JP2006074936A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 モータの実モータ回転数と目標モータ回転数との差が如何なる回転数であっても、オーバーシュートを発生させることなくモータの実モータ回転数を目標モータ回転数に迅速に到達させることができる電動機の制御装置を提供すること。
【解決手段】 目標回転数と実回転数との回転数差に応じて制御ゲインを可変にする電動機19の制御装置において、(1)電動機19は、回転数が上昇するときよりも回転数が下降するときの方が回転数が速く変化するように構成され、(2)制御ゲインは、回転数差が小さいほど増大するように設定されると共に、実モータ回転数Nmが目標モータ回転数Nm(tar)よりも小さい第1の状態の方が、実モータ回転数Nmが目標モータ回転数Nm(tar)よりも大きい第2の状態よりも増大が穏やかに設定される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば電気自動車に用いられる電動機の制御装置に関する。
図1に示すように被同期側にモータを搭載したパラレル式ハイブリッド電気自動車が知られている。このような電気自動車においては、このような電気自動車においてシンクロを用いた変速動作は以下のようにして行われていた。つまり、クラッチを切って変速段をN(ニュートラル)とした後、モータ回転数を目標回転数付近となるようにモータの回転数をPID制御し、モータ回転数が目標回転数付近となると、変速を行い、エンジン回転数が目標回転数付近になるとクラッチを接続して変速を終了するようにしている。
なお、制御量の大小に対応してループゲインを大小に変化させるようにしたモータの回転制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、電動機の自動速度制御を行う装置において、速度偏差の大きさが設定値より大きい時にはゲインを大きく、設定値より小さい時にはゲインを小さくした制御応答切換回路が知られている(例えば、特許文献2参照)。
実開昭63−120596号公報 特開昭62−135287号公報
モータ回転数を目標回転数に近づくようにPID制御する際に、モータの実回転数と目標回転数との差が変動するため、一律にPIDゲインを決め難い。
例えば、PIDゲインを大きく設定した場合、モータの実回転数と目標回転数との差が大きいときのPID制御においてモータの実回転数が目標回転数に対してオーバシュートしてしまい、シンクロの作用が悪化してしまうという問題があった。
このようなオーバーシュートを低減させるためにPIDゲインを小さく設定した場合、モータの実回転数と目標回転数との差が小さいときのPID制御において、モータの実回転数が目標回転数に到達するまでに必要以上に時間がかかるため、変速時間が長くなるという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、モータの実回転数と目標回転数との差が如何なる回転数であっても、オーバーシュートを発生させることなくモータの実回転数を目標回転数に迅速に到達させることができる電動機の制御装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、目標回転数と実回転数との回転数差に応じて制御ゲインを可変にする電動機の制御装置において、(1)前記電動機は、回転数が上昇するときよりも回転数が下降するときの方が回転数が速く変化するように構成され、(2)前記制御ゲインは、前記回転数差が小さいほど増大するように設定されると共に、前記実回転数が目標回転数よりも小さい第1の状態の方が、実回転数が目標回転数よりも大きい第2の状態よりも前記増大が穏やかに設定されることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の制御ゲインは、前記回転数差が所定値以上のときは一定値で、前記回転数差が所定値未満のときは前記回転数差に比例して小さくなることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の制御は、PID制御であり、前記増大させる制御ゲインは、Pゲイン、Iゲイン及びDゲインの全ての制御ゲインに対して適用することを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、実回転数が目標回転数よりも小さい第1の状態よりも、実回転数が目標回転数よりも大きい第2の状態の方が前記増大が穏やかに設定するようにしたので、電動機の回転数を目標回転数に到達させる際のオーバーシュートの発生を防止することができる。
例えば、この発明を被同期側にモータを搭載した電気自動車のモータ回転数制御に用いた場合には、確実に変速を行うことができる。
請求項2記載の発明によれば、電動機の実回転数と目標回転数との差が小さい場合には制御ゲインを大きく、電動機の実回転数と目標回転数との差が大きくなるに従って小さくするようにしたので、確実にオーバーシュートの発生を防止することができる。
請求項3記載の発明によれば、Pゲイン、Iゲイン、Dゲインを一律に制御するようにしたので、制御ゲインをパラメータとして系の応答を検出する際のパラメータ数を減少させ、制御設計する時間を短縮することができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態の動作について説明する。図1は被同期側にモータを搭載した構造を有するパラレル式ハイブリッド電気自動車のシステム構成図である。図において、11はエンジンである。このエンジン11の燃料噴射量等の制御はECU(エンジン・コントロール・ユニット)12により行われる。このECU12にはエンジン11の回転数Neが入力されている。エンジン11の出力軸は、クラッチ13を介して変速機14に伝達される。このクラッチ13の断接制御はCCU(クラッチ・コントロール・ユニット)27により行われる。
この変速機14は、Lギア16、Hギア17を備えており、TCU(トランスミッション・コントロール・ユニット)15により変速制御される。エンジン11及びモータ19の出力は、中間軸20に嵌合されたギア21,22に伝達される。つまり、この中間軸20はエンジン11及びモータ19により回転駆動される。このモータ19は、回転数が上昇する速度よりも回転数が下降する速度の方が速くなるように構成されている。これは、モータ19の回転数は、摩擦等の影響により回転数を下げる場合の方が上げる場合よりもレスポンスが良いためである。
ところで、モータ19は、インバータ23により制御される。このインバータ23には電源としてバッテリ24が接続されている。インバータ23はマイクロプロセッサを中心に構成されている。このインバータ23はMCU(モータ・コントロール・ユニット)25により制御される。
前述したECU12、CCU27、TCU15及びMCU25はHEV(ハイブリッド電気自動車)コントローラ26により制御される。
ところで、モータ19の実モータ回転数Nm及び実モータトルクTはMCU25に入力される。
MCU25は、実モータ回転数Nm及び実モータトルクTをHEVコントローラ26に出力する。このHEVコントローラ26は、モータ19の目標モータ回転数Nm(tar)とモータ19の実モータ回転数Nmとの回転差からモータ19の目標モータトルクT(tar)を演算して、MCU25に出力する。このHEVコントローラ26の制御ロジックについては図2を参照して後述する。
HEVコントローラ26はECU12に対して目標エンジン回転数Ne(tar)、TCU15に対して目標ギア位置、MCU25に対して目標モータ回転数Nm(tar)及び目標モータトルクT(tar)を出力する。
MCU25はインバータ23に対して目標モータ回転数Nm(tar)、目標モータトルクT(tar)及びモータ19の実回転数Nmを出力する。
次に、図2を参照してHEVコントローラ26の制御ブロックについて説明する。まず、モータ19の目標モータ回転数Nm(tar)は減算部31の+端子に入力され、その−端子にはモータ19の実モータ回転数Nmが入力される。すなわちこの減算部31においては、目標モータ回転数Nm(tar)から実モータ回転数Nmを減算して、偏差e(回転数差)が算出される。
この偏差eは積分ゲインであるIゲイン、積分動作の伝達関数1/Sが乗算される。また、偏差eは微分ゲインであるDゲイン、微分動作の伝達関数Sが乗算される。
そして、加算部32において、e+eI/S+eDsが算出される。次に、(e+eI/S+eDs)にPゲインが乗算された後、図3のマップ33の制御ゲインが乗算される。そして、このマップから出力される目標モータトルクT(tar)は制御対象34に出力される。この制御対象34はMCU25を意味する。そして、このMCU25によりモータ19のトルクが目標モータトルクT(tar)となるように制御される。そして、モータ19の実モータ回転数Nmは前記減算部31の−端子に入力される。
次に、マップ33の内容について図3の制御ゲインマップを参照して説明する。図3のマップは、回転数差(偏差e)をx軸(横軸)とし、y軸(縦軸)を制御ゲインとしている。回転数差が“0”の場合には制御ゲインは「1」である。そして、回転数差が小さいほど増大するように設定されている。また、実モータ回転数Nmが目標モータ回転数Nm(tar)よりも小さい第1の状態(x>0)での制御ゲインの傾きの方が、実モータ回転数Nmが目標モータ回転数Nm(tar)よりも大きい第2の状態(x<0)での制御ゲインの傾きより小さい。つまり、第1の状態における制御ゲインの方が第2の状態における制御ゲインの傾きより穏やかである。
このように設定したのは、次の理由による。すなわち、モータ19は、前記したとおり回転数を下げる速度の方が上げる速度より速く構成されているため、同じゲインでも、回転数を下げる場合の方が上げる場合よりも、オーバーシュートが起きやすい。従って、回転数を下げる必要のある前記第2の状態では、前記第1の状態と回転数差(偏差e)の絶対値が同じでも、制御ゲインを抑える必要性はより大きなものとなる。このような特性に着目して、図3に示す制御ゲインマップでは、回転数を下げる制御を行う第2の状態の方が、回転数を上げる制御を行う第1の状態よりも、回転数差(偏差e)の絶対値が大きくなるにつれてオーバーシュートの抑制が強く働くように、傾きを大きく設定している。
また、x>0において、回転数差が所定値α1までは制御ゲインは回転数差に比例して小さくなり、回転数差がα1以上となると制御ゲインは一定値βとなる。
一方、x<0において、回転数差が所定値α2までは制御ゲインは回転数差に比例して小さくなり、回転数差がα2より小さくなると制御ゲインは一定値βとなる。
すなわち、回転数差(偏差e)が所定の範囲内(α1〜α2)においてのみ、制御ゲインを可変している。このように、制御ゲインを可変とする領域を、回転数差の小さい所定範囲に限定しているため、第1の状態や第2の状態における制御ゲインマップの傾き等、設定の必要なパラメータの数も少なく、モータの特性に合わせて適切な値を設定できる。
なお、回転数差が所定値α1以上とα2以下の場合で制御ゲインは同じ一定値βとしたが、回転数差が所定値α1以上の場合の制御ゲインと回転数差が所定値α2以下の場合の制御ゲインの一定値を異ならせるようにしても良い。
なお、図3では第1の状態と第2の状態での制御ゲインは直線状(比例)に変化したが、ステップ状に変化させても良く、他の形状でも良い。さらに、第1の状態と第2の状態の制御ゲインの傾きの差は、モータ19の特性に合わせて適宜決定される。
図3に示すように、回転数差が小さい場合、つまりx=0に近いほど制御ゲインは1に近づく、つまり増大する。これは、回転数差が小さい場合に制御ゲインを増大させてもオーバーシュートは発生することはないからである。
一方、回転数差が大きい場合、つまり、x=0から離れる程制御ゲインを小さくしている。これにより、回転数差が大きい場合には、制御ゲインを小さくすることによりオーバーシュートの発生を防止することができる。
図2に示すような制御ブロックを用いることにより、制御ゲインがPゲイン、Iゲイン、Dゲインに一律に乗算されるので、制御ゲインをパラメータとして系の応答を検出する際のパラメータ数を減少させ、制御設計する時間を短縮することができる。
なお、上記実施の形態において、図2に示した制御ブロック中のPゲインとマップを加算部32と分配部35との間の部分36に設けても良い。このようにすることにより、マップ33の制御ゲインをPゲインに対してのみ利かせるようにしても良い。
さらに、図2に示した制御ブロックの代わりに図4に示す制御ブロックを用いても良い。
つまり、Pゲインに対するマップ41、Iゲインに対するマップ42、Dゲインに対するマップ43を別々に設けるようにしても良い。このようにすることにより、より細かい制御を行うことができる。
また、上記した実施の形態においては、本発明を被同期側にモータ19を搭載した構造を有するパラレル式ハイブリッド電気自動車のシステムに適用した例について説明したが、シリーズ/パラレル式ハイブリッド電気自動車のシステムにも同様に適用することができる。
本発明の一実施の形態に係る電気自動車のシステム構成図。 同実施の形態に係るモータ回転制御ロジックを示す図。 同実施の形態に係る制御ゲインマップ。 同実施の形態に係るモータ同期制御ロジックの別の例を示す図。
符号の説明
11…エンジン、12…ECU、13…クラッチ、14…変速機、15…TCU、
19…モータ、23…インバータ、24…バッテリ、25…MCU、
26…HEVコントローラ、27…CCU。

Claims (3)

  1. 目標回転数と実回転数との回転数差に応じて制御ゲインを可変にする電動機の制御装置において、
    (1)前記電動機は、回転数が上昇するときよりも回転数が下降するときの方が回転数が速く変化するように構成され、
    (2)前記制御ゲインは、
    前記回転数差が小さいほど増大するように設定されると共に、
    前記実回転数が目標回転数よりも小さい第1の状態の方が、実回転数が目標回転数よりも大きい第2の状態よりも前記増大が穏やかに設定されることを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記制御ゲインは、前記回転数差が所定値以上のときは一定値で、前記回転数差が所定値未満のときは前記回転数差に比例して小さくなることを特徴とする請求項1に記載の電動機の制御装置。
  3. 前記制御は、PID制御であり、前記増大させる制御ゲインは、Pゲイン、Iゲイン及びDゲインの全ての制御ゲインに対して適用することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動機の制御装置。
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