる。
また、アニオン交換器21のアニオン交換樹脂を水酸化ナトリウム水溶液で再生する際に、アニオン交換器21から排出される水酸化ナトリウム水溶液(リン酸ナトリウム水溶液)の温度を測定してアニオン交換器21内でのアニオン交換樹脂の再生の様子をより詳しく判定する方法を用いても良い。すなわち、水酸化ナトリウム水溶液が、アニオン交換樹脂からリン酸イオンが脱離させる場合、発熱反応となることから、アニオン交換器21から排出される水酸化ナトリウム水溶液の温度が上昇することとなるが、やがて、アニオン交換樹脂からのリン酸イオンの脱離が進行するにともなってアニオン交換器21から排出される水酸化ナトリウム水溶液の温度が低下することとなる。したがって、アニオン交換器21から排出される水酸化ナトリウム水溶液の温度を測定することでアニオン交換器21内でのアニオン交換樹脂の再生の様子をより詳しく判定し得る。
このアニオン交換器21から排出される水酸化ナトリウム水溶液の温度測定については、アニオン交換器21の排水口直後の再生液排出パイプ211bに熱電対を設けるなどすればよい。この温度測定に用いられる温度計測器としては、通常、0.1K程度の精度があればアニオン交換樹脂の再生の様子の判定に用いることができる。
また、他方のアニオン交換器22のアニオン交換樹脂がリン酸イオンで飽和した場合にも、同様にしてリン酸ナトリウムの回収を行うことができる。
さらに、この第二実施形態においては、第一のアニオン交換塔1にも逆洗浄およびアニオン交換樹脂の再生のための設備が備えられているために、第一のアニオン交換塔1のアニオン交換器が硝酸イオンで飽和された場合にも第二アニオン交換塔2のアニオン交換器がリン酸イオンで飽和された場合と同様に、酸性排水の処理を実施しつつアニオン交換器の再生を実施させることができる。なお、この第一のアニオン交換塔1のアニオン交換樹脂の再生により再生排水貯留槽112に貯留される硝酸ナトリウム水溶液は、別途、廃棄処理が行われる。なお、この廃棄処理においては、硝酸ナトリウム水溶液を蒸発濃縮などで濃縮処理することが処理対象物の減容化がなされる点において好ましい。
なお、上記の第一および第二の実施形態においては、硝酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン以外に浮遊物や、カチオンなどをほとんど含有せず、排出パイプに酢酸イオンが排出されるまでに排出される排出水を純水として再利用し得るという有利な点においてエッチング液によりエッチング処理された液晶基板を純水にて洗浄して生じた酸性排水を用いて排水処理を行ったが、本発明においては、このような、液晶基板を洗浄して生じた酸性排水に限定されるものではない。
また、酸性を呈する排水中でリン酸イオンよりもアニオン交換樹脂にイオン交換しやすいものとして硝酸イオンを含有する排水を用いたが、本発明においては、前記硝酸イオン以外に硫酸イオン、ヨウ素イオンが含有される排水を用いることもできる。
さらに、第二アニオン塔に硝酸イオンが導入されることをより確実に抑制し得る点、および、第二アニオン交換塔の排出水を純水として再利用する際に酢酸イオンが混入することを抑制し得る点において、事前に排水中に含まれる各イオンのイオン濃度を測定して前記測定したイオン濃度の値とアニオン交換樹脂の量から第一アニオン交換塔でのアニオン交換器の切り替えを行う処理水量または処理時間を求めて処理を行っているが、事前のイオン濃度測定を実施せずTOC測定器やEC測定器を用いて判定することも可能で、要すれば、pH計を利用してpHの測定を行い、その地点における排水のイオンの状況を判定してもよい。
また、アニオン交換樹脂として弱塩基性アニオン交換樹脂、強塩基性アニオン交換樹脂のどちらを用いてもよい。
また、排水処理の中断を防止し得る点から、第一、第二アニオン交換塔にそれぞれ二台のアニオン交換器を用いる方法を採用しているが、本発明においては、一台のアニオン交換器を用いて、バッチ処理による排水処理を採用してもよい。また、三台以上のアニオン交換器を用いて実施することも可能である。
さらに、アニオン交換塔についても、二塔に限定されるものではなく、二塔以上の多段に備えることも可能である。
要すれば、1塔のアニオン交換塔を用いてリン酸イオンよりもイオン選択性の高いイオンを予め除去した後に、該アニオン交換塔のアニオン交換樹脂を再生し、次いでリン酸イオンのイオン交換を行うことも可能である。
これら、アニオン交換器、アニオン交換塔の数や大きさなどは処理する排水の量に応じて適宜変更することが可能である。
なお、アニオン交換樹脂をより多段に備えた場合においては、リン酸イオンのみをより確実に回収し得るものとなる。
また、排水の流路を切り替えるために、電磁弁を用いているが、本発明においては、電磁弁に限定されるものではなく、一般的な流路を切り替えるための手段を採用することができ、また、これらの手段を用いないことも可能である。
また、要すれば、排水を予めカチオン交換するためのカチオン交換器、浮遊微粒子などを除去するための膜分離装置などを備えて排水処理することも可能である。
前記カチオン交換樹脂を用いた場合においては、アルミニウムイオン、チタンイオン、インジウムイオン、モリブデンイオンなどのカチオンを除去し得る。
また、リン酸イオンをリン酸ナトリウム塩などとして回収しているが、本発明においては、リン酸イオンの回収をこのようなものに限定するものではない。
なお、リン酸ナトリウム塩などの塩は沈殿反応を利用して回収することができ、回収が簡便に行えるという点において優れている。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<排水処理ならびにリン酸ナトリウム塩の回収>
第一、第二のアニオン交換塔それぞれにアニオン交換樹脂としてバイエルケミカルズ社の「レバチットMP62WS」空塔速度SV=(処理量/樹脂量)=10[1/h]ずつ配置し、処理する排水としてリン酸イオン300ppm、酢酸イオン25ppm、硝酸イオン8ppm含有する酸性排水を3L/minの流量で第一、第二のアニオン交換塔に連続的に通過させた後、純水洗浄を行い、さらに、10wt%の水酸化ナトリウム水溶液2倍当量にて再生処理し、リン酸ナトリウム水溶液を得た。
<結果>
上記回収により、排水中のリン酸イオンを8wt%のリン酸ナトリウム塩水溶液として80%以上回収することができた。また、前記リン酸ナトリウム塩をイオンクロマトグラフィー分析によりリンとナトリウムとのモル比を測定したところほぼ1.5となったことから、回収されたリン酸ナトリウム塩がリン酸二水素ナトリウムとリン酸水素二ナトリウムの混合物であることが確認できた。
さらに、再生液を再生槽に貯留して、循環用ポンプを用いてカチオン交換樹脂であるダウケミカルズ社「650C−H」にてイオン交換させpHが4.5となった時点で循環ポンプを停止させ、回収した前記リン酸ナトリウム塩をイオンクロマトグラフィー分析によりリンとナトリウムとのモル比を測定したところほぼ1となったことから、リン酸ナトリウム塩をリン酸二水素ナトリウムの状態で回収できることが確認できた。
<排水処理ならびにリン酸ナトリウム塩の回収>
再生に用いた水酸化ナトリウム水溶液を25wt%とした以外は、実施例1と同様に排水処理およびリン酸ナトリウムの回収を行った。
<結果>
上記回収により、排水中のリン酸イオンを15wt%リン酸ナトリウム塩水溶液として80%以上回収することができた。
また、前記同様再生液とカチオン交換樹脂を接触させpHを4.5としたリン酸ナトリウム塩をイオンクロマトグラフィー分析によりリンとナトリウムとのモル比を測定したところほぼ1となったことから、回収されたリン酸ナトリウム塩がリン酸二水素ナトリウムであることが確認できた。
<排水処理ならびにリン酸ナトリウム塩の回収>
再生に用いた水酸化ナトリウム水溶液を40wt%とした以外は、実施例1と同様に排水処理およびリン酸ナトリウムの回収を行った。
<結果>
上記回収により、排水中のリン酸イオンを17wt%リン酸ナトリウム塩水溶液として回収することができた。
しかし、水酸化ナトリウム添加時の発熱によりイオン交換樹脂が70〜80℃になる上、リン酸水素二ナトリウムが非常に析出しやくなることが観測された。
<排水処理ならびにリン酸カリウム塩の回収>
水酸化ナトリウムに代えて水酸化カリウムを用い、濃度20wt%、2.5倍当量にて再生処理を行ったこと以外は実施例1と同様に回収を行った。
<結果>
上記回収により、排水中のリン酸イオンを15wt%リン酸カリウム塩水溶液として80%程度回収することができた。
また、前記リン酸カリウム塩をイオンクロマトグラフィー分析によりリン酸とカリウムとのモル比(カリウム/リン酸)を測定したところ2以上であった。
第一の実施形態に使用される排水処理装置を示すブロック図。 第一の実施形態の第一、第二アニオン交換塔の排出水状況を示すイオン濃度変化グラフ。 第一の実施形態の第二アニオン交換塔の排出水状況を示すイオン濃度変化グラフ。 第一の実施形態のリン酸ナトリウム塩回収装置を示すブロック図。 第二の実施形態に使用される排水処理装置を示すブロック図。
符号の説明
1:第一アニオン交換塔、2:第二アニオン交換塔、3:注水パイプ、4:連結パイプ、5:排水パイプ、6:電磁弁、11,12:アニオン交換器、21,22 アニオン交換器、19,29:アルカリ再生液貯留槽

Claims (16)

  1. 硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンから選ばれる少なくとも一種と、リン酸イオンとを含む排水からリン酸イオンを回収する排水処理方法であって、
    酸性を呈する状態にて、排水をアニオン交換樹脂に接触させて、硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンの内、前記排水に含まれるイオンをイオン交換させた後に、再び、アニオン交換樹脂に接触させて、アニオン交換樹脂にリン酸イオンをイオン交換させて、リン酸イオンを回収することを特徴とする排水処理方法。
  2. 前記排水を、多段に配置されたアニオン交換樹脂を通過させることにより該アニオン交換樹脂に連続的に接触させて、二番目以降に配置されたアニオン交換樹脂にリン酸イオンをイオン交換させる請求項1記載の排水処理方法。
  3. 多段に配置されたアニオン交換樹脂に前記排水を接触させる前に、前記排水に含まれる各イオンのイオン濃度の測定を実施する請求項2に記載の排水処理方法。
  4. 前記排水は、硝酸とリン酸とを含むエッチング液によりエッチング処理された液晶基板が純水で洗浄されて生じた酸性の排水である請求項1乃至3のいずれかに記載の排水処理方法。
  5. 多段に配置されたアニオン交換樹脂に、硝酸とリン酸とを含むエッチング液によりエッチング処理された液晶基板が純水で洗浄されて生じた酸性の排水を通過させることにより該排水を前記アニオン交換樹脂に連続的に接触させて、二番目以降に配置されたアニオン交換樹脂に上流側から導入される排水と下流側から排出される排水との両排水の全有機炭素濃度及び電気伝導度を測定しつつリン酸イオンをイオン交換させる請求項2乃至4のいずれかに記載の排水処理方法。
  6. アニオン交換樹脂にリン酸イオンをイオン交換させた後に、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびマグネシウムイオンのいずれかの金属イオンを含有するアルカリ性水溶液を前記アニオン交換樹脂に接触させることにより、リン酸イオンを前記アニオン交換樹脂から脱離させリン酸金属塩水溶液として回収する請求項1乃至5の何れかに記載の排水処理方法。
  7. 前記アルカリ性水溶液としてナトリウムイオンを含有するアルカリ性水溶液を用いることにより、リン酸イオンをリン酸ナトリウム水溶液として回収する請求項6に記載の排水処理方法。
  8. リン酸ナトリウム水溶液のpHを調整しつつ、前記回収を行う請求項7記載の排水処理方法。
  9. 前記アルカリ性水溶液としてカリウムイオンを含有するアルカリ性水溶液を用いることにより、リン酸イオンをリン酸カリウム水溶液として回収する請求項6に記載の排水処理方法。
  10. リン酸カリウム水溶液のpHを調整しつつ、前記回収を行う請求項9記載の排水処理方法。
  11. アニオン交換樹脂にリン酸イオンをイオン交換させた後に、該アニオン交換樹脂にナトリウムイオン、カリウムイオンおよびマグネシウムイオンのいずれかの金属イオンを含有するアルカリ性水溶液を接触させて通過させ、該通過後の前記アルカリ性水溶液の温度を測定しつつ、前記アニオン交換樹脂からリン酸イオンを脱離させてリン酸金属塩水溶液としてリン酸イオンを回収する請求項6乃至10の何れかに記載の排水処理方法。
  12. 硝酸イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオンから選ばれる少なくとも一種と、リン酸イオンとを含み且つ酸性状態を呈する排水からリン酸イオンを回収する排水処理装置であって、
    前記排水を通過させて二回以上のアニオン交換を実施し得るように、アニオン交換樹脂を備えたアニオン交換器が二台以上直列に配されていることを特徴とする排水処理装置。
  13. 硝酸とリン酸とを含有するエッチング液によりエッチング処理された液晶基板を純水にて洗浄して生じた酸性の排水の処理に用いられる請求項12に記載の排水処理装置。
  14. 二回目以降のアニオン交換が実施されるアニオン交換器の内の少なくとも一台のアニオン交換器の上流側と下流側とには、前記排水の全有機炭素濃度及び電気伝導度を測定する全有機炭素濃度測定器と電気伝導度計とがさらに備えられている請求項13に記載の排水処理装置。
  15. 二回目以降のアニオン交換が実施されるアニオン交換器の内の少なくとも一台のアニオン交換器は、前記排水を通過させてアニオン交換した後に、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびマグネシウムイオンのいずれかの金属イオンを含有するアルカリ性水溶液を接触させて通過させ得るよう構成されている請求項12乃至14に記載の排水処理装置。
  16. 二回目以降のアニオン交換を実施するアニオン交換器の内の少なくとも一台のアニオン交換器は、前記排水を通過させてアニオン交換した後に、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびマグネシウムイオンのいずれかの金属イオンを含有するアルカリ性水溶液を接触させて通過させ得るよう構成され、且つ該通過させた後の前記アルカリ性水溶液の温度を測定し得るように温度計測器がさらに設けられている請求項15に記載の排水処理装置。
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